3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメアズレン8話感想-【交錯】抱きしめて離さない

ネタバレします!!

 8話で描かれるテーマが、アニメ全体を貫く主題なのかなと思いました。戦うために作られたKAN-SENたちは、セイレーンという絶対悪に対しては躊躇なく戦えますが、KAN-SEN同士の戦いには疑問を持ちます。なぜ戦わなければいけないのかと悩みます。ですが、その悩みは兵器である自分たちの存在意義を揺るがす問いなんですよね。

KAN-SENたちの葛藤

 OP明け。ジャベリンとラフィーが綾波と遭遇したところから始まるエンタープライズの一人語りで、アズールレーンの世界観についての言及がありました。
 エンタープライズ:「かつて世界は単純だった。私たちは戦うための存在で、敵は外からの侵略者。そして、人類は追いつめられていた。」ここはいままでの説明に沿った内容で、人類は制海権を9割失ったと言われている時代のことを指しています。人類にとっては地獄ですが、KAN-SENたちは逆にいきいきとしていたのでしょう。兵器ですからね。皮肉なことです。
 エンタープライズ:「世界は過酷だったが、戦いに迷いはなかった。戦うことと守ること、その二つは矛盾なく、等しいものだった」。ヨークタウン姉妹はみな笑っています。
 綾波:「敵同士で何を言っているんですか!」「綾波たちはフネだから、敵と戦うのは当たり前なのです。」ジャベリン:「違うよ、私たち、そんな単純じゃない」。エンタープライズの語りと、対峙している状況が重なります。この場は夕立、雪風、時雨が現れ、重桜が引いていきました。
 KAN-SENは、目の前のものをひたすらなぎ倒す単純な兵器にはなれないのですよね。心があるから。

天城とつながるエンタープライズの精神世界

 エンタープライズ:「私たちを取り巻く世界は、いつからこんなにも複雑になってしまったのだろう。共通の敵を前に、なぜか私たちは互いに銃を向けあって。私は…なぜ…」。ここからエンタープライズが画面に登場し、真っ黒い世界で一本の桜の木を見ています。
 幼い赤城と加賀。仮面で顔を隠しています。エンタープライズが近づくと姿を消してしまいます。KAN-SENに成長はないはずなのですが...。

 そして天城が登場します。今度はちゃんと顔があるし、声も出せます。赤城が黒いメンタルキューブを使って天城を復活させようとしていたので、黒キューブの力を通じてエンタープライズと天城の精神が接触をしているのでしょう。
 天城:「あの子たちはまた思い詰めているのね。いつも二人一緒なのに、泣くときは独りぼっちで、不器用なのです、二人とも。」天城が元気だったころから、赤城と加賀はよく思い詰めていたとのこと。そのころから重桜の未来を憂いていたのか。なぜ泣くときは独りぼっちになるのか。見えているものがそのころから違っていたということでしょうか。
 天城:「あなたと似ています」と言われても、エンタープライズは天城のことを知らない様子。エンタープライズも不器用で、すぐに考え込んでしまう。
 天城:「でもつながっている。私たちはフネの記憶を宿して生まれてきた。時のかなたの遠い海、あまたの想いを紡いで」。私たちが生きている世界線であった大戦の記憶が、KAN-SENには一部流れ込んでいるという設定がゲームにもあります。ラフィーが比叡に執着するのもそれだと考えられています。
 天城:「どうか忘れないで、あなたに宿る、ヒトの祈りを。」ヨークタウンと同じようなことを言います。ヨークタウンはエンタープライズという名前に込めた想いについて話していましたが、結局は同じでしょう。エンタープライズというフネに対して、人々は平和を祈ったはずです。
 仮面が1つ沈んでいき、加賀はひとりでエンタープライズの後ろにたたずんでいます。赤城が倒れてしまったことを示していますね。

重桜の亀裂

 五十鈴、長良、陽炎、白露が登場。陽炎がけっこうしゃべりますね。幻でも見ているようじゃ。時雨は白露と姉妹なので手を取り合っています。
 暁、雷、電の暁型駆逐艦もそろって登場。吹雪もいますね。量産型セイレーンがすべて動きを止めてしまったようです。8話の至るところで海に沈んでいっている描写もあります。オロチとの接続が途切れたのかもしれないと推測する蒼龍。黒キューブがあれば動かせたのかも。
 翔鶴が一航戦のやり方に対して疑問を口にします。翔鶴らしい。これを堂々と言えるのは翔鶴だけですね。
 ベルファストたちの会話を挟んで、赤城の捜索終了を蒼龍が告げます。旗艦は赤城だったとのことですが、指揮系統の次点は蒼龍だったようですね。加賀ではなく。

ベルファストの哲学

 ベルファスト綾波と戦おうとしないジャベリン・ラフィーの様子を見ていました。
ベルファスト:「大いに悩むべきかと。悩むのです。状況に流されるまま、引き金を引いてはなりません。我々の力はそんな軽いものではないのです。私たちは戦うために生まれてきました。滅ぼすためではありません。」ベルファストはKAN-SENとは何かという一歩引いた視点からよく説教をしているように思います。すごく達観しています。

重桜撤退戦

 アズールレーン側が重桜の主力艦隊の位置を特定。士気は全然ないですが、間違いなく好機なので、戦闘の決断をします。ホーネット:「仕方ないさ、戦いだもの」。
 一方、翔鶴・瑞鶴をしんがりにして、重桜艦隊は撤退を決断します。出撃前に瑞鶴の後姿をみつめる翔鶴がエモいですね。
 綾波:「どうすればいいか綾波にもわからないです、でも...」。たぶん「でも」に続くのは、仲間が傷つくのは見たくないってことかなと思いました。このアニメだととびぬけて仲間想いなんですよね、綾波は。

セイレーンの狙い

 セイレーンもこの海域に来ていて、KAN-SENたちの様子を観察しています。暗黒海域にいたのはオブザーバーだけに見えましたが、テスターも来ているのですね。
 テスター:「つくづく面白いわね、人類って」KAN-SENって人類にカウントしてよいんでしょうか。どちらかというと作られた存在なのでセイレーンに近いような気もしますが。
 テスター:「争いを恐れながら、戦うことを選ぶ。度し難いほどに矛盾してるわ」オブザーバー:「彼女たちは、ヒトの想いの歴史を映し出す鏡。闘争こそが人類の本質よ」KAN-SENがヒトであろうとヒトでなかろうと、ヒトの想いを反映していることに変わりはないという見方ですかね。
 オブザーバー:「戦いはいつの世も、変わることはない」いままでエンタープライズやPoWが繰り返してきたセリフを、セイレーンも口にします。
 オブザーバー:「この子にはまだ役割があるわ」「エンタープライズのおかげで黒いメンタルキューブは膨大なデータを獲得したわ。計画には十分なエネルギーよ」「オロチが目覚めるわ」エンタープライズに撃たれた赤城の役割ってなんだろうと考えると、オロチ(=天城?)を復活させるいけにえにさせるということですかね?

翔鶴・瑞鶴 vs PoW・クリーブランド・サンディエゴ

 翔鶴型空母はかなりスピードが出る船だったのを活かしてるのか、高速で動き回り相手を翻弄する二人。コンビネーションもぴったりですね。PoWは冷静に砲撃をしていますが、クリーブランドはあまり戦いたくなさそうな顔をしています。
 数的不利のため広いところにいると狙い撃ちにされるので、氷山の間に逃げ込む二人。そこに待ち構えていたのは再び覚醒したエンタープライズ。ノータイムですさまじい数の艦載機を呼び出し、爆撃と機銃で一気に攻撃します。
 瑞鶴をかばう翔鶴。翔鶴の方が守るスキルを持っているので、きっとこういうことになってしまうのだろうなという予感はありましたが。。

ヨークタウンの負傷

 戦いの最中、エンタープライズの回想シーンに飛びます。ボロボロで沈みかけているヨークタウン。相手はセイレーンの大艦隊。過去の話のようです。
 エンタープライズ:「誰か教えてくれ、争いのない世は、はたして来るのだろうか」ゲームでのエンタープライズの勝利ボイスを彷彿とさせるセリフですね。ただ、アニメの世界線で答えてくれるのは指揮官ではなくセイレーンになってしまっています。

 オブザーバー:「その答えは、あなたが一番よく知っているでしょう?」エンタープライズ:「戦いはいつもかわることはない」何度も繰り返されるこの言葉。序盤のシーンでKAN-SENの取り巻く環境が変わっていったことが示唆されていても、結局戦いは変わらない。
 4つの旗が燃えて倒れます。一時は四大陣営がボロボロになるまで追い詰められたということでしょうか。

綾波救出劇

 艦載機をエンタープライズに突撃させる瑞鶴。機銃の発砲音がしなかったので、日本らしく神風特攻をさせたのでしょう。ですが、帽子が吹き飛ぶだけでエンタープライズ自身は無傷でした。
 背中から発艦させた艦載機で爆撃を狙うエンタープライズ。氷山をぶち破って現れた綾波が、艦載機をぶった切ります。本当に鬼神。このシーンのアクションは本当にすごくて見るたびに鳥肌が立ちます。
 正気に戻るエンタープライズ。運悪く次元の裂け目に飲み込まれそうになる綾波。ジャベリンとラフィーは助けるか躊躇するのですが、ベルファストが「行きなさい!」と背中を押してくれます。
 ラフィーが叫ぶ「自己リミッター解除!」はゲームで戦闘開始時に言うセリフなのですが、本来はもっとぼそっとテンション低く言うんですよね。あえてこんなに切羽詰まった叫び方にしているのがぐっときます。そもそも、ラフィーの戦闘シーンで聴けるのかなと期待していたセリフだったのですが、戦いではなく綾波を守るために聴けるなんて、本当にエモいことをしてくれますね。

 ジャベリンが氷山に錨を打ち込んでストッパーにするわけですが、この錨は突然出てきたわけではなく、ゲームの立ち絵に描かれているものを応用した形になっています。船なのですべてのKAN-SENが錨を持っているような気もしますが、ちゃんと原作を活かしているところに好感が持てます。特に改造後の立ち絵がわかりやすいですかね。


 膝から崩れ落ちるエンタープライズ。覚醒した反動が体に来たのか、自分がやってしまったことに対して精神的なショックを受けたのか。
 綾波は艦載機をぶった切って爆発に巻き込まれて、本当に危ない状況だったのにも関わらず、まず最初にふたりに「ありがとう、なのです」とお礼を言うんですよね。じーんときます。



YT22@サンディエゴ (@YT22_azurlane) | Twitter


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