3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アズレン】ストーリー考察:積重なる事象の幻界 編【アズールレーン】

 2022年12月22日開始のイベント「積重なる事象の幻界」のストーリーを整理していきます。

1. アンカレッジのリュウコツ調査

1-1. 星の海とリアリティレンズ

 まずは指揮官の置かれた現状について。
 2022年4月のイベント「吟ずる瑠璃の楽章」でコンパイラーの「素体」を撃沈したあと、指揮官はユニオンの「星の海」という施設で研究に没頭していました。
 ヒトの想いを具現化できるメンタルキューブの秘密に迫るべく、思い浮かべた光景を精神空間に具現化できるリアリティレンズという装置が開発されました。指揮官はいま、リアリティレンズの研究に追われています。
 リアリティレンズはヒトが正確にイメージできていることを読み取り、情報化して仮想空間にて具現化します。仮想空間は明晰夢のような形で本人へとフィードバックされます。考えていることが実感を伴って体験できるすごい装置のようです。
 メンタルキューブに適性がある指揮官はリアリティレンズとの相性も良いようで、自らが実験台になって研究を進めています。星の海にはセイレーン作戦をサポートしてくれたTBの主機があり、指揮官の研究を手伝っています。

1-2. アンカレッジの特殊性

 指揮官はリアリティレンズの研究をしているうちに、とある課題を解決できるのではないかということに気づきました。それがアンカレッジの特殊性です。
 特別計画艦と呼ばれるKAN-SENたちは、「カンレキ」が存在しないので一般的なKAN-SENと比較してリュウコツが特殊です。それと同時に、特別計画艦は精神的に不安定な子が多く、リュウコツの特殊性と関係があるのではないかと疑われていますが、詳細は不明となっています。
 アンカレッジのリュウコツにも不安定な情報要素が見つかっています。アンカレッジのパーソナリティは特別計画艦の中でもさらに特殊で、幼児退行したような性格をしています。指揮官を指揮官として認識しているか怪しいと言われていました。彼女は指揮官のことを「せんせい」と呼ぶので、戦術指揮をする人ではないと思っているようなのですね。
 アンカレッジ以外の特別計画艦にもリュウコツに特殊な現象がみられることはあります。情報要素の離散現象と呼ばれていたため、情報が非連続的に飛び飛びになっているのでしょう。指揮官と触れ合っているうちにリュウコツが補強されて、そのうち離散現象は観測されなくなるのが普通だそうです。
 アンカレッジのリュウコツに何が起きているのか。この謎に迫るために、指揮官はリアリティレンズを使います。

1-3. 仮想空間の遷移

 リアリティレンズで指揮官がどんな仮想空間を見たのか。
 指揮官本人のイメージと、アンカレッジのリュウコツの情報を足し合わせた仮想空間に指揮官は降り立ちました。そこは学校の教室のような見た目をしていて、アンカレッジ本人とそこで会話をしました。
 アンカレッジがクレヨンで描いたという絵を見せてくれたとき、異常が発生しました。その絵には指揮官のほかに数人の人物が描かれていました。アンカレッジ曰く指揮官の友達とのことだったのですが、指揮官からははっきりとは認識できません。
 その絵のせいか、リアリティレンズに流れ込むデータ量が大きく増え、処理限界に達してしまいました。現実側でヴェスタルたちがリソースの調整を行い、リアリティレンズの稼働自体はなんとか維持されました。
 仮想空間は処理落ちのような状態となり、指揮官が次に見た光景は真っ白でした。そこにはアンカレッジがいて、傍らには扉がありました。扉の先へ進むように彼女に促されました。
 扉の先はリアリティレンズが作った仮想空間ではありませんでした。情報要素だけで構築された疑似空間。メンタルキューブはどこかの高次元空間に接続されていて、そこから無尽蔵のエネルギーを抽出できる未知のテクノロジーです。その高次元なネットワークの隙間なのだと言われていました。誰にも探知されない場所なので、TBも入ってこれませんでした。
 そこにはアンジュ博士の外見をしたAIであるリプレイヤーがいました。アンジュ博士が指揮官に何か情報を伝えようとしたのかもしれないとリプレイヤーは言うものの、外見以外には情報を持っていませんでした。ただ、アンカレッジは特殊なだけで何かが悪いわけではないよと言っていました。
 リプレイヤーは指揮官のあとを何者かが追跡してきていることを知らせ、指揮官はこの世界から放り出されてしまいました。

 

1-4. 外から接続していた者たち

 このとき仮想世界では何が起きていたのか。答えはイベントのクライマックスで明かされましたが、物語の構造を理解するために先に解説してしまいましょう。
 指揮官とアンカレッジがリアリティレンズに繋がったとき、外から接続しにきていた存在がいました。それがメンフィスMETAです。指揮官を監視していたのだと言っていました。
 リアリティレンズのオリジンは自然演算システムです。すごく前のイベントからたびたび名前が出てくるこのシステムは、おそらくアズールレーン世界の基盤を作っている世界の理のようなものなんじゃないかと思います。世界線のジャンプが起こることにも関係していると思います。
 同時に、アビータの1人であるDevilXVが指揮官の動きを察知しました。アビータは世界線を飛び越える力を持っており、余燼を追跡しています。指揮官とリプレイヤーが話しているときに、彼女が何かにつけられていると言っていたのは、DevilXVが迫ってきていたからです。
 大きな脅威を認識したリプレイヤーの仮想空間は、防衛のために自己崩壊を選びました。その結果、その仮想空間にあった指揮官の意識は、何もない空間に投げ出されてしまいました。
 メンフィスMETAは指揮官の意識をなんとか拾い上げ、強引に構築した仮想空間にぶち込みます。それが指揮官が悪夢を見たという仮想空間。リアリティレンズの中にいたはずなのになんでここにいるのだろうと違和感を覚えていましたが、まだ仮想空間の中だったわけです。
 DevilXVはさらに指揮官を追撃してきました。メンフィスMETAはもう一度仮想空間を構築しました。今度は繋がっている人の記憶や、自然演算システムまでもが接続された大きな空間です。未来のNYシティの見た目をしているこの仮想空間には様々な人やKAN-SENの情報が流れ込んでいるため、指揮官がその大きさに驚いていたのですね。
 メンフィスMETAはこの仮想空間にⅡ型艤装の情報を与えました。そのため中にいるKAN-SENたちがⅡ型艤装を身につけた姿に変化していました。

2. 未来のNYシティにて

2-1. 博士たち

 未来のNYシティのような仮想空間が今回のイベントの舞台です。
 ここで指揮官はアンジュ博士とオースタ博士に出会いました。2018年10月の「闇に堕ちた青き翼」などから徐々に存在が仄めかされてきた創造主と審判者についにご対面となりました。アズールレーンでただの人間が立ち絵を持ったのは初めてです。
 アンジュ博士はメンタルキューブの研究者でありKAN-SENを作り出した生みの親、オースタ博士はエナジーキューブと人工知能の研究者でアンチエックスの生みの親です。2人は学生時代からの同期で、研究者になってからも助け合っています。
 イベントの序盤は指揮官がアンジュ博士とコミュニケーションをとるシーンが続きました。喫茶店グラナート、メールを打つ猫、履修システムなどの話は、セイレーン作戦の特殊情報記録に書かれたものです。あれらの情報の断片が、イベントストーリーに繋がっていますよという答え合わせの演出でした。
 2人の博士がいた世界線での指揮官は、我々がゲーム内で見ている指揮官とは別人だと考えられるため、another指揮官と呼ぶことにします。another指揮官はKAN-SENの指揮と教育を担当していて、キューブ適性を用いてⅡ型艤装を発明しました。アンジュ博士の研究のお手伝いもしているため、彼女からは「助手くん」と呼ばれています。
 指揮官の意識はanother指揮官に憑依するような形になっています。指揮官とanother指揮官の記憶は密接に結びついているようで、指揮官はこの仮想空間でたびたび強烈なデジャビュのようなものを体験していました。
 さて、もう1人重要な人物がいます。アンジュ博士が将軍と呼んでいた人です。このひとは特殊情報記録で良く名前が出てくる海軍のジョン大佐だと考えられます。この世界線では中将にまで昇格していました。こちらの方が時間軸があとのようです。Divison13という組織(?)の責任者と言われていましたが、Divison13とはなんなのかがまだわかりません。
 将軍はキューブを海軍の戦力として運用する計画にも責任を負っています。アンジュ博士がメンタルキューブから生み出したKAN-SENと、オースタ博士がエナジーキューブから生み出したアンチエックスの両方を、戦力として使えないか考えているのだと思います。

2-2. アンチエックスとは何なのか

 オースタ博士が生み出したアンチエックスとは何なのか。今回のイベントではそれが詳細に語られることになりました。
 KAN-SENの正式名称は動力学的人工海上作戦機構・自律行動型伝承接続端子(Kinetic Artifactual Navy Self-regulative En-lore Node)と言います。海上で作戦を行う人造物であり、過去の偉大なるフネの歴史に接続された存在とでも言いましょうか。
 一方、アンチエックスというのは、「エックス」という未知の敵に対抗するために生み出された存在だというのがこれまでの物語で仄めかされていたことでした。しかし今回のイベントでそれはミスリードだったということに気づかされました。なぜかというと名前の付け方にそのような意味合いが含まれていないからです。
 アンチエックスの正式名称は人工海上作戦機構・自己進化型知能 X実験体(Artifactual Navy Transformational Intelligence X-practice)と言います。前半はKAN-SENの正式名称と似ていますが、後半の自ら進化する知能を有するというところが特徴的です。オースタ博士はAIの専門家なので、先進的なAI技術がコアに組み込まれているのでしょう。
 しかし、元々の意味が後々変わっていってしまうということを暗喩する演出がありました。アンジュ博士が、異星人と戦うと言う意味でXの持つ意味が「Xenotermination」つまり「Xeno(異界の)-termination(終わり)」に変わっちゃうかもねと冗談を言っていたところです。この発言がフラグだったとしたら、遠い将来に異星人が攻めてきたときにそれをエックスと名付け、アンチエックスたちが戦いに駆り出されたものと考えられます。


2-3. 第二世代アンチエックス

 オースタ博士はアンチエックスの正体についてさらに詳細に語ってくれました。
 まず、アンジュ博士が生み出したKAN-SENはメンタルキューブから情報を引き出して、人格を具現化させた生命体です。another指揮官はさらにメンタルキューブを使用し、リュウコツを補強するのⅡ型艤装という考え方を発明しました。
 一方、アンチエックスは機械と擬人人格を組み合わせたものです。どちらかといえば生命体ではなく機械だと言えるでしょう。ある個体が異常をきたしても、他と接続すれば治るなど、大量展開されることが前提の作りをしているようでした。
 Ⅱ型艤装のテスト演習のあと、オースタ博士がアンジュ博士と指揮官をサモス島へ呼び寄せた理由は第二世代のアンチエックスを見せるためでした。第二世代型は我々が見ている世界線ではアビータとして認識されている強力な戦力群です。指揮官がⅡ型艤装を発明したときのアイディアを拝借し、兵器の概念をエナジーキューブで具現化させた兵装を装備しています。キューブの力で戦うのですね。
 オースタ博士はサモス島の海洋生物研究所の跡地を自らの研究所に変えました。そこには何か意味があるんじゃないかとアンジュ博士が言っていましたが、セイレーンやアビータの艤装に海洋生物のモチーフが取り入れられていることと無関係ではないでしょう。単純に好きだったのか、合理的だと考えたのか。
 このイベントのラストでリシャールがヤドカリのクイズを出してきたことは、海洋生物が兵装のモチーフになっていることを我々プレイヤーに気づかせようとしているように見えました。

2-4. リュウコツの治療

 指揮官は損傷したリュウコツを治療するすべはないか2人に尋ねました。
 指揮官の元いた世界線では、黒いキューブの影響や、先天的な異常、もしくは戦いによる損傷によってリュウコツに異常をきたしているKAN-SENがいます。いまはユニオンで治療をうけているヨークタウンやレキシントンを助けたいという問題意識があるようです。
 アンジュ博士は簡潔な答えを提示しました。Ⅱ型艤装でリュウコツを補強すれば良いと。Ⅱ型艤装はそのKAN-SENと縁のある別の素体から情報を引き出して、艤装として具現化する技術です。リュウコツの補強ができると言っていました。
 しかしこの方法では補強はできるものの、問題の根治には至らないようです。根本からリュウコツを治すことは指揮官にしかできないことだと言われていました。リュウコツにはフネの概念とヒトの概念の両方が含まれますが、ヒトの方にアプローチできるのはキューブ適性がある指揮官だけなんだとか。



3. 脱出をかけた戦い

3-1.アビータDevilXV

 第二世代アンチエックスのテストの最後に、KAN-SENたちとの実戦形式の演習が行われました。
 DevilXVの得意分野は支援。直接戦闘は得意ではないと言っていました。彼女は量産型を40分という短い時間で組み立てて戦場まで転送できる技術を持っており、戦いを変えてしまう存在だと言われていました。セイレーンが繰り出してくる量産型も、こういうふうに作られているのかもしれないと指揮官は言っていました。
 DevilXVはあらかじめ戦場に潜ませていたエンフォーサーを察知できないように、親切にデータを渡すと見せかけてKAN-SENたちの艤装をハッキングしていました。それはまあ作戦のうちだろうとKAN-SENたちも許容していたのですが、途中からDevilXVの様子がおかしくなっていきます。実弾でKAN-SENたちを狙ってきて、コミュニケーションが取れなくなっていきました。
 指揮官とメンフィスはここで気づきました。目の前にいるのは仮想空間のかりそめのものではなく、本物のアビータがスペアボディを操っているのだと。指揮官は仮想空間にいるわけで、助けてくれる本物のKAN-SENはそばにいません。焦ったことでしょうね。
 指揮官を助けてくれたのはヘレナMETAでした。ヘレナが自らのアクセス権限を委譲することで、ヘレナMETAはこの仮想空間へと入ってきました。DevilXVに注射器のようなデバイスをぶっ指すことで、強引にハッキングして無力化することに成功しました。


3-2. 黒いモヤがかかった敵とTowerXⅥ

 Devilには対処できたものの、別の脅威が現れました。
 1つは黒いモヤがかかった敵です。この敵は2021年2月の「暁射す氷華の嵐」の最後に出てきた敵で、アビータとは別物です。
 北方連合のKAN-SENたちが出てきた回想にもあったように、秘密海域で様々な情報に触れた指揮官は、最終的にこの黒いモヤがかかった敵と対峙しました。オブザーバー・零の「最後の光がかきけされるまで、頑張って戦ってください」という言葉に従い、指揮官たちは必死に戦い続けて助かりました。
 ゲーム上では普通の敵と変わらないのでわかりにくいのですが、セイレーンのように見えるけどセイレーンではない存在であるというのは指揮官からもわかるらしいです。正体はアンチエックスや余燼たちが破滅のときに戦っていた敵だそうです。おそらくこれがエックスの一部なのではないかと考えられます。
 メンフィスMETAはこの破滅の記憶を持っているため、リアリティレンズを通して具現化されてしまったようだと自分を責めていました。
 さらに状況の混乱に拍車をかけたのがアビータTowerXⅥの存在でした。
 DevilXVが指揮官を追撃してきたのとはまったく別の理由でToweXⅥはこの世界を認識しました。このNYシティの仮想空間は、作られる時から自然演算システムに繋がっていました。TowerXⅥ自身も自然演算システムに繋がることができるので、黒いモヤの敵が現れたことを感知したのです。
 TowerXⅥは他のアビータと違ってコミュニケーションが取れません。自然演算システムに接続することができ、そこに異常を認めたらデータを削除するという単純な行動原理を持っています。ウイルスバスターのような存在ということでしょうか。黒いモヤがかかった敵がエックスなのだとしたら、アビータにとっても宿敵ですからね。
 TowerXⅥはリセットシステムを起動して、Devilのスペアボディもろともすべてのデータを削除しにかかりました。指揮官をこの世界から逃がすための時間が必要でした。


3-3. ヨークタウンⅡとヨークタウンMETA

 最後に時間稼ぎをしてくれたのがヨークタウンⅡでした。
 この仮想空間のヨークタウンⅡは、自らがデータに過ぎないことを理解したあと、ヨークタウンMETAに出会いました。ヨークタウンMETAとの対話で、指揮官が自分を大切にしてくれたことを思い出し、望まれたヨークタウンとして指揮官を救うために戦うことを決意します。
 「最後の光がかきけされるまで、頑張って戦ってください」。この言葉はMETA KAN-SENたちも知っているようでした。黒いモヤに抗うための共通手段ということなのでしょうか。わかりやすく言うならば、ヨークタウンⅡが沈むまで戦い続けてということでした。心を折らずに戦い続けることが、敵を追い払う条件になっているということでしょうか。
 ヨークタウンⅡが必死に戦い続けた結果、ヘレナMETAたちは指揮官をもとの世界に返すことに成功しました。現実世界に戻ってきたとき、指揮官にはあの仮想空間での記憶がしっかりと残っていました。ヨークタウンⅡが言っていたように、彼女の想いが指揮官へと刻み込まれたのです。
 現実世界に戻ってきた指揮官は、リアリティレンズからログを抽出し、Ⅱ型艤装を実現するために頑張って研究を行いました。現実に戻ってくる途中でちらっと出会っただけのラフィーⅡのログは残っていませんでしたが、一緒に戦ったヨークタウン、ホーネット、ノーザンプトン、ハムマン、ラングレーのⅡ型艤装は無事に開発することができました。
 メインストーリーの1章から3章までの戦いで傷ついた上記4人は、Ⅱ型艤装によってパワーアップされて生まれ変わりました。仮想空間でアンジュ博士に指摘されたように、Ⅱ型艤装はリュウコツを補強するだけで、損傷を根治させるものではありません。KAN-SENたちのヒトとしての部分に指揮官が同時にアプローチした結果だったものと考えられます。
 4人が倒れたあとも獅子奮迅の活躍を続けていたエンタープライズの前に現れたヨークタウンⅡの姿はとても感動的でしたね。これからは一緒に肩を並べて戦えるようになったわけです。

感想

 ここからはただの感想です。
 アズレンの生放送でⅡ型艤装という発明を聞いたとき、心底感心したものでした。エセックス級2番艦に「ヨークタウン」という名前のフネがあり、現状実装しているヨークタウンと名前が被ってしまうという課題にぶつかったときに、パワーアップするための艤装として取り込んでしまうというアイディアが素敵だなと思ったからです。理由は3つ。
 1つはシンプルに、2人ヨークタウンがいるのはとても紛らわしいので、こういうふうにまとめるのはナイスなアイディアだと思ったからです。現状、ユニオンのジュノーとロイヤルのジュノーがいるだけでもとても大変ですから。
 2つ目は、以前に実装した既存キャラに、もう一度光を当てることができるからです。アズールレーンの世界観の中では、現実のフネの数だけキャラを作ることができます。しかし、新しい見た目やパーソナリティを出し続けることにも限界はあります。Ⅱ型艤装という形で新時代のフネを既存キャラのパワーアップ要因にしてしまおうというのは大胆ながら良いアイディアだなと思いました。
 3つ目は、実在するフネに対する人々の想いをちゃんと汲んでいるなと思った点です。海軍では昔使ったフネの名前にあやかって、同じ名前をつけることがよくあります。どこかの国だけの風習ではなく、世界中の海軍で同じことが行われます。地域の壁を越えた、人間らしい営みの1つなんじゃないかと思うのですね。ヨークタウン型ネームシップのヨークタウンという名前をエセックス級でも使用することになったとき、人々はエセックス級のフネにヨークタウン型の面影を重ねたことでしょう。それがゲームの中でも同じような体験にしてくれたのですね。
 事前の情報を聞いていただけでも上記のようなポジティブな感情が沸き上がったものですが、「積重なる事象の幻界」のイベントストーリーではそれを補強してさらにエモーショナルな演出をつけてくれました。本当に良い仕事をなさる。
 Ⅱ型艤装は未来の技術です。仮初の存在であるヨークタウンとの共闘によって指揮官に刻まれたその技術を、指揮官は現実で実現してみせるのです。この技術が実現された過程にも1つのドラマを作ってくれたこと、そして一度は失ってしまったと思ったヨークタウンⅡに現実でもう一度出会ったことで、我々もゲームで彼女が使えるようになったこと。粋なことをしてくれるなあと思いました。


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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 37話感想-俺がお前を満たしてやろう

 アニシャドFの37話の感想文です。

ライトvsミカド

6ターン目

先攻6T:ライト
 ミカドの場は6/6, 4/3。ドラゴンスマッシュをプレイして、漆黒の使徒に3ダメージで破壊します。ドラゴウェポンが場に出ます。
 瞬刃のドラゴニュートをプレイ。ドラゴウェポンが場にあって、EPが1以上なので、ファンファーレで進化します。ダーク・リリエルに攻撃。攻撃時能力でダーク・リリエルに5ダメージが飛ぶのですが、6/6のダーク・リリエルは倒せないため、相討ちになりました。

後攻6T:ミカド
 反転する翼を2枚プレイして、手札のヒーリングエンジェル2枚を堕天させます。

ダーク・ヒーリングエンジェル
3コスト2/3
ファンファーレ:自分のリーダーを2回復、相手のリーダーに2ダメージ、カードを2枚引く

 純粋にファンファーレ能力が強化されました。3コストにしては破格の性能です。盤面を触れるカードではありませんが、ライトが場を空けてターンを返してしまったため隙をつかれました。このターンでミカドは序盤に削られていた体力と手札を大幅に補充しました。ミカドの体力は16、ライトは13です。


7ターン目

先攻7T:ライト
 ハンマードラゴニュートをプレイ。覚醒状態なので0コストのドラゴンスマッシュを手札に加えます。
 0コストドラゴンスマッシュをすぐにプレイ。ダーク・ヒーリングエンジェルに3ダメージで破壊して、ドラゴウェポンを場に出します。前のターンにも出したのでこれで2本。
 ルフ鳥をプレイ。ドラゴウェポンによって武装されます。さらに大嵐のドラゴンをプレイ。こちらもドラゴウェポンによって武装されます。
 武装ルフ鳥でダーク・ヒーリングエンジェルを上踏み。攻撃時能力で相手のリーダーに2ダメージ。武装大嵐のドラゴンで相手のリーダーに攻撃。攻撃時能力で自身を+1/+0するので3ダメージ。
 ライトは手札が細くなってきたので、攻撃力2の相手フォロワーの処理は後回しにして、手札に見えている竜の闘気を使った方が良さそうな盤面でした。

後攻7T:ミカド
 アニメオリジナルカードをプレイします。

フォーリンショット
2コストスペル
相手フォロワー1体に3ダメージ。手札のフォロワー1体を堕天させる

 2コスト3点に堕天能力がついています。武装大嵐のドラゴンを破壊して、手札のガブリエルを堕天させます。
 デジフレのセラフィックレオ・ガルエルをプレイ。

セラフィックレオ・ガルエル
2コスト1/2
ファンファーレ:自分の手札のニュートラルフォロワーのコストを-3して、それは「自分のターン終了時に手札に戻る」を持つ

 アプリ版とは微妙に効果が異なります。

 破壊ではなく手札に戻るようになっているので、リソースとして再利用できるデザインです。ダーク・ガブリエルのコストを3下げました。
 ダーク・ガブリエルをプレイ。

ダーク・ガブリエル
7コスト3/4
ファンファーレ:相手のフォロワーすべてを-3/-4する。このバトル中に破壊されたコスト3以下のニュートラルフォロワー1体を場に出し、+4/+3する  

 もともとは自分の場のフォロワーを+4/+3するだけの効果ですが、AOEと復活の効果がつきました。
 ライトの場は一掃されます。ハンマードラゴニュートのラストワードでドラゴンスマッシュが1枚手札に加わります。
 闇言の天使が復活して、+4/+3されます。ターン終了時にガルエルの効果でダーク・ガブリエルは手札に戻ります。6/5と1/2が場に残ります。
 レンはダーク・ガブリエルが手札に戻ったことをポジティブに捉えていました。盤面重視のロイヤルからみるとそうなるでしょう。一方でイツキは手札に戻ってダーク・ガブリエルがまた出てくることを懸念として捉えていました。自分が使っているクラスによって反応が異なるのが面白かったですね。


8ターン目

先攻8T:ライト
 竜の闘気をプレイします。自分のリーダーを3回復、カードを2枚引き、PP最大値+1。6/5が立ってるのに大胆です。
 ドラゴンスマッシュをプレイして、ガルエルに3ダメージで破壊します。ドラゴウェポンが場に出ます。勇気の6/5放置となりました。

後攻8T:ミカド
 ダーク・ガブリエルを再びプレイ。ライトの場にフォロワーはいないのでちょっと損した形です。ファンファーレで漆黒の使徒を場に出して+4/+3します。
 闇言の天使でリーダーに攻撃で6ダメージ。ライトの体力は10。ミカドの場は7/5, 6/5, 3/4です。


9ターン目

先攻9T:ライト
 レーヴァテインドラゴンをプレイ。そのままダーク・ガブリエルを上踏みします。攻撃時能力でPPを2回復。
 フォロワーを殴ってから進化するという新しいパターンでレーヴァテインドラゴンを進化します。ドラゴウェポンを破壊してチョイス。「竜の力は引き裂く伊吹」ということで、レーヴァテインドラゴン・ブラストモードが初登場しました。

レーヴァテインドラゴン・ブラストモード
6コスト7/7
武装していないドラゴンフォロワーが場に出るたび、それを武装して+0/+1し、守護を与える
ターン終了時:相手のフォロワーすべてにXダメージ。Xはこのバトル中に破壊された武装フォロワーの数。Xが5以上なら相手のリーダーに5ダメージ

 ブラストモードはターン終了時にAOEを撃つので、進化前で殴って2PP回復するか、殴らずに体力を温存するかの選択でした。
 アニメ版だと武装フォロワーの数を参照しますが、アプリ版では自身の攻撃力を参照して、相手リーダーへの打点も青天井に伸びます。
 2枚目の荒牙の戦士・キットと、2枚目のルフ鳥をプレイします。ブラストモードの効果で武装され守護を持ちます。PPを回復したおかげで守護を2面展開できました。
 ターン終了時にブラストモードの効果で、相手のフォロワーすべてに8ダメージで破壊。相手のリーダーに5ダメージです。ミカドの体力は6。

後攻9T:ミカド
 ミカドもキリフダを投入します。「混沌の翼が天を割く」。

カオティック・エンジェル
4コスト3/3
ファンファーレ:エンハンス9;このフォロワーへのダメージは0になる。このフォロワーは、他のカードの能力(攻撃力/体力への能力は除く)を受けなくなる。(例えば、「破壊する」能力や「消滅させる」能力を受けない)。PPを5回復する。反転する翼を2枚手札に加える。
ターン終了時:ランダムな相手のフォロワー1体と、相手のリーダーにXダメージ。Xはこのバトル中にプレイした堕天フォロワーの種類。
進化後:1ターンに2回攻撃できる

 エンハンスでプレイすると小さいヘブンリーイージスになるカードです。攻撃力や体力を参照する効果は受けてしまうとミカドが言っていたのは、例えばカースメーカー・スージーのようなカードで体力を下げると破壊できるからです。



 カオティック・エンジェルを進化して武装荒牙の戦士・キットと武装ルフ鳥を破壊します。ダメージは受けません。
 反転する翼をプレイして、手札のシールドエンジェルを堕天させます。

ダーク・シールドエンジェル
3コスト1/4
守護
ファンファーレ:相手のリーダーに5ダメージ

 このときライトの体力は10。ダーク・シールドエンジェルの5点と、カオティック・エンジェルのターン終了時の5点でミカドの勝利です。しかしミカドはダーク・シールドエンジェルをプレイしませんでした。PPは5余っています。
 ターン終了時、カオティック・エンジェルの効果でブラストモードに4ダメージで破壊。ライトにも4点。残り体力は6。


10ターン目

先攻10T:ライト
 ミカドは余裕をぶっこいてわざと決着をつけませんでしたが、手札から6点出ればライトの勝ちです。守護はありません。10PPあるので噛み合えば出せる点数ですが、届きませんでした。
 アーマーパージをプレイ。ドラゴウェポンを場に出し、自分のEPを1回復、レーヴァテインドラゴンを手札に加えます。
 レーヴァテインドラゴンをプレイして進化。ドラゴウェポンを破壊して、ディフェンスモードに変身しました。カオティック・エンジェルが破壊できない以上、正しい選択だと思います。ダメージ軽減を持っているので、カオティック・エンジェルに2回殴られても破壊されません。ブラストモードに変身すると5点は出るので、あと1点が遠かったですね。
 ターン終了時にディフェンスモードの効果で体力を3回復して9です。

後攻10T:ミカド
 「破壊と創生を司る者。神々と居並ぶもの。究極、至高、最強の超越者。森羅万象、伏して拝んでこの名を刻め」ということでバハムートが出てきました。召喚口上が豪華。
 無印アニシャドではレオンがシャドウバハムートを使っていましたが、素のバハムートが出てくるのはこれが初めてでした。
 バハムートをプレイして、場のすべてのカードを破壊しますが、カオティック・エンジェルは破壊されません。カオティック・エンジェルでーダーに攻撃して5+5ダメージで勝利でした。
 ライトはシノブ、ハルマ、アリスに次いで4敗目。主人公が勝つか負けるか分からないのが面白いアニメになっていますね。37話のタイトルだけ見るとライトが勝ちそうだったのですが。


ミカドのシャドバ

 登場人物たちが己のシャドバ論をぶつけ合うこのアニメ。もちろんミカドのシャドバとは何なのかという話題も展開されます。

ミカド:「僕のシャドバが間違っているって言うなら、キミのそれは正しいのかな?天竜ライト?」
ライト:「わからない。だが、オレにとってシャドバは、誰かと繋がれるもので、誰かとぶつかりあうためのもので、実感はないが、運命でもあるらしい。オレはシャドバで誰かを傷つけたくはない。ミカド、お前は何のためにシャドバをしている?」
ミカド:「なんのためねえ。シャドバだけが、僕を満たしてくれる可能性がある。僕は生まれながらに白銀一族の跡取りで、僕に勝てる人間なんて、この世に1人も存在していない。でもシャドバでなら、僕は…」

 ライトから見ると、ミカドは人を傷つけるためにシャドバをしているように見えます。しかしミカド本人にそのつもりはまったくないのですね。生まれつき何でも持っている大金持ちの天才が、自分を満たしてくれる何かを求めているだけ。
 ミカドがシャドバに目をつけているというのは、筋の悪い見立てではないと思います。どれだけ頭が良くても、勉強ができても、カードゲームで負けることはありますから。いつか自分を満たしてくれる敵が現れるかもしれません。お金も関係ないですし。
 一方で、「傷つける」「傷つけない」という論点で争おうとしているライトとは目線が合いません。立場が違いすぎるのでしょうがないですね。ミカドはハルマの件もなんとも思っていないわけです。


ミカドのセブンスフレイム入り

 ライトがミカドをセブンスフレイムに誘うシーンがありました。

ライト:「ミカド。オレなら、オレたちなら、きっとお前を満たしてやることができる。だから、セブンスフレイムに入らないか?きっと、もっとシャドバが楽しくなるぞ」
ミカド:「そうか、そんなこと考えたことなかったな。僕はずっと孤独だったから。キミたちになじめないかも」
ライト:「大丈夫だ!オレたちはシャドバで繋がっている!」

 ミカドはデジフレがカード化されていて、オープニングにもセブンスフレイムの一員であるかような位置で登場したりしていました。メタ読みにはなりますが、最終的にはミカドは主人公サイドとして戦うのではないかと予想できます。だからこのライトの申し出に視聴者の意識は引かれます。
 しかし、そんな期待を真っ向からひっくり返す形で、ミカドはライトを嘲笑い、キリフダのカオティック・エンジェルで形勢を逆転しました。良い演出だなあと思いました。視聴者の心の動きがよく見えています。
 実際問題、無印アニシャドと同じ48話までの構成だとしたら、あと11話でミカドが主人公サイドに来ることはあるのでしょうか。リョウガも同じ状況です。セブンシャドウズと1人ずつバトルをしていくとなるとそろそろ尺が怪しい。いったいどんな結末を用意しているのか楽しみですね。




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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 36話感想-僕にとって全ては遊び

 アニシャドFの36話の感想文です。

ライトvsミカド

1ターン目

先攻1T:ライト
 ドラゴウェポンをプレイ。

後攻1T:ミカド
 アニメオリジナルカードをプレイします。

暗黒の御使い
1コスト1/1
ファンファーレ:自分の場に堕天フォロワーがいるなら進化する
ラストワード:反転する翼を1枚手札に加える

 ラストワードを持っていることはライトからも見えています。
 

2ターン目

先攻2T:ライト
 荒牙の戦士・キットをプレイして武装します。ミカドも言っていましたが、このカードは強いですよね。先攻2ターン目に出てくると先攻のリソース不足を一気に補うことができます。

後攻2T:ミカド
 このターンもアニメオリジナルカードをプレイ。

穢れし天兵
2コスト2/2
ファンファーレ:反転する翼1枚を手札に加える

 反転する翼は0コストですがまだ使いません。
 暗黒の御使いで相手のリーダーに攻撃して1ダメージ。


3ターン目

先攻3T:ライト
 武装キットで相手のリーダーに攻撃。2ダメージ。攻撃時能力でカードを2枚引きます。
 グリフォンナイトをプレイ。ファンファーレで穢れし天兵に2ダメージを与えて破壊し、自分の手札のコスト最小のカードをランダムに1枚捨てます。
 武装キットの能力で2ドローしてから手札を捨てるか、2ドローする前に捨てるかで分岐が発生するターンでした。手札には2コストの大嵐のドラゴンがあったので、2ドローで2コストか1コストの捨てたくないカードを引くと裏目でした。2ドローでアイボリードラゴンを引いたので、不要なカードを捨てられた形となりました。

後攻3T:ミカド
 暗黒の御使いで相手のリーダーに攻撃して1ダメージ。3/1/4守護のシールドエンジェルをプレイ。


4ターン目

先攻4T:ライト
 ランスリザードをプレイします。突進持ちなのでシールドエンジェルを上踏み。攻撃時能力でドラゴウェポンが場に出ます。
 武装キットとグリフォンナイトでで相手のリーダーに攻撃して4ダメージ。武装キットの攻撃時能力でカードを2枚引きます。
 ライトはこれ以上ないというぐらいの理想ムーブです。

後攻4T:ミカド
 2ターン目に手札に加えていた反転する翼をプレイします。

反転する翼
0コストスペル
チョイス
・自分の手札のフォロワー1枚を堕天させる
・自分の場の堕天フォロワー1体をもとに戻して+2/+2する

 手札の御言葉の天使を闇言の天使へ堕天させます。堕天してどんな能力を持つかはそれぞれのようです。ミカドが言っていた通り、武装フォロワーと同じような扱いです。
 ドラゴウェポンは1コストですが、反転する翼は0コストで堕天フォロワーを作ります。0と1では天と地の差があります。

闇言の天使
3コスト2/2
相手のフォロワーすべてと相手のリーダーに1ダメージ

 闇言の天使のファンファーレで全体に1ダメージ。闇言の天使を進化して荒牙の戦士・キットを上踏み。
 暗黒の御使いでランスリザードと相討ち。暗黒の御使いのラストワードで反転する翼1枚を手札に加えます。ライトはラストワードを嫌がってこのフォロワーを放置していましたが、上踏みしていても同じ結果になったので、ライトの選択肢は正解です。
 2枚目の暗黒の御使いをプレイし、ファンファーレで進化。グリフォンナイトを上踏みします。0コストで作れる堕天フォロワーが存在しているかどうかが条件になるのでかなり発動しやすい能力です。


5ターン目

先攻5T:ライト
 トリニティドラゴンをプレイします。前のターンにランスリザードが出したドラゴウェポンによって武装されます。実に4話以来という久しぶりの登場です。

武装トリニティドラゴン
3コスト2/3
攻撃されない
これが相手のカードの効果で選択されたとき、相手のリーダーに2ダメージ

 ナックルドラゴン・ドラグニルをプレイして、ファンファーレでドラゴウェポン1枚を手札に加えます。ドラグニルを進化。場に武装トリニティドラゴンがいるので、進化時能力で闇言の天使に3ダメージで破壊します。
 ナックルドラゴン・ドラグニルで暗黒の御使いを上踏み。ラストワードでミカドは反転する翼を手札に加えます。

後攻5T:ミカド
 このターンもアニメオリジナルカードをプレイします。

漆黒の使徒
3コスト3/2
ファンファーレ:相手のフォロワー1体に3ダメージ
相手のフォロワーが破壊されるたびに反転する翼を手札に加える

 このカードは常駐能力で反転する翼を供給するカードです。ファンファーレで武装トリニティドラゴンに3ダメージで破壊して反転する翼を1枚加えます。武装トリニティドラゴンの能力で相手のリーダーに2ダメージが飛びます。
 2枚目の反転する翼をプレイ。手札の天弓の天使・リリエルをダーク・リリエルへと堕天させます。

ダーク・リリエル
2コスト2/2
ファンファーレ:自分のコスト5以下のニュートラルフォロワー1体に突進を与え、+1/+1する

 リリエルは進化時能力が特徴的なフォロワーですが、ダーク・リリエルは全然違う能力です。ダーク・リリエルのファンファーレで暗黒の使徒は突進を持ち、+1/+1されます。
 3枚目の反転する翼をプレイ。ダーク・リリエルを天弓の天使・リリエルに戻して+2/+2します。手札で堕天させて新しい能力を使った後、場でもとに戻すというのが強い使い方のようです。面白いテーマですね。
 リリエルを進化して、進化時能力でドラグニルに1ダメージで破壊します。漆黒の使徒の常駐能力で反転する翼1枚を手札に加えます。反転する翼をいかに供給するかが難しそうなデッキです。
 ライトの言うように突進を付けた漆黒の使徒でドラグニルと相討ちをとるという選択肢もありましたが、進化権を投資することで盤面を強くしました。後攻5ターン目でライトの2面を処理しつつ、6/6, 4/3を立てるという強い返しとなりました。


ニュートラルデッキ

 シオンが解説していたように、ニュートラルのカードはどのデッキにも採用できる分、控えめな能力を持っています。ニュートラルのカードだけでデッキを組んでもあまり強くはありません。
 ミカドのデッキは「反転する翼」というトークンを生み出すカードが多投されており、他のクラスと同じようにちゃんとテーマを持ったデッキになっています。テーマがあればニュートラルのカードだけでデッキを組むデメリットはあまり感じなくなります。今回のバトルの進行は極めて普通のシャドウバースという感じです。
 一方でニュートラルのカードなのにニュートラルだけに通ずる一貫したテーマがあると、他のクラスと組み合わせにくいので、ニュートラルの存在意義を自ら否定しているようにも感じます。二律背反な感じが面白いですね。
 ニュートラルデッキというとアプリの古参はどうしてもWonderland Dreamsの環境を思い出してしまいますね。ニュートラルフォロワーにバフをかけるカードや、ニュートラルの枚数を参照するカードが多く登場したので、どのデッキもニュートラルの比率を大幅に高めていた特異な環境でした。

 これ以降ニュートラルをテーマにしたパックはないので、運営さんとしては失敗寄りの評価をしているのかもしれません。個人的にも、どのデッキからも飛んでくるカードが同じなので、カードゲームとしてあまり良いテーマではなかったのではないかなと思っています。
 ミカドがなぜニュートラルデッキを使っているのか、今後理由が聞けるといいなと思いました。

シャドバの才能

 いろんな人がシャドバ論を語るこのアニメですが、ミカドは才能派でした。

ミカド:「シャドバで勝つために必要なもの。それはね、才能だよ」

 あまりにもシンプル。だけどカードゲーマーからすると才能ほど定義しにくいものはないので、ミカドがこの論を唱えてくるのもなんか深いなあと感じてしまいます。
 デッキ構築の才能とプレイイングの才能の2つがあるのかなと自分は思います。努力や知識で伸びる余地が大きいと思いますが、どれだけ頑張っても届かないようなすごい人は世の中にいますからね。何が違うのだろうって思うこともあります。
 ライトはシャドバを始めてすぐに猛者たちと渡り合っていますから、ある意味才能がある側の人間なんじゃないかと思います。そんなライトに対して才能論を説いたとして、どのような着地点を見出すのでしょうか。逆に、弟がセブンシャドウズであるスバルに対しては刺さりそうな話だなと思いました。




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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 35話感想-共に思い出を重ねよう

 アニシャドFの35話の感想文です。

バトルなし回

 10話に1回ぐらのペースでバトルのない回がありますね~と前回書いたのですが、さっそく裏切られました。まさか連発とは。
 バトル回はどうしてもバトルありきの会話になるので、人物同士の日常の交流を描くならバトルをしていないときの尺が必要になりますよね。大胆な構成です。


ジェントルマンの正体

 ジェントルマンのネタ晴らしをいつするのか、どういう形でするのか。ずっと気になっていたんですが、こういう形でやるとは。気付けばもう35話ですし、頃合いだったのかも。
 もちろん驚いている人たちもいましたが、ライトがあっさり受け入れるというのは解釈一致でした。こういう懐の広い主人公だから、まわりが個性的でも成り立つというか、話がややこしくならずに済むというべきか。
 シノブとは長い付き合いだったので思うところはいろいろあったでしょうが、そこに言葉は不要という描き方でした。それもまた彼女たちらしい。いきなり面と向かって何かを語らせ合うというのも難しいでしょうし。
 セイラと喋っているときのシノブと、シオンと喋っているときのシノブが別人のようだったのも面白かったです。短い間でも人物の変化を描いていくのが丁寧だなと。

ドラグニルとは何なのか

 ライトがミカドにもらった箱にマルグリットがカードをかざすと、変形してUSBメモリが出てきました。ものすごいテクノロジーだなと思ったのですが、そこに関する説明はあまりありませんでした。

マルグリット:「これはDF。デジタルフレンドに関するデータが入ったメモリです。本来であれば、ジェネシスカンパニーのDF研究室に帰属するデータですが、ウルフラムさんがあなたにこれを渡したということは、これはおそらくドラグニルさんの記憶データなのでしょう」

 なぜDFと略すのか謎です。DF=デジタルフレンドだとしたら紛らわしすぎて略称の意味を成していない気が。ジェネシスカンパニーがデジフレを作ったとライトが指摘するとマルグリットはごまかしていました。当然と言えば当然ですが、ドラグニルだけがなぜ喋れるのかという謎はジェネシスカンパニーが一枚噛んでいるようです。
 DFを読み込むと、ドラグニルに記憶が流れ込みました。災いの樹に消えていく謎の男。ドラグニルのかつての相棒でしょうか。竜ヶ崎という名前もマルグリットから出てきました。いよいよ前作主人公のヒイロにスポットライトが当たり出すでしょうか。

マルグリット:「このデータはアークの探索中にウルフラムさんが独自に手にしたものです。したがって、他のセブンシャドウズが持っている可能性は十分にあります。」

 ドラグニルのために、ライトがセブンシャドウズを追いかけていくという大きな話の流れが示された形となりました。バトルなし回を2回挟んだのも、こうやって次なる目標を示すことが必要なタイミングだったからという理由もあったのでしょう。セブンシャドウズはその名の通り7人いますが、48話までに話がたたみ切れるのでしょうか…?エニグマの話にも触れなくてはいけないでしょうし。
 アークのフレーバーテキストで喋っているのはマルグリットさんなんですよね。伏線をどのように回収してくれるか期待です。

 ドラグニルの記憶に目が向けられるタイミングで、少年少女たちは海で思い出を作りました。「思い出って初めてドラ」というドラグニルと重なるように。テーマに一貫性があってキレイですね。




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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 34話感想-みなさん! リゾートですよ!

 アニシャドFの34話の感想文です。

ジェネシスアイランド

 今回はバトルなし回でした。1話、10話、22話に続く4回目です。だいたい10話ぐらい間隔が空いてますね。
 ジェネシスアイランド編のスタートと捉えておいて良いのでしょうか。いまのところ日帰り旅行ということにはなっていますが、トラブルに巻き込まれそうなフラグが立っています。無印アニシャドもジェネシスアイランド編の初回である13話はバトルなし回でした。
 因縁の地に戻ってきたなあと思いました。主人公たちがバトルを繰り広げたフィールドが画面に映り込んでいました。懐かしい。
 無印のときはシャドウグランプリの予選としてバトルロワイアル形式だったので参加者がたくさんいましたが、今回は貸し切りなので誰もいません。
 今回のシャドバオタク湧きポイントはシオンが試着していた水着でした。ドロシーモチーフのものとパメラモチーフのものがありましたね。シャドバが大人気コンテンツの世界線ならありえるのかも?



マルグリットとウルフラム・ゼルガ

 いろいろと思わせぶりな行動をとることに定評のあるウルフラム・ゼルガさん、今回はマルグリットのところに出向いていました。

マルグリット:「それは、どの件についての謝罪ですか?島を貸し切ったことか、あるいはあのデータを…」
ウルフラム・ゼルガ「両方だ。キミにはいつも助けられているよ」
マルグリット:「セブンシャドウズとジェネシスカンパニーは、協力関係にありますから」

 ジェネシスアイランドはウルフラム・ゼルガが貸し切っているらしいです。あたかも白銀ミカドが用意したバカンスだったのに。学園の創設者と理事長である2人の関係性はまだよくわかりません。
 ジェネシスカンパニーとセブンシャドウズは協力関係にあるらしいです。無印のときの事件を引き起こしたのは前社長レオンの暴走でした。その反省を活かして、いまのジェネシスカンパニーは秩序を守る側に立っているのでしょうか。
 ライトのデータを見ながら2人の会話は続きます。この画面で、いまのライトのデッキの中身が全部わかりました。

マルグリット:「この少年は、これから何を引き起こすのですか?」
ウルフラム・ゼルガ「さあ?」
マルグリット:「わからないのに、あの貴重なサンプルであるDFを渡したんですね」
ウルフラム・ゼルガ「与えられるべきだった運命を、彼に与えただけだ。そこから先何を選ぶかは、彼の自由。私は平等を尊んだにすぎないよ」

 DFと言っているように聞こえるんですが実際なんと言っているかはわかりません。これはたぶん1話で渡されたドラグニルが入っていたメモリだと思われます。
 シャドバ部対抗戦の優勝したので、ライトの手元には謎の箱もあります。運命の欠片と呼ばれていました。これらの正体はいつわかるでしょうか。

マルグリット:「平等。あなたのそうした考え方は、正直あまり理解できません」
ウルフラム・ゼルガ「レオン・オーランシュのような一方的な支配、強制的な正義は望まない、そういうことさ」
マルグリット:「少年については、私の方で少し探らせてもらいます」

 無印の最後でレオンは時空の狭間に消えていきました。ウルフラム・ゼルガはレオンに会ったことはあるのでしょうか。だとしたら、話は無印の時間軸のあたりから進行していたことになりますね。
 マルグリットはライトを探るためにジュスティーヌ姉妹に連絡していました。無印で登場した敵キャラですが、Switchソフトのシャドバトでは主人公に割と好意的なキャラにもなっていたため、Fでどんなふうに登場してくるか楽しみですね。


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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 狂人号 編

 2022年11月3日開始のイベント「狂人号」のストーリーを整理していきます。

1. エーギルの過去

1-1. エーギルと海の怪物

 まずはエーギルという国について簡単におさらいです。
 エーギルというのは国の名前であり、種族の名前でもあります。海の下にある巨大な国家で、都市は巨大な透明のドームで覆われています。
 科学者と技術者が国を治めるという変わった統治体制を持っていて、政治に関わる身分の人はそれぞれ科学執政官と技術執政官と呼ばれています。科学と技術が国の根幹にあるため、テラの地上の国家とは比べ物にならないほどテクノロジーが進んでいます。今回登場したリトル・ハンディのような自動機械が国中に溢れているそうです。
 今回新たに出てきた情報としては科学アカデミーという機関があるとのことでした。学術機関のようです。
 海の中にはエーギルの他に海の怪物がいます。群体として生きて進化し続けるこの怪物は、人類とは異なる生命体です。下等な個体は恐魚、少し進化している個体はシーボーンと呼び分けられますが、基本的には同じ怪物の仲間です。
 エーギルの都市はシーボーンの侵攻に脅かされるようになりました。


1-2. アビサルハンターと深海教会

 エーギルは技術でシーボーンに対抗しようとします。
 その手段の1つがアビサルハンターでした。シーボーンが驚異的な生命体であるならば、それを取り込んだ人間を生み出してしまえばよいというマッドな考え方です。詳細はまだ不明ですが、アビサルハンターたちはその身にシーボーンの血を取り込んだと言われています。
 シーボーンの力を宿したおかげで、アビサルハンターの戦闘力は常人を遥かに上回り、シーボーンと互角に戦えるようになりました。一方、知能の低いシーボーンはアビサルハンターの体内に同胞が囚われていると勘違いして攻撃を仕掛けてきます。
 グレイディーアはアビサルハンターの総戦略設計士という立場にいました。戦略を考える軍師のトップだったようです。
 シーボーンと必死に戦う人たちがいる一方で、シーボーンとお仲間になろうとする人たちも現れました。それが深海教会です。彼らはシーボーンを神と崇めています。エーギルの都市にシーボーンが攻め入る手引きをしたとも言われていました。
 深海教会には3人の司教がいました。1人目は「潮汐の下」のボスとして登場したクイントゥス。2人目が「狂人号」で登場したアマイア。3人目はまだ出てきていません。
 アビサルハンターたちは故郷を破壊したシーボーンを憎むとともに、深海教会も敵視しています。

1-3. 最後の戦争

 シーボーンの勢力が拡大していくことを黙って見ているわけにはいかないということで、とあるタイミングでアビサルハンターたちは決戦を挑みました。この戦いでアビサルハンターは壊滅したので、最後の戦争になってしまいました。
 アビサルハンターはシーボーンの本拠地に攻め入ったようで、シーボーンたちも決死の抵抗を見せました。出撃したアビサルハンターはほぼ全滅しましたが、唯一スカジだけが「あれ」と呼ばれるシーボーンの神のような存在に肉薄することに成功しました。「潮汐の下」で語られていましたが、「あれ」はスカジを前にしてほとんど抵抗することなく切り伏せられ、海底に沈んでいきました。
 第一隊と第四隊はチャンスを作ってくれて全滅。巣の近くで待機していた第二隊のグレイディーアとスペクターはなんとか生き延びました。スカジだけが突入できた第三隊も全滅したと思われていたのですが、隊長のウルピアヌスが生きていたということが「狂人号」でわかりました。

1-4. スペクターの人体実験

 生き延びたスペクターがどのように過ごしていたのかということについて。
 スペクターの本名はローレンティーナと言います。最後の戦争のあと、彼女は陸に打ち上げられました。アマイアが偶然倒れている彼女を発見したとき、深海司教たちは大いに喜びました。シーボーンの血を取り込んで平然と生きているアビサルハンターたちは、彼らからすれば完全な生命体。ぜひとも研究をしたかったのですね。逆に言うとアビサルハンターが誕生する仕組みは、多くのエーギルにとっては秘密にされているようです。
 深海司教たちは早いタイミングで海中から陸地に来ていたようで、陸地の源石技術を操ることができました。アビサルハンターが鉱石病に罹患するのかを調べたかったのか、アーツが使えるようになるのかを調べたかったのか、スペクターの髄液に高濃度の源石液を注入してしまったのです。
 このときの実験で、アマイアはローレンティーナの精神状態を記録する役割でした。ローレンティーナとたくさんおしゃべりしたと言っていたのは、精神状態をチェックするためだったのでしょう。
 クイントゥスは実験以外眼中になかったとアマイアが言っていたので、実験をメインで担当する研究者だったということでしょうか。まだ姿が出ていない3人目は、司教ではなくお医者さんなのだと言われていました。ローレンティーナの手術の執刀医だったとのことです。
 ローレンティーナは実験によって人格が変わってしまいました。そのあと何が起きたのかはわかりませんが、深海教会のもとを逃げ出し、ロドスに逃げ込んできます。それがいままで前衛オペレーターとして実装されていたスペクターの姿です。修道女の姿をしたスペクターは、元の人格とは異なり無口です。
 スペクターには高濃度の源石液が注入されていて、一定の感染水準にありますが、不思議なことに感染はそれ以上は悪化していきません。その理由はアビサルハンターとして取り込まれたシーボーンの部分が、源石の拡大を防ぐのだと明らかにされました。スカジやグレイディーアの血液中源石密度が極端に低いのも同じ理由でしょう。シーボーンは源石に抗うことができるのですね。


1-5. ウルピアヌスが見たもの

 死んだと思われていたウルピアヌスについて。
 ウルピアヌスは最後の戦争で傷を負い、海溝の奥深くへと落ちていきました。そこはエーギルにとっては未知の領域。シーボーンの巣の真下だったのでしょうか。
 ウルピアヌスはそこで神殿のような建築物を目にしました。シーボーンがそんな高度なものを作れるのでしょうか。それはエーギルが数千年前に見つけた文明の起源なのではと疑っていました。シーボーンの歴史はエーギルのそれよりも古いとも言われていました。
 神殿の中には入れなかったようですが、そこにはシーボーンの胎児と、「あれ」が何体もいたそうです。胎児たちはIshar-mlaの名を口にしていたとウルピアヌスは語っていました。
 ウルピアヌスはアビサルハンターで唯一この情報を握ったまま、陸地に上がり1人で活動をしていました。グレイディーアやスカジが生き延びたことは知っている様子でしたが、この神殿を見てしまったことで、彼女たちとは別行動をしなくてはいけないと思ったのでしょう。「狂人号」でようやく彼らが再び相まみえることになりました。


2. イベリアの過去

2-1. イベリアの黄金時代

 次にイベリアという国を見ていきます。大昔のイベリアの話からスタートです。
 シーボーンがじわじわとエーギルの都市を侵略し始めたころ、一部のエーギル人たちは海から陸へと避難してきました。エーギルから一番近いところにあったのがイベリアだったらしく、上陸したエーギル人はイベリアに住み着き、島民と呼ばれるようになりました。
 エーギルの科学技術は陸上国家の遥か先を進んでいました。陸へと逃げてきたエーギル人がもたらした技術は、イベリアを大きく発展させます。イベリアの黄金時代の幕開けです。
 イベリアはテラ全土を横断して、ボリバルまで進軍したことがあったそうです。「ドッソレスホリデー」にて、ボリバルの歴史を紐解くと元々の支配者はイベリアだったと言われていましたが、その意味がようやくわかりました。ドッソレスの人工の海にはイベリアの技術を復元した船が浮かんでいましたが、この時代にもたらされた技術だったのでしょう。
 イベリアの黄金期は大いなる静謐という大災害が起きるまで続きました。

2-2. ブレオガンの陸上探索

 大いなる静謐が起きる前、陸に上がってきたブレオガンという1人のエーギル人が、物語のカギを握っています。
 ブレオガンはシーボーンの脅威を予期していました。あと10年もするとエーギルの都市はシーボーンに包囲されてしまう。にもかかわらず傲慢なエーギルは自分たちの勝利を疑っていません。そんなタイミングで活路を求めて陸に上がってきて、シーボーンと戦う武器を求めました。ブレオガンは科学アカデミーが誇る天才だったと言われていたことから、科学者なのだと考えられます。
 「狂人号」のイベント2週目に解放された「古びた手記」というステージは、ブレオガンに付き添ってエーギルからイベリアにやってきた男性が書き残したものです。この人はブレオガンと一緒にテラの大地を回りました。絵が上手だったので、挿絵つきでブレオガンとの旅の様子が描かれています。陸の人々はエーギルと比べれば貧弱ですが、源石の力を使いこなしていたことに関しては一定の評価をしていました。
 ブレオガンたちは巨獣と出会います。テラの大地に古から生きる伝説的存在。海の敵と似ている所があると書き残していました。
 ブレオガン一行は10年ほどかけてテラを探索しました。その中で、預言者・神の使い・祭司と呼ばれる特別な数名と出会ったことが特筆されていました。ブレオガンはその中でも名前が発音しにくい1人と長いこと話し込んだそうです。
 「帰還!密林の長」に大祭司と呼ばれる鳥が出てきました。エンペラーやダック卿と同じく悠久の時を生きる謎の存在。ブレオガンが出会ったのは彼らなのではないかなと自分は予想していますが、根拠はありません。名前が発音しにくいというヒントもよくわかりません。


2-3. ブレオガンが遺したもの

 長い旅を経てブレオガンたちはイベリアに戻ってきました。ブレオガンは「狂人号」のストーリーに繋がる重要なものを遺します。
 1つはイベリアの眼。エーギルの技術を詰め込んだ灯台です。エーギルの通信装置が組み込まれていて、イベリアとエーギルを繋ぐ存在です。そしてもう1つがスタルティフィラです。他に類を見ない素晴らしい戦艦です。
 ブレオガンがこれらを作ったのは、偉大なる計画の一部だとのことでした。その計画にはカルメンとアルフォンソも加わっていて、シーボーンへの対抗を目指したのではないかと考えられます。
 ブレオガンはスタルティフィラの中に宝物庫を作り、そこに入るためのカギを遺しました。宝物庫の中には彼が陸地で見つけた技術と、エーギルから持ってきた技術を融合させた成果物が納められていました。
 大事な宝物庫のカギには細工がしてありました。このカギは血を吸わないと機能しません。ただ、少し不可解な点としては、「騎兵と狩人」で見たように現在このカギはグラニの血で起動されているということです。エーギルとは何の関係もない、普通のクランタ人の血です。カギさえ手に入れれば、この宝物庫は誰でも開けられるようになっていたのです。
 ブレオガンはイベリアに手がかりを遺したくて、このようなことをしたのではないかなと思います。一体何を思い描いて、何を後世に残したのでしょう。グレイディーアとウルピアヌスは「狂人号」の中でこの宝物庫からヒントを得ました。それが今後へと繋がっていくのだと思います。
 アルフォンソを船長として、スタルティフィラは大艦隊を率いて出航しました。その数日後に大いなる静謐がやってきます。巨大な大波によって艦隊は壊滅。スタルティフィラ以外の船はすべて海の藻屑になってしまいました。イベリアも大きな被害を受けて苦難の時代へと突入します。
 大いなる静謐はエーギルと関係があるのではないかとイベリアの人々は疑い、ブレオガンは酷い目に遭いました。彼が受けた苦難がイベント3週目に公開された「鏡写しの映像」の部分です。イベリア人のために様々な技術を提供したブレオガンでしたが、最後は彼らに疎まれて殺されてしまったようでした。



2-4. 国教会から裁判所へ

 大いなる静謐はイベリアの大きな転換点となり、国を治める体制も変化していきました。
 大いなる静謐がやってくる前、イベリアの政治の中心はイベリア国教会でした。ラテラーノ教皇を頂点としたラテラーノ教から派生した宗派なのですが、教皇庁からは一定の距離を置くことで法の拘束を避けていました。イベリアが黄金期を迎えていたこともあり、独自の方向性を探っていたのですね。
 しかしイベリア国教会という組織はイベリア国内を掌握しきるほどの力を持っていたわけではなさそうでした。貧弱なイベリアの王族にすら権力争いでは勝てなかったとのこと。
 大いなる静謐がやってきてイベリア国内はめちゃくちゃになりました。人々は黄金期の幻想を引きずったまま惨めに暮らしています。イベリア国教会は裁判所へと名前を変えて、体制を変化させていきます。
 裁判所の初代の構成員は9人いました(アイリーニのプロファイルだと12名?)。ラテラーノ教と同様の体制を作るならトップは教皇を名乗るのですが、彼らはそうすることを選ばず、聖徒と名乗りました。自らの名前を捨てて、それぞれが「イベリア」を名前の一部に入れました。聖徒カルメンは正式にはカルメン・イ・イベリアと名乗っています。
 大いなる静謐は1038年の出来事でした。「闇散らす火花」が1098年の出来事だったので、大体60年前の出来事です。その間にカルメン以外の聖徒は全員亡くなってしまいました。カルメンは現在123歳。普通のリーベリならとっくに寿命を迎えている年齢なのですが、裁判所がなんらかの延命措置を行っているのではとケルシーが指摘をしていました。詳細は不明です。
 裁判所にはとある秘密があります。裁判所の地下には一匹のシーボーンが囚われていて、審問官がイベリアの現実と向き合うためにそのシーボーンと向き合っているようでした。アイリーニは師匠のダリオに連れられてこのシーボーンと対面し、身振り手振りだけで意思疎通が行われたのだと驚いていました。

3. 狂人号の時系列

3-1. グランファーロの悲劇

 前提はここまでにして、「狂人号」の現在の時系列を見ていきます。大いなる静謐が起きた後のグランファーロという街について。
 大いなる静謐はイベリアの海岸線をことごとく破壊しました。しかしブレオガンが作ったイベリアの眼だけはそれを耐えました。この灯台に一番近い町がグランファーロでした。街の中心にはイベリアの眼を模した彫刻があります。
 グランファーロの人々はイベリアの眼を復活させようと奮闘していました。ジョディの両親もその一員でした。灯台技師だった2人はイベリアの眼の修理のために海に漕ぎだしたのですが、ついに戻ることはありませんでした。両親に先立たれたジョディの親代わりとなったのがティアゴでした。
 20年ぐらい前まではジョディの両親のようなエーギルがグランファーロの街にたくさん住んでいました。しかし、イベリアの眼に近いこの街には深海教徒たちも潜んでいました。彼らはイベリアの眼を海へ繋がるものとみなし、掌握するかできなければ破壊してしまおうとしていました。
 裁判所はイベリアを蝕む深海教会を邪教として根絶しようとしています。グランファーロを要塞化する計画を持っていた裁判所は、深海教会をこの地から追い出すべく、大規模な粛清を行いました。
 その際、多くのエーギル人が捕らえられたのですが、その中にはティアゴの妻のマリーンというエーギルの女性がいました。マリーンはグランファーロの深海教徒たちのリーダー的存在でした。裁判所は彼女のことを捕まえ、二度と街に戻すことはありませんでした。ティアゴが裁判所を強く恨んでいるのはこのためです。
 しかし、ティアゴは深海教徒たちがこの街に潜んでいることもわかっていました。マリーンの正体には気づいていない様子でしたが、真相はどうだったのでしょうか。個人的な感情とイベリア全体の利益の中で、彼の心は揺れていたのだと思います。


3-2. ケルシーが繋げた人たち

 「狂人号」の物語を動かしていくきっかけになるのはケルシーの意志でした。
 「潮汐の下」でグレイディーアとスカジはスペクターを救い出しますが、サルヴィエントという街がめちゃくちゃになってしまいました。その責任をとる形で、ケルシーはイベリアの囚人となり、カルメンに連行されるという形でグランファーロへとやってきました。
 カルメンとケルシーは長い旅路の中で多くの問答を行い、海の脅威を取り除きたいという共通の目的の下に利害が一致しました。カルメンはイベリアを守るためですが、ケルシーはテラという大地全体を守るための行動で、よくよく解きほぐすと最終目的はズレていますが、方向性は同じです。ケルシーはカルメンにシーボーンを倒す方法を約束しました。
 ケルシーは2つの勢力を呼び寄せて、これを成し遂げようとします。1つがアビサルハンター。もう1つがAUSです。Miseryを経由し、通信が得意なエリジウムに補佐を依頼していたようでした。
 アビサルハンターたちはエーギルに帰ろうとしていました。ただ帰るだけなら実行できたかもしれませんが、シーボーンに支配されてしまった水中都市を解放せねばなりません。彼女たちもまた、シーボーンを倒す方法を探しているのです。サルヴィエントでの出来事については、グレイディーアはケルシーに感謝していました。自分たちのために何らかチャンスを作ろうとしてくれているのだと認識しています。
 一方で、AUSの目的はわかりません。答えを探しているという曖昧な記述に留まるのみでした。「青く燃ゆる心」でAltyがロドス号に乗り込んできたとき、ケルシーはスカジが滴水村で探し出したカギを渡しました。今回はそのカギが必要になったので、グランファーロに来てくれと呼び寄せていたようでした。なぜわざわざAUSの手を経由させたのでしょうね。
 AUSはいままでエーギル人を名乗っていましたが、カルメンとケルシーは彼女たちが巨獣の一部なのだと明言していました。AUSには陸地に同族がいるとケルシーはグレイディーアに伝えていたので、隠しておくつもりはないようです。陸にいる同族というのはニェンたちのことでしょう。ロドスにいますから、グレイディーアには説明がしやすかったのかもしれません。
 イベリアの眼を経由してスタルティフィラを目指すという道筋が描かれました。これを実現するには裁判所のサポートも必要です。カルメンはダリオとアイリーニを招集し、任務を与えました。AUSが持ってきたカギはグレイディーアに預けられました。また、ブレオガンの子孫であるとケルシーが嘘をついてジョディも作戦に参加することになりました。彼らの交渉はまとまり、スタルティフィラへと至る旅が始まります。


3-3. イベリアの眼からスタルティフィラへ

 物語の舞台は最終的にスタルティフィラへと移っていくのですが、それぞれの中継地点でやるべきことがありました。
 ケルシーとカルメンはグランファーロに残って深海教徒の片づけを優先しました。Mon3trの火炎放射と懲罰軍が持つエーギルの技術で深海教徒が使う溟痕を取り除くことができます。グランファーロは昔からイベリアの眼に近い要所です。裁判所がこの街を抑えておく必要があると判断したのでしょう。
 グランファーロから50海里(約90km)ほど海を進んだところにイベリアの眼はあります。ジョディがノートを頼りに灯台のシステムを起動させて、スタルティフィラを発見することができました。両親が命を賭して復活させようとしたイベリアの眼に、ジョディは残ることを決めました。大審問官ダリオが恐魚たちから守ってくれます。
 スタルティフィラには先客がいました。アマイアとウルピアヌスです。ウルピアヌスにとってアマイアは憎き敵なのですが、グレイディーアよりも先にたどり着きたいという意図で行動を共にしていました。
 グレイディーアはケルシーからカギを受け取り、これを使ってスタルティフィラの宝物庫を開こうとします。

3-4. グランファーロを守る戦い

 グランファーロの戦いの決着から見ていきます。裁判所と深海教会の戦いの間で、町長であるティアゴの運命は最期まで翻弄されることになりました。
 裁判所のスパイが深海教会に潜り込んでいたため、グランファーロの深海教会に戦術的な優位はほとんどありません。アマイアがスタルティフィラに向かってしまったため、支柱となる人物もいません。唯一の武器となるのは溟痕ぐらいでしょうか。
 深海教徒たちはシーボーンを神と崇めていますから、個として生きることよりも、群体として進化することを重要視しています。自分たちが裁判所に殺されることは気にしません。アマイアが無事にスタルティフィラに向かったいま、街を奪いたいと考えてはいるものの、実力が伴いません。
 ティアゴは深海教徒がグランファーロに潜んでいることを知っていました。深海教会は故郷を踏みにじった敵だと認識しています。その一方で、愛するマリーンを連れていかれた恨みがあるので裁判所にも非協力的です。複雑な心境を抱いたまま、ティアゴは深海教徒に殺されて息を引き取ることになりました。生きていたとしても、反逆の罪で裁判所から処罰を受けたことにはなったでしょう。
 深海教徒を追い出した裁判所は、ここに前線基地を建てることになりました。


3-5. 最後の騎士

 イベリアの眼とスタルティフィラに現れた最後の騎士とは何者だったのか。
 最後の騎士は昔は人間でしたが、いまはシーボーンになってしまっています。アルフォンソと知り合いのようだったので、同じぐらいの時代を生きた人だったのかもしれません。アルフォンソは「ザクロの樹下のアルフォンソ」という異名を持つため、最後の騎士は「ザクロの花よ」と呼び掛けていました。
 スタルティフィラにはブレオガンが遺した宝物庫があります。そのカギは船員の1人が持っていたのですが、その人がシーボーンに飲み込まれて正気を失ったとき、アルフォンソはカギを海へと捨てました。それが50年前ぐらいの話。
 最後の騎士の生い立ちはカジミエーシュの騎士小説を参照するしかありません。イベリアにやってきた最後の騎士は大波へと立ち向かい海に消えました。浜辺に打ち上げられた形見を家族がカジミエーシュに持ち帰ったとされていて、そこに宝物庫のカギがあったようです。最後の騎士が海中で拾って、浜辺に置いたということなのでしょうか。
 カジミエーシュでは、征戦騎士が亡くなると莫大な遺産とともに埋葬される風習があります。最後の騎士の形見は滴水村付近に埋められ、「騎兵と狩人」でスカジが発見することになりました。エーギルは海の匂いに敏感なので見つけられたのではないかとケルシーが言っていました。
 宝物庫のカギの変遷については一応の理屈は通るものの、最後の騎士の伝承に頼る部分があるので事実なのかは確証が得られません。今後神秘のベールが剥がれるときがくるかもしれません。
 最後の騎士と一緒にいたロシナンテという生物も謎の存在です。馬がシーボーンになったような外見をしています。
 ロシナンテという名は小説「ドン・キホーテ」の主人公の馬の名前と同じです。騎士道物語の読みすぎで自分が騎士だと勘違いしたドン・キホーテというキャラクターは、最後の騎士のモチーフになっているのだと思います。イベリアの眼に攻撃をしかけた彼の姿は、風車を巨人だと勘違いして攻撃したドン・キホーテのエピソードに重なります。
 ウルピアヌスが最後の騎士に親しげに話しかけているシーンもありました。大波を砕くことに執着する最後の騎士に対して、登場人物たちは一定の敬意を持って接しているように思いました。今後もどこかで出てくるのでしょうか。


3-6. ディヴィニティエンドとIshar-mla

 スタルティフィラには1匹のシーボーンが乗り込んできていました。アルフォンソがこれを狩ろうとしているところに、アビサルハンターとアイリーニたちが侵入してきた形となりました。
 スタルティフィラは大いなる静謐の大波でも沈まず、60年間も海の上を漂い続けてきました。普通なら陸地に打ち上げられたり、浸水して沈んだり、シーボーンたちに襲われたりするはずです。なぜ無事だったかというと、シーボーンがスタルティフィラの存在を認めていたからです。海に適応できない同胞を受容していたこの船は、浮かべておく価値があると思われていたのですね。
 ディヴィニティエンドという名前のこのシーボーンには環境を構築するという使命があります。シーボーンにとってより良い環境、より進化しやすい環境を作り出したいと考えていたのでしょう。
 ディヴィニティエンドはアルフォンソやアイリーニから攻撃を受けて傷を負いますが、アマイアを捕食して飛躍的な進化を遂げました。アマイアはリーベリなので羽が生えてきています。
 ディヴィニティエンドがスカジに問いかける内容が解釈の難しい部分です。「狂人号」ではIshar-mlaという名前が至るところに登場するのですが、それがなんなのかよくわかりません。恐魚を食べて半身が怪物になったアルフォンソですらその名を知っていますし、スカジ自身も名前が持つ意味は理解しているようでした。
 ディヴィニティエンドが探している「あの方」はスカジが昔倒したシーボーンの神だと思うのですが、それとIshar-mlaが同等の存在なのかはっきりしないのですね。「あれ」は複数いるのだとウルピアヌスが言っていたため、「あれ」の中の1つがIshar-mlaなのかもしれません。
 スカジによって倒された「あれ」はスカジの中に宿ってしまったようで、それが原因でスカジはいずれシーボーンの上位個体に成り果てしまうぞとウルピアヌスは警告を発していました。そのときはスカジを殺すしかないと。
 濁心スカジはいまのスカジとは異なるIFの存在であると考えられますが、ウルピアヌスが恐れる最終段階があの姿なのかもしれません。「もうすぐ空気中を泳げる」だとか、「身体を流れるのが血液ではなくなった」とか、化け物じみたことを言っています。異格オペレーターの姿を通じて、起こりうる1つの未来を具現化しているのかもしれません。
 ディヴィニティエンドはアビサルハンター4人+アルフォンソ+ガルシア+アイリーニでようやく撃退することができました。シーボーンがこれ以上進化を重ねていったらどうなってしまうのでしょうね。

4. 今後へ

4-1. エーギル奪還へ

 グレイディーアたちの目的は明確です。エーギルをシーボーンの手から取り戻すことです。
 ウルピアヌスも同じゴールを描いていますが、グレイディーアと比べると慎重派です。海溝に落ちて「あれ」が複数いることを目撃して、敵の強大さを身に染みて理解しているからです。答えを得るまでは何をしても無駄だろうと言っていました。
 ウルピアヌスは「あれ」の正体に対して仮説を持っています。その仮説はブレオガンが辿り着いた結論と近く、宝物庫に入っていたものが根拠になると考えているようです。
 ブレオガンは「あれ」を海神(かいしん?わたつみ?)と呼びました。この呼び方はエーギルでは使われておらず、陸地の狂信者がこの呼び方を使っていたのだそうです。海神の存在を認知し、それを信仰するに至った陸地の人がいるようです。陸に上がった深海教会ということなのか、さらに別のグループがあるのか。
 グレイディーアも宝物庫の中のものを見るとともに、「狂人号」での出来事を通してある程度考えを改めたみたいです。最後の戦争でスカジが「あれ」を1体倒したけれど、それは一部に過ぎないと言っていました。
 スタルティフィラが沈んだときに、海面下に見えたエーギルの都市についても、いますぐ帰ったとしても何もできないだろうと諦めていました。本来はこんなに陸地のすぐそばにエーギルの都市はなかったはずで、シーボーンの侵攻が予想以上に激しく、陸に近いところに避難してきたのだと考えられます。
 グレイディーアたちがエーギルを奪還していく過程が、今後のエーギルイベントの1つの方向性になっていきそうです。


4-2. 巨獣と海神

 エーギルを奪還するためには、ブレオガンが見つけたものを紐解いていく必要がありそうです。
 ブレオガンは陸を探索した結果、地上に住まう巨獣と海を支配する海神の間に繋がりをみつけました。ケルシーはその考えを発展させて、海から来た巨獣であるAUSの4人が大きな手掛かりだと考えている様子でした。
 AUSのメンバーはただのバンドマンに見えるのですが、さすが巨獣とでもいうべき超常な力を持っています。ジョディがイベリアの眼から沈没したスタルティフィラへ向けて小舟で漕ぎだした終盤のシーンでそれが発揮されました。広い海の中でアビサルハンターたちを見つけることなんて普通は不可能なのですが、Frostが助けてくれたので無事にみんなを救出することができました。波の行く先を操ることができるようです。
 シーボーンや恐魚はAUSの4人に干渉しません。海には腐った末裔たちがいて環境を変えていることや、Frostが岩の奥で生まれたことなども語られましたが、この4人の生態はよくわからないことだらけです。海に関連する勢力の中で、どういう立ち位置を占めることになるのかが気になります。
 ケルシーはFrostに対して、いずれ真の意味で協力することができると言っていました。AUSの4人もなんらかの問題を抱えている様子だったので、ロドスと一緒にそれを解決するお話が今後描かれていくでしょうか。


4-3. ロドスと裁判所の架け橋

 最後に、ロドスとイベリアの今後について。ロドスは優秀な人材を新たに2人オペレーターに加えました。
 1人目はジョディ。彼は星6オペレーターにしては珍しく、本当にただの一般人です。ただ、多くを知ってしまったこともあり、カルメンは彼を裁判所の一員にします。いままでエーギル族の人間が裁判所のメンバーになったことはないので、いばらの道を切り開くことになります。
 ジョディは裁判所の人間でありつつ、イベリアに駐在するロドスのオペレーターにもなりました。2つの身分を同時に手に入れ、突然忙しい日々に放り込まれたのではないかと思います。
 2人目はアイリーニです。彼女は審問官の地位を捨て、裁判所のトランスポーターとしてロドスのオペレーターになりました。審問官という地位ではアビサルハンターたちと行動を共にするのが難しいのですね。
 亡くなった師匠ダリオの意志を継いで、大審問官を目指すという道も考えられたとは思うのですが、彼女はそれよりも大きなものを目指しました。海の脅威を打破してイベリアを守ること。師匠に言われたようにイベリアの砦となるべく彼女は奮闘していくことでしょう。
 というわけでロドスはいままでコネクションがほとんどなかったイベリアの裁判所に後ろ盾を作ることができました。スタルティフィラは沈んでしまい、ダリオを失った裁判所でしたが、今後はロドスと協力して海の脅威に立ち向かっていけるのではないかと思います。


感想

 ここからはただの感想です。
 「狂人号」は人間の傲慢さを巡る物語だったなと感じました。自らの科学技術におごったエーギルの傲慢、エーギルがもたらした技術におごった黄金期のイベリアの傲慢、超人的な戦闘能力におごったアビサルハンターの傲慢。至る所で人々の傲慢さが自らを滅ぼしたという話がでてきたように思いました。
 一方で、海の怪物は傲慢さとは対極の存在です。奴らには個がありません。種族全体のために個を投げ出し、すべての個体が群体の進化に奉仕します。生命体として優れているのはどちらなのか。
 アマイアが「生命とは無秩序なものではない」と主張していましたが、個人個人が好き勝手にやりたいことをやる人間の無秩序さに、彼女は幻滅していたのかもしれません。すべての個が群体としての秩序の中で生きる海の怪物に、深海司教たちがひかれたのもなんとなくわかるような気はします。
 個人個人が自らのもつ「らしさ」を解放して生きようということが、近年の人間社会で盛んに謳われるようになりました。それは素晴らしいことであり否定するつもりはありませんが、そこに対する皮肉の目線を感じてしまうのですね。弱ったシーボーンに対して恐魚が自らの血肉を与えて守ったように、個を捨てて全体最適を取り続ける社会の方が強いのではないかと。
 もちろん、アークナイツの主役は人類であり、最終的に彼らは海の怪物を撃破してくれると思います。より優れた生命体を決める頂上決戦の中で、勝敗を分けるカギとなるのはなんなのか。無限の柔軟性を持つシーボーンをどうやって撃滅するのか。今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。


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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 33話感想-今の俺なら、お前に届く!

 アニシャドFの33話の感想文です。

ライトvsハルマ

7ターン目

先攻7T:ハルマ
 ライトの場にはドラゴウェポンが1枚と、7/1のランスリザードがいます。
 冥府神との契約をエンハンス7でプレイします。ランスリザードを破壊し、プルート1体を場に出し、ランスリザードのスタッツを吸収します。プルートは8/2になります。

後攻7T:ライト
 瞬刃のドラゴニュートをプレイします。

瞬刃のドラゴニュート
4コスト3/4→5/6
ファンファーレ:自分のEPが1以上で、自分の場にドラゴウェポンがあるなら進化する
攻撃時:フォロワーへ攻撃したなら(ダメージを与え合う前に)、そのフォロワーに「このフォロワーの攻撃力の値」と同じダメージ。

 ファンファーレで進化して、プルートに攻撃。攻撃時能力で5ダメージを与えて破壊します。
 大嵐のドラゴンをプレイ。場にあったドラゴウェポンによって武装されます。
 2枚目のハンマードラゴニュートをプレイ。ファンファーレでドラゴンスマッシュ1枚を手札に加え、そのコストを0にします。
 武装大嵐のドラゴンで相手のリーダーに攻撃。攻撃時能力で自身を+1/+0して3ダメージ。ハルマの体力は15。


8ターン目

先攻8T:ハルマ
 恐怖の大鎌をプレイ。

恐怖の大鎌
4コストスペル
相手のフォロワー1体を破壊する
自分のリーダーは、「次の自分のターン開始時、このバトル中に破壊されたネクロマンス能力を持つフォロワーをランダムに1体場に出し、「自分のターン終了時に潜伏を持つ」を与える」を持つ

 最近のシャドウバースは除去スペルがインフレする傾向にあり、4コストで確定除去しつつさらにプラスの効果を持つカードが許されます。
 ハルマは偶然と必然の話をしていましたが、ネクロマンス能力を持つフォロワーをデスサイズハウンドだけにしておけば復活先は確定になります。もちろん、デスサイズハウンドが早めのターンで墓地に送られる必要はありますが、噛み合えばデスサイズハウンドをプレイする5コストを丸々踏み倒します。
 恐怖の大鎌で瞬刃のドラゴニュートを破壊します。余ったコストでラビットネクロマンサーをプレイします。武装大嵐のドラゴンとハンマードラゴニュートは場残りします。ハルマ側は体力に余裕があるのと、デスサイズハウンドのAOEでどうせ破壊できるのでこのプレイになりました。

後攻8T:ライト
 2コストのドラゴンスマッシュをプレイ。ラビットネクロマンサーを破壊し、ドラゴウェポンが場に出ます。ラビットネクロマンサーのラストワードでライトに2ダメージ。ライトの体力は7。
 レーヴァテインドラゴンをプレイして進化します。

レーヴァテインドラゴン
6コスト5/5
突進
攻撃時:PPを2回復。自分の場にドラゴウェポンがないなら、ドラゴウェポンを1枚出す
進化時:場にドラゴウェポンがあるならそれを破壊し、
・レーヴァテインドラゴン・アタックモード
・レーヴァテインドラゴン・ディフェンスモード
・???
チョイスしたカードに変身する

 進化時能力で場のドラゴウェポンを破壊し、レーヴァテインドラゴン・アタックモードに変身します。

レーヴァテインドラゴン・アタックモード
6コスト8/6
このフォロワーが場にいる限り、自分の武装フォロワーは+1/+2されて突進を持つ
攻撃時:フォロワーに攻撃したなら自身を+1/+2し、「このターン中に2回攻撃できる」を持つ

 二回攻撃がウリのフォロワーですが、このターンは相手の場に攻撃できる的がありません。その代わりに、自分の場の武装フォロワーをバフする能力を活かします。ハンマードラゴニュート武装大嵐のドラゴンで相手のリーダーに攻撃し2+4ダメージ。これでハルマの体力は9。ライトは7。
 次のターンにデスサイズハウンドが復活してくることは確定です。墓場の条件をクリアしつつ1点飛ばせばハルマの勝ちなので、このターンからすでにディフェンスモードをプレイしておかないと負けの可能性がけっこうあったと思います。アタックモードを選んだのはかなり強気のプレイでした(結果論正解だったのですが)。


9ターン目

先攻9T:ハルマ
 恐怖の大鎌の能力が発動します。デスサイズハウンド1体を場に出し、「自分のターン終了時に潜伏を持つ」を付与します。
 現状墓場は7です。スパルトイサージェントをプレイして、ファンファーレで墓場+1。2枚目のソウルコンバージョンをプレイして、スパルトイサージェントを破壊し、カードを2枚引きます。これで墓場が10になりました。
 デスサイズハウンドを進化し、攻撃時のネクロマンス10で相手のフォロワーすべてと相手のリーダーに6ダメージ。これで盤面は吹き飛び、ライトの体力は1。
 余ったコストで2枚目のラビットネクロマンサーと2枚目のボーンキマイラをプレイ。ラビットネクロマンサーを破壊した瞬間にゲームが終わるので、割と絶体絶命です。ラビットネクロマンサーはソウルコンバージョンのドローで引いてきたカードだったのですが、もし先にハンドに来ていればソウルコンバージョンを撃って2ダメージがこのターンに飛んでいたので、ハルマの勝ちでした。

後攻9T:ライト
 新カードをプレイ。

アーマーパージ
3コストスペル
このバトル中に破壊された、コスト最大の武装フォロワーと同名のカードを手札に加える。ドラゴウェポンを場に出す。進化ポイントを1回復する

 ドラゴウェポンが場に出るので実質2コストでEPを回復してリソースも補充するスゴイカード。
 このバトル中に破壊された、コスト最大の武装フォロワーで選ばれたのは進化前のレーヴァテインドラゴンでした。アタックモードもたぶん武装フォロワーだと思うので、2分の1の賭けに勝った形です。
 手札に加えたレーヴァテインドラゴンをプレイして進化。ドラゴウェポンを破壊して今度はディフェンスモードに変身しました。

レーヴァテインドラゴン・ディフェンスモード
6コスト6/8
守護
相手から受けるダメージを-3する
このフォロワーが場にいる限り、自分のリーダーが受けるダメージを-3する
自分のターン終了時、自分の場のフォロワーすべてと、自分のリーダーの体力を3回復する

 アプリ版のビクトリーブレイダーとほぼ一緒のバリア能力です。このカードは他のフォロワーにバリアを貼らないので、そこだけはビクトリーブレイダーの方が強いです。一見地味に見えるのですが、このカードが突破できなくて1枚で詰んでしまうデッキもあるぐらいには強烈な効果です。

 ディフェンスモードでラビットネクロマンサーを攻撃。バリアを貼っているので一方的に破壊し、ラストワードの2点もダメージカットで0点にします。
 ターン終了時に自分の場のフォロワーすべてと、自分のリーダーの体力を3回復。ライトの体力は4。


10ターン目

先攻10T:ハルマ
 ライトの迫力に押されていましたが、確定除去カードがあればハルマの勝ちです。深淵への誘いとか、2枚目の恐怖の大鎌とかですね。必殺を持ったワイトキングをぶつけるだけでも勝ちなので、進化権を回復したり突進を与える効果があっても勝ちでした。
 死霊の宴をプレイして、自分の墓場+13します。墓場はこれで14。
 ワイトキングをプレイします。ファンファーレ:ネクロマンス4で自身を+1/+1して守護と必殺を持ちます。
 2枚目のクロースケルトンをプレイ。
 デスサイズハウンドでレーヴァテインドラゴン・ディフェンスモードを攻撃。墓場が10あるのでネクロマンス10は働きますが、ディフェンスモードがダメージカットをするので受けるダメージは3のみ。ライトの体力は1。さらにデスサイズハウンドの攻撃も3点マイナスされて3ダメージ。体力8のディフェンスモードは突破できません。デスサイズハウンドが返り討ちにあいます。

後攻10T:ライト
 手札に抱えていた0コストのドラゴンスマッシュをプレイ。ワイトキングに3ダメージ。ワイトキングの体力は5なので倒れません。ドラゴウェポンが場に出ます。
 ルフ鳥をプレイ。ドラゴウェポンにより武装されます。武装ルフ鳥は突進があるので、ワイトキングに攻撃して相討ち。攻撃時能力で相手のリーダーに2ダメージ。ハルマの体力は7。
 ドラゴンテイマーをプレイ。ファンファーレでレーヴァテインドラゴン・ディフェンスモードを+1/+1します。これでディフェンスモードの攻撃力はちょうど7。リーダーに攻撃して勝利でした。
 ドラゴンテイマーは後攻2ターン目からずっと手札に抱えていたカードですが、ここぞというときまで温存していたライトのナイスプレイでした。

レーヴァテインドラゴン

 33話の放映日は2022/11/19(土)でした。
 その放送後すぐに公式Twitterからアプリ版のレーヴァテインドラゴンがディフェンスモードにも変身するようになるとアナウンスがありました。

 2022/11/21(月)のアディショナルカードの追加に合わせての仕様変更です。アニメの進行とアプリのスケジュールを完璧に合わせた上でのコラボレーション。さぞ大変だったことでしょう…。
 アディショナルカードの追加時とはいえ、既存のカードが外部要因でアッパーされたのは当然初めてです。チョイス先が増えると戦術が広がりますからね。面白いことをするものだなと思いました。
 こうなるともう1つの進化先が気になります。シャドバの基本は攻撃して体力を削るということなのでアタックとディフェンスがあるのはわかるのですが、もう1つと言われると予想が難しいですね。さらなる条件がついて、上位概念のようなフォルムがあるのでしょうか。
 ちなみにディフェンスモードは-3では強すぎると判断されたのか-2で実装されました。


ハルマのシャドバ

 ライトは自信と実力をつけることでハルマと向き合えるようになりました。

ライト:「怖いと思った。前にお前とバトルしたとき、そうやって声を張り上げるお前のことが怖いと思った。だが、いまは違う。怖くない。だからお前に立ち向かえる。だから、お前に向き合える」

 シャドバをすることで相手のことを知るというライトの信条は、相手に向き合うためのシャドバの腕が必要なのですね。

ハルマ:「オレは負けったっしょ!何度も挑んで何度も何度も何度も負けた。オレが限界を超えても、あいつはずっと笑ってやがった。白銀ミカドは。笑ってやがるんだ。どんだけ好きだって、どんだけ努力したって、超えられないものはあるっしょ。それがシャドバの現実だと、オレは知ったんだ。どうせいつかはあいつにぶっ潰される。ならオレがその前に潰す。先に現実を教えてやるっしょ。それが、それが…」
ライト:「それがお前のシャドバなんだな」

 ライトはついにハルマをも陥落させ、ハルマに自分のシャドバについて語らせることに成功しました。ライトは「やり方を少し間違えただけ」と言い、ハルマの優しさを肯定しました。懐がデカイ男です。
 今後はミカドを裏ボスと想定したルートでお話が進んでいきそうです。もちろんどこかで別の事実が語られる可能性もありますが。権力も実力もあるので敵としては十分なポテンシャルを持っています。いったい、どういうモチベーションでライトたちの前に立ちはだかるでしょうか。今後が楽しみです。
 ハルマが今後どのように物語に絡んでくるかも楽しみですね。



偶然と必然

 ハルマが主張する「シャドバは偶然と必然のゲーム」という理論は、1人のプレイヤーとしてもすごくしっくりきます。

ライト:「シャドバは偶然と必然のゲーム。そういったのはお前だろ。もしお前に偶然が傾けば、オレはもう立ってはいなかった。だが俺の体力は1残っている。ならばいま、偶然と必然を制しているのはオレだ」

 今回はライトもその論調に乗っかって喋っていました。シャドバ初心者だったライトが、数々の戦いを経て強敵の主張を理解したことになります。
 ライトの体力はたまたま1点残って逆転に繋がりましたが、こういう結果を生んだのは偶然と必然の両方です。ランダムの当たり所が悪くて1点残ってしまった、というような明らかな運ゲーではないのですね。毎ターンごとのドローとプレイの両方が積み重なって勝敗が決まったというのがよくわかる試合でした。カードゲームとしてのシャドバを語るうえでの納得感があります。
 全く新しい概念が持ち込まれたわけではないのですね。運とプレイングの両方が求められるゲームだというのは以前からプレイヤー間でよく語られる話題でした。カッコよく言い換えた言葉という感じでしょうか。なのでしっくりくるのでしょう。




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