3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【プロセカ】Leo/needの「ステラ」はなぜこんなにエモいのか?

 2020年11月16日に突然ステラのfullが公開されたわけですが、その出来事があまりにもエモーショナルだったため感想を書くことにしました。
 Leo/needがどういうグループなのか、ステラがどういう曲なのかざっくり書いたあと、本題に入っていきます。

※Leo/needのメインストーリーのネタバレをしますのでご注意ください。


目次

Leo/needの由来

 Leo/needは幼馴染4人組のガールズバンドです。「あの日みんなで見た星空」をキーに、バラバラになってしまった4人が再び集まり、Leo/needとしてバンド活動を開始するお話が、メインストーリーの20話を通して語られます。
 「星」「天」「月」「日」と天体に関わる漢字が名前に入っています。

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 メインストーリー20話でLeo/needというバンド名の由来が語られます。
 「あの日みんなで見た星空」はしし座流星群が流れる空でした。志歩が星の名前を使うのはどうかと提案し、穂波が調べたフランス語のしし座流星群「Les Léonides(レ・レオニード)」の響きを一歌が気に入り、「Need(必要とする)」が入っているのがいいねと咲希が言って、「Leoneed」というつづりが決まります。最後に、咲希がLeoとneedの間にスラッシュを入れます。「ふふん!流れ星だよ!」と言っていましたね。
 2020年10月9日開始のイベント「雨上がりの一番星」ではLeo/need結成後のアフターストーリーが描かれます。プラネタリウムでの天体ショーを4人で見に行きたいと張り切りすぎた咲希が、体調悪化で倒れてしまうお話でした。
 「雨上がりの一番星」のためにボカロPのじんさんが書き下ろした曲が「ステラ」です。イベントのアフターライブで初公開されました。星空をバックに演奏する4人+ミクが本当にカッコよくて、曲の終わりに煌めく朝焼けが顔をのぞかせるという演出がとても印象的でした。

ステラfullの公開

 プロセカにリズムゲームとして実装されているがため、ステラは短いバージョンしか聴けませんでした。Aメロ→Bメロ→サビという単純な構成です。
 2020年11月16日の夜、唐突にプロセカ公式Youtubeにステラのfull(セカイver.)と、じんさんのニコニコ動画のチャンネルにステラのfull(初音ミクver.)がアップされて騒然となりました。
 ゲーム内では実装できないのにセカイver.のfullもわざわざ作っていてくれたんだなということ、じんさんが2年ぶりに初音ミクのボカロ曲をアップしてくれたこととダブルで嬉しさがこみあげてきました。
 それと同時に、今まで聴けなった2番とCメロが公開されたわけです。さらには、公式に公開されていなかった歌詞も明らかになりました。


Leo/needとステラの歌詞

 ステラの歌詞は、宮沢賢治作「よだかの星」が下敷きになっていて、随所に同様の表現が見られます。この作品は国語の教科書で読んだ方もいるのではないでしょうか。
 醜い外見のせいで他の鳥たちにいじめられている「夜鷹(よだか)」が、星を目指して飛ぼうとするという非常に短いお話です。青空文庫で無料公開されていますので、ぜひ読んでみてください。

宮沢賢治 よだかの星www.aozora.gr.jp

 ステラという曲の歌詞は、「よだかの星」にインスパイアされた物語であり、Leo/needの4人の物語にもなっているという非常に文脈豊富な代物でありながら、センスの高い語彙で美しくまとめられ、歌の響きとしても違和感のないように仕上げられています。神業としか言いようがありません。
 Leo/needの4人とミクが歌うセカイver.は、4人の目線からの物語に聞こえます。「よだかの星」の夜鷹のように、美しく高潔に生きようとするがあまり燃え尽きてしまう人生に、歌詞全体から憧れがにじみます。(最後に歌詞を載せました)
 特に、2番のサビを見たときは鳥肌が立ちました。

世界にとって僕にとって
ふさわしかった役なんて
要らない知らない
所詮僕は僕だった

 醜い自分は変えられず、星になろうと思ってどれだけ飛んでも落ちてしまう夜鷹自身の気づきの歌詞のようでもあり、Leo/needの4人のための歌詞でもあるのではないかと想像が膨らみます。
 自分と絡んでいると変な目で見られるからと一歌たちを避けた志歩だったり、穂波のためを思って彼女をバンドに誘うのを諦めた咲希だったり、彼女たちの葛藤が脳裏をよぎります。
 しかし自分は自分であり、それは簡単には変えられなくて、自分の思うがままに行動するべきだと気づいた彼女たちに、「世界にとってふさわしかった役なんて要らない」という歌詞が重なります。

これはそう今日を諦めなかった
故の物語(ストーリー)
風切羽響かせて空を目指して
惨めになって嫌になって
輝いてる夢も叶える羽は
疾っくの疾うに生えていた

 Leo/needの4人が抱える問題は、実は自分たち自身で解決できる壁でした。夜空を疾走する夜鷹の物語に重ねつつ、それを「疾っくの疾うに」と表現するのがまさに天才の所業だなと思いました。
 彼女たちは「今日を諦めなかったがゆえ」に4人でまた一緒にいられる夢を叶えました。これが1番のサビとラスサビで繰り返される構成になっているのが美しすぎます。

なぜこの日に公開されたのか?

 ステラのfullは事前告知なしに唐突に公開されました。「雨上がりの一番星」イベントが終わってしばらく経ち、プロセカの中ではすでに別のイベントが始まっています。なぜこのタイミングなのだろうと不思議に思いました。
 この疑問は、ニュースを見ているときに解決しました。ステラfullの公開日の翌日、2020年11月17日は日本列島でしし座流星群が見ごろになる日でした。Leo/needをもう一度結び付けてくれたしし座流星群を見ながら、ステラを聴いてねというメッセージだったのですね。
 これがじんさんの発案なのか、プロセカ運営さんの発案なのかはわかりませんが、両者が合意してこのタイミングに出してくれたことにただただ感動です。じんさんもただ曲を提供するだけではなくて、プロセカの中の物語のことをちゃんと考えてくれているんだなとわかるのが本当に嬉しいです。
 こんなことをしてもゲームの売り上げには特に繋がらないんですよね。ガチャが回るわけでもないですし。でも、エモーショナルだからそうしようと意思決定ができる組織に、私は信頼感を覚えます。ユーザの目線に立って、なるべく大きな感動を提供しようとする姿勢に胸がうたれます。
 次はどんなワクワクが待っているのかと期待してしまいますね。


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 星4咲希の背景にもちゃんと流れ星が描かれていたじゃないかとしみじみ見返していました。


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ステラ歌詞

涙が夜に溶けて
空が今日も遠くなる
未来が綴じたように
暗闇が満ちている
あぁ、醜い心も
掠れそうな言葉も
すべて見透かしたように
星が輝いていた

「夜鷹のように高く
空を高く駆けて往けたら
綺麗だって囃されて
特別になれたのに」
そう、俯いた目には
憧れしか映らない
誰かの書いた地図じゃ
灯る場所は探せない
あぁ、僕らの現状は
いじらしくフラットして
気を抜けば明日が
昨日になってしまう

これはそう今日を諦めなかった
故の物語(ストーリー)
風切羽響かせて空を目指して
惨めになって嫌になったって
輝いてる夢を叶える羽は
疾っくの疾うに生えていた
吐き出す息が白冷めて
声も聞こえなくなって
燃えあがる体温が
夜空を焦がすまで
誰よりもっともっと向こうへって
羽ばたいた星の一瞬を
あぁ、夜空はずっと待っている
灯る日を、待っている
きっときっと

「いつか」なんて誤魔化して
「誰か」になすりつけて
「どこか」なんて慰めて
「なにか」に縋っている
あぁ、それこそが僕だ
汚れきった心だ
夜鷹にはなれないな
だから今日を飛んだんだ
あぁ、僕らの結末は
面白いほどナーバスで
予測なんて一つも
宛にならないから

これはまだ僕を諦めなかった
故の物語(ストーリー)
嗄れた喉を響かせて
後悔を追い越して
世界にとって僕にとって
ふさわしかった役なんて
要らない知らない
所詮僕は僕だった
それならどうかこの涙を忘れないで
疲れ果ててこの空から落ちるまで
今よりもっともっと向こうへって
羽ばたいた星が鳴いている
あぁ、夜空が白け出している
陽が昇り出している
そっと

あれから始まって
これから終わっていく
一つ、一つ、一瞬を
確かめていく
誰とも同じじゃない
誰にも似ていない
一人、一人、
とても不確かな空を
飛んでいるのさ
僕らの現状は
気持ちひとつでシャープして
怯えていた明日を
昨日に変えてしまえる

これはそう今日を諦めなかった
故の物語(ストーリー)
風切羽響かせて空を目指して
惨めになって嫌になって
輝いてる夢も叶える羽は
疾っくの疾うに生えていた
吐き出す息が白冷めて
声も聞こえなくなって
燃え上がる体温が
夜空を焦がすまで
誰よりもっともっと向こうへって
羽ばたいた星の一瞬が
あぁ、夜空を照らし出している
淡く光っている
ずっとずっとずっと