3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメアズレン12話感想-【蒼海】碧き航路の祝福を

ネタバレします!!


 ついに最終回。好きじゃないところもありましたが、それ以上に面白いシーンや考察しがいのある展開を続けてくれて、僕は大満足のアニメ化でした。最後もなんとかキレイにまとめることができていましたね。スタッフのみなさん、お疲れ様でした!

フリッツX

 戦いはいつの世も変わることはない(n回目)から始まり、11話の最後で起動したミサイルの発射準備が整います。

プリンツ・オイゲン:「フリッツXに少し似ているわ」
テスター:「いい線行ってるわよオイゲン、アレは未来の兵器。ほんの少しだけ先にある、戦いの概念」

 フリッツXは第二次世界大戦中にドイツ軍が開発した兵器の名前です。ゲーム版には出てこないので驚きました。アズールレーンはWW2の時代のお話なので、オイゲンも同じ時代の兵器には認識があるのですね。
 フリッツXは無線誘導式のグライダー爆弾です。威力が高いという点ではミサイルの先駆けと言えるかもしれません。飛行機(母機)で高高度まで運び、照準を合わせて撃ち出します。母機からの目視で狙いを定め、フリッツX本体の安定翼を母機から無線信号で制御し、ターゲットにヒットさせます。

ミサイル発射

 一方、エンタープライズがオロチのミサイルを見た瞬間、脳裏に映像がフラッシュバックします。ここは推測になりますが、コードGは未来のエンタープライズが闇落ちした姿なので、オロチミサイルに近いものを未来の戦争で見たことがあるのだろうなと思います。それがエンタープライズにも流れ込んでいるのではないかと。オロチミサイルは垂直に打ち上げられたあと、空中で姿勢制御をして方向を変えましたね。すごい技術です。
 クリーブランドイラストリアスたちは未来の戦争を知らないので、あさっての方向に飛んで行ったミサイルの狙いが分かりません。プリンス・オブ・ウェールズ(PoW)は自分たちの基地の方向だと気づいたのでしょう。ただ、届くのかどうかを疑っています。基地まで相当遠いのでしょうね。
 WW2の時代にはミサイルそのものがないので、ミサイルを迎撃するシステムも当然ありません。このままでは基地はなすすべなく撃滅されてしまいます。

兵器の技術革新

 エンタープライズが艦載機に乗ってミサイルを追いかけます。ジェット燃料で飛ぶミサイルに、WW2時代のエンジンで飛ぶ艦載機が追いつくのかというと、絶対に追いつかないはずです。ただ、アズールレーンの世界観で強引に解釈するなら、KAN-SEN本人の力は装備品である艦載機にも影響を与えます。覚醒したエンタープライズのすさまじい出力ならば、追いつくのもまあなんとなく分かるよねという感じです。

オロチ:「より遠くから一方的に敵を倒す。兵器に進化とはそういうものよ」

 これは鉄砲の時代から続く、兵器の技術革新のお話。その通りですね。冒頭でテスターが言っていた「ほんの少しだけ先にある、戦いの概念」というのもこのことでしょう。

オロチ:「海を越えて、敵の本陣そのものを殲滅する力」
赤城:「そう、私の愛を侵す、外なる敵を退ける力」

 ここで赤城の言う”私の愛”というのは重桜そのもののことでしょう。WW2の頃、本土空襲や沖縄戦などで、日本軍は本陣が直接被弾することになってしまいました。このミサイル兵器がもし大陸間弾道ミサイルであれば、日本列島から北アメリカ大陸を直接攻撃できたことになります。戦争の行方が変わってきますよね。

vsピュリファイヤー

 ミサイルに手が届きかけたエンタープライズですが、ピュリファイヤーに邪魔をされます。ミサイルを追って飛び出したエンタープライズのさらに後ろから追ってきたのに、余裕で追いつくなんてコイツが一番とんでもないスピードで飛んでますよね。しかも艤装から噴射をしているわけでもなく、純粋に飛んでいるという感じ。
 そうこうしているうちにミサイルは多段ロケットを切り離します。加速を行うための燃料がなくなったから切り離したということでしょう。ここからは狙いを合わせるためのエンジンということならスピードは上がらないはず。
 ピュリファイヤーが操る子機を撃墜するエンタープライズ。真っ二つになった艦載機の機銃で打ち抜くのもカッコイイ。セイレーンの上位個体が子機を操るのは、割と原作通りだったりします(↓の敵はテスターですが)

 ピュリファイヤー本人ではなく、艤装の本体をエンタープライズは撃ち抜きますが、艦載機を失います。エンタープライズは諦めません。空中からミサイルをめがけて放った矢は、今までの横に拡散するタイプではなく、縦に連なる連射型でした。
 ミサイルは空中で爆発。ピュリファイヤーの生首がエディンバラめがけて飛んできます。エディンバラは本当においしいポジションです。それ以上に、生首になってなおテンションが高いピュリファイヤーも最高。「これでこそ戦争だ!」セイレーンは機械なので、心臓が急所とかいう概念もなく、たぶん生首だけでも動けるのでしょう。
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重桜を守る力

加賀:「この力が重桜を守るはずだった」

 オロチがこの威力のミサイルを撃てることは赤城も加賀も知っていたことになります。核の抑止力みたいな感じですね。アズールレーン側も手が出せなくなっていたでしょう。

綾波:「赤城はこんなこと望んでいないです」

 冷静だった当時の赤城は、ミサイルを抑止力として保持するだけで、戦場のど真ん中でぶっぱなすことは想定していなかったでしょうね。今の赤城はオロチにやられて壊れています。

赤城:「ええ、愛しているわ。赤城の愛は、世界を焼いてなお燃え盛る」

 いつかのセリフの再現です。
 そしてもう一本のミサイルが装填されます。アズールレーンも重桜も全火力をオロチに向けますが、バリアを突破できません。

エンタープライズとコードG

 ミサイルの爆発に巻き込まれ、海に沈むエンタープライズ。「紅に染められた航路。それが私たちの海」。KAN-SENにとっての海は、戦争の歴史。紅に染められたという表現はまあ適切でしょう。
 コードGと対面するエンタープライズ。お互いが会話をしたのは初めてでしたっけ?

コードG:「鏡のようなものだ。あなたたちは、ヒトの想いが形を成したもの」

 KAN-SENはメンタルキューブから生まれたものなのでヒトの想いが形を成したものなのですが、コードG自身はそうではないと言っているように聞こえるんですよね。

コードG:「あなたが見ているものは、その想いが映し出す影だ。オロチも同じだ。人々の共通認識が、浮かび上がらせる鏡像。オロチが闘争を目的とするのは、それが人類の歩みそのものだからだ」

 ヒトの想いとは闘争を望む心。その心が鏡のように映し出されたのがKAN-SENであり、オロチである、とコードGは言いたいのですかね。

コードG:「ああ。だから、あなたはもうこの航海を止めてもいい」
エンタープライズ:「終えたらどうなる?」
コードG:「未来を見ずに済む」

 コードGがエンタープライズのことを心配してくれているという面白い図です。コードGが見てきた未来は凄惨でしょう。史実のエンタープライズはWW2終結まであらゆる戦いに駆り出され、船を沈め続けたのです。さらにアズレンの世界観で言えば、人類はWW2で争いあったあげく、外敵に滅ぼされてしまいますからね。
 このあと、瑞鶴のシーンを挟んで、さらに会話は続きます。

瑞鶴と加賀

 綾波を守った瑞鶴は、捨て身で加賀に突進。青い炎を顔面に食らいながらも、加賀の胸倉をつかんで、思いっきり頭突きをします。
 胸倉を掴んで目を覚まさせるというのが、ベルファストエンタープライズにしたことと同じでしたね。頭突きはお互いにとって痛みのある攻撃方法です。加賀の痛みも理解したうえであなたを救いたいという瑞鶴の姿勢の現れでしょうか。

エンタープライズ復活

エンタープライズ「私は海が怖い。戦いの光景を見るたびに、私の心は恐怖に震えて、1つの衝動が、この体を突き動かす。こんなことは間違っている。止めなければと」

 1話から引きずってきた、なぜエンタープライズは海が怖いのだろうという話の終結点です。僕は正直この答えは納得がいかなくて、止めなくてはいけないと思うのなら、なんでそんなにずっとウジウジしてきたのかと思いましたし、毎回ヨークタウン姉さんが撃沈した姿が出てきますが、全然関係ないじゃんと思いました。ここは残念でした。
 海の底から母艦と一緒に出てきたエンタープライズ。1話と同じ変身ポーズ。

エンタープライズ:「私は諦めない。数え切れないほどの希望と意志を背負って、私はここにいる」

 このセリフはたぶん、"エンタープライズ"という名前に込められた想いの話の解答ですかね。エンタープライズという船に、数えきれないほどの乗組員たちは希望と意志を背負い、乗り込んだことでしょう。その重さを本人がようやく理解したというですかね。
 想いを込めた一撃は、オロチのバリアを貫通し、船体をぶち抜きました。オロチのシステムがダウンしたみたいでした。

共同戦線

 アドミラル・ヒッパーとプリンツ・オイゲンの迫力の戦闘シーン。ここめちゃくちゃすごかったですね。いちいちカメラに向かってウインク投げキスしてくれるオイゲンさんすごすぎる。団子を食うかのごとくセイレーンも食べるあの艤装。セイレーン技術を取り込んだ鉄血ならではの戦い方で感動しました。
 アズールレーンとレッドアクシズは一応ここまでもオロチという共通の敵に向かって戦っていたわけですが、ラフィーは「みんな、仲良く」と改めて声にするわけです。これにオイゲンも反応します。「共同戦線よ」と。
 オープニングが挿入されて、本格的な共闘の始まり。クリーブランド姉妹と愛宕・高雄(巡洋艦縛り)。ハムマンとZ23、ヘレナとケルン、Z1とサンディエゴが背中合わせ(前衛艦たち)、サウスダコタと山城・扶桑(戦艦たち)、イラストリアスと瑞鶴(お姉ちゃん空母2人)、最後にエンタープライズと瑞鶴。

オロチ「想定外ね。この演算結果は受け入れられない」

 今更ながらオロチもセイレーンの一種だったんだなと思いました。オロチが大量の量産型セイレーンを空から召喚します。オイゲンキックがさく裂したところも最高でした。活躍していてうれしいです。

パーティの時間

 懐中時計で時間を確認するベルファスト。パーティの時間よとクイーン・エリザベスが参戦。長門QEの掛け声で、日向と伊勢、ネルソンが砲撃を浴びせます。

クイーン・エリザベス「円卓の騎士の登場よ」

 このセリフは特にゲーム版にはないのですが、上下関係のない戦列ということで、円卓の騎士という言葉を使ったのでしょうか。
 カメラが一気に引いて、いままで出てきた子たちが全員参戦という感じで並んでいます。エセックスのように立ち絵が大きい子はわかるのですが…。全員判別するのは至難の業ですね。

 長門の自己紹介が聞けました。ゲーム中の長門のスキル発動ボイスで、凄まじい特殊弾幕が飛んでいく合図です。

フッド:「我々は、掲げる思想は違えど、想いは1つです。私たちは、戦うために作られた存在。私たちは」
エンタープライズ:「私たちは、世界を救うために生まれてきた。」

 KAN-SENたちが本来作られた目的、つまり人類の内輪揉めではなくセイレーンを打倒することに帰結したのは素敵な展開でした。今まで彼女らは悩みながら戦っていましたが、自分たちの存在理由を思い出すことができました。
 エンタープライズのもやもやが完全に吹っ切れたのはこのシーンだったかもしれません。

赤城とエンタープライズ

 今までエンタープライズがたびたび見ていた、暗い夜の海の光景に赤城も入ります。

赤城:「こんなことは間違っている」
エンタープライズ:「そうか、赤城。あなたも同じ光景を見たのだな。だからあなたは…」

 赤城の言う”こんなこと”とは、大戦の結果重桜が滅ぼされる未来でしょうか。エンタープライズもコードGを通じて未来の戦争の一部を垣間見ています。だから共感ができるのかなと思いました。

オロチ「闘争を。あまねく海に闘争を。あと100年、せめて50年。時があれば間に合うかもしれない。戦いの進化の果てに、今度こそ」

 ここはオロチが言っているのか天城が言っているのかよくわかりませんでした。WW2の開戦までもう少し時間があれば、オロチミサイルのような兵器が開発され、日米戦の結果も違ったものになっていたかもしれないという叶わぬ願いを言っているのでしょう。ただ、そうなると、オロチがそれを望んでいる意味がよくわからないのですよね。ここは天城が言っているのかもしれません。
 オロチが言っているのだとしたら、未来で起こるセイレーンとエックスの戦いのことを言っているんですかね。

赤城:「私の愛は時を超え、カミですら凌駕して、重桜を、姉様を、加賀を、みんなを救うのよ」

 オロチの力で、重桜がWW2に負ける未来を回避すること。そして重桜のみんなを守ること。わかってはいましたが、赤城がここまで頑張ってきたのは、単に天城を復活させることではありません。彼女は、自分の私利私欲のためだけで動かない、優しい人なのです。ちゃんと加賀にも言及するあたり、目配せが効いていて良いですね。
 赤城は道を踏み外してしまいました。失ったバランスで崩れた体を、今度はエンタープライズがちゃんと受け止めます。覚醒して赤城を撃ちぬいたときは、届かなかったその手が、今度は届きます。赤城の側からしても、敵と手を結ぶことは、天城の教えに沿うものでした。この二重の意味での握手が、本当に美しい終わり方でした。ゲーム版にはないシナリオなので、予想外でもあったので驚きました。
 天城が最後に赤城に残したセリフ。「ありがとう」だろうなとは思いますが、答えはないですからね。個々人の解釈にゆだねられました。

セイレーンたち

オブザーバー:「今回はあなたたちの勝利」
ピュリファイヤー:「アハハ、負け惜しみだ」
(生首ぶんぶん)

 セイレーンたちの人間性が良く出ていて、ここも大好きなシーンです。アニメで声がついたおかげで、彼女たちの解像度が一番上がった気がします。

テスター:「でも実際、オロチの損失は想定外でしょう?」
オブザーバー:「我々の想定を超えるのは、喜ばしいことよ。人類にはまだ、未来があるわ」

 ここはゲーム版と同じように、セイレーンが自らの使命について語っているところです。ループする並行世界の中で、シナリオを打ち破る可能性を秘めたKAN-SENを探すこと。この世界線では、やはりエンタープライズがキーだったようですね。指揮官がいなくても、彼女の力でセイレーンは打ち砕かれました。

終わりへ

 ヨークタウン姉さんは立って歩けるようになったようです。重桜では長門が鶴姉妹に語ります。赤城ひとりに責任を押し付けるわけではないのとのこと。重桜という国として、責任を負うということでしょう。
 鉄血では、オイゲンがビスマルクに報告をしています。ようやく出てきましたね、ビスマルク

オイゲン:「重桜に対する大きな貸しになったわ。これもすべて鉄血の理想のため」
ビスマルク:「忠誠こそ我が名誉。力あるものだけが、人類を救えるのよ」

 重桜ではなく、鉄血こそが、セイレーン技術を使ってセイレーンを討ち果たすべきと、そう考えているのでしょうか。このビスマルクは、沈みかけたあのイベントを経ているのか、ちょっとわからないですね。

母港

 ゲームのオープニングBGMが流れ、基地へと視点が切り替わります。旗が並ぶシーンは、手前からアズールレーン、ユニオン、ロイヤル、鉄血、重桜、東煌です。アイリス、ヴィシア、サディア、北方連合はまだいません。アニメに出てきたすべての陣営が1つの基地に集うことを意味していますね。
 各陣営のKAN-SENが基地で仲良くすごしている様子が描かれていきます。この演出はすごいなと思いました。もともと、この基地はなぜかゲーム版と同じ見た目をしていたのに、アズールレーン側の基地として運用されていました。それが、最終話にしてようやく、我々が普段ゲームで見ているような、すべての陣営が共同で暮らす基地へと変貌したのですね。感動しました。
 (↓)アプリを再起動するたびにいろんな自キャラが母港に出現します。スクショを撮ろうとしたらたまたまユニオン、ロイヤル、重桜、サディアの4人が出ていました。3月なのになぜまだクリスマスなのかは謎。本当はツリーがあるところが、アニメにも出てきている大きな錨のマークの噴水なのですがね。

 アズールレーンとレッドアクシズの合同基地。PoW「新たな基地には、新たなリーダーが必要ね」。今まではたぶんPoWが基地のリーダーだったのでしょう。「両陣営の懸け橋となる、象徴的な人物が」ここまで効くと、我々は、それは指揮官のことではと思ってしまうのです。たぶん計算された思わせぶりなセリフなんですよね。クリーブランドとホーネットのセリフが種明かしで、エンタープライズのことを指しているのだと分かってしまうのですが。
 エンタープライズのことを言っているのだと分かったとしても、このセリフ回しもとっても上手で、我々指揮官はそれだけすごいことをしているんだなと誇らしい気分にさせてくれるんですよね。この世界線ではエンタープライズが基地のリーダーですが、ゲームの世界線では自分がリーダーなのだぞと。
 Z23が救われるのも本当に良いですね。1話は綾波がこの基地に侵入したということでオドオドしてましたが、最終話はその役がZ23に代わっています。しかも、みんなが集うのは、約束のあの場所。美しい終わり方です。
 エンタープライズとコードGの会話が、本当に最後のフィニッシュになりました。

コードG:「何も変わらない。いつか再び争い、傷つけあう。戦いはいつの世も変わることはない」
エンタープライズ:「ああ、だから、私たちが変わるんだ。あなたの、碧き航路に祝福を」

 100万回ぐらい聞いたんじゃないかという、「戦いはいつの世も変わることはない」というセリフに対して、最後の最後のセリフでようやく答えが出たんですよね。戦いが変わらないなら、自分たちの方が変わればよいと。これはたぶん、我々人間に向けたKAN-SENたちからのメッセージ。戦争はいつの時代も悲惨なもの。我々人間が変わらないといけないですよね。素敵な終わり方でした。


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