3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバース11話感想-ヒイロvsルシア

ネタバレします!!

 全国大会の決勝戦です。はじめて試合が1話で収まりきりませんでした。このアニメの骨格を成す、主人公ヒイロとライバルルシアの因縁の対決です。彼らのシャドバに対する想いがぶつかるエモい回でしたね。

ルシアvsシロウ(オープニング前)

 今回はいきなりバトルからスタートでした。ヒイロが勝ち上がったブロックの逆側の準決勝です。ルシアの対戦相手シロウはプロ選手とのこと。

8ターン目

 先攻8ターン目、飛翔する狩鳥のあとにグランドアーチャー・セルウィンが出てきたということで、セルウィンの号令を8コストで使ったのかなと思われます。手札から飛翔する狩鳥をプレイするわけではないので厳密に言うと違いますが…。

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 飛翔する狩鳥は疾走を持っているのでリーダーに攻撃し、セルウィンの効果でキャタラクトビーストを攻撃不可状態にします。
 後攻8ターン目、ルシアは獰猛な捕食とブラッドレイジで盤面を除去して終わります。

9ターン目

 先攻9ターン目、シロウのプレイは、フェアリーウィスパラー→自然の導き→フェアリーサークル→太古の森神でした。自然の導きの1ドローで古き森の白狼が見え、元々手札に白銀の矢があることから、シロウのデッキは白狼白銀エルフであることがわかります。

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 古き森の白狼のラストワードでコスト最大のエルフカードがコスト0になります。白銀の矢以外に9コスト以上のカードを積まなければ、白狼のラストワードは白銀の矢の確定サーチになります。サーチした0コストの白銀の矢+9コストの白銀の矢を使うことで、相手の盤面がどうなっていようと1ターンに最大18点のバーストダメージを与えられるコンボです。今までアニメに登場したどのデッキよりも、リーサル手段を明確に意識したデッキです。さすがプロ、良いデッキを使うなあと思いました。

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 8ターン目には必ず白狼をプレイしたいデッキなのですが、残念ながら手札に来ていなかったようです。このターンは手札を増やしつつ、太古の森神をプレイすることになりました。9/9というサイズは非常に大きいわけですが、シャドバではただただスタッツが大きいだけのカードはあまり強くありません。この試合のように、無視されてしまうのですね。

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 シロウは次のターンには勝つぞと勝利宣言をします。9/9の太古の森神が残れば、手札にある白銀の矢と合わせて18点ダメージが出ます。9/9が取られてしまっても、ルシアが無理に復讐に入るなら白銀の矢だけで勝利できるので、この勝利宣言はあながち的外れではありません。
 後攻9ターン目、決着のターンです。ルシアの手札にあるのはデモンストームだけで、このターンに手札から7点ダメージを出すか、9/9を処理しないと負けです。試合展開だけを見れば絶体絶命のピンチです。デモンストームは6コストなので、4コストで4点のダメージが出せるカード、つまりダークジェネラルを引かないと負け、というターンで見事そのカードが山札の一番上にありました。

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 この勝ち方自体は復讐ヴァンパイアで良くみられる光景なので別に良いのですが、個人的に気になるのは、この試合展開でルシアが「退屈なバトルだった」と言っていることです。「これしかない」という細い勝ち筋をドローで手繰り寄せた勝利なので、普通なら心臓バクバクの勝ち方です。
 手札がたくさんあって、何を使っても勝ちという状態なら退屈なバトルだったと言わせてもいいでしょう。せめて、デモンストームとダークジェネラルだけは手札に見えており、ルシアはこの勝ちパターンをずっと狙っていて、シロウが最後までその狙いに気づけなかったという形なら納得できます。
 ルシアはヒイロとのバトルでないと楽しめないんだよというのは伝わってくるので、カードゲームの方でもそれに即した試合展開を作ってほしいものだなと思いました。

勝戦

 メインボードに映っているトーナメント表だと、ミモリが1勝していることになっていました。これはたぶん間違いですよね。ミモリは1回戦敗退のはずです。
 試合後、シロウはルシアに握手を求めますが、ルシアは無視をしてしまいます。握手をしない演出多いですね。セイヤしかり、マウラしかり。
 ルシアは退屈なバトルだったと準決勝を振り返りつつ、その脳裏にはイグニスドラゴンを使うヒイロが浮かびます。ヒイロとのバトルが本当に心に残っているのですね。ルシアは準決勝を「退屈なバトル」だったと評しているため、それと逆の概念である「楽しいバトル」もまた、彼の中で存在し得るのだとわかります。そしてそれはおそらく、予想外のプレイを繰り出してくるヒイロとの対戦の中にあるのでしょう。
 11話の後半で、ルシアは「シャドバは道具にすぎない」「シャドバを楽しいと思ったことはない」と言うのですが、とんだツンデレ野郎だなと可愛く思っちゃうわけですね。あんなにヒイロとのバトルを楽しみにしておいて、その言葉はさすがにウソなのではと。控室でヒイロとしゃべるときはニコニコしとるやないか、と。
  決勝を前にして、実況が観客を煽ります。ルシアについて、「優勝したあかつきには、笑顔を見せてくれるのでしょうか?」と言っています。実況に悪気はないのですが、シオリがルシアのことを笑っていないと指摘していたことがここに引っ掛かっていて面白いですね。主人公だからヒイロが勝つ確率は高そうですが、ルシアが勝つ可能性もなくはないのではと個人的には思っています。
 レオンもちらっと出てきましたね。彼が何かを企んでいるのか、単にバトルを楽しみに見ているだけなのかはわかりませんね。

ヒイロvsルシア(前半)

 「3, 2, 1, バトルシャドウバース!」の掛け声を観客のみんなと一緒に叫んでバトルが始まります。RAGEでは武井壮さんのMCで同じようなことをしていましたが、こんなふうには盛り上がれませんでした…。
 ヒイロとルシアの変身バンクが並行するシーンですが、この二人の変身アクションはけっこう似ているのだなという気づきがありました。あと、変身バンクの時点でもしかして先攻後攻が分かるようになっていましたかね?進化マークが出るのが後攻、みたいな。

1ターン目

 先攻1ターン目、ルシアは蠢く死霊をプレイ。ヒイロは前回のバトルに思いをはせます。3話のバトルでは、ヒイロが先攻1ターン目にジュエルドラゴン、ルシアが後攻1ターン目に蠢く死霊という形でした。
 後攻1ターン目、ヒイロはアイボリードラゴンをプレイ。ジュエルドラゴンよりも体力が1高く、相手の場に1/1の蠢く死霊がいるのでラッキーなプレイになりました。実はヒイロは9話、10話、11話と三連続の後攻です。

2ターン目

 先攻2ターン目、ルシアはレヴィオンデューク・ユリウスをプレイ。相手がフォロワーを出すたびにダメージを与えられるカードです。先攻2ターン目で置くとけっこう刺さる試合もあります。

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 後攻2ターン目、ヒイロドラゴンライダーをプレイ。1/2のアイボリードラゴンで1/1の蠢く死霊をとらないという謎プレイをします。後々のターンで復讐をケアするためにあえてリーダーを攻撃しないという選択をするのに、ここはわざわざ相手を復讐に近づけるプレイをしているので、一貫性がありません。

3ターン目

 先攻3ターン目、ルシアのプレイもよくわかりません。2/3のメタルガーゴイルを出したので、このカードで2/2のドラゴンライダーと有利トレードができます。しかも手札には2ダメージを出せる夜の群れも控えています。先攻をとれたことですし、ユリウスが追加でダメージを与えられるので、どんどんヒイロのライフを削る試合展開にすればいいのに、蠢く死霊とユリアスでドラゴンライダーを破壊しにいきます。このプレイをするとヒイロの盤面に1/2のアイボリードラゴンが残るので、1/1になってしまったユリアスは破壊されてしまいます。ヒイロもルシアも良く分からないプレイをしているので、後攻がリーダーを攻撃しにって、先攻が守るという謎の展開になっています。
 後攻3ターン目、ここのヒイロは冷静でよかったですね。セオリー通り1/2のアイボリードラゴンで1/1のユリウスを破壊します。ルシアとしては、ヒイロがどうせユリウスを気にするだろうということでリーダーに攻撃すれば2点削れていたのに、もったいない。ユリウスを破壊してからアイラをプレイすることで、ダメージを受けない処理を実現します。

4ターン目

 先攻4ターン目、ルシアは夜の群れをプレイ。アイラはわざわざ破壊したいカードではないですが、先攻4ターン目に撃つ夜の群れは強いカードです。除去をしつつ2面の展開なので、後攻側は進化効果のあるカードに進化を使わないと盤面が返せません。

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 アイラのラストワードの演出が可愛かったですね。

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 後攻4ターン目、ヒイロの理想プレイはドラゴンウォーリアでしたが、手札にはなかったのでしょう。ルフ鳥+ムシュフシュで2面作るプレイになりました。ムシュフシュは盤面のカードが進化すると+2/+0されるため一応コンボなのですが、ルシアの場にいる2体のフォレストバットに破壊されてしまうのが目に見えているので、この盤面で強いプレイかと言われると微妙です。

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5ターン目

 先攻5ターン目、ルシアはフォレストバットでムシュフシュと相討ちし、裁きの悪魔を進化してルフ鳥を倒します。裁きの悪魔は復讐状態でプレイできると必殺・ドレインなのでけっこう強いカードですが、ここはただの2/5としてのプレイでした。

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 後攻5ターン目、ヒイロはディザスタードラゴンを進化して裁きの悪魔を倒します。4/3になっている裁きの悪魔は放置してしまってもいいのかもしれないなと思いました。

6ターン目

 先攻6ターン目、ルシアはキャタラクトビーストを進化してディザスタードラゴンを倒します。キャタラクトビースト大好きマンですね。
 後攻6ターン目、ヒイロは1回PPブーストをしているため覚醒状態に入ります。ドラゴンガードが守護を持って出てきます。6/2のキャタラクトビーストをわざわざ7/8のドラゴンガードで倒しに行くもったいないプレイ。キャタラクトビーストは交戦時に1ダメージ与える効果もあるので、ドラゴンガードの体力は1しか残りません。ドラゴンクラスであればブレイジングブレスなどで簡単に除去ができるのに。

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 実況も観客も盛り上がっているのですが、非常にもったいないプレイの連続なんですよね。進化権はもっと大事に使わないといけない大切なリソースなのです。カードゲームに嘘をつくような演出にはしてほしくないなあと思ってしまいます。

ヒイロvsルシア(後半)

 7ターン目の途中でCMが入りました。

7ターン目

 先攻7ターン目、ちょっとシャドバはお休みしておしゃべりモードになるわけですが、試合とは切り離して最後に書きますね。
 ここはルシアの手札にちょうど良いカードがなかったらしく、眷属の召喚をプレイして終わります。ルシアの体力は18点で、ヒイロの場には7/1のドラゴンガードがいるので、次のターンは体力11点になって返ってくるだろうという読みがあるのでしょう。手札にある血の取引で2点ダメージを受けることで復讐に入れる計算です。また、フォレストバットが1体でも残ればドラゴンガードと相討ちができるのもお得です。
 後攻7ターン目、ヒイロはファイヤーリザードのファンファーレ1点で片方のフォレストバットを倒します。ファイヤーリザードはすっかりお馴染みのカードになったため、解説すらされなかったですね。
 次に海剣竜をプレイ。覚醒状態なので疾走を持ちます。ヒイロは海剣竜でリーダーを攻撃し、体力を14点でとめておくという作戦に出ます。ドラゴンガードで攻撃して11点にしても、無理やり復讐に入られてしまうだろうと読んだのでしょう。それ自体は悪くないのですが、であればもったいないけどドラゴンガードはフォレストバットに攻撃してもよかったでしょう。ドラゴンガードは守護を持っているので、フォレストバットはどうせドラゴンガードに当たってきます。今回はより悪いルートに入り、ドラゴンガードに除去カードを撃たれてフォレストバットが残ってしまいました。

8ターン目

 先攻8ターン目、ルシアは血の取引をプレイ。まともなドローソースを使ってくれるだけで、カードゲーマーとしてはうれしくなってしまいます。

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 そしてアニメオリジナルカードのスカーレットヴァンパイアが登場。

スカーレットヴァンパイア
6コスト3/5
ファンファーレ:相手のフォロワー全員に2ダメージ。このターン中に自分のリーダーがダメージを受けていたなら、相手のフォロワー1体と相手のリーダーにそれぞれ3ダメージ。自分のリーダーに2ダメージ。

 「このターン中に自分のリーダーがダメージを受けていたなら」というテキストは、最近ではかなり増えてきましたが、当時はなかったはずです。時代の最先端ですね。6コスト2点AOEというのがなかなか優秀なカードです。追加効果で相手のリーダーに3ダメージというのも偉いです。しかし、自傷の2点があるので自分の体力もゴリゴリ減ってしまうカードです。今回はたまたま体力が14点だったため、ちょうど復讐に入れる10点でターンを追えることができました。
 実況はヒイロが大ピンチだと叫んでいましたが、まだ試合の有利不利を判定できる段階ではないだろうという感じです。アニメ的には、次回へと繋ぐところななので煽る必要はありますが。

ルシアの気持ち

 先攻7ターン目のところで、「シャドバすっげえ楽しい!」モードが最高潮のヒイロに向けて、ルシアが冷や水を浴びせます。

好きとか嫌いとか、そんな感情シャドバにはない。あるはずがない。ヒイロ、僕にとってシャドバは道具でしかないんだよ。

 冒頭で見た通り、ルシアは「退屈なバトル」と「退屈ではないバトル」の存在を自覚しているので、この発言は視聴者からするとダウトなんですよね。ちょっとぐらい楽しいと思っているでしょ?ルシアくん。
 ヒイロが勝手に盛り上がっているのを、ルシアは無視してもよかったはずですが、突っかからずにはいられなかったご様子でした。何も考えていなさそうなヒイロに、「お前も同じだろ?」と言われたのが癪に障ったのでしょうか。オレはお前とは違って高尚な理由でシャドバを仕方なくやっているんだ!みたいな。

シャドバが好きかどうかなんて考えたこともない。シャドバが楽しいんじゃない、強くなったキミとバトルできるのが楽しいのさ。だって、強くなったキミを超えれば、僕はもっと強くなれる。強くなり続ければ、きっと…。

だから言っただろ、シャドバは僕にとって、ただの道具だ。強くなるための道具、願いを叶えるための道具。あるいは、キミもね。

 精神的な揺さぶりをかけたかったか、はたまたルシアも頭に血が上っていたのか、ちょっと意図はわかりません。ヒイロはかなり動揺しているので、効果はあったのでしょう。
 ルシアの発言を聞いて観客たちが怒り始めます。現代的な炎上を揶揄するような演出で面白かったですね。観客たちに直接被害があったわけではないのに、「全国大会に出場するからにはシャドバのことを愛して、一生懸命本気で打ち込んでいるべし」という自分たちの価値観を選手に押しつけ、それに当てはまらないルシアを攻撃しているのです。観客の気持ちはわからなくもないですが、それで大騒ぎするほどなのかと思ってしまうという、絶妙な塩梅の演出です。

でも、コイツは、ルシアはすごいヤツなんだ。ルシアはオレに悔しさを教えてくれた。ルシアはオレの目標になってくれた。ルシアがいてくれたから、オレはシャドバに真剣になれた、熱くなれた。心の底から楽しめるようになれたんだ。

 ヒイロは観客に呼びかけます。ヒイロの言い分は「コイツは口は悪いけどシャドバは上手い」ということなので、口が悪いこと自体を批判している観客側からすると答えになっていません。ただ、ヒイロ自身がいまこの場に立っていることや、シャドバを楽しくプレイできているのがそもそもルシアのおかげなのだと知らしめることで、ルシアのことを若干フォローしてあげようとしているのでしょう。ヒイロのその気持ちに、観客も若干のまれるわけですね。
 僕もシャドバをずっとやってきたからわかるのですが、こういう対人対戦ゲームって、本気でやらないと面白くないんですよね。負けてもいいやという生半可な気持ちでやると虚しさしか残りません。ルシアに舐めプで勝たしてもらったことがとても悔しくて、心に火がつくということ自体はとても共感できることなんですよね。

ルシア、お前の気持ちはわかった。お前がシャドバを楽しんでいないことも、好きじゃないってこともわかったよ。だったら、今度は、オレがお前に教えてやる!シャドバの楽しさも、悔しさも全部!お前がオレに教えてくれたみたいに!

 このセリフは、このアニメのヒイロとルシアの対称性を際立たせるセリフです。主人公に敗北の味を教えたライバルに、こんどは主人公の側が楽しさを教えてあげるという美しい構図なわけです。敗北も必要ですが、楽しむことも必要ですからね。

楽しいとか悔しいとか、そんなのどうだっていいよ。僕にとって大切なのは、強くなること。強くなって、シオリの命を救うことだけだ。それ以外のすべてに興味なんてない。あるわけない。無駄だよヒイロ。キミの言葉は僕には届かない。さあ食らおうか、僕が望んだとおりに強くなった、キミを。

 ルシアはシオリの治療費にあてる賞金のためにシャドバをやっています。いわば義務感。義務感でやるときのゲームって本当に面白くないんですよね。ルシアはお金を稼がねばならないので、離れたくても離れられません。とても可愛そうな少年です。
 ヒイロはルシアを救ってあげることはできるでしょうか。アリスを救うことには失敗しましたし、今回は無理かもしれません。逆に、アリスもこの試合を固唾をのんで見守っているので、アリスもろともルシアも救ってしまうのかもしれません。いずれにせよ、来週が決着の時です。熱い展開を期待したいですね。

棋譜

 試合が決着していないですが一応載せておきます。
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