ネタバレします!!
17話は前回の流れを引き継いだミモリとアリスのバトル回でした。「普通」なミモリと「特別」なアリスはお互いを理解することができるでしょうか。バトルの展開から試合中の会話、そして表情の繊細な移り変わりまで、すべてがお見事で感動の回でした。
他の選手の様子がたくさん映る回でもありました。この記事の中で行ったり来たりすると見づらいので、まとめて書いていきます。
カイ vs 眼鏡ポニテの女の子(ヤナセミホ)
オープニング明けはカイ君のバトルシーンからスタートでした。相手の女の子はビショップを使っています。
壮麗なる隼がリーダーに攻撃をする場面から映ります。場にはエンシェントレオスピリット(進化後)と翼の王子が出ています。壮麗なる隼は神鳥の呼び笛から出てくるトークンなので、デッキはアミュレットビショップのようです。
カイの体力は7で女の子は8と、両者の体力はかなり削れています。お互い疾走を持つカードを使っているからでしょうね。
カイのターンが回ってきます。もともと13コストのクロノウィッチが、スペルブーストによって7コストまで落ちています。クロノウィッチの進化時効果で前のターンに破壊されたカードが場に戻ってきます。刃の魔術師が3体出てきました。1体は進化をしています。
この前のターンに刃の魔術師3体で相手のリーダーに攻撃し、返しのターンでエンシェントレオスピリットの進化時効果で盤面が吹き飛ばされ、クロノウィッチで決着という形になったようです。刃の魔術師を3枚全部引くなんてちょっとずるいですね。
カイはこのバトルで4勝1敗となりシルバーランクに昇格しました。シルバーランクの人数は95人いるとのこと。女の子がカイ君に惚れてしまった謎演出が入って幕切れでした。カードアニメはバトルの結果で軽率に恋をしがちです。
カイのバトルが終わったあと、ヒイロもモブの女の子とバトルを始めるところでした。「バトル!シャドウバース!」の掛け声だけ映して、他の試合へと遷移していきました。
ミモリvsアリスを少しやったあと、この試合に戻ってきます。そのときにはもう決着がつくところでした。試合情報のボードが一瞬映るのですがカード名にモザイクが入っていて、どういう展開になったのかはわかりません。この女の子はエルフを使っていたことだけはわかりました。
ヒイロくんはシャドバとルシア以外興味がないので、倒した女の子にはかまわず走っていってしまいました。
ルシア vs モブ2人
ルシアは17話の間に2戦こなしていました。コントロール寄りの復讐ヴァンパイアなので、決着に時間がかかるデッキのはずなのですが…。強いから試合も早いんですかね。
1戦目は遺跡のようなところで茶髪あご髭のおじさんとバトルです。キャタラクトビーストで決着をつけていました。この人はホントにこのカード大好きですね。
2戦目は草原でサングラスをかけたパーマ頭のお兄さんに勝利をしていました。こちらはカードすら映りませんでした。
マウラ vs 青髪のおじさん
「祭りの場所はここかー!?」と謎の煽りをMCが入れて、マウラがゴールドランク昇格をかけた試合を行っている様子が映ります。相手はガタイの良い青髪のおじさんです。ヴァンパイアを使っています。
先攻4ターン目、マウラは詠唱:清浄の狐をプレイ。マウラの場にはアミュレットがもう1枚出ています。アミュレットはアニメオリジナルの表現なので、これだけでは何のカードなのかわからないんですよね。4ターン目にカウントが1になっているので、1ターン目に置いた詠唱:天馬召喚でしょうか。
「こっちにはこんなにフォロワーがいるんだぞ」といかにも負けそうなセリフをおじさんは吐きます。後攻2ターン目で眷属の召喚、3ターン目で人狼の群れ長をプレイしたようです。
ミモリvsアリス戦を少し挟んだ後、マウラの試合に戻ってきます。そのときにはもう、ゴッド・オブ・カースが場に出ていて効果も発動していました。青髪のおじさんはランページジャイアントをプレイします。この時点で体力最大値が5まで減っていたので、復讐状態の効果で+1/+0して守護がつきました。
マウラは何もカードをプレイせずにターンエンド。ゴッド・オブ・カースの効果で体力最大値が0になりマウラの勝利です。なぜかおじさんはあらぬ方向へと飛んでいってしまいました。この勝利でマウラはゴールドランクへ昇格です。
ミモリ vs アリス(前半)
今回の目玉です。変身バンクはなく、先攻2ターン目からのスタートでした。相変わらずテンポの良さを大事にするアニメですね。カットされているところも簡単に見ていきましょう。
1ターン
先攻1ターン目、アリスは場にフォロワーが出ていませんし、手札も減っていないのでパスをしたようです。
後攻1ターン目、ミモリはフラワーフォックスをプレイしました。
2ターン
先攻2ターン目、アリスがゾンビドッグをプレイしたところからアニメに映っています。
ミモリ:「その子、アリスちゃんのお気に入りなんだよね?」
アリス:「そう見える?」
ミモリ:「ううん」
アリス:「嫌いじゃないよ、この子。でもね、違うの。アリスの好きとは違う」
いきなりアクセル全開でエモい会話ですね。ミモリはアリスがゾンビドッグを可愛がる様子に違和感を覚えたということでしょうか。4話のバトルのときはゾンビドッグは使わなかったですし、ネクロらしいガイコツフォロワーばかり使っていましたからね。
後攻2ターン目、ミモリはフェアリーサークルをプレイ。フラワーフォックスとのコンボで、1コストで手札が4枚も増えます。
さらにベビーエルフ・メイをプレイ。1コスト1/1で1点を飛ばすかなり強い除去カードです。2コストが1コストであっさり取れてしまうラッキーな展開です。
「お姉さん、やっぱイイよね」と褒められて赤面してしまうミモリちゃん。
3ターン
先攻3ターン目、アリスはネクロエレメンタラーをプレイ。ラストワードがあるよとミモリにわざわざ教えてあげます。優しい。
後攻3ターン目、ミモリはダークエルフ・フォーレをプレイ。ミモリがこのカードを使っているところは初めてですかね。ミモリのデッキはフェアリーを集めるデッキなのでこのカードも採用しているようです。
アリスがせっかく忠告をしてくれたのに、ネクロエレメンタラーのラストワードをケアしない形で盤面を作りました。ケアするなら先に1/1を2体使ってネクロエレメンタラーを破壊したあと、フォーレを出すという手順になります。その場合は相手のリーダーへの2ダメージが0になっているので、体力を急いで詰めたい場合はミモリのプレイでも悪くないかなと思います。
ここでも会話が挟まります。
ミモリ:「アリスちゃんはシャドバ、好き?」
アリス:「…」
ミモリ:「私は好き。普通な私が、ちょっとだけ特別になれる気がするから」
アリス:「特別になっても意味ないよ」
ミモリ:「どうしてアリスちゃんはそう言うの?」
アリス:「知ってるから、無意味だってこと」
「シャドバ好き?」とミモリが聞いたとたん太陽がさっと雲に隠れて、アリスの顔が陰ってしまいます。心象を表現する描写ですね。まだまだこの二人はわかり合えていません。アリスは自分が「特別」を嫌う理由をちゃんと言語化していないのですね。
4ターン
先攻4ターン目、アリスはゾンビドッグとリリエルをプレイ。ネクロエレメンタラーでフォーレを攻撃し、ラストワードを使ってミモリの盤面を全処理します。ネクロエレメンタラーちゃんが倒されたときに顔をクワっと変えてラストワードを働かせる描写、すごくイイですね。
アリス:「このフォロワーも、このフォロワーも、みーんなアリスのフォロワーじゃないんだよ。アリスが選んだわけじゃないの。みんな大人が選ぶんだよ。黒羽アリスには、可愛いカードがふさわしいって。」
ミモリ:「…」
アリス:「アリスは特別だから、それにふさわしく振舞わないといけないの。バッカみたいだよね。それなら普通でよかった。」
ミモリ:「アリスちゃん…」
アリス:「お姉さん、アリスもシャドバ好きだよ。でも、今は嫌い。こんなアタシも好きじゃない。ターンエンド、お姉さんのターンだよ」
ミモリ:「そうだったんだね。私、何も知らなかった。でも、だからこそ、私、アリスちゃんをもっと知りたい」
会話だけにもならず、バトルだけにもならず、両方を織り交ぜて対話が進んでいきます。
「アリスもシャドバ好きだよ」のところで、アリスちゃんはすごく寂しげな表情で笑いかけるのです。美しい…けど胸が痛くなってしまいます。アリスは自分の胸の内を少しずつさらけ出しますが、ミモリに背中を向けてしまいます。こういう会話をすることに慣れておらず、恥ずかしいのかもしれません。アリスが自己開示したことで、ミモリはなんとなくアリスの抱えているストレスを理解したでしょうか。
「アリスちゃんをもっと知りたい」とミモリが言ったところで、アリスの肩がびくっと震えます。上手いですよね、こういう細かい描写が。少しずつだけど想いが通じていく様子が描かれていきます。
後攻4ターン目、ミモリはエルフプリンセスメイジをプレイして進化します。0コストのフェアリーを2枚加えられるということで、コンボパーツの供給役として採用されていました。リノセウスの打点を増やすのに使われていましたね。これでミモリの手札にはフェアリーが6枚。アニシャドには珍しく、潤沢にリソースを確保する立ち上がりになりました。
ミモリ:「アリスちゃん、私何も知らなかった。何も知らないで、特別になりたいなんて言って…」
アリス:「しょうがないよ。アリスだってお姉さんのこと知らないし」
ミモリ:「うん!だからさ、本気でバトルしよ!」
(ヒイロのフラッシュバック)
アリス:「そっか。本気でバトルか。アリス、わかんないな。ずっと我慢してきたから。本気でやるの、どうしたらいいか忘れちゃったよ」
ミモリ:「私が思い出させてあげる。うんん、アリスちゃんならきっと思い出せる。見せて!アリスちゃんの本気!」
アリス:「(ハッ)」
ミモリ:「それから教えてくれるんでしょ?笑顔のホント」
アリス:「いいよ、わかった。やってみるよ!お姉さん!」
「本気でバトルしよ!」のところで雲が晴れて、太陽が戻ってきます。本気でバトルをすることが、お互いの理解につながるという回答は、いかにも子供向けのホビーアニメという感じではあります。ただ、お互いが勝利に執着し、すべてをさらけ出してバトルをすることで、関係が近づくというのはまあなんとなくわかります。
アリスは使いたくもないカードを入れたデッキを使い、見世物として盛り上がるプレイを心がけていた(ヒイロ戦でリリエルを進化しなかった件とか)結果、勝ちにこだわる勝負をするときのヒリついた感覚や、細い勝ち筋を見通す思考の過程などを忘れてしまっているのでしょう。このへんはカードアニメっぽい話なのですが、なんとなく言いたいことはわかるよ、という感じで見ていました。
また、このシーンではお互いがお互いのことをよくわかっていないという前提条件をちゃんと確認するんですよね。特別なアイドルと普通の女の子の間の接点は、まだ薄く頼りないものだということをちゃんと意識させるのです。
会話のなかで揺れ動くアリスの心を、ほんの一瞬の表情の描写に乗せて描いていくこのへんのシーンには、アニシャドの心象描写の丁寧さが存分に発揮されています。
ミモリ vs アリス(後編)
他の登場人物にシーンが渡り、CMを挟んでミモリvsアリスが再開しました。
5ターン
先攻5ターン目、このターンからスキップとなりました。後攻7ターン目までスキップされています。アリスの手札はチラチラ見えていたので、その間の動きは分かりやすいです。スキップされたターンに使用されたのはケルベロス、ファントムハウル、冥府神との契約、ユニコーンの踊り手・ユニコです。
ケルベロスはファンファーレでミミとココという2枚のカードを加えるカードです。ミミとココを加えてその後の動きをスムーズに作るために、5ターン目はケルベロスを進化してエルフプリンセスメイジを破壊しにいったはずです。ゾンビドッグが場残りしているので、2/1と5/1の盤面を作って押していく意思を見せます。
1話でヒイロとカズキが担任の先生に運ばされていた石膏像の中に、ミミとココの像がありましたね。
後攻5ターン目、ミモリのターンです。この時点でミモリはフェアリーを6枚抱えていますが、決着のターンに使うのが4枚なので、スキップされている間に2枚は消費しています。エルフを弓術だけはもともと見えていたので、このターンはフェアリー+フェアリー+エルフを弓術で盤面を取り返しにいったはずです。
6ターン
先攻6ターン目、アリスのターンです。CM明けでミモリの体力はかなり減っていました。場に並んだ2体のフェアリーを処理しつつ、ミモリの体力を減らせるプレイとして、ファントムハウルをプレイしたものと思われます。
ケルベロスからのファントムハウルはネクロマンサーデッキを支え続けた黄金コンビです。ファントムハウルで5点、ミミとココで4点なので、カラ盤面から6コストで9点出せるすごいコンボです。必要に応じて盤面のフォロワーに当たったり、ミミだけ温存したり、ソウルコンバージョンを絡めたりと、柔軟に動けるのも強いポイントでした。
このターンは場にいるフェアリー2体を処理しつつ、ココを打点として活用するためにゴーストをバフしてミモリの体力を削りにいきます。
後攻6ターン目、ミモリのターンです。ゴーストが消滅してカラ盤面で返ってくるので、強い盤面を作って返したいところです。ただ、アリスの手札に冥府神との契約があるので、この1枚で処理されてしまうカードを出したのでしょう。エルフトラッカーをすでに引いているのですが、処理札として使うためにこのターンは温存をしたようです。場に残ると圧をかけられるので、大狼あたりのプレイだったのかなと思いました。ここは答えが分かりません。
7ターン
先攻7ターン目、アリスのターンです。冥府神との契約で相手の盤面を処理して、ユニコをプレイします。
ミモリの体力の減り方的に、ミミとココは両方とも打点に変換されているようなので、このターンにミミを撃ったのかなと思います。前のターン1コスト余っていたので撃てたのですが、そうするとこのターンに2コスト浮くのでゾンビドッグがプレイできてしまい、エルフトラッカーでユニコを処理する展開と合わなくなってしまいます。
後攻7ターン目、このターンからアニメに映ります。場にいるユニコをエルフトラッカーで処理できるので、進化を使わず盤面を処理して、大型のフォロワーを立てることができました。
ミモリ:「アリスちゃん、まだきっと本気じゃないよね?」
アリス:「かな…」
ミモリ:「うん。だって前にバトルした時のアリスちゃんはもっと、もっと楽しそうだったから」
アリス:「楽しそう…か。楽しかったよ、うん、楽しかった。だって、あんなふうにバトルできたの久しぶりだったから」
ミモリ:「いまは…できないの?」
アリス:「この格好だから。この格好だと、アタシはアタシじゃないんだ。黒羽アリスなんだ。だから…」
ミモリ:「違うよ!どんな格好をしてても、アリスちゃんはアリスちゃんだよ!それは変わらないと思う!」
アリス:「…」
ミモリ:「ハッ、なんて知ったようなこと言っちゃったかな…」
アリス:「うんん。アリスはアリス。うんん。アタシはアタシか。嫌いじゃないよ、その言葉!」
4話のバトルはお忍びでやっていたので、やはり楽しんでシャドバできていたんですね。ソンビモリモリでしたし。
アリスはアイドルなので、ファンの前に出るときは偶像として振舞うのがプロです。ただ、自意識のレベルでまで他人になる必要はないよね、という話でしょうか。人格が分裂してしまいますからね。ミモリはそこまで考えてしゃべっていないと思いますが、アリスの心には残ったようです。
8ターン
先攻8ターン目、アリスのターンです。よろめく不死者を出してソウルコンバージョンを撃ちます。これも長らく使われていたネクロマンサーの強ムーブです。3コストで確定除去をしつつカードを2枚引きます。
よろめく不死者は以前のバトルでも使っていたカードですね。「可愛いでしょ?」と聞かれたミモリは「そう思う!」と返すのですが、本心なのでしょうか…。このへんからアリスがニコニコとしてきて、機嫌がよくなっていっているように見えます。
余ったコストでワイトキングとスケルトンファイターを出し、両方ともネクロマンスが発動します。アリスのデッキは、魅せるための可愛いデッキと、自分が好きなガイコツデッキと分かれているのかと思っていたのですが、実は両方のカードが1つのデッキに採用されているんですかね。
ミモリ:「すごい!やっぱりアリスちゃんは特別だね」
アリス:「アタシの本気、こっからだよ!だからお姉さんの本気も見せて!お姉さんのことを教えてよ!」
アリスは本気の出し方が分からないと言っていましたが、徐々に感覚を取り戻してきたという感じでしょうか。自分の好きなゾンビフォロワーを使ってニコニコしていますね。
後攻8ターン目、ミモリのターンです。大きめの守護を置かれたので処理をしにいきます。天馬のエルフを進化して、フェアリーを1枚使い、エルフガードの効果を起動します。アリスが作った2面をキレイに返して3面作るプレイです。
アリス:「フォロワーを倒すだけじゃなくて、コンボまで。お姉さんやっぱり面白いね」
ミモリ:「そうかな…。私すっごく普通だよ。昔から、何をやってもずっと真ん中で、自分でもつまらないなと思うけど、何も変えられなかったし、変えたって、そんなに意味なかったし。だからさ!アリスちゃんを初めて見た時、すごいなって思ったんだ。それって、大人が作ったアリスちゃんなんだろうけど、でもすごい、すごかった。私もこうなりたいなって思ったんだ!」
アリス:「でも、お姉さんはいまでもすごいよ」
ミモリ:「普通だよ」
アリス:「いいじゃん普通。普通のお姉さんが、アタシは好き!」
ここでようやく、お互いの主張が言語化されたのではないかと思います。
ミモリが回想で語ったことがアリスには伝わっていなかったのが、ここまでのすれ違いの原因の1つでしょう。ミモリがなぜアリスのファンになったか、どんなところに惹かれたか、「特別な」アリスのことをなぜすごいと思っているか、ということですね。
ミモリが見ていた黒羽アリスが作られた偶像であることを理解しつつも、その偶像の持つパワーを肯定しているのがとても偉いなと思います。「アリスちゃんはアリスちゃんだよ」というさっきのセリフと合わせて、アイドルのアリスも生身のアリスも両方を認めてあげているのです。絶妙なセリフ回しだなと思います。
アリスは少し照れ気味ですが、ちゃんとミモリのことを認めて、自分の好意を伝えます。ちゃんとストレートに想いを伝えることで、関係が前に進んでいくのですね。本当に爽やかな関係性で、良いアニメだなあと思います。
ミモリが髪飾りに触りながら、「変えたってそんなに意味なかったし」というのはヒイロとカズキのせいですかね。ヒイロはちゃんとフォローを入れていたのですが…。減点だったようです。
回想に入ってからの物悲しい音楽が、このあとしばらく続きます。笑顔でシャドバを楽しんでいる2人とは対照的な演出です。
9ターン
先攻9ターン目、アリスのターンです。デュラハンをプレイして進化します。進化時効果で墓場が+4されます。
ソウルハントも墓場を+1するカードです。
手札にスケルトンレイダーとレッサーマミーが見えているのなら、10ターン目での決着を狙った準備のターンということになります。ただスケルトンレイダーはデッキトップから引いてきたように見えましたね。
アリス:「あのときみたいだね、お姉さん」
ミモリ:「うん、覚えているよ」
アリス:「特別がいいか、普通がいいか、アタシ、よくわかんなくなっちゃった」
ミモリ:「うふふ、実は私も」
アリス:「そんな簡単に答えなんてでないよね。でも、このバトルの答えならそろそろ出るよね!」
ミモリ:「アリスちゃん、私負けないよ!」
アリス:「それは、こっちのセ・リ・フ」
あのときみたいだねとアリスが言うのは、このバトル展開のことを言っているのでしょうか。フェアリーが1枚だけ残ってミモリにターンが返ってきたターンが、4話では決着のターンでした。もしくはあのときみたいに楽しんでバトルができているということでしょうか。
16話でほとんどケンカのようになって始まってしまった「特別」か「普通」かの争いは、ここで終幕を迎えました。アニシャドはどういう答えをだすのだろうとハラハラしていたのですが、「簡単に答えが出る話ではない」という一番平和な解決をみました。ミモリとアリスには争っていてほしくないというのが視聴者の想いだったと思うので、ある意味期待通りですね。アイドルのような他人から注目を浴び続ける人生か、つつましく生きる人生か、どちらが良いかなんて決められるわけがありません。この回答が一番正しいのだと思います。
ここまで物悲しい音楽は続きました。エモーショナルですね、本当に。お互いが内面をさらけ出し合う場面でしたよ、という演出でしょうか。
後攻9ターン目、ミモリがブリリアントフェアリーを使うターンです。盤面にいるフェアリーに妖精のいたずらを撃ち、デュラハンを盤面からどかしつつ、ブリリアントフェアリーの最大打点を実現します。
4ターン目でエルフプリンセスメイジを進化して作った0コストのフェアリーがあるのでギリギリコストが足ります。0コストなのでいつでも出せるカードなのに温存していたということは、こういう風に使うことになるだろうと予想していたからでしょう。大局観がすごいですね。このデッキはフェアリーを集めてブリリアントフェアリーで勝つデッキなので、意識してプレイしているのでしょう。
大事に残していた進化権も使ってアリスの体力を削りに行きますが、1足りませんでした。こういう試合はよくあるのですが、序盤のどこかで1点与えることができなかっただろうかと、試合後猛反省してしまいます…。
ミモリの「飛んで!私の妖精たち!」っていう決めセリフがカッコよくて好きです。
10ターン
先攻10ターン目、アリスのターンです。ここのスケルトンレイダーを出す前のアリスのセリフもめちゃくちゃカッコよくて好きです。手札に来ても、アイドルには相応しくないから出せずにいた切り札に、ようやく願いを込めるのですね。
アリス:「ずっと酷いことしてたよね、アタシのこと嫌いになっても、ヘンじゃないよね。でも、お願い!アタシに力を貸して!アタシと一緒に、駆け抜けて!冥界の底より現れる、汝の名は、スケルトンレイダー!」
アリスという一番の可愛いロリっ子がこのセリフを言うから、ギャップがデカイデカイ。鳥肌がすごかったです。
スケルトンレイダー
8コスト4/4
疾走
ファンファーレネクロマンス6:相手のフォロワー1体を破壊する
自分のターン中に相手のフォロワーが破壊されるたびに、相手のフォロワーすべてと相手のリーダーに1ダメージ
レジェンドらしいフィニッシュカードだなあと思いました。強すぎず、弱すぎず、ものすごく適正な感じです。
12話のヒイロvsアリス戦では、イグニスドラゴンが出てきた返しにスケルトンレイダーをドローしたので、ネクロマンス6でイグニスドラゴンを破壊することができていました。そのターンで決着はつかず勝ち確定ではないですが、大きくアドバンテージをとれたはずでしたね…。
ミモリの盤面は3/1, 3/1, 4/2, 5/3, 3/4でした。体力が1ずつ階段になっているので、ネクロマンスで1体破壊すると連続で効果が起動しました。アニメ映えする演出でしたが、バトル的に言えばそれは本来の目的ではありません。何でもいいからフォロワーを全部倒して、リーダーに5点ダメージを飛ばしたい場面でした。なのでミモリが4/2になっているフェアリーを進化させることで、3/1, 3/1, 3/1, 6/4, 3/4にしておいたとしても、6/4のフェアリーをネクロマンスで破壊すればどのみち結果は一緒だったはずです。
フォロワー5体を破壊したことによる5点と、本体疾走の4点、そしてレッサーマミーの疾走打点も添えることで、11点を吹き飛ばしてアリスの勝利でした。
アリス:「いくよ、お姉さん!」
ミモリ:「アリスちゃん…」
アリス:「疾走を持つレッサーマミーと、スケルトンレイダーで、リーダーに攻撃!切り裂いて、何もかも!」
アリスの決めセリフもカッコイイんですよね~。「何もかも切り裂く」というのは、アイドルとして自分を縛る鎖ごと、スケルトンレイダーに切り裂いてほしいという願望がなんとなく透けて感じられます。
スケルトンレイダーの攻撃を受ける寸前に、ミモリがちょっと微笑むんですよね。これも細かいけどすごい描写だなあと感動してしまいます。アリスがスケルトンレイダーを出せていなかったことは、ミモリは知らないと思います。ですが、アリスが本気を出してくれたこと、切り札を使ってくれたこと、楽しんでバトルをしてくれたことが頭に浮かんで、ミモリは思わず笑ったのでしょう。
ミモリは自己評価の低い人ですが、その分相手を思いやることに長けている人です。負けた悔しさもあるでしょうに、アリスを想う気持ちが先に胸に浮かんでくるんですね。
お互いが切り札を出し合って大バーストダメージを与えあう、ド迫力のバトルになりました。本当に面白い試合でしたね。ミモリは手札を使い切りましたし、実はアリス側もネクロマンスをすべて使い切っていました。すべてを出し尽くしたと言わせるに値する試合展開、お見事でした。
ミモリvsアリス(バトル後)
アリス:「アリス、もう少し自分らしくしてみるね。お姉さんのおかげ。だ・か・ら、アリスにとって、お姉さんは特別だから。それ、忘れちゃダメだよ」
ミモリ:「アリスちゃん!私にとってアリスちゃんは、特別だけど、でも、普通の女の子で、だから、アリスちゃんは、アイドルだけど、私の友達!友達だから!」
アリス:「…初めての友達だ…。ありがとう…」
ミモリ:「バイバイ!アリスちゃん!負けないでね!私も頑張るから!」
ここは初めて見た時普通に泣いてしまいました。セリフ回しが上手いんですよね…。
アイドルであっても自分らしくあってよいと気づかせてくれたミモリを、アリスは自分にとっての「特別」として認定します。「忘れちゃダメだよ」というところにアリスの心遣いが感じ取れますね。自分が「普通」であることにミモリは悩んでいて、「特別」であることに憧れを抱いていることをこのバトルでアリスは理解し、励ましてくれているのです。
一方、ミモリに「普通の女の子」と言われたときに、アリスはびくっと肩を震わせます。「普通」であることを許されないアリスを、ミモリはあえて「普通の女の子」と言ってあげることで、呪縛から解放してあげようとしています。少なくとも、ミモリの前でだけは、「普通の女の子」兼「友達」として振舞ってほしいと願っているのです。
お互いがお互いの過去や立場を最大限尊重したうえで、今以上に近づきたいと思っているのです。エンディングがこれまで以上に尊く見えてしまいますね…。
アリスの涙の流し方もとても印象深くて、顔をぐしゃぐしゃにしたり、手でぬぐったりしないんですよね。流れ落ちる涙を掌で受けて自分が泣いていることを自覚し、冷静に、自分に初めて友達ができたと呟くのです。達観していて、どんなときでもアイドル黒羽アリスがどのように振舞うべきかを考えてしまう、アリスらしい姿だなと思いました。
ミモリが最後に「負けないでね!」というのもエモいセリフだなあと思いました。ミモリはもちろんこのシャドウグランプリのことを念頭に置いて言っていると思うのですが、我々からすると、アイドルという立場で思うようにシャドバができなくても、腐らずに頑張っていってほしいという風にも聞こえてしまうのです。本当に、負けないでほしいですね。