3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 画中人編

 2021年7月30日開始のイベント「画中人」のストーリーを整理していきます。

時系列整理 兼 目次

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 時系列に沿ってストーリーを深掘りしていきたいと思います。登場人物たちが現実世界にいるのか、絵巻の世界にいるのか注意しながら整理していきましょう。
 上表で赤文字で振っている番号がこれ以降の目次の番号に対応しています。
 ちなみにアークナイツ全体の時系列で言うと、メインストーリーよりも数年後という感じになりそうです。エンシェントフォージよりも後ろということはわかりますが、それ以上はわかりません。

① 拙山尽起図に込められた想い

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 ラヴァたちよりも前に、なぜサガが絵巻の世界にいたのかというところからスタートします。きっかけとなったのは師匠がサガに見せてくれた「拙山尽起図」という絵です。
 遡ること数十年、サガの師匠はシーに出会いました。師匠は川に落ちそうになったところをシーに助けられ、お礼に灰斉山へ同行しました。いまもシーが住んでいる山ですね。
 そこで2人が出くわしたのは難民が溢れかえる悲惨な光景でした。サガの師匠は心を痛め、三日三晩念仏を唱え続け、餓死者の溢れる荒れ地を歩きました。天災が近くに落ちたのかもしれません。
 一方のシーはその景色を見ながら「拙山尽図」という絵を描きます。サガ曰く、絵の中に吸い込まれてしまいそうな、壮麗な山河と滝の絵です。目の前の光景と相いれないのは、シーのひねくれた性格が出ているなと思いました。
 サガの師匠はこの絵を「拙山尽"起"図」と改題しました。なぜ改題を行ったのでしょうか。
 シーが命名した「拙山尽図」は「古拙な山が尽き途絶える」という意味、「拙山尽起図」は「山河は未だ途絶えず」という意味だとサガが言っていました。「起」に否定の意味はないので、後者はサガの意訳だと思います。
 そのまま漢字の意味を追うなら、「拙山尽」は「山が尽きる」ので何かの「終わり」、「拙山尽起」は「山が尽く起きる」ので何かの「始まり」を現しているのではないかと思いました。山は動かないので尽きたり起きたりしません。絵のモチーフである山河に意味を上乗せしているのではないかと思います。
 シーと師匠が見た景色を考えると、ネガティブなタイトルになる方が自然だと思います。タイトルに関してはサガの師匠の感覚の方がおかしいと言わざるを得ません。この世の終わりのような光景だったわけで、「拙山尽」の方が合っているように思います。あんなに悲惨な経験をしたのに、よくもまあポジティブなタイトルへと改題できるものだと驚きます。
 シーはサガが若き日の師匠に似ていると言っていましたし、サガの師匠も若いころはぶっ飛んだ人だったのかなと思いました。それでいて慈悲深く、希望を持ち続けられる人なのだなということもわかります。
 この改題をシーも悪くないわねと認めていたので、ポジティブさは伝播していくのだなあと思いました。悲惨なテラの大地にも、サガやサガの師匠のような存在がいて、それは大地に芽吹く小さな希望のようだなと感じるエピソードでした。


② サガの冒険

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 サガは師匠の元を離れ、放浪の旅の途中で灰斉山を訪れました。拙山尽起図の元になった景色を見るためです。そこでシーの山小屋に入ってしまい、絵巻の世界に囚われます。
 サガは絵巻の中だと途中で気づきましたが、抜け出そうとしませんでした。絵巻の中が快適だからとも言っていましたが、「夕娥(シーウ)が月に登った理由が腑に落ちなかったから」というのが理由でした。
 夕娥のお話は炎国の神話の中の一節です。「在りし日の風を求めて」のシャマレの回でスズランが読み聞かせをしました。

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 夕娥は旦那を探して天岳という山に登りましたが見つからず、神様に言われて月にまで昇っていきました。月に行っても旦那に会えるわけがないのに、なぜそんな判断をしてしまったのか不思議な話です。サガの疑問はもっともだと思いました。

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 夕娥が人々に惜しまれたがゆえにこのお話は神話として受け継がれてきたのだとサガは考え、その理由を絵巻の中で考えていたようでした。神話や伝説が伝承されるのはそれなりの理由があり、作り話だからと言ってその内容や意義を頭ごなしに否定するのは違うとサガは考えているようです。知的な考え方で好きです。
 そんなこんなでサガは体感にして10年の歳月を絵巻の中で過ごしたと言っていました。絵巻の中に居続けると自分が何者だったのかを忘れてしまい、並みの人間なら永遠に絵の中に囚われてしまうとシーは言っていました。サガの曇りなき精神の顕れですね。
 シーはなんだかんだ優しいので、姿形を変えてサガに起きるように何度も忠告をしていました。講談師はたくさんあるシーの絵巻の中での姿のうちの1つです。サガはシーの忠告に気付いていて、あえて無視をしていました。こういう図太さも持ち合わせているのがサガの強いところです。


③ 婆山町とはどんな場所か

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 ニェンの依頼でラヴァとクルースとウユウが灰斉山へとやってきます。ラヴァたちはシーの小屋に足を踏み入れ、絵巻の世界へと迷い込みます。それは婆山町という町が描かれた絵巻でした。
 絵巻の婆山町は東に太陽、西に月が浮かび続ける不思議な場所でした。そういうふうに絵が描かれているのでしょう。西にある鴻洞山には墨魎という化け物がいて、町をたびたび襲撃していました。墨魎はシーが気まぐれに描いた落書き、シーの雑念のような存在です。
 絵巻の婆山町は現実にあった婆山町をモデルに描かれています。現実の婆山町は炎国の南東部の辺境にありましたが、天災によって壊滅してしまいました。

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 シーはレイという女性の依頼で婆山町の絵を描くことになりました。レイは故郷の婆山町に天災が降りかかり、口減らしのために捨てられたところをシーに助けられました。しばらく絵の世界にいて、現実に出てきたあとはずっとシーに会っていませんでした。
 病気を患ったレイの死に際にシーがふらっと現れました。「私を唯一驚かせた人」とシーは言っていたため、レイのことは印象に残っていたのでしょう。わざわざ会いに来るなんて優しいですね。レイは婆山町の絵を描いてほしいとシーに頼みます。
 レイは憧れていた質屋の女将さんの姿となり、シーが描いた絵の中で生き続けています。シーは絵の中のレイを見守り、レイは絵の中からシーを見守っています。
 レイはラヴァたちの優しさに触れて、シーがなぜラヴァたちを攻撃しようとしているのか不思議に思います。ニェンとの関係まではレイも知らないのですね。レイは「心を強く持って」とラヴァたちにアドバイスをして、墨魎が爆竹を怖がるということも教えてあげました。シーに対するちょっとした反抗ですね。
 シーはニェンに対して気が立っていただけなので、レイのわだかまりはすぐに解けたことでしょう。


④ 「画中人」の哲学

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 婆山町にラヴァたちがやってきたことと、ニェンが干渉してきたことで、絵の中の状況が変化していきました。サガは絵巻の外に出ることを決意します。7日間飲まず食わずで瞑想をして、ついに現実世界へと戻ってきました。正確に言うと抜け出た先も絵の中だったようですが、講談師に扮したシーに認められ、現実のシーとご対面しました。
 サガはシーに聞きたいことがたくさんあって、質問をぶつけました。その中の1つ、「画中人は「真」か「偽」か」という問いはこのイベントのタイトルを回収した面白い問答だなと思いました。
 画中人を「偽」だと考えるその前提には、自分が「真」であるという確信があります。しかし自分が本物であるとどうやって証明するかとシーはサガへ逆に問いかけました。自分が唯一無二の本物の存在であることをいかにして証明するのかというのはまさに哲学のテーマだなと思いました。
 中国は古くから東洋哲学の中心地として優れた哲学者を多く輩出しました。ゲームで扱うには難しいと思うのですが、真正面からイベントのテーマに持ってくるあたり、覚悟が決まっているなあと思いました。知的好奇心を刺激されます。
 シーは1個目の回答を発展させて、「この世界そのものが別の絵巻なのかもしれないぞ」とサガに別の可能性を示しました。サガに対しては言葉遊びのような思考実験的な考え方を投げつけたように見えるのですが、我々プレイヤーには全く別の刺さり方をします。

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 我々は絵巻を見るだけの人です。シーたちには直接触れることができません。アークナイツのメタ構造はこれまでもいろいろなところで触れられてきましたが、上のシーの言葉にはゲームのキャラクターとの距離感を感じ、何とも言えない哀しみを覚えてしまいました。
 この「真」「偽」の問いかけは、少しあとでニェンにも拾われます。ニェンやシーは本体が目覚めると消えてしまう存在です。そんな自分たちこそが画中人のような「偽」の存在なんじゃないかとニェンはシーに指摘します。
 サガが放った画中人の問いが、アークナイツの持つ様々な要素に反響し、我々に複雑な見え方を提供します。画中人は「Who is real?」という英語のサブタイトルもついています。このイベントに込められたテーマの深さに驚くばかりでした。

⑤ ウユウの未来の夢

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 サガはシーにニェンの護符を見せました。シーはニェンの存在を感知して、ラヴァたちをさらに別の絵の世界へと飛ばします。夢を見せるようなものだとニェンは言っていました。
 ウユウが見た夢の内容を整理するために、彼の過去から振り返っていきます。
 ウユウの師匠である廉子虚は、勾呉城に大きな影響力を及ぼす武術家でしたが、ライバル道場の陰謀により殺されてしまいました。師匠殺害のきっかけを作ってしまったウユウは、罪の意識により扇子や武術を使わないようにしていました。
 ウユウという偽名は、師匠の名前と子虚烏有(でたらめな嘘の話の意)という言葉から作ったものです。胡散臭いウユウにはぴったりの名前ですが、もしかしたら師匠が亡くなったのはウソであってほしいとの願いが込められているのかもしれません…。
 ラヴァたちと出会ったことでウユウはロドスに来ることになったわけですが、当初は龍門に行くことを考えていました。未来が分岐した形です。シーの夢の中では、ウユウが想像していた龍門での未来が垣間見えました。
 廉子虚は董という人物と旧友であり、董は鼠王リンに助けてもらったことがあるので、ウユウも董のツテを辿ってリンに助けを求めようとしていました。董はジェイの師匠である魚団子屋でもあります。
 夢の中でウユウはリンに認められ、5年の修行の後に勾呉城に戻り、敵討ちをしたあと龍門へと戻ってきました。龍門でリンに店をもらってフィットネスジムを開業した矢先、さらなる復讐の輪廻に囚われてウユウは命を落とす…。そんな哀しい未来でした。ニェンがやってきてウユウは叩き起こされました。
 ニェンが指摘していましたが、ウユウが夢で見た人生は復讐のための人生でしかありませんでした。師匠を殺されたことは彼にとって癒えない傷になっているでしょうが、ロドスでオペレーターとして生きることで、復讐以外の生きる意味も見つけることができるのではないかと思います。我々プレイヤーは、ウユウの身に起きたかもしれない未来を見たからこそ、彼がロドスに来てくれることになってよかったなと胸をなでおろしました。



⑥ クルースの未来の夢

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 ウユウが夢で見たのは実現されなかった未来だとわかりました。一方、クルースが見たものは過去なのか未来なのかすらわからず、胸がざわつきました。
 クルースが長期休暇をとったビーグルに会いに行くところから始まる夢でした。クルースはこの後フェンにも会いに行くということを話していました。
 ビーグルは新居を構えたと言っていたのですが、場所がどこかは分かりませんでした。故郷のボリバルでしょうか。「クルビアのお土産をもってきてね」とクルースに言ったことから、クルビアでないことは確かなようです。
 クルースはレム・ビリトン出身、フェンはカジミエーシュ出身なので、なぜクルビアのお土産なのかが気になるポイントでした。クルビアは三人がロドスに来る前に初めて出会った場所です。何か関係があるのでしょうか。
 ビーグルにお別れを言うところで場面が転換します。

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 不穏なことが書いてありました。
 クルースは夢から目覚めたと思ったらまた別の夢の中へと入りました。ボリバルの任務で窮地に陥っている場面でした。ここで起きたことは具体的に語られないのですが、どうやらビーグルがクルースの思いもよらなかった行動に出て、ビーグルを見捨てざるを得なかったようでした。
 クルースに同行したオペレーターは「ボリバルの件がこんなにも複雑ならロドスが手を出すべきではない」と言っていて、ビーグルがボリバルの内戦に首を突っ込んだような雰囲気が伝わってきました。
 ボリバルは3つの勢力が入り乱れて戦っている内戦の国です。ドーベルマンもロドスに来る前は内戦に身を投じた1人でした。ドーベルマンという存在が近くにありながら、なぜビーグルが戦火に巻き込まれていくことになるのか、不思議でなりません。
 上の画像のセリフとよく似たセリフが以前登場したことがあります。

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https://twitter.com/ArknightsStaff/status/1344493502311194632


 コーデのフレーバーテキストでは「エリートオペレーターのビーグル」と書かれていたため、彼女はロドスの一員として戦っているような雰囲気でした。しかし画中人の夢では、クルースがロドス側であるのに対して、ビーグルはロドスと逆側に立っていると捉えられました。一体どういうことなのでしょうか。
 シーが見せた夢はifの世界ですし、コーデ紹介のテキストもifのパラレルワールドかもしれません。何が真実なのか見極めるのは難しく、憶測を語るのは避けますが、どこかで行動予備隊の面々に転機が訪れるのは避けられないことなのでしょう。
 行動予備隊の未来に関連して、今回実装された獄炎ラヴァのプロファイルには黒塗りにされた「■■■■事件」という記載があり、かなり怪し気です。仲間を失ったと思われます。

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 また、婆山町での会話の一部にもクルースたちが越えてきた試練が見えたりもしていました。レム・ビリトンでも非常に辛い戦いをこなしたようです。

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 メインストーリーのチェルノボーグ事件のような壮絶な戦いが、今後もロドスの面々には降りかかっていくのでしょう。ひよっこだった行動予備隊のメンバーが成長してくれるのは嬉しいことのはずなのに、無性に胸がざわざわしてしまいます。成長するということは試練をくぐり抜けるということでもありますからね。心して今後のイベントを待ちたいと思うばかりです。


⑦ ニェンとシーの兄弟姉妹

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 ストーリーのラストではサガが自力で起きてきてシーが負けを認めました。ここからはシーがロドスに来たあとの会話を整理していきます。まずはニェンとシーがそもそも何者なのだろうということについてです。
 話の起点は古来にまで遡ります。歴史に名を残した昔の炎国皇帝は炎国の民を心から愛し、炎国のすべてを手中に収めようとしました。炎国の敵となるならば神々さえも駆逐せんと、大軍を操り炎国を駆けまわりました。
 この皇帝が最初に見つけた神は、意外なことに親族を裏切って皇帝の味方になりました。この神は自分の身体をいくつかに分割し、他の神々との戦いに貢献しました。しかし親族が「傲慢な本質を皇帝の前で晒し上げた」らしく、功績と罪科は相殺されたと言われていました。
 「最初に見つけた神」は分割した自分の欠片に「権限・機能・魂」を与え大地での役割を代行させました。この欠片たちはテラのあちこちで家族仲良く暮らしているとニェンは言っていました。"仲良く"というのは皮肉でしょう。これがニェンたちの正体だと思われます。
 ニェンには11人の兄弟姉妹がいる(全部で12人)ということは彼女のプロファイルで明らかになっていました。今回追加されたシーのプロファイルと突き合わせると、ニェンが9番目、シーが11番目であることが分かります。
 12人のうち、私たち側の人もいれば、無関心な人もいるとニェンは言っていますが、シーは他の皆は炎国皇帝側にいると言っていました。今後、友好的な兄弟姉妹はシーのように仲間になってくれるでしょうが、敵対することもあるのでしょう。
 兄弟姉妹の中には物書きをしている人がいて、その人はシーと仲が悪いらしいです。2人は書画同源の考え方を認めないから仲が悪いとのことで、それぞれの創作スタイルにプライドがあるのでしょう。
 また、ニェンには料理が上手い弟がいるとボイスで言っているので、10番目か12番目はその人が当てはまるのだと思います。
 ニェンは鍛冶士でシーは画家ですから、この12人はそれぞれが創作を生業にしていそうな雰囲気です。分割された欠片として「大地での役割を代行」しているはずなのですが、一見すると人々の生活にマストとはいえない芸術家なのが気になるところです。ニェンもシーも無職であることがやたらと強調されますし…。


⑧ シーと監察官

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 シーは炎国の監察官に懲らしめられた経験をニェンに話していました。彼女は引きこもって絵を描いているだけなのに可哀想ですね。監察官はシーたちの存在そのものを敵視しているのか、皇帝の側に引き入れようとしているのでしょうか。
 監察官はメインストーリー6章で突然現れて、その後音沙汰がありませんでした。6章で出てきた3人のうち、1人はオペレーターのレイズです。髪飾りとツノでバレバレです。1人はタイホーという名前でしたが、最後の1人は名前が分かりませんでした。
 レイズのプロファイルによると監察官は炎国の官僚という扱いのようです。6章では龍門近衛局を査定しに来たような感じでした。どういう役割を持った組織なのかは謎です。
 レイズもそうですが、彼らは雷のアーツを使います。レイズの師匠が雷術の大元らしいく、シーが「為す術もなかった」と言っているので、かなり強そうですね。
 他に監察官に絡む要素を考えて見ると、彼らはブレイズの生い立ちを怪しんでたことが挙げられます。ブレイズはヴィクトリア出身と書かれていますが、父親が炎国に関連があるみたいです。今後一緒に謎が明かされるかもしれません。

おまけ:画中人で学ぶ漢詩故事成語

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【毎 逢 佳 節 倍 思 親】
かせつにあうごとに ますますしんをおもう
節句がくるたびに、いっそう親兄弟のことが思いやられる
王維『九月九日憶山東兄弟』より


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【逝者如斯夫。不舎晝夜。】
逝く者は斯くの如きかな。晝夜を舎かず。
過ぎ去るものはこの川の流れのようなものだろうか。昼も夜もなく流れ続ける。
孔子論語』川上之嘆より


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魏の文帝曹丕が弟の曹植の武や文の才能を妬み、「七歩歩くうちに詩を作れ、さもなくば処刑だ」と命じたところ曹植が作ってみせた詩は『七歩詩』と呼ばれている
『七歩詩』の逸話より


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【溥天之下 莫非王土 率土之濱 莫非王臣】
溥天の下、王土に非ざるは莫く、率土の濱、王臣に非ざるは莫し
この空の下に王のものでない土地はなく、地の果てまで王の臣でない人間はいない(王土王民思想)
詩経』小雅・北山之什より


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【本来無一物 何処惹塵埃】
本来無一物、何れの処にか塵埃を惹かん
心は明鏡というが、本来無一物なのだから塵や垢のつくことはない。塵埃を払ったりする必要もないのではないか。
禅語の1つ。弘忍禅師の教えを受けるときの慧能の言葉より



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【看山是山,看水是水】
山を見るにこれ山、水を見るにこれ水。
人生三重界を表した一節
青原行思の言葉より


感想

 龍門ではなく炎国そのものが舞台となった初めてのイベントということで、中国文化の奥深さに圧倒されっぱなしでした。中国で開発されているアークナイツだからこそできるテーマを存分に堪能させてもらって、個人的には大満足でした。
 「絵の中に入る」というメインテーマ自体が中国っぽいお話でしたし、サガが突き詰めようとした問い、ニェンとシーの正体など、あらゆることが中国文化で裏打ちをされているようで、奥行きの深さと説得力を感じるお話でした。ストーリー以外にも、絵の世界の水墨画テイストのイラストやBGMなども制作陣の徹底的なこだわりを感じられて素敵でした。

 中国はパクリゲームしか作れないなんて言われていたのはもうとうに昔のことに感じます。画中人のように自国の文化の強みに目をつけて、上手くアレンジをするという手法を使えば、いくらでも面白い物語が生み出せますし、海外の人を驚かせるような新鮮な体験を提供することができそうです。古代4大文明の1つまで遡れますからね。歴史の厚みが段違いなんですよね…。
 一方でサガの師匠は極東の人なので、師匠は日本の禅宗の言葉をたびたび引用していました。中国文化のみで一本調子にならないように、あえて異国の文化も混ぜるのでしょうね。このへんのバランス感覚もお見事でした。
 日本のゲーム会社が作るゲームは、西洋風の剣と魔法の世界を描くことが多いように思います。忍者やサムライが出てくるゲームを作っているのは、実は海外のゲーム会社の方が多い印象です。日本人だからこそできる、日本文化を上手く昇華させたゲームが見てみたいものですね。最近だとモンハンライズやサクナヒメはなかなか秀逸だったなあと思いました。
 もちろんアークナイツも、別の地が舞台となればテイストが大きく変わります。しかし個人的には炎国のイベントをもっと見ていたいなと思いました。ニェンの兄弟姉妹が全員出揃うまではストーリーが続くでしょうし、ケンカになってしまえば炎国そのものを敵に回してしまうかもしれません。今後の展開が全然読めないので楽しみですね。

 何かありましたらTwitterにご連絡ください。
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