3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 彼方を望む編

 2021年7月6日開始のイベント「彼方を望む」のストーリーを考察していきます。

目次

0. 「彼方を望む」というタイトル

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 今回のイベントストーリーの舞台はテラの各地に散らばっています。ロドス号から遠く離れた場所でも、ロドスと同じ志を有して頑張っている人たちがいるというのがイベント全体を貫くテーマの1つでした。オペレーターたちが出張したり、現地で働いている外勤オペレーターが登場します。遠くにいる同胞を想うという意味で「彼方を望む」というタイトルに繋がります。
 もう1つのテーマが、登場人物たちが追い求める「理想」です。彼らはそれぞれ違ったバックボーンを持ち、違った理想を語ってくれます。遥か彼方にある理想に向かって一歩一歩進んでいる登場人物たちの目線が、「彼方を望む」というタイトルに込められたもう1つの意味なのかなと思いました。


1. 「続かず」- ホシグマ

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1-1. チェンを想う2人

 理想を追いかけて龍門を飛び出していったチェンを見送り、今は彼方にいるチェンを想うホシグマの目線から語られるお話でした。
 チェンから特別督察隊の隊長の座を引きついだホシグマは激務に追われていました。スワイヤーも非常に忙しくしているようで、ホシグマはスワイヤーの身体を心配していました。
 ホシグマはチェンが去ったあと空席になった隊長へと昇進したと思われるのですが、「昇進したと思いきや異動することになった」と言われていたため、すぐに別のポジションに変わるようです。
 シラユキに対してホシグマが語った内容に、チェンへの想いがにじみ出ていました。

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 自分の身を削ってまで正義を追い求める価値は、ホシグマは「これっぽっちもないと思っている」とばっさり言っています。しかしチェン本人がその価値を認めている以上、ホシグマはそれを止めようとはしません。チェンという人間を深く理解しているからこその諦めとでも言うべきでしょうか。
 チェン本人が納得のいくゴールに辿り着けないことをホシグマは心配していました。正義や公正を追い求めた先に、納得できる答えが見つかるかどうか…。ここについては、6話目のチェンの話でアンサーが出る形になっていました。

1-2. 近衛局とロドス事務所

 ホシグマと近衛局局員との会話の中でロドスのことが話題に出ます。この局員はロドスの龍門事務所の事務員と仲が良いという話をしていました。メイン5章で龍門近衛局ビルがレユニオンに乗っ取られたとき、ロドスと一緒に奪還したことは胸に刻まれていることでしょう。たまに一緒に飲むこともあるみたいですね。
 ロドス事務所の方が休みが多くて給料も良いという話もしていました。龍門近衛局は公務員扱いだと思うので、民間企業のロドスより待遇が悪いというのは現実的なお話だなあと思いました。
 近衛局局員は龍門事務所所属ではないロドスの人員には変なヤツが多いということと、「ナントカ修道院の若い娘」と飲んだという話もしていました。これはアルケットが龍門に滞在する4話へのパスですね。

1-3. シラユキのロドス評

 ホシグマの前にふいにシラユキが現れます。シラユキは極東出身の忍者で、もともとフミヅキのボディーガードをしていました。フミヅキに命じられて、ドクターの護衛をするためにロドスへと派遣されたとプロファイルに書かれています。普段はロドス号にいると思うのですが、今回はたまたま龍門に戻ってきていたようです。
 フミヅキがただの好意だけでシラユキという戦力をロドスへ提供するはずはありません。ロドスを見張るという意味も込められているのだと思います。当のシラユキ本人はロドスのことを気に入っているようでした。
 シラユキがホシグマに声をかけたのは、漫画を渡すためでした。盾を持った大柄なキャラが活躍する漫画です。ホシグマたちの活躍に感銘を受けた漫画家が描いたのでしょうか。モデルになったホシグマ本人にわざわざ届けてあげるなんて、シラユキは意外とお茶目な人なのかもしれないですね。

2. 「荒野悠々」- キアーベ

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2-1. 一味結成秘話

 キアーベ・アオスタ・ブローカの3人が出会った経緯はざっくりプロファイルで明らかになっていたことではありますが、改めて一味の詳細な結成秘話が語られました。
 キアーベは元々自動車の修理工をしていたのですが、アオスタの古巣ファミリーの構成員をぶん殴ってしまい、アオスタが始末の命を受けてキアーベを襲いました。決着はつかず、殺し合っているうちに意気投合して仲良くなってしまったとのことでした。なんじゃそりゃ。
 ブローカは別のファミリーの構成員をしていました。ファミリーに裏切られたことに気づかず殺されそうになっているところを、キアーベとアオスタに救出されたとのことでした。ここははっきりとは描かれていません。
 無鉄砲なリーダーのキアーベ、冷静な参謀アオスタ、寡黙でタフな特攻隊長ブローカという、なかなかバランスの良い3人組が結成されたというわけですね。

2-2. ロドスへ来た経緯

 キアーベ一味はヴァイトシティという街で結成され、とあるファミリーの末端にいたようです。所属するファミリーを怒らせてしまったこと、そしてトリンファミリーという別のファミリーを怒らせてしまったらしく、ヴァイトシティから逃げ出すところがイベントで描かれていました。
 一番近くのロコモティヴァシティまでの道のりを、盗んだ車で走っていました。ロコモティヴァまであと少しというところで、車を押している途中に、ロドスのオペレーターであるスケールに出会います。鉱石病で苦しんでいたキアーベに効く薬をロコモティヴァのロドス事務所で売ってもらいます。
 そこでロドスに来ることになったのかと思いきや、ロコモティヴァのファミリーとまた揉め事を起こしてしまい、スケールに再度助けられたとのことでした。キアーベ一味は全方位のマフィアにケンカを売ってしまいますね…。

2-3. 一味の野望

 行動だけ見るとキアーベ一味は粗野で粗暴なガキンチョたちに見えるのですが、彼らなりの理想を持っていることが語られていました。

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 自分たちを苦しめる憎き鉱石病をなんとかしたいというのがスタート地点ではあるのですが、キアーベの懐は広く、苦しんでいる感染者たちを全員まとめて治したいと言っています。キアーベたちも感染者になってからファミリーのボスに酷い扱いを受けたと言っていますし、感染者の苦難を自らの目で見てきたのでしょう。
 キアーベ一味の野望が、ロドスが目指す理想と方向が合っているのが幸いなことです。ロドスが彼らをオペレーターとして受け入れたのは考え方の一致という面もあったでしょう。
 世間知らずなキャラたちなのですが、根っこの部分でロドスと繋がっているのがわかるエピソードだなと思いました。頭の良い人たちがぶつぶつ理念を唱えているだけではなくて、ロドスに関わるみんなが同じ目線を持っているからこの組織は強いのでしょうね。


3 「不滅の童話」- アイリス

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3-1. 夢を見せるお城

 アイリスが「お城」から旅立つシーンからスタートでした。
 アイリスに杖を渡した「マザー」と呼ばれる人物がいて、幼いキャプリニーの女の子とコータスの男性が登場しました。いずれ名前がわかることでしょう。
 約20年前にメイベルという子供から預かった宝物のラジオを、本人に返しに行く任務を果たすべく、アイリスは旅立ちます。もっと簡単な仕事から始めてもいいのではと言われていましたが、アイリスの意志は固かったですね。
 この「お城」が何をしているのかということについては、アイリスのプロファイルにも多少書かれているのですが、はっきりとはわかりません。アイリスは相手に思い通りの夢を見せるアーツ能力を持っていて、お城に招待する夢を子供に見せて、宝物を預かるということをしているようです。
 当然ながら金銭的利益を求めているわけではなく、子供に希望を持ってもらうことを目的としているようでした。

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 この活動は何千年も前から行われているらしく、夢を見せられた子供はそれを語り継ぎ、童話や童謡としてこの世に残っているらしいです。ロマンチックなお話ですが、やはり何を目的にしてこの活動が行われているのかわからず不思議です。

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 テラの大地では、童話や童謡が異様な力を持っているという話がケオベの茸狩迷界で語られていたことを思い出しました。寒災を引き寄せるサーミ童謡は、こうやって長い間語り継がれてきたものなのでしょうか。
 あの冒険物語はケオベが夢を見ていたという設定なので、夢と童話を繋ぐ摩訶不思議な力の表出だったのかもしれません。

3-2. ドーラの治療

 トネール村のドーラという女の子のエピソードを通して、鉱石病に感染してしまった子供が辿る可哀想な現実が語られました。アイリスはドーラの悲しみをどうすることもできず、逆に気を遣われてしまった事実に落ち込んでいました。
 トネール村にロドスの事務所があり、このあたりで任務を受けていた外勤オペレーターがドーラの両親にロドスを紹介しました。ヴィクトリア人はプライドが高くて、住んでいるところから離れたがらないと言っていて、ドーラの家族がどういう決断をしたのかはこのお話の中では語られませんでした。
 一家の決断は、別のイベントの中ですでに語られていました。

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 戦地の逸話のバニラの回で、バニラがドーラを連れたブレイズと立ち話をするシーンがあります。ドーラの立ち絵はほぼ同じで、胸にロドスの身分証が追加されています。ロドスに滞在して治療を受けることになった後の出来事のようでした。大切な娘をロドスに預けようと決めた両親の決断の裏には苦悩があったことでしょう。ドーラはロドスで治療を受けながら、立派に成長していってもらいたいですね。
 短い尺の中で結末まで描けなくとも、別のイベントの中で答えを用意してくれるアークナイツという物語はやはり信頼ができるなと思いました。
 ドーラを説得することができなかったアイリスと、ドーラの両親を説得することができた名もなき外勤オペレーターが対比されているのも美しいなと思いました。アイリスには色々な経験が必要なようです。頑張っていってほしいですね。

3-3. 外勤オペレーターの語る理想

 名前すら明らかにされませんでしたが、この外勤オペレーターは只者ではない雰囲気を放っていました。

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 ドーラを励ますことができずに落ち込んでいたアイリスに、夢の大切さを説くシーンです。「良いものとは何かをわかって初めて、努力する方向を決められる。そのために物語が必要」というのは我々も大事にしたい考え方ですし、悲劇に満ち溢れたテラの大地を生きる彼が言うから余計に重みがあります。
 「そこらへんの物語よりもよほど荒唐無稽な理想」を外勤オペレーターは信じていると言います。これはドーベルマンやケルシーなどロドスの大人たちが様々な場面で口にしてきたことと重なります。
 ロドスのトップであるアーミヤはまだまだ子供で、彼女が掲げる「鉱石病が引き起こすすべての問題を解決する」という理想は、果てしなく遠くにある夢物語に聞こえます。まさに「彼方を望む」です。大人たちもそれは分かっていて、半ば自嘲気味に、冗談半分にその理想を語ります。でも、先頭に立つアーミヤを信じて、ロドスの誰もが本気でその理想に向かっているんですよね。ロドスのこういうところが自分は本当に好きだなと思いました。
 外勤オペレーターがアーミヤの説く理想を信じているように、アイリスは童話の持つ力を信じています。アイリスが後にロドスのオペレーターになることにはある種の説得力があります。

3-4. メイベルの正体

 アイリスが探していたメイベル・グリムという人物は誰なのかという話にも続きがあります。外勤オペレーターがよく知っている人物で、おそらく亡くなっているのだろうということは物語中の反応から見当がつきます。
 アイリスの信頼度を上げると解放されるプロファイルおよびボイスにて、メイベルがロドスのオペレーターであり、ブリッシュシルバーというコードネームで働いていたことがわかります。
 メイン8章で語られたチェルノボーグ奪還作戦にて、ブリッシュシルバーはロスモンティス小隊所属のエンジニアとして出撃、ロスモンティス小隊唯一の殉職者となりました。彼女の戦死の様子も少しだけ8章の中で描かれています。エンジニアであるブリッシュシルバーがラジオを宝物としていたという話には納得感がありました。

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 自らの使命を果たすべく意気揚々と城を出たアイリスを待ち受けていた最初の任務の結末がこういう形であることは、アークナイツらしい容赦のなさだなと思いました。
 逆に、立ち絵のないモブキャラにこういう形で光を当ててくれるのも、アークナイツらしいところだなと思いました。ブリッシュシルバーの存在はロスモンティスに大きな影響を与えただけでなく、アイリスがロドスに来るきっかけを作ることにもなったのです。そうやって無数のオペレーターたちが命を繋ぎ、ロドスは前へ前へと進んでいくのですね。



4. 「信仰という名の電車」- アルケット

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4-1. ランデン修道院とはなにか

 アルケットはランデン修道院を代表し、フェンツ運輸のトップであるピーターズに会いに、遠く離れた龍門まで来ました。
 ランデン修道院はラテラーノにあり、長い伝統を持つ有名な修道院です。元々は神職者を守るために設立された機関だったとのことです。他国の人も受け入れていることが、公証人役場やラテラーノ教会といった他の機関にはない特徴だと言われていました。
 近年は財政難に陥っているらしく、修道院で採れる作物を加工して作った商品を売って資金を調達したいと考えているようです。アルケットはその販路拡大のために、フェンツ運輸との交渉のテーブルにつきました。
 アルケットと同じように、商人のようなことをしている修道士が他にもいるとプロファイルには書かれています。また、ストーリーの中ではリターニア音楽学校へ進学したアンジェリカ姉さんという存在にも言及されていました。
 ペンギン急便社長のエンペラーはランデン修道院創始者であるポール・ランデンと知り合いだったようなことを口にしていました。エンペラーはポール・ランデンが「銃を置いて筆を取った」と言っていたので、サンクタ族だったようです。
 アルケットがその話を信じていないような反応をしていたのは、きっとポール・ランデンが何百年も前に亡くなった人だからだったのではないかと思います。ランデン修道院は相当歴史の深い機関のようなので、創始者が最近まで生きていたはずはありません。ユーネクテスの部族のところにいた大祭司しかり、この大地に生きる不思議な鳥たちは一体何者なのでしょうね。

4-2. フェンツ運輸の野望

 ピーターズがランデン修道院と契約を結んだ理由を語る場面がありました。

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 テラの国々をまたにかけて飛び回る国際トランスポーターたちでさえ、国と国を隔てる壁にぶつかっています。ピーターズはその壁を乗り越え、トランスポーターたちが自由に世界を繋ぐ未来を夢見ています。 

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 アルケットはまだ若いですが、テラの大地の様子をかなり正確に把握しています。ピーターズ本人もこの理想の達成は相当難しいと理解をしています。理想の達成には、自国の利益を最優先して戦争を繰り返すテラの国々、そして天災すらを打ち砕かねばなりません。
 ピーターズはそれを達成するための「理想の尖兵」になる覚悟だと言っています。ロドスの外にも、果てなき「理想」を語る人物がいるのだなと嬉しくなりました。天災を乗り越えるという点に絞っていえば、ピーターズはロドスと同じ未来を描いているのかもしれません。

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 そんなピーターズを前にしてアルケットは少し気が引けていますが、ランデン修道院を存続させたいという自分の想いを正直に語っています。アルケットにはアルケットの理想があるのですね。辛いことばかりが起きるこの世界で、自分の理想を自分の言葉で語れる人物には、やはり希望を感じます。
 ピーターズが自分の理想を実現するための足掛かりとしてラテラーノを選んだのは、現ラテラーノ教皇が交易に積極的だからと言っていました。どういう人物なのでしょうね。

4-3. アルケットとオペレーターたち

 アルケットはバイソンが手配してくれたホテルに泊まっていて、隣室にはたまたまスノーズントが宿泊しており、ペンギン急便が暴れている現場にも出くわします。ロドスのいろんなオペレーターに意図せず接触した形になります。
 エンペラーはピーターズとアルケットが「大地の果て」から出てくるのを見ていたとのことです。会話を盗み聞きしていたのかもしれないですが、アルケットにロドスを仲介してくれます。
 ピーターズとの会話の中で、アルケットはモスティマの名前に反応します。聞き捨てならない、と。また、ボイスの中ではエクシアのことも話題にしています。2人は有名人なのでしょうね。「喧騒の掟」以来ラテラーノに関する伏線がいろいろと撒かれています。どこかで回収してくれるといいなと思います。


5. 「あてのない旅」- グレイ

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5-1. 任務概要

 グレイ・レオンハルト・エアースカーペの3人が任務に出かけている様子が語られたお話でした。まずは任務の概要から見ていきましょう。
 発電機が故障してしまった移動都市から、SOSの連絡がありました。直接ロドスに連絡が来たのかはわかりませんが、そのSOSはレム・ビリトン方式の信号を使っていたとのこと。レム・ビリトンに詳しい2人と、アーツを使った電力機器に詳しいグレイが任務に当たることになりました。
 レオンハルトはその救助信号が本当か嘘かは分からないといっていて、両方のケースを想定していました。嘘であれば救助隊を引き寄せる罠でしょうし、本物であれば略奪者を呼び寄せる可能性があるとのことで、いずれにせよ用心が必要だと言っていました。
 結末は描かれず、荒野を走る車のなかでの3人の会話が描かれました。

5-2. ラテラーノの銃

 本筋とは関係がないのですが、レオンハルトが面白いことを言っていたのでメモがてら書いておきます。ラテラーノの銃と、それを模したアーツユニットの違いについてです。

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 ラテラーノの銃は遺跡から出土した遺品だとたびたび言われています。テラの大地がどういう場所なのか、物語の根幹へ至るヒントになりそうだと思って個人的に注目をしています。
 ラテラーノ銃の良いところは、アーツ出力が不要なところです。現実の銃と同じく、火薬の爆発で銃弾を撃ち出すのでしょう。
 銃を模したアーツユニットはアーツの照準技術さえあれば簡単に扱えると言われていたので、ラテラーノ銃のコントロールの方が難しいみたいですね。

5-3. 天災トランスポーターとはどんな人たちか

 天災トランスポーターであるレオンハルトと、その護衛を長年務めてきたエアースカーペが、天災トランスポーターという職業のことをグレイに色々と説明していました。

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 まずどういう人が天災トランスポーターを務めているかについてです。天災トランスポーターの関連能力を持つ人のうち、優秀な人は研究者になるようです。エイヤフィヤトラやアーススピリットのような人たちをイメージすれば良さそうですね。
 残った命知らずな人たちが天災トランスポーターになるという話でした。お金をたっぷり払ってくれる雇い主がいるケース、選択肢が他になかったレオンハルトのようなケース、そして最後が強い信念を持っているケースだそうです。
 天災に恨みを抱いていたり、人類のために自らを犠牲にするようなハートを持っていたり、天災に挑戦心を掻き立てられるような人たちが、天災トランスポーターの中にはいると言っていました。
 そういう人たちは「天災」というものに囚われて視野が狭くなっています。より多くの命を救うため、天災の痕跡を消すために命を切り捨てることがあると言われていました。
 天災というものが強大な存在であるがゆえに、価値観が歪んでしまう人が多く出てくるのでしょうね。

5-4. 天災トランスポーターの受難

 天災トランスポーターの仕事は辛いんだよという話もしていました。

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 天災トランスポーターが天災を予知すると、移動都市は移動の準備をします。住人はいろいろなことを諦めます。
 予知通り天災が襲ってくれば、住人たちは助かったことを祝います。そのとき、天災トランスポーターへの感謝はないのだとのこと。しかし予知が外れた場合、住人たちは白い目を天災トランスポーターに向けます。可哀想な職種ですが、現実でも何かを保守する仕事はトラブルが起きたときのみ叩かれます。遠い世界の話には思えません。
 予知をミスると天災トランスポーターはさぞ居心地が悪いでしょう。挽回するには次回正確に天災を予知するしかありませんが、耐えきれなくなって別の都市に移動してしまうパターンもよくあるみたいです。
 エアースカーペは3つ目の選択肢として、危機契約を結ぶということを挙げていました。これだけ少し飛躍した行動なのではないかと思ったのですが、そうやって罪滅ぼしをする人たちが多いということなのでしょうか。
 ただ、これは実際にウォルモンドの薄暮の中で起きたことです。ウォルモンドに勤務していた天災トランスポーターであるビーダーマンは天災を予知することができず、街は危機に瀕しました。貴族たちの助けを呼ぶべく、住人の命を犠牲にしてまで、事件を引き起こして街を救うという危機契約を実行しました。
 このときエアースカーペは現地入りをしていたため、ウォルモンドで自身が経験したことを念頭に置きながら喋っていたような気がしました。我々プレイヤーに向けても、ウォルモンドで何が起きたのか補足をしてくれた形のコメントだなと思いました。

5-5. グレイの責任

 レオンハルトとエアースカーペと語る中で、グレイは自分のやりたいこと、やるべきことを考えていきます。

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 医者が他人の命を救うことに情熱を注ぐように、何のために頑張るかを考えることが大事だとエアースカーペは語ります。これも今回のイベントのテーマである「理想」と繋がってくるお話ですね。グレイの理想とはなんなのか、ということです。

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 グレイはまだ幼く、自らの理想を見つけられていません。行動するための口実として、ロドスに命を救われたことに責任を見出し、自分に無理強いをしているだけだとエアースカーペは言います。それ自体は悪いことじゃないとフォローはするものの、より重い責任を背負うことで大きな救いが得られるわけではないという本質を突くのですね。
 グレイのような若いオペレーターは、先輩オペレーターたちに色々なことを教えてもらいながら、オペレーターとして仕事をしていく心構えを身に着けていくのでしょうね。


6. 「剣と天秤」- チェン

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6-1. チェンのクルビア視察

 チェンはアーミヤに相談をして、クルビアの司法制度を直接見るため出張をしていました。現地のロドス事務員に任務完了の報告もしていたため、クルビアでの任務も同時に受領していたようでした。
 ホシグマと同様、アーミヤもチェンのことを心配していました。

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 すべての人を公平に扱うことを、目指した人は誰もいないとアーミヤは言っています。現代日本に生まれた我々には信じられない感覚ですが、現実世界だって本格的な平等が実現され始めたのは第二次世界大戦以降ですし、我々は先人の偉大な努力の上に暮らしているという事実は忘れたくないですね。
 感染者と非感染者を平等に裁ける世の中を作るというのが、チェンが一生を賭して実現しようとしている理想です。その理想は、鉱石病がもたらすすべての問題を解決するというロドスの理想と近いものなんですよね。

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 ホシグマやアーミヤがチェンのことを心配していましたが、チェンは一人ではありません。ロドスという組織そのものが向かう方向が、チェンの目指すべき方向と一緒なのです。冷静で悲観的なものの見方をすることが多かったチェンが、こうやって素直に嬉しく思っているのを見るとほっとしますね。

6-2. 謎の仕置き人

 チェンはクルビアのとある街で厄介事に首を突っ込みました。武装した外人傭兵が殺された事件で、濡れ衣を被せられた感染者を救おうとしたのです。
 クルビアの司法制度は先進的で、感染者も公正な裁判を受けられると謳われています。しかし現実は建前とは異なります。感染者側の言い分に耳を貸す裁判官などいないのでしょう。
 チェンも口では自首して裁判を受けろと勧めていましたが、それは綺麗ごとだと薄々気づいていたみたいです。アーミヤが心配していた、現実への失望がチェンの胸をよぎったことでしょう。
 チェンは1人で真犯人を探し出して捕まえ、証拠と一緒に警察署の前に放り出すという荒業でこの事件を解決してしまいました。ロドス事務員が謎の正義の味方だと世間が騒いでいることを話しているとき、チェンはあまり嬉しそうではありませんでしたが、本当に嬉しくなかったのでしょう。陰でコソコソ動くことでしか、この事件に干渉できなかった己の無力さを噛みしめていたのではないかと思います。
 現実に失望しながらも、こんなところで自分は立ち止まれないと己を鼓舞してこの物語は終わりました。

6-3. 事務員と覆面オペレーター

 チェンがロドス事務員と話したとき、ロドス事務員が身の上話をしてくれました。
 彼女は医学生としてロドスで学び、ロドス号で仕事をしていたときもあったようですが、実家に戻りたいということで事務員の仕事を紹介してもらったようです。
 事務員はお金を貯めて友達と一緒に診療所を開きたいという夢を語っていました。ここでも、小さな「理想」が芽吹いている様子が語られるのですよね。ロドスに関わる人たちは、みんな自分なりの理想を持っていて立派だなと思います。
 チェンは事務員に臨時で新人オペレーターが増員されたことを伝えていました。完璧主義のチェンが、増員を伝え忘れるミスなんてするわけがありません。この新人は冤罪で逃げていたあの感染者ですね。冤罪は晴らすことができたものの、捕まえようとした警察官への傷害罪は消えません。彼を救うためには夜逃げしかなかったようです。
 こうやってチェンは清濁併せ吞むことを知り、失望を重ねながらも、一歩ずつ理想へと進んでいくのでしょう。本当に強い人ですよね。


7. 「よりよい自分」

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7-1. イベリアの噂話

 最後のお話は主役となるオペレーターが設定されておらず、他とは毛色の違うお話です。
 ミルラ、ウタゲ、ビーントークの3人が採集をしているとき、イベリアの近くにまで迷い込みます。各々が聞いたことのあるイベリアの噂話を出しあった結果、イベリアはヤバイところだから入らないほうが良いという結論に達しました。
 本人たちも不思議がっていましたが、こんなに良くない噂がたくさん知られているイベリアとはどんなところなのでしょうね。
 イベリア出身のオペレーターのプロファイルにポツポツと書かれていますが、イベリアは出国は簡単ですが入国をすることが非常に難しい状態にあると言われています。入った人が出てこないので、そういう噂が流れてしまうのでしょうか。
 尾ひれ背びれがついているとはいえ、噂が出てくるには相応の理由があるはずです。イベリアの移動都市は変形する、人が彫像にされてしまう、死者が墓から出てくる、などなど、それに近いような出来事があったのかもしれないですね。
 ミルラの語った噂話は、親友のハルモニーと一緒に聞いた話だと言っていました。ミルラのプロファイルにもハルモニーのことが書かれていて、現在はロドスにいるようなのですが、いまだに出てこないですね。

7-2. 宣教師と規律

 ミルラたちの噂話と対になる形で、イベリアの内情が語られました。とある村に街から宣教師がやってくる場面でした。国の外では変な噂が流れているものの、村での暮らしぶりは至って平穏でした。
 宣教師はぎょろっとした目が特徴的なのでエーギル族なのかなと思いました。「青く燃ゆる心」に出てきたAUSのメンバーの目に似ています。
 宣教師が子供たち説いた教えの内容自体はありふれたものだなと思いましたが、ここまで語られてきた「理想」というテーマとつなげて考えるべきなのかもしれないです。

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 チェンやピーターズが語ったことに近いと思うのですが、人間の肉体は脆弱で、1人で理想を追い求めても限界がきます。それを乗り越えるために、イベリアの宣教師は規律を大事にすべきだと語っていました。
 イベリアはラテラーノと繋がりが深く、ラテラーノの文化や宗教が流れ込んできていると言われていました。アルケットが語っていたように現在のラテラーノは比較的自由奔放なイメージを受けますが、イベリアは依然として信心深く規律を守っている国なのかもしれません。

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 宣教師が子供たちに語っていたことの根底は、実はロドスの面々の覚悟と同じなのかもしれません。自分が何をしたいかをしっかりと見定め、自分を信じて行動すること。そうやって強固な意志を宿した人たちが、時代を切り開いていく。今回のイベントの根底を流れるものは、語り手の国や立場が異なっても同じだったのかなと思いました。



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