3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 孤星 前編 <ライン生命編>

 2023年11月7日からスタートしたイベント「孤星」のストーリーを整理していきます。
 「孤星」の考察記事は前編・後編に分かれています。この記事は前編のライン生命編です。クリステンの計画が人々をどのように揺るがしていったのかを追いかけます。


 後編はこちらです。どちらから読んで頂いても大丈夫です。 
yterapokemon.hatenablog.com


 

1. 過去

 イベント時系列より過去の話からスタートします。

1-1. テラの空への挑戦

 物語の発端はクリステン・ライトの幼少期から始まります。
 クリステンの両親であるライト夫妻も科学者でした。彼らは飛行ユニットの研究に勤しみ、空を飛ぶ研究の草分け的存在でした。画期的な輸送技術として確立できれば人類に大きく貢献できると期待されていたのですが、夫妻は飛行高度の引き上げにこだわってチャレンジし続けました。
 20年前、夫妻の乗った飛行ユニットは最高高度である6152.31メートルを記録するのですが、その直後に機体が大破して亡くなりました。高度を引き上げたところで得られるメリットは薄く、夫妻の事故は投資家たちを怒らせました。意味のない挑戦によって、投資したお金が返ってこなくなってしまったのです。
 夫妻が存命のときから反科学の陰謀論者から守っていたのがヤラ・ブッカー・ウィルソンでした。大女優であり投資家でもあった彼女ですが、裏の顔はマイレンダーのエージェント。両親が亡くなったとき、幼いクリステンの目に宿る炎が忘れられず、クリステンを支援することにしました。のちにマイレンダーを離れてライン生命に入社することになります。
 クリステンは両親から才能も野心も受け継いでいました。世間から白い目で見られていた空への挑戦を自分が引継ぎ、両親のように目標に向かい続けて死んでもいいという覚悟で研究をしていました。
 さて、ライト夫妻の乗った飛行ユニットに何が起きたのか。テラの上空には阻隔層と名付けられた層があり、ここに入ると物理的に様々な影響が発生し、それ以上の上昇を阻みます。ウルサスの詩人はこの層を優雅に「星のさや」と名付け、その名称がある程度浸透しているのですが、阻隔層の科学的見地からの解明は進んでいません。
 阻隔層は光を捻じ曲げると言われており、星々の観測に影響を及ぼしていると考えられています。アーツユニットは層に入ると動かなくなるのですが、天災雲は阻隔層よりも高い地点で凝結し、源石結晶は層を貫通して降ってくるらしいです。謎だらけ。
 ちなみに、PVに描かれていましたがテラで一番高い山はカランド山の5653mだそうです。エベレストの標高が8849mであることを考えると控えめで、阻隔層があるのでそれ以上の高い山は存在しないのかもしれません。
 我々が地球で利用する旅客機は高度8000m-12000m付近を飛びますし、人工衛星は高度200km-1000kmを周回します。テラの文明が発達しようとも、阻隔層のせいで空に関する技術革新は制限されている状態なのです。


1-2. ライン生命の創立

 成長したクリステンはライン生命を立ち上げます。
 トリマウンツ工科大学でクリステンはサリアに出会い、2人でラインラボを立ち上げます。そこへ自身の研究テーマに行き詰っていたミュルジスが合流。エルフという超稀少種族の彼女は自分の居場所を探しており、クリステンとサリアとの出会いはかけがえのないのものになりました。
 その後、ヤラの後ろ盾によってラインラボは現ライン生命という企業へと形を変えました。フェルディナンドとバルヴィスが合流して科学研究課の骨格ができ、ヤラが入社して人事調査課の主任を引き受け、さらにエンジニア課・商務課・科学考察課が作られました。ドロシーが入社してきたのは最近のことです。
 科学考察課の主任はまだ出てきていません。マゼランが所属していることがわかっているのみです。この課はクリステンが投資家の反対を押し切って作られました。テラの極地を探検したり、遺跡を探索するための課なのですが、そんなものはお金にならないと反対されていたのですね。
 最近クリステンは文献学の顧問としてホルハイヤを招聘しました。ホルハイヤはマイレンダーのエージェントで、ヤラの後任という扱いになっています。


1-3. ホライズンアーク計画

 クリステンはクルビア国防部と共同でホライゾンアーク計画を始めます。
 ホライゾンアーク計画は破壊兵器を作るプロジェクトです。莫大なエネルギーを貯蔵できるエネルギーウェルと、高度5000mに浮かぶフォーカスジェネレーターから成ります。エネルギーウェルは上空に向かってエネルギーを打ち出し、フォーカスジェネレーターが角度を変えて地上の目標を攻撃します。
 ロンディニウムにザ・シャードが現れ、遠くの目標を攻撃できるようになったため、クルビア国防部は対抗策を求めていました。ボリバルの戦争に介入して失敗し、国民の信用を失ってしまったことも国防部は引きずっていました。そこにクリステンはホライゾンアーク計画を提案。国防部はこれに飛びついたのです。
 「翡玉の夢」の359号基地事件の2年ほど前から、クリステンは表舞台にあまり出てこなくなりました。この計画を進めるためです。
 後述しますがクリステンはホライゾンアーク計画を破壊兵器として使わせるつもりはありませんでした。クリステンの目論見通り利用するためには莫大なエネルギーが必要なのですが、エネルギーの入手経路に目途がついたのでこの計画を始めたのです。それが保存者との出会いでした。
 クルビア国防部はクリステンに大量のリソースを提供し、ホライゾンアーク計画は順調に進んでいきます。ジャクソン副大統領は科学者を支援する姿勢を打ち出すためにこの計画を発表しようと構えていました。


1-4. 星の庭計画

 ホライゾンアーク計画は見せかけの隠れ蓑に過ぎず、星の庭計画というのが本来の名前でした。
 クリステンはチャージしたエネルギーを地上に向けるつもりはなく、阻隔層を切り裂き、その向こう側を探索しようとしたのです。この計画を実現するには大きな障害が2つありました。
 1つ目の障害は必要なエネルギーの大きさです。阻隔層を突き抜けるには地上の目標を破壊するよりもさらに大きなエネルギーが必要です。それはテラの文明レベルでは到底集めきれないほどの莫大な量です。クリステンは保存者から石棺が持つエネルギーを使わせてもらえることになり、この問題を解決しました。
 石棺は別の目的にも使われました。クリステンはローキャンに生命維持装置として研究させました。彼女は健康体なのですが、宇宙空間に飛び出したあとに、自分が眠るために必要だったのです。
 2つ目の障害はエネルギー制御です。星の庭計画では石棺から得た規格外のエネルギーを精密にコントロールする必要があります。この課題を解決したのが伝達物質でした。フェルディナンド率いるエネルギー課と、ドロシー率いるアーツ応用課の共同開発で生み出されたのがこの伝達物質でした。
 ドロシーは人の意識を統合する研究に伝達物質を利用して359号基地事件を引き起こしてしまいました。一方パルヴィスは伝達物質でエネルギー制御を行う研究を行い、計画の障害を取り除きました。
 他にも、計画で使われる実験機器はエンジニア課主任のナスティの傑作であり、クルビア国防部を欺くために商務課主任のジャスティンJr.も奔走していました。ミュルジスは源石に強く影響を受けてしまうテラのエルフを救うべく、宇宙で生命が生きられるかどうかを探ろうと、生態研究園をフォーカスジェネレーターの中に作ってもらいました。
 このようにライン生命の主任たちの英知を結集したのが星の庭計画だったのです。



2. イベント時系列(打ち上げ前)

 イベントの時系列へと入っていきます。まずはフォーカスジェネレーターの打ち上げ前まで。

2-1. クリステンの失踪

 ホライゾンアーク計画が佳境を迎える中、クリステンの行方が掴めなくなってしまいました。
 もともと計画がスタートして以来、表舞台には出てこなくなっていたクリステンですが、イベント時系列では計画に協力していたクルビア国防部すらも居場所を掴めなくなりました。しかも建設中のフォーカスジェネレーターも一緒に消え失せてしまいます。
 ホライゾンアーク計画を担当していたブレイク大佐は困りました。クリステンの居場所が分からないだけなく、彼自身にもクリステンとグルなのではという裏切りの嫌疑がかかってしまったからです。
 ブレイクはジャクソンに会いに行き、トリマウンツから離れてくれと要望しました。副大統領が都市に滞在していると軍は強硬手段でクリステンを探せないからです。しかしジャクソンは決断を先延ばしにし、トリマウンツを離れるどころかライン生命を視察に行くと言い出しました。クリステンを庇うスタンスを表明したことからブレイクはジャクソンをアテにできないと考えます。
 クルビア政府と連合議会は国防部を弱体化させたいと思っています。ボリバルでの敗北以降、連合議会はクルビア軍を抑圧することに注力してきました。軍の失態は自分たちの利益。クリステンが暴れてくれるのは彼らにとって好都合なのです。
 そんなブレイクに協力を申し出たのがフェルディナンドでした。359号基地の件でクリステンに盾突いた結果、事件の首謀者としてライン生命を追放されることになりました。クリステンは伝達物質を自身の計画に利用したいと思っていたので、359号基地のときはフェルディナンドを泳がせるだけ泳がしておき、伝達物質の有用さを確かめていました。
 フェルディナンドはクリステンを止めないとライン生命が無茶苦茶にされてしまうと考えています。この見立てはおおむね真相と近く、彼は自身が心血を注いできた会社を守るべく、国防部に手を貸してクリステンを見つけようとしていきます。


2-2. 空からの落下物

 あたふたする国防部を煽るように、空から落下物が落ちてきます。
 フォーカスジェネレーターのテストのために打ち上げた機械が空から落ちてきてしまいました。阻隔層のいつもの問題にぶち当たったとナスティは言っていました。想定通りだったらしく、クリステンはホルハイヤにブラックボックスの回収を頼み、ナスティがそれを解析して結果をチェックしていました。伝達物質はナビゲーション用の素材として有効に働いたらしく、この実験を経てナスティは計画のペースを上げます。
 落下物はトリマウンツの工場に墜落しました。現場を見に来たサリアはブリキと出会い、マイレンダーもこの件で動いていることがわかりました。
 ドロシーから伝達物質の調査を頼まれたサイレンスは、手がかりを求めて事故現場へ赴き、そこで伝達物質がかすかに反応する様子を見ます。制御で使っていたので痕跡が残っていたのでしょう。国防部に見つかってしまったサイレンスはヤラに助けられ、淬羽サイレンスの姿へとイメチェンしてもらいました。
 サイレンスはこのあとも伝達物質の反応を追いかけて、師匠であるパルヴィスのもとへ辿り着きます。パルヴィスはこのときすでにクリステンに協力していますから、サイレンスが真相に近づかないように煙に巻こうとしました。


2-3. 副大統領暗殺未遂

 ブレイクは副大統領の暗殺という強硬手段を使ってクリステンの居場所を炙りだそうとしました。
 ジャクソン副大統領は国防部とは逆側のスタンスだとわかりました。ブレイクにとって彼は邪魔です。また、クリステンはトリマウンツのどこかにはいるはずです。クルビア軍がトリマウンツを大規模に制圧する理由さえ作れれば、ブレイクはクリステンを見つけられると考えました。
 そこから導き出されたのがジャクソンの暗殺計画でした。仮に暗殺が失敗したとしても、大きな騒ぎが起きれば軍が出動する理由になります。暗殺計画は急ごしらえのものと自分で認めていましたが、ブレイクにも勝算がある行動でした。
 結果的にはマイレンダーが一枚上手でした。国防部の暗殺者は騒ぎになる前にマイレンダーのエージェントに制圧されてしまいました。マイレンダーはメディアも抱き込み、何事もなかったかのように報じられてしまったのです。
 ライン生命の中での暗殺阻止を依頼されていたロドスでしたが、ロスモンティスとサリアが潰したパワードスーツはフェルディナンドが出動させていたものでした。フェルディナンドはブレイクを裏切って計画を止めようとしており、妨害を受けた刺客もいたのだとか。ライン生命を訪問中に副大統領が暗殺されたとなれば、ライン生命はただではおかれませんから。
 警備課の記録よりパワードスーツが2台多く出動しており、中に入っていた2人は副大統領を爆殺しようと地下に潜っていました。そこもイフリータが目を光らせており、爆発はしたものの工作員は救出されました。

 

2-4. ジャクソンの手腕

 ジャクソン副大統領の暗殺を巡ってクルビア陣営は崩壊するかと思いきや、ジャクソンの手腕で立て直されました。
 ブレイクの暗殺計画失敗は国防部の失態です。クルビア連合議会はここぞとばかりに軍基地の撤廃法案を通そうとするのですが、ジャクソンはそこに待ったをかけます。
 暗殺されかかったにも関わらずジャクソンはブレイクと再度面会し、ブレイクからの譲歩を引き出しました。国防部とマイレンダーが手を組んでクリステンを捜索できる体制を作ったのです。クルビアにとって最大の利益となる形で、関係各所を調整したのです。
 クルビア側が整ったとはいえ、国防部にとって暗殺を邪魔してきたロドスは敵です。サリアが狙撃されてしまったのと、ライン生命オフィス内でドクターも国防部に捕まりそうになりました。それぞれヤラとミュルジスが助けてくれて事なきを得ました。
 その後、ドクターとロスモンティスのもとにローキャンがやってきます。警戒心マックスだったロドスの面々に彼はすぐ追い返されてしまうのですが。


2-5. ホルハイヤの裏切り

 マイレンダー内部に亀裂が走りました。
 上級エージェントとしてマイレンダーのために働いていたホルハイヤが、突然上司のブリキを裏切り、殺そうとしました。金属の身体を持つブリキを殺すために、ホルハイヤはナスティと協力しました。
 彼女たちはそこまで仲が良いわけではありません。2人がなぜ手を取り合ったかと言えば、どちらもクリステンのために動いているので一時的に利害が一致したのです。
 ホルハイヤはマイレンダーの図書館に足を踏み入れた際に、サルカズ王庭の資料を見つけました。そこでサルカズであるブリキにも効果的なバンシーの呪術を知ります。バンシーであるナスティは、工事現場の騒音の中に呪術を隠し、ブリキを攻撃しました。
 頭が取れてしまったのでブリキはやられたものと思われました。マイレンダーの代表を殺害した罪を2人はドクターになすりつけ、以降ロドスはマイレンダーのエージェントに追われる身となります。ブリキは死んでおらず、これ以降ホルハイヤの真の狙いを探るために泳がせます。


2-6. クリステンの居場所

 クリステンの居場所が徐々に絞り込まれていきます。
 ロスモンティスはローキャンと決着をつけたいと願いました。ドクターはローキャンの居場所を知るためにミュルジスと会話をします。その中で、彼女のエルフとしての境遇を知ることとなります。
 ミュルジスはドクターのことを信頼し、ナスティに嘘をついてフォーカスジェネレーターの位置を聞き出しました。フォーカスジェネレーターにはミュルジスのための生態研究園が搭載されており、クリステンと一緒に空に飛び立つ覚悟ができたとナスティに伝えたのです。ローキャンも石棺の生命維持装置の研究のためにフォーカスジェネレーターの内部にいます。
 ローキャンは自身のラボにロスモンティスを招き入れました。研究資金のために非道な実験に手を染めたことを彼は自覚しており、ロスモンティス本人にその罪を裁いてほしいと願います。最高傑作である彼女の脳裏に、自分の存在を刻み付けたいと。ロスモンティスはイフリータに説得されて思いとどまり、結局ローキャンは老衰で亡くなりました。
 サイレンスは伝達物質を用いてクリステンの居場所がわかることをフェルディナンドに告げ、国防部の戦力とともにクリステンの元へと連れて行ってほしいと願い出ます。フェルディナンドは当初の計画書を読み、この推進器ではフォーカスジェネレーターは飛べないのではと疑念を深めます。
 サリアとイフリータはサイレンスと別れたあと、ホルハイヤと遭遇します。フォーカスジェネレーターは発射準備を整えました。ホルハイヤは時間を稼ぐという任務を完遂したので、クリステンから報酬として石棺の研究データを受け取りました。石棺の力で大昔の偉大なクルルカンの姿に戻ろうとしたのです。


3. イベント時系列(打ち上げ後)

 フォーカスジェネレーターが飛んだところから、後半戦として見ていきましょう。

3-1. フォーカスジェネレーターの打ち上げ

 フォーカスジェネレーターがついに打ちあがります。
 クリステンはフォーカスジェネレーターをトリマウンツのゴミ捨て場で建造していました。本来はエネルギーウェルの周辺で作られる予定であり、ジャミング装置のせいで見つけられなかったようです。両親が遺した推進器を搭載してあったのもかく乱に一役買いました。
 ミュルジスはフォーカスジェネレーター内部に作られた生態研究園を見て、クリステンが約束を守ってくれたことを知ります。ナスティに連絡した際は嘘をつきましたが、ここでは本心から覚悟が固まり、クリステンと一緒に空へ飛び立ちました。
 サリアとフェルディナンドはクリステンを止めることを諦めず、国防部にあった点検用の飛行ユニットでフォーカスジェネレーターを追いかけます。その後ろを軍の高性能ドローンでブレイクたちが猛追してきました。
 一方のサイレンスは伝達物質の導きに従い、エネルギーウェルに辿り着きました。クリステンを止めるにはエネルギー供給を止めてしまうという手が考えられるのですが、ステイシスホールから流れ込むエネルギーの奔流は止められません。
 ケルシーはドクターを連れてステイシスホールに辿り着きました。遺跡を調べて自力で辿り着いたのです。一方、クリステンから住所を聞いたホルハイヤもこの地へとやってきて、さらにホルハイヤを泳がせていたブリキも姿を現しました。


3-2. 保存者との邂逅

 ステイシスホールでのやりとりを見ていきます。
 マイレンダーはロドスを敵とみなしていたのですが、ブリキはクルビア大統領からの指示でロドスを支援することになったと言っていました。ステイシスホールではMon3trを使えないらしく、ケルシーはホルハイヤに苦戦していたのですが、ブリキのおかげで助かりました。
 ケルシー曰く、ステイシスホールにいる保存者に会わせられるのはドクターのみ。この遺跡はサルカズとは関係がないので、ブリキにも遠慮するように言っていました。
 ケルシーは保存者に会う前から経緯を把握していたようですが、会話の中で答え合わせが行われていきました。クリステンが考えた計画は、阻隔層を打ち破れるだけの強大なエネルギーがないと成り立ちません。テラの文明レベルでは短時間に賄い切れないので、大きな何かが彼女に力を貸しているのだろうとケルシーは想像しました。それはテラに予期せぬ事態を招くのでケルシーとしてはストップしたかったのですが、間に合いませんでした。
 ケルシーがドクターに助力を求めたのは、ドクターが保存者と同類だからとのこと。このあたりは後編で詳しく記載しますので、ここでは割愛します。このあと保存者はケルシーに依頼し、自身の人間だったころの記憶以外を消して消滅する道を選びました。


3-3. エネルギーウェルの戦い

 サイレンスの戦いを見ていきます。
 伝達物質の反応を追いかけてエネルギーウェルに辿り着いた彼女を待っていたのはヤラでした。クリステンの計画が成就してほしいと願っているヤラはサイレンスの前に立ちはだかりますが、サイレンスの考えは固く、道を譲ることになりました。
 サイレンスがクリステンを止めようとするのは科学と人間のためでした。代償を伴ってでも科学を推し進めるクリステンが英雄視されるようになると、後を追う研究者が続出し、酷い事態になってしまう。科学は人間がコントロールできる範囲で進めていくべきなのだとサイレンスは主張します。
 ヤラはサイレンスの懸念を理解してくれたものの、クリステンもヤラもライト夫妻が事故にあった日から後戻りできなくなってしまったと言っていました。サイレンスはヤラを打ちかまして深部へと駆けていきます。
 伝達物質が指し示したのはエネルギーウェルの中の実験室でした。そこにいたのは恩師のパルヴィス。彼はクリステンの計画を手伝うとともに、この計画を自身の研究にも活用しようとしていました。
 パルヴィスの研究は人工の意識を作り出すのが最終目標らしいのですが、伝達物質はドロシーがやって見せたように人の意識に作用できます。ノイズに悩まされているのですが、莫大なエネルギーが通過するいまの瞬間だけ、ノイズを拝した理想的な環境が出来上がるということで彼は興奮していました。
 パルヴィスが研究の参考にしたもののなかにレヴァナントがあり、ブリキという人物の謎がここで明かされることになりました。レヴァナントはサルカズの1つの種族の名前。長い寿命を持つとともに、精神だけの状態で存在できるという特異な能力を持ちます。ブリキは金属の身体に精神だけ宿ることで生きているものと思われます。メインストーリーでも別の物体に宿ったレヴァナントが出てきます。
 サイレンスは伝達物質のメインコアを破壊しました。彼女はヤラに言ったようにクリステンの研究を止めなければなりません。パルヴィスに恩はあるものの、科学に対する姿勢も大きく食い違ってしまっています。
 伝達物質のメインコアが破壊されてエネルギーウェルは制御を失うと思われたのですが、パルヴィスが予想外の行動に出ました。欠損した分を自分の意識で埋めようとして、彼の意識は伝達物質に飲み込まれ、彼の身体に返ってくることはありませんでした。
 クリステンの計画を止められず、師匠を喪ってしまったサイレンスはその場にへたり込むのですが、イフリータが助けにきてくれました。サイレンスは1人ではありません。イフリータは全編を通して目覚ましい活躍でしたね。


3-4. 星の庭の戦い

 上空での最終決戦です。
 サリアとフェルディナンドは点検用の飛行ユニットでなんとかフォーカスジェネレーターまでたどり着きました。
 後ろからブレイク率いる国防部がやってきたのですが、フェルディナンドが相手をしてくれました。クリステンを止める役目はサリアに託します。フェルディナンドはフォーカスジェネレーターの図面を手に入れていたため、脱出ポッドの位置を把握しています。ブレイクたちはフェルディナンドを殺せません。
 サリアはコンポーネント統括課の職員をかわして、ミュルジスのいる生態研究園へとたどり着きます。クリステンはミュルジスの希望通り生態研究園をフォーカスジェネレーターの内部に作ってくれたとともに、実験に使いたかった753種のすべての植物を揃えていてくれていました。ミュルジスはクリステンを止めようとするサリアを食い止めようとします。
 しかし生態研究園は崩れかかっていました。クリステンはミュルジスを道連れにするつもりは最初からなく、どこかのタイミングで脱出してほしいと思っていたのでしょうか。サリアはミュルジスをかわし、クリステンのもとへとたどり着きました。
 サリアとクリステンの対話は、サイレンスとヤラの対話に似ていました。サリアは行き過ぎた探究の姿勢は混乱をもたらすと懸念をしているのですが、クリステンは渇望する人類の力強さは止められないと主張します。サリアはクリステンが用意した防御システムを打ち破るのですが、サリアが止めにくることを予期して彼女を落とすためだけの扉を用意していたクリステンの勝ちでした。
 星の庭は阻隔層にビームを打ち込んで切り裂き、見事に宇宙へと進出。クリステンはローキャンが用意した生命維持装置で眠りにつきました。


3-5. 保存者の記憶を巡って

 ステイシスホールでのやりとりにも決着がつきました。
 保存者は記憶の大部分を失って消滅したのですが、消えゆく保存者の記憶をホルハイヤが持って帰ってきてしまいました。これがロドスとクルビアの関係の火種となって残ります。
 クルビアの大統領マーク・マックスは、副大統領の肩にとまっていた鳥だったという衝撃の種明かしがありました。副大統領だけ選挙をするのも変な話でしたからね。エンペラーたちと同様、長い寿命を持っている獣主と思われます。
 さらに驚きだったのは、マーク・マックスは保存者トレバー・フリストンを「父」と呼んだことです。一体どういう関係性…?大統領はホルハイヤが持ち帰った保存者の記憶を、修復してくれとロドスに依頼してきました。
 保存者の記憶はマイレンダーでは修復できないらしく、ブリキはロドスに手が出せなくなりました。ホルハイヤは保存者の記憶をドクターに渡したので、マイレンダーを裏切ったホルハイヤのことをロドスは守らざるを得なくなります。マイレンダーの支持を得ることができたロドス一行は無事にトリマウンツから出ることができました。
 ドクターは最後にミュルジスを助けにいきました。クリステンを失って孤独に沈んでいた彼女を、ドクターは理解して手を差し伸べました。保存者という同胞との別れを体験したドクターの言葉だからこそ、説得力があったのでしょう。ミュルジスはロドスを心の支えにしながら、ライン生命で働き続けることになりました。


3-6. トリマウンツ科学倫理共同宣言

 サイレンスの今後について。
 トリマウンツの科学企業の代表者を集め、サイレンスは「トリマウンツ科学倫理共同宣言」を発起しました。彼女とサリアが主張し続けた、倫理観を持った研究開発を監督する機関です。
 ライン生命からはジャスティンJr.、フェルディナンド、ナスティ、ミュルジスが来ていました。フェルディナンドは国防部を裏切った罪で投獄されていたのですが、ジャスティンJr.が看守を買収して助け出しました。星の庭で目にした高エネルギー状態に関する理論を論文にまとめあげ、ライン生命のエネルギー課の主任の座へと返り咲きました。
 ナスティはフォーカスジェネレーターの成功を受けて、空飛ぶ移動都市を構想しているようでした。それがサルカズの悲願にも繋がってくるとのこと。ミュルジスはその都市に生命力をもたらせると提携を持ち掛けていました。
 ライン生命の一研究員だったサイレンスが、このような表舞台に突然立つことができたのには当然理由があります。ヤラがブリキを紹介したのです。ブリキに会いに行ったサイレンスは、そこにジャクソンが同席していることに驚きました。マイレンダーとクルビア政府は、サイレンスの活動に価値を見出したのです。サイレンスの熱意に同調してくれたわけではないのだとサリアは釘を刺していました。
 いまではサイレンス自身も、自分の背後で様々な力が渦巻いていることを理解しています。自分は偶然、このポジションに立つのにちょうどよかっただけだと。しかし、自分の理想に近づけるならばそのような束縛も受け入れる覚悟があると、彼女はプロファイルの中で語っています。本当に頼もしい存在になりました。
 サリアはクリステンの後任としてライン生命の統括の座につきました。ライン生命が失ったものは非常に大きいのですが、サリアがトップに立てば少なくともいま在籍している社員たちは守られるでしょう。今後のクルビアの物語は、ライン生命の騒動がいったん落ち着き、保存者の記憶を巡るものへと変わっていくのかもしれません。





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