3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】メインストーリー10章・まとめ・考察・感想【光冠残蝕】

 2022年10月19日に公開されたメインストーリー10章「光冠残蝕」のストーリーを整理していきます。

1. 前日譚

 メインストーリー10章は9章から少し時系列がジャンプしています。語られなかった行間に何が起きたのかも含めて物語をみていきます。

1-1. テレシスがなぜロンディニウムにいるのか

 メイン10章で大きなテーマの1つになっているのが"いつのまにか"サルカズがロンディニウムを支配してしまったという点です。これは9章からではなくもっと長いスパンで進行していたことです。
 サルカズたちは周到に計画をして、長い時間をかけて征服を実現しました。しかしロンディニウム市民の目からすると、知らず知らずのうちにサルカズの支配が拡大していたのだという語られ方がされていました。
 テレシスがロンディニウムに来たのは4年前。カズデルで起きたサルカズ同士の内紛に決着がついた後だと考えられます。バベルを率いるテレジアを倒し、サルカズのトップの座を我が物にしたテレシスは、焼け野原になったカズデルを離れてロンディニウムまで来ました。
 この裏には「例の大公爵」と呼ばれていた人物がいて、テレシスがロンディニウムに入る正当な理由を作りました。最高統治者が長らく不在となっているロンディニウムでは、公爵たちが権力闘争を繰り広げて不安定な情勢になっていました。その争いを鎮めるべく、サルカズが雇われたということにしてあったようです。
 ロンディニウムの市民たちはやってきたサルカズのことを気にしていませんでした。どこかの公爵が雇った傭兵なのだろうと。いざトラブルが起きたとしても、無敵のロンディニウム都市防衛が負けるはずないと思っていました。
 しかしテレシスたちは武力だけでなく、争い合う貴族たちに付け入ることで、じっくりとロンディニウムの支配領域を拡大していきました。都市防衛軍の中にはサルカズ側に寝返るものが出てきて、最終的にサルカズ軍とは対して戦うこともないまま、大半の戦力が投降してしまったと言われていました。
 一方で、果敢にサルカズに立ち向かおうとしたものたちは、武力で制圧されていきました。議会の護衛隊や、反対派貴族が雇った戦力は、真正面から叩き潰されたようです。
 こうして実力行使でサルカズに逆らおうとする勢力を排除し、サルカズはロンディニウムでの実権を強めていきました。危険を察した市民たちはロンディニウムから次々に逃げ出しました。サルカズはそれを止めることはせず、ロンディニウムの中の情報は避難民を通じて外部に持ち出されました。
 これを好機と見たのがロンディニウム以外の都市を治めている公爵たちです。最高統治者不在のヴィクトリアで、公爵たちは主導権争いをずっと続けてきました。ロンディニウムをサルカズの手から救った英雄になれば名声を得られるでしょう。公爵たちは自らの領地から大軍を率いてロンディニウムに集結しました。
 しかし、一枚岩になれない公爵たちはここでも足の引っ張り合いをしてしまいます。誰かが抜け駆けしてロンディニウムを攻めようとすれば、たちまち他の貴族の陰謀に止められてしまうのです。ロンディニウムの外に居座る10万の大軍はサルカズにとっては脅威なのですが、一斉に攻めてこない限りは問題ないのですね。

1-2. サルカズの王庭

 ではサルカズはロンディニウムで何をしようとしているのでしょうか。
 テレシスの当面の目標はザ・シャードという塔を建設することのようでした。建設資材をロンディニウム中の工場から集めて建設が行われていました。
 もう1つの建造物が飛行船です。これはもうすぐ出来上がると言われていました。単純に考えれば戦争兵器として使うつもりなのかなと考えられますが、別の意図があるような意味深な会話もありました。テラの戦争では航空機動力はほとんど使われないので、優位は取れると思うのですが。
 テレシスの傍らには亡くなったはずのテレジアがいて、10章の開幕から我々を驚かせてくれました。これについては後述します。また、ガリアの坊やと呼ばれる人もテレシスのそばにいるようです。
 ロンディニウムを制圧するにあたって、テレシスはサルカズの十王庭と呼ばれる戦力を率いています。いままでもサルカズという種族はそこからさらに詳細な種族に分類されるという話が出ていましたが、それぞれのトップであるひとたちは「諸王」や「王庭」と呼ばれ、強大な戦闘力を有しています。
 今後のメインストーリーではロドスがこれら王庭たちを相手にしていく展開が繰り広げられると思うので、それぞれがどんな人なのかは後々詳しく語られると思います。ここでは深くは触れずに、今後詳細に語られたときに改めて整理していこうと思います。
 ロンディニウムの戦いには参加しなさそうな種族が2つあります。サイクロプスウェンディゴです。サイクロプスはテレシスに非協力的な態度を貫いていて、テレシスが孤独に死ぬだろうという予言を送ってきただけで、ロンディニウムには来ませんでした。ウェンディゴはテラの北側の国境付近で外界の化け物と戦っていて、ロンディニウムに来る余裕はないのだということでした。パトリオットが生きていれば、彼がここに来たかもしれないですね。

1-3.ロドスの突入作戦

 ロンディニウムから逃げ出す人たちをサルカズは気にしていませんが、入ってくる他勢力については敏感です。ロドスは準備に準備を重ねて、ロンディニウムへの突入作戦を実行しました。
 ドクターがアーミヤ隊にいるので、メイン10章の物語は基本的にアーミヤ隊の視点で進んでいきました。一方、アーミヤ隊がロンディニウムに入る前から動いていた人たちがいました。
 ハイディは小説家としてロンディニウムで活動し、貴族の社交場から情報を得る一方で、市民自救軍にも協力をしていました。厳重な方法でロドスに送られた情報は、ケルシーが立てる作戦の礎になりました。ロドス本艦がサルカズの目をかいくぐってロンディニウムに接近できたのもハイディのおかげです。アーミヤ隊はロンディニウムに潜入した後、現地でハイディと合流する予定でした。
 アーミヤ隊がロンディニウムに近づく前に、Logos、アスカロン、Miseryという3人のエリートオペレーターがロンディニウムに潜入しました。彼らはそれぞれ独自の方法を用いてサルカズの目をかいくぐりました。Wも一足先にロンディニウムに入って活動をしていました。
 一方、ダブリンからはマンドラゴラがロンディニウムに来ていました。ヒロック郡での戦いが終結したあとに移動したようです。マンドラゴラはヒロック郡での失敗、つまりリードやバグパイプを取り逃したり、Outcastに戦力を大きく削られたりしたことを挽回しようと、ロンディニウムに行かせてくれと「リーダー」に直訴したのです。
 ヒロック郡の戦いでホルンはダブリンの捕虜になりました。貴族との交渉のダシに使えるだろうとアルモニに言われたため、マンドラゴラはホルンをヒロック郡からロンディニウムまで連行してきました。ホルンはヴィクトリア軍の伝説的存在の白狼の一族の人間です。交渉材料になるという見立ては間違っていないかもしれませんが、本人をずっと捕虜として縛り付けておけると思っていたのが間違いでした。ロンディニウムについたあと、彼女は逃げ出してしまいました。そのとき、すでに潜入していたMiseryが手助けをしてくれていたようでした。
 アーミヤ隊が出撃したあと、ケルシーもロンディニウムに向けて出発しました。


2. 309番ゲートの戦い

2-1. トーマスさんとは

 ここからは10章の骨組みをなす3つの大きな戦いを見ながら、物語の推移を整理していきます。最初は309番ゲートの戦い。
 アーミヤ隊はロンディニウムに潜入する方法として、トーマスという人物を頼ろうとしていました。この人の叔父さんはクルビアに住んでいてBSWとパートナー関係にあります。きな臭くなってきたロンディニウムからトーマスを連れ戻してほしいと叔父さんからBSWに依頼があったため、ロドスと連携して彼を救出しようとしました。その過程で、ロンディニウムに入るための協力をしてもらおうとしていたのです。
 トーマスはロンディニウムで所有していたキャンディ工場をサルカズに奪われてしまい、さらにサルカズの運転手をやらされていました。かわいそうに。
 運転手をやっていたのなら道を知っているのだろうということで、トーマスが誰かをロンディニウムに引き入れようとしているのではとマンドラゴラは目を付けます。その推測は正しく、ゲートでダブリンが起こしたもめごとにロドスは巻き込まれてしまいます。
 しかしロドスもダブリンも実はトーマスに騙されていました。正確に言うとトーマスに成りすました変形者と呼ばれていたサルカズの王庭の1人です。この人はマンフレッドに協力し、形だけの協力関係を結ぶマンドラゴラを攻撃するチャンスを提供しました。ゲートにダブリンを呼び寄せて、都市防衛砲に巻き込まれるように仕向けたのです。マンドラゴラは辛くも逃げ切ります。
 変形者の変身のメカニズムは謎です。トーマスの身体に潜り込んでいたのか、そっくりに化けることができるのか。ロドスに正体を疑われてしまったため、トーマスは都市防衛砲に巻き込まれて死んだということになりました。アーミヤともっとお話をしていたかったと変形者は残念そうにしていました。


3. 廃工場の戦い

3-1.救出目標

 次に起きた大きな戦いが廃工場の戦いでした。もともとはトーマスが所持していたキャンディ(合成コール)工場だったのですが、捕虜や反対勢力を収監する臨時監獄として使われていました。トーマスが口封じされる原因になりました。
 アーミヤ隊と自救軍はハイディをここから救出する必要がありました。もともとアーミヤ隊はロンディニウムですぐにハイディと合流する予定だったのですが、彼女はサルカズに捕まってしまっていたのです。ハイディはロドスのトランスポーターとして活動する一方で、自救軍にも協力しており、ロドスと自救軍を繋ごうとしていました。トラブルの中で偶然2つの勢力は合流することができたわけですが、ハイディの力は今後中央区へ向かうときにも必要です。自救軍は直前の小競り合いで捕虜になってしまったビルという戦士も一緒に救出しようとしていました。
 同じタイミングで、ホルンもこの廃工場からヴィクトリア軍の捕虜を助け出そうとしていました。なぜ救出のタイミングが被ったかと言えば、マンフレッドが仕掛けた罠だったからです。邪魔者を一網打尽にしようとしているところにロドス、自救軍、ホルンが飛び行ってしまった形になりました。
 マンフレッドはダブリンに誠意を見せてもらうチャンスを提供しました。この廃工場を一緒に防衛させて、侵入者を撃退してくれと持ち掛けたのです。しかしここにも罠がありました。マンドラゴラはサルカズに捕まっている「スパイ」というコードネームの人物を助けようとしていました。マンフレッドは恐らくそれを知っていて、マンドラゴラを試したのです。彼女はおそらくサルカズを裏切るだろうから、現行犯でマンドラゴラを裁いてしまおうとしていたのです。サルカズには現状ダブリンを攻撃する口実がありませんから。
 また、変形者もマンフレッドに力を貸してくれました。ビルに成りすますことで、自救軍の根城を暴こうとしました。


3-2. サルカズ傭兵の因縁

 罠だとわかっていてもロドスはハイディを救わねばなりません。アーミヤ隊は危険を承知で突入作戦を練ります。この作戦を助けてくれたのは、ケルシーに依頼を受けたWでした。
 Wは任務を達成するために、半月ほどロンディニウムで準備を重ねていました。もともとカズデルで活動するサルカズ傭兵だったWは、ロンディニウムのサルカズの中にも顔見知りがたくさんいます。仲間になってくれそうな人を引き抜き、作戦を組み立てていきました。
 マンフレッドの右腕として雇われていたヘドリーは、忠実に従うフリをしながらも、独自の意志で動いているような様子でした。イネスからWが来ていることを教えてもらったヘドリーは、Wと直接対面できるように、あえてシュワブの裏切りを泳がせていました。ヘドリーは久しぶりに会うWがどんな様子なのかを確認しようとしたのです。おそらくは、テレジアへの想いを再確認したかったのかなと。
 一方のWはこんなところでかつて自分を拾ってくれたヘドリーに会うとは予期しておらず動揺していました。4年前、Wとヘドリーとイネスはレユニオンに加わり、チェルノボーグの作戦に参加しました。Wはレユニオンに残りましたが、ヘドリーには考えがあるということでロンディニウムまでテレシスに会いにいきました。ずっと音沙汰のないヘドリーをWは死んだものと思っていました。
 廃工場での戦いの結末はというと、アスカロンがWを助けにきたので両者手を引くという形に終わりました。Wとヘドリーが一緒に活動していたころ、2人の上司がアスカロンに殺されたそうです。「闇夜に生きる」で語られなかった出来事がまだいくつかあるのだろうなと予想されます。


3-3. ダブリンの行く末

 廃工場の戦いでロンディニウムのダブリンは大きな損害を被りました。
 マンフレッドから工場の北側の守備を任されていたダブリンでしたが、マンドラゴラは囚われの「スパイ」を救出すべく監獄エリアに潜入し、衛兵のサルカズを倒して逃げようとしました。マンフレッドはマンドラゴラの裏切りを想定したうえで、裏切った場合は彼女を正当に排除できる理由を得ることができます。マンドラゴラはマンフレッドの手のひらの上で踊らされました。
 「スパイ」はザ・シャードについて何かを知ってしまった様子だったので、マンフレッドとしては本当に口封じをしておかねばならなかったのかもしれません。
 「スパイ」は自分はすでに「リーダー」から見捨てられているので、マンドラゴラにも「リーダー」のところには戻るなと忠告をして息絶えました。ダブリンの救援はなく、ロンディニウムに遠征していたダブリンの部隊はここでほぼ全滅したのではないかなと思います。
 マンドラゴラの生死は明確には描かれませんでした。マンフレッドに打ちのめされた彼女のもとに現れたMiseryは「その再会が死の先にあっても?」と聞いていたため、マンドラゴラは生き延びることよりも「スパイ」と一緒に死ぬことを選んだのではないかなと想像されます。ただ、明確な描写はなかったので、Miseryが助けてあげた可能性もわずかにあるかなと思いました。
 マンドラゴラはロンディニウムでモーニング伯爵という貴族を味方につけました。このひとはウェリントン公爵の従者をしていたことがあります。ウェリントンのアイアンガードと呼ばれていたこの公爵は大きな力を持ち、他の貴族も動向を気にしているそうです。ターラー地区出身のためダブリンの後ろ盾になっているのではないかと考えられます。いまはロンディニウムにはいないとのことでした。
 マンドラゴラがロンディニウムでサルカズに敵対してしまったため、ダブリンは立場を悪くしました。サルカズとは表面上は和平を崩したくありません。アルモニは関係を改善するためにサルカズのトランスポーターを釈放するなどの措置をとり、その仲介をロンディニウムにいるモーニング伯爵に依頼しました。マンフレッドのもとにどこぞやの貴族からの接触があったという記述はこれのことだと思われます。
 一方で、テレシスのそばにガリアの坊やがいるので、本当の意味では協力者にはなれないのだとアルモニは言っていました。ダブリンは滅んでしまったガリアに恨みがあるのでしょうか。それともこの坊やに個人的な恨みがあるのでしょうか。


4. サディアン区脱出の戦い

4-1. テレシスの命令

 廃工場の戦いが終わったあと、テレシスの命令によりすぐに次の戦いが巻き起ころうとしていました。時系列が前後するものもありますが、彼の意向を見ていきます。
 テレジアは懐かしきロドスの面々に会いたがっていました。聴罪師は予測不能の何かが起こるかもしれないと警戒しましたが、テレシスは構わないだろうと言っていました。アーミヤはテレジアの姿を目撃することになるのですが、対面して言葉を交わすというところにはいきませんでした。
 テレシスの命令によりブラッドブルードの大君が動き出しました。彼のミッションはアーミヤとドクターを捕えることです。臭いを嗅ぎ取ることができるらしく、自救軍の地下基地が襲撃されました。10章のメインギミックは大君の能力で、血液に新たな生命を授けて操ります。
 廃工場の作戦でハイディやホルンを取り逃がしてしまったマンフレッドは挽回をしなくてはいけません。そのときに再び力を貸してくれたのが変形者です。彼はビルに扮して自救軍の地下基地の位置を暴き、マンフレッドは都市防衛砲を基地へと撃ちこむことができるようになりました。変形者はテレシスから命令を受けているわけではなく、自分の意志で動いている様子でした。
 変形者は再びアーミヤに興味があるようでした。変形者はアーミヤの中にテレジアの面影を感じ取ります。一方、アーミヤは幼いころにテレジアからサルカズ十王庭の伝説の話を聞いていたため、変形者の正体に見当がついている様子でした。将来に起きてしまうであろう戦いに向けて、テレジアはアーミヤに知識を授けていたのかもしれません。
 ナハツェーラーの王はロンディニウムに通じる秘密の通路を守るという重大任務があるため、ロンディニウム内の戦いにはいまのところ参戦していません。しかしロドス本艦までわざわざ出向いていって、ケルシーにパトリオットを殺したのは何なのか尋ねていました。一触即発の様子でしたが、対話によって彼の怒りは鎮まったので、ロドス本艦は無事でした。彼には何らかの思惑があるようで、ロドス本艦を見逃してくれましたし、ケルシーがロンディニウムに入ってくることも許していました。

4-2. 城壁と地下の戦い

 10章の最終局面がこの戦いでした。ロドスと自救軍はサディアン区を脱出して中央区へと逃げ込もうとしました。
 都市防衛砲が脱出の大きな妨げになりました。アーミヤたちはマンフレッドを止めに向かいます。一方、ホルンも自らの意志でマンフレッドにリベンジを挑みました。ロンディニウムの兵士は防衛砲に詳しいので、攻略の糸口を掴めると考えたのでしょう。
 ホルンたちが予想外の力を発揮してマンフレッドを足止めしている間に、Miseryの力を借りて防衛砲の制御室が破壊されました。これによりマンフレッドの負けが決まりました。
 一方、ブラッドブルードの大君が他のメンバーたちを追跡します。テレシスにはアーミヤを対処せよと言われていたのですが、彼はハズレを引きました。こちらにアーミヤはいません。
 シージが昔の記憶を掘り起こしてスイッチを起動し、逃走の時間を稼ぎました。その間にLogos、アスカロン、Wが追い付いてきたので、大君は諦めたようでした。バンシーがいるのは聞いてなかったぞと聴罪師にキレていたので、Logosは彼にとっても脅威なのでしょう。
 鉄道に乗り込むところでサルカズの攻勢にあっていたのですが、ダグザが貴族の傭兵を連れてきて救援に成功しました。鉄道に乗ってしまえば、その先の駅ではハイディの仲間が助けてくれるということになっていたので、一行は鉄道が動き出した瞬間にほっと一息つくことができました。


5. 今後へ

5-1. グラスゴーとアラデル

 中央区にたどり着いた一行を迎えてくれたのは自救軍の責任者であるアラデルでした。
 アラデルの父はカンバーランド公爵という貴族です。彼は王室推進派だったため、王室反対派の貴族に殺されてしまいました。父の意を受けついだアラデルは、ヴィクトリアの王室、つまりアスランの王族を守ろうとする立場のようです。
 鉄道に乗り込むシーンでダグザが呼んだ救援は、マンチェスター伯爵の力添えだったようでした。ダグザはこの人の後継者で、彼女自身は塔楼騎士という身分にあったようです。サルカズの襲撃により塔楼騎士はみな犠牲になってしまったと思われていましたが、ダグザは生き残ったようでした。1年前にダグザを救ってくれたのはグラスゴーだったようですが、シージはロンディニウムを去ってすでに5年経過していると言っていたので、このへんの経緯はまだ曖昧です。
 シージの正体は物語のカギとなりそうです。姓はヴィクトリア、名はアレクサンドリナ。ヴィクトリアの王の正式な後継者なのでしょうか。シージのお父さんがなぜ亡くなってしまったのかも含め、彼女にまつわることは謎だらけです。
 グラスゴーの1つの目的として、ロンディニウムに残ったままの仲間を助けたいというものがあります。ベアードという人物がまだ残っているようでした。今後出てきてくれるでしょう。
 アラデルはドクターにエドワード・アルトリウスの遺品を持ってきているだろうと尋ねていました。これはメイン7章の最後でケルシーがウェイから預かったものです。タルラの父親であるエドワードは、ヴィクトリアを追われて龍門で亡くなりました。話の流れ的にはヴィクトリア王に関わる何かなのではないかなと想像できますが、エドワードはドラコなので、シージたちアスランとは対立する立場にあるのがまたややこしそうだなと思います。


5-2. テレジアはなぜ生き返ったのか

 10章の途中でもポツポツと語られていましたが、テレジアがなぜ生き返ったのかという話をここでまとめて整理します。
 テレジアは聴罪師の巫術により復活したとテレシスが言っていました。復活の提案を受けた当初は彼は怒り狂ったそうです。妹の命を愚弄するなという感覚だったのでしょうか。しかし結局折れて、テレジアは生き返りました。
 テレジアには生前の記憶が残っているようでした。しかし残存した感情はサルカズ全体の意志に退けられているらしく、彼女の意志は希薄なようです。
 Wとアーミヤはどちらもテレジアを敬愛していました。ふたりは生き返ったテレジアが本物ではないとはわかっているものの、心を乱されている様子でした。Wはケルシーになぜテレジアの身体をみすみす渡してしまったのかとキレていたので、身体が残っていれば復活できるという巫術なのかなと推測することができます。
 聴罪師はテレシスをサポートする役職のようですが、聴罪師のリーダーには彼自身の意志がありそうでした。聴罪師は魔王の研究を進めていて、アーミヤを手に入れられればその研究は大きく進展すると言っていました。いまはブラッドブルードの大君がアーミヤを追っていますが、もう1人アーミヤと対峙するにふさわしい人物を呼んだ様子でした。一方、魔王の力については「それが枷になるなら打ち壊しても良い」とテレシスは言っていました。力を巡って争いが発生しそうな予感です。
 シャイニングとナイチンゲールロンディニウムに入ることになりました。シャイニングは聴罪師を抜けたと思われる人物。聴罪師のリーダーは王立科学アカデミーにこのことを伝えろと言っていました。聴罪師は学術的な機関なのでしょうか。シャイニングを待ち受けているものとはなんなのか。そして彼女の正体も明かされるでしょうか。ナイチンゲールが失ってしまったものもロンディニウムにあるそうです。一体なんなのでしょうね。

5-3. タルラと不死の黒蛇

 舞台はウルサスへと飛び、タルラの動向が語られました。
 いきなり出てきたのでびっくりしましたが、タルラはコシェルナという人物に宿っている不死の黒蛇を見つけだしました。コシチェイ公爵の邸宅に戻り、10年前にやりとりされていた手紙からコシェルナの勤める学校を発見したのです。蛇鱗の密書と呼ばれていて、不死の黒蛇の宿り木同士が連絡を取り合うルートがあったのでしょうか。
 タルラと不死の黒蛇は再び言葉を交わします。タルラはロドスに捕まってから1年半もこの会話をシミュレーションしてきたと言っていて、非常に冷静に受け答えをしていました。
 不死の黒蛇の目的はウルサスを繁栄させること。これは8章で語られたことと大きくは変わっていません。そのためにコシチェイ公爵とタルラに取り付いた黒蛇は、チェルノボーグを龍門にぶつけることで大きな戦争を起こそうとしましたが、ロドスの活躍によってそれは失敗に終わりました。しかしいまの不死の黒蛇に言わせてみれば、ウルサスはコシチェイが設けた軌道には乗っているらしく、戦争に近づきつつあるそうです。
 一方、コシェルナに取り付いて何をしているのかと言うと、変革の発生を導きたいのだと言っていました。学生にウルサス史を教えて、その中から革命を志す者を輩出しようとしているのでしょうか。気長な作戦ですね。
 結局タルラはコシェルナに何もすることなく別れを告げましたが、彼女はある予感を抱きました。ウルサス人が目覚めて、愚昧な統治者を捨てたとき、不死の黒蛇は死ぬだろうと。平たく言うとウルサス人全体の意識が変われば不死の黒蛇はいなくなるのだと言っているのかなと思いました。しかしそれはつまりウルサス人の思想に変革を起こすということなので、不死の黒蛇が望んでいる方向性とも合っているような気がして、それで本当に黒蛇が死ぬのかはよくわからないなと思いました。
 ナインは辛抱強くタルラに付き合っています。タルラと対話を始める前に、タルラは黒蛇に乗っ取られていた過去を清算する必要があるでしょう。不死の黒蛇の件はいったん区切りがついたようで、ナインも望んでいたヴィクトリアへと向かうことになりました。また1人、王族の血を引くものがやってきますね。

5-4. 今後の対立軸

 ロンディニウムには様々な勢力がいて、それぞれに思惑があるのですが、11章以降でカギになってきそうなところを簡単にまとめて終わります。
 中心にはいまのロンディニウムを支配しているサルカズがいます。ロドスと自救軍はサルカズを追い出そうとしているという点で方向性の一致を見ていますが、アーミヤが戦争を止めようとしているのに対して、シージは王族として支配を取り戻すという方向に意志が動いていく可能性もあるなと思いました。自救軍はどちらかというとアスランとしてのシージを支援していくのではないかと。
 また、ダブリンの目的はドラコとターラーの国を建てるというものなので、これはシージの存在と対立を起こします。ダブリンの「リーダー」たちがロンディニウムにきたときに、どのような変化が訪れるでしょうか。ダブリンはサルカズとは表面上は和平状態ですが、目的としては対立していると思われます。タブリンがどのように動くのかも注目です。
 ヴィクトリアやロンディニウムの貴族たちは、本来サルカズを憎らしく思って追い出したいはずなのですが、利益勘定を優先してしまって動きが鈍いです。今後戦いを動かしていくことはあるでしょうか。ヴィクトリアを裏切り、サルカズやダブリンを支援している貴族さえいます。そういう人がいる限り、貧弱な組織も戦い続けることになるのでしょう。まだまだ泥沼の状況が続きそうです。
 サルカズについてはテレシスが強力にグリップを働かせていますが、テレジア、十王庭、聴罪師はそれぞれ意志を持って動いています。サルカズが一丸となってテレシスの作戦を成し遂げていくのか、他の勢力がそれを阻めるのか、メイン11章も楽しみです。

感想

 ここからはただの感想です。
 メインストーリー10章を最初に読み始めたとき、9章からはずいぶんと時間が経過したなあと思いました。アーミヤやシージは装備が変わり、顔つきもきりっとしていました。
 章ごとに時系列のジャンプが起こり、重要な事件が起きるところにスポットライトを当て、章と章の間に何が起きたのかは多くは語られないというスタイルのようです。自分はスターウォーズシリーズを思い出しました。
 この手法は映像作品に映えるやり方です。戦いが起こる場面じゃないと映画にしても地味ですから。それと同じような理屈で、メイン10章は戦いが始まるところから切り取られたのだろうなと思います。
 一方で、章と章の合間に起きた出来事も把握しないと、話の繋がりが見えずにふわっとした理解にとどまってしまいます。丁寧に補足していってくれるといいなと思います。
 ロドスがいまの形になった経緯を語ろうとすると、バベルの話をしなくてはいけないのですが、バベル時代の話はまだまだわからないことが多いです。ロンディニウムでの戦いを通して、我々はついにロドスという組織の全貌を知ることになるのかもしれません。また、アーミヤとはいったい何者なのかという問いにも、一定の答えが得られそうです。
 戦いの決着がつくのはかなり先になるとは思います。サルカズの戦力は思った以上に強力でした。しかし逆に言うとロンディニウムでの物語はじっくり展開されていくことになると思うので、いろんなことが明らかになるといいなと思いました。


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