3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバースF 9話感想-お前のバトルを見せてくれ!

 アニシャドFの9話の感想文です。

フワリ vs スバル

 8話は後攻4ターン目で終わりました。続きから。

5ターン目

先攻5T:フワリ
 新緑の守護者をプレイします。進化して悪戯なネクロマンサーを上踏みします。新緑の守護者は5/2になるのに対して、スバルの場には2/1のトリックデュラハンが残るので、スバル側はラクな展開です。

後攻5T:スバル
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ネクロカーニバル
3コストスペル
エンハンス?:??
ゾンビ1体とスケルトン1体とゴースト2体を場に出す

 3コストで1/1と2/2を出してゴーストが2体おまけでついてきます。墓場が3枚貯まるところも強くてすごいカード。しかもエンハンスもあるらしいです。
 5/2になっていた進化後新緑の守護者をゴーストで破壊します。フワリはラストワードでフェアリーを2枚手札に加えます。
 場残りしていたトリックデュラハンを進化して、ネクロコンジュラーをプレイします。ネクロコンジュラーは場に進化後フォロワーがいるとゴーストを出します。トリックデュラハンとゴーストでリーダーを攻撃し、4+1点。フワリの体力は14です。スバルの盤面は4/3, 2/2, 1/1, 2/2の4面。


6ターン目

先攻6T:フワリ
 癒しのエルフとフェアリーをプレイします。フェアリーが場に出たときに癒しのエルフの効果で1点回復。さらにオリジナルカードをプレイします。

ガイアフェアリー
2コスト2/2
ファンファーレ:このターン中にプレイしたカードの枚数分だけ(このカードを含む)、自分のリーダーを回復。プレイしたカードが3枚以上ならカードを1枚引く

 シンプルですが強力な効果です。1+1+2コストで動けば起動するので4ターン目から使えて、終盤に使えば大量に回復することもできます。
 癒しのエルフを進化してトリックデュラハンを上踏みします。
 癒しのエルフで2点とガイアフェアリーで3点回復してフワリの体力は19です。スバルは進化を使って攻め込みましたが回復されてしまったせいで進化権を有効に使えませんでした。一方で、スバルは盤面に3体残って帰ってきたので依然として盤面有利は続きます。

後攻6T:スバル
 スカルウィドウとマリスゴーストをプレイします。マリスゴーストを進化してガイアフェアリーを攻撃します。
 場残りしていたゾンビで進化後癒しのエルフと相打ち、スケルトンでフェアリーと相打ち、そしてネクロコンジュラーでリーダーを攻撃します。スバルの場は6/2, 2/2, 1/2が残ります。フワリのフォロワーをすべて片付けて、盤面を押し付けていく展開を継続します。


7ターン目

先攻7T:フワリ
 ユニコーンの踊り手・ユニコをプレイします。とにかく回復カードをたくさん積んでいるデッキですね。
 「母なる自然が命をはぐくむ!」ということでフワリの切り札が登場します。

ベネディクションエルフ
5コスト3/6
ターン終了時:相手のフォロワーすべてに2ダメージ。自分のリーダーの体力が20だった場合、相手のフォロワーすべてと相手のリーダーに6ダメージ。

 自分のリーダーの体力を参照する効果はヴァンパイア以外ではほとんどありません。面白い効果です。
 このターンのフワリの体力は17なので2点のAOE。スバルの場には3体フォロワーがいましたが体力がすべて2だったので刺さりました。
 もしフワリのデッキ内容をスバルが事前に知っていたら、攻撃先を工夫することでケアが可能でした。進化後マリスゴーストはフェアリーを攻撃して6/3で場に残し、ネクロコンジュラーを相打ちに使って、1/1, 6/3, 1/2という盤面を作るとフワリ側は困ったでしょうね。 

後攻7T:スバル
 「せめてあの世もにぎやかに。お祭り騒ぎだ!」ということでスバルの切り札が登場します。

マスカレードゴースト
5コスト3/3
場に出たとき、ゴーストを1体場に出す
自分の場にゴーストが出るたび、それを+1/+0する
自分の場のゴーストが消滅するたび、ジャイアントゴーストを場に出す
ラストワード:自分のリーダーは「次の自分のターン開始時、ラストワードを持たないマスカレードゴーストを1体場に出し、この効果を失う」を持つ

ジャイアントゴースト
4コスト4/4
守護
場を離れるとき消滅する

 どこにでも飛ばせる2点(ゴースト)を出しつつ、3/3+4/4守護で盤面を作れるカード。しかもラストワードでもう1回戻ってくるのがとても偉くて、戻ってきたターンにゴーストをいっぱい出せば盤面がゴリゴリになります。どう考えても5コストの仕事量じゃない。
 2/1になったゴーストでユニコと相打ちします。ゴーストが消滅することをトリガーにしてジャイアントゴーストが出てきます。
 デジフレカードをさらにプレイします。

プチゴースト・バケルス
2コスト1/1
ファンファーレ:ゴーストを場に出す。自分の場にジャイアントゴーストがあるならカードを1枚引く。
ラストワード:ラストワードを持たたないコスト1のプチゴースト・バケルスを手札に加える

 ジャイアントゴーストを作れるのが今のところマスカレードゴーストのみなので、実質専用コンボカードという感じです。このカードもラストワードで戻ってくるので、マスカレードゴーストと合わせて使うことでオトク感が増します。ライトもイツキもそうですが、切り札カードとデジフレは一緒に使う前提でデザインされていますね。
 バケルスが生み出したゴーストは相手のリーダーを攻撃します。フワリの体力は15。
 ベネディクションエルフは体力が6あって倒せないのでスバルは倒すのを諦めました。後攻5Tと6Tの進化があまり有効なプレイじゃなかったので、進化権が温存できているとよかったですね。次のターンにフワリが体力を5点回復できれば6点AOEが飛んでくるので、相手の手札次第で形勢が大きく変わります。スバルの盤面は3/3, 4/4守護, 4/4守護, 1/1の4面。

8ターン目

先攻8T:フワリ
 癒しのエルフ、ヒーリングエンジェル、ウォーターフェアリー、フェアリーをプレイします。癒しのエルフが3点、ヒーリングエンジェルが2点回復するのでフワリの体力は20に戻り、6点AOEが炸裂します。スバルの盤面はすっからかんになります。

後攻8T:スバル
 マスカレードゴーストがラストワードで戻ってきて、ゴーストを出します。
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ミスチーフゾンビ
1コスト1/1
ファンファーレ:自分の場のゴースト1体は必殺を持つ

 少しピーキーですがスバルのデッキなら活躍できそうなカードです。マスカレードゴーストが出したゴーストに必殺を付与し、ベネディクションエルフを破壊します。ジャイアントゴーストが出てきます。
 ソウルコンバージョンをプレイします。スバルはジャイアントゴーストを破壊しようとしていたのですが、ライトの言葉を思い出して撃ち先をミスチーフゾンビに変えました。
 ファントムハウルをプレイします。3面空いているのでネクロマンスを3消費してゴーストが3体出ます。ここは相手の盤面を処理せずに相手の体力を詰めました。フワリの体力は14です。
 スバルの場は3/3が1体と4/4守護が4体。相手の盤面を処理するのではなく体力を詰めたほうが勝つだろうという算段でしょうか。


9ターン目

先攻9T:フワリ
 ウォーターフェアリーとフェアリーでジャイアントゴーストに攻撃します。そのあとヒーリングエンジェルで攻撃をするのですが、4/2になったジャイアントゴーストではなく別の4/4のジャイアントゴーストに攻撃しました。2点AOEに巻き込むためです。
 ウォーターフェアリーのラスワで加わったフェアリー、2枚目のユニコ、2枚目のベネディクションエルフをプレイします。癒しのエルフが場残りしているので3点回復しますがフワリの体力は17どまり。6点AOEは撃てません。ジャイアントゴーストが2体破壊され、スバルの盤面は3/1, 4/2守護, 4/2守護です。

後攻9T:スバル
 盤面に11点あるので、手札から6点出ればこのターンでスバルの勝ちです。
 バケルスをプレイ。2点のゴーストが出て1枚引けるので、この行動は確定でしょう。2枚目のソウルコンバージョンをトップドローします。
 ソウルコンバージョンでバケルスを破壊して2枚引きます。バケルスは盤面にいても何もしないので、ここを破壊するのも確定です。2枚引いたのはカースドソルジャーと怨嗟の声でした。場残りフォロワーの総攻撃で11点、バケルスが出したゴーストで2点、カースドソルジャーのファンファーレで4点でスバルの勝利でした。
 カースドソルジャーはブロンズのカードではあるのですが、リリース初期はアグロネクロの後詰のカードとして採用されることがあり、この勝ち方には懐かしさがあっていいなあと思いました。
 怨嗟の声はゴーストを2体出すカードなので、このカードでも4点出るのでは…と思いきや盤面が1つしか空いていないのでこっちではダメでした。

 

フワリだからできる煽り

 9話のテーマは「スバルの本気」。フワリはスバルに優しく話しかけてテーマを深堀していきます。

フワリ:「スバル君は苦手なんですね。誰かの期待に応えること。期待に応えるために真剣に本気になっていること。そういうのが嫌なのかなーって」
スバル:「このバトルには関係ねえな」
フワリ:「お手本見せないとですね」
スバル:「お手本?」
フワリ:「はい!期待に応えるために、本気になるお手本です」

 現実で自分がシャドバ中にこんなことを言われたらブチ切れると思います。「お前のプレイ下手すぎるからもっと真剣にやってくれよ」って言われてるようなものですからね。スバル自身も手を抜いている自覚があるからか怒りはしていませんでしたが。
 フワリが言うと嫌味には聞こえませんでした。たぶん理由は2つあって、1つは彼女のほんわかしたキャラクターのおかげなのですが、もう1つは彼女はたくさんの部員の期待を背負ってあの場に立っているという事実があるからなのかなと思います。部長として負けられないという責任を背負う覚悟をキメていて、期待への応え方を知っているのが伝わってきます。この二面性の同居がすごく素敵なキャラでした。
 スバルが言われたくないであろう言葉を真正面からぶつけるのもむしろ彼女なりの優しさを感じます。スバルの痛みに向き合う覚悟があって、こういう言葉をかけているのだなあと。フワリの底知れぬ器の大きさを感じました。最後にちゃんと謝っていましたし。

期待からの逃避

 スバルはこのバトル中で2回、試合を投げ出そうとしました。フワリの指摘通り、期待されることや期待に応えることが苦手なスバルは、そうやって自分にかかった期待を解こうとしてしまうのかもしれません。
 1回目が後攻8ターン目、ミスチーフゾンビをプレイしたあとのソウルコンバージョンの撃ち先です。4/4守護のジャイアントゴーストに撃とうとしたところをライトに呼び止められました。
 このときスバルの盤面は3/3, 4/4守護, 1/1の3面だったため、ソウルコンバージョンは1/1に撃つ以外ありえません。仮にジャイアントゴーストに撃ってしまったら、観客から見ても明らかに不自然に見えます。「スバルって実はシャドバ強いんじゃないの?」と静かに高まっていた期待がぶち壊されます。ライトは本能的にそのリスクを読み取ってスバルに声をかけたのかもしれません。
 2回目が決着のターンです。手札から6点出れば、盤面の総攻撃と合わせて勝てる場面。6点出す可能性の追求を放棄し、相手のベネディクションエルフを倒せば良い勝負っぽく試合を続けられるんじゃねという思考が頭をよぎっていました。
 ライトの言葉を思い出し、スバル自身の気持ちでその思考を断ち切りました。「この熱のままやってみるのも悪くねえか!」と言っていました。積極的に勝ち筋を見て、勝ちへこだわるのだと。ここの描き方はカードゲームアニメとして非常に上手だったので後述。


なぜスバルは本気ではないと思われたのか

 フワリとライトに「本気で戦っていないように見える」と煽られ続けていたスバルですが、プレイ自体はそんなに変ではありません。上で挙げた試合を投げ出そうとしたターンも未遂に終わりました。観客も「このまま勝っちゃうんじゃないの?」と言っていたぐらいには、ちゃんとシャドバをやっていました。2人だけがスバルの本心に気づいていたことになります。
 8話でゴーストの当て先をメイじゃなくてフェアリーにするという明確なプレイミスをして以来、スバルのプレイにミスらしいミスはありません。なぜ本気で戦っていないなんて言われてしまったのでしょう。
 ここからはシャドバオタクの深読みで、制作陣はここまで考えていないのだろうなとは思うのですが、バトル展開からスバルが本気じゃないとする根拠を無理やり作るなら2つ。
 1つ目は進化の切り方。後攻4Tの悪戯なネクロマンサーの進化は的確なプレイでした。しかし後攻5Tのトリックデュラハンと後攻6Tのマリスゴーストの進化はホントに必要だったかは微妙です。雑に進化権を使った結果後攻7Tでベネディクションエルフが倒せず、むやみにAOEを起動させられてしまいました。このプレイを見たフワリも意味ありげな表情をしていました。進化権が余っているので、深く考えずに進化を切っていたのではないかと。
 もう1つが手札にずっと残っていたソウルコンバージョン。後攻5ターン目ぐらいからずっと手札に見えていました。結果論で言えば、このカードの使い方はバッチリでした。ただ、もうちょっと早いターンでの使用を検討してもよかったかなと思う展開だったのです。
 スバルは盤面優位の展開を続けていました。1/1のスケルトンが場に残って帰ってきたこともありましたし、ゴーストにソウルコンバージョンを撃てる場面もありました。現状の手札だけで勝ち切るプランが見えていない場合、ドローをして勝ち筋を見つける必要があります。最終的に撃たない方がよいと判断するにしても、撃つかどうかの検討は毎ターンしてもよかったんじゃないかなと思ったのですね。
 アニシャドFでは考え込むシーンは少し時間を使ってプレイヤーの思考が描かれます。しかしスバルは深く考えずにコスト通り手なりでカードを出して、それなりに戦えている様子を演出できさえすればいいと考えていたのではないでしょうか。あらゆる可能性を考慮して、本気で勝ちの可能性を探る様子が見えなかったから、フワリとライトに本気じゃないと思われてしまったのではないかと考えました。さすがに深読みのしすぎだなと自分でも思いますが、こうやって考える余地を作ってくれているだけで、良いアニメだなと思います。


トップドローによる決着

 古今東西、カードゲームを観戦していて一番盛り上がる瞬間は、デッキのトップから大逆転のカードを引いて試合がひっくり返すことだと思います。シャドバの大会でもなんどもそういう神ドローで試合が決まる試合を見てきました。
 ただ、カードゲームアニメでそれをやりすぎると、冷めてしまうんですよね。ご都合主義じゃんと。現実はそう甘くないぞと。
 アニシャドFのすごいところは、切り札カードをトップドローさせないように徹底しているところです。ベネディクションエルフもマスカレードゴーストもかなり前のターンから2人の手札にあって、ここぞというタイミングで出てきました。イツキvsタツミもライトvsジェントルマンもそうでした。
 そういう積み重ねをしてきたからこそ、9話の決着が映えるのですね。バケルスの1ドローとソウルコンバージョンの2ドローで表現したかったのは、スバルに芽生えた勝ちへの執念だと思いました。何か解決札を引いてくれと本気で願ってドローをして、それにデッキが応える瞬間。やっぱりそれがカードゲームアニメで1番アツイ瞬間だと思うのです。




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