3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバースF 8話感想-期待なんて呪いだよ

 アニシャドFの8話の感想文です。

フワリ vs スバル

 ライトの期待のまなざしに負けてスバルがバトルすることになりました。

1ターン目

先攻1T:フワリ
 パスです。

後攻1T:スバル
 パスです。

2ターン目

先攻2T:フワリ
 フェアリーウィスパラーをプレイします。ファンファーレで手札にフェアリーが2枚加わります。

後攻2T:スバル
 怪犬の墓守をプレイします。場にいると消滅でも墓地が増えるようになりますが、今回その効果は働きませんでした。

3ターン目

先攻3T:フワリ
 フェアリーウィスパラーで怪犬の墓守に攻撃し、フェアリー2枚とベビーエルフ・メイをプレイします。メイのファンファーレで怪犬の墓守に1ダメージで破壊します。

後攻3T:スバル
 アニメオリジナルカードをプレイします。

トリックデュラハン
3コスト2/1
このフォロワーが場に出たときゴーストを1体場に出す
ラストワード:自分のリーダーは「次の自分のターン開始時、トリックデュラハン1体を場に出し、この能力を失う」を持つ

 ヘリオに似た使用感の効果です。ヘリオの効果は相手のターン終了時に働くため、出てきたゾンビはすぐに攻撃できます。一方でトリックデュラハンの効果は自分のターン開始時に働くので、復活したターンは攻撃ができません。

 そのぶん、トリックデュラハンにはゴーストを出す効果がついてくるのがオトクです。この効果は場に出た時に働くので、リアニメイトで復活させても効果が働きます。恨みの語り部と同じようなコンセプトで、リアニメイトしてゴーストを利用してねというデザインになっています。

 トリックデュラハンが生み出したゴーストでフェアリーを攻撃します。この攻撃先が物議を醸すものだったので後程書きます。

4ターン目

先攻4T:フワリ
 場残りしたフェアリーとメイで相手のリーダーを攻撃します。
 自然の導きをプレイします。メイを手札に戻してカードを1枚引きます。
 メイを再びプレイ。ファンファーレで1ダメージを飛ばし、トリックデュラハンが破壊されます。トリックデュラハンのラストワードが発動します。
 エルフガードをプレイします。このターンにカードを2枚プレイしていたので、自身を+1/+1して守護を持ちます。

後攻4T:スバル
 ターン開始時にトリックデュラハンが場に出て、ゴーストを1体生みます。
 悪戯なネクロマンサーをプレイして進化します。進化時能力でゴーストが2体場に出ます。
 悪戯なネクロマンサーでエルフガードを破壊、2体のゴーストでメイとフェアリーを破壊。さらに1体ゴーストが余るので相手のリーダーに攻撃しました。
 メイを再利用されてしまってフワリの盤面が少し広がりましたが、進化時効果で上手く盤面を取り返しました。スバルは幽霊部員を自称するだけあってゴーストをいっぱい使うデッキなんですかね。

スバルのプレイミス

 後攻3ターン目のスバルのプレイにまつわる演出がとても興味深いものでした。
 スバルの場に疾走を持つゴースト出て、フワリの場にいるフェアリーかベビーエルフ・メイのどちらに攻撃するかという場面で、スバルはフェアリーを選択しました。

観客A:「いまのはミス…だよな?」
観客B:「だな。エルフクラスはフォロワーを手札に戻してくるクラスだし」
観客C:「ゴーストで攻撃するのは、メイの方が良かったと思うけど」

 観客の指摘通り、メイを自然の導きで手札に戻して再利用されてしまい、スバルもプレイミスに気づくという演出でした。
 リリース時点から現在に至るまで、あらゆるシャドバプレイヤーが遭遇してきた問題だと思います。どっちを破壊しておくべきか問題。バニラのフェアリーの優先度は落とすべきだと思いますが、フェアリー限定でバフをかけるカードもあるのでケースバイケースです。
 今回はスバルの場には2/1のトリックデュラハンしかいませんでした。メイを手札に戻せたら相手が大きくアドバンテージを稼いでしまうことを認識して、メイを攻撃できるかどうかがカードゲーマーとしての上手さの表現になっていました。観客はそれに気づいたけどスバルはそれに気づかないという違いを描くことで、スバルはシャドバがあまり上手くないよと視聴者に示したのです。
 自然の導きやエンシェントエルフなど、メイが手札に戻るカードがなかったらスバルにとってはディスアドバンテージになっていませんでした。特定のカードを相手がたまたま持っていたからミスが顕在化してしまうことはよくあります。結果論だと切り捨てるのは簡単ですが、あらゆる可能性を考慮して小さな選択肢も疎かにしないのが上達のカギ。1%でも勝率を上げるために、上手な人たちはこういう細かい選択肢を真剣に検討します。
 この微妙な差でスバルの立ち位置を描いたのが非常に繊細な演出だったなあと感激しました。1話でライトが1/2のゴブリンで2/2のドワーフアルケミストを攻撃したような、「始めたばかりの初心者」ではなく、「ちょっとやっているけど細かいケアに気づかない人」をシャドバらしく上手に描いたワンプレイだったなと思います。

2人が背負った期待

 スバルとフワリが一緒に帰るシーンの会話の空気感が好きでした。

スバル:「有名人だから苦労してるんすよ、オレもね」

 スバルの兄弟はプロプレイヤーのセブン・シャドウズの一員のようでした。7人の頂点のうちの1人が身内にいるのなら、シャドバカレッジでは有名人になっちゃうでしょうね。観客もスバルのことを知っているようでしたし。

フワリ:「はい~。大変です。でも、みなさん期待してくださってますから」
スバル:「期待なんて呪いだよ…」
フワリ:「そうですか?誰かのために頑張るってすごくいいことだと思いますけど」

 スバルがシャドバをあまり真剣にやっていない理由がなんとなくわかります。嫌になってしまったのでしょうね。期待されることと、期待を裏切ってしまうことに。
 8話ではスバルの紹介をしつつ、フワリのすごさを間接的に語っている構造も良いなあと思いました。期待をポジティブな燃料に変えて、日夜頑張り続けているのがフワリという人なんだなとわかります。胸のうちに秘めたものはまだわからないのですが、ただただのんきで優しいだけの人じゃない、"凄み"のようなものが漏れ出していて良かったなと思いました。
 スバルからしてみれば他人からの期待はマイナスでしかないけれど、プラスに働くこともあるよねというのをフワリを使って描こうとしているのかなと思います。賛否あるものを語るとき、どちらか片方だけに寄りすぎない姿勢が素敵です。



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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ニアーライト前編「権力闘争編」

 2022年4月28日開始のイベント「ニアーライト」のストーリーを整理します。この記事は「権力闘争編」と題して、ロドスが巻き込まれたカジミエーシュの組織間抗争の経緯を振り返ってきます。



1. カジミエーシュ勢力図


 
 カジミエーシュの勢力図の概観を眺めるところから始めます。
 権力闘争の主役は監査会と商業連合の2つです。監査会は行政府であり、国防軍である征戦騎士を指揮する権限を持ちます。商業連合は企業の経済的結びつきで成り立つ組織で、莫大な資本の力を使ってカジミエーシュを牛耳っています。
 競技騎士は興行として戦いを披露するエンターテイナーです。感染者騎士法によって感染者も競技騎士になれるようになりましたが、満足のいく暮らしができるのはごく一部。感染者騎士たちが地位向上を目指して監査会と行った取引がカジミエーシュを大きく動かしました。
 商業連合は騎士たちに対抗する武力として無冑盟を抱えていますが、無冑盟が商業連合の支配から脱しよう反逆を起こしたのもニアーライトの大きな動きの1つでした。
 そのほか、騎士競技を司る騎士協会は、スポンサーである商業連合の傀儡同然となっているため、ニアーライトでは存在感がありません。国民議会は司法府と立法府を兼ねた組織のようで、立場的には監査会に近い組織だとは思うのですが、独自の意思を持って動くこともありました。
 各勢力の思惑が絡み合う中で、ロドスはより多くの感染者を救うために難しい舵取りを迫られます。協力か敵対かという単純な二元論では割り切れない権力闘争の中で、信念を貫くための戦いが始まりました。

2. 零号地の秘密

 権力闘争にロドスが深く関わることになってしまった原因は、感染者への治療、そして零号地にあります。
 ロドスがカジミエーシュを訪れたのはこの地の感染者に対してよりよい治療を施すことができると監査会に提案したからです。マーガレットをカジミエーシュに送り届けたいというもう1つの理由もありました。

 監査会はロドスの提案を受けます。感染者共同医療組織という監査会直轄の組織の構成メンバーにロドスを参加させ、医療チームが現地で活動できるように手配を整えました。ロドスが編成したチームは、シャイニング、ナイチンゲール、Touch、ハイビスカスを含む医療オペレーター中心の構成でした。彼女らは大騎士領の感染者の治療に追われることとなりました。監査会が感染者に医療を施していたのは、心から人道的支援を行いたかったというよりかは、大騎士領の民衆へのポーズの意味が大きかったようでした。
 治療に必要な物資や資金は商業連合が援助を行っていました。また、感染者共同医療組織のロドス以外の企業はカジミエーシュ内の大企業がほとんどです。監査会直属とはいいつつ、商業連合も強い影響力を持つ組織でした。
 商業連合は優秀なビジネスマンの集団です。より多くの利益を得るために常にアイディアを模索しています。大騎士領の感染者は鉱石病罹患のリスクが高い掘削業などの危険な仕事を斡旋することで利益をもたらすことができる存在ですが、働けないほどに病状が進んでしまった人に価値はありません。悪魔的な発想が実行に移されました。働けなくなった感染者を文字通り「処分」する場所を生み出したのですね。それが零号地です。
 零号地はミェシュコ工業が提供した小型のプラットフォームで、正式な提供リストには含まれていません。商業連合は秘密裏に感染者の処分を行っていましたが、監査会も噂を掴んでいたことでしょう。調査をするきっかけを探していました。
 そこで白羽の矢が立ったのがロドスです。ロドスは外部企業なので商業連合とのしがらみがありません。零号地への切り込みに監査会が必要としているカギは2点ありました。1. 正式な理由で零号地を調査できる口実。2. 商業連合が抱えている無冑盟に対抗できるだけの武力。これらを監査会がどのような手段で手に入れていくかを意識して物語を追いかけていきます。


3. ロイとムリナールとシャイニング

 前述の2つのカギを手に入れるため、監査会はレッドパイン騎士団に取引を持ちかけました。レッドパイン騎士団は条件を飲み、大騎士領に再び大分断を起こす計画を練りました。計画は当然秘密にしていたのですが、実はいろいろな人にバレてしまっていました。
 無冑盟にとっては大騎士領での盗聴や隠密調査など朝飯前です。レッドパイン騎士団がやろうとしていることはロイから商業連合に密告されてしまい、無冑盟に正式な形で任務が下ります。感染者騎士を掃討せよと。
 大分断作戦を事前に知っていた人物がもう1人いました。トーランドです。彼はレッドパイン騎士団に直接接触をして、彼女らの信頼を勝ち得ました。そしてその情報をムリナールへ流しました。ムリナールはさらにシャイニングへと情報を伝え、無冑盟の掃討作戦の実施場所で待ち合わせをしました。彼らは感染者を守ろうとしたのですね。
 その結果、三者が鉢合わせになり、勝てないと悟ったロイがダッサい言い訳をして撤退せざるを得なかったのがこのベンチのシーンでした。印象的でしたね。

 ムリナールはさっさと帰ってしまいましたが、シャイニングは守ってあげた感染者から話を聞き、零号地で起きている真相を知りました。シャイニングはのちにロドスに戻り、ドクターにカジミエーシュの感染者事情をいろいろと伝えました。しかしそのタイミングではすでにドクターは大部分を把握していると言っていました。グラベルやマルキェヴィッチを経由し様々なソースから情報を集めていたようでした。


4. 大停電作戦・計画フェーズ

 レッドパイン騎士団の面々は、自分たちの計画がバレているとは露も知らず、着々と準備を進めていきました。この計画はソーナと監査会のデミアンという人物が裏で繋がって練られたものです。以下のような手順が計画されました。
 グレイナティが大騎士領の動力センターを襲撃し、大規模な停電を引き起こすのがスタートです。都市インフラの警備は監査会の担当らしく、デミアンが警備を手薄にするように手回しをします。ユスティナとシェブチックがこれを支援し、イヴォナが無冑盟を引き付けることで実現の確度を高めます。
 大停電を起こす狙いは、ソーナが商業連合ビルに侵入することにありました。彼女はサーバルームに忍び込み、2つの情報を盗み出すことを狙いました。零号地の情報と、無冑盟の人員リストです。レッドパイン騎士団はこれら2つの情報をデミアンに提供し、その対価として監査会は感染者たちの合法的な身分を保証するというのが取引の内容でした。
 デミアンは手に入れた情報を使って商業連合に打撃を与えることができるぞと踏んでいたようでした。


5. 大停電作戦・実行フェーズ

 計画というのはなかなか思い通りにはいかないものです。
 前述の通り作戦はすべて無冑盟にバレてしまっていました。無冑盟にも商業連合の支配を脱したいという別の思惑があったため、レッドパイン騎士団をただただ邪魔するということにはなりませんでした。
 本来グレイナティが実行するはずだった動力センターへの襲撃は、モニークが代わりにやってくれました。停電は無冑盟にとっても必要だったのです。また、無冑盟を引き付けるのが仕事だったイヴォナもモニークの前に沈みます。仕事ができる女です。
 無冑盟にバレているとわかった時点でソーナの侵入はストップしたほうがよかったかもしれません。しかしレッドパイン騎士団が連絡に使っている通信路がピンポイントで妨害され、ユスティナは各人に情報を伝達できませんでした。ソーナには周りが停電しているということしかわからず、商業連合ビルへと突入していきました。無冑盟の思う壺だったわけです。

 華麗な身のこなしで情報を盗み出すことに成功したソーナでしたが、彼女しかいない部屋に電話がかかってきたとき、自分が何者かの手のひらの上にいることを悟りました。
 電話の主はソーナが持っているチップをロイに渡すよう脅しました。しかし両方ではありません。無冑盟のリストだけで良いと言ったのです。情報の元になった商業連合のサーバはすでにロイが破壊してしまったので、チップの中にあるのが最後の情報とのこと。
 この電話の主が誰だったのかは明言されませんが、無冑盟のトップのクロガネだったのかなと思います。仮に商業連合のお偉いさんだった場合、サーバを破壊する理由がありませんし、零号地の情報の方が守りたかったはずです。片方だけ持って行っていいよという取引を持ちかけるのは変です。クロガネは零号地には興味がないので、ソーナから監査会に渡って商業連合が打撃を受けてくれる分には構わないというスタンスだったのではと思います。
 クロガネは商業連合の重役のうち、無冑盟の正体を知っている人たちを停電に乗じて皆殺しにしてしまいました。商業連合の支配を脱する作戦の1つです。このタイミングで殺すことで、レッドパイン騎士団に罪を被せることができます。サーバも破壊できたので、無冑盟の構成員を知っている人物がこの世から消え失せてしまいました。
 商業連合は大企業の重役たちが集まっている組織であり、企業対企業の利害対立が内部で起きることがあります。無冑盟を直接動かせる人が交渉の優位に立てますから、無冑盟を知る人物は自然と絞られていきます。それゆえに物理的に全員を殺して回るという荒業を使うことができたのですね。

 ソーナは電話の主との交渉を打ち切り、窓から飛び降りてロイから逃げます。クロガネなら飛び降りたソーナを空中で撃ち抜いてビルに磔にできたかもしれませんが、ソーナの動き出しが早すぎたのか、殺す必要はないと考えたのか…。
 ソーナは援護に来たグレイナティと一緒にロイから逃げようとしますが、2人がかりでもロイには勝てません。ソーナはロイの矢に貫かれてしまいますが、ドロステに助けられました。チップはグレイナティが確保し、ソーナはドロステに連れられて大騎士長ラッセルに面会することになりました。
 ラッセルは監査会のトップなのでソーナたちの企みを知っていました。養子のように育てたドロステを使ってレッドパイン騎士団を助け、ソーナがどういう人物なのか確かめたかったのかなと思います。

6. 銀槍の入城

 レッドパイン騎士団と無冑盟がドンパチしている間に、もう1つ大きな動きがありました。征戦騎士団であるシルバーランスペガサス騎士団、通称銀槍のペガサスたちが大騎士長に突然現れたのです。
 征戦騎士たちは普段、ウルサスやリターニアとの戦争に備えて国境付近の警備に就いています。大騎士領とは物理的に距離があるため、簡単には戻ってこれません。また、戦争兵器である彼らは平時に都市に入ってくることができないようにもなっているようです。代弁者マッキーは国民議会に第二法に抵触するのではと問い合わせていました。
 監査会は大停電を口実に使いました。非常事態においては監査会は征戦騎士を派遣する権限を持つからです。しかし停電が起きてから移動していては即座には戻ってこれません。銀槍のペガサスたちはあらかじめ偽装工作を行い、大騎士領付近に潜んでいました。初めからレッドパイン騎士団を使って銀槍のペガサスを呼び戻すつもりだったのですね。
 この工作にはドクターも絡んでいたっぽいです。

 ソーナはその後デミアンと無事取引を行いました。デミアンには少し浅はかなところがあるとラッセルは言っていましたが、彼には考えがあるとも言っていて、取引を行うこと自体はラッセルも了承していました。
 これにより監査会は当初の目的を達成しました。零号地の情報を使って商業連合の秘密を暴くとともに、無冑盟が邪魔をしてきたとしても銀槍のペガサスで対抗することができるようになりました。

7. セントーレアvsグラベル、モニークvsシャイニング

 銀槍のペガサスが大騎士領にやってきたことは商業連合にとっては不愉快なことです。特に、ロドスが監査会を補佐して暗躍していることを知った感染者医療組織の企業たちは焦りました。「功を焦った愚か者」と評されていた一部の企業の重役は、独断で無冑盟に命令を飛ばし、ロドスの始末と零号地の掃討をさせようとしました。
 ドクターは商業連合の様々な人間と付き合う中で、商業連合は利益という絆で繋がっているにすぎず、重役たちは4種の人間に大別できることが分かったと言っていました。味方になってくれそうな人もいれば、敵として襲ってくる人もいるだろうということはわかっていたのでしょう。
 セントーレアが無冑盟を率いてロドスの襲撃にきたとき、グラベルが必死に応戦していましたが、セントーレアにかかってきた電話で戦闘が中断されました。商業連合の中でもロドスの味方になってくれた側の人が襲撃を中止させました。マルキェヴィッチがロドスを商業連合の臨時加盟組織に加えたのだともドクターは言っていて、攻撃の正当性を欠いたのかなと思います。零号地の感染者たちは価値を生み出せるのだということをドクターが説いた結果、商業連合には内部分裂が起きたのですね。ドクターは監査会に協力するだけでなく、自分たちの身を守るための方策も探っていたようでした。
 それとは全く別のところで、モニークもドクターを狙っていたのですが、こちらはシャイニングがモニークの矢を3本叩き落として勝利となりました。シャイニングが実は相当スゴイ剣の使い手だということはプロファイルにも書かれているのですが、ラズライトをコケにしてしまうぐらいだとは…。



8. メジャー決勝戦を巡って

 メジャーの決勝戦が終わると同時に、監査会と無冑盟の最後の戦いが始まりました。
 マーガレットの優勝に水を差す形で、ビッグマウスモーブは彼女が非感染者であるという真実をバラしました。これはマルキェヴィッチが考えた作戦で、感染者騎士がチャンピオンになることでカジミエーシュの感染者たちが盛り上がることを防ぎ、事態をコントロールしたいという狙いがありました。
 この暴露作戦についてはドクターがあらかじめ予見していて、マーガレットは全く動揺した素振りは見せませんでした。自分の身体のことは自分が一番良く分かりますから、もともとマーガレットは真実に気づいていたようでした。祖父が自分をカジミエーシュから遠ざけるためのウソだったと。
 決勝戦でマーガレットが勝ったら無冑盟は彼女を殺すつもりで構えていました。監査会とロドスに近く、商業連合に従わないチャンピオンは厄介でしょうし。血騎士と一緒にチャンピオンウォールに向かったのも彼らにとっては最悪で、せっかく暴露したのに感染者騎士がお立ち台に乗ってしまいます。
 無冑盟が全力でマーガレットを殺そうとするのをロドスやレッドパイン騎士団のメンバーが阻みます。ただ、勝負の決め手となったのはやはり銀槍のペガサスの存在でした。マーガレットの命は守られ、騎士の栄誉も踏みにじられずに済みました。
 チャンピオンウォールでラッセルはドクターに感謝を述べます。いくつかの企業が零号地関連の申請をしてきたことで、監査会は零号地を調査する機会を得たのだとラッセルは言っていました。それはドクターの功績でしょうと。
 最終的に零号地の管理は商業連合から監査会に引き継がれ、征戦騎士が巡回するようになりました。これで無冑盟は簡単には手出しができなくなりました。

9. マルキェヴィッチの今後

 今回の一連の暗闘はロドスを味方につけた監査会に軍配が上がりました。商業連合は零号地や無冑盟の件で痛手を負いましたが、気にしていない人も中にはいました。
 それがローズ新聞の代表取締役であるケーンという人です。通称「記者」と呼ばれるこの人は、代弁者マッキーのお父さんでした。ケーンはマルキェヴィッチに電話越しに語りました。監査会には好きなだけメンツを与えておけばいいのだと。今の時代、カジミエーシュの真の敵はウルサスやリターニアの軍事力ではなく、先端企業を多く輩出しているクルビアの経済力なのだと言っていました。いかにもビジネスマンらしい視点です。
 ニュースコンテンツの中で、ローズ新聞がクルビアに支社を作ったことが関連記事として記載されていました。ここに繋がっていたのですね。

 ケーンはしがない下っ端だったマルキェヴィッチの優秀さに目をつけ、ミェシュコグループから引き抜いて代弁者にしました。マルキェヴィッチは代弁者の務めを立派に果たし、ケーンの直々の右腕になることになりました。耀騎士ニアールの回想秘録を見ると、マルキェヴィッチは代弁者をやめてローズ新聞の会長補佐としてメディアの世界に飛び込んでいました。
 そんなマルキェヴィッチが唯一気がかりだったのが、前任のチャルニーのことでした。オルマー・イングラが感染者騎士を競技中に殺害した件で、マルキェヴィッチは国民議会にイングラを告訴しました。担当者はイングラの再審を行う代わりに、国民議会に賄賂を贈ったチャルニーを消せという交換条件を要求してきました。チャルニーは罪人であり、追放されたのは彼が罪に問われると都合が悪い人がいたからでした。
 チャルニーは表向きにはマーガレットがスタジアムに突入してマリアを救った件の責任を問われて流刑になっていました。タイタスが流刑先を教えてくれたので、マルキェヴィッチはチャルニー本人と対面することができました。
 チャルニーはマルキェヴィッチが自分の死を要求されているだろうと知っていて、毒をあおって自死することを提案しました。飲んだかどうかは明示されませんでしたが、「乾杯!」とまで言っていたので飲んで亡くなった可能性の方が高そうだなと思っています。
 毒を飲むよりも恐ろしいことが待っているから自死したのか、心優しいマルキェヴィッチは自分を絶対に殺せないことをわかっていて彼を助けたのか、チャルニーの胸のうちは分かりませんでした。
 チャルニーを死に追い込んだものに対して、マルキェヴィッチは抗い続けて見せると言っていました。マリア・ニアールから始まったカジミエーシュの物語で、彼は大きな変貌を遂げた人物となりました。

10. 無冑盟とは何だったのか

 無冑盟は商業連合が騎士に抗うために作った暗殺組織なのだと思っていました。しかしこの組織の結成理由は全然別のところにありました。
 無冑盟を立ち上げたクロガネは伝説のサルカズ傭兵らしいです。民衆を虐げていた非道な貴族騎士を黒金製の矢で撃ち殺しました。これが最初の騎士殺し。史上初の無冑盟であり、そこから半世紀以上をかけていまの無冑盟を作り上げたと言われていました。
 ただ、この逸話は1人の人物しか出てきません。クロガネが3人いると言われているのには意味があるはずです。2人目と3人目のクロガネは我々がよく知っている人だったりして…?
 モニークはヴィクトリア出身のフェリーンです。ヴィクトリア軍に所属していたのですが、貴族の出ではないので将校になれず燻っていたところを商業連合に引き抜かれました。
 ロイはモニークよりも在籍期間が長く、十数年ラズライトに在り続けているらしいです。種族は明らかにされていないのですが、ボリバルの廃墟からやってきたと言われていて、ペッローなのかなと思ったりしました。
 セントーレアはマリア・ニアールや赤松林で言われていたように、前任のプラチナが裏切りで処刑されたときに急遽抜擢された人物です。前任のプラチナはクロガネの矢によってビルに磔にされてしまったのだという怖いエピソードが語られました。

 クロガネは大停電に乗じて商業連合との繋がりを完全に断ち切りました。クロガネの正体を知る人はもう商業連合の中にはいません。彼らはなんと逆に商業連合の一員になるために、オリジクラウドという日用品店を興して社長業をやることにしました。
 ロイも殺し屋は時代遅れになると言っていて、時代の変化を見越したうえでの選択だったようです。整形してビジネスマンとして生きていくのだと言っていました。
 セントーレアも受付嬢に誘われるのですが、そんな暮らしはまっぴらごめんでしょうし、「身代わりとして死んでおくべきだった」なんてロイに脅されていたので、無冑盟から抜けることを決意しました。
 せっかく商業連合との繋がりを消したのに、事情を深く知るセントーレアに逃げられたらたまったもんじゃありません。モニークは全力でセントーレアを殺そうとしました。ロイは別の仕事があるとか言っていたので、本当は殺したくなかったのかもしれません。
 セントーレアは前任のプラチナと同様に組織を裏切り廃ビルの中へと逃げ込みました。彼女にもクロガネの懲罰が降り注いでしまうのかとヒヤヒヤしたのですが、そうはなりませんでした。クロガネのもとへ来訪者があったのです。ムリナールです。
 ムリナールと対面したクロガネは、ニアール家とロドスへの攻撃をやめるように無冑盟に命令を出したと言っていました。ムリナールはクロガネを脅せるほど強いみたいです。彼の光のアーツは波となり敵を撃つのだと。
 モニークはロドスのもとへ逃げ込んだセントーレアを追い込んでいたのですが、グラベルとTouchの反撃で時間を稼がれ、クロガネからの命令を受け取ってセントーレアを逃がしました。ロドスとしてもカジミエーシュを離れたら監査会の庇護がなくなるため無冑盟とどう対処していこうか悩んでいたと思うのですが、ムリナールが助けてくれた形になりました。
 というわけでロドスもこれで禍根なくカジミエーシュを去ることができ、次なる目的地へと向かうことができました。救われない話が多いアークナイツの中では、比較的物事が前へと進み、感染者にも希望が持てる終わり方をしたお話なのではないかなと思います。



 ここで語り切れなかった、ドロステ、トゥーラ、ディカイオポリスの話や、トーランドとニアール家の話は後編に書きました。合わせてご覧ください。
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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 7話感想-それが僕の強さです!

 アニシャドFの7話の感想文です。

イツキ vs タツ

 開始から決着までまずはつるっと見ていきます。シャドバらしい良いバトルでした。

1ターン目

先攻1T:イツキ
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ガーベラベアー
1コスト1/1→3/3
ファンファーレ:フラワーブリーズを1枚手札に加える。このバトル中に3枚以上のフラワーブリーズをプレイしているのなら、自分の進化ポイントを1にする

フラワーブリーズ
1コストスペル
自分の場のカード1枚を手札に戻し、自分のリーダーを1回復する

 1枚で無限ループが可能なすごいカードです。序盤に条件を満たしておけば、進化権を使い切ったあとに1コストで進化権を得ることができます。エルフクラスは自分の手札に戻す前提でデザインされているカードが多いので、フラワーブリーズを加えるだけでもとても強いです。

後攻1T:タツ
 クイックブレーダーをプレイします。疾走持ちなのでガーベラベアーかリーダーに攻撃できます。フラワーブリーズで回収が可能なので、ガーベラベアーを破壊しておきたかったですが、効果を知らなかったのかリーダーに攻撃しました。

2ターン目

先攻2T:イツキ
 ガーベラベアーで相手のリーダーを攻撃した後、フラワーブリーズでガーベラベアーを手札に戻し、もう1度出します。フラワーブリーズで体力が1回復します。

後攻2T:タツ
 フラワーブリーズを撃たれる限りクイックブレーダーの攻撃は無意味になることに気づいたので相討ちします。
 不屈の兵士をプレイします。指揮官カードが出るとバフがかかるよという解説が入ります。

3ターン目

先攻3T:イツキ
 ベビーエルフ・メイをプレイします。ファンファーレでランダムに1ダメージ。相手の場は1体なので飛び先は確定です。フラワーブリーズでメイを戻してもう1度プレイし2ダメージ目を与えて不屈の兵士を破壊します。リリース初期のエルフを支えた懐かしのムーブです。

後攻3T:タツ
 ノーヴィストルーパーをプレイします。疾走を持っているのでリーダーを攻撃します。メイを上踏みするのもアリでしたがとにかく体力を詰めてプレッシャーを与えたい様子でした。


4ターン目

先攻4T:イツキ
 メイで相手のリーダーを攻撃してからエンシェントエルフをプレイします。1枚手札に戻すので+1/+1されて3/4です。手札に戻ったメイをもう一度出してノーヴィストルーパーに1ダメージです。

後攻4T:タツ
 アニメオリジナルカードをプレイします。このカードはゴールドレア。

アドバンスロード
4コスト3/4→5/6
指揮官
このフォロワーが場にいる限り、自分の兵士フォロワーすべては疾走を持つ
進化時:ナイト2体を場に出す

 放置すると兵士が疾走してくるので除去したいカードです。
 進化すると1/1疾走が2枚出てくるようにデザインされています。リリース初期であれば進化によるスタッツ上昇は+1/+1に抑えられていたんじゃないかなと思いますが、このカードは+2/+2されました。
 アドバンスロードでエンシェントエルフを上踏みし、ナイトでメイと相討ち、そして場残りしていたノーヴィストルーパーともう1体のナイトでリーダーを攻撃しました。


5ターン目

先攻5T:イツキ
 イツキもアニメオリジナルカードで反撃します。

ローズディア
5コスト3/6
突進
ファンファーレ:薔薇の一撃を手札に加える
自分のターン中、相手のフォロワーへ攻撃して破壊し、このフォロワーが破壊されなかったなら、自分のPPを2回復して、ランダムなコスト1のカードを2枚手札に加える

 薔薇の一撃は初期からあるトークンカードです。

 5/3/6で上踏みするとPPが2回復するので、薔薇の一撃かもしくはデッキから引いてきたカードが撃てますよというカードデザインです。1枚で手札が3枚も増えるので良いリソース供給カードです。
 デッキから引いてきた1コストカードは2枚目のガーベラベアーと自然の導きでした。ガーベラベアーをプレイし、進化してノーヴィストルーパーを上踏みし、フラワーブリーズで回収しました。これでプレイしたフラワーブリーズは3枚目です。ガーベラベアーを次にプレイするときに進化ポイントが1になります。

後攻5T:タツ
 このターンもアニメオリジナルカードをプレイします。今度はレジェンド。

マキシマムジェネラル
5コスト2/4→4/6
ファンファーレ:自分のデッキからコスト3, 2, 1のロイヤルフォロワーをランダムに1枚ずつ場に出し、それらは守護を持つ
進化時:自分の場の他のロイヤルフォロワーすべてを+1/+1する

 こういうコスト指定のあるサーチカードは悪いことに使いやすいので、強いカードだなあと思いました。デッキから出てくるカードはロイヤルフォロワー限定なので、ニュートラルのカードも駆使すればサーチ先を絞ることができます。
 デッキから呼んだのは2枚目のノーヴィストルーパー、2枚目の不屈の兵士、2枚目のクイックブレーダーでした。コスト2はともかく、コスト1と3はこのカードだけしか入っていないデッキなのかもしれないですね。疾走なので呼んだ瞬間攻撃ができます。
 進化時効果もシンプルながら強力。ファンファーレで3枚呼ぶので合計+3/+3されることが確定しているのが優秀です。このカードも進化でスタッツが+2/+2されるのが不思議なぐらい。
 ローズディアを進化後マキシマムジェネラルで上踏みし、場残りしていたナイト、デッキから呼んだノーヴィストルーパーとクイックブレーダーでリーダーを攻撃しました。これでイツキの体力は9。盤面を作りながら疾走で体力を押し込むというロイヤルの強いところが出ている展開です。


6ターン目

先攻6T:イツキ
 見せ場のシーンです。イツキの勝ちはこのターンでほぼ確定でした。デジフレが出てきます。

ブロッサムウルフ・スレイド
2コスト1/2→1/2
ファンファーレ:自分のターン終了時まで、手札のコスト5以上のフォロワーのコストを2下げ、「次の相手のターン終了時まで潜伏を持つ」を付与する
進化時:このバトル中、自分のターン中に場のカードを手札に戻す効果が3回以上働いていたなら、すべての相手のフォロワーの攻撃力/体力を1/1にする

 ファンファーレで手札のカードを2コスト下げるので、実質タダで出せるカードです。6コストのコスモスファングのコストを4にします。
 進化をして進化時能力を発動させます。ガーベラベアーが3回、ベビーエルフ・メイが2回手札に戻っているので条件は余裕でクリアしています。相手全体を1/1にする強烈な効果です。
 「舞い踊るは純白の牙」ということでイツキの切り札カードが登場します。

コスモスファング
6コスト5/6→7/8
自分のターン終了時、ランダムな自分の他のフォロワー1体を手札に戻し、戻したフォロワーのコスト分だけ自分のリーダーを回復
攻撃時:このターン中に持ち主の手札に戻ったカードの数だけ自身を+1/+0する
進化時:体力3以下の場のフォロワーすべてを手札に戻す

 単体だとなかなか使いにくいカードですが、スレイドとの相性は抜群でした。スレイドのファンファーレ効果で相手のターン終了時まで潜伏を持っています。
 さて、スレイドはこのターンに進化をしたので、相手のフォロワーを攻撃できます。1/1が5体並んでいるので1体上踏みすれば多少ですが被害が軽減されます。しかしここでイツキはスレイドで攻撃せずにターンを終了しました。コスモスファングの効果でスレイドは手札に戻ります。これがこの試合の1番のキーポイントです。
 タツミの体力は18点。薔薇の一撃が2コスト3点なので、進化後コスモスファングが15点出せば勝てます。ガーベラベアーで進化権を回復しつつ攻撃時能力で+8/+0すればよく、相手のフォロワー5枚と自分のフォロワー3枚が手札に戻れば勝ちです。この時点で99%ぐらいイツキの勝ちなんですよね。
 なのでイツキ側は進化後スレイドで相手のフォロワーを破壊する必要がありません。シャドバは場に5枚までしかカードを出せず、5枚埋まっているとスペルしかプレイできなくなります。いわゆる盤面ロックです。相手のターン中に直接干渉できないシャドバのルールの中で、ほぼ唯一能動的に相手の行動を縛ることができるので、「盤面ロックはシャドバの華」なんてよく言われます。
 例えばタツミが次のターンにヒーリングエンジェルをプレイして体力を回復したり、体力が4以上の守護を置いてくるとコスモスファングがリーダーを攻撃できずにプランが崩壊します。相手の手札にどんなカードがあるのかはわからない状況でも、カードがプレイできない状態に追い込んで様々な負け筋を潰したり、相手のゲーム進行を強制的に1ターン止められるのが盤面ロックの強みです。
 ちなみにタツミの手札に武装強化が2枚あったらイツキの負けでした。こういう可能性をどこまでケアするかはデッキ構築の知識が問われる部分です。

後攻6T:タツ
 スペルが手札にないので、やれることは進化のみです。守護を持っている不屈の兵士を進化させたのは、せめても自分を守る盾を大きくしておくための選択でした。総攻撃をしてイツキの体力は4です。


7ターン目

先攻7T:イツキ
 決着のターンです。
 ガーベラベアーをプレイします。この時点で条件を満たしているので進化ポイントが1になりますが、演出は一旦お預け。
 薔薇の一撃で相手の体力を3削ります。タツミの体力は15。
 フラワーブリーズでガーベラベアーを手札に戻します。
 ガーベラベアーとスレイドをプレイします。ここでガーベラベアーの第二の効果の説明が入り、進化ポイントが回復します。
 コスモスファングを進化します。進化時能力でタツミの場の5体のフォロワーと、イツキの場のガーベラベアーとスレイドが手札に戻ります。
 コスモスファングでリーダーを攻撃します。進化時能力で戻したフォロワーが7体、フラワーブリーズでガーベラベアーを1回手札に戻していたので+8/+0されて15点パンチでイツキの勝利でした。


バトルのテンポと盤面ロック

 今回はバトル回。1ターン目から丁寧にバトルの帰趨が描かれました。
 1つのバトルの開始から決着までを描くとなると情報量が増えます。お互いけっこう早口でしゃべりますし、プレイの細かいところは省略している部分もありました。でも大体わかるようになっているのがすごいところ。バトルの見せ方が上手でした。
 盤面ロックをキメるシーンも、タメは長くないんですよね。

タツミ:「豪華な衣装に身を包み、姿を隠すとはやはり脆弱。しかもお前にはプレイポイントもなければ進化ポイントもない。さあ、どうあがく!蜜田川イツキ!」
イツキ:「(一瞬のタメ)ターンエンドです」

 このプレイの上手さをあとで説明するからこそ、ここではあえてさらっと流しつつ、イツキの表情が何かを物語っているように見せておく。こういうメリハリのついた演出がとても上手で惚れ惚れします。
 一方で、決着のシーンは気合いの入った演出を入れます。すごかった。そこまではエルフのテーマソングが流れているのですが、イツキが「コスモスファングの進化能力が発動!」と言ってコスモスファングが剣を掲げた瞬間にオープニング「心眼」が入ってきます。コスモスファングの進化時能力はここまで明かされていませんから、一体何が起きるのか固唾をのんで見守ることになります。全フォロワーが手札に戻り、その枚数分攻撃力が上がるとイツキが宣言した瞬間に、盤面ロックの真の狙いに気づくわけですね。ああ、前のターンから狙っていたのか!と。そしてこれで勝っちゃうじゃん!と。
 盤面ロックについてはレンを使ってちゃんと時間をかけて説明し、なるべく多くの人へイツキのすごさを伝えようと尺を使っているのも素敵です。「盤面ロック」という言葉はユーザの造語で、公式の用語ではありません。ですがユーザ間で長らくこの言葉が使われていることを制作陣は分かっていて、タツミに「オレの盤面をロックしたんだな…!」とちゃんと言わせています。ホントに信頼できる。
 ちなみに現在アプリ版「天象の楽土(アディショナル前)」の環境は空前絶後の盤面ロック環境です。楽しいですよ。このカードがすごい。盤面ロック誘発マシーン。

 

自分らしくあること

 イツキのバックボーンが少し語られました。
 可愛い物や植物が好きで周りに馴染めなかったときの寂しさと、そんな自分を受け入れてくれたシャドウバースとの出会いが短い尺の中で上手に語られていました。レンと同様、イツキも誰かの悪意に傷ついたわけではないのがいいなと思いました。むしろ、シャドバのおかげで友達ができたという素敵なエピソードでした。
 色んなカードを使ってバトルができるよ、というシャドバの良いところにフォーカスをしたお話で、我々が当たり前に思っていることが再度言語化されていました。男性が可愛いカードを使ってもいいじゃん!と。

イツキ:「僕には雷同先輩みたいに力強さはないですけど、これが僕の、僕なりの強さです!」

 自分なりの「強さ」を定義していいのだというイツキの姿勢が、レンに響きます。レンはフィフスソードを出るのか残るのか迷っていたと思うのですが、彼女の心情の変化に納得感が出ますよね。イツキは本当にカッコよかったです。
 盤面ロックという勝ち方にもこのテーマが反映されているのがキレイです。盤面の比べ合いでは勝てないエルフが、ロイヤルの展開力を逆手にとって逆転の一手を放ったのです。

タツミ:「蜜田川。すまなかった!脆弱などといった非礼、ここに詫びさせてくれ。お前も、お前のフォロワーも強い!」
イツキ:「雷同先輩のフォロワーもすっごく強かったです!」

 タツミのことも下げたりはしないのですね。勇ましいロイヤル軍団での猛攻は、タツミらしいバトルのやり方。そこに優劣はありません。相手を認め、ちゃんと謝る素直な人間性を描き、今後へ禍根を残しません。7話はすべてが美しくまとまった回だったなと思いました。



更新はTwitterでお知らせします。
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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 6話感想-勇気は必ず力をくれる!

 アニシャドFの6話の感想文です。

モブ生徒同士のバトル

 学園で行われている野良バトルをライトが見物しているシーンがありました。このバトルがけっこう面白い展開だったのでそこから見ていきます。メガネの方は寮のお風呂でライトに話しかけてきた子で、何かの伏線になるかもしれないですし。
 先攻はバーンドラゴンを使う学ラン君、後攻はネフティスネクロを使うメガネ君です。

7ターン目

先攻7T:学ラン君
 プリズンドラゴンとアイボリードラゴンが場にいます。

後攻7T:メガネ君
 アルティメットキャロットを進化してプリズンドラゴンと相討ちを取るところからアニメに映りました。破壊されたアルティメットキャロットは手札に戻ってきます。
 場残りしていたダークコンジュラーでアイボリードラゴンを上踏みします。これでドラゴン側の盤面にフォロワーはいなくなりました。
 ヒーリングエンジェルとアルティメットキャロットをプレイします。メガネ君は体力をかなり押し込まれていて、ヒーリングエンジェルで2回復して9まで戻しました。

8ターン目

先攻8T:学ラン君
 ここのプレイがシャドバらしくてすごい良かったです。
 手札は3枚で、次のターンにプレイすることになる御言葉の天使とダークドラグーン・フォルテのどちらかまたは両方が手札にあります。この状態で4コストのデモンストライクを相手リーダーに撃つだけでターンを終えたのです。ネクロ側の体力は6。ドラゴン側はあえて盤面にフォロワーを出しませんでした。

後攻8T:メガネ君
 なぜかというとメガネ君のデッキがネフティスネクロだからです。手札にネフティスと闇の従者が残っていたので、2378ネフティスネクロだと分かります。


 ネフティスのファンファーレでデッキから出てくるフォロワーを絞り、7コストの冥守の戦士・カムラが確定で出るようになっているはずです。このカードのラストワードで相手のフォロワーを破壊しつつ体力を回復できるので、ネクロ側の逆転の望みはここにかかっていたわけです。

 しかしドラゴン側がフォロワーを出さなかったので回復ができず、さらにダークコンジュラー、ヒーリングエンジェル、アルティメットキャロットで3面埋まった状態でターンが返ってきてしまったので、ネフティスを強く使えません。盤面が空いていればネフティスをプレイすることでモルディカイをデッキから呼ぶことができたのですが、それができないためモルディカイを普通に手札からプレイすることになりました。

9ターン目

先攻9T:学ラン君
 目論見通り相手はネフティスをプレイできなかったので、御言葉の天使とダークドラグーン・フォルテでちょうど体力を削り切って勝利でした。ギリギリの勝ち筋を通していくプレイが上手かったですね。


チャンピオンズバトルとのリンク

 冒頭でレンが子供の風船をキャッチするシーンは猫目町駅、商店街は猫目商店街です。チャンピオンズバトルのマップが再現されていました。細かいところの書き込みも丁寧で見入ってしまいます。商店街で福引をするというのもチャンピオンズバトルに出てきた話でした。



https://shadowverse-championsbattle.jp/story/map/より

 猫目町というのは原作のシャドウバースには一切登場しません。無印アニシャドとチャンピオンズバトルで作り上げられた世界観であり、それがアニシャドFでさらに広がっていっているのが楽しいです。シャドウバースのもう1つのユニバースが猫目町を中心に構築されているのですね。
 チャンピオンズバトルのBGMを使っているシーンもありました。作った資産を無駄にしないのが素晴らしいですね。

風祭レンの物語

 ジェントルマンが仲間になるのは予想外でしたが、レンが次の仲間になりそうだというのは分かります。フィフスソードの部長の雷同タツミも巻き込んで、次なる展開が繰り広げられそうです。
 レンが悩む「男性らしさ・女性らしさ」という話はよくあるテーマではありますが、学園モノにありがちな陰湿な感じがないのが良いなと思いました。彼女は周りの人の悪意に悩んでいるわけではありません。見ていてネガティブな気持ちにはならないのですね。
 「勇気は必ず力をくれる」という決め台詞を軸に、彼女がバトルフェンサーという特撮ヒーローが好きなこと、彼女が体を動かすのが好きになったきっかけ、そしてセブンスフレイムとの交流が描かれていくのがとっても美しい流れでした。
 レンの物語に対して、主人公サイドからはイツキが手を差し伸べる構図も素直で良いなと思いました。ライトに振り回される形で始まったセブンスフレイムの復活劇は、イツキとスバルにまだスポットライトが当たっていません。「男性らしさ・女性らしさ」というテーマで一緒に話を進めてしまおうというしたたかな姿勢が見えます。
 ちなみにバトルフェンサーのCVを担当されている島崎信長さんはアルティメットキャロットも演じられています(なぜかキャスト表でそちらの記載はありませんでしたが)。回想シーンで怪獣役としてアルティメットキャロットがしゃべったセリフはすべて原作にあるセリフのオマージュで、一緒に収録されたのではないかなと思いました。細かいところで原作ファンへのファンサービスも欠かさない良いアニメだなあと思いました。


【アズレン】ストーリー考察:吟ずる瑠璃の楽章 編【アズールレーン】

 2022年4月28日開始のイベント「吟ずる瑠璃の楽章」のストーリーを整理していきます。

1. 時系列と陣営図整理

 「極夜照らす幻光」で鉄血がスカパ・フローを襲撃してから長らく音沙汰がありませんでしたが、その伏線がようやく回収されることになりました。関連するイベントを3つ振り返っていきます。

1-1. 極夜照らす幻光

 北方連合は「王冠」と呼ばれるセイレーンの特異点の対処に苦労していて、ロイヤルに援助を求めました。史実のバレンツ海海戦を再現する形で、ロイヤルからの輸送船を鉄血が襲撃したのが「極夜照らす幻光」の大筋でした。
 史実とは異なり、輸送船の襲撃はあくまで陽動で、鉄血の本当の狙いはロイヤルのスカパ・フローの急襲でした。このときクイーン・エリザベスもスカパ・フローに向かっていて、襲撃に巻き込まれたと言われていました。
 これ以降、スカパ・フローは鉄血が抑えたままだと言われ続けてきましたが、詳細は分からず仕舞いでした。クイーン・エリザベスも表舞台に出てこなくなりました。

1-2. 鳴動せし星霜の淵

 輸送船が襲われたことに対する報復として、北方連合は鉄血と戦うことを宣言しました。「遡望せし虹彩の塔」のラストでソユーズは指揮官にこの報復作戦への参加を要請し、「鳴動せし星霜の淵」ではその狙いが語られました。
 ソユーズは本気で鉄血に報復がしたかったわけではありません。本当の狙いは隕石の調査にいったっきり帰ってこないクロンシュタットたちの救出でした。救出作戦にはKAN-SENを出撃させなければならないので、その理由付けとして報復作戦を行うぞと宣言し、北方連合の上層部の目を欺いたのです。
 鉄血側からは「輸送船を襲ってすまんかった」ということで砕氷船ミコヤンの情報が秘密裏に提供されました。この情報のおかげでクロンシュタットたちが沈んでいる場所を特定することができたのですね。


1-3. 吟ずる瑠璃の楽章(表向き)

 北方連合の報復作戦はブラフに終わるのかなと思っていたのですが、「吟ずる瑠璃の楽章」では実際に艦隊が動いていました。ソユーズから送られた参加要請に従って、指揮官もこの作戦を支援するためにユニオン艦隊を指揮しました。「何かしらのカバーストーリーだろう」と言っていたように、指揮官はソユーズが本気で戦争をしたいわけではなさそうというところまでは見抜いていましたが、詳細な狙いは知らなかったようです。
 報復を宣言された鉄血側も反撃する構えを見せていました。しかしオイゲンが「戦わずにいたら上層部から睨まれるリスクがある」と言っていたことからもわかるように、鉄血のKAN-SENも上層部に怪しまれない程度に手を抜いていることは明白でした。
 北方連合側も鉄血側も、KAN-SENたちはこの報復作戦に真面目に参加するフリをして、それぞれの陣営の上層部の目を欺こうとしていました。実際の狙いはなんだったのでしょうか。


1-4. 吟ずる瑠璃の楽章(真の狙い)

 この種明かしが「吟ずる瑠璃の楽章」のクライマックスでした。2年以上かけて張られた伏線が美しく回収されることになりました。
 すべてを仕組んでいたのはフリードリヒ・デア・グローセでした。「黒鉄の楽章、誓いの海」で黒いキューブを使って倒れたビスマルクに代わって、鉄血を導くために暗躍し続けてきました。
 「極夜照らす幻光」の襲撃で鉄血がスカパ・フローを支配することは、クイーン・エリザベスと共謀していたことでした。クイーン・エリザベスは鉄血がアズールレーンを抜ける原因になった大昔の「スカパ・フロー事件」の真相を怪しんでいて、真実を知りたがっていました。
 フリードリヒはスカパ・フローを使わせてもらう見返りとしてクイーン・エリザベスに情報を提供しました。スカパ・フローに沈んでいるリュッツオウたちをKAN-SENとして呼び出し、彼女たちに事件の真相を語らせたのです。
 一方、ソユーズの報復作戦もフリードリヒと示し合わせていたことです。「鳴動せし星霜の淵」で見たように、報復作戦をブラフとしてクロンシュタットたちを救出するのがソユーズの狙いでした。鉄血が輸送船を襲えば報復が正当化されます。一見すると被害を与えているようで、実はフリードリヒからソユーズに対する利益の提供になっていたわけです。
 この報復作戦はフリードリヒ側にも利益があります。win-winの作戦でした。彼女がこれを望んだ理由は戦力を集められるからでした。スカパ・フロー特異点を開くと、それを感知したセイレーンが襲ってくると予測されます。それを集結した艦隊で叩くのがこの作戦の最終目標でした。
 セイレーンとの決戦のため、ソユーズにはできるだけ多くの戦力を集めてもらう必要があると同時に、指揮官に声をかけることも重要な意味を持ちました。セイレーンとの決戦にあたっては、様々な陣営が入り乱れて共闘することになるため、KAN-SENの間を取り持つことができる指揮官の存在が非常に大きいからです。
 また、リュッツオウたちを呼び出したのは、「クイーン・エリザベスに真実を伝えるため」「鉄血の戦力を拡充させるため」の他に、3つ目の狙いがありました。スカパ・フローと深い結びつきがある彼女たちのおかげで、コンパイラーの制御塔を見つけ出すことができたのですね。
 コンパイラーとの決戦にあたっては、「遡望せし虹彩の塔」で救出したシャルンホルストMETAと、特異点に招待した赤城たちも戦列に参加しました。こうしてフリードリヒの作戦のすべてが結集され、コンパイラーの素体を撃破することができました。セイレーンの上位個体を初めて撃破した記念すべき快挙であり、ビスマルクがようやく復活して、鉄血がセイレーンとの繋がりを断ち切るという歴史的瞬間でもありました。


2. リュッツオウたちの来歴

 イベントに合わせて実装されたリュッツオウ、エムデン、ザイドリッツ、エルビング、チューリンゲン、ヨルクの6人はWW1の頃活躍した古いフネたちです。なぜ彼女たちが呼び出されたのかを考えるとき、史実を見ていくとより味わい深くなります。

2-1. 史実の整理

 関連する史実は2つあります。

 1つ目はユトランド沖海戦です。イギリスとドイツがぶつかった海戦で、約250隻のフネが入り乱れて戦った、歴史上最も大きな海戦の1つと言われています。
 ドイツ艦隊側にはザイドリッツ、リュッツオウ、エルビング、チューリンゲンが含まれていました。また、フリードリヒ・デア・グローセという戦艦も参戦しています。アズレンにKAN-SENとして実装されているのはビスマルク級を発展させた計画だけの存在のフリードリヒなので、ユトランド沖海戦に参加したのは古い方と言えます。ザイドリッツが「共に戦った?いや人違いか」と言っていたのはそのためです。
 一方、イギリス艦隊にはウォースパイトとヴァリアントが含まれていました。彼女たちはこの戦いのあとも改装を重ねて、WW2期も戦い抜くことになります。歴戦の猛者ですね。
 この海戦で最初の命中弾を与えたのがエルビングでした。KAN-SENの彼女は自分に自信が持てない性格ですが、史実では大きな功績を持っています。しかしエルビングは敵の魚雷を避けようとして味方の戦艦に激突してしまい、救出不能と判断され処分されてしまいました。この最期が不幸キャラの元ネタになっているようです。
 リュッツオウは敵の旗艦に砲撃を命中させるなどしてかなり活躍しましたが、イギリス艦隊の砲撃を受けて大破自沈しました。ザイドリッツも多数の命中弾を受けてボロボロになりましたが、なんとかドイツまで帰り着きました。不屈の精神がスキルなどに現れているようです。
 この戦いはどっちが勝ったとも言えない終わり方をしました。引き分けとする歴史書が多いみたいです。


 2つ目の関連史実がスカパ・フロー自沈です。
 WW1の敗戦国となったドイツは、講和条約に基づき艦隊を接収されてしましました。その処遇を巡っては戦勝国の中でも意見が割れたため、一旦スカパ・フローに持ってきて抑留することになりました。処分するか戦勝国側で分け合うか揉めたのですね。
 敵国を利するぐらいなら自沈するべし!ということで、ドイツの提督ロイターはイギリス軍が訓練に出払った一瞬の隙をついて、74隻のフネを一斉に自沈させようとしました。自沈できなかったり、座礁するにとどまったり、イギリス船に自沈を邪魔されたフネもありましたが、多くのフネが海の底へと沈んでいきました。
 ザイドリッツと古い方のフリードリヒはここで沈みました。黒い方のエムデンは座礁どまりとなったので引き上げられました。

2-2. 上層部のウソ

 今度はアズレンの世界で起きたことに目を向けます。
 アズレン世界ではWW1の頃にセイレーンが襲来したので、リュッツオウたちが沈んだ理由も史実とは異なっています。

 上層部の記録によるとリュッツオウたちはセイレーンに奇襲を受けて沈んだことになっていました。この頃はまだメンタルキューブが発見されていなかったので、リュッツオウたちはただのフネとしての存在でした。
 クイーン・エリザベスはこの上層部の記録を怪しんでいました。なぜセイレーンに突然奇襲を受けたのか、なぜロイヤルの軍港であるスカパ・フローに逃げ込んだのか、なぜ鉄血側だけが全滅してロイヤルに被害がなかったのか…などなど不審な点が多かったからです。
 ロイヤル艦隊はアズールレーンの上層部の指示でリュッツオウたちを助けなかったのだと記録には書かれているらしいです。これにより鉄血と他陣営の関係が険悪になり、最終的にはアズールレーンを脱退する一因になったとのこと。上層部としては陣営間がギスギスしていたほうが都合が良く、歴史認識をそういう風に歪めようとしているようでした。
 セイレーンと各陣営の上層部は繋がっているのだと今までも言われてきました。セイレーンはWW2の再現を通して覚醒する個体を探しています。WW2と似た構図で、つまりアズールレーンとレッドアクシズに分かれて仲たがいをしている必要があり、上層部もそういう関係を維持することに手を貸しているのではないかと考えられます。


 メンタルキューブの力でKAN-SENとして呼び出されたリュッツオウたちには、フネとしての記憶がかすかに残っていました。彼女たちが語ったのが真実です。
 リュッツオウたちはセイレーンを捕獲しようとしていました。鉄血がセイレーン技術に興味を持っていたのは昔からみたいです。しかし別のセイレーンに反撃を受けます。Ⅱ型と呼ばれるこのセイレーンは装甲が青く光り、Ⅰ型よりも防御力が高いです。KAN-SENではないただのフネでは相手になりません。
 リュッツオウたちはロイヤル艦隊に助けを求めました。最初は取り合ってもらえませんでしたが、セイレーンがロイヤル側も襲い始めたので、彼女たちは共闘しました。しかし勝てるはずもなく、防御の固いスカパ・フローに逃げ込むことになりました。
 戦闘がしばらく続いたようですが、最期は謎の光がスカパ・フローに降り注ぎ、鉄血艦隊もロイヤル艦隊も壊滅し、スカパ・フローの施設も大きな被害を被りました。ロイヤルの上層部はこの事実をずっと隠蔽していたことになります。
 ロイヤル側にはフネだったころのウォースパイトとヴァリアントが出てきました。ユトランド沖海戦の史実にちなんでこの2人が選ばれたのだと思います。後々KAN-SENとして蘇ったと考えられ、今とは雰囲気が違うと瑞鶴が言っていました。
 クイーン・エリザベスは上層部の記録と真実の食い違いを把握し、上層部に対する疑念を深めました。今後の彼女の行動に繋がってくると思われます。彼女は1人でスカパ・フロー特異点に残りました。どういう行動を起こすのかこれからも注目です。上層部との戦いを始めるのでしょうか。


3. 決戦コンパイラ

 指揮官たちは初めてセイレーンの上位個体を撃破するに至りました。

3-1. セイレーンの指揮系統

 フリードリヒがセイレーンの役割について詳しく語ってくれたのでそれを整理します。
 いままでのイベントで何度も登場してきたセイレーンの上位個体たちは、下層端末と呼ばれる実験担当たちです。イベントのボスとして何度も戦ってきましたが、彼女たちは戦闘要員ではありません。KAN-SENたちを使って実験を行い、覚醒する個体を探しています。
 セイレーンの中で戦闘を担当しているのはアビータと呼ばれる中層端末たちです。アビータのメインの標的はMETA化したKAN-SENたちです。覚醒に失敗して生まれたMETAたちはセイレーンの支配を逃れ、世界線を飛び越えて活動をしています。セイレーンにとっては邪魔者なので、アビータたちが追いかけまわしています。
 すべてを統括しているのはオブザーバー・零と呼ばれる個体で、審判者オースタ博士に作られたということは分かっていますが、それ以外のことはよく分かっていません。
 セイレーン作戦で指揮官が攻略したNA海域の施設は、下層端末たちがMETAを監視するためのウォッチタワーにすぎないと言われていました。我々が毎月あれだけの苦労を払っているのは一体…。

3-2. 見せられた「記録」

 今回撃破したコンパイラーは実験設備の構築を担当しています。彼女は実験施設を司る存在で、KAN-SENと戦うときは「記録」を見せて動揺を誘うという精神攻撃をしてきます。

 ザイドリッツが見せられたのは史実のスカパ・フロー自沈の「記録」です。エムデンに乗っていたロイター提督から「命令書の第11段落を執行せよ」と命令が飛んだ史実をオマージュした演出となっています。

 瑞鶴は史実のレイテ沖海戦の「記録」を見せられました。千歳と千代田とともに囮をやらされて撃沈されてしまいました。虎の子の大事な空母だったのに…。

 サラトガにどの「記録」を見せるかはコンパイラーも少し悩みました。戦勝国側にはトラウマとなる史実があまりないのですね。再現ではなく疑似生成したものを見せることにしました。
 サラトガがペンサコーラ、インディペンデンス、ネバダ、他多数のフネとともに原爆実験の標的艦になったクロスロード作戦の「記録」が選ばれました。「本当は別のこともやりたかったなあ」と笑顔で言うサラトガちゃんに胸が締め付けられます。
 この演出は史実の使い方が上手だなあと思いました。物語として再現することはできなくても、こういうふうにKAN-SENたちのルーツをゲームに絡めることができるのだなと感心しました。

3-3. 制御塔の破壊

 フリードリヒはリュッツオウたちの繋がりを辿り、特異点の扉からコンパイラーの素体を見つけ出しました。
 「素体」というのはKAN-SENを作り出すもとになったフネそのもののことを指す言葉です。セイレーンにもこの言葉が使われたのは初めてだと思います。主機と呼ばれることもありました。セイレーンは最初のKAN-SENであるコードGを参考に作られているので、素体があるのも納得できます。
 コンパイラーの素体はスカパ・フローを壊滅させた光を放つ制御塔にありました。制御塔を破壊することで、素体の撃破という扱いになったようでした。
 コンパイラーとの戦闘中、制御塔の明滅で指揮官の意識が飛びかけるのですが、黒いエムデンが思念体として指揮官に呼びかけを行い、なんとか戦闘を続けることができました。エムデンが2人で1つになっていることが思わぬ形で活躍しました。
 史実のスカパ・フロー自沈では黒エムデンから自沈命令が出ました。コンパイラーの撃破作戦にあたって、指揮官からの決着の命令が黒エムデンによって補佐されたのは、史実を少しオマージュしたのではないかなと思います。リベンジを果たしたとでも言いますでしょうか。

 最後に出てきた数字の羅列は、アスキーコードで変換することができます。

The tower was created.
The tower was destroyed.
The tower exists forever.

 この「tower」は制御塔のことを指しているものと思われます。制御塔は破壊されましたが、永遠に存在し続けるのだと言っています。果たしてこのメッセージに意味があるのかは怪しいですが、これで終わりじゃないぞと言っているように見えます。

 アスキーコードで変換をかける暗号は「幻像の塔 発見編」にも出てきました。このときは16進数であることを示す「0x」がついていたので見た目は異なりますが、変換の理屈は全く同じです。
 towerという語が共通しているのが気になるところなのですが、こちらのtowerはタロットカードの16番目を指しているようなので、アビータのことを言っているような気がします。つまり関係ないんじゃないかなと。



3-4. 記録にない映像

 制御塔が破壊されたことでコンパイラーは大きなダメージを追いました。彼女の自我が消えかかっているとき、別の空間にいるヘレナMETAが制御塔を経由して意識へとハッキングをしかけ、彼女が考えていることを読み取ろうとしました。
 コンパイラーは自分が把握していない映像が再生されるのを見ました。オースタ博士が自分のボディを作り、アンジュ博士がそれを可愛いと言ってくれたときの映像でした。一人称視点でもう1人の人物がいるような会話がなされていたので、another指揮官も会話に加わっているようでした。
 another指揮官が「オースタは白髪の子がどうも好きらしい」と茶化すとアンジュ博士もそれに同意していました。オースタ博士はプロトタイプであるレイ(オブザーバー・零)を参考にして作ったから似ているのだと言い返していました。「進行初期のプロジェクト」とも言われていように、コンパイラーは最初に作られた下層端末だったということでしょうか。
 このシーンはいままで無機質な機械の敵役として描かれてきたセイレーンに思わず同情をしてしまうような情緒的な演出がありました。機械なのに自我が消えることを嫌がるコンパイラーの姿は、助けてあげたいなと思わされるものだったのです。長らく敵として出演してきたセイレーンに情が移ってしまった方もいるのではないでしょうか。
 コードGを中心とする「余燼」とは別に活動をしているのが、ヘレナMETAやヨークタウンMETAです。彼女たちがコンパイラーを救ってくれるでしょうか。


4. 今後へ

4-1. フリードリヒの旅路

 たくさんの陣営を裏で繋ぎ合わせて壮大な作戦を実行したフリードリヒは、その手柄を復活したビスマルクに譲って、また裏舞台へ戻ると言っていました。
 コンパイラー戦にシャルンホルストMETAを呼んだのは、METAの火力で協力してもらうのが主な狙いだったと思いますが、もう1つ目的がありました。フリードリヒは余燼の拠点へと連れていってもらうと言っていたのです。別の世界線へと旅をするようでした。
 ビスマルクが鉄血の指導者として復活したので、フリードリヒがトップを代行する必要はなくなりました。余燼の拠点へ向かうことで、さらに戦力の拡充を狙うのでしょうか。それとも何か別の目的があるのでしょうか。
 ビスマルクについてはしれっと「META化の進行を耐え抜いた」と明かされました。普通に戻ったということなんでしょうか。META化が始まったあと、完全に元の状態に戻ることもあり得るのでしょうか。
 フリードリヒは旅に出る前に、サモス島を調べてみなさいと指揮官に言っていました。サモス島の名前はこれまでも何度も出てきたので驚きはしませんが、指揮官が知ったのはこれが初めてだと思います。直近で出てきたボノム・リシャールの絡みなのかなと思いますが、どんなストーリーが展開されていくでしょうか。

4-2. アイリスの「冠」

 こちらも何回か語られてきたことですが、アイリス-ヴィシア関係の次なるフェーズとして、アイリスの「冠」を巡る物語が展開されていくことになりそうです。サディアのマルコポーロがそれを狙っているのも前のイベントからの続きでした。
 アイリス側のKAN-SENでありながら、ヴィシア陣営にスパイとして潜りこんでいるル・テリブルがリシュリューと会話するシーンがありました。リシュリューに「冠」を手に入れてほしいので、鍵の在りかを教えていました。
 「光と影のアイリス」のとき、ジャン・バールたちがトゥーロンで自沈した件をきっかけに、アイリス教国はアイリスとヴィシアに分裂しました。ジャン・バールは指揮官に救出されたと言われていますが、あのイベント以降ずっと表舞台に出てきていません。
 ヴィシア側のKAN-SENには上層部の睨みが常に利いている状態になっているとのことでした。特に動きがとりにくいのがアルジェリーたち護教騎士団と、ラ・ガリソリエールのように「あっち」の仕事をしているKAN-SENたちです。
 鉄血がセイレーンに反旗を翻したことで、主にレッドアクシズ側に属する陣営の上層部には動揺が広がっていくことでしょう。ヴィシアとサディアの今後の動きにも注目です。

感想

 ここからはただの感想です。
 物語が大きく動くことになった一方で、KAN-SENたちの「想い」もかなり全面に出てくるようになり、ますます物語としての面白さが増してきたなと思いました。ヒトの形をしているKAN-SENには知能だけでなく感情があります。その意味が物語に大きく絡むようになったなと思ったのです。
 例えばイベント序盤の赤城と瑞鶴のやりとりは面白いものでした。

 重桜の戦力の要である一航戦赤城加賀と五航戦瑞鶴翔鶴は、現在同じ重桜陣営にあって仲間割れ状態になっています。ただ、本気で相手を否定しているわけではなく、我こそが重桜のためを思って行動しているのだとお互い譲らないから衝突してしまっているのですね。それをお互い理解していて、歩み寄りの機会がないか伺っている様子が垣間見えました。兵器ではなくヒトなのでこういう衝突も起きてしまうのでしょう。

 フリードリヒの作戦の根幹も、コンパイラーには理解できない「ヒトの感情」が突破口になっていて、イベント全体を同じテーマが貫いているのが美しかったです。
 鉄血がセイレーンと手を切る理由も、人類が自らの手で未来を切り開く「ヒトの世界」を作るためだと言っていました。指揮官もフリードリヒから普段とは違う情熱を感じると言っていましたが、KAN-SENがヒトだからこそ生まれた作戦なのだなと感動しました。
 WW1~WW2という人類史上最大の大戦期に架空の超存在が介入してくるという題材は、古今東西で取り上げられてきたテーマであり、それだけで思考実験として面白いものです。今までは再現という形で史実になぞらえた大枠の中でKAN-SENたちが戦ってきましたが、今回のイベントは自分たちのために未来を切り拓くための反逆の戦いでした。物語の次元が1つ上がったのですね。
 今後どうなるかがますます楽しみになってきました。クイーン・エリザベスの企み、重桜の内部分裂、アイリス/ヴィシアの決着、マルコポーロの暗躍などなど気になる要素はたくさんあるのですが、そもそもKAN-SENが上層部の意思に反してセイレーンに反旗を翻したのが大事件です。上層部も表立ってはセイレーンと結託できませんが、この反逆の余波がどのように広がっていくのかは予想がつきません。次のイベントが待ち遠しいですね。


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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 5話感想-一つ頼みを聞いてくれ

 アニシャドFの5話の感想文です。

ライト vs ジェントルマン

7ターン目

先攻7T:ジェントルマン
 マジカルストラテジーをエンハンスでプレイします。

マジカルストラテジー
2コストスペル
マジカルポーンを2体場に出す
エンハンス6:マジカルポーン2体ではなくマジカルナイト1体とマジカルビショップ1体を場に出す

 2コストだとあまりにもコスト通りすぎるカードだなと思っていたのですが、エンハンスを持っていました。3コストと4コストのフォロワーを出すので1コスト分オトクです。マジカルナイトの当たり先があればマジカルビショップの2点AOEも確約されるカードです。
 3話でシノブがエンハンスの匂わせをしていましたが、ここで回収されることになりました。エンハンスはROBからの追加ロジックなのですが、無印アニシャドで解説されることはありませんでしたし、ほとんど使用されることはありませんでした(唯一カズキが使ったエンハ9アルベールのみ?)。
 武装ドラゴンウォーリアの体力は6なので1点足りません。エンジェルスナイプで最後の1点を詰めて破壊しました。スペルを使ったことで、マジカルビショップの効果でさらにマジカルポーンが出てきます。
 さらにマジカルポーンの第2の能力が働きます。そういえば4話で「第1の能力」と言っていましたもんね。こちらも伏線回収です。

マジカルポーン
1コスト2/1
このフォロワーがダメージを与えた時、自身の攻撃力を1にする
このバトル中にマジカルポーンが8枚以上破壊されているとき、このカードは疾走を持つ

 マジカルポーン、マジカルストラテジー、マジカルナイト、マジカルビショップ、ミスティッククイーン・メイティとポーンの生成カードは少なくとも15枚デッキに入るので、スペルと噛み合えばちゃんと疾走できそうなイメージです。現代シャドウバースにあってもおかしくない良いテーマだなと思いました。
 ナテラの大樹の7枚破壊で起動する自然ウィッチや、機械フォロワー10体破壊で起動する機械ヴァンパイアみたいな感じですね。


後攻7T:ライト
 ドラグニルをトップから引いてきたのでプレイ。手札に加えたドラゴウェポンとルフ鳥をプレイします。ルフ鳥が初めて武装されます。

武装ルフ鳥
3コスト2/3
突進
攻撃時:ターン終了時まで自身を+2/+0する。相手のリーダーに2ダメージ

 4点除去しつつ2点ダメージの便利なカードになりました。マジカルポーンを攻撃します。
 ドラグニルを進化します。武装フォロワーが場にいるのでマジカルポーンに3ダメージ、進化後ドラグニルでマジカルビショップを上踏みで盤面全処理です。


8ターン目

先攻8T:ジェントルマン
 2枚目のマジカルナイトをプレイします。武装ルフ鳥を攻撃して相討ち。マジカルポーンが出てきます。
 刃の魔術師をプレイします。もともと6コストで、マジカルストラテジーとエンジェルスナイプを撃っていたので2コスト下がって4コストでのプレイです。デッキの中のスペルの枚数は少なくなりがちなテーマですが、疾走で詰め切るデッキなので方向性は合っているカードだなと思いました。

ジェントルマン:体力7
マジカルポーン(2/1疾走)、刃の魔術師(2/2疾走)
 
ライト:体力8
ドラグニル(4/2)

 ここでジェントルマンは刃の魔術師に進化を切って2体とも相手のリーダーに攻撃しました。ライトの体力は2です。あと1体でもマジカルポーンが場に出れば勝ちという構えです。逆にライトが手札から3点出せればジェントルマンは負けです。
 マジカルポーンは攻撃すると1/1になるので、場残りしても圧力になりません。進化の是非はおいておいて、ドラグニルを残したのはさすがに悪手だったかなと思います。ドラゴウェポンも生みますし。
 ジェントルマンはライトとの会話で頭に血が上っていました。冷静にプレイしていればマジカルポーンで相討ちしていたかもしれません。心情面からちゃんと理由付けがなされていて良いなと思いました。

後攻8T:ライト
 決着のターンです。

ジェントルマン:体力7
マジカルポーン(1/1)、刃の魔術師(4/4)
 
ライト:体力2
ドラグニル(4/2)

 ライトはずっと手札で温めていたレーヴァテインドラゴンをプレイすることを検討します。

ジェントルマン:体力7
盤面なし
 
ライト:体力2
ドラグニル(4/1)、レーヴァテインドラゴン(5/1突進)

 ライトが言っていた通り、このプランをとると返しでジェントルマンにマジカルポーンを1体でも場に出されると負けです。2試合目の初心者がこの検討をできるのは大したものです。「相手の手札は見えないけれど、たぶん次のターンに自分は負けるから賭けに出ねばならない」という思考ができるようになったらもう中級者でしょう。
 ジェントルマンはライトがいままでプレイしてこなかった手札の1枚がレーヴァテインドラゴンだろうと当たりをつけて、このプレイを誘っていたのかもしれません。だとしたらなかなかの策士です。
 一か八かライトはトップで引いた竜の闘気をプレイします。有効なカードを引けなくても、回復するのでドラグニルで相討ちをして下のようにゲームを続けることができます。

ジェントルマン:体力7
マジカルポーン(1/1)
 
ライト:体力5
盤面なし

 このプランの場合、3点回復するおかげでジェントルマンが勝つためのマジカルポーンの要求が2枚になります。竜の闘気で有効なカードを引ければ勝ちますし、引けなくてもわずかながら負けない確率が上がります。
 結末としては、大嵐のドラゴンの2枚目を引いたので、ドラゴウェポンで武装して3点疾走でライトの勝利でした。3コストで3点出さねばならないのでライトが勝てるカードはたぶん大嵐のドラゴンのみでした(まだ見ぬ武装フォロワーがあるかもしれませんが)。竜の闘気からのドローだったので幅が狭かったですが、ライトとしては8コストで3点出せばよいので期待値はけっこう高かったんじゃないかなと思います。

ジェントルマンが仲間になること

 バトル後の展開には驚きました。まさかライトはシノブではなくジェントルマンをセブンスフレイムに誘ってしまうとは。しかもジェントルマンもそれを受け入れます。最初の仲間から予想外で楽しいアニメです。
 ジェントルマンは上から目線でシャドバを語って周囲の人が離れていったという業を背負ったキャラクターです。彼をそのまま放っておくのではなく、主人公の仲間に引き入れることで救いを与えようとしているのですね。同時に反省と更生の機会も。
 ジェントルマンがラストターンに引いたミスティックキングというカードも今後への伏線ですね。元々20コストで、手札に入った時点で10コストまで下がっていましたが、PPが足りずプレイすることはできませんでした。たぶん破壊されたマジカルポーンの数ぶんコストが落ちているのではないかと思います。
 一方で、ジェントルマンがシックスマジックの裏の部長を離れることで、シノブは彼から解放されます。耳につけたヘッドホンを外す行為はその象徴。これからは彼女自身の力で真の部長を務めていくことになります。

シノブ:「キミがいなくても大丈夫って言えるようになろうか」

 今はまだ不安なんですよね、シノブは。だけど、表情は明るかったです。シックスマジックの部員に頼りにされている様子が描かれていましたし、彼女の部長としての頑張りをこのアニメは否定しません。部長として立派に1人で戦うシノブが、今後またどこかで見られるでしょうか。

今後の展望

 ここまで怒涛の展開だったので、5話の後半はこれからのストーリーの展望を示すシーンでした。今後出てくる登場人物たちの紹介がありました。何が起きるのは分かりませんが、こういう人たちが出てくるので期待していてねという感じ。楽しみですね。
 ドラグニルの謎についても改めて触れられました。ドラグニルも自分の特別性を自覚しつつ、その理由がわからず戸惑っている様子でした。ライトのおおらかさはドラグニルさえ優しく受け入れます。つくづく不思議な雰囲気の主人公だなと思います。
 謎を解くカギはライトに端末を渡したウルフラム・ゼルガさんが握っているのでしょう。無印は「ヒイロの両親が実は・・・」という展開の仕方でしたが、Fはどんなドラマを持ってくるでしょうか。こちらも楽しみです。



【原作勢目線】アニメシャドウバースF 4話感想-レディー&ジェントルマン!

 アニシャドFの4話の感想文です。

ライト vs ジェントルマン

1ターン目

先攻1T:ジェントルマン
 マジカルポーンをプレイします。アニメオリジナルカードです。

マジカルポーン
1コスト2/1
このフォロワーがダメージを与えた時、自身の攻撃力を1にする

 長いシャドバの歴史の中でトークンではなく素で1/2/1のフォロワーはありません。殺意が高いカードです。

後攻1T:ライト
 ハンマードラゴニュートをプレイします。こちらもアニメオリジナルカードです。

ハンマードラゴニュート
1コスト1/2
ラストワード:ドラゴンスマッシュを1枚手札に加える

 ラストワードでリソースを供給する優秀な1コストフォロワーです。


2ターン目

先攻2T:ジェントルマン
 マジカルストラテジーをプレイします。これもアニオリ。

マジカルストラテジー
2コストスペル
マジカルポーンを2体場に出す

 ただ単純にコスト通りカードを場に出すスペルです。
 1ターン目に場に出したマジカルポーンで相手のリーダーを攻撃します。攻撃したマジカルポーンは1/1になります。

後攻2T:ライト
 1/1になったマジカルポーンを1/2のハンマードラゴニュートで上踏みします。ハンマードラゴニュートでマジカルポーン2体とトレードしたいという意図です。1話でライトは、1/2のゴブリンで2/2のドワーフアルケミストを攻撃しましたが、そこから成長しましたよという演出ですね。
 ファイヤーリザードをプレイします。ファンファーレでマジカルポーンに1ダメージで破壊します。ライト側の1, 2ターン目の動きが悪いとそれだけで試合が決まってしまいそうな展開でしたが、上手く捌くことができました。


3ターン目

先攻3T:ジェントルマン
 残った2/1のマジカルポーンでリーダーを攻撃します。
 マジカルナイトをプレイします。"ポーン"に続き"ナイト"が出てきました。チェスモチーフのテーマなのだなとわかります。

マジカルナイト
3コスト3/1
突進
攻撃時:マジカルポーン1体を場に出す

 3/2だったらだいぶ強かったかなというカードです。3/1なので相討ちしながら1コストのフォロワーを生むカードです。

後攻3T:ライト
 ルフ鳥をプレイします。
 ハンマードラゴニュートで2/1のマジカルポーンと相討ちします。ハンマードラゴニュートのラストワードが働き、ドラゴンスマッシュを1枚手札に加えます。


4ターン目

先攻4T:ジェントルマン
 知恵の光と運命の導きをプレイします。
 運命の導きはスペルブーストでコストが落ちます。初手から手札にあり、マジカルストラテジーと知恵の光を撃ったので3コストでのプレイです。
 場残りしていたマジカルポーンで相手のリーダーを攻撃します。このターンにプレイしたカードはドロー効果のみだったので、初手からの猛攻はいったんストップでした。

後攻4T:ライト
 ドラゴウェポンをプレイします。ドラグニルやレーヴァテインドラゴンの効果に頼らなくても、このカードは普通にデッキに入っているようです。
 トリニティドラゴンをプレイします。武装されて+0/+1され、新しい効果も手に入れます。「攻撃されない」という効果は引き続き持っているようです。
 武装トリニティドラゴンを進化してマジカルポーンを上踏みします。場残りしたルフ鳥でリーダーを攻撃します。攻撃時+2/+0なので4ダメージです。これで盤面の優位をライトが取り返しました。体力もライト15、ジェントルマン16でほぼ互角です。


5ターン目

先攻5T:ジェントルマン
 ミスティッククイーン・メイティをプレイします。ジェントルマンのデジフレカードです。

ミスティッククイーン・メイティ
2コスト1/1→3/3
ファンファーレ:デッキからコスト1のカードを1枚手札に加える
自分がスペルをプレイしたときマジカルポーン1体を場に出す

 範囲を絞ったサーチができるのが優秀なカードです。スペルを使うことができればスタッツが劣っている点もカバーできます。エンジェルスナイプや知恵の光を引っ張ってきたいカードなのかなと思います。
 ファンファーレ効果でドローしたのはマジカルポーンでした。このマジカルポーンをプレイして、メイティを進化してルフ鳥を上踏みします。
 ウィンドブラストをプレイします。初手から手札にあったので3回スペルブーストされて4ダメージ。ちょうど武装トリニティドラゴンを破壊します。メイティの効果でもう1体マジカルポーンが出てきます。
 スペルをプレイするたびにフォロワーが追加で出てきて、フォロワーとスペルの両面で攻めるテーマのようです。これ自体は全く新しいものというわけではありません。本家で活躍できたことはほぼないのですが…。

 武装トリニティドラゴンには効果がありました。

武装トリニティドラゴン
3コスト2/3
攻撃されない
これが相手のカードの効果で選択されたとき、相手のリーダーに2ダメージ

 選択されたときのトリガー能力というのは本家にはありません。攻撃されないフォロワーなので破壊するには効果の対象にするかAOEを撃つしかないので、2ダメージの効果は働きやすいカードです。シャドバは相手のターンに干渉できないゲームですが、こういうカウンターチックな効果はアニメ映えしますね。

後攻5T:ライト
 ハンマードラゴニュートのラストワードで加えたドラゴンスマッシュをプレイします。

ドラゴンスマッシュ
2コストスペル
相手のフォロワー1体に3ダメージ。ドラゴウェポン1枚を場に出す

 実質1コスト3点除去なので優秀です。これでメイティを破壊します。やられるときも可愛い。
 大嵐のドラゴンをプレイします。ドラゴウェポンにより武装されます。進化して相手のリーダーに攻撃します。攻撃時能力で+1/+0されるので5ダメージです。ジェントルマンの体力は9。
 相手の場には2/1のマジカルポーンが2体いるのですが無視して体力を詰める強気のプレイです。疾走フォロワーを出したからにはリーダーを狙いたいという初心者っぽさもあります。


6ターン目

先攻6T:ジェントルマン
 マジカルポーン1体で武装大嵐のドラゴンを攻撃します。これで4/2。
 マジカルビショップをプレイします。

マジカルビショップ
4コスト2/4
攻撃不能
スペルをプレイするたびにマジカルポーンを1体場に出す
自分のターンに1度、自分の場にマジカルポーンが出たとき相手のフォロワーすべてに2ダメージ

 そこまで強い効果じゃないので、攻撃不能はなくてもよかったのでは…?
 マジックミサイルをプレイします。リーダーに1ダメージを与えて1枚引きます。マジカルビショップの効果でマジカルポーンが場に出て、相手のフォロワーに2ダメージ。これで武装大嵐のドラゴンが破壊されます。
 2枚目の運命の導きをプレイします。2ターン目から手札にあったので、5枚のスペルを使ってコスト0です。効果でもう1体マジカルポーンが出てきます。
 場残りしたマジカルポーンで相手のリーダーを攻撃して2ダメージ。ライトの体力は12です。

後攻6T:ライト
 ドラゴンウォーリアとドラゴニックアーマーをプレイします。

ドラゴニックアーマー
2コストスペル
武装していないドラゴンフォロワー1体を武装する

 1コストで武装できるドラゴウェポンと比べると劣化版ですが、一応すでに場に出ているフォロワーを武装できたり、盤面が空いていなくても使えるのが優位点です。

武装ドラゴンウォーリア
4コスト3/5→4/6
進化ポイントを使わずに進化できる(1ターンに1回の制限はある)
進化時:相手のフォロワー1体に3ダメージ。相手のフォロワーすべてに1ダメージ。

 2/4のマジカルビショップに3ダメージを与えたあと、全体1点AOEで相手のフォロワーすべてを破壊します。
 この2枚のカードは前のターンからライトの手札にありました。マジカルポーンを無視して武装大嵐のドラゴンでリーダーを攻撃したのは、この展開が読めていたからでしょうか。だとしたらなかなかやりますね。
 ここで4話は終わりでした。

ジェントルマンの人柄

 バトルの中でジェントルマンがどういう人物なのか少しずつ語られていきました。上から目線でシャドバの話をしてしまう「嫌なヤツ」です。デッキのモチーフがチェスだからとはいえ、デジフレのことを「駒」と呼ぶ辺りに、そういう自意識の染み出しが伺えます。

ジェントルマン:「僕がシノブくんを選んだのはね、シノブくんがシャドバに興味を失ってたからさ」

 シノブがローテンションでジェントルマンの言うことを聞きながらバトルしていたのはこういう背景があったのですね。シノブがシャドバに情熱を持てない状態だから、ジェントルマンは好き勝手に指図ができて気持ち良くなっていたのですね。シノブ側の事情も聞いてみたいところ。
 そんな「嫌なヤツ」に対してもライトはまっすぐに向き合い、真摯なコメントをします。ライトの純朴さが胸に染みます。

ライト:「その気持ちを真っすぐに伝えればきっと、みんなにも言葉が伝わったはずだ」

 バトルをしているからこそ、ジェントルマンがシャドバに真剣であることがわかるという理屈。「いいヤツ」ですね、ライトは。

武装」による予測不能のバトル展開

 2話~4話を見てみて思ったことですが、アニシャドFでは主人公が有効札をトップから引いてくるという展開ができるだけ起きないように調整されているように思いました。お互いの手札をポイントごとに見せてくれるというのは無印と一緒なのですが、キーカードはすでに手札にあるという状況が多いのです。
 例えば4話でも、後攻4ターン目にライトが使うドラゴウェポンは、初期の手札にあります。このカードをいつ使って何を武装させるかが楽しみになる構図になっているのですね。こういったワクワク感を作り出せるのが武装というギミックの良いところだなと思いました。誰を武装させるのか、そして武装後の能力がどうなるのか、誰にもわかりません。
 同じく後攻4ターン目の話をしますが、このターンのトップドローはドラゴンウォーリアでした。コスト4の進化時効果持ちのフォロワーなので、思わずトップに飛びついてしまいそうになるところなのですが、ライトは別のプランをとりました。そしてドラゴンウォーリアは後攻6ターン目のもっと刺さる場面での起用になったのです。
 カードゲームアニメは脚本に書かれたご都合主義感をどうしても払拭しにくいジャンルなのですが、そこになるべく抗おうとしている姿勢がFでは垣間見えるような気がしました。
 ちなみにこのバトルの話をもう1つすると、ライトの手札にはすでにレーヴァテインドラゴンがあります。このカードをいつ使うのかも楽しみにしながら、次回も視聴したいと思います。