3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アズレン】ストーリー考察:吟ずる瑠璃の楽章 編【アズールレーン】

 2022年4月28日開始のイベント「吟ずる瑠璃の楽章」のストーリーを整理していきます。

1. 時系列と陣営図整理

 「極夜照らす幻光」で鉄血がスカパ・フローを襲撃してから長らく音沙汰がありませんでしたが、その伏線がようやく回収されることになりました。関連するイベントを3つ振り返っていきます。

1-1. 極夜照らす幻光

 北方連合は「王冠」と呼ばれるセイレーンの特異点の対処に苦労していて、ロイヤルに援助を求めました。史実のバレンツ海海戦を再現する形で、ロイヤルからの輸送船を鉄血が襲撃したのが「極夜照らす幻光」の大筋でした。
 史実とは異なり、輸送船の襲撃はあくまで陽動で、鉄血の本当の狙いはロイヤルのスカパ・フローの急襲でした。このときクイーン・エリザベスもスカパ・フローに向かっていて、襲撃に巻き込まれたと言われていました。
 これ以降、スカパ・フローは鉄血が抑えたままだと言われ続けてきましたが、詳細は分からず仕舞いでした。クイーン・エリザベスも表舞台に出てこなくなりました。

1-2. 鳴動せし星霜の淵

 輸送船が襲われたことに対する報復として、北方連合は鉄血と戦うことを宣言しました。「遡望せし虹彩の塔」のラストでソユーズは指揮官にこの報復作戦への参加を要請し、「鳴動せし星霜の淵」ではその狙いが語られました。
 ソユーズは本気で鉄血に報復がしたかったわけではありません。本当の狙いは隕石の調査にいったっきり帰ってこないクロンシュタットたちの救出でした。救出作戦にはKAN-SENを出撃させなければならないので、その理由付けとして報復作戦を行うぞと宣言し、北方連合の上層部の目を欺いたのです。
 鉄血側からは「輸送船を襲ってすまんかった」ということで砕氷船ミコヤンの情報が秘密裏に提供されました。この情報のおかげでクロンシュタットたちが沈んでいる場所を特定することができたのですね。


1-3. 吟ずる瑠璃の楽章(表向き)

 北方連合の報復作戦はブラフに終わるのかなと思っていたのですが、「吟ずる瑠璃の楽章」では実際に艦隊が動いていました。ソユーズから送られた参加要請に従って、指揮官もこの作戦を支援するためにユニオン艦隊を指揮しました。「何かしらのカバーストーリーだろう」と言っていたように、指揮官はソユーズが本気で戦争をしたいわけではなさそうというところまでは見抜いていましたが、詳細な狙いは知らなかったようです。
 報復を宣言された鉄血側も反撃する構えを見せていました。しかしオイゲンが「戦わずにいたら上層部から睨まれるリスクがある」と言っていたことからもわかるように、鉄血のKAN-SENも上層部に怪しまれない程度に手を抜いていることは明白でした。
 北方連合側も鉄血側も、KAN-SENたちはこの報復作戦に真面目に参加するフリをして、それぞれの陣営の上層部の目を欺こうとしていました。実際の狙いはなんだったのでしょうか。


1-4. 吟ずる瑠璃の楽章(真の狙い)

 この種明かしが「吟ずる瑠璃の楽章」のクライマックスでした。2年以上かけて張られた伏線が美しく回収されることになりました。
 すべてを仕組んでいたのはフリードリヒ・デア・グローセでした。「黒鉄の楽章、誓いの海」で黒いキューブを使って倒れたビスマルクに代わって、鉄血を導くために暗躍し続けてきました。
 「極夜照らす幻光」の襲撃で鉄血がスカパ・フローを支配することは、クイーン・エリザベスと共謀していたことでした。クイーン・エリザベスは鉄血がアズールレーンを抜ける原因になった大昔の「スカパ・フロー事件」の真相を怪しんでいて、真実を知りたがっていました。
 フリードリヒはスカパ・フローを使わせてもらう見返りとしてクイーン・エリザベスに情報を提供しました。スカパ・フローに沈んでいるリュッツオウたちをKAN-SENとして呼び出し、彼女たちに事件の真相を語らせたのです。
 一方、ソユーズの報復作戦もフリードリヒと示し合わせていたことです。「鳴動せし星霜の淵」で見たように、報復作戦をブラフとしてクロンシュタットたちを救出するのがソユーズの狙いでした。鉄血が輸送船を襲えば報復が正当化されます。一見すると被害を与えているようで、実はフリードリヒからソユーズに対する利益の提供になっていたわけです。
 この報復作戦はフリードリヒ側にも利益があります。win-winの作戦でした。彼女がこれを望んだ理由は戦力を集められるからでした。スカパ・フロー特異点を開くと、それを感知したセイレーンが襲ってくると予測されます。それを集結した艦隊で叩くのがこの作戦の最終目標でした。
 セイレーンとの決戦のため、ソユーズにはできるだけ多くの戦力を集めてもらう必要があると同時に、指揮官に声をかけることも重要な意味を持ちました。セイレーンとの決戦にあたっては、様々な陣営が入り乱れて共闘することになるため、KAN-SENの間を取り持つことができる指揮官の存在が非常に大きいからです。
 また、リュッツオウたちを呼び出したのは、「クイーン・エリザベスに真実を伝えるため」「鉄血の戦力を拡充させるため」の他に、3つ目の狙いがありました。スカパ・フローと深い結びつきがある彼女たちのおかげで、コンパイラーの制御塔を見つけ出すことができたのですね。
 コンパイラーとの決戦にあたっては、「遡望せし虹彩の塔」で救出したシャルンホルストMETAと、特異点に招待した赤城たちも戦列に参加しました。こうしてフリードリヒの作戦のすべてが結集され、コンパイラーの素体を撃破することができました。セイレーンの上位個体を初めて撃破した記念すべき快挙であり、ビスマルクがようやく復活して、鉄血がセイレーンとの繋がりを断ち切るという歴史的瞬間でもありました。


2. リュッツオウたちの来歴

 イベントに合わせて実装されたリュッツオウ、エムデン、ザイドリッツ、エルビング、チューリンゲン、ヨルクの6人はWW1の頃活躍した古いフネたちです。なぜ彼女たちが呼び出されたのかを考えるとき、史実を見ていくとより味わい深くなります。

2-1. 史実の整理

 関連する史実は2つあります。

 1つ目はユトランド沖海戦です。イギリスとドイツがぶつかった海戦で、約250隻のフネが入り乱れて戦った、歴史上最も大きな海戦の1つと言われています。
 ドイツ艦隊側にはザイドリッツ、リュッツオウ、エルビング、チューリンゲンが含まれていました。また、フリードリヒ・デア・グローセという戦艦も参戦しています。アズレンにKAN-SENとして実装されているのはビスマルク級を発展させた計画だけの存在のフリードリヒなので、ユトランド沖海戦に参加したのは古い方と言えます。ザイドリッツが「共に戦った?いや人違いか」と言っていたのはそのためです。
 一方、イギリス艦隊にはウォースパイトとヴァリアントが含まれていました。彼女たちはこの戦いのあとも改装を重ねて、WW2期も戦い抜くことになります。歴戦の猛者ですね。
 この海戦で最初の命中弾を与えたのがエルビングでした。KAN-SENの彼女は自分に自信が持てない性格ですが、史実では大きな功績を持っています。しかしエルビングは敵の魚雷を避けようとして味方の戦艦に激突してしまい、救出不能と判断され処分されてしまいました。この最期が不幸キャラの元ネタになっているようです。
 リュッツオウは敵の旗艦に砲撃を命中させるなどしてかなり活躍しましたが、イギリス艦隊の砲撃を受けて大破自沈しました。ザイドリッツも多数の命中弾を受けてボロボロになりましたが、なんとかドイツまで帰り着きました。不屈の精神がスキルなどに現れているようです。
 この戦いはどっちが勝ったとも言えない終わり方をしました。引き分けとする歴史書が多いみたいです。


 2つ目の関連史実がスカパ・フロー自沈です。
 WW1の敗戦国となったドイツは、講和条約に基づき艦隊を接収されてしましました。その処遇を巡っては戦勝国の中でも意見が割れたため、一旦スカパ・フローに持ってきて抑留することになりました。処分するか戦勝国側で分け合うか揉めたのですね。
 敵国を利するぐらいなら自沈するべし!ということで、ドイツの提督ロイターはイギリス軍が訓練に出払った一瞬の隙をついて、74隻のフネを一斉に自沈させようとしました。自沈できなかったり、座礁するにとどまったり、イギリス船に自沈を邪魔されたフネもありましたが、多くのフネが海の底へと沈んでいきました。
 ザイドリッツと古い方のフリードリヒはここで沈みました。黒い方のエムデンは座礁どまりとなったので引き上げられました。

2-2. 上層部のウソ

 今度はアズレンの世界で起きたことに目を向けます。
 アズレン世界ではWW1の頃にセイレーンが襲来したので、リュッツオウたちが沈んだ理由も史実とは異なっています。

 上層部の記録によるとリュッツオウたちはセイレーンに奇襲を受けて沈んだことになっていました。この頃はまだメンタルキューブが発見されていなかったので、リュッツオウたちはただのフネとしての存在でした。
 クイーン・エリザベスはこの上層部の記録を怪しんでいました。なぜセイレーンに突然奇襲を受けたのか、なぜロイヤルの軍港であるスカパ・フローに逃げ込んだのか、なぜ鉄血側だけが全滅してロイヤルに被害がなかったのか…などなど不審な点が多かったからです。
 ロイヤル艦隊はアズールレーンの上層部の指示でリュッツオウたちを助けなかったのだと記録には書かれているらしいです。これにより鉄血と他陣営の関係が険悪になり、最終的にはアズールレーンを脱退する一因になったとのこと。上層部としては陣営間がギスギスしていたほうが都合が良く、歴史認識をそういう風に歪めようとしているようでした。
 セイレーンと各陣営の上層部は繋がっているのだと今までも言われてきました。セイレーンはWW2の再現を通して覚醒する個体を探しています。WW2と似た構図で、つまりアズールレーンとレッドアクシズに分かれて仲たがいをしている必要があり、上層部もそういう関係を維持することに手を貸しているのではないかと考えられます。


 メンタルキューブの力でKAN-SENとして呼び出されたリュッツオウたちには、フネとしての記憶がかすかに残っていました。彼女たちが語ったのが真実です。
 リュッツオウたちはセイレーンを捕獲しようとしていました。鉄血がセイレーン技術に興味を持っていたのは昔からみたいです。しかし別のセイレーンに反撃を受けます。Ⅱ型と呼ばれるこのセイレーンは装甲が青く光り、Ⅰ型よりも防御力が高いです。KAN-SENではないただのフネでは相手になりません。
 リュッツオウたちはロイヤル艦隊に助けを求めました。最初は取り合ってもらえませんでしたが、セイレーンがロイヤル側も襲い始めたので、彼女たちは共闘しました。しかし勝てるはずもなく、防御の固いスカパ・フローに逃げ込むことになりました。
 戦闘がしばらく続いたようですが、最期は謎の光がスカパ・フローに降り注ぎ、鉄血艦隊もロイヤル艦隊も壊滅し、スカパ・フローの施設も大きな被害を被りました。ロイヤルの上層部はこの事実をずっと隠蔽していたことになります。
 ロイヤル側にはフネだったころのウォースパイトとヴァリアントが出てきました。ユトランド沖海戦の史実にちなんでこの2人が選ばれたのだと思います。後々KAN-SENとして蘇ったと考えられ、今とは雰囲気が違うと瑞鶴が言っていました。
 クイーン・エリザベスは上層部の記録と真実の食い違いを把握し、上層部に対する疑念を深めました。今後の彼女の行動に繋がってくると思われます。彼女は1人でスカパ・フロー特異点に残りました。どういう行動を起こすのかこれからも注目です。上層部との戦いを始めるのでしょうか。


3. 決戦コンパイラ

 指揮官たちは初めてセイレーンの上位個体を撃破するに至りました。

3-1. セイレーンの指揮系統

 フリードリヒがセイレーンの役割について詳しく語ってくれたのでそれを整理します。
 いままでのイベントで何度も登場してきたセイレーンの上位個体たちは、下層端末と呼ばれる実験担当たちです。イベントのボスとして何度も戦ってきましたが、彼女たちは戦闘要員ではありません。KAN-SENたちを使って実験を行い、覚醒する個体を探しています。
 セイレーンの中で戦闘を担当しているのはアビータと呼ばれる中層端末たちです。アビータのメインの標的はMETA化したKAN-SENたちです。覚醒に失敗して生まれたMETAたちはセイレーンの支配を逃れ、世界線を飛び越えて活動をしています。セイレーンにとっては邪魔者なので、アビータたちが追いかけまわしています。
 すべてを統括しているのはオブザーバー・零と呼ばれる個体で、審判者オースタ博士に作られたということは分かっていますが、それ以外のことはよく分かっていません。
 セイレーン作戦で指揮官が攻略したNA海域の施設は、下層端末たちがMETAを監視するためのウォッチタワーにすぎないと言われていました。我々が毎月あれだけの苦労を払っているのは一体…。

3-2. 見せられた「記録」

 今回撃破したコンパイラーは実験設備の構築を担当しています。彼女は実験施設を司る存在で、KAN-SENと戦うときは「記録」を見せて動揺を誘うという精神攻撃をしてきます。

 ザイドリッツが見せられたのは史実のスカパ・フロー自沈の「記録」です。エムデンに乗っていたロイター提督から「命令書の第11段落を執行せよ」と命令が飛んだ史実をオマージュした演出となっています。

 瑞鶴は史実のレイテ沖海戦の「記録」を見せられました。千歳と千代田とともに囮をやらされて撃沈されてしまいました。虎の子の大事な空母だったのに…。

 サラトガにどの「記録」を見せるかはコンパイラーも少し悩みました。戦勝国側にはトラウマとなる史実があまりないのですね。再現ではなく疑似生成したものを見せることにしました。
 サラトガがペンサコーラ、インディペンデンス、ネバダ、他多数のフネとともに原爆実験の標的艦になったクロスロード作戦の「記録」が選ばれました。「本当は別のこともやりたかったなあ」と笑顔で言うサラトガちゃんに胸が締め付けられます。
 この演出は史実の使い方が上手だなあと思いました。物語として再現することはできなくても、こういうふうにKAN-SENたちのルーツをゲームに絡めることができるのだなと感心しました。

3-3. 制御塔の破壊

 フリードリヒはリュッツオウたちの繋がりを辿り、特異点の扉からコンパイラーの素体を見つけ出しました。
 「素体」というのはKAN-SENを作り出すもとになったフネそのもののことを指す言葉です。セイレーンにもこの言葉が使われたのは初めてだと思います。主機と呼ばれることもありました。セイレーンは最初のKAN-SENであるコードGを参考に作られているので、素体があるのも納得できます。
 コンパイラーの素体はスカパ・フローを壊滅させた光を放つ制御塔にありました。制御塔を破壊することで、素体の撃破という扱いになったようでした。
 コンパイラーとの戦闘中、制御塔の明滅で指揮官の意識が飛びかけるのですが、黒いエムデンが思念体として指揮官に呼びかけを行い、なんとか戦闘を続けることができました。エムデンが2人で1つになっていることが思わぬ形で活躍しました。
 史実のスカパ・フロー自沈では黒エムデンから自沈命令が出ました。コンパイラーの撃破作戦にあたって、指揮官からの決着の命令が黒エムデンによって補佐されたのは、史実を少しオマージュしたのではないかなと思います。リベンジを果たしたとでも言いますでしょうか。

 最後に出てきた数字の羅列は、アスキーコードで変換することができます。

The tower was created.
The tower was destroyed.
The tower exists forever.

 この「tower」は制御塔のことを指しているものと思われます。制御塔は破壊されましたが、永遠に存在し続けるのだと言っています。果たしてこのメッセージに意味があるのかは怪しいですが、これで終わりじゃないぞと言っているように見えます。

 アスキーコードで変換をかける暗号は「幻像の塔 発見編」にも出てきました。このときは16進数であることを示す「0x」がついていたので見た目は異なりますが、変換の理屈は全く同じです。
 towerという語が共通しているのが気になるところなのですが、こちらのtowerはタロットカードの16番目を指しているようなので、アビータのことを言っているような気がします。つまり関係ないんじゃないかなと。



3-4. 記録にない映像

 制御塔が破壊されたことでコンパイラーは大きなダメージを追いました。彼女の自我が消えかかっているとき、別の空間にいるヘレナMETAが制御塔を経由して意識へとハッキングをしかけ、彼女が考えていることを読み取ろうとしました。
 コンパイラーは自分が把握していない映像が再生されるのを見ました。オースタ博士が自分のボディを作り、アンジュ博士がそれを可愛いと言ってくれたときの映像でした。一人称視点でもう1人の人物がいるような会話がなされていたので、another指揮官も会話に加わっているようでした。
 another指揮官が「オースタは白髪の子がどうも好きらしい」と茶化すとアンジュ博士もそれに同意していました。オースタ博士はプロトタイプであるレイ(オブザーバー・零)を参考にして作ったから似ているのだと言い返していました。「進行初期のプロジェクト」とも言われていように、コンパイラーは最初に作られた下層端末だったということでしょうか。
 このシーンはいままで無機質な機械の敵役として描かれてきたセイレーンに思わず同情をしてしまうような情緒的な演出がありました。機械なのに自我が消えることを嫌がるコンパイラーの姿は、助けてあげたいなと思わされるものだったのです。長らく敵として出演してきたセイレーンに情が移ってしまった方もいるのではないでしょうか。
 コードGを中心とする「余燼」とは別に活動をしているのが、ヘレナMETAやヨークタウンMETAです。彼女たちがコンパイラーを救ってくれるでしょうか。


4. 今後へ

4-1. フリードリヒの旅路

 たくさんの陣営を裏で繋ぎ合わせて壮大な作戦を実行したフリードリヒは、その手柄を復活したビスマルクに譲って、また裏舞台へ戻ると言っていました。
 コンパイラー戦にシャルンホルストMETAを呼んだのは、METAの火力で協力してもらうのが主な狙いだったと思いますが、もう1つ目的がありました。フリードリヒは余燼の拠点へと連れていってもらうと言っていたのです。別の世界線へと旅をするようでした。
 ビスマルクが鉄血の指導者として復活したので、フリードリヒがトップを代行する必要はなくなりました。余燼の拠点へ向かうことで、さらに戦力の拡充を狙うのでしょうか。それとも何か別の目的があるのでしょうか。
 ビスマルクについてはしれっと「META化の進行を耐え抜いた」と明かされました。普通に戻ったということなんでしょうか。META化が始まったあと、完全に元の状態に戻ることもあり得るのでしょうか。
 フリードリヒは旅に出る前に、サモス島を調べてみなさいと指揮官に言っていました。サモス島の名前はこれまでも何度も出てきたので驚きはしませんが、指揮官が知ったのはこれが初めてだと思います。直近で出てきたボノム・リシャールの絡みなのかなと思いますが、どんなストーリーが展開されていくでしょうか。

4-2. アイリスの「冠」

 こちらも何回か語られてきたことですが、アイリス-ヴィシア関係の次なるフェーズとして、アイリスの「冠」を巡る物語が展開されていくことになりそうです。サディアのマルコポーロがそれを狙っているのも前のイベントからの続きでした。
 アイリス側のKAN-SENでありながら、ヴィシア陣営にスパイとして潜りこんでいるル・テリブルがリシュリューと会話するシーンがありました。リシュリューに「冠」を手に入れてほしいので、鍵の在りかを教えていました。
 「光と影のアイリス」のとき、ジャン・バールたちがトゥーロンで自沈した件をきっかけに、アイリス教国はアイリスとヴィシアに分裂しました。ジャン・バールは指揮官に救出されたと言われていますが、あのイベント以降ずっと表舞台に出てきていません。
 ヴィシア側のKAN-SENには上層部の睨みが常に利いている状態になっているとのことでした。特に動きがとりにくいのがアルジェリーたち護教騎士団と、ラ・ガリソリエールのように「あっち」の仕事をしているKAN-SENたちです。
 鉄血がセイレーンに反旗を翻したことで、主にレッドアクシズ側に属する陣営の上層部には動揺が広がっていくことでしょう。ヴィシアとサディアの今後の動きにも注目です。

感想

 ここからはただの感想です。
 物語が大きく動くことになった一方で、KAN-SENたちの「想い」もかなり全面に出てくるようになり、ますます物語としての面白さが増してきたなと思いました。ヒトの形をしているKAN-SENには知能だけでなく感情があります。その意味が物語に大きく絡むようになったなと思ったのです。
 例えばイベント序盤の赤城と瑞鶴のやりとりは面白いものでした。

 重桜の戦力の要である一航戦赤城加賀と五航戦瑞鶴翔鶴は、現在同じ重桜陣営にあって仲間割れ状態になっています。ただ、本気で相手を否定しているわけではなく、我こそが重桜のためを思って行動しているのだとお互い譲らないから衝突してしまっているのですね。それをお互い理解していて、歩み寄りの機会がないか伺っている様子が垣間見えました。兵器ではなくヒトなのでこういう衝突も起きてしまうのでしょう。

 フリードリヒの作戦の根幹も、コンパイラーには理解できない「ヒトの感情」が突破口になっていて、イベント全体を同じテーマが貫いているのが美しかったです。
 鉄血がセイレーンと手を切る理由も、人類が自らの手で未来を切り開く「ヒトの世界」を作るためだと言っていました。指揮官もフリードリヒから普段とは違う情熱を感じると言っていましたが、KAN-SENがヒトだからこそ生まれた作戦なのだなと感動しました。
 WW1~WW2という人類史上最大の大戦期に架空の超存在が介入してくるという題材は、古今東西で取り上げられてきたテーマであり、それだけで思考実験として面白いものです。今までは再現という形で史実になぞらえた大枠の中でKAN-SENたちが戦ってきましたが、今回のイベントは自分たちのために未来を切り拓くための反逆の戦いでした。物語の次元が1つ上がったのですね。
 今後どうなるかがますます楽しみになってきました。クイーン・エリザベスの企み、重桜の内部分裂、アイリス/ヴィシアの決着、マルコポーロの暗躍などなど気になる要素はたくさんあるのですが、そもそもKAN-SENが上層部の意思に反してセイレーンに反旗を翻したのが大事件です。上層部も表立ってはセイレーンと結託できませんが、この反逆の余波がどのように広がっていくのかは予想がつきません。次のイベントが待ち遠しいですね。


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