3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 樹影にて眠る 編

 2024年2月27日開始のイベント「樹影にて眠る」のストーリーを整理していきます。

1. マリアム主任の捜索

1-1. ライン生命組織図

 ストーリーの起点となっていたのはライン生命でした。
 上の図は「孤星」の出来事が起こる前のライン生命の主任たちの配置を示しています。「孤星」に唯一登場しなかったのが科学考察課の主任です。マリアムという名前のクランタの男性ということがわかりました。
 科学考察課は未踏地域や考古学的領域の探索をメインに研究しています。「孤星」で見つかった遺跡の発見にも絡んでいました。「樹影にて眠る」で注目されたインフィ氷原の探索も大きなミッションの1つです。
 マゼランは科学考察課の一員です。マリアムから直接指導をしてもらっていて、彼のことを先生と呼びます。
 2か月前にマリアム主任が氷原探索中に消息を絶ったことが今回のイベントの契機になりました。
 

1-2. ウルサスルート

 マゼランはマリアムの捜索に向かいました。
 マリアムはウルサス北部のライト=コシンスキー観測補給基地で物資を補給し、国境を越えてインフィ氷原に入りました。チームメンバーは15人でしたが、この基地でマリアムは20人分の物資を持っていきました。アルゲスというサイクロプスの同行者がいたからです。
 途中までは普通に定時報告をしていたマリアム隊ですが、連絡が途絶えてしまいました。氷原の悪魔に襲撃されたのです。未来を予見するサイクロプスの力を以てしても、悪魔の脅威には敵いませんでした。アルゲスはマリアム以外を助けることはできず、隊は壊滅してしまいました。
 その後マゼランはマリアムを追いかけてライト=コシンスキー観測補給基地にやってきました。探索協会や救助隊を頼ることもできるのですが、マゼランが単独で動くのが最も迅速です。科学考察課の同僚から情報を得て、すぐに単独でやってきました。
 ウルサスから氷原に入るにはウルサス政府の調査許可が必要です。マゼランは必要な書類を一式揃えてトランスポーターのイヴァンに提出したのですが、氷原へ入ることは叶いませんでした。政府が許可を出さなかったのです。
 ウルサス政府は氷原で何かが起きたことを掴んでおり、調べようとしていました。イヴァンは役目を果たすためにマゼランから情報を引き出そうとします。マゼランはイヴァンを疑っていないので、マリアムが送ってきた最後の座標を素直に提供しました。これによりマリアムが例の「北の件」に関わっている疑いが強まります。
 マゼランがいくら熟練の探検家とはいえ、彼女1人でウルサス政府に逆らうことはできません。別のルートで氷原に入ることを検討しました。


1-3. サーミルート

 マゼランはサーミから氷原に入ろうとします。
 サーミはウルサスの西側に位置する小国です。マゼランはイヴァンの助けを借りてウルサスを横断し、サーミとの国境に辿り着きました。マゼランがベテランの冒険家であることから、ウルサス政府はクルビアとのトラブルを避けるために下手に手出しはしませんでした。むしろウルサスの探索隊のガイドとして利用できないかを企んでいました。
 サーミ・ウルサス間の国境にある枯れ木の歩哨所からマゼランはサーミへ入りました。ここはウルサス軍の歩哨所であるにもかかわらず、軍が駐屯していません。マゼランが辿り着いたときも無人でした。魔女に襲撃されてしまうため、巡回のみを行うことにしているのです。
 魔女の正体はシモーネです。ウルサス軍に仲間を殺され、大切な族樹も守れなかったという屈辱の経験が彼女にはあります。復讐を果たすためサーミに近づいたウルサス人を片っ端から襲っています。歩哨所にポツンと植えられている枯れ木は、族樹の成れの果てと考えられます。
 マゼランとシモーネには面識がありました。「戦地の逸話」のマゼランの回「北極星」で、氷原の観測ステーションでの出会いが描かれていました。来るかも分からない後続の冒険者のために、マゼランは故障した設備を命がけで直そうとします。その姿にシモーネが感銘を受けるというお話でした。そのころからシモーネはマゼランの純粋な性格とプロフェッショナルな姿勢に全面的に好感を持っているようでした。
 今回マゼランは困っていました。氷原に辿り着くためにはサーミを抜けなければならないのですが、サーミは文明から隔絶された未開の地。情報が少ないのです。シモーネが同行してくれることになり、マゼランは心強い味方を得ました。

1-4. ティフォンとの出会い

 マゼランはもう1人頼もしい仲間を得ます。
 シモーネと一緒にサーミを北上していたマゼランは、突然マリアムの声を聞きました。悪魔の力で幻聴が引き起こされたのです。助けてくれたのがティフォンでした。音が聞こえなくなる苔を食べさせてくれました。
 ティフォンとシモーネは知り合いでした。しかしシモーネがサーミルートで氷原を目指したのは久しぶりだったらしく、この登山ルートはもう誰も使わないとティフォンは指摘していました。悪魔の浸食が進んでしまっていたのでしょうか。
 続いて3人は樹痕の戦士たちに遭遇しました。サーミが誇る軍隊です。シモーネは氷原に行かせてくれと交渉するのですが、戦士は許してくれませんでした。部外者であるマゼランを氷原に入れるわけにはいかないというのが彼らの主張でした。
 マゼランは樹痕の戦士に想いをぶちまけたのですが、クルビア語で話しかけるのは逆効果。しかも大声が悪魔の穢れを呼び寄せてしまい、とうとう戦士たちは攻撃を開始しました。ティフォンは交渉が無駄に終わると判断して逃げる準備をしており、3人は逃げることができました。
 樹痕の戦士は深追いしませんでした。マゼランたちに別の脅威が迫っていることを把握していたからです。空に雪が積もるという超常現象。崩れたら生き埋めになってしまいます。ティフォンはシモーネとマゼランの血をつけた矢じりを使い、サルカズの巫術でこの危機を突破しました。
 ティフォンの案内で、3人はサイクロプスの洞窟に逃げ込みました。


2. 森の民

2-1. サーミの地域区分

 3人はサーミの南を目指すことにしました。
 樹痕の戦士に目をつけられてしまい、氷原に入るのは難しいと悟ったマゼランは自力でのマリアム救出をいったん諦めます。最南端の都市チャパットでクルビア企業の力を借りることにしました。
 ティフォンもチャパットに用事がありました。アルゲスに予見されていたのです。マゼランについてきてくれることになりました。
 他の2人には言っていませんでしたが、シモーネも南を目指していました。彼女はウルサス軍の通信機を奪い、通信を盗聴していました。シモーネはウルサスの黒印というターゲットを追っており、フリエーブ鳥と呼ばれる何者かが沢の民の集落で取引を行うという情報を掴んでいたのです。
 というわけで3人は、山の民が暮らす領域から森の民の区域を抜けて、最終的にはチャパットを目指すことにしました。サーミを縦断する旅路の始まりです。途中で原初の森を突っ切ることにしていました。
 山の民は氷原の化け物やウルサス軍を相手にすることが多く、気性が荒い人たちです。それに対して森の民は親切な人たち。部族ごとに族樹と呼ばれる木を大切に守っています。住んでいる場所によって暮らし方が変わり、それが人々の気質にも影響しているのですね。


2-2. 動く族樹と巨大な影

 とある森の民の集落に辿り着いたマゼランたちは不思議な出来事に巻き込まれます。
 シモーネは儀式の手順を忘れてしまった森の民にヘルプを求められました。長年に渡り平穏な生活が続いた結果、樹譜が読めなくなってしまったとシャーマンが嘆いていました。近頃不吉な予兆が出ているものの、対処ができなかったのです。
 シモーネは儀式をサポートしました。森の民は無事に儀式を完遂し、族樹が立ち上がって動き出しました。この超常現象の説明はありませんでした。テラの世界では科学で説明できないこともいろいろと起きますからね。
 部族のシャーマンに対して、シモーネは南へ向かうことをお勧めしていました。北側に向かうと悪魔に近づいてしまうためです。
 一方そのころ、マゼランは2つの不思議な現象に出くわしました。1つ目は小動物になって捕食されてしまう夢です。原因はティフォンにあると言われていました。彼女が安全な環境にいると、弱肉強食な自然の循環の夢を見せてしまうのだとか。これの理由も語られませんでした。
 夢で飛び起きたマゼランは、森をたゆたう巨大な影を目撃します。この影は見た目こそ恐ろしいものの、触っても何も起きません。時間が経つと脅威になることもあるらしいのですが、そのときは自分たちも成長しているのだからどのみち怖くないのだとティフォンは言っていました。
 影の正体についても詳しい説明はありませんでした。族樹が動く様子をマゼランが見た際に、シルエットに見覚えがあると言っていたので、この影は族樹の魂のようなものなのかもしれないと思ったりもしました。
 翌朝ティフォンは、マゼランにアンマーの愛と呼ばれる雪玉を取ってきてくれました。アンマーとはサーミ語で祖母のこと。純粋な人を守ってくれるお守りのようなものです。

2-3. オークコップとの出会い

 オークコップと呼ばれる青年との出会いがありました。
 シモーネとティフォンは原初の森と呼ばれる神聖な地を通り向けることにしました。そこでオークコップがシャーマンの修行をしていました。彼の師匠はサーミのご意思を理解してほしいと考えているのですが、本人は修行に飽きており、シモーネたちに同行してくれました。
 原初の森の巨大な木のうろの中で、シモーネたちは一晩を過ごすことにしました。捕食される悪夢を恐れているマゼランに、オークコップは夢捕りの網を貸してくれました。口ぶりからして悪夢から守ってくれる網のようでした。
 マゼランは悪夢にうなされずに済みました。しかし別の不思議な夢が訪れます。マゼランはエンペラーのような姿になり、巨大な白い角獣に出会います。角獣のそばでマゼランは眠り、また別の夢へと入り込みます。そこでは黒い影がサンタラの木に迫っていました。黒い雪によってできた木の裂け目に迫っていた黒い影は、白い角獣に注意を引かれ、何もせずに去りました。マゼランは角獣のそばへと戻ってきたのですが、その獣は雪のように融けていってしまいました。
 朝マゼランが目を覚ますと、アンマーの愛が融けてしまっていました。この夢での出来事は現実を暗示していると考えられます。実際にマゼランたちは黒い影の脅威にさらされ、アンマーの愛の加護で守られたのです。物理的にはシモーネの結界のおかげだったのかもしれませんが。
 その後一行は、穢れに浸食された岩角獣を発見します。穢れた血肉を別の野獣が食べてしまうと浸食が広まってしまうということで、オークコップが素早く対処を行いました。岩角獣は発見時はまだ生きていたのですが、命を絶つことで楽にしてあげていました。
 その後の処理はオークコップ1人では行えないらしく、師匠を呼ぶことにしました。彼の師匠は雪祭司で、樹冠の賢者と呼ばれています。シモーネは樹冠の賢者にウルサスの黒印のことを伝言していました。

3. 沢の民とギターノ

3-1. 兄妹の決別

 ギターノの物語について、7, 8年前の出来事から振り返っていきます。
 ギターノはとある沼の部族の一員でした。この部族には雪祭司がおらず、異常な雪害を察知できませんでした。部族ごと全滅してしまうと危惧されました。
 ギターノの兄のラーセは北へ向かうことにしました。サーミで最も権威のある戦士であるエイクティルニルに助言を求め、北地戦線で厄災を食い止めることで、雪害の影響を減らそうとしました。厄災と雪害に直接的な因果関係があるのかは謎でしたが。
 ギターノは占いで部族の民たちを導きました。占いでは北に進めと示されたらしいのですが、彼女はウソをついて南へ向かいました。記述が曖昧だったのですが、兄とはもともと確執があり、兄と離れるためにウソをついたようでした。
 南へ向かう旅路は過酷でした。ついて来られない人も出ました。次なる安住の地が見つかったのですが、ギターノは故郷を捨ててロドスに来ることにしました。自分を責めてしまっているようでした。

3-2. 死者の葬儀

 長い年月を経てギターノが故郷に戻ってきました。
 兄の死が占いの結果で現れたことで、ギターノは帰郷を決心しました。実際に兄のラーセを含む戦士たちは、遺体となって故郷に運び込まれてきました。
 亡骸を届けてくれたのはウルサスのキャラバンでした。ラーセたちは悪魔に遭遇したキャラバンを死に物狂いで守って命を落としました。キャラバンは遺体と遺品は持ち帰ることができました。
 戦士たちとキャラバンはしばらく一緒にいたようで、身の上話なども聞いていたようです。ラーセの酒筒には祈りの言葉が込められていました。しかし悪魔に穢されてしまっていた酒筒は、持ち主に異変をもたらします。
 沼の民の集落へと戻ってきたあと、酒筒はマゼランに渡されたのですが、彼女は川にそれを落としてしまいました。ティフォンが悪魔への対処と同じように藤のツルを指に巻くという方法を教えてくれました。悪魔と同じ対処法が効いたということで、ティフォンは警戒モードへと入ります。
 酒筒と同様にラーセたちの遺体には穢れが付着していました。部族のシャーマンたちは彼らのために正式な葬儀を行うか、そのへんに捨て置くかで協議を行っていました。ギターノが死者の意志を占って、葬儀を望んでいる者が多数だったということで、葬儀が行われることになりました。ラーセだけは沈黙しており、占いでは意志が確認できなかったそうです。 


3-3. 舟葬と敵

 葬儀の最中に敵が現れました。
 ラーセたちの葬儀は舟葬という方法が採られました。遺体は船ごと川に沈められます。しかし葬儀の最中に異変が起きました。
 この部族は代々舟葬を行ってきました。北地に出向いた戦士たちが亡くなるたびに葬儀を行っていた結果、川には悪魔の穢れが堆積してしまっていました。ラーセたちの遺体が引き金となり、1つになった穢れが影として顕現しました。
 この影を直視すると死者が見えます。ティフォンやギターノは両親の姿を見ました。しかしそれはあくまで幻覚。現実ではありません。
 ティフォンは弓を引いて必死に戦いましたが、1人では仕留められません。シモーネが途中から加勢して川を凍らせました。とどめをさしたのはエイクティルニル率いる樹痕の戦士たちでした。さすが北を守る戦士たちです。

3-4. エイクティルニル

 エイクティルニルはどんなことを考えているのか。
 彼は悪魔を打ち払おうとしています。悪魔に対する恐怖は誰の心にも芽生えるものです。しかし人は誰でも恐怖心に打ち克つことができるというのが彼の持論で、だからこそ悪魔にも勝てるのだと主張していました。
 悪魔は人々の恐怖心を糧に強くなります。悪魔の存在を知る人が増えれば増えるほど強大になっていきます。だからサーミの人たちは悪魔の存在を公に知らせようとはしません。
 厄災がサーミの北側から迫ってくるということで、多くの部族が南へと移住を開始しています。しかしエイクティルニルはその必要はないと説得しようとしています。冬牙連邦を自然の砦として、悪魔に対抗できると思っているのです。
 今回エイクティルニルが良いタイミングで救援に駆けつけられたのは偶然ではありません。ギターノのおかげでした。兄の意志が占いで見えないことに漠然とした不安を抱えていた彼女がSOSを出していたのです。ギターノはマゼランが川に落とした兄の酒筒を偶然拾いました。ラーセの祈りの言葉は、届けたかった人に無事届きました。
 エイクティルニルはティフォンの話もしていました。サイクロプスたちは冬牙連邦にこもっており、人と関わろうとはしません。しかし彼女の師匠であるアルゲスだけは積極的に人と交わろうとするため、狂人だと思われています。
 サイクロプスは未来が予見できるらしいのですが、その予見を当人に伝えてしまうと運命がねじ曲がってしまいます。山の民はそれを良いとは思っておらず、ティフォンはそれがためにのけ者にされているのだと自認していました。
 

4. チャパット

4-1. 託された箱

 チャパットに到着したマゼランたちのもとに箱が届けられました。
 この箱の持ち主はマリアム主任でした。悪魔に襲われてチームが壊滅してしまったあと、マリアムはアルゲスにこの箱を託しました。ライン生命のマークが入った備品ケースです。箱を渡したマリアムは氷原のさらに奥へと1人で向かっていってしまいました。
 アルゲスはサーミに戻ってきて、とある光景を予見します。ティフォンがチャパットで誰かに箱を届けるという内容です。アルゲスはティフォンをチャパットに呼んで箱を渡しました。チャパットで待っていたのがアルゲス自身だとは予想していなかったらしく、ティフォンは驚いていました。
 ライン生命の支社にいたマゼランのもとへ箱が届けられました。箱に入っていたのは色を持たない一輪の花。箱から出した瞬間に空間を認識し、己の領土を構成する危険な物体でした。これも悪魔に関係があるのか、それとも全く別の脅威なのでしょうか。マリアム主任も花が危険物であることを承知の上で送ってきたことになります。思っているよりかは危なくないのかもしれません。
 ライン生命の人たちは氷原の探索に熱意を燃やしていました。今回マゼランが持ち帰った成果や、マリアム主任が送ってきた花をレポートとして発表すれば、氷原に興味を持つ人たちが増えるだろうと期待していました。これが統合戦略のサーミ編「探索者と銀氷の果て」の始まりとなります。
 ライン生命の研究員はティフォンにも声をかけていましたが、彼女は別の仕事があると言って断っていました。統合戦略の開始時点で、マゼランとシモーネに同行するシーンがあったため、彼女らについていこうと決めていたようでした。


4-2. ウルサスの黒印

 シモーネは標的を追い求めます。
 シモーネはウルサス軍の通信をずっと盗聴していました。黒印の情報を掴むためです。彼女はついに情報の断片を得ました。
 ウルサスのキャラバンにいた怪しいリーベリが情報を持っていました。彼女はアーツでこの人を拷問します。黒印は失踪した皇帝の近衛兵であり、足跡が見つかったものの消息不明であることがわかりました。
 皇帝の近衛兵は皇帝の利刃とも呼ばれます。ガスマスクのようなもので悪魔を身に宿し、悪魔の力を借りて戦うことができます。ものすごい戦闘能力を持つ一方で、悪魔の力が漏れ出してしまうと大変危険なことになります。「遺塵の道を」で少し触れられていたことです。
 この近衛兵は何らかの事情で悪魔を制御できなくなり、蝕まれきってしまいました。存在はほぼ悪魔と変わらないでしょう。そんな奴がサーミの森をウロウロしているわけです。
 シモーネはウルサス軍に故郷や仲間を奪われたので、ウルサス軍に強い敵意を持っています。黒印のことを追っていたのも、最初は復讐心だったのかもしれません。しかしシモーネが黒印を見つけられないと、サーミがとんでもないことになってしまいます。統合戦略や今後のイベントで解決編が描かれると思うので、期待して待ちましょう。



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【アークナイツ】メインストーリー12章・まとめ・考察・感想【驚靂蕭然】

 2023年10月24日に解放されたアークナイツのメインストーリー12章「驚靂蕭然」の物語を整理していきます。

1. ロンディニウムの戦局の変化

1-1. 飛行船の衝撃

 12章は飛行船の鮮烈なデビューで幕開けします。
 10章の冒頭でテレシスたちはザ・シャードと飛行船を建設していました。12章はその飛行船がウィンダミア公爵の高速戦艦を砲撃するという衝撃的な始まり方をします。高速戦艦は木端微塵に吹き飛ばされ、乗員の中に生存者はいませんでした。
 飛行船を見た公爵たちはこの技術を欲しがりました。敵の危険な兵器だから破壊せねばとは思わないのが彼らならではの考え方です。いま目の前にいる敵はサルカズなのですが、サルカズを倒したあとに誰が王座に就くのかまで考えたときに、他の公爵をリードするために飛行船を手に入れておかねばと考えたのです。
 カスター公爵はウェリントン公爵の考えていることは大体わかっているとしながらも、ウィンダミア公爵がやたらと焦っているように見えていました。あとからわかりますが、娘が危険にさらされているから焦っていたのですね。
 ロンディニウムにも動きがありました。移動都市の一部が切り離されて、公爵軍が展開する戦場のど真ん中に転がってきたのです。都市防衛軍は技術的な不具合だと言って誤魔化そうとしていましたが、サルカズの作戦であることは誰の目からも明らかでした。
 放り出されたノーポート区は飛行船の停留場になりました。戦場の真ん中からいつでも発進できるようになり、公爵軍に睨みを利かせることができます。ナハツェーラー軍が戦線を展開するサポートになりました。
 ノーポート区は公爵軍にとって邪魔な存在です。しかしだからといって砲撃を打ち込むことはできません。ヴィクトリア住民が多数取り残されているからです。人間の盾として機能しました。
 ノーポート区が切り離される直前に、新生レユニオンのナイス連携プレーがありました。公共放送を装って、ノーポート区にいたパーシヴァルがロンディニウムにいたレイドに情報を伝えたのです。レイドはノーポート区の救援に回ることができました。

1-2. ロドスと自救軍の敗走

 次にロドスの動きについて。
 10章と11章でロドスはロンディニウム市民自救軍を味方につけました。テレシスがザ・シャードを起動するまでにはまだ時間があると見て、決戦のタイミングはもう少し先だと判断されていました。しかしテレシスが自救軍の基地を本格的に攻撃し始めたため、状況が一変します。
 変形者が色んな人に変身をして情報を集め、自救軍の隠れ家が暴かれていきました。ハイディの仲間のゴールディングも情報源にされてしまった1人です。
 サルカズの苛烈な攻撃を受けて、ロドスと自救軍はたまらず撤退を決めます。追撃部隊を牽制するドクター隊、サルカズの主力を引き付けるMisery&ホルン隊、非戦闘員を連れて退却するクロージャ&シャイニング隊に別れました。
 ドクター隊はサルカズ軍に追われていたのですが、グレーシルクハットに出くわして取引を持ち掛けられます。この取引の内容が12章のメインの話へと繋がっていきます。
 Logosはホルン隊と行動するはずだったのですが、変形者の破片を見つけたので単独行動を選びました。Logosは今回のロンディニウムでの戦いで、不死身だと思われている変形者を本気で討つつもりでいました。
 一方のホルンたちもサルカズの攻撃に晒されてピンチに陥るのですが、なんと蒸気騎士が飛んできて逃げることができました。諸王の墓にいた最後の生き残りが地上に出てきたようでした。
 クロージャたちは配管を伝ってロンディニウムの外に出ようとしていたのですが、自救軍の一部に裏切られて閉じ込められてしまいました。そんなときに助けにきてくれたのがWでした。Wはテレシスに斬られたケルシーをいじりまくっていましたが、なんだかんだで自分のセーフハウスに全員を収容してくれました。

1-3. グレーシルクハットとの取引

 グレーシルクハットが持ち掛けてきた取引を見ていきましょう。
 別行動をしていたイネスがドクターを助けてくれて、ドクターはグレーシルクハットとの取引に臨みました。取引というよりかは脅迫と表現した方が適切かもしれません。グレーシルクハットはロドス号の位置を把握しており、ロドスの内部通信も盗聴していました。ロドスの安全と引き換えに言うことを聞けという取引でした。
 グレーシルクハットが欲しがったのは飛行船の設計図でした。全公爵がいま一番欲しているものですから。ノーポート区にドクターたちを送り込んでやるから、探してこいというわけです。シージの友人がノーポート区にいることも把握しており、揺さぶりをかける材料にされていました。
 グレーシルクハットの主人はカスター公爵です。彼女はシージの血縁者、つまり国王との血縁関係を持つ由緒正しき貴族のようです。アラデルの後ろ盾になっていた人物で、シージはアラデルが使い捨てられたことに怒っています。
 カスター公爵は飛行船を欲しがっていますが、それ以上に諸王の息も手に入れたいと思っています。国剣を持つ者のもとで国民は団結すると考えているのです。真意は読めません。
 アーミヤはグレーシルクハットの強大な戦力を見て、とあることに気づきます。公爵達が本気を出せばサルカズに抗うことは可能でした。しかし彼らは傍観を選んだのです。どうすれば自分がヴィクトリアの中で主導権を握れるということばかり考え、サルカズへの抗戦を後回しにした結果、ロンディニウムはこんな状況になってしまいました。
 ドクターはカスター公爵に抗うのは不可能と考えて、グレーシルクハットの要求を呑みます。グレーシルクハットの助けを借りてノーポート区に潜入することになりました。


2. ノーポート区の戦い

2-1. ノーポート区の現状

 ノーポート区に乗り込んだロドスが見た光景について。
 ロンディニウムから切り出されたノーポート区にはサルカズが駐留していました。区画の外に出ることはできず、限られた食料を奪い合う地獄のような状態になっています。
 ロドスとグレーシルクハットは一緒に潜入をするのですが、グレーシルクハットは飛行船探しを急ぎません。ロドスは製薬会社であり、鉱石病で苦しんでいる人を見捨てないことを彼は知っています。ロドスが人助けをしたという手柄をカスター公爵が横取りしようとしました。アーミヤは利用されていることを分かっていながらも、感染者の手当てを優先していました。
 ノーポート区はかつてのグラスゴーの根城でした。5年前にシージは反体制派の追跡に耐えかねて逃げ出したのですが、ベアードという仲間がここに残っていました。
 今回の潜入で彼女らは再会を果たすことになりました。シージが出て行ったあと、カドールやデルフィーンといった新たな仲間が加わっていたようです。グラスゴーのボクシングジムは守られ続けてきました。
 サルカズ軍はノーポート区をエサとして使いたいと思っていました。公爵軍をここにおびき寄せるためです。ヴィクトリア住民が苦しんでいるのに助けに来ないわけにはいかないからですね。だから住民に適度に苦しんでもらいつつも、全滅は避ける必要がありました。
 心優しきパプリカは、区画内にいたコルバートに物資を分け与えていました。マンフレッドに見つかってしまうのですが、住民を生かさず殺さずの状態にするために見過ごします。適度に物資が入ってきた方が長持ちするからです。
 コルバートはノーポート区で長いこと暮らしていたサルカズです。働き者だったのでホテルの下働きから支配人にまで登り詰めました。実は数か月前に息絶えてしまっており、変形者がすり替わっていました。区画内の様子を見張っていたものと思われます。


2-2. デルフィーンの作戦

 デルフィーンは状況を打破するための作戦をロドスに提案します。
 ノーポート区にはホテル・サンセットストリートという立派なホテルがあり、そこには都市外へ通信できる高出力の通信機があります。その通信機を用いてノーポート区の現状を公爵達に知ってもらうというのがデルフィーンの作戦でした。
 ノーポート区の市民が苦しんでいるという情報を受け取ったとき、公爵としてはそれを握りつぶすわけにはいきません。市民を見捨てたという汚名を一生背負っていくことになってしまい、それは出世レースに影響するからです。
 通信機は高出力ではあるものの、古いので通信の暗号化ができません。傍受可能な形でメッセージが飛んでいきます。これはデルフィーンたちにとっては好都合で、公爵たちがこういうメッセージを受け取ったことが広く知られ、より圧力がかかるようになります。一方でサルカズにも知られてしまうというのはデメリットで、通信を行ったらすぐに手を回してくると考えられました。
 ノーポート区の現状を知ったとして、公爵たちが本当に動くのかは確証がありません。しかしデルフィーンにだけは確信がありました。母のウィンダミア公爵だけは必ずノーポート区に来るだろうと。娘がここに滞在していることは知っているので、酷い有様になっていることさえ発信できればOKなのです。
 公爵軍がノーポート区にやってくれば、ロドスはその混乱に乗じてサルカズの飛行船を探すことができます。飛行船が無事に見つかれば、カスター公爵との取引は完遂されます。
 公爵軍の侵攻に対してサルカズ軍も対応を迫られることでしょう。シージたちが別動隊として封鎖壁の突破を試みることになっていました。助けを待っているだけではなく、内側からも連動してアクションを起こす作戦なのです。

2-3. 公爵同士のつばぜり合い

 デルフィーンの作戦に対してそれぞれの勢力が反応します。
 ドクターたちがホテル・サンセットストリートに乗り込んで作戦を実行しようとした際に、グレーシルクハットが現れました。デルフィーンの作戦はカスター公爵を不利な立場に追い込む可能性があるため、契約通り飛行船探しに戻れと圧力をかけてきました。ロドスがウィンダミア公爵を味方につければ、最悪取引が反故にされる恐れもあります。逆にグレーシルクハットはデルフィーンを捕えて、ウィンダミア公爵をゆするネタにしようとします。
 そこに「将校」が現れました。「この炎が照らす先」で登場したダブリンの将軍です。ターラーを母体とするダブリンは、ターラー人であるウェリントン公爵と裏で繋がっています。ウェリントン公爵は軍人気質な人であり、飛行船を独占したいと考えて「将校」を送り込んできました。
 「将校」は多くのダブリン兵を連れてきており、戦力差で圧力をかけてきます。サルカズ軍もダブリンからの被害を受けていました。グレーシルクハットやロドスは少数精鋭なため、旗色が悪くなってきました。
 ドクターはグレーシルクハットと共闘できると読みます。このままではウェリントン公爵の勢力にすべてを持っていかれてしまう状況になっており、独り勝ちの状況だけは避けるように動くだろうと読んだのです。イネスとグレーシルクハットは「将校」を撃退し、三者の関係は振り出しに戻りました。ドクターも言っていましたが、ヴィクトリアではこういうふうに貴族たちが足の引っ張り合いをしているせいで停滞が続いているのです。
 デルフィーンが作戦通り通信機を使えればロドスが一歩リードできたのですが、それも叶いませんでした。ノーポート区が切り離される際にパーシヴァルが通信機を持ち出してしまっていたからです。結果として状況は全く進みませんでした。

2-4. レヴァナントとの対面

 状況を動かしたのはもう1人のグレーシルクハットでした。
 最初にロドスに接触してきたグレーシルクハットの仕事の進捗が悪かったため、増援でもう1人グレーシルクハットが送られてきました。もう1人は飛行船のドックの位置を特定しており、ロドスを連れていこうとします。1人目のグレーシルクハットは詩を読むのが趣味ということで詩人と呼ばれます。彼は職務怠慢だと叱責されていました。世知辛い。
 増援で現れたグレーシルクハットは飛行船の位置を掴んでいたにも関わらず、獲得することはしませんでした。1人ではできなかったのです。飛行船の正体はレヴァナントであり、それ自体が兵器として牙を剝いてくるためです。魔王アーミヤなら対抗できるのではないかと考えて連れていくことにしました。
 レヴァナントは「孤星」で明らかになったサルカズの種族の1つです。非常に長い寿命を持つと同時に、魂だけの状態で存在することができ、他の物体に宿ることもできます。マイレンダーのブリキは人型の外骨格に宿っていましたが、このレヴァナントは飛行船に宿って動力源になっていたようでした。仮にヴィクトリアの公爵達が飛行船を確保したとして、複製できるようなシロモノではありません。
 レヴァナントはアーミヤに語り掛けてきました。なぜサルカズではないお前が魔王の力を手に入れてサルカズを背負おうとするのかと。レヴァナントが持つ記憶のすべてをアーミヤにぶつけてきて、3421回のカズデル滅亡の映像をすべて見せようとしました。
 すでに覚悟を固めていたアーミヤに、レヴァナントの精神攻撃は効きませんでした。彼女はすべての映像を心に刻みます。それと同時にアーミヤはテレジアの選択の理由がなんとなくわかった様子でした。異種族のアーミヤがサルカズのすべてを理解したとき、全く新しい形の魔王になれるのかもしれません。
 時を同じくしてエブラナも飛行船ドックにやってきました。ウェリントン公爵は戦力を惜しみなく投入して飛行船を確保しようとしていたようです。エブラナもレヴァナントには興味があるようでした。
 そこへ変形者もやってきました。任務があると言っていたので、飛行船を守るためだったと考えられます。変形者とエブラナは激しい戦いを繰り広げ、エブラナの死者の炎がノーポート区に降り注ぎました。その隙に飛行船は飛び立ってしまいました。

2-5. イネスの飛び降り

 サルカズの作戦をイネスがナイスプレーで防ぎました。
 デルフィーンの作戦が破綻し、事態はサルカズ軍の思い通りに進んでいきました。ノーポート区から飛び立った飛行船は戦場をゆっくりと旋回し、公爵軍の目を引き付けます。テレシスはザ・シャードの準備を整え、試射を行おうとしていました。飛行船に引き付けられた公爵軍を一網打尽にしようとしていたのです。
 飛行船にはマンフレッドとパプリカが乗っていました。パプリカに本当の戦争を教えてやろいうということで、サルカズ戦争史を読むべきだとマンフレッドは言っていました。これの著者はヘドリーとのことです。意外な一面があるものです。
 飛行船に乗り込んだイネスはマンフレッドと会話してサルカズたちの作戦の全容を知ります。見事な作戦を立てたものだなと感心しつつ、いま情報を伝えなければ悲劇が起きてしまうことも彼女には想像できました。
 自分なら悲劇を止められる。イネスは飛行船から飛び降りてしまいます。彼女のアーツは影を操ることができ、視界の範囲の影が対象になります。高いところからノーポート区の移動都市の巨大な影を操ろうとしたのです。
 アーツで引き延ばされた影は、塔の形になりました。下から見ていたウィンダミア公爵がこれに気づきます。自然にはあり得ないこの現象は、誰かのメッセージだと。ザ・シャードから砲撃が来ることに気づいた彼女は、周りにいる他の公爵軍も含めて、赤の信号弾で警告を出しました。
 ザ・シャードの試射は天災雲を形成しました。ウェリントン公爵軍はかなりの損害を受けたのですが、当初サルカズが狙っていたほど効果的なダメージにはなりませんでした。間一髪でイネスの機転が功を奏しました。
 地面へ激突するかと思われたイネスは爆弾の爆風と灰を操るアーツに助けられます。イネスに発信機をつけていたWと、テレシスの監獄から脱出したヘドリーが落下地点にいたのです。バベルに手を貸していた傭兵部隊がここで再結成されるアツい展開でした。


3. 終局と今後

3-1. 変形者の最期

 ロドスは変形者を倒すという予想外の戦果を上げることになりました。
 変形者は老いることがありません。身体を多数の破片に分裂させることができるので、物理的に1人を倒しても息の根を止めることができません。無敵かと思われました。
 メイン12章では3つの破片が経験したことの相互作用で変形者は倒されました。コルバートに化けていてエブラナやアーミヤと戦った破片、モリーに化けていてレトやゴールディングと会話していた破片、そしてLogosと対面していた破片です。
 アーミヤは破片の1つを戦闘で破りました。この破片はエブラナの炎で弱っていました。変形者は歴代の魔王を知っていますが、異種族の魔王を見るのは初めてです。好奇心をくすぐられていました。
 ゴールディングは変形者がモリーに化けていたことを知り、自分が自救軍の情報をサルカズ側へ漏らしてしまった張本人だと気づきました。彼女は生きて罪を償うのが筋だということを理解しつつも、深い絶望に叩き落され、生きること自体を諦めるのも1つの選択だとして自死を選びます。
 変形者は長きに渡って人間を見続けて、自死する個体がいることも把握していました。しかしいまだにどういう考えで人がその選択をしているのか理解できません。ゴールディングの選択こそが変形者を倒すカギでした。
 Logosは変形者と対話していく中で、変形者が生きる意味を求め、あらゆる可能性を試してきたことを知ります。何に対してもつまらないと喚くだけの老いぼれになってしまったと変形者は自嘲していました。
 そんなときに変形者は新しい可能性を目の当たりにしました。Logosは変形者を唆します。新生は滅亡より生まれる。自死は変形者が試していない可能性の1つだと。変形者もゴールディングの選択は自分が考えたこともなかった勇気だと賞賛し、彼女の行動を見てうずうずしてしまっていると認めたのです。
 Logosがゴールディングのことをどこまで把握していたのかはよくわかりません。ただ、変形者を倒すならこの方法しかないとも思っていたようです。変形者はLogosの提案を受け入れ、自らの生を終わらせました。まさかオペレーターでもない一介の教師が、最も難しいと思われた王庭の攻略のカギとなるとは驚きの展開でした。しかも彼女は人生に絶望していたのに。考えさせられるやりとりとなりました。

3-2. ウィンダミア公爵

 ノーポート区のその後のお話です。
 ウィンダミア公爵を乗せた軍艦がやってきて、住民たちを収容しました。彼女はロドスにお礼を言っていましたが、思想はロドスとは相容れません。デルフィーンとの関係が切れれば、ロドスとの関係も終わりです。
 ザ・シャードの試射を察知した際、ウィンダミア公爵はカスター公爵とウェリントン公爵の軍勢に向かって警告を発していました。おかげで2人の軍は壊滅的な被害を受けずに済みました。
 しかしウェリントン公爵は恩を仇で返すようなことをします。自分のところに向かってきていたサルカズ軍を、ウィンダミア公爵が駐屯している方向にけしかけたのです。カスター公爵は、今度はウェリントン公爵が焦っているようだと分析していました。
 ウェリントン公爵ガリアが滅んだ四皇会戦に出撃していました。彼にとってサルカズ軍はそのとき以来の好敵手だと興奮していました。サルカズを打ち倒し、ヴィクトリアの主導権を手に入れて、ターラーの時代を勝ち取るのだと豪語していました。
 ノーポート区の住民たちの中には新たに感染者になってしまった人がたくさんいました。パーシヴァルとレイドはそういう人たちに声をかけ、レユニオンに吸収していきました。彼らがロンディニウムに来たのは捕らわれた同胞を助けるためだと言っており、仲間を増やすのが目的だったようです。最後にはナインたちと合流していました。ついにタルラもロンディニウムへとやってきました。

3-3. リッチ参戦

 サルカズ側に新しい戦力が追加されました。
 テレシスの支配下にはリッチという種族の王庭が合流していませんでした。ケルシーが説得して食い止めていたのです。いまのリッチの王庭はエルマンガルドという人物でした。彼女には先生がおり、ケルシーはこの先生と知り合いだったそうです。
 リッチは空間を操る能力を使うそうです。「命結」を隠すことに必死なのでいままで戦争に加わって来なかったといっていました。「命結」が何なのかは全くわかりません。
 亀裂を弄ぶ道具を使って、ナハツェーラー軍を支援したと言っていました。これが空間を操る能力の1つのようです。ナハツェーラー軍は飛行船のサポートなども受けて戦線を展開しており、13章以降で公爵軍に襲い掛かるものと思われます。
 ザ・シャードの試射によって公爵軍は天災雲に襲われました。一方でサルカズはほとんどが感染者のため、天災雲の影響を特に受けなかったと言われていました。兵力では公爵軍の方が圧倒的に思われたのですが、サルカズが徐々に巻き返していっており、公爵達が余裕でいられるのもいつまで続くのかという感じになってきました。




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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 火山と雲と夢色の旅路 編

 2024年1月16日開始のイベント「火山と雲と夢色の旅路」のストーリーを整理していきます。

1. スワイヤーとバイソン

1-1. シエスタの移転

 イベントの舞台となるシエスタについて整理します。
 「青く燃ゆる心」で初登場したシエスタは、テラでは珍しい定住型の都市でした。ビーチとシエスタ火山を観光資源として経済を回していたのですが、火山の噴火の兆候が観測されてしまい、移動都市を作って移転することになりました。
 新しい移動都市の建設と並行し、住人の移住を準備していくことは簡単ではありません。「未完の断章」の5話「付和雷同」では、移転をするにあたって人的リソースなどが不足しているシエスタを、フェンツ運輸が支援しようと提案があった場面が描かれていました。
 「青く燃ゆる心」から2年後。「火山と雲と夢色の旅路」のタイミングでは、ほとんどのシエスタ市民が新しい移動都市ニューシエスタへ移住していました。ニューシエスタは旧シエスタの100kmほどの地点に停泊しています。
 シエスタが移動都市化したことをきっかけに、クルビアがちょっかいをかけてくるようになりました。もともと定住していたときもクルビアはシエスタを配下に収めようと企てていたのですが、市長ヘルマンの力量でシエスタは独立を守ってきました。今回もクルビアの要求を跳ねのけようとしています。
 旧シエスタは観光都市だったので、観光産業に従事していた人がたくさんいました。自分の仕事を簡単に変えることは難しいため、彼らはニューシエスタにも観光街を作りました。しかしビーチも火山もないニューシエスタに来る観光客は少なく、観光街の景気は良くありません。
 シエスタ火山からは天然の黒曜石が産出します。旧シエスタではこれも1つの名産品だったのですが、過度な採掘が環境破壊を引き起こしたため、市長は採掘を禁じました。黒曜石の取り扱い禁止もニューシエスタの経済への痛手となっています。

1-2. ニューシエスタへの入札

 ニューシエスタでは新しいプロジェクトへの入札が行われていました。
 不況にあえぐ観光街を立て直すため、再建プロジェクトが計画されました。複数社から入札があればコンペになります。バイソンとスワイヤーがそれぞれ入札を検討していく様子がこのイベントストーリーの軸の1つになっていました。
 バイソンの父はフェンツ運輸の社長のピーターズです。「未完の断章」ではヘルマンとピーターズの交渉の様子が描かれており、そのときからシエスタに物流センターを作る計画が提案されていました。ピーターズは実務をバイソンに任せており、バイソンが社長を務めるフェンレン貿易という新しい会社が立ち上げられていました。形式上フェンレン貿易はフェンツ運輸の子会社ですが、バイソンは父の力を借りずに入札に挑むのだと息巻いていました。ピーターズの動きが龍門商業連合会によって制限されているという側面もありました。
 バイソンの前に立ちはだかったのがベアトリクス・スワイヤーでした。彼女は龍門近衛局の時期局長です。ヴィクトリアや龍門を股にかけて活躍する財閥スワイヤーグループの後継者候補の1人という顔も持っており、この物語では後者の立場で動いていました。
 スワイヤーはバカンスでニューシエスタを訪れたという体裁にしていました。本当はこの都市を投資先として目を付けていたわけなのですが。
 ヘルマンはスワイヤーグループと長年やりとりをしたことがあり、ヘルマンの敏腕っぷりはスワイヤーの耳にも入っていました。シエスタが独立性を保ってこれたのは彼のおかげです。
 バイソンはこの入札になんとしてでも勝ちたいと考えています。スワイヤーは知り合いなので、入札から降りてもらえないか説得を試みました。しかし、勝ちたいなら公平に入札で勝てばいいじゃないかと断られてしまいました。手厳しい正論ですね。


1-3. 住民へのアピール

 バイソンとスワイヤーによる、住民に対するアピール合戦が始まりました。
 政府への入札で競合が起きた場合、判断するのは本来政府です。しかしシエスタ政府は住民からの支持率も考慮に入れながら判断をしようとしていました。なので2人は住民からの支持を得ようと選挙戦を繰り広げます。
 バイソンは国際商品展覧会を開くことにしました。ニューシエスタに物流センターを作るという彼の計画が採用されれば、シエスタには外国から様々な商品が流れてくるようになります。その恩恵をイメージしてもらおうとしたのです。元々物流センターに前向きでなかった住民たちも、各国の名産品を楽しむことで、バイソンの支持に回ってくれる人が現れました。
 ピーターズが最初に思い描いたこの物流センター計画は、シエスタが独立都市であるという点を活かした生き残り戦略です。大国の意志に振り回されず自由な貿易でテラの各地を繋げられれば、交易でシエスタは潤い、テラ全体のためにもなると彼は考えています。
 一方のスワイヤーはウォーターパークを作るというアイディアで対抗します。ペリペを展示品級の黒曜石で買収し、彼の温泉旅館を改造させてもらったのです。天才エンジニアのスノーズントの協力あってのものでした。
 ウォーターパークのオープン日は、バイソンが商品展覧会を実施する日に合わせていました。住民だけでなく観光客の集客にも繋がり、観光街は久しぶりに活気を取り戻しました。
 住民の支持率はと言うと、スワイヤーが33%、バイソンが21%、他の会社が10%ずつぐらいになり、このままいくとスワイヤーのウォーターパーク建設案が採用される結果となりました。

1-4. 世代交代

 バイソンとスワイヤーの戦いの決着です。
 世論調査では戦いを優位に進めていたスワイヤーですが、突如入札からの辞退をバイソンに提案します。このままいけばスワイヤーの提案が通る場面で、入札から降りる代わりにフェンレン貿易の株式を購入したいと申し出たのです。取引ですね。
 バイソンはこの取引を呑みます。というより、呑んだフリをしました。シエスタのお役人の前で演技をしたのです。
 スワイヤーの行動はシエスタに足を踏み入れた瞬間から監視されていました。スワイヤーグループの後継者争いに巻き込まれているのです。スワイヤーがフェンレン貿易に真正面から正当な手段で投資しようとすれば、動きを察知されて先手を打たれてしまう。それを危惧して、回りくどいやり方で株式を取得しようというのが今回のスワイヤーの作戦でした。
 結局フェンレン貿易には未登録の感染者がいるという密告でちょっかいがかけられたのですが、バイソンたちにはヘルマンとのコネクションがあるので対処が可能です。スワイヤーがおじいさまのアダムスに対して「今回はアタシの勝ちです」というビデオレターを送ったのは、フェンレン貿易に投資する算段が整ったことを意味しています。
 アダムスはウェイや鼠王と同じく、龍門を作り上げた世代の1人です。圧倒的な権力で経済界を支配しており、未知という恐怖でスワイヤーグループを束ねていると言われていました。
 スワイヤーはアダムスが亡くなったあとのことを見据えています。一族の連中はアダムスの遺産に飛びつくでしょうが、彼女はそんなことに興味はありません。次の世代を担う者として、地位を固めたいと考えています。そこで今回目をつけたのがフェンレン貿易との提携でした。
 ピーターズやバイソンと同様、スワイヤーもシエスタが国際貿易の拠点となっていくことに賭けたいと考えています。将来的には龍門のビジネスにも大きな影響を及ぼすことになると予見しているのです。いま投資しておけば、莫大なリターンとなって返ってくるでしょう。
 バイソンも大きな一歩を踏み出していました。親会社であるフェンツ運輸から、フェンレン貿易を勝手に独立させたのです。バイソンの真意はあまり記述がありませんでしたが、彼は父親の庇護を離れたがっていたので、自分の意志でシエスタの国際物流を差配していきたいという意欲が生まれたのかなと思いました。スワイヤーが株式を取得するにあたって、持ち株比率が変わるという事情があったのかもしれません。
 バイソンとスワイヤーはどちらも非常に明快な形で世代交代を行う意志を示しました。アークナイツに出てくる若者たちは優秀で眩しいですね。シエスタ政府は結局、物流センターもウォーターパークもどちらも作ってしまったようです。



2. セイロン

2-1. 鉱山王とバーバラ

 セイロンのお話は、シエスタの感染者にまつわる話題でした。
 セイロンが生まれるまでは、黒曜石の採掘は盛んに行われ続けていました。シエスタの鉱山王と呼ばれたベアーテ・ブラウンは採掘で多くの雇用を生み出しました。しかしベアーテは不慮の事故で鉱石病に感染してしまい、亡くなってしまいました。
 息子のペリペ・ブラウンは父の会社を引き継ぎますが、ちょうどそのころに黒曜石の採掘が禁止されます。ペリペは採掘を制限する動きに対して率先して対応します。それは1人の学者との出会いが印象に残っているからです。それがバーバラ・ドルクスでした。
 バーバラはヘルマンの奥さんです。セイロンが生まれてすぐに亡くなってしまったようでした。バーバラは学者で、ヴィクトリア出身でした。当時のシエスタはヴィクトリアからの圧力を受けており、市長のヘルマンはバーバラの出身地を隠したがっていました。セイロンはバーバラのことをあまりよく知りません。
 バーバラはシエスタの採掘場で鉱山労働者たちとコミュニケーションをとっていました。彼女の研究の目的もあったかもしれませんが、それ以上に鉱山労働者たちの待遇を心配していました。感染のリスクの高い採掘作業中にも、自分の身を守る方法を身に着けるべきだということで助言をしていました。また、夫であるヘルマンに働きかけて、労働者たちの待遇改善も目指しました。
 バーバラは当時のペリペに出会った際に、私が政府の目を感染者に向けさせるのだという発言をしていました。このときすでにお腹の中にいたセイロンのため、シエスタが愛と優しさで満ちた都市であってほしいと願っていたからです。バーバラの想いはヘルマンを動かし、ペリペに伝わり、そしてセイロンを取り巻く環境へと繋がっているのです。

2-2. シエスタの感染者の今後

 いまのセイロンの話に戻ります。
 セイロンはロドス本艦ではなく、シエスタ支部に滞在しています。現在のシエスタでは黒曜石の採掘は禁止されていますが、こっそりと掘っている鉱山労働者がいます。感染者が十分な給料をもらえる仕事は多くなく、裏ルートに流して日銭を稼いでいるのです。
 ペリペは黒曜石のコレクションを楽しんでいるものの、売買からは足を洗っていました。鉱山労働者たちは彼が黒曜石を買ってくれなくなったと文句を言っていました。ペリペはバーバラの理想に感銘を受けて、それを守ろうとしているのです。ドライバーなどの別の仕事を労働者たちに斡旋することで助けようとしています。
 しかしペリペの手元には1つだけ、晶洞のままの黒曜石がありました。バーバラがセイロンを身ごもっているとき、セイロンの生誕祝いにバーバラに渡そうとしていたものです。おそらくバーバラはセイロンの出産後すぐに亡くなってしまったものと考えられるため、渡す機会を失してしまっていたのでしょう。今回の騒動で、ようやく渡すことができました。
 ドリーの分身のちびめーちゃんたちの中で、標識や宛名を食べてしまう迷子の子がいました。この子はバーバラの魂と紐づいた存在で、鼓動の音だけでセイロンを探していました。バードにはこの子だけが見えていました。彼女は坑道で行われていた頃の黒曜石祭でバーバラとシエスタの未来について語り合ったことがあり、そのときに生まれた繋がりが効いているのだと思います。
 一方、ヘルマンはクルビアの使者から圧力をかけられていました。定住都市から移動都市に形態を変えるのであれば、クルビアの移動都市と同等の感染者対策をすべきだと。彼はクルビアに屈するつもりはありませんでしたが、難儀な相手であることは確か。
 セイロンは悩む父を𠮟咤激励しようとしていました。クルビアが感染者の隔離を要求してくるなら、立派な感染者区画を作って働き口も整備すれば良いじゃないかと。彼女は元々シエスタに感染者治療センターを作りたがっていたので、好機が来たと計画を前に進めていました。イベントの最後でようやくシエスタに辿り着いたポンシラスも、この治療センターの建設に貢献しました。
 シエスタを良い都市にしたいというバーバラの想いは、ヘルマンとセイロンに受け継がれました。今後もシエスタは健全に発展を続けていくことでしょう。

3. アデル

3-1. カフェ・モッキンバードの出会い

 アデルの両親とケラー先生の出会いからスタートします。
 ケラーはシエスタ出身です。ナウマン夫妻はシエスタ火山を調査し、火山警告花を探すためにこの地を訪れていました。
 3人が出会ったのはカフェ・モッキンバードでした。コスタのおじいちゃんが経営していたお店です。ケラーはこのお店の常連で、火山の本を読んでいるのをナウマン夫妻が発見して意気投合。火山研究の旅についていくことになりました。
 コスタはカフェを手伝いながら、エレキギターヘビーメタルを演奏している青年でした。「うるさいコスタ」というあだ名がつくほどで、黒曜石祭りのグランプリも狙えるぐらいの腕前だったとか。お役人仕事をしているいまの姿からは想像もつきません。
 コスタはコーヒーにサイダーを入れる奇抜な飲み物を発明しました。ナウマン夫妻はこれを気に入ったのですが、おじいちゃんが全然認めてくれなかったため、コスタはこっそり提供を続けていたのだとか。

3-2. 通り雨計画

 ケラーはナウマン夫妻と一緒にリターニアで研究を行っていました。
 リターニアでは20年ほど前に巫王が倒され、貴族たちを中心とする政治情勢が不安定になりました。ナウマン夫妻の研究室にも影響が及びます。そんな中、とある選帝侯(帝を選ぶ権力を持つ偉い貴族)の軍が彼らに接触してきました。
 カティアは軍と取引を行いました。研究成果の一部を提供する代わりに、安定した学術環境を保証してもらうという内容です。アーツが専門領域だったカティアは、「通り雨計画」なるものを軍に渡しました。兵器へ転用できるような研究だったと言われていました。
 アデルやカーン先輩が知りたがっていたナウマン夫妻の死の真相についても語られました。もともとはケラーも含めた3人でウナ火山の調査に行く予定だったのですが、出発直前に軍の使者が訪れてきました。夫妻に研究に専念してもらおうと、ケラーはひとり残って軍に対応。一方の夫妻は運悪くウナ火山の噴火に巻き込まれてしまい命を落としました。
 軍と繋がっていることを公にしたがらなかった夫妻の意志を継ぎ、ケラーは1人で黙々と軍とのやりとりの後処理をこなしました。カーン先輩からはケラーが怪しく見えてしまっていたのですが、他の人を巻き込みたくなかった彼女の優しさのせいでもありました。
 両親はアデルに興味のある研究を思いっきり続けてほしいと願い、騒動からは遠ざけていました。彼らが火山を求めてテラ中を飛び回っていたこともあり、アデルは両親が亡くなる1年前は全く会えなかったそうです。


3-3. シエスタへの招待

 ケラーはアデルをシエスタに呼びました。
 アデルにやってもらいたいことが2つありました。もうすぐ噴火しそうになっているシエスタ火山のデータ整理が1つ、もう1つはヴォルケーノ・ミュージアムに展示する両親の資料の整理でした。
 シエスタに来たアデルはドリーと出会います。ドリーは分身であるちびめーちゃんを世界中にバラまき、その一部とともにシエスタにきていました。噴火したシエスタ火山でマグマサーフィンを楽しむために来たのでしょうか。
 子供の頃にアデルは母マグナからちびめーちゃんをプレゼントされたらしく、ちびめーちゃんのことは前々から認識していました。しかし親玉であるドリーに会ったのは初めてだったようです。ドリーはアデルのことをずっと見守ってきたと言っていました。
 ドリーやちびめーちゃんの存在は、彼ら側が興味を持っている人間にしか感じ取れません。シエスタの一般人たちには全く見えていませんでした。
 ドリーはマグナのこともよく知っており、彼女は類まれなる知恵の持ち主だとほめていました。ちびめーちゃんをプレゼントしたこともあり、語られていない深い関係性があったのかもしれません。

3-4. ドリーのゲーム

 ドリーはアデルにゲームを仕掛けました。
 シエスタに来ても浮かない様子のアデルを見て、ドリーはクイズを出しました。北風と種と毛皮の3つを探せと。クイズが解ければ探しているものをご褒美にあげようとドリーは提案します。アデルは両親の死の真相を知りたがりました。
 ドリーは「羊主」という別名を持っており、獣主の1体と考えられます。「狼主」に追いかけられていたこともあると言っていました。動物の本能的な部分が残っているのか、単にそういう間柄なのか。
 エンペラーはドリーの分身に大事なアルバムを盗まれてしまい、取り返しにシエスタに来ていました。エンペラーからするとドリーは音楽について語り合える数少ない存在。2人とも音楽について深い理解があるように見えます。
 音楽家がもう1人登場しました。バードです。クルビア出身の歌手で、彼女にはエンペラーも期待を寄せています。ドリーのクイズの1つ目、「北風」は歌詞の一部でした。思い出せなくて困っていた楽曲で、バードが歌ってくれたことで解決しました。
 クイズの2つ目は「種」。ドリーたちにとって「種」とはサイダーのビンのキャップでした。見えているものは人によって違うのだと。ドリーの分身はクルビアでヴォルケーノコーヒーを味わい、それが印象深かったから「種」を求めていた様子でした。ヴォルケーノコーヒーはコスタが発明したコーヒーサイダーです。クルビアで受け入れられて根付いたのだとか。
 クイズの3つ目の「毛皮」は、マグナの防護服でした。ヴォルケーノミュージアムに展示されていたそれは、マグナをケガから守ったもの。アデルはシエスタ火山に向かう際にこれを借り、たまたま正解に気づきました。動物が身を守るために身に着けるものが毛皮なのだという、原義に戻るという問題でした。


3-5. 火山と夢

 ちびめーちゃんたちの正体について。
 クイズを解いたアデルに対して、ドリーはご褒美を渡します。アデルが探しているものを火山警告花だと勘違いしたドリーは、花はシエスタ火山の斜面に咲いているのだと教えてくれました。花を探しにきていたのは両親の方だったので、勘違いしたのかもしれませんね。
 ケラー先生が真実を伝えてくれたおかげで、アデルのもやもやは解けました。ケラーの名前もアデルだったことが明かされ、大切な友達の名前を子供にもつけていたのだというハートフルなオチもついていました。
 ドリーはちびめーちゃんたちの正体について語りました。彼らはドリーが人を真似て作った生物です。消えた命そのものではなく、ドリーがコレクションのために作った生き物。天国から語り掛けてくれているわけでもなければ、この世に未練があってとどまっていたわけでもありません。
 バーバラを模して作った分身がセイロンを探していたり、夢で両親の人格とコミュニケーションしたりしたのも、全部ドリーが作り出しただけの存在。アデルはそれを残酷に思うとドリーに伝えていました。帰らぬ人との再会に、残された人は期待を寄せてしまうものですから。
 しかし、アデルは夢で出会った両親の分身との会話を胸に刻み込んだことで、心の持ち方をポジティブに変化させていました。マグナの分身は傘を差した「穏やかな生き物」、カティアの分身は小さな火山を背負った「厳かな生き物」でした。
 彼らは火山に登る準備をしており、知識と勇気と運を購入していました。アデルに対しては、自分たちと同じように小石を火山に埋めるのだとアドバイスをしていました。
 2人は埋めた小石に愛と思い出を注ぎました。小石は情熱的なマグマとなり、振り返らずに彼らのもとを去っていきました。マグマになってしまったため見分けがもうつかないのだと。愛情をかけて育てたアデルとの死別を語っていたように見受けられました。
 雨が降ってきてしまって、夢の中の冒険は終わりました。厳かな生き物が雨を嫌っていたのも、穏やかな生き物が傘を差していたのも、通り雨計画を生み出してしまった心残りから来るものなのかもしれません。
 アデルは2人に花の冠を作ってあげようとしたのですが、時間切れで叶いませんでした。しかしこの話の続きは純燼エイヤフィヤトラのプロファイルに書かれています。彼女は両親が亡くなったウナ火山に登り、小石を埋めて、花の冠を2つ持ってきていました。シエスタで体験した不思議な出来事から気持ちを整理することができたのでしょうね。

感想

ここからはただの感想です。
「火山と雲と夢色の旅路」はアデルとドリーのやり取りを軸に、親と子の別れを描いた物語でした。夏のイベントらしく陽気ではっちゃけた展開の中で、随所に挿入されるエピソードに胸を打たれる良いお話でした。
 上には書けませんでしたが、拾われた子であるエニスと母ヘイリーの別れも印象的でした。家族の一員になろうと努力するエニスに対して、「何かと引き換えにしないと手に入れられない関係じゃないんだ」と語り掛けるヘイリーの優しさ。気持ちを汲み取ってシエスタに別れを告げ、冒険に踏み出すエニスの姿にも、親子の別れがにじみます。
 スワイヤーとバイソンの話も、見方によってはお別れの話でした。独立は決別であり離別。前途有望な若者たちは親の庇護下を離れ、新しい世界を切り開いていくのですね。
 死したものを分身の形で作り上げるドリーの能力を見て、アデルが「残酷に思う」と感想を吐露したのがこのお話で最も印象的な部分でした。イベント全体の雰囲気から受ける、優しいドリーミーなお話ではないのですよね。
 人格や魂そのものが蘇っているわけではないし、ドリー自身もそれを慈善としてやっているつもりでもない。ただ自分が楽しむために死者の人格を弄ぶ、超越者の遊びなのです。振り回された周囲の人間が、今回はたまたまポジティブに受け取ることができたというだけ。
 エンペラーはかなり人情味がありますが、「シラクザーノ」のときのザーロ然り、獣主たちは基本的には人間の理の外を生きる存在です。親と子の話なんて知ったこっちゃないでしょう。偶然が重なって死者の想いを汲むことが出来た、奇跡の話だったのかもしれないですね。





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【アズレン】ストーリー考察:光追う星の海 編【アズールレーン】

 2023年12月21日から開催されたユニオンのイベント「光追う星の海」のストーリーを整理していきます。

1.星の海にて

1-1. 組織構造

 最初に星の海の組織構造を見ていきます。
 星の海はユニオンが誇る最先端秘密研究所。他の陣営には秘匿されていて、ユニオンKAN-SENにも多くは開示されていません。このイベントはプリンストンとラフィーが星の海へ配属転換される場面からスタートします。
 星の海の部署とその在籍メンバーを見ていきます。今回の物語に登場するKAN-SENたちがどんな役割を追っているかを整理することで、このあとの動きがわかりやすくなります。
 1つ目が兵装設計部。ここのいまのホットトピックはⅡ型艤装の開発です。すでにⅡ型兵装を持っているノーザンプトンⅡのほかに、新しく配属になったのがルイビルプリンストン、ラフィーでした。
 2つ目が回収解析部。過去の再現の戦場から価値のあるデータを見つけ出し、解析するのがお仕事です。コンステレーション、サン・ジャシント、フラッシャーが在籍しています。
 3つ目が戦術特勤部。この部署は荒事に対応する戦闘員を抱えています。KAN-SENは誰しもが戦闘能力を持っていますが、こういう部署が別に作られているということはよっぽど戦闘に特化している子たちが在籍しているのでしょう。グアムがURであることも頷けます。
 4つ目の発展型艦船研究企画部には特別計画艦が属しています。ユニオンの計画艦は他にジョージアがいますが、彼女はエウロパでの戦いに出撃していたので、戻ってきていないようです。
 5つ目は戦略部。星の海の責任者であるアラスカはここに属しています。機密公務で数か月出張中で、いまはいないようでした。
 これ以外にも名前だけ出てきた部署がありましたが、所属しているKAN-SENが出てこなかったので割愛します。
 サラトガは星の海の部署には属しておらず、顧問やアドバイザーのような立ち位置とのことでした。指揮官も現在アイリスに滞在しており、プリンストンが残念がっていました。

1-2. サルベージ作戦:光追い

 回収解析部が進めていた光追い作戦について。
 今回のイベントタイトルにもつけられている「光追い」。コンステレーションが中心となって進められている作戦です。目的はレキシントンの治療。レキシントン級の空母たちにとってはお姉ちゃんがずっと臥せっている状態なので、治療方法を探し求めています。
 メインストーリー3章で繰り広げられた珊瑚海海戦の再現にて、レキシントンは重傷を負いました。彼女はいまだに生命維持装置の中にいます。
 重桜とユニオンによる太平洋戦争の再現では、ユニオン側にも多少の被害が出ています。AF海戦で倒れたヨークタウンと、珊瑚海海戦で倒れたレキシントンはその主たる被害者でしょう。あとは真珠湾攻撃アリゾナたちが損傷する描写もあります。一方、AFで沈んだかのように見えた赤城と加賀はピンピンしており、重桜側の被害は未知数だったりもします。
 「積重なる事象の幻界」にてヨークタウンは回復を遂げました。リアリティレンズに入った指揮官がデータを持ち帰り、Ⅱ型艤装を完成させたからです。キューブから作られたⅡ型艤装は、リュウコツの浸食を肩代わりすることで本人を復活させます。ビスマルクZweiも同じ原理で回復しました。
 コンステレーションレキシントンのⅡ型艤装に繋がるデータを探しています。レキシントンが倒れた珊瑚海海戦の再現にそのヒントがあるはずだと、再現をデータ上で疑似空間として構成し、データサルベージを計画しているのです。
 コンステレーションのやろうとしていることは難しく、前回は失敗しています。グアムに声をかけた理由は、戦闘が発生するかもしれないからとのことでしたが、前回は再現の戦闘に巻き込まれたのかもしれません。
 グアムたちが入った再現の疑似空間には謎の異常データがありました。そのデータのせいで空間は非常に不安定になっていました。習熟した作業者のフラッシャーはその異常データを回収することに成功します。
 指揮官がヨークタウンのⅡ型艤装を作れたのは、アンカレッジのリュウコツに今回見つかったような異常データがあり、それをリアリティレンズで解析したおかげだったと言われていました。

1-3. リアリティレンズ

 コンステレーションは異常データをリアリティレンズで解析します。
 この異常データは表層部分に変なところはなさそうでした。功を焦るコンステレーションは早速リアリティレンズにこの異常データを接続し、データの世界へと入っていきました。
 おちゃらけているように見えて状況を見極める目のあるグアムは、コンステレーションを止めようとしていました。異常データは疑似空間でのジャミングを引き起こしており、不測の事態が起こるかもしれません。しかしコンステレーションに通信を切られてしまいグアムは困ります。グアムはまだ疑似空間にいるのでストップをかけられなくなってしまいました。
 コンステレーションとサン・ジャシントはリアリティレンズの世界に入り、その中で王冠を目にします。王冠とは北方連合にある特異点のこと。「凛冽なりし冬の王冠」でコードGが起動に失敗した後、オミッターに占拠され続けています。しかしリアリティレンズの世界の王冠は起動されていました。
 コンステレーションたちは様々な理由を検討したのですが、彼女が最後に思いついたパラレルワールド説が一番しっくりくるような気がします。指揮官の枝の王冠が起動できるタイミングは基本的になく、過去や未来を見ているわけではなさそうでした。
 異常データにアクセスしてしばらくすると、リアリティレンズに敵性データが現れます。悪意のあるものが仕込まれていたということでしょう。アンカレッジの助けも借りながら、TBが手際よく対処していきました。
 アンカレッジは異常エリアが示すブロックが絵になっているとTBに教えます。「ビーコン」そしてアルファベットで「UC」と書かれていたとのこと。

1-4. Devilの異常行動

 一方で兵装設計部にもトラブルが発生します。
 ラフィーとプリンストンはⅡ型艤装の研究のために星の海に呼ばれました。指揮官がリアリティレンズから帰還する際に未来のラフィーⅡを偶然見かけたため、ラフィーのⅡ型艤装は実現が近づいていました。一方プリンストンのⅡ型艤装はまだありません。
 疑似空間でラフィーの兵装にⅡ型艤装をオーバライトし、戦闘シミュレーションが行われました。ヨークタウンに呼ばれたノーザンプトンⅡはやむなく2人を残して出かけていきます。
 シミュレーション上のアビータDevilXVを相手に戦闘テストが行われました。シミュレートされたDevilは非常にフレンドリーに話しかけてきていたため、人格の再現度は甘いのだろうなと思われます。
 しかしDevilの喋り方は途中でがらっと変わり、本人の人格が乗っ取ってきたような様子でした。なぜここに入ってきたのかはわかりませんが、アビータTowerXVIに文句を言っていたので、彼女も一枚噛んでいる雰囲気でした。
 Devilの様子が変化したのと同じタイミングで、黒い竜巻と浸食具現体(黒い靄)が発生し、ラフィーたちに向かってきました。コンステレーションがリアリティレンズで異常データに接続したのが引き金になりました。エックスに居場所を補足されたようなものと考えられます。
 ここでとある人物からDevilに通信が入りました。「『あなた』を助ければここから解放するんだな?」とDevilが聞き返していたことから、プリンストンMETAから通信が来ていたのかもしれません。ただ、彼女はアビータに会ったことがないはずなので、しっくりくる予想ではないです。
 Devilはこの謎の人物との取引に合意しました。ラフィーとプリンストンを逃がす代わりに、自分をここから解放してもらうとのことです。浸食具現体と戦うのはアビータも苦手だと言っていました。乗り込んだボディもTBがシミュレートしたものなので完成度が甘く、Devilは渋々戦いに挑んでいました。
 ラフィーとプリンストンはDevilが教えてくれた座標から脱出に成功しました。

2. 真水海域にて

2-1. 真水海域への転移

 ここから舞台が真水海域へと移っていきます。
 Devilが指定した座標にラフィーとプリンストンが辿り着くと、空間転移が発生しました。ラフィーは真水海域へと飛ばされますが、プリンストンとはぐれてしまいます。
 リアリティレンズの世界にいたコンステレーションとサン・ジャシント、珊瑚海海戦の再現の疑似空間にいたグアム、ルイビル、フラッシャーも黒い竜巻の襲撃を受けました。ラフィーと同じ地点へと飛ばされてきます。
 プリンストンだけが真水海域に辿り着けませんでした。彼女がプリンストンMETAと出会うとややこしいためお留守番を食らったのかもしれません。ヘレナとヘレナMETAは出会ったことがあるので、ドッペルゲンガーのように出会ってはいけない存在ではないはずです。
 真水海域は海水ではなく真水で構成されており、生物が全くいない謎の空間です。遠くには人工の廃棄物の山が見えました。セイレーンの浮島要塞があり、資源の回収を行っているような雰囲気でした。
 フラッシャーはここで、異常データと反応が似ているビーコンを発見します。

2-2. 星の海艦隊 vs 理事会艦隊

 グアムたちは謎の艦隊と遭遇します。
 ラフィーだけがキャッチできる謎の信号源が飛んできていました。その先には空を飛ぶ量産型を率いる理事会艦隊がいました。話の通じないグアムたちを浸食されていると勘違いした理事会艦隊は無力化するために戦いをしかけます。
 艦隊を指揮するプロトコルウォーフェアフォートレスはセイレーンと同じ系統の兵器でした。グアムたちは敵だと勘違いをします。真っ白なので独特な見た目ですよね。
 スペック的には戦力差のある戦いでしたが、グアムたちは意外と良い勝負をします。理事会艦隊が量産型を徹底的に守ろうとしていることを見抜き、量産型を集中攻撃したのです。指揮官の枝では量産型の価値はKAN-SENより低いのですが、理事会艦隊は資源の欠乏に悩んでいるようで、量産型の価値が重い様子でした。
 プリンストンMETAが仲裁に入ったため戦いは終わりました。グアムたちが浸食されているとの判断は勘違いでした。
 プリンストンMETAは自己紹介をしてくれます。理事会は全部で艦隊を7つ持っており、彼女たちは第5任務艦隊。この世界は故郷ではなく、彼女たちも迷い込んでしまったとのこと。



2-3. エンフォーサー vs 浸食具現体

 このあともう1つの戦いが発生します。
 プリンストンMETAは艦隊を率いるギンギツネという科学者を紹介します。ギンギツネはパラレルワールドが交わっていることを危険視して言動に気を付けていました。最後までグアムたちの目の前には出てこなかったため、立ち絵には影がかかったままでした。
 壊れたビーコンは星の海艦隊と理事会艦隊を引き寄せました。これが元の世界に戻る鍵だということで、フォートレスが修理に取り掛かってくれました。
 その間に食事を取ることになったのですが、プリンストンMETAが気になることを言っていました。彼女たちの世界ではコーラのレシピが大戦で失われてしまったとのことです。ユニオンが焼け野原になるぐらい大きな戦争が起きたということでしょうか。
 そうこうしているうちに、真水海域にも黒い竜巻が発生しました。プリンストンMETAたちは竜巻への対処方法を熟知しており、冷静に撃退へと向かいます。周りに現れる浸食具現体を倒すことで、黒い竜巻は勝手に消えていくのだとか。
 竜巻の出現に合わせて、真水海域にあったセイレーンの浮島要塞からエンフォーサーが出てきました。敵を感知したための防御行動で、基地で建造されたばかりの個体が出てきていました。この要塞は前線基地ではなく兵站基地だと言われいたので製造設備があったのかもしれません。プリンストンMETAはエンフォーサーを見たことがないと言っていました。
 エンフォーサーと浸食具現体が一通り潰し合ったところで、プリンストンMETAたちが掃討をかけることで竜巻は消えていきました。

2-4. 真水海域の正体

 真水海域とはいったい何なのか。
 少し時系列をジャンプして整理していきます。前哨戦イベントと、このイベントのラストで語られたことが真水海域の正体に繋がっていると考えられます。
 実験場Bという枝がボノム・リシャールに狙われました。オブザーバー・零が特別に気をかけていたので、この枝はおそらく指揮官のいる枝だと思うのですが、確証はありません。
 アビータEmpressⅢは実験場Bがもうダメだと判断し、この枝のリソースを丸ごと備蓄に回してしまおうと考えます。しかしオブザーバー・零がそれを止めました。自然演算システムが検証中のことがあるため、この枝は守らねばならないと。
 Empressは防衛線は極めて勝率が低いため、零が非合理な判断をしているとみなします。彼らは機械ですが、賢い個体はわざとミスをすることができるので、そういうテストの一環なのかとEmpressは考えたようでした。
 アビータLoversVIが呼び出されました。ボディを1つ用意したLoversは、実験場Bの外周に防衛線を築きます。アビータたちは機械ですから、この防衛線は機械で作られた堅牢な要塞。生気が感じられないこの空間こそが、グアムたちが迷い込んだ真水海域と考えられます。
 イベントのラストではボノム・リシャールが襲来した様子が描かれていました。Loversは直接戦闘が得意なタイプではなく支援型なので、要塞を築くことで持久戦に持ち込もうとしたのです。
 しかしリシャールは結局この防衛線を突破したようで、真水海域は人工廃棄物の山と化しました。Loversのエンフォーサーを作る兵站基地が残っていたのは、後方だったからたまたま戦火を免れたのでしょう。
 リシャールはビーコンに言及していたため、今回の騒動を引き起こした元凶である可能性があります。


2-5. ギンギツネの過去

 ギンギツネの正体についても整理しておきます。
 アズールレーンではKAN-SENではないキャラはほとんど出てきません。立ち絵を持っていることで、彼女が非常に重要な人物であるということがわかります。
 ギンギツネはロシア語を話すため北方連合の人です。また、後述しますがオースタのことを知っています。そのため、セイレーン作戦の特殊情報に出てくるソフィア・アレクセーエヴナ・グルチコフ博士のことなのではないかと推測されます。
 アンジュおよびオースタは学生時代からソフィア博士と知り合いでした。学生の頃アンジュは人工知能に興味を抱いており、北方連合で脳科学教授をしていたソフィアをオースタが紹介したのです。オースタはソフィアと共同研究で出会ったと言っていました。
 アンジュはソフィアの若さに驚いていました。アンジュが学生の段階でソフィアはすでに教授の肩書を持っていたのですが、ソフィアを若いと感じるということは2人の年齢はさほど離れていないと推測されます。
 大学を卒業したアンジュとオースタは別々の道でキューブの研究を行いました。アンジュはキューブの本質がエネルギーを抽出できるところにはないと予想し、CV-6エンタープライズの錨からコードGを生み出します。
 オースタはキューブからエネルギーが抽出できるのは、キューブが別の次元と繋がっているからだということを発見しました。その後彼は研究分野を少し変えて、アンチエックスの設計者となります。
 ソフィアの名前が記録に再び出てくるのは少しあとの時代の話です。このころアンジュはKAN-SENをパワーアップさせるⅡ型艤装の研究を行っていました。
 一方、オースタはアンチエックスの改良に苦心していました。KAN-SENのようにメンタルキューブからアンチエックスを作れないかアンジュに相談を持ち掛けるのですが、概念が存在しないものに適用することはできないと一蹴されていました。その代わり、彼女はメンタルキューブを量子コンピュータとして使うというアイディアを提供してくれました。そのヒントをもとにオースタはアビータの開発へと進んでいきます。
 脳科学の研究をしていたソフィアも、この時代になるとキューブの応用へと研究の方向性を切り替えていました。彼女もアンチエックスのような自立兵器を開発していたのですが、その性能はアンチエックスと似たようなものであり、もったいない研究をしているとオースタは嘆いていました。
 このころはユニオンと北方連合の対立が激しくなってきており、ソフィアは会合への参加を見送っていました。アンジュは寂しさを記しています。
 このあと理事会が立ち上がり、ソフィアはギンギツネと呼ばれるようになるのではないかと思うのですが、空白の時系列がまだたくさんありそうです。今後もセイレーン作戦の特殊情報からは目が離せません。

2-6. キューブにかけられたリミット

 プリンストンMETAはグアムたちの性能に触れます。
 プリンストンMETAから見ると、グアムたちのKAN-SENとしての出力には制限がかかっているように見えていました。しかしフォートレスがグアムをスキャンしても、リュウコツの異常は見つかりません。
 原因はグアムたちを作ったメンタルキューブにあるというのが結論でした。キューブが製造された段階で、生まれてくるKAN-SENの出力に制限がかかるような細工が施されていたのです。
 この細工はKAN-SENのMETA化を防ぐようなリミッターでした。出力を制限することで、META化の進行を遅らせることが可能になるとのこと。プリンストンMETAとしてはエックスに勝てないなら本末転倒ではと思っていたようでしたが。
 これは「鳴動せし星霜の淵」でクロンシュタットがMETA化する直前に見た映像に繋がりそうな話だなと思いました。指揮官の枝のKAN-SENたちには、META化しないように様々な人が祈りを込めている形跡があります。オースタはアンジュが執心するKAN-SENの覚醒を見てみたくなり、TBとともにロック機能を開発していました。META化は覚醒の逆の現象と考えられるので、META化を抑制することは覚醒を促進することに繋がります。
 リュウコツは放っておいても自然に変異していくことがあるらしいです。また、エックスに浸食されても変異が起きます。ラフィーだけはⅡ型艤装があるので大丈夫だろうと言われており、Ⅱ型艤装が相当有効な手段なのだなということがわります。


2-7. クイズバラエティー1

 お互いに気になっていることを聞き合ってお別れにしようということになり、グアムが提案したゲームが行われました。
 情報を多く握っているのはギンギツネの方だというお互いの認識がありました。彼女はバタフライ効果を警戒して、提供する情報を絞ろうとしています。そのためグアムはあくまでもギンギツネの方に主導権を渡し、彼女が乗ってくれる形で情報の交換をゲーム化することを提案します。
 まずはコンステレーションからギンギツネに質問を投げます。ギンギツネはその質問に回答するか否かを選ぶことができます。回答すればギンギツネのターンになったときに自身が質問できる数が増えるので、コンステレーションに聞きたいことがどのぐらいあるかに応じて回答をコントロールできるのです。
 質問は全部で6個ずつです。まずはコンステレーションの質問から内容を見ていきましょう。
 1問目。理事会はなぜ艦隊を浮かせているのか。答えはエネルギーが潤沢にある一方で、水上を航行するとリスクが生まれるからです。エナジーキューブはエネルギーをほぼ無限に供給してくれるため、エネルギーの価値が非常に低いのです。
 2問目。理事会とは何か。エックスと戦うための超陣営的組織です。理事会艦隊の量産型の名前はユニオンっぽいものが多いですが、北方連合や東煌っぽいものもあります。陣営を超えて戦力を結集しているのがわかります。
 3問目。エックスとは何か。これをギンギツネはパスしました。指揮官の枝のKAN-SENはまだ知らない方がいいと判断しました。バタフライ効果を恐れたのでしょう。
 4問目。アンチエックスとは何か。エックスと戦うからANTI-Xという名前がついているのかと思っていたのですが、仮想的が決まっていないので「X」とつけているだけだったことがわりました。先にアンチエックスが作られて、あとからエックスが襲来したのですね。
 5問目。いま何の任務中だったのか。これもギンギツネはパスでした。コンステレーションに悪意はなくとも情報が敵に漏れてしまう可能性もありますから、これは答えられないのでしょう。コンステレーションは自分が回答しなければならない質問を減らすために、意図的に答えにくい質問を入れました。
 6問目。あなたは誰なのか。ここはギンギツネが意地悪して、フォートレスだと答えました。言葉を慎重に選ぶべきでしたね。

2-8. クイズバラエティー2

 今度はギンギツネが質問する番です。コンステレーションが答えなくてはいけない数は4つ。
 1問目。月の土壌の成分を知っているか。知っているか知らないかなのでNoで終わりです。指揮官の枝には第一次世界大戦ごろにセイレーンが襲来しており、宇宙開発をする余裕がありませんでした。この質問の意図はギンギツネがコンステレーションたちがいる枝の技術レベルを把握したかったからだと思います。理事会艦隊が飛んでいるのは月に行けるからなのかもしれないのですが。
 2問目。星の海とは何か。これは答えられない可能性があると踏んでの質問だったと思います。コンステレーションは機密を守りました。
 3問目。メンタルキューブはどこから来たのか。指揮官の枝にキューブを持ち込んだのはセイレーンなのですが、その事実は一般にはまだ知られていません。人類の英知を結集した結果、科学の奇跡がセイレーンとの戦いの転換点をもたらしたと思われています。キューブを製造できるのは各陣営の上層部だけですが、セイレーンと密接に繋がっていると予想されています。ギンギツネは枝の立ち位置や相互関係を推測していたのだと思います。
 4問目。セイレーンの組織構成について。これは戦闘部門のグアムが代わりに回答していました。ギンギツネはオースタと疎遠になったと考えられるので、アンチエックスの構成を仔細には知らないのかもしれません。
 5問目。曙光計画を聞いたことがあるか。「暁射す氷華の嵐」にて指揮官が北方連合の秘密要塞から回収した資料に記載があります。コンステレーションはユニオン陣営のため名前だけ知っていました。良く知らないという答えでも良かったと思うのですが、彼女は律義にパスしました。
 6問目。ここまで3問しか回答していないので、この質問には絶対に答えなくてはいけません。ギンギツネの質問はスベルドロフスクの現状についてでした。コンステレーションはスベルドロフスクが北方連合の街の名前だということは知っていましたが、どこにあるか知らないため答えられません。スベルドロフスク州はロシアの中央西に位置し、比較的大きくて人口の多い州です。ギンギツネの故郷なのでしょうか。
 6問目に回答できなかったので、コンステレーションはもう1つ質問してくれと頼みます。ギンギツネはコンステレーションがオースタはまだ元気か聞きました。彼女は残念ながらオースタの名前すら知りません。大事な局面でわざわざ名前を挙げたことから、ギンギツネにとってオースタの存在は特別なものだったと考えられます。人間キャラ同士でしか描けない何らかのドラマが今後展開されるのかもしれません。
 このあとプリンストンMETAが帰ってきて、ギンギツネも6問目のことは諦めた様子だったので、クイズゲームは終わりになりました。

2-9. 帰還

 プリンストンMETAは無事にビーコンを修理してくれました。
 ビーコンが起動された瞬間にグアムたちは珊瑚海海戦の再現の疑似空間に飛ばされました。コンステレーションやラフィーは別の空間から飛ばされてきたのですが、ここには異常データがあったことから、ビーコンと接続されていたのかもしれません。
 ビーコンはメモリセクタがいじられてマルウェアが仕込まれていたと言われていました。リシャールがやったことなのでしょうか。
 ビーコンが光ったのをエセックスMETAが観測していました。METAたちもいろいろな陣営にわかれている様子なので、エセックスMETAはどういう立場なのかはまだわかりません。
 コンステレーションとフラッシャーはビーコンのデータをこっそりサルベージしていました。今後、解析が行われるかもしれません。
 星の海にいるTBが異常データの敵性データを削除し、疑似空間にいるグアムたちを引き上げて、この冒険は一件落着となりました。
 レキシントンのⅡ型艤装のヒントは得られていないため、星の海や指揮官は今後も追いかけ続けていくのかなと思われます。アラスカやアイオワの名前が出てくるようになりましたが、次に登場するのはどんなKAN-SENになるでしょうか。楽しみですね。



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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 空想の花庭 編

 2023年12月21日開始のイベント「空想の花庭」のストーリーを整理していきます。

1.事前情報

1-1. アンブロシウス修道院

 今回のイベントの舞台であるアンブロシウス修道院について。
 修道院が建造されたのは1011年のことでした。移動都市のような可動式の大型修道院であり、イベリアとラテラーノの共同出資の成果でした。このころはまだ大いなる静謐が発生していないため、イベリアも栄えていたのです。
 イベリアはラテラーノの宗教を取り入れていました。アンブロシウス修道院はイベリアのために優秀な聖職者を育成するという使命を持っていました。教える側のラテラーノ人と、学ぶ側のイベリア人が住んでいました。
 1038年に1つの転機が訪れます。修道院は天災を避けようとして既定の航路を外れてしまいました。大いなる静謐が発生したと言われている時期に近いため、直接の原因になった可能性もあります。
 アンブロシウス修道院は荒野を彷徨うようになります。滞在していた多くの修道士がラテラーノに帰ってしまいました。そんな状態で前の司教が亡くなり、ステファノが新しい司教の座に就きます。
 ステファノは1つの決断をしました。ここまではイベリアという国に属していたのですが、イベリアの支配下から抜けることにしたのです。地理的に遠くなったのか、大いなる静謐でダメージを受けたのか、関わっても良いことがなかったようです。
 燃料の備蓄が少なくなり、アンブロシウス修道院は移動することができなくなりました。荒野のど真ん中で自給自足で住民たちを養っていかねばなりません。住民たちは助け合いながら暮らしていました。
 1080年頃にもう1つの転機がありました。荒野を彷徨っていたサルカズの集団を、ステファノは受け入れるという決断をしたのです。サンクタとサルカズは宿敵同士のため、最初はわだかまりがあったようです。
 サルカズは身体が丈夫なので、狩猟や源石の採掘を行って住民の力になりました。また、盗賊と戦うときにも活躍しました。リーダーのジェラルドは歴戦の傭兵だったからです。徐々にサルカズたちは住民に受け入れられていきました。
 しかしサルカズの協力を得ても修道院の暮らしは悪くなる一方でした。ステファノはラテラーノに手紙を書いて、援助を要請することにしました。


1-2. レミュアンの交渉

 援助要請を受けてやってきたのがレミュアンとオレンでした。
 特使としてやってきた2人は、アンブロシウス修道院の状況を目の当たりにしました。ラテラーノにはこの修道院を援助するメリットがあります。一方で、宿敵であるサルカズをラテラーノに入れることはできません。「ただしサルカズを除く」という条件付きの返答がレミュアンの最大限の譲歩でした。攻撃しないだけでもマシだと。
 頑固なステファノは納得できません。修道院がいまの形を保ってこられたのはジェラルドたちサルカズの協力あってです。種族だけを理由に救う人を区別するなんておかしいと怒りました。
 冷静なジェラルドはレミュアンの言い分を理解します。サルカズの仲間たちと話し合い、自分たちは修道院を離れるという方針でまとまっていました。サンクタとサルカズは大昔から殺し合う間柄なのです。
 ステファノとレミュアンの折り合いはつかず、レミュアンは拘留されてしまいました。オレンは捕まる前に逃げ出し、レミュアンさえもどこに行ったのかわかりません。彼女はオレンを探そうとはせずに黙認していました。
 オレンはレミュアンとは違った状況認識をします。修道院内の特殊な関係性が外部に漏れるだけでマズイことになると彼は考えたのです。穏健派のレミュアンに交渉を任せ、彼は秘密裏に状況解決に向けた準備を進めました。


1-3. 聖徒任命

 レミュアンたちが帰ってこない間に、ラテラーノで大きな事件がありました。
 「吾れ先導者たらん」で存在が仄めかされた「アレ」が冒頭で登場しました。全サンクタをコントロールしている装置だと思われ、サンクタ同士が光輪で感情を伝えあったり、堕天の忌避感を生じたりする制御装置だと考えられます。
 「アレ」が現教皇であるエヴァンジェリスタⅪ世に危機が迫っているという緊急メッセージを発しました。危機の正体まではわからないらしく、具体的に何か対策を立てることは難しい状態です。
 ちなみに「アレ」から警告が発せられたのが1099年の9月29日のことでした。PVの左下に小さく映っています。


https://youtu.be/ncXAcVTetR8
アークナイツ特別PV「ラテラーノ:聖霊」より


 「アレ」は危機に対処する人材として数人の名前をリストアップしました。その最初にいたのがフェデリコ・ジアロ。教皇聖下はフェデリコの役職を大幅に引き上げることで、危機へ対策することにしました。「聖徒」という職位が彼に授けられました。
 「聖徒」というのはラテラーノを建国した聖人たちの称号です。歴代の教皇には自動的に「聖徒」も授与されているのですが、教皇以外で「聖徒」を背負うのはフェデリコが初めてになりました。歴史的な大抜擢です。
 フェデリコは公証人役場の執行人という立場です。戦闘を伴う困難な任務にあたることもあります。彼は優秀な執行人の1人ですが、彼よりも優秀な戦闘員や、敬虔な信徒である執行人はたくさんいます。なぜ自分が選ばれたのかフェデリコは不思議がっていましたし、他の人も同様の疑問を抱きました。しかし「アレ」は人選理由までは教えてくれなかったので、教皇も十分な説明をすることはできませんでした。
 フェデリコが「聖徒」になってから最初の任務が、レミュアンたちの救出でした。教皇聖下は友人に会いにいかねばならないらしく、この件はフェデリコに任せたいとのこと。
 同じく執行人のリケーレが同行者に任命されました。おそらく2名体制でも出撃したと思うのですが、スプリアが自ら参加申請を行ってきたので、3人での任務になりました。
 スプリアはレミュアンの学校の後輩。先輩を心配して任務に応募したことにしていましたが、本当はオレンと連絡を取り合っており、彼をサポートするために参加しました。


1-4. アルトリアとフェデリコ

 アルトリアという人物が出てきたので、彼女の家系を整理しておきます。
 アルトリアはフェデリコの遠い親戚であるという情報が今までも出ていました。父親同士がいとこの関係と言われていたので、日本語で言うと"はとこ"に該当するのかなと思います。父方の親類のためどちらも姓はジアロになっていると思われます。
 フェデリコのご両親も執行人でした。15年前に担当した任務で、2人揃って殉職してしまったそうです。身寄りのなくなったフェデリコは、アルトリアの家に滞在していた時期があったらしいです。そこで彼はアルトリアのことを姉さんと呼んでいたのだとか。
 アルトリアは現在指名手配犯となっています。楽器を奏でると聞いている人の感情に作用するアーツを使います。アークナイツ公式Xで紹介されていたように、テラの至るところで起きた不可解な事件のそばには、彼女の演奏がありました。たくさんの罪に問われていますが、今のところ逃げ続けているようです。
 フェデリコにとって、執行人になって初めての任務はアルトリアの捕獲任務でした。わざわざフェデリコが選ばれたことには意図を感じます。今後どこかで詳細が語られるでしょうか。そんなわけでフェデリコはアルトリアのことを追いかけ続けていて、それは多くの人にも知られている因縁になっているようです。


2. イベント時系列

 ここからイベントの時系列に入ります。

2-1. フォルトゥナの堕天

 フェデリコたちがアンブロシウス修道院に到着しました。
 彼の判断はレミュアンと同じです。サルカズはラテラーノに連れていくことができません。フェデリコは冷酷に回答を迫りますが、ステファノは翌日まで待ってほしいとお願いしました。
 スプリアはフェデリコとは別れて修道院に単独で潜入。レミュアンに接触して彼女の意志を確認しました。彼女は拘留されてはいますがいつでも抜け出せる状態で、ステファノを説得できる余地はないか探っているところでした。
 修道院にいたフォルトゥナという女の子に接触したスプリアは、彼女の持つ壊れた守護銃を修理してあげました。
 フォルトゥナはお礼にハーブピッツェルというお菓子を作ろうとしたのですが、友達のデルフィナに止められて口論になってしまいます。デルフィナはサルカズ住人たちの苦しい生活を偶然垣間見てしまったばかりでした。この状態でお菓子なんてのんきに作ろうとしているフォルトゥナのことが理解できません。もみ合いになった末に、フォルトゥナが持っていた守護銃で誤射が起きてしまいました。
 サンクタは他のサンクタに守護銃を向けることを戒律で禁止されています。戒律を破ってしまうとサンクタは堕天します。フォルトゥナの額からは黒いツノが生えてきて、光輪と光翼は黒く染まり、共感能力も失われてしまいました。

2-2. 聖堂の火事

 次に起きた事件が聖堂の火事でした。
 この火事の原因はクレマンの放火でした。彼はアルトリアと会話をしたあとで火をつけたため、彼女のアーツの影響を受けていたと考えられます。
 クレマンはイベリアに住んでいた貧しいガリア流民でした。飢饉のために殺人に手を染めたこともあると資料には書かれています。大いなる静謐を経験していることから60年以上は生きていることになり、修道院にきてからも10年以上が経過しています。徐々に悪くなっていく住民の暮らしに胸を痛めていました。
 アルトリアは彼の心臓が氷の閉ざされた土壌のようだと興味をそそられていました。デルフィナが亡くなりフォルトゥナが堕天してしまった様子を目の当たりにして、彼の絶望は深くなりました。また、ステファノの計画を偶然聞いてしまったことも、悪影響を及ぼしたと考えられます。
 ステファノはサルカズ住民も救う手立てがないのかと頭を抱えていました。彼はアウルスの手を借りようとしました。深海教徒が神と崇める、海の怪物の力です。ラテラーノの神様は自分たちを救ってくれないので、異教の力を借りなければならない。もはや選択の余地はないのだと苦渋の決断に迫られていました。
 クレマンは聖堂に火をつけました。彼は修道院に蓄えられていた兵器から助燃性の物質を取り出し、着火剤として利用しました。この方法はステファノだけが知っていたわけではなく、歴の長い住人はみんな知っているものだと言われていました。
 クレマンの放火理由は明確には説明されません。後述しますが彼は救世主の存在を確かめようとしていました。愛や友情が人々を救ってくれるかどうか、火事への反応を見て確かめたかったのかもしれません。
 聖堂にはエスタラとエレンデルというリーベリの子どもが取り残されていました。アルトリアの話を聞きたがっていたのですが、彼女はフェデリコが助けにくるからと言い残して去ってしまいました。フェデリコはアルトリアのチェロの音色を追いかけてこの聖堂に辿り着き、2人の子どもを救出。母親を探してくれという2人の願いを引き受けることになりました。


2-3. 海からの敵

 深海の脅威との戦闘が発生しました。
 レミュアンは部屋に入り込んできた怪物を追いかけて外に出ます。怪物は危険だと判断して駆除するためです。追いかけっこの途中で彼女はアウルスに出会いました。
 アウルスはイベリアの宣教師であり、深海教会の関係者。強力な剣術とアーツでレミュアンの前に立ちはだかりました。彼女はやむを得ず車椅子から立ち上がって応戦しましたが、勝利することはできませんでした。
 アウルスはとある人物を助けようとしていました。それが怪物の正体。失踪していたサルカズ住民の女性であるハイマンです。ハイマンは弱っていたところをアウルスに助けられて、海の怪物の血肉を食べることで怪物化してしまいました。
 エスタラとエレンデルが探していた母親というのもハイマンのことでした。ハイマンはサルカズですが、修道院の外で拾ったリーベリの2人の子どもを密かに連れて帰って匿っていたのでした。住民の多くは2人の子どもの存在に気づいていませんでしたが、ジェラルドは食料配分の様子から存在に気づいていたと言っていました。
 怪物と化したハイマンは、最初はコミュニケーションがまともに取れませんでした。しかし時間を経るにつれて言葉を発するようになり、エスタラ・エレンデルと対面したときには理性が戻ってきていました。
 レミュアンがアウルスと戦っている間に、フェデリコもハイマンと遭遇します。彼は怪物を撃ち殺そうとするのですが、ジェラルドに止められて銃口を下ろしました。コミュニケーションが取れる状態へと進化していることに気づいたのです。アウルスとハイマンは住民のもとを去っていきました。


2-4. オレンの危惧

 隠れていたオレンがついに動き出しました。
 オレンはアンブロシウス修道院の混乱が、ラテラーノやテラ全体へと波及してしまうことを危惧していました。問題がコントロールできるうちに対処すべき。ラテラーノ護衛隊を出動させ、サルカズたちを皆殺しにすることで芽を摘もうと考えました。5つの10人小隊が連携してアンブロシウス修道院を制圧しようとしていました。
 オレンはレガトゥスとしてヴィクトリアに駐在していたときの経験をもとに行動することが多い人物です。ヴィクトリアはメインストーリーで分かるように公爵たちの権謀術数にまみれた国。お気楽なラテラーノ人に対して抱いている危機感がオレンを突き動かしています。
 ステファノは由緒あるサンクタの司教です。一方ジェラルドはラテラーノの執行人小隊を壊滅したこともある歴戦のサルカズ傭兵です。彼らが長年協力して暮らしていたという事実は、それだけで都合が悪いものだとオレンは考えています。
 メインストーリーで展開されているように、テレシス率いるサルカズはロンディニウムを占拠しています。公爵たちはサルカズの非道な振る舞いに怒っています。サンクタとサルカズは宿敵同士であり、普段からラテラーノはサルカズに対して厳しい態度で接しています。サルカズに非難が集まっているいまの世界情勢を考えた際に、ラテラーノがぬるい態度を見せるわけにはいきません。
 「吾れ先導者たらん」で描かれたように、エヴァンジェリスタⅪ世は万国サミットを開催し、テラの国々の連帯を呼びかけたばかりです。そんな大事なときに、ラテラーノが自らをラテラーノたらしめる合理性を欠いた行為を許すわけにはいかない。オレンはそう考えているのです。
 スプリアとリケーレはオレンに一部手を貸していました。理由ははっきりとは語られていませんでしたが、オレンの考え方に一定の理解を示していたからだと思います。オレンの思想や行動は過激なのですが、100%間違ったことをしているというわけではないという描かれ方だなと私は感じました。


2-5. ジェラルドの自死

 ジェラルドが自ら死を選ぶという事件がありました。
 オレンが呼び寄せた護衛隊は街の中から補足されていました。ジェラルドは公証人役場から指名手配を受ける身です。自分がここにいることはサルカズ住民にとって大きなマイナスになると分かっていました。
 フェデリコはジェラルドの素性を知っていました。一般の執行人がアクセスできる情報です。自分以外のメンバーもあなたの正体に気づくでしょうとフェデリコは告げていました。
 修道院の内部で起きたフォルトゥナの堕天事件を、ジェラルドは早々に把握していました。事件を見ていたクレマンが漏らしたのです。修道院を囲んでいる護衛隊の心象をさらに悪くする情報です。
 数多の悪条件が重なっていることを理解したジェラルドは、自らの命を差し出すことでしかサルカズ住民の活路を開けないと決意を固めます。罪人である自分がいなくなれば、サルカズ住民が攻撃される理由がなくなると考えたのです。ジェラルドの命は、事が上手く運んでいれば見逃されていたかもしれません。情報の伝わり方や彼の覚悟の決まり方が悪い方に作用した結果の悲劇でした。
 その場にいたクレマンが手を貸し、ジェラルドの首はフェデリコたちのもとへと手渡されました。しかしこの期に及んでもレミュアンとオレンの考え方はすり合いません。オレンはラテラーノという国に降りかかるリスクをケアしたい一方、レミュアンは目の前でおきる虐殺を看過できません。
 共感能力を持ってしても人は分かり合えないのかと、フェデリコは2人の仲裁に入りました。レミュアンとスプリアには住民のケアを、オレンには護衛隊を後退させよと冷静に指示を飛ばしていました。他人の感情の機微を理解しないフェデリコこそが、この難局を乗り切るのに相応しい人選なのかもしれないと思わされたシーンでした。


2-6. 最期の選択

 最終局面です。
 ステファノは住民を集めて最後の集会を開きました。そこで行われたのは聖餐の儀式、つまり最後の食事です。リケーレはステファノが深海教徒と接触した形跡を見つけていました。住民たちに海の怪物の血肉を食わせ、全員を深海教会に入信させるという選択が行われたのではないかとリケーレは身構えました。
 しかしそれは杞憂に終わりました。ステファノはサルカズ住民を救うことを諦め、ラテラーノに合流する道を選ぶと住人に伝えました。彼は海の怪物の血肉が入ったパンを作るところまでは手を動かしてしまったのですが、直前で思いとどまり、パンは地下室の棚にしまい込まれました。リケーレとオレンは胸をなでおろしました。
 しかし怪物入りパンはクレマンに盗まれてしまっていました。フェデリコは火事のときから影で暗躍する人物の存在に思い当たり、クレマンを見つけます。住民に危害を加えた罪でクレマンを取り押さえようとしました。
 私はクレマンの行動原理を100%理解することはできませんでしたが、可能な限り記述してみたいと思います。幼少期から厳しい境遇に置かれ続けたクレマンは楽園や救世主を追い求めてきました。修道院での暮らしはある種の楽園を感じさせてくれるものだったと思うのですが、徐々に生活は苦しくなっていき、この度の事件で秩序は崩壊を迎えました。
 クレマンは救世主や楽園が存在しないことを確かめようとしたのではないかと思います。住民を苦しめる方向に外圧をかけたときに、救世主が現れるのか、住民が救われるのか。フェデリコに起爆装置を破壊されたクレマンは、盗んだ怪物入りパンを食べます。しかし彼の身体に望んだ変異は起きませんでした。深海教会ですら彼を救うことはできなかったのです。
 アルトリアに言わせれば、クレマンは自らの命を賭して救世主の不在を証明しました。彼女は非常に美しい音楽だったと興奮していました。ただし、アルトリアのアーツがあってもなくてもクレマンの意志は変わらなかっただろうという注釈も添えていました。彼女は多くの罪を犯したことになっていますが、基本的にはずっとこのスタンスなのでしょうね。
 花が傷ついてしまったら、2度と元の状態に戻ることはないとクレマンは言っていました。精密機械のようなフェデリコは、その言葉の意味を図りかね、心に留めていました。


2-7. 次の旅路へ

 事件後の動きについて。
 クレマンが倒れたあと、フェデリコはアルトリアの確保に動きました。しかし彼女を迎えにきた人物がいました。リターニアのウェルナー選帝侯の使者です。帝を選ぶ権利を持つ選帝侯は、リターニア貴族のトップオブトップ。安易に手を出すと外交問題になるぞとオレンはまた肝を冷やしていました。
 アルトリアはフェデリコを挑発します。一発撃たせてあげようということで、彼の銃を自分も眉間に当てました。オレンが止めたのですがフェデリコは引き金を引きます。しかし銃弾がアルトリアに届くことはありませんでした。アーツのバリアだったのでしょうか。
 「演奏は今も絶えず続いている…。ただ、自分には聴こえないだけだと考えたことはないか?」と意味深なセリフがヒントとして残されました。アルトリアはフェデリコに変化が起きているようだと面白がっていました。いつかまた対決の時が来るでしょうか。アルトリアは使者に連れられてリターニアへと移動していきました。
 ステファノが決断を下した通り、修道院はラテラーノに向かうことになりました。サルカズ住民たちは荒野へと出発します。堕天してしまったフォルトゥナは、ラテラーノで罪を清算したいと言っていたこともありましたが、結局ライムントたちについていくことにしました。スプリアがまとめて監視を担当することになり、処断が下ることはありませんでした。
 サルカズ以外の住民はこれで救われることとなったのですが、ステファノは自身の罪を認めていました。行動には移さなかったものの、住民たちを海の怪物にしてしまおうという悪意を身に宿したことを恥じていました。その罪滅ぼしとして、老体に鞭を撃ってラテラーノまで歩いていくことにしました。奇跡が起きて辿り着けたならば許されたと捉えると。
 「偽りの花庭」は凄惨な状態に追い込まれたときの住人たちの鬼気迫る心の動きがもたらす宗教的なメッセージに考え込まされる物語だなと感じました。アルトリアとアウルスという今後の展開を大きく左右しそうな人物を描き、今後の布石とすることにも余念がありませんでした。ラテラーノだけでなく、イベリアやリターニアを舞台とした物語にも繋がっていくかもしれません。楽しみですね。



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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 孤星 後編 <テラの秘密編>

 2023年11月7日からスタートしたイベント「孤星」のストーリーを整理していきます。
 「孤星」の考察は2つに分かれています。この記事は後編のテラ秘密編です。保存者の存在を通して見えてきたテラの正体について整理していきます。


 
 前編はこちらです。合わせてご覧頂けると幸いです。どちらから読んでも大丈夫です。

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1. 予備知識:DWDB-221E

 保存者の正体を考える際に、予備知識となるのが術師アーミヤのモジュール「DWDB-221E」のテキストです。
 「孤星」の少し前に実装されていて、当時は何を言っているのかよくわからなかったのですが、「孤星」を読むことで解像度が上がりました。このテキストは時系列的には最初に目を通しておくべきものです。

 「あなた」と呼ばれる人物の話です。

 モジュールのテキストに書かれていることを整理していきます。
 アークナイツの物語で「あなた」という代名詞を使うとき、それはドクターのことを指していることがほとんどでした。ただ、このテキストで「あなた」=ドクターが本当に正しいのかは自信がなく、間違っていた際に大きなミスリードを生んでしまう恐れがあることから、一般的な「誰か」のことを指していると解釈します。
 この「あなた」はDWDB-221Eの力で惑星エンジニアの記憶や感情を追体験しています。惑星エンジニアは人工の月を作り上げ、空に浮かんだそれを眺めて歓喜の涙を流していました。
 惑星を人の手で作り出すなどといった高度な技術はいまのテラにはありません。「孤星」で語られた内容と繋げてみると、この人工の月こそがテラであり、「あなた」が属するこの文明は保存者のルーツなのではないかと考えられます。
 テストが終わって「あなた」は現実の世界に戻ってきます。そしてその場で惑星エンジニアたちのことが頭でっかちであまり好きではなかったと告白します。しかしDWDB-221Eの力で彼らの過去の経験や感情を垣間見ることができ、その考えを改めたと告げるのです。
 「あなた」はDWDB-221Eのテストをしていたようで、それはどうやら成功したようでした。相手の過去や感情を読み取る力。いまはアーミヤが継承している魔王の力だと考えられます。
 惑星エンジニアたちはDWDB-221Eの名前を変えようと議論をしていました。この記号の羅列は機械的に決められた開発コードネーム。無造作な髪の男性は、Amaのように機械的な名前で呼ぶのはやめたいと言っていました。この発言でAmaもこの文明が作り出した成果物であることが分かります。
 DWDB-221Eの見た目から「黒い王冠」と命名するのはどうかととあるエンジニアが提案しました。これで見た目がわかりました。老齢の女性は「文明の存続」計画と名付けるのはどうかと提案しました。ここまで来ると我々もこれが何かわかります。統合戦略に出てくるお宝です。
 テラの外にあったDWDB-221Eは、何らかの理由でテラに持ち込まれることになりました。


2. 保存者の使命

 「孤星」で語られたことに目を移していきます。保存者とは何者だったのか。
 クルビアの地下でクリステンが出会った神のような存在。それが保存者でした。保存者のオリジナルはトレバー・フリストンという人間で、彼の人格を模倣して作ったシミュレーションシステムが保存者でした。
 フリストンがいた文明は破滅の危機に瀕していました。様々な対策が検討されていたそうなのですが、予想以上に早く崩壊のときがやってきました。
 フリストンはとある計画の実行にあたって鍵を握る人物でした。数十万人の人が石棺の中でコールドスリープに入り、テラで時を待ち、好機が来たら目を覚ますという計画です。
 石棺の管理を行う者が必要でした。高度なAIに任せるという案もあったのですが、もし失敗してしまったらすべてが台無しになってしまいます。そこでフリストンの人格を模したシステムが作られたのです。AIと何が違うのかは正確にはわかりませんが、AIがゼロから作られたコンピュータであるのに対して、保存者はオリジナルが人間だと自覚しているのかもしれません。
 数万年に及ぶ長い時間が経過しました。保存者は石棺の中の人々を目覚めさせることはなく、石棺はエネルギー切れ寸前になってしまいました。
 同胞たちが寝ている間、保存者は宇宙へ信号を送り続けていたと言っていました。助けを求めていたのか、より良い環境を探していたのか、それとも元の星に戻れるようになるタイミングを待っていたのかもしれません。
 保存者は計画が失敗したと判断しました。これ以上石棺を見守り続けても無意味です。そんなときにクリステンが彼を訪ねてきたのです。
 石棺は中の人間を維持することができなくなっていましたが、それでも莫大なエネルギーを秘めています。しかもステイシスホールにある石棺は数がとてつもなく多いです。残存するエネルギーをかきあつめて、クリステンが阻隔層をぶち抜くために使わせてあげたのです。
 
 

3. 異なる文明の交わり

 テラに生きている人々を整理していきましょう。
 「孤星」の物語の中で、クリステンに次いでケルシーとドクターも保存者のもとを訪れました。保存者の話から、ドクターとケルシーはフリストンの文明の属する人物であるようだと推察されます。
 保存者はドクターを同僚と呼びました。同じような立場にあったことを伺わせます。テラは我々が望んだようになっていないようだねとも呼びかけます。フリストンの文明はテラの在り方をコントロールしたかったのでしょう。
 石棺に入った死体の山となってしまったステイシスホールで、ドクターは多くの同胞の死を目の当たりにすることになりました。さすがのドクターも珍しく動揺を見せます。
 保存者はケルシーをドクターのしもべとみなし、AMa-10と呼びます。ケルシーも何らかの目的のために作られた存在であると考えられます。ドクターの方が主人なのは、彼女が使役される側として生み出されたからでしょう。
 テラには原生生物がいました。それがティカズ、いまのサルカズです。サルカズの一部は「アレ」によって操られ、サンクタになってサルカズを攻撃するようになりました。すべてのサンクタは光輪によって繋がっているらしいです。「アレ」は神の名をかたる自我のない機械であると保存者は言っていました。
 あとからテラに現れたのが神民と先民です。動物の特徴を身体に宿す彼らも、サルカズを毛嫌いして迫害しました。源石の力で神民と先民が生まれたようなことを仄めかす記述が散見されるのですが、確定的なことはまだわかりません。

4. 弁論

 保存者はドクターとケルシーに「弁論」を仕掛けてきました。
 「弁論」を行った理由は2つ。1つはクリステンにエネルギーを与えたのが正解だったのか否かについて意見が割れたため。2つ目は保存者が考えている未来の計画を話し合うのに相応しい相手かどうかを見極めるためです。
 「弁論」という行為が具体的に何だったのかというのは正直よくわかりませんでした。お互いを探り合うためのものであり、石棺で眠る人のバイタルをチェックするためのものだと言われていました。己の抱えている内なる命題と向き合って、答えが出せるかどうかを問われているような雰囲気を感じました。
 ドクターが問われたのは「バベル時代と人格が変わってしまった」とされている点がメインだったように思います。それに対してドクターは、「ずっと変わらず自分は自分だ」という答えに辿り着き、それがこのあとも心の拠り所になっていきます。「弁論」の中のテレジアは、その言葉がドクターの人生で最も重要な注釈になると言っていました。
 この回答はプレイヤーが置いてけぼりになるような構造になっていて面白いなと思いました。我々の目線だとバベル時代のドクターは自我を持っていて操作不能で、チェルノボーグで目覚めた後のドクターとは明らかに異なると感じているからです。まだバベルのことは分からないことが多いので、今後明らかになるかもしれませんが。
 ケルシーが「弁論」で向き合った問題はより難解でした。リリアの言っていたことはケルシーの使命について。その後、時間という名の聖山を登り続ける巡礼者と、ケルシーに語り掛ける巨大な骸や「生命」にも出くわしていました。
 「生命」はケルシーがすでに決心していると告げます。信頼できる相手を手放しで信じ、自分が背負っている責任を仲間に預けろと語ります。
 ケルシーは明確な答えをすぐには出しませんでしたが、少しあとの話題で言っていた「ロドスの一員としてテラのために行動する」というところが答えだったように感じました。彼女が作られた意図を放棄し、ドクターやアーミヤと一緒にテラのために戦うのです。



5. 文明の存続と魔王

 保存者が文明の存続について言及するシーンがありました。
 テラの奇妙な在来生物であるティカズの王様テレジアは、文明の存続の真実にかなり近づいた人物でした。歴代の王の中でも魔王の力を強く引き出すことができたことが語られてきましたが、それはすなわち保存者の文明の時代からやってきたこのアイテムの正体に近づいていたということでもあります。ケルシーは長きに渡るテラでの活動の中で、テレジアの出現は最大のチャンスだったと言っていました。
 保存者は文明の存続がまだテラに残されていること自体に驚いていました。非常に長い年月が経過しているので、壊れてしまったとでも思っていたのでしょうか。
 文明の存続はいまアーミヤが所持しています。記憶や感情を読むことができるのはものすごい力ですが、それだけで何ができるのだと保存者は懐疑的でした。リーダーには圧倒的な戦闘力が必要なんじゃないのかと。
 それに対して、知識、文化、歴史といった文明を「継承」することが人類にしかできない偉業なのだとケルシーは返していました。いつの日か黒い王冠はアーミヤ1人のものではなくなり、誰かが「継承」していくのだと。


6. アイディアと希望

 テラに残された希望について。
 「弁論」を経て保存者はドクターとケルシーを認めてくれました。彼がクリステンと語り合ったことを教えてくれました。
 クリステンは保存者に出会い、数か月に渡って延々と質問を投げかけ続けました。頭の良い彼女はこの世界の成り立ちを大体理解したことでしょう。保存者の方もまさか地表の生物が自分を訪ねてくるとは思わず嬉しかったと言っていました。
 保存者はクリステンに触発されてとあるアイディアを思いつきます。しかし保存者は機械なのでそれを実行できず、クリステンも空への挑戦に忙しいのでその計画の実行者になることを拒みました。宙ぶらりんにアイディアだけがある状態です。
 その計画というのが方舟を作るというものでした。いまのテラは争いが絶えない世界ですが、その中でも団結できる人々を集めて乗り込もうと。
 アークナイツ(明日方舟)は重厚な物語が展開され続けていますが、タイトル回収が行われてきませんでした。ここにきてようやく、ストーリー上重要な意味を持つ形で「方舟」という言葉が出てきて、物語の全体像がうっすらと窺えるようになりました。
 単純に考えるならばロドスが方舟になるという筋書きが思いつきます。しかし、「孤星」と同時に実装されたケルシーのコーデ「名残」のボイスから、少なくともロドス=方舟ではないようだということはわかります。

 闘争の血脈シリーズはIFの世界線の記述も混じるので、このコーデボイスを詳細に見ていくことはここでは控えます。(というかぶっ飛んだ情報が多いのでカオスになってしまう…)
 話を戻します。方舟を建造するという未来へのアイディアが出て、テラに残された希望についても語られます。
 ローキャンが残した石棺の研究成果は、テラの技術レベルを変えていくことになるでしょう。チェルノボーグにも石棺があったように、ステイシスホール以外の場所にも石棺が残されているのかもしれません。
 エーギルは高度な文明を築いており、保存者のようなテラの外の文明の技術を吸収しているようだと言われていました。
 ナイツモラの偉業にも触れていました。大昔に悪夢のケシクが行った征服は、テラの常識を覆すものだったようです。
 サーミの北側には何かあるとずっと言われてきましたが、保存者とケルシーは扉があるのだと言っていました。この扉は現在のテラの技術力では開くことができません。しかし、必要に迫られたら開くべきだと保存者は言っていました。


『アークナイツ:エンドフィールド』特別PV「タロⅡ:目覚め」 - YouTubeより

 アークナイツ:エンドフィールドのPVの中で、テラの最北に転送ゲートがあるという表現が出てきました。テラを脱出しなければならなくなったとき、この扉を開けて異なる星への転送が行われるかもしれません。
 鉱石病、海の怪物、北限の悪魔、そして国同士の戦争。テラが滅びてしまうような事態に遭遇した際に、人類が採れる選択肢がいくつか提示されたことになります。アークナイツがどこまでを描いてくれるのかはまったくわかりませんが、物語の遠い未来の一形態を我々は知ることになりました。


7. プリースティスと源石

 プリースティスについても少しだけ語られました。
 ドクターが保存者に「源石とは何なのか?」「プリースティスとは誰なのか?」という質問を一緒に投げかけたとき、保存者はその2つの質問に大きな差はないと答えていました。この2つは近しいカテゴリの話題であるということがわかっただけでも我々にとっては収穫です。
 プリースティスは源石という狂気のはじまりなのだと保存者は言っていました。源石を作った人物とは言わなかったので関係性はまだ謎です。
 源石は無数にあった答えの1つという表現がされていました。答えを出す必要があったのがフリストンの文明の崩壊のタイミングだったのか、それとも別の問題に対してなのか。少なくとも源石はわけのわからない未知の物体というわけではなく、フリストンの文明が意図をもって利用しようとしていたものだという想像がつきます。
 源石は「統一」や「もう1種の存在の状態」を意味するのだそうです。源石の問題はアークナイツがスタートしたときからロドスが取り組み続けているにも関わらず、保存者が言っていたことはよくわかりません。記憶を蓄積するものだと言われることもありますが、それにすら繋がりません。
 ドクターはプリースティスと親密な関係にあったと保存者も言っていました。「VIGIRO」でドクターとプリースティスが並んで夕陽を見ているシーンがあったので驚きはしませんが、断片的な記憶ではなく明快な言葉になりました。
 保存者はドクターがこの時代に出現したことと、記憶を失っていることには理由があると明言しました。一方で、バベルの時代には保存者は地表に興味を持っていなかったため、ドクターの過去は本当に知らない様子でした。
 バベルのことをよく知っているのはケルシーですが、ケルシーにも喋れない理由がありました。プリースティスが禁じているらしいです。もったいぶっているだけではありませんでした。


8. フリストンの記憶に映ったもの

 保存者の消滅の際の出来事です。
 保存者はケルシーに依頼をして、はじめにあった自分の記憶と感情だけを残して記憶を消去してほしいと頼みました。システムではなく、人間として死にたいということです。
 ケルシーの正体は保存者のあり方に似ているようです。しかしケルシーは単なる機械ではなく、感情も持っています。そこが2人の間に横たわる差であり、ケルシーは自分がそういう存在であることに感謝していました。
 記憶の消去が行われているとき、ホルハイヤがステイシスホールに入ってきました。保存者はホルハイヤに映像を1つ見せます。
 フリストンと思われる男性が娘と水辺で戯れているシーンでした。娘はクリステンに似た金の長髪だったそうです。
 ホルハイヤは空に浮かぶ月を見ました。とてつもなく巨大な月が1つだけ浮いていたことに驚き、不思議なことにその月のことをテラだと彼女は認識しました。フリストンの文明の惑星エンジニアが作った人工の月が、元の星から見えていたと考えられそうです。

 テラからは月が2つ見えるため双月と言われています。これは阻隔層があるせいなのかなと思っていたのですが、クリステンが阻隔層を突き破っても、真実の双月が見えたと記載されていました。結局、月は1つなのか2つなのかどっちなんでしょうね…。


9. クルビア大統領マーク・マックス

 クルビア大統領マーク・マックスはフリストンと関係がある人物でした。
 大統領はフリストンのことを父と呼びました。フリストンには娘がいることはわかっていますが、大統領からは男性らしさを覚えます。どういう関係性なのでしょうか。
 大統領にとって自身のルーツに関わるものはテラにはほとんど残っていません。保存者は数少ない関連物だったのですが「孤星」で逝ってしまいました。残るはロドスにあるPRTSぐらいだと言っていました。ケルシーやドクターとはまた別のカテゴリなのでしょうか。
 大統領はすべての意志を統一して、クルビアがテラにとっての矛であり盾のような存在になるのだと意気込んでいました。軍事力をもってテラの世界の主導権を握っていきたいということでしょう。フリストンは暴君の誕生など望んでいなかったとケルシーは告げ、彼とロドスの対話は決裂しました。
 クルビアの国民たちは自分たちの大統領をコンピュータかロボットだと思っています。決して判断を間違えないとともに、寿命で交代しないからです。しかし見た目はハトです。
 見た目だけで言えば、大統領はエンペラーや大祭司などの獣主に近いです。エンペラーもとんでもなく長い寿命を持ち、撃たれてお腹に穴が開いても平気な様子でした。大統領もそういう様子を見せるのでロボットだと思われたのかもしれませんし、エンペラーたちも生き物ではなく全員ロボットなのかもしれません。いまだによくわかりません。


感想

 ここからはただの感想です。
 「孤星」は空を探求する天才科学者を中心としたSFチックなお話と、積み上げてきたアークナイツの設定の根幹に迫るような内容が、保存者という存在を通して交差する壮大なお話でした。本当に面白かったです。
 アークナイツの世界観設定は、いままでよくわかっていなかったことの方が多く、それゆえに想像する余地も大きいものでした。地球の数万年後の姿なのかもしれないし、バーチャル空間での出来事なのかもしれないと思ったこともありました。
 「孤星」で明かされたヒントから、テラの正体について大まかな推論が立つようになりました。99%はワクワクの感情なのですが、1%は寂しさを覚えている自分がいます。
 それは想像の余地が狭まったからかもしれませんし、アークナイツの壮大さに足がすくんだからかもしれません。宇宙を目の前にすると、人間1人の存在などあまりにも小さいものです。無力感に近い感情なのかもしれません。
 突然広がった世界観に対して、今後の目標や物語が到達する未来の姿も仄めかしてくれたことが、とてもバランスがとれている展開の仕方だなと思いました。広々とした世界に放り出されても、やるべきことが提示されていれば人は進んでいけます。
 テラの外側や、大昔にあった文明のルーツが明らかになったとはいえ、我々がアークナイツで向き合っていくのはあくまでいまのテラを生きる人々。オペレーターたちと力を合わせて、テラの世界を救っていくことに今後も注力していくことになるでしょう。私個人としては、目線をどのレベルに持ってくるか気を付けながら物語に向き合っていきたいなと思っています。
 メタ的な演出が入る際に、「ロドスでの日々やオペレーターたちと過ごした時間を思い出せ」といった警告が度々出るのは、アークナイツの物語が大事にしているものを示してくれているように思います。






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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 孤星 前編 <ライン生命編>

 2023年11月7日からスタートしたイベント「孤星」のストーリーを整理していきます。
 「孤星」の考察記事は前編・後編に分かれています。この記事は前編のライン生命編です。クリステンの計画が人々をどのように揺るがしていったのかを追いかけます。


 後編はこちらです。どちらから読んで頂いても大丈夫です。 
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1. 過去

 イベント時系列より過去の話からスタートします。

1-1. テラの空への挑戦

 物語の発端はクリステン・ライトの幼少期から始まります。
 クリステンの両親であるライト夫妻も科学者でした。彼らは飛行ユニットの研究に勤しみ、空を飛ぶ研究の草分け的存在でした。画期的な輸送技術として確立できれば人類に大きく貢献できると期待されていたのですが、夫妻は飛行高度の引き上げにこだわってチャレンジし続けました。
 20年前、夫妻の乗った飛行ユニットは最高高度である6152.31メートルを記録するのですが、その直後に機体が大破して亡くなりました。高度を引き上げたところで得られるメリットは薄く、夫妻の事故は投資家たちを怒らせました。意味のない挑戦によって、投資したお金が返ってこなくなってしまったのです。
 夫妻が存命のときから反科学の陰謀論者から守っていたのがヤラ・ブッカー・ウィルソンでした。大女優であり投資家でもあった彼女ですが、裏の顔はマイレンダーのエージェント。両親が亡くなったとき、幼いクリステンの目に宿る炎が忘れられず、クリステンを支援することにしました。のちにマイレンダーを離れてライン生命に入社することになります。
 クリステンは両親から才能も野心も受け継いでいました。世間から白い目で見られていた空への挑戦を自分が引継ぎ、両親のように目標に向かい続けて死んでもいいという覚悟で研究をしていました。
 さて、ライト夫妻の乗った飛行ユニットに何が起きたのか。テラの上空には阻隔層と名付けられた層があり、ここに入ると物理的に様々な影響が発生し、それ以上の上昇を阻みます。ウルサスの詩人はこの層を優雅に「星のさや」と名付け、その名称がある程度浸透しているのですが、阻隔層の科学的見地からの解明は進んでいません。
 阻隔層は光を捻じ曲げると言われており、星々の観測に影響を及ぼしていると考えられています。アーツユニットは層に入ると動かなくなるのですが、天災雲は阻隔層よりも高い地点で凝結し、源石結晶は層を貫通して降ってくるらしいです。謎だらけ。
 ちなみに、PVに描かれていましたがテラで一番高い山はカランド山の5653mだそうです。エベレストの標高が8849mであることを考えると控えめで、阻隔層があるのでそれ以上の高い山は存在しないのかもしれません。
 我々が地球で利用する旅客機は高度8000m-12000m付近を飛びますし、人工衛星は高度200km-1000kmを周回します。テラの文明が発達しようとも、阻隔層のせいで空に関する技術革新は制限されている状態なのです。


1-2. ライン生命の創立

 成長したクリステンはライン生命を立ち上げます。
 トリマウンツ工科大学でクリステンはサリアに出会い、2人でラインラボを立ち上げます。そこへ自身の研究テーマに行き詰っていたミュルジスが合流。エルフという超稀少種族の彼女は自分の居場所を探しており、クリステンとサリアとの出会いはかけがえのないのものになりました。
 その後、ヤラの後ろ盾によってラインラボは現ライン生命という企業へと形を変えました。フェルディナンドとバルヴィスが合流して科学研究課の骨格ができ、ヤラが入社して人事調査課の主任を引き受け、さらにエンジニア課・商務課・科学考察課が作られました。ドロシーが入社してきたのは最近のことです。
 科学考察課の主任はまだ出てきていません。マゼランが所属していることがわかっているのみです。この課はクリステンが投資家の反対を押し切って作られました。テラの極地を探検したり、遺跡を探索するための課なのですが、そんなものはお金にならないと反対されていたのですね。
 最近クリステンは文献学の顧問としてホルハイヤを招聘しました。ホルハイヤはマイレンダーのエージェントで、ヤラの後任という扱いになっています。


1-3. ホライズンアーク計画

 クリステンはクルビア国防部と共同でホライゾンアーク計画を始めます。
 ホライゾンアーク計画は破壊兵器を作るプロジェクトです。莫大なエネルギーを貯蔵できるエネルギーウェルと、高度5000mに浮かぶフォーカスジェネレーターから成ります。エネルギーウェルは上空に向かってエネルギーを打ち出し、フォーカスジェネレーターが角度を変えて地上の目標を攻撃します。
 ロンディニウムにザ・シャードが現れ、遠くの目標を攻撃できるようになったため、クルビア国防部は対抗策を求めていました。ボリバルの戦争に介入して失敗し、国民の信用を失ってしまったことも国防部は引きずっていました。そこにクリステンはホライゾンアーク計画を提案。国防部はこれに飛びついたのです。
 「翡玉の夢」の359号基地事件の2年ほど前から、クリステンは表舞台にあまり出てこなくなりました。この計画を進めるためです。
 後述しますがクリステンはホライゾンアーク計画を破壊兵器として使わせるつもりはありませんでした。クリステンの目論見通り利用するためには莫大なエネルギーが必要なのですが、エネルギーの入手経路に目途がついたのでこの計画を始めたのです。それが保存者との出会いでした。
 クルビア国防部はクリステンに大量のリソースを提供し、ホライゾンアーク計画は順調に進んでいきます。ジャクソン副大統領は科学者を支援する姿勢を打ち出すためにこの計画を発表しようと構えていました。


1-4. 星の庭計画

 ホライゾンアーク計画は見せかけの隠れ蓑に過ぎず、星の庭計画というのが本来の名前でした。
 クリステンはチャージしたエネルギーを地上に向けるつもりはなく、阻隔層を切り裂き、その向こう側を探索しようとしたのです。この計画を実現するには大きな障害が2つありました。
 1つ目の障害は必要なエネルギーの大きさです。阻隔層を突き抜けるには地上の目標を破壊するよりもさらに大きなエネルギーが必要です。それはテラの文明レベルでは到底集めきれないほどの莫大な量です。クリステンは保存者から石棺が持つエネルギーを使わせてもらえることになり、この問題を解決しました。
 石棺は別の目的にも使われました。クリステンはローキャンに生命維持装置として研究させました。彼女は健康体なのですが、宇宙空間に飛び出したあとに、自分が眠るために必要だったのです。
 2つ目の障害はエネルギー制御です。星の庭計画では石棺から得た規格外のエネルギーを精密にコントロールする必要があります。この課題を解決したのが伝達物質でした。フェルディナンド率いるエネルギー課と、ドロシー率いるアーツ応用課の共同開発で生み出されたのがこの伝達物質でした。
 ドロシーは人の意識を統合する研究に伝達物質を利用して359号基地事件を引き起こしてしまいました。一方パルヴィスは伝達物質でエネルギー制御を行う研究を行い、計画の障害を取り除きました。
 他にも、計画で使われる実験機器はエンジニア課主任のナスティの傑作であり、クルビア国防部を欺くために商務課主任のジャスティンJr.も奔走していました。ミュルジスは源石に強く影響を受けてしまうテラのエルフを救うべく、宇宙で生命が生きられるかどうかを探ろうと、生態研究園をフォーカスジェネレーターの中に作ってもらいました。
 このようにライン生命の主任たちの英知を結集したのが星の庭計画だったのです。



2. イベント時系列(打ち上げ前)

 イベントの時系列へと入っていきます。まずはフォーカスジェネレーターの打ち上げ前まで。

2-1. クリステンの失踪

 ホライゾンアーク計画が佳境を迎える中、クリステンの行方が掴めなくなってしまいました。
 もともと計画がスタートして以来、表舞台には出てこなくなっていたクリステンですが、イベント時系列では計画に協力していたクルビア国防部すらも居場所を掴めなくなりました。しかも建設中のフォーカスジェネレーターも一緒に消え失せてしまいます。
 ホライゾンアーク計画を担当していたブレイク大佐は困りました。クリステンの居場所が分からないだけなく、彼自身にもクリステンとグルなのではという裏切りの嫌疑がかかってしまったからです。
 ブレイクはジャクソンに会いに行き、トリマウンツから離れてくれと要望しました。副大統領が都市に滞在していると軍は強硬手段でクリステンを探せないからです。しかしジャクソンは決断を先延ばしにし、トリマウンツを離れるどころかライン生命を視察に行くと言い出しました。クリステンを庇うスタンスを表明したことからブレイクはジャクソンをアテにできないと考えます。
 クルビア政府と連合議会は国防部を弱体化させたいと思っています。ボリバルでの敗北以降、連合議会はクルビア軍を抑圧することに注力してきました。軍の失態は自分たちの利益。クリステンが暴れてくれるのは彼らにとって好都合なのです。
 そんなブレイクに協力を申し出たのがフェルディナンドでした。359号基地の件でクリステンに盾突いた結果、事件の首謀者としてライン生命を追放されることになりました。クリステンは伝達物質を自身の計画に利用したいと思っていたので、359号基地のときはフェルディナンドを泳がせるだけ泳がしておき、伝達物質の有用さを確かめていました。
 フェルディナンドはクリステンを止めないとライン生命が無茶苦茶にされてしまうと考えています。この見立てはおおむね真相と近く、彼は自身が心血を注いできた会社を守るべく、国防部に手を貸してクリステンを見つけようとしていきます。


2-2. 空からの落下物

 あたふたする国防部を煽るように、空から落下物が落ちてきます。
 フォーカスジェネレーターのテストのために打ち上げた機械が空から落ちてきてしまいました。阻隔層のいつもの問題にぶち当たったとナスティは言っていました。想定通りだったらしく、クリステンはホルハイヤにブラックボックスの回収を頼み、ナスティがそれを解析して結果をチェックしていました。伝達物質はナビゲーション用の素材として有効に働いたらしく、この実験を経てナスティは計画のペースを上げます。
 落下物はトリマウンツの工場に墜落しました。現場を見に来たサリアはブリキと出会い、マイレンダーもこの件で動いていることがわかりました。
 ドロシーから伝達物質の調査を頼まれたサイレンスは、手がかりを求めて事故現場へ赴き、そこで伝達物質がかすかに反応する様子を見ます。制御で使っていたので痕跡が残っていたのでしょう。国防部に見つかってしまったサイレンスはヤラに助けられ、淬羽サイレンスの姿へとイメチェンしてもらいました。
 サイレンスはこのあとも伝達物質の反応を追いかけて、師匠であるパルヴィスのもとへ辿り着きます。パルヴィスはこのときすでにクリステンに協力していますから、サイレンスが真相に近づかないように煙に巻こうとしました。


2-3. 副大統領暗殺未遂

 ブレイクは副大統領の暗殺という強硬手段を使ってクリステンの居場所を炙りだそうとしました。
 ジャクソン副大統領は国防部とは逆側のスタンスだとわかりました。ブレイクにとって彼は邪魔です。また、クリステンはトリマウンツのどこかにはいるはずです。クルビア軍がトリマウンツを大規模に制圧する理由さえ作れれば、ブレイクはクリステンを見つけられると考えました。
 そこから導き出されたのがジャクソンの暗殺計画でした。仮に暗殺が失敗したとしても、大きな騒ぎが起きれば軍が出動する理由になります。暗殺計画は急ごしらえのものと自分で認めていましたが、ブレイクにも勝算がある行動でした。
 結果的にはマイレンダーが一枚上手でした。国防部の暗殺者は騒ぎになる前にマイレンダーのエージェントに制圧されてしまいました。マイレンダーはメディアも抱き込み、何事もなかったかのように報じられてしまったのです。
 ライン生命の中での暗殺阻止を依頼されていたロドスでしたが、ロスモンティスとサリアが潰したパワードスーツはフェルディナンドが出動させていたものでした。フェルディナンドはブレイクを裏切って計画を止めようとしており、妨害を受けた刺客もいたのだとか。ライン生命を訪問中に副大統領が暗殺されたとなれば、ライン生命はただではおかれませんから。
 警備課の記録よりパワードスーツが2台多く出動しており、中に入っていた2人は副大統領を爆殺しようと地下に潜っていました。そこもイフリータが目を光らせており、爆発はしたものの工作員は救出されました。

 

2-4. ジャクソンの手腕

 ジャクソン副大統領の暗殺を巡ってクルビア陣営は崩壊するかと思いきや、ジャクソンの手腕で立て直されました。
 ブレイクの暗殺計画失敗は国防部の失態です。クルビア連合議会はここぞとばかりに軍基地の撤廃法案を通そうとするのですが、ジャクソンはそこに待ったをかけます。
 暗殺されかかったにも関わらずジャクソンはブレイクと再度面会し、ブレイクからの譲歩を引き出しました。国防部とマイレンダーが手を組んでクリステンを捜索できる体制を作ったのです。クルビアにとって最大の利益となる形で、関係各所を調整したのです。
 クルビア側が整ったとはいえ、国防部にとって暗殺を邪魔してきたロドスは敵です。サリアが狙撃されてしまったのと、ライン生命オフィス内でドクターも国防部に捕まりそうになりました。それぞれヤラとミュルジスが助けてくれて事なきを得ました。
 その後、ドクターとロスモンティスのもとにローキャンがやってきます。警戒心マックスだったロドスの面々に彼はすぐ追い返されてしまうのですが。


2-5. ホルハイヤの裏切り

 マイレンダー内部に亀裂が走りました。
 上級エージェントとしてマイレンダーのために働いていたホルハイヤが、突然上司のブリキを裏切り、殺そうとしました。金属の身体を持つブリキを殺すために、ホルハイヤはナスティと協力しました。
 彼女たちはそこまで仲が良いわけではありません。2人がなぜ手を取り合ったかと言えば、どちらもクリステンのために動いているので一時的に利害が一致したのです。
 ホルハイヤはマイレンダーの図書館に足を踏み入れた際に、サルカズ王庭の資料を見つけました。そこでサルカズであるブリキにも効果的なバンシーの呪術を知ります。バンシーであるナスティは、工事現場の騒音の中に呪術を隠し、ブリキを攻撃しました。
 頭が取れてしまったのでブリキはやられたものと思われました。マイレンダーの代表を殺害した罪を2人はドクターになすりつけ、以降ロドスはマイレンダーのエージェントに追われる身となります。ブリキは死んでおらず、これ以降ホルハイヤの真の狙いを探るために泳がせます。


2-6. クリステンの居場所

 クリステンの居場所が徐々に絞り込まれていきます。
 ロスモンティスはローキャンと決着をつけたいと願いました。ドクターはローキャンの居場所を知るためにミュルジスと会話をします。その中で、彼女のエルフとしての境遇を知ることとなります。
 ミュルジスはドクターのことを信頼し、ナスティに嘘をついてフォーカスジェネレーターの位置を聞き出しました。フォーカスジェネレーターにはミュルジスのための生態研究園が搭載されており、クリステンと一緒に空に飛び立つ覚悟ができたとナスティに伝えたのです。ローキャンも石棺の生命維持装置の研究のためにフォーカスジェネレーターの内部にいます。
 ローキャンは自身のラボにロスモンティスを招き入れました。研究資金のために非道な実験に手を染めたことを彼は自覚しており、ロスモンティス本人にその罪を裁いてほしいと願います。最高傑作である彼女の脳裏に、自分の存在を刻み付けたいと。ロスモンティスはイフリータに説得されて思いとどまり、結局ローキャンは老衰で亡くなりました。
 サイレンスは伝達物質を用いてクリステンの居場所がわかることをフェルディナンドに告げ、国防部の戦力とともにクリステンの元へと連れて行ってほしいと願い出ます。フェルディナンドは当初の計画書を読み、この推進器ではフォーカスジェネレーターは飛べないのではと疑念を深めます。
 サリアとイフリータはサイレンスと別れたあと、ホルハイヤと遭遇します。フォーカスジェネレーターは発射準備を整えました。ホルハイヤは時間を稼ぐという任務を完遂したので、クリステンから報酬として石棺の研究データを受け取りました。石棺の力で大昔の偉大なクルルカンの姿に戻ろうとしたのです。


3. イベント時系列(打ち上げ後)

 フォーカスジェネレーターが飛んだところから、後半戦として見ていきましょう。

3-1. フォーカスジェネレーターの打ち上げ

 フォーカスジェネレーターがついに打ちあがります。
 クリステンはフォーカスジェネレーターをトリマウンツのゴミ捨て場で建造していました。本来はエネルギーウェルの周辺で作られる予定であり、ジャミング装置のせいで見つけられなかったようです。両親が遺した推進器を搭載してあったのもかく乱に一役買いました。
 ミュルジスはフォーカスジェネレーター内部に作られた生態研究園を見て、クリステンが約束を守ってくれたことを知ります。ナスティに連絡した際は嘘をつきましたが、ここでは本心から覚悟が固まり、クリステンと一緒に空へ飛び立ちました。
 サリアとフェルディナンドはクリステンを止めることを諦めず、国防部にあった点検用の飛行ユニットでフォーカスジェネレーターを追いかけます。その後ろを軍の高性能ドローンでブレイクたちが猛追してきました。
 一方のサイレンスは伝達物質の導きに従い、エネルギーウェルに辿り着きました。クリステンを止めるにはエネルギー供給を止めてしまうという手が考えられるのですが、ステイシスホールから流れ込むエネルギーの奔流は止められません。
 ケルシーはドクターを連れてステイシスホールに辿り着きました。遺跡を調べて自力で辿り着いたのです。一方、クリステンから住所を聞いたホルハイヤもこの地へとやってきて、さらにホルハイヤを泳がせていたブリキも姿を現しました。


3-2. 保存者との邂逅

 ステイシスホールでのやりとりを見ていきます。
 マイレンダーはロドスを敵とみなしていたのですが、ブリキはクルビア大統領からの指示でロドスを支援することになったと言っていました。ステイシスホールではMon3trを使えないらしく、ケルシーはホルハイヤに苦戦していたのですが、ブリキのおかげで助かりました。
 ケルシー曰く、ステイシスホールにいる保存者に会わせられるのはドクターのみ。この遺跡はサルカズとは関係がないので、ブリキにも遠慮するように言っていました。
 ケルシーは保存者に会う前から経緯を把握していたようですが、会話の中で答え合わせが行われていきました。クリステンが考えた計画は、阻隔層を打ち破れるだけの強大なエネルギーがないと成り立ちません。テラの文明レベルでは短時間に賄い切れないので、大きな何かが彼女に力を貸しているのだろうとケルシーは想像しました。それはテラに予期せぬ事態を招くのでケルシーとしてはストップしたかったのですが、間に合いませんでした。
 ケルシーがドクターに助力を求めたのは、ドクターが保存者と同類だからとのこと。このあたりは後編で詳しく記載しますので、ここでは割愛します。このあと保存者はケルシーに依頼し、自身の人間だったころの記憶以外を消して消滅する道を選びました。


3-3. エネルギーウェルの戦い

 サイレンスの戦いを見ていきます。
 伝達物質の反応を追いかけてエネルギーウェルに辿り着いた彼女を待っていたのはヤラでした。クリステンの計画が成就してほしいと願っているヤラはサイレンスの前に立ちはだかりますが、サイレンスの考えは固く、道を譲ることになりました。
 サイレンスがクリステンを止めようとするのは科学と人間のためでした。代償を伴ってでも科学を推し進めるクリステンが英雄視されるようになると、後を追う研究者が続出し、酷い事態になってしまう。科学は人間がコントロールできる範囲で進めていくべきなのだとサイレンスは主張します。
 ヤラはサイレンスの懸念を理解してくれたものの、クリステンもヤラもライト夫妻が事故にあった日から後戻りできなくなってしまったと言っていました。サイレンスはヤラを打ちかまして深部へと駆けていきます。
 伝達物質が指し示したのはエネルギーウェルの中の実験室でした。そこにいたのは恩師のパルヴィス。彼はクリステンの計画を手伝うとともに、この計画を自身の研究にも活用しようとしていました。
 パルヴィスの研究は人工の意識を作り出すのが最終目標らしいのですが、伝達物質はドロシーがやって見せたように人の意識に作用できます。ノイズに悩まされているのですが、莫大なエネルギーが通過するいまの瞬間だけ、ノイズを拝した理想的な環境が出来上がるということで彼は興奮していました。
 パルヴィスが研究の参考にしたもののなかにレヴァナントがあり、ブリキという人物の謎がここで明かされることになりました。レヴァナントはサルカズの1つの種族の名前。長い寿命を持つとともに、精神だけの状態で存在できるという特異な能力を持ちます。ブリキは金属の身体に精神だけ宿ることで生きているものと思われます。メインストーリーでも別の物体に宿ったレヴァナントが出てきます。
 サイレンスは伝達物質のメインコアを破壊しました。彼女はヤラに言ったようにクリステンの研究を止めなければなりません。パルヴィスに恩はあるものの、科学に対する姿勢も大きく食い違ってしまっています。
 伝達物質のメインコアが破壊されてエネルギーウェルは制御を失うと思われたのですが、パルヴィスが予想外の行動に出ました。欠損した分を自分の意識で埋めようとして、彼の意識は伝達物質に飲み込まれ、彼の身体に返ってくることはありませんでした。
 クリステンの計画を止められず、師匠を喪ってしまったサイレンスはその場にへたり込むのですが、イフリータが助けにきてくれました。サイレンスは1人ではありません。イフリータは全編を通して目覚ましい活躍でしたね。


3-4. 星の庭の戦い

 上空での最終決戦です。
 サリアとフェルディナンドは点検用の飛行ユニットでなんとかフォーカスジェネレーターまでたどり着きました。
 後ろからブレイク率いる国防部がやってきたのですが、フェルディナンドが相手をしてくれました。クリステンを止める役目はサリアに託します。フェルディナンドはフォーカスジェネレーターの図面を手に入れていたため、脱出ポッドの位置を把握しています。ブレイクたちはフェルディナンドを殺せません。
 サリアはコンポーネント統括課の職員をかわして、ミュルジスのいる生態研究園へとたどり着きます。クリステンはミュルジスの希望通り生態研究園をフォーカスジェネレーターの内部に作ってくれたとともに、実験に使いたかった753種のすべての植物を揃えていてくれていました。ミュルジスはクリステンを止めようとするサリアを食い止めようとします。
 しかし生態研究園は崩れかかっていました。クリステンはミュルジスを道連れにするつもりは最初からなく、どこかのタイミングで脱出してほしいと思っていたのでしょうか。サリアはミュルジスをかわし、クリステンのもとへとたどり着きました。
 サリアとクリステンの対話は、サイレンスとヤラの対話に似ていました。サリアは行き過ぎた探究の姿勢は混乱をもたらすと懸念をしているのですが、クリステンは渇望する人類の力強さは止められないと主張します。サリアはクリステンが用意した防御システムを打ち破るのですが、サリアが止めにくることを予期して彼女を落とすためだけの扉を用意していたクリステンの勝ちでした。
 星の庭は阻隔層にビームを打ち込んで切り裂き、見事に宇宙へと進出。クリステンはローキャンが用意した生命維持装置で眠りにつきました。


3-5. 保存者の記憶を巡って

 ステイシスホールでのやりとりにも決着がつきました。
 保存者は記憶の大部分を失って消滅したのですが、消えゆく保存者の記憶をホルハイヤが持って帰ってきてしまいました。これがロドスとクルビアの関係の火種となって残ります。
 クルビアの大統領マーク・マックスは、副大統領の肩にとまっていた鳥だったという衝撃の種明かしがありました。副大統領だけ選挙をするのも変な話でしたからね。エンペラーたちと同様、長い寿命を持っている獣主と思われます。
 さらに驚きだったのは、マーク・マックスは保存者トレバー・フリストンを「父」と呼んだことです。一体どういう関係性…?大統領はホルハイヤが持ち帰った保存者の記憶を、修復してくれとロドスに依頼してきました。
 保存者の記憶はマイレンダーでは修復できないらしく、ブリキはロドスに手が出せなくなりました。ホルハイヤは保存者の記憶をドクターに渡したので、マイレンダーを裏切ったホルハイヤのことをロドスは守らざるを得なくなります。マイレンダーの支持を得ることができたロドス一行は無事にトリマウンツから出ることができました。
 ドクターは最後にミュルジスを助けにいきました。クリステンを失って孤独に沈んでいた彼女を、ドクターは理解して手を差し伸べました。保存者という同胞との別れを体験したドクターの言葉だからこそ、説得力があったのでしょう。ミュルジスはロドスを心の支えにしながら、ライン生命で働き続けることになりました。


3-6. トリマウンツ科学倫理共同宣言

 サイレンスの今後について。
 トリマウンツの科学企業の代表者を集め、サイレンスは「トリマウンツ科学倫理共同宣言」を発起しました。彼女とサリアが主張し続けた、倫理観を持った研究開発を監督する機関です。
 ライン生命からはジャスティンJr.、フェルディナンド、ナスティ、ミュルジスが来ていました。フェルディナンドは国防部を裏切った罪で投獄されていたのですが、ジャスティンJr.が看守を買収して助け出しました。星の庭で目にした高エネルギー状態に関する理論を論文にまとめあげ、ライン生命のエネルギー課の主任の座へと返り咲きました。
 ナスティはフォーカスジェネレーターの成功を受けて、空飛ぶ移動都市を構想しているようでした。それがサルカズの悲願にも繋がってくるとのこと。ミュルジスはその都市に生命力をもたらせると提携を持ち掛けていました。
 ライン生命の一研究員だったサイレンスが、このような表舞台に突然立つことができたのには当然理由があります。ヤラがブリキを紹介したのです。ブリキに会いに行ったサイレンスは、そこにジャクソンが同席していることに驚きました。マイレンダーとクルビア政府は、サイレンスの活動に価値を見出したのです。サイレンスの熱意に同調してくれたわけではないのだとサリアは釘を刺していました。
 いまではサイレンス自身も、自分の背後で様々な力が渦巻いていることを理解しています。自分は偶然、このポジションに立つのにちょうどよかっただけだと。しかし、自分の理想に近づけるならばそのような束縛も受け入れる覚悟があると、彼女はプロファイルの中で語っています。本当に頼もしい存在になりました。
 サリアはクリステンの後任としてライン生命の統括の座につきました。ライン生命が失ったものは非常に大きいのですが、サリアがトップに立てば少なくともいま在籍している社員たちは守られるでしょう。今後のクルビアの物語は、ライン生命の騒動がいったん落ち着き、保存者の記憶を巡るものへと変わっていくのかもしれません。





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