3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ニヤニヤ谷へ 編

 2024年7月9日開始のイベント「ニヤニヤ谷へ」のストーリーを整理していきます。

1. イベント前

1-1. フェンス事件

 レム・ビリトンの歴史を語る上で外せないフェンス事件から。
 レム・ビリトンのお話をするときは必ずと言っても良いほど言及されるのがフェンス事件です。レム・ビリトンがヴィクトリアと揉めた時のお話。「ニヤニヤ谷へ」の中でも少しだけ言及されました。
 サベージの回想秘録やレオンハルトのプロファイルでも言及があるので、それらの情報を繋ぎ合わせてみます。ただ、断片的な情報が多いので、何が起きたのか詳細に掴むことはできません。今後どこかでガッツリ描かれることがあるのかも。
 ヴィクトリアの商人がレム・ビリトン産の鉱物を奪って荒稼ぎをしていました。フェンスで封鎖した区画を作り、そこに囚人を送り込んで労働させていたのだとか。レム・ビリトンはオーストラリアがモチーフなので、ヴィクトリア(イギリス)との関係性が下敷きにされていることがうかがい知れます。
 レム・ビリトンの商人たちは元々は労働者の味方だったはずなのに、手のひらを返してヴィクトリア側についてしまいました。ヴィクトリアの伯爵も裏から手を引いていたようだと推測されていました。
 フェンスの中の採掘員を救ってくれたのはレオンハルトでした。この活躍により彼は小さな英雄と称えられています。フェンス事件を契機として、レム・ビリトンにはエウレカ自治州という行政区ができました。
 サベージはフェンスの外に締め出されて事件解決には貢献できませんでした。本来なら地元でもっと人望が厚い立場にあったはずが、フェンス事件で悪い影響を受けてしまったらしいです。しかし、その後エウレカ自治州の成立には大きく貢献して活躍したのだとか。
 フェンス事件に関連する出来事は今のところ結果に関する記述しかなく、何が起きたのか詳細はよくわかりません。ヴィクトリア商人の横暴をストップさせることができた、とざっくり捉えておけば良さそうです。


1-2. ロドス号の発掘

 レム・ビリトンはロドス号が発掘された土地でもあります。
 サベージの言動から判断するに、ロドス号が発掘されたのはフェンス事件よりも後なのかなと私は考えました。はっきりしないので、今後訂正するかもしれません。
 バベルはレム・ビリトンに埋まっていたロドス・アイランド号を掘り出しました。テレジア曰く、ロドス号は残酷な未来を回避する希望。大きなビジョンがあり、この船は必要とされたのです。
 ロドス号は地面の下に埋まっていたので、レム・ビリトン鉱業という鉱業会社に発掘を委託しました。作業員たちは2年かけてこの船を掘り出し、バベルへ引き渡しました。
 サベージはこの発掘作業の警備員をしていました。バベルから見るとあくまで委託先の従業員であり、彼女が作戦について詳しく知ることはありませんでした。
 サベージが初めてドクターとアーミヤに出会ったときの様子に言及されていました。ドクターは幼いアーミヤを連れてレム・ビリトンの荒野をトボトボ歩いていました。ひ弱なよそ者が小さな子供をつれて歩いている様子は、危なっかしくて見ていられなかったのだとか。
 一方、サベージのモジュールテキストには別の記述があります。鉱山の崩落に巻き込まれてしまったドクターとアーミヤを、サベージが救出したというエピソードです。出会ったあとで起きた事故なのでしょうか。
 バベル駐在中、仕事がないタイミングでサベージはアーミヤと話すようになりました。バベルにはコータス族がおらずサベージは心配していました。コータスは大きな親戚集団を作って暮らす風習がありますから。バベルのころはテレジア派のサルカズが多かったでしょうからね。
 また、ドクターとアーミヤの出会いについても語られました。昔のドクターは幼いアーミヤを破損した車両から救ってくれたそうです。事故か何かに遭ったのでしょうか。アーミヤが健やかに成長できるように努力すると言っていたそうで、サベージも昔のドクターのことを徐々に信頼するようになったのだとか。
 2年間の発掘作業が終わったあと、サベージは故郷の街へ帰りました。別れたあともアーミヤのことはすごく心配をしていましたが、バベルの消息は分からなくなってしまいます。


1-3. レイが見た大きな影

 発掘されたロドス号のその後の出来事です。
 レイはレム・ビリトンの狩人の一族の出身です。幼い頃、初めて隊での狩りに加わった際、運悪く酷い砂嵐に巻き込まれてしまいました。隊は方向を見失い、幼いレイは大人に背負われていました。
 朦朧とする意識で彼女が見たのが、大きな影、一筋の真っ白な光、そして優しい囁き声でした。レイは大きくて喋る謎の巨大生物を見たのだと思い込んで生きてきましたが、それが実は輸送中のロドス号だったというのが「ニヤニヤ谷へ」のクライマックスの1つでした。
 レム・ビリトン鉱業によって地中から掘り出されたロドス号は、バベルのメンバーによって運ばれていきました。サルカズの建設隊は、バレないように顔とツノを隠していたそうです。輸送中にたまたまレイたちの狩猟隊に出くわしていたのでした。
 心優しいテレジアは、狩人たちに声をかけてあげました。道を教えてあげたのかもしれません。「人は誰しも帰るべき家に帰るのが一番だ」というのはテレジアの口癖のようなもので、いままでも度々取り上げられてきました。レイはセリフこそ覚えていなかったものの、テレジアの声に勇気づけられたことを覚えています。
 レイが大きな生き物だと勘違いをしたのが輸送中のロドス号でした。発掘されたばかりのロドス号が生き物のように見えるというのは、他でも語られたことがあります。


1-4. ロドス号輸送隊の護衛

 ロドス号はどこに運ばれていったのか。ここは「闇夜に生きる」の内容です。
 バベルは発掘したロドス号をカズデルへ運び込もうとしました。レム・ビリトンを横断し、国境を越えようとしたのです。
 バベルは諜報員を駆使して護衛を集めました。カズデルで活動する傭兵部隊はこの任務にぴったりです。有力な傭兵団として名をはせていたヘドリーたちに声がかかりました。彼らも血で血を洗うような傭兵稼業から抜け出すチャンスを伺っていたので、バベルからの依頼を受けることにしました。
 傭兵たちには任務の詳細は伏せられていました。バベルが輸送しているものが何なのかも知らされません。しかしイネスは透視のアーツが使えるため、輸送物をちらっと見てしまいます。船のようなものだが、何かの骨格に見えると言っていました。レイと同じ感想を抱いたわけです。
 この輸送作戦が行われたとき、カズデルは内戦状態にありました。テレジアはテレシスに対抗するためにバベルを結成しました。バベルの動きを妨害しようとするのはテレシスの勢力です。バベルの諜報員の動きはテレシス側に筒抜けになっており、イネスとWはサルカズ軍の襲撃を受け、絶体絶命のピンチへ追い込まれました。
 テレジアはバベルのせいで勇敢な傭兵が命を落とすことをよしとせず、ケルシーと一緒に自ら戦場に降り立ちました。イネスとWは命を救われ、ロドス号にて治療を受けます。
 このあとヘドリーとイネスはすぐにロドス号を離れて傭兵生活に戻りました。何かに縛られ続けることは性に合わないと判断したのです。一方Wはテレジアに心酔し、ロドス号に残ってバベルのために働きました。
 その後、テレジア斬首作戦でバベルはテレシスに敗北。Wは再びヘドリーたちに合流して、サルカズ傭兵団はレユニオンに加わりました。Wはレユニオンの幹部としてのし上がった一方で、ヘドリーとイネスはチェルノボーグ事変でレユニオンを離れてヴィクトリアに向かいました。これ以降の流れはメインストーリーの通りです。


1-5. 昔のドクターとテレジア

 昔のドクターについて興味深い言及がありました。
 「ニヤニヤ谷へ」のラストシーンで、アーミヤはテレジアの記憶とシンクロし、バベルのころの逸話が口からこぼれ出ていました。
 テレジア曰く、ドクターは膨大な記憶を抱えているものの、いまのテラにはそれを紐解く術がありません。そのため「ドクター」という存在を、その記憶から定義することはできないのだとか。逆説的に、記憶がドクターにとってそれほど重要じゃないということになるので、記憶喪失になっているいまのドクターはそれほど深刻な状態じゃないと考えることもできるのかも。
 アーミヤは周りの大人たちが、ドクターが見たいと思っているものは二度と見ることができないと言うのを聞いたことがあります。昔のドクターは何を願って戦い、そしてそれは何故見ることができないのか。「孤星」で語られたように、他の文明の出身者であることを公言していたのでしょうか。
 ドクターの頭の中には様々なことが詰まっています。例えばドクターは"ロドス・アイランド"という名前が持つ本来の意味を知っているらしいです。しかし、掘り出されたロドス号の在り方は、テレジアたちや、後世でロドス号を受け継いだ人に決めてほしいと言っていました。
 テレジアはその話をアーミヤへと継承していたようでした。ロドスという組織の在り方については、アーミヤが今後決めていくことになるだろうと言っていました。実際メインストーリーの中でアーミヤはロドスのスタンスや流儀を何度も口にしており、彼女なりのロドスの理想像をはっきりと描いているように感じます。 


1-6. サベージの入職

 バベルを後にしたサベージがどのようにしてロドスに戻ってきたのか。
 サベージはロドス号に関する業務が終了したあと、故郷の街に戻ってきていました。元の鉱山警備員の仕事をしていました。
 帰郷から2年ほど経過したある日、大規模な鉱山事故が起きてしまいます。源石の爆発が原因でした。同僚が巻き込まれてしまったサベージは、必死に救援活動を行いました。
 源石が関わる事故ということで、連合医療部隊の一員としてロドスの医療オペレーターが参加していました。サベージはバベルがロドス製薬に会社名を変えたことを知りませんでした。偶然「ケルシー」の名前が会話に上り、そこからアーミヤがロドスのリーダーをやっていることを知ります。
 バベルを離れても、サベージはアーミヤのことを心配し続けていました。いまやアーミヤは会社を背負うCEOになったわけですが、サベージからするとそんな重荷を背負ってしまったアーミヤのことが尚更心配になります。サベージはロドスに加わる決意を固めました。
 チェルノボーグでドクターが助け出されたあと、ロドスでレム・ビリトン出身オペレーターを集めてパーティが開催された様子がサベージの回想秘録で描かれます。サベージはバベル時代のドクターを知っているのですが、当時のことをいまのドクターに話すことはできません。ケルシーと機密保持契約を結んでいるのです。ドクター本人も、話せないことがあることは承知しているようでした。
 サベージはバベル時代からアーミヤと深い繋がりがあった付き合いの長いオペレーターです。彼女が事前登録キャンペーンの配布キャラで、周年ごとに再配布が行われることにも、彼女の特異な立ち位置が反映されているように感じます。


2. イベント時系列

2-1. トレーラーに乗る理由

 ここからは「ニヤニヤ谷へ」のイベント時系列に入っていきます。
 この物語では登場人物たちがそれぞれの理由で都市間トレーラーへ乗り込みます。移動都市と移動都市を繋ぐバス路線として運行され、荒野の中を走っていきます。
 アランナはこのトレーラーの運転手。危険に満ちた荒野を長らく走ってきた彼女は様々な武勇伝を持っており、「荒野のアランナ」という異名を持ちます。しかし停車駅だった採掘場が閉鎖され、トレーラーもメンテナンスが必要になったため、路線を廃止してトレーラーを返却しようとしていました。朝一の便で、本社のあるアイアンキャロットシティへ向かおうとしていました。
 アランナと一緒に暮らしているのがウォーミーです。彼女は2年前に失踪した父親を捜しています。父がアランナのトレーラーを通勤に利用していたことからアランナに接触。一方アランナの方は、小さい子を世話するのは無理だと仲間に賭けられたため、ムキになってウォーミーを引き取ることにしました。2人は不思議な共同生活を続けています。
 最後の運行にお客として乗り込んだのがジェシーでした。彼は婚約者に初めて会うべく、アイアンキャロットシティを目指しています。親戚に勝手にセットされた結婚のため、彼の足取りは重いものでした。
 そして最後にバスジャック犯として乗り込んできたのがレイでした。2年もの間一緒に仕事をしていたサンドビーストが死んでしまって落ち込んでいた彼女は、もう一度ニヤニヤ谷の大きな影に会いたいと考えました。
 彼女は運転ができるので、欲しいのはトレーラーのみでした。朝一の便であれば乗客が少ないだろうと考え、1人でニヤニヤ谷へ行こうとしていたのですが、アランナとウォーミーとジェシーはついてきてしまいました。


2-2. 途中の移動都市にて

 ニヤニヤ谷へ向かう途中の出来事です。
 アランナは検問所でSOSを出そうと考えました。しかし感染者を捕まえて収容区へ送り込もうとしていた検査官に捕まりそうになり、トレーラーで強行突破を行います。
 損傷したトレーラーを直すために、とある移動都市に停車しました。アランナはこの都市でアスベストスを訪ねました。レイが探している喋る大きな影の情報を得ようとしたのです。アランナは一度だけアスベストスの探検の運転手を務めたことがあり、秘境に住む珍しい生き物のことを知っているかもしれないと期待しました。彼女は巨獣の噂を教えてくれました。
 ジェシーは勝手にトラブルに巻き込まれていたのですが、その途中でキーラに出会いました。本来婚約者として顔合わせする予定だった女性です。アイアンキャロットシティにいたのですが、彼女も親戚に口うるさく言われるのが嫌でふて寝をしていたらこの都市に運ばれてきてしまったのでした。
 2人は似た者同士の境遇を語らい、困難を共に乗り越える過程で意気投合し、すごいスピード感で結婚を決めました。実はキーラがサボったせいで、トレーラーの安全弁が手に入らなかったというオチまでついていました。
 この移動都市にはアーミヤたちも来ていました。サベージが案内をしたのです。アーミヤの実家があった移動式プラットフォームは、より大きな移動都市に吸収されており行方が分からなくなっていました。付近の区画をたくさん取り込んだこの都市にとりあえず来てみたというわけです。アーミヤは昔遊んだ煙突を発見したのですが、実家は見つかりませんでした。
 アーミヤたちは旅の目的を特に決めているわけではありませんでした。ヴィクトリアへ乗り込む前の息抜きをしにきたと言っていたので、メインストーリーの10章が始まる前の時系列なんだなとわかります。


2-3. 天災襲撃と巨獣

 イベント時系列の最後を見ていきましょう。
 ウォーミーはアーツの使い過ぎで倒れてしまいました。アランナは知りうる限りの民間療法を試すのですが、効き目は見られません。たまたま通りかかったアーミヤたちに診てもらって事なきを得ました。
 ドクターは計器の些細な異常から天災を予測しました。トレーラーは急いで発車をするのですが、レイを乗せ忘れてしまいました。
 野生のサンドビーストを気にかけていたレイは、天災の直撃を受けてしまいます。サンドビーストたちは野生の勘でレイを安全な場所まで運んでくれました。最初は洞窟か何かかと思われたそこは、ニヤニヤ谷の地中に潜む巨獣の体内でした。
 レイは昔自分を助けてくれた生物に会えたのではないかと考え、巨獣に質問をします。しかし巨獣の答えはノーでした。自分は何百年も身体を動かしていないので、地表に出てレイを助けたことはないだろうと。付近には同類もいないので、巨獣ではなかったのではないかと。
 レイは巨獣に安全な場所に送り届けてもらって天災を逃れました。トレーラーを置いて避難していたアランナたちと合流したあと、一同はアイアンキャロットシティへ向かいました。
 行く当てのないレイと、鉱石病の治療を受けるウォーミーと、ウォーミーの保護者としてアランナがロドスに来ることになりました。アランナはオペレーターではなくエンジニア職での入社でした。
 レイは吹っ切れた様子だったとは言われていましたが、長年追いかけていたものの正体がわからず仕舞いになってしまいました。彼女がもしテレジアの声を覚えていれば、テレジアに会った時に謎が解けるかもしれません。彼女もテレジアに導かれたコータスですから、今後オペレーターとして存分に活躍してほしいものですね。
 ニヤニヤ谷の巨獣のように、巨獣たちは地中に身を隠しているのかもしれません。地中で死んでしまった巨獣の骨を掘り起こしてロドス号に使ったというのがストレートな推測になるのですが、果たして真相はどうなっているでしょうか。

 



 更新はTwitterでお知らせします。
X.com

yterapokemon.hatenablog.comyterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com

【アークナイツ】世界観考察:オリジニウムアーツとは何なのか

 アークナイツの世界観の根幹を成す概念の1つにオリジニウムアーツがあります。これが何なのかを公式設定を見ながら整理していきたいと思います。



https://www.arknights.jp/
アークナイツ公式サイトより

 オリジニウムアーツの定義は公式サイトに簡潔にまとまっています。注目すべき点が2つあります。
 1点目。オリジニウムアーツのエネルギー源は源石です。その名前の通りです。これがテラでは当たり前すぎるため、オリジニウムアーツは省略してアーツと呼ばれることが多いです。
 外界に何らかの作用を働かせる際には、その分のエネルギーが必要です。アーツはそのエネルギーを源石から得ているというのが1つ目のポイント。
 2点目。アーツを使えるかどうかは、その人の才能と努力で決まります。天才は生まれながらにして強力なアーツを使いますし、たくさん努力しても上達できない人もいます。
 アーツの性質や効果は人によって得意分野が異なります。一口に走るのが早いと言っても、マラソンが得意なのか短距離走が得意なのかで性質が異なるようなものと解釈しています。
 上記2点をもう少し突っ込んでみていきましょう。


1. アーツとアーツユニット

 1点目のアーツのエネルギー源である源石の話です。
 術攻撃を担当するオペレーターはアーツユニットを持って戦闘に出かけます。アーツのエネルギーは源石から供給されているため、どんなアーツユニットにも源石が埋め込まれていると考えられます。アーツユニットは危ない代物なので管理に気を付けなくてはいけないという話は様々なところで触れられます。
 アーツで直接敵を攻撃する場合、ワンド(杖)型のアーツユニットが使われることが多いです。上の図だとスズランとアンジェリーナを例に挙げました。エネルギーを放出して敵にぶつけるときに、最も扱いやすいのがこの形状なのだと考えられます。
 逆に、敵をアーツで攻撃しない場合、必ずしもワンド型にこだわる必要はありません。テンニンカの「リンゴちゃん」や、アイリーニの「灯り」もアーツユニットだと明記されていますが、攻撃に使わないためワンド型ではありません。
 サリアやリスカムは盾が、フランカは剣がアーツユニットになったりもします。役割を兼ねることができ、敵の意表をつくことも可能になるわけです。


2. 感染者とアーツ

 鉱石病を患う感染者にとってアーツは特別な存在です。

 感染者はアーツユニットを使わずにアーツを放つことができます。これはテラでは広く知られた事実です。

 なぜそんなことが可能なのかと言うと、感染者は体内に源石を抱えているからです。蓄積された源石からエネルギーを取り出せるというわけです。感染者は丸腰の状態でいきなりアーツを撃つという奇襲が行えます。

 ただし、体内の源石を使う方法には代償があります。鉱石病の進行に拍車をかけるのです。エネルギーを取り出す際に源石が活性化状態になり、病が進行してしまうのではないかと考えられます。


3. アーツ適正

 注目ポイントの2点目に挙げた、アーツの才能について。
 ロドスのオペレーターは入社時にアーツの適正をテストされます。評価はオペレータープロファイルに載っている「アーツ適正」の項目に記載されています。
 優秀な方から順に「卓越」「優秀」「標準」「普通」「欠落」の5段階で評価されます。上図では卓越評価をもらっている17人(異格2人を含むので正確には15人)のオペレーターを表示しました。
 上述しましたが感染者とアーツは密接な関係にあります。一方で、感染者だからといってアーツが上手く扱えるわけではありません。あくまで体内の源石を使うという緊急手段を持っているだけで、アーツの才能は感染の有無に左右されません。ロドスにいる17人のアーツ名人のうち、7人は非感染者です。
 アーツ適正「卓越」のオペレーターは術師が最大派閥ではあるものの、その人数は7名。アーツは攻撃のためだけに用いられるものではないというのが1つの理由で、後述するアーツの分類の話にも繋がっていきます。


 アーツ適正「欠落」のオペレーターを上に示しました。「欠落」評価をもらうのはちょっと苦手だとかそういう次元ではなく、アーツと根本的に相性が悪い人たちがこの評価をもらいます。
 アビサルハンターの3人は全員が欠落評価です。彼女らは優秀な戦士になるために海の怪物の血を体内に取り込んでいます。源石に対して耐性ができているようで、鉱石病にかかる兆候もまったくありません。
 スペクターだけは話が別です。彼女は脊髄に源石液を直接流し込まれてしまって鉱石病に感染しました。ただ、体内で怪物の力が抗っているのか、病の進行は極めて遅いものになっています。
 アビサルハンターたちと同様の原因でアーツ適正が欠落したと思われるのがミヅキ、アンドレアナ、ハイモアの3人です。3人とも別々の方法で海の怪物の力を取り込んでいるからです。
 一方、海とは全く別の力が働いているグループがあります。チョンユエら歳の代理人たちと、別の巨獣の代理人であるイェラです。巨獣がどういう存在なのかはいまだにはっきりした答えが得られませんが、源石とは交わらない存在である可能性が高そうです。
 オペレーターのスルトの力の源は「スルト」という怪物の力だという話が統合戦略の隊員インタビューの中で語られました。怪物スルトが巨獣なのかどうかはまだわかりませんが、それはサーミの巨獣に抑え込まれて、自らの力を人間の依り代に分割しています。オペレータースルトは自分の剣がアーツユニットだと言うので、巨獣とは少し系統の異なる怪物なのかもしれません。
 ミュルジスのアーツ適正が欠落している理由は彼女がエルフという種族だからだと考えられます。源石の汚染に極めて弱いこの種族は、源石の工業利用が進むにつれて都市から姿を消しました。源石と関われない以上、オリジニウムアーツも上手く扱えないでしょう。
 デーゲンブレヒャーはストーリー中でアーツが使えないと明言される人です。アーツ攻撃も効きにくいという話もありました。何か原因があるのかなと思っていたのですが、ワルファリン曰く単純にそういう体質なのだとか。
 マッターホルンがここに分類されているのは昔は謎だったのですが、上記のデーゲンブレヒャーの話が出てきてからは、彼も単純にそういう体質なのだろうと考えられるようになりました。ただ、彼は術耐性が非常に高いので、それは体質にリンクしているのかもしれません。


4. リターニアのアーツ分類


アークナイツ特別PV「リターニア:源石アーツA1.1」
https://youtu.be/jwRBycq1gA4?si=b5FccamT-QV2XpNt より

 ここからはアーツの性質の分類についてみていきます。
 「ツヴィリングトゥルムの黄金」の開始前に公開されたPVが非常に面白い内容でした。フレモント先生がルートヴィヒ大学で行っているアーツ学の授業の一コマでした。
 動画のタイトルにある「源石アーツA1.1」というのがこの講義の名前と考えられます。A1の1ですから、アーツ学の初歩の授業の最初の回と考えられます。
 ここでフレモントは、リターニアでは性質に応じてアーツを下記の5つに分類しているという話をしています。

1. 呪術化系
2. 転化変換系
3. 構造変形系
4. 生理変化系
5. 感応伝達系

 この分類はテラ全土で標準化されているわけではなく、あくまでリターニア国内で使われているものです。ただ、リターニアはアーツの研究が最も盛んな国で、テラをリードする存在。この5分類も、テラで最も先進的な考え方と捉えて良いのではないかなと思います。

※ちなみにリターニアと双璧を成すアーツ研究のメッカはクルビアです。「翠玉の夢」でローキャン・ウィリアムズの講義の内容が描写されたことがあります。アーツの本質は「ある媒介を通じて人間の意識が外界に影響を与える現象」のこと。リターニアの理論と本質的には同じことを言っていそうな気がします。


 呪術化系は最もオーソドックスなタイプです。源石のエネルギーを力学的エネルギーに変換し、任意の外部物体に作用させます。最も古くから使われている系統で、戦闘の武器として使われてきました。
 ロドスのオペレーターが使うアーツはどれも個性的で、呪術化系に分類されているものを特定するのは逆に難しいです。例として挙げたのはドゥリンが攻撃するときのアーツ。属性のないエネルギー弾のような攻撃なので、呪術化系のアーツなのではないかと思いました。


 2番目が転化変換系。エネルギーを使って温度上昇または温度低下を引き起こしたり、電気エネルギーに転化したりします。
 炎のアーツが一般的にはよく使われるそうで、生徒たちにも馴染みが深いのだとか。日常生活を便利にするためにも使われるため、重要度の高い系統です。
 ロドスにはこの系統で戦闘を行う人が多いように見受けられます。上に挙げたのはあくまで一例です。ゲーム的に属性が分かれていた方が良いというメタ的な理由もありますが、呪術化系統よりも殺傷力が高そうなのも、こっちが使われる原因なのかも。


 3番目が構造変形系。エネルギーを利用して物質の構造を変化させる系統のアーツです。もともとは土木や錬金の領域での需要から研究が進みました。炭素材、テープ、トイレットペーパー、ビニール袋もこの系統のアーツのおかげで誕生したものなのだとか。
 我々の現実社会だと、テープやビニール袋は石油を原料として作られます。しかしテラの世界で石油が使われている描写はありません。文明が興る前から源石と接触していたため、他の燃料を探す動機がなかったからだと考えられます。テラのビニール袋の原料は謎ですが、構造変形系のアーツで何かの物質の構造を変化させて作られているようです。
 基地の拡張に使う炭素材もアーツで生み出されたものだそうです。現実でも炭素原子Cの構造が変わると、黒鉛になったりカーボンナノチューブになったりして我々の暮らしを支えています。科学ではなくアーツが技術発展の基盤にあることがわかります。
 この系統のアーツを戦闘に用いている人はあまりいません。明確にそうだろうなと思うのがリン・ユーシャのアーツ。彼女は砂からガラスを生成して戦闘に用います。現実のガラスの工業的製法は砂の中にも含まれる石英ソーダ灰と石灰石を混ぜますが、リンがどこまで高度なことをやっているのかは謎です。
 砂や岩石を操るアーツで言うと、カーネリアン、ブライオファイタ、アーススピリットなども使います。自在に操ってはいるものの、物質の構造自体を変えているわけではなさそうなので、ここに分類できるのかはよくわかりませんでした。


 4番目が生理変化系です。エネルギーを使って人体に変化をもたらすアーツです。フレモントが紹介した資料では、指の先から魚が生えているようなグロテスクなものもありました。広い意味で捉えると3番目の構造変形系の近接領域なのかもしれませんが、人体に適用する興味や目的として、医学分野と密接に結びついているものと考えられます。
 生理変化系の派生として現れたのが回復治癒アーツです。エネルギーを使って傷口を治したり、患部を再生させたりします。こちらの方がたぶん人々にはなじみが深いのでしょうね。
 ロドスのオペレーターで言うと、ほとんどすべての医療オペレーターはこの系統のアーツを用いているはずです。攻撃力や防御力にバフがかかるスキルを使うオペレーターの中には、自分に生理変化系アーツをかけている人がいるのかもしれません。


 ラストが感応伝達系。フレモントが紹介していた使用例は、「オリジムシと踊る」「蓄音機と会話する」「歴代校長の絵と心を通わせる」というもの。生物を操ったり、無機物に宿る人間の思念を読み取ったりするのかなと思いました。そもそも定義からして曖昧で難解そうです。
 「ツヴィリングトゥルムの黄金」では他人をマインドコントロールして操るアーツが出てきました。おそらくあれは感応伝達系のアーツでしょう。エネルギーを精神領域へと転換しているので、他4つとは別格。難易度が高すぎて生徒たちが敬遠するため、毎年応募者が少なくて講義が開けるかどうか微妙なのだとか。
 アルトリアのアーツも感応伝達系の一種だと言われています。ただ、人の心に触れて感情を暴走させる彼女の能力は、感応伝達系のアーツのみで構成されているわけではなく、サンクタの共感能力との掛け合わせで実現されているようです。
 リターニアのアーツ研究はテラ随一ですが、源石自体にはまだ謎がたくさん隠されているため、アーツにも未開拓領域があるのかもしれません。今後も新しい発見が見られるかもしれませんね。




 更新はTwitterでお知らせします。
X.com


yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 銀心湖鉄道 編

 2024年6月21日開始のイベント「銀心湖鉄道」のストーリーを整理していきます。

 この記事で扱う範囲を示しておきます。
 「銀心湖鉄道」で起きたことを理解するために、過去の出来事から順を追って出来事を整理していきます。公式漫画「利鐧銀鋒」、「ウルサスの子どもたち」、「風雪一過」、シルバーアッシュの回想秘録の内容も含みます。一部画像は漫画中からお借りしました。
 エンシオディスの両親が亡くなったアークナイツ歴1082年から、「銀心湖鉄道」が語られる1100年までの約18年間を追いかけていきます。


1082年

オラファーの死とタチアナの追放

 シルバーアッシュ家とペイルロッシュ家の家系図から。
 エンシオディスの父はオラファー・シルバーアッシュ。イェラグの近代化を推し進めた人物です。彼はヴィクトリア留学中にエリザベスと出会って結婚し、3人の子どもを設けました。
 エリザベスはカスター家の血を引く人物です。現カスター公爵はエリザベスの叔母に当たります。エンシオディスたちはカスターの血を半分受け継ぎ、ヴィクトリア貴族とのコネクションを持っています。
 オラファーとエリザベスはイェラグでの鉄道事故に巻き込まれて亡くなってしまいました。エンシオディスは父と同様にヴィクトリア留学を決意し、イェラグをもっと強い国にするという大きな野心を胸に抱きます。
 同時期のペイルロッシュ家にも大きな出来事がありました。当時はアークトスの父が当主を務めていました。アークトスはイェラグに冒険に来ていたタチアナと出会い、結婚してロザリンを授かっていました。
 タチアナはエリザベスと同様に、イェラグの外から嫁いできた身。ペイルロッシュ家を守るため、そしてタチアナとロザリンを守るためにと、2人はイェラグから追放されてしまいました。エリザベスと同じように命を狙われることを恐れたのです。
 オラファーたちが亡くなった鉄道事故は、誰かが仕組んだわけではありませんでした。しかしノーシスの両親が濡れ衣を着せられてしまい、彼らもイェラグを追放されています。当時はより閉鎖的だったのですね。
 追放を言い渡されたタチアナは憤慨し、ロザリンを連れて故郷ウルサスに帰ってしまいました。離婚の処理もなされているようです。このときロザリンは2歳。イェラグや父のことは全く覚えていませんでした。タチアナもロザリンが大人になるまではこの事実を伝えていません。ロザリンは自分がずっとウルサスで生まれ育ったと勘違いしていました。


1089年

デーゲンブレヒャー買収

 エンシオディスがデーゲンブレヒャーに出会います。
 デーゲンブレヒャーはカジミエーシュの騎士競技で三連覇を達成した記録保持者。異名は黒騎士。リターニア出身なのにアーツが全く使えないという特徴もあり、人々に強烈な印象を残しました。
 騎士競技を支配する商業連合会としては、デーゲンブレヒャーが勝ち続けることは興行的にマイナスと判断します。三連覇は阻止しようと様々な妨害策を講じたのですが、もともと商業連合会に反抗的だった彼女はそれに抗って優勝してしまいました。
 堪忍袋の緒が切れた商業連合会は、無冑盟の騎士殺しに暗殺の命令を下します。しかし並大抵の暗殺者では返り討ちに遭うだけ。無冑盟のトップであるクロガネの矢ですら彼女を殺すことはできませんでした。
 しつこく狙えばいつかは殺されていたかもしれませんが、無冑盟の攻撃はストップされました。エンシオディスが商業連合会に大金を支払い、デーゲンブレヒャーを買ったのです。ノーシスは彼女の価値に懐疑的だったのですが、その疑念はのちに払拭されることになります。


ヴィクトリアへの足がかり

 エンシオディスはヴィクトリアへと手を伸ばします。
 イェラグは山奥に隠れた小国。先進国に追いつくためには資金と技術が必要です。外貨獲得のためヴィクトリアとの大口の取引契約を結ぼうと、とあるパーティーへ出席しました。
 カスター公爵が治める領土の中の、ザイック郡という地に新しい領主が誕生しました。ウォルトン子爵です。軍人としての功績がカスター公爵に認められたのです。彼は盛大なパーティーを開催し、自分の威信を示そうとしました。
 元々ザイック郡には実質的な支配者がいました。スチュワート男爵です。腐敗した貴族がのさばる土地柄だったのですが、彼はそれを圧政で押さえつけることでなんとか治安を維持してきました。
 スチュワート男爵は突然ザイック郡を任されたウォルトンのことを良く思っていません。自分のポストを横取りされたような形ですから。エンシオディスはこの2人の対立を利用しようとしていました。
 ウォルトン子爵はザイック郡を徹底的に立て直したいと考えています。そこで腐敗した貴族たちに接近し、悪事の証拠を直接抑えようとしていました。周りにはウォルトンが一緒になって悪事を働いているようにも見えました。
 ウォルトンには2人の子どもがいました。兄のカールと妹のケイトです。カールはパーティーに出席しており、エンシオディスにも対抗心を燃やしていました。彼らは後々再登場することになります。


ウォルトン子爵とスチュワート男爵

 パーティーの顛末を見ていきます。
 スチュワートはこの場でウォルトンを暗殺するつもりでした。刺客を送り込んでいたのですが、バレることは想定の範囲内ウォルトンの従者を買収し、自らウォルトンに接近して、確実に討ち取る作戦を立てていました。
 しかしウォルトンの従者は買収できていませんでした。軍人上がりのウォルトンは、部下を厳しく教育してきたからです。スチュワートの計画を知ったウォルトンは、彼をあえて泳がせることにしました。スチュワートを説得して味方に引き入れたいと思っていたからです。
 かなり複雑な構図だったのですが、途中でエンシオディスは全容を把握します。激高したスチュワートはデーゲンブレヒャーに抑えられ、ウォルトンは自分の信念を語ってスチュワートを説得しました。
 外部に知られたくない状況だったのですが、エンシオディスたちはこの場を丸く収める案を提案します。スチュワートの刺客の目撃者は少なく、ノーシスが見ていないことにすればなんとかなります。デーゲンブレヒャーと手合わせしたスチュワートが誤って窓を割ってしまったことにすれば問題ないと。
 軍人としてテラの様々な姿を見てきたウォルトンは、自分を理解できるエンシオディスのことを信用します。イェラグの天然水の買い取りをエンシオディスに約束しました。
 このときまだカランド貿易は設立されていませんでした。この取引が成約したタイミングで、名前が決められたエピソードが漫画の最後にありました。


1096年

ペテルヘイム高校の惨劇

 ウルサスに向かったロザリンのその後のお話。
 メインストーリー0章から始まるドクター救出作戦。ドクターはチェルノボーグの石棺で眠っていたのですが、この街でレユニオンが暴動を起こします。レユニオンはチェルノボーグの制御を奪おうとしており、天災の直撃も相まって街は酷いことになりました。
 メフィストはさらなる惨劇が見てみたいと、ペテルヘイム高校に付近の学生を集めて閉じ込めてしまいました。中でどんなことが起きるのか観察しようとしたのです。これが「ウルサスの子どもたち」で語られた出来事。
 ズィマーたちは仲間たちと協力して惨状を耐え抜き、学校を出てチェルノボーグの街を彷徨います。ロドスの別働隊に助けられ、ロドス号で暮らすことになりました。彼女らは学生生活が中断されてしまったため、オペレーターとして働きながら、ロドスで勉強も受けています。
 同じころにチェルノボーグで救助されたのがアブサントでした。彼女の父は警官として働いていたのですが、ペテルヘイム高校で動転した生徒に殺されてしまいました。
 タチアナはチェルノボーグ市内でロザリンを探していたとき、鉱石病に感染してしまいました。治療のためにロドスに来た際にロザリンと再会。ロザリンは治療費を賄う目的も兼ねてオペレーターとして働いています。


1097年

雪山事変

 レユニオン編が終わったあと、ドクターはイェラグへの招待を受けました。
 ドクターがイェラグ訪問中に起きた事件は雪山事変と呼ばれ、「風雪一過」の中で詳細に語られました。ここでは「銀心湖鉄道」に繋がる顛末を簡単に記述するにとどめます。
 カランド貿易を設立してヴィクトリアとの取引を始めたエンシオディスは、イェラグの近代化を急速に進めていきました。彼に反対するアークトスとラタトスを追い落としてしまおうと、ノーシスと一緒に策を講じていきます。
 彼は手始めに、三大名家が持っていた権力を巫女に返還しました。エンヤは自分の妹ですから、言いなりになると考えていたのです。しかし彼女にはしっかりとした意志があり、兄の思い通りにはさせまいと奮闘します。
 ドクターはエンシオディスの作戦をすべて見抜いた上で、ペイルロッシュ家とブラウンテイル家の信用を回復し、エンヤがイェラグを治める形に落ち着くように立ち回りました。最後はヤエルが手を貸してくれて、巫女が奇跡を起こしたように見せ、エンヤの権威が高まりました。
 ドクターに足元をすくわれたエンシオディスは、ドクターに一目置くようになります。エンヤが国の指導者になるのも彼にとっては悪いことではないので、この体制のままイェラグは発展を続けることになります。
 風雪一過の詳細は下記にまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
yterapokemon.hatenablog.com


ウォルトン子爵の依頼

 ロドスがウォルトン子爵と接近する出来事がありました。
 雪山事変が解決したあと、ウォルトンからの依頼がロドスに持ち込まれました。娘のカールが感染者に誘拐されてしまったとのこと。この依頼はエンシオディスに仲介されてロドスに持ち込まれました。パーティーでのやりとり以来、2人の繋がりは保たれ続けていたのでしょう。
 ウォルトンの息子のカールは感染者になってしまい家を飛び出してしまっていました。感染者の女性と恋に落ち、それを父が認めてくれなかったため、自らの腕を源石で刺したのです。
 ウォルトンはこの出来事に怒り、ザイック郡には感染者を酷く弾圧する法が整備されていきました。感染者を守る立場のロドスは彼に賛同することはできず、本来ならお近づきになりたくはありません。しかしロドスには打算がありました。
 メインストーリー9章のヴィクトリア編が始まる前、ロドスはヴィクトリアでの活動拠点を探していました。ロドス号を安全に停泊しておける場所を必要としており、今回の依頼を足掛かりにしてカスター公爵に取り入れれば問題が解決するかもしれないと期待されました。
 エンシオディスとドクターがザイック郡に赴いてみると、兄のためにお金を得るためのケイトの狂言誘拐だったことがわかります。エンシオディスは久しぶりにカールに出会うのですが、彼には感染者の境遇や心情が理解できません。
 ドクターは感染者を救うロドスの流儀をエンシオディスに伝えます。カールはお金を受け取る際にウォルトンを道連れにしようと思っていたのですが、それを見抜いたエンシオディスはウォルトンを交渉の場から遠ざけました。エンシオディスはカランド貿易で感染者集団を雇用し、カールたちの命を救いました。
 ケイトを助けるという依頼自体は果たしたものの、感染者を憎むウォルトンが望む形での決着にはなりませんでした。ロドスはウォルトンからの支持を得られず、ヴィクトリアでの停泊場所探しは振出しに戻りました。
 エンシオディスはこの件でロドスに迷惑をかけたと考えます。この借りを返すため、彼は不利な条件での契約にサインし、オペレーターの一員になってロドスの面々を驚かせます。ドクターと友達になりたいのだと言っていました。
 ロドスは結局、「闇散らす火花」で見たようにクエルクスとカゼマルの工作でゴドズィン公爵領に停泊することができました。カスター公爵はグレーシルクハットを通してロドスを脅迫してきましたから、結果論で言えばこの依頼は失敗してよかった案件になりました。


イェラガンド像建設開始

 雪山事変が終わり、エンシオディスは次なる計画を立てていました。
 カランド貿易はカスター公爵から資金援助を受けたことがありました。タダでお金をくれるなんてことはあり得ず、投資してくれた分の見返りが必要です。エンシオディスはイェラグがカスター公爵に支配されている状態だと考えていました。
 この状態を脱するための計画が彼の中にはありました。エンシオディスが打ち出したのは巨大なイェラガンド像を建造するとともに、一部の資材を転用して高速戦艦を造る作戦でした。
 雪山事変のときと大きく異なるのが、イェラグの三大名家が一致団結していることです。ペイルロッシュ家は物資の手配を担当し、ブラウンテイル家は建設作業を担当します。彼らとしてもこの事業には相当のお金と人をつぎ込む覚悟で、シルバーアッシュ家だけの問題ではないのだとラタトスは言っていました。
 ラタトスの妹スキウースは、この高速戦艦の名前を考えていました。「ウォルナッツ」というのが今回のイベント時点での有力案でした。今後この戦艦が出てくるときにその名前で呼ばれるのか、それとも却下されて別の名前で呼ばれるのか…。
 イェラグの最高指導者たるエンヤも、当然この件は知っています。しかし表向きは知らないことにしているようでした。罰当たりなことをやっていますし、巫女が認めるには都合が悪いと考えたのでしょう。
 ヤエルはイェラガンド像のビジュアルが気になるようでした。彼女は巨獣の代理人として長きを生きていますが、最近エンヤに連れ回され、美意識がアップデートされたようでした。
 雪山事変のときは巫女としての正統性を示すため、エンヤはヤエルに力を貸してもらいました。しかし今回の件については自分たちだけで解決したいということで、見守り続けてほしいとお願いをしていました。ヤエルとしては傍観者で居続けることは難しいのだと言っていましたが。
 イェラグではますます多くの鉄道が敷設されました。ペイルロッシュ家が手配した物資がどんどんと運ばれていきます。すべての路線は銀心湖を通るようにして、効率的に物資が運べるようになっていました。


1100年

ヴィクトリアからの来訪者

 ここからようやくアークナイツ歴1100年、「銀心湖鉄道」の時系列に入ります。
 3年をかけた巨大イェラガンド像の建造もついに完成間近。建造を祝う式典が開かれることになりました。ハロルド・クレイガボン子爵は像の完成を祝うという名目でヴィクトリアからやってきました。二千のベテラン兵士を連れた彼は、やってきたばかりのころは非常に警戒されました。しかし兵士たちは地元住民と積極的に交流し、親交を深めていきました。
 ハロルドはカスター公爵に長年仕えるベテラン軍医。召集に何度も応じて戦果を上げました。地雷で右足を失った彼は戦争に嫌気が差し、コネを活用して今回の任務を請けました。ここでなら戦争はないだろうと踏んだのです。
 式典直前になってグレーシルクハットがやってきます。彼は13章でシージたちの前に現れたベリンガムという名の個体。エンシオディスがデリケートな材料を以上に仕入れていることに疑問を持ち、イェラグを調査しにいきました。グレーシルクハットはカスター公爵の諜報員のため、基本的にすべての情報が報告されることになります。
 ハロルドがイェラグに到着して以来、ヴァイスが監視役を務めてきました。彼から見るとハロルドたちはまるで観光客のようで、監視の意味がないのではと思っていました。
 エンシオディスはヤーカに命じて、薬や生活物資をハロルドに届けていました。ヴィクトリアからの使者は丁重に扱っておかねばなりませんし。


グレーシルクハットを追い出せ

 グレーシルクハットは手荒い歓迎を受けることになります。
 ロザリンと一緒の電車に乗ってグレーシルクハットは銀心湖に到着しました。ロザリンはロドスのオペレーターであり、三大名家の血を受け継いだ人物。グレーシルクハットは彼女の来訪を深読みします。イェラガンド像が完成する今のタイミングで彼女がイェラグに帰ってきたことには何か重要な意味があるのではないかと。
 ロザリンはたまたまイェラグにやってきただけでした。タチアナも一緒に来れたはずだったのですが、最近足を骨折してしまって来れなくなってしまいます。タチアナは娘に形代を渡し、アークトスと出会ったフューゲン山に持っていくようにお願いをしていました。ロザリンはイェラグ語の発音を間違えて"母の形見"と言ってしまい周囲を余計に混乱させます。
 エンシオディスとラタトスはグレーシルクハットの勘違いを利用しようとします。ロザリンのことを勝手に怪しんでいるうちは、高速戦艦の存在に気付かないのではないかと。
 ラタトスはスキウースに命じて、ロザリンをイェラガンド像完成式典に招待させました。スキウースはラタトスに代わって外交によく出ています。彼女からロザリンに接触があるのも意味深に捉えてくれるかもしれないと期待したのです。グレーシルクハットはまんまと騙されました。
 エンシオディスはこういう事態を3年前から予期していました。ロザリンを目くらましにする場当たり的な計画では上手くいかないだろうと思っています。ラタトスも彼が何か策を持っていることを祈っていました。
 一時はロザリンに接近していたグレーシルクハットですが、イェラガンド像が怪しいのではと考えなおします。デーゲンブレヒャーは彼をボコボコにして遠ざけようとするのですが、その行為自体が疑念をさらに深めます。
 見かねたヤエルはお得意のワープ術を使ってグレーシルクハットを銀心湖から離れさせました。人をワープさせるアーツは存在していないらしく、恐ろしくなったグレーシルクハットはいったんイェラガンド像を諦めます。


ハロルド主催の宴会

 ハロルドも行動を起こします。
 ヴァイスが駐屯地を見張っていることはハロルドからはお見通しでした。軍人としてのキャリアが長いですからね。エンシオディスに招待状を届けてほしいと頼みます。
 エンシオディスはこの招待を受けることにしました。ヴァイスの監視に気付いていながら、ヴァイスを通して手紙を渡してくる彼の姿勢は、非常に丁寧なものと捉えられました。ヴァイスの目からもハロルドは尊重に値する人物だと評されます。エンシオディスはとっておきのお酒を携えて宴会に呼ばれることにしました。
 ハロルドはエンヤも招待していました。彼の目的はエンシオディスの説得。カスター公爵に対して幾ばくかの利子を支払えば、イェラグ-ヴィクトリア関係は穏便に続くと述べます。
 エンシオディスもエンヤもハロルドの申し出に応じる気はありませんでした。2人は会食の場ではピリピリしており意見が衝突していたのですが、外敵に対する意見は一致しているとお互いわかっています。2人とも頑固ですし、ヴィクトリアの言いなりになる気はありません。
 ハロルドとしても、2人が易々と提案を受け入れるとは思っていませんでした。彼はグレーシルクハットのことを気にしていました。イェラグで何もせずにいることをカスター公爵に報告されたら困ってしまいます。立派な宴会を開いて説得を試みるも、叶わなかったという事実を作ったのです。


デーゲンブレヒャーの戦い

 残念ながら戦いは起きてしまいました。
 宴会の後でグレーシルクハットはハロルドに接触し、イェラガンド像の下に何かが隠されていると報告します。聞きたくなかった事実でした。この報告はヴィクトリアにいるカスター公爵の耳にも入りますから、ハロルドは行動を起こさざるを得なくなりました。
 ハロルドはイェラガンド像の破壊を目的に軍事行動を起こします。エンシオディスとしては完成式典が外国に潰されてしまうと、せっかく準備をした三家のメンツが丸つぶれになります。ハロルドは威嚇にひるんだエンシオディスが折れてくれれば、まだ戦闘を回避できる余地があると望みを託します。
 デーゲンブレヒャーが時間を稼ぐと名乗りを上げてくれました。エンシオディスには奥の手があり、それが到着するまでハロルドを食い止めねばなりません。カランド貿易やイェラグの兵士がデーゲンブレヒャーを支援することは、ヴィクトリアへの宣戦布告に繋がります。カジミエーシュの黒騎士が個人で勝手に暴れているという図にする必要がありました。
 二千のベテランヴィクトリア兵士を相手取ることは、デーゲンブレヒャーと言えども骨が折れます。イェラグのためにここまで尽くしてくれるのは、彼女がこの地を心から愛しているということでしょう。エンシオディスは彼女を信頼しているものの、血がにじむほど自分の手を握り締めていました。
 ハロルド側としてもデーゲンブレヒャーとの戦いを避けられるなら避けたいところ。殺さないように手加減してくれていますが、殴られた兵士たちは重傷を負います。デーゲンブレヒャーが時間を稼ごうとしているのはわかっていたので、あえてそれに乗ったりしていました。


招待された切り札

 エンシオディスの切り札が発動します。
 銀心湖行きの鉄道にエンシオディスの招待客が乗っていました。カジミエーシュ商業連合会の代弁者であるモーブです。以前はビッグマウスモーブという芸名で騎士競技のMCをやっていました。
 耀騎士ニアールの回想秘録で、前任のマルキェヴィッチが代弁者の職を辞していたことは語られていました。モーブが後任になったのは初耳でした。彼は空気を読みながら上手にMCを回していたので、代弁者に向いていると判断されたのでしょうね。
 エンシオディスはモーブを式典に招待していました。彼は激しくバトルするハロルドとデーゲンブレヒャーがいる方向へ、お得意の実況ボイスで宣言します。カジミエーシュ商業連合会は、今後カランド貿易と提携すると。
 戦闘を止める口実を心待ちにしていたハロルドは、それを聞いてすぐさま武器を下ろします。他の国が絡んでいなければカスター家が一方的にイェラグを脅迫することができたのですが、カジミエーシュがイェラグと交易を始めるとなると、軽率な行動はヴィクトリアとカジミエーシュの国際問題に発展しかねなくなります。
 モーブは電車の中でドクターにもらった拡声器を持っていました。ドクターは今回もエンシオディスの作戦を見抜いていたわけです。エンシオディスはミュルジスを連れてきてほしいとドクターにリクエストしており、ドクターもそれに応えていました。あとは前回イェラグにやってきたSharpも護衛としてついてきていました。
 同じ電車でスキウースが招待したお客さんも銀心湖に来ました。彼女は同じカジミエーシュでも、エンシオディスとは異なり監査会政府に招待状を送っていました。監査会は若手の征戦騎士を旅行がてら送り込んできました。明確な描写はありませんでしたが、スキウースの狙いはエンシオディスと一緒だったことでしょう。征戦騎士の強さはテラ中が知っていることですから、ハロルドたちに対する抑止力の意味もあったかもしれません。
 スキウースのもとでメンヒが働いていました。もともとはノーシスの部下だったのですが、雇用主を変えたようです。スキウースの成長に驚いていたので、しばらくイェラグから離れていたのかもしれません。メンヒはハロルドに縛られたヴァイスとヤーカを解放しました。


支配からの解放

 イェラグを取り巻く各国の関係はどのように変化したか。
 カスター公爵はもともと、イェラグから得られるわずかなお金をあまり重視してはいませんでした。彼女が気にしていたのは、イェラガンドが実在するのかということ。
 この問いに対して、グレーシルクハットはイェラグとの正面衝突は非推奨と返答しました。カジミエーシュの商人とクルビアの科学者がこの国と取引を始めたので、ここから利益を上げられるように立ち回るのは難しいだろうと。グレーシルクハットはヤエルにワープさせられたことがありましたが、あれをイェラガンドの実在の証明としてカスター公爵に陳情したかはわかりませんでした。そんな荒唐無稽な話は出せなかったかもしれません。
 エンシオディスはモーブとミュルジスの姿をグレーシルクハットが確認したことを持って、カスター公爵の支配から脱却できたとしました。イェラガンド像を作り始めてからこの計画を練っていて、三年の忍耐が実を結んだと言っていました。
 今後イェラグはカジミエーシュの商業連合会傘下の企業と提携を行います。ヴィクトリア以外の大きな取引先ができることが期待され、外貨獲得に期待がかかります。もちろん、やり手のビジネスマンたちに搾取されてしまう恐れもあるわけですが。
 また、ライン生命との提携も行いたいと言っていました。ミュルジスは「孤星」のあとも生態課の主任の座を維持しています。イェラグに来たのはドクターの顔を立てたのもあると思いますが、彼女は標高の高い場所に発射サイロを建設したいと考えており、彼女なりの狙いがあるようでした。最も高いカランド山に施設を建設するのは難しいと考えていたようですが、ヤエルが乗り気になっていたため実現できそうでした。お茶目な神様です。
 アークナイツ公式Xで公開された事後情報によると、テラの上空に広がる「星のさや」の研究拠点もイェラグに建設されることになりました。ライン生命はクリステンの意思を継ぎ、宇宙研究を発展させているようです。
 高速戦艦の存在がバレるのは時間の問題だろうとノーシスは言っていました。イェラグは高速戦艦をすぐに使用しなくてはいけない事態に追い込まれるでしょうか。今後、どのようなパワーバランスで各国と付き合っていくことになるのか、目が離せません。





 更新はTwitterでお知らせします。
X.com


yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com

【アズレン】ストーリー考察:赫輝のマルティリウム 編【アズールレーン】

 2024年5月21日スタートのイベント「赫輝のマルティリウム」のストーリーを整理していきます。

1. 空間衝壊現象

 今回の事件は空間衝壊現象に端を発するものでした。
 巨大な空間衝壊現象が起きて、実験場F-45733というセイレーンの実験場が物理的に消滅しました。第V類脅威が現れたとのことですが詳細は不明です。とにかくものすごい力を持った存在の仕業のようでした。空間衝壊現象は大きな戦闘かメンタルキューブの実験で起きることが多いそうです。
 アビータのStrength Ⅷ、Temperance XⅣ、Hermit Ⅸの3体は第V類脅威に対処しようとするのですが、スペアボディではリソース不足と判断。周りにいる全アビータに協力要請を飛ばしました。
 協力要請はDevil XVのところにも飛んできました。しかしDevilはStrengthたちに味方をするつもりはありません。旗風METAとパーミャチ・メルクーリヤMETAを手懐けて独自路線を行くつもりのようでした。
 クーちゃんMETAは「銀界遊廻」で痛い目をみました。実験場β(指揮官がいる枝)での作戦を潰されたからです。旗風METAに事前にもらっていた情報が間違いだらけだったとクレームをつけていました。
 旗風METAは時期がきたら助けにいってやるから待っておれと告げ、クーちゃんMETAを無視。Devilとともに空間衝壊現象の現場へと飛んでいきました。クーちゃんMETAは開き直って実験場βでバカンスを楽しむことにします。
 余燼陣営も動きます。彼女たちはいままでStrengthたちに足止めを食らっていたのですが、アビータが空間衝壊現象の対処に出払ったのを観測し、自由に動けるようになりました。
 エセックスMETAが何か重要なものを発見していたらしく、コードGは回収に向かいます。その間の指揮権は高雄METAに移りました。Strengthたちを逆に足止めし、新しい拠点が完成したらそちらに移動するとのことでした。
 余燼からはキンバリーMETAとウィチタMETAが空間衝壊現象の調査に選ばれました。2人は任務が終わり次第、現場の判断で新拠点へと合流します。


2. アイリスの会場にて

 指揮官はアイリスにいました。
 「銀界遊廻」でアイリス陣営のアズールレーン復帰を議論するための会議が開かれました。指揮官はその会議に出る傍らで南極に指示を飛ばし、クーちゃんMETAの陰謀を阻みました。
 指揮官は依然として会議の舞台アイリスに滞在しています。そこに突然ヘレナMETAが連絡をしてきます。緊急の用事があったようですが、珍しくその通信はジャミングを受け、指揮官にはうまく伝わりません。この通信はアビータTower XⅥの心象空間を使ったもので、並大抵の敵にはジャミングされないはずでした。
 ヘレナMETAと会話できなくなった指揮官は心象空間から出られなくなってしまいました。ジタバタする指揮官の耳に風鈴の音が聞こえ、扉から抜け出すことができました。
 部屋に戻った指揮官の前にミスDが現れました。指揮官が心象空間から出られなくなった原因は、彼女がセキュリティホールを塞いでしまったからでした。ミスDは誰かが星外空間から通信をジャミングしていたことも気付いていましたが、これが誰だったのかは明かされませんでした。
 ミスDは指揮官のことをオースタの謎の助手として認識しています。彼女はオースタに作られたアンチエックスの一体で、作られた当初の記憶が一部残っています。
 ミスDはリシュリューからの依頼で指揮官を外へ連れ出しました。認識阻害ができるのか他の人には見つかりません。ロイヤルとアイリスが共同作戦を練っており、指揮官にも参加してほしいとリシュリューは依頼します。
 クイーン・エリザベスMETAが作ったクイーンズライト号という列車が指揮官を迎えにきました。これに乗ってロイヤルのアヴァロンまで向かいます。


3. アヴァロンからクジラ狩りへ

 アヴァロンで作戦のブリーフィングが行われます。
 ミスDはアビータDeath XⅢだと思われるのですが、現在彼女は兵装を失って不完全な状態です。クジラとして逃げ回るそれを捕まえることで、完全体に戻れると考えられています。
 ミスDは記憶も失っています。彼女はKAN-SENたちに友好的なため、アビータとしての記憶を取り戻したら、エックスに抗うヒントを教えてくれるかもしれないと期待されます。2人のクイーン・エリザベスはミスDのクジラ狩りに協力していました。
 クイーンズライト号の運転のためMETAのクイーン・エリザベスがクジラ狩りに同行し、METAでないクイーン・エリザベスは上層部のごまかしに徹してくれることになりました。メイド隊すら残していかなかったのは、アイリスを信用するようになったからだと指揮官は嬉しそうでした。
 代わりにアルザスたちが指揮官の護衛につきました。ミスDの中ではMETAの評価が低いらしく、クイーン・エリザベスMETAすらいらないと言っていました。ただ、クイーンズライト号を動かせるのは彼女のみのため外せません。アルザスたちが護衛についたのは喜ばしく思っているようでした。この理由は明かされませんでした。
 クジラは空間衝壊現象に引き寄せられています。クイーンズライト号で向かうこともできるのですが、まずは安全性の高いアヴァロンを使って近くまでいくことになりました。


4. マルティリウムの降臨

 イベントの舞台であるマルティリウムが降臨します。
 指揮官たちはアヴァロンを使ってクジラに接近します。指揮官たちを視界に収めたクジラはアヴァロンに攻撃をしかけてきて、ミスDを驚かせます。なぜ兵装であるクジラが本体である自分に攻撃を向けてくるのか、クジラは自分だけが操れるはずだと。その後クジラは逃げてしまいます。
 大きな空間衝壊現象が起きたことによって、実験場Fは高次元空間に折りたたまれてしまいました。星が爆発してブラックホールができる、みたいな話なのかなと思います。クジラはこの高次元空間に逃げ込んだため、空間ごと現実に具現化する必要が出てきました。
 クイーン・エリザベスMETAが発案したのがクイーンズライト号の車両を拡張して、高次元空間を呼び出す基盤にすること。この基盤がマルティリウムであり、クジラはマルティリウムでは実体化します。
 車両はそれ1つで単体の鏡面海域です。ここに新しい概念を付与し、その概念が高次元空間と繋がると具現化できるのだとか。クイーン・エリザベスMETAは「橋」、指揮官は「扉」の概念はどうかと提案するのですが、ミスDは自ら発案した「死」で押し切ります。彼女がアビータDeath XⅢであり、クジラも彼女の兵装ということなのであれば、それが最も自然なのかもしれません。
 車両にイメージを付加する役はアルザスに任せられました。METAではふさわしくなく、指揮官も概念が欠けていて不完全な存在のため却下されていました。1つの個体として完成されているKAN-SENがちょうど良かったのかもしれません。
 マルティリウムはアルザスがイメージした「死」の概念からできています。アイリス聖座を守る彼女が思い浮かべる「死」は、純白の聖堂でした。儀式を行うからなのか、「死」自体に神聖なイメージを持っていたりするのでしょうか。
 キンバリーMETAとウィチタMETAは空間衝壊現象の調査に来ており、このタイミングでクイーン・エリザベスMETAは彼女らの存在を捕捉していました。2人はマルティリウムが現れたのを見て近づいてきます。彼女らはクジラには興味がありません。
 Devilも旗風METAと一緒にマルティリウムにやってきました。Devilはクジラを捕まえたいと思っています。クジラを「アイツ」に渡し、降臨する体として使いたいと言っていました。


5. デスシャドウの襲撃

 ミスDたちに脅威が迫ります。
 アルザスのイメージからマルティリウムが作られ、クイーン・エリザベスMETAが1人で調査に出かけました。その間に、デスシャドウという存在が車両に乗り込んできて指揮官たちに迫ってきました。
 車両の1つ1つが鏡面海域になっているため、クイーンズライト号に勝手に入ってくることは非常に難易度が高いです。しかしデスシャドウはミスDと同一存在のため防御をすり抜けられます。アビータDeath XⅢがミスDとデスシャドウに分裂したのかなと解釈しましたが、結局なんだったのかはよくわかりませんでした。
 デスシャドウは自分と同じだから勝てっこないとミスDは警告します。アビータ並みの戦力があるということでしょう。指揮官たちは逃げることにしました。クイーンズライト号の7号車はマルティリウムに転換されています。6両目と7両目は概念上の繋がりがあるため、6両目から直接マルティリウムへと飛ぶことができます。
 指揮官はそのワープの際に、変な空間へ入り込みました。オースタと思われる人がKAN-SENとアビータについて語っていました。
 彼曰く、一度でも名前をつけられたものは、人々に覚えられている限り消滅することはなく、KAN-SENにとって死は一方通行のものではない。KAN-SENは個体として具現化されるまでは情報のかけらの集合体にすぎないと言われていたので、具現化にメンタルキューブが必要なのだろうなと想像できます。
 オースタがアビータDeath XⅢに与えた能力は、集合体の分割具現を疑似的に再現する力。文字通り受け取るなら、KAN-SENのような情報の集合体を、分割して具現できる力のよう。ミスDとクジラとデスシャドウに分かれているのもこの力のせいなのかもしれません。
 指揮官はミスDに引っ張り出され、マルティリウムへと辿り着きました。


6. クジラを追う者たち

 マルティリウムでの出会いについて。
 指揮官とウィチタMETAたちが遭遇します。お互い存在に気付いていたので驚いてはいませんでした。
 セイレーン作戦のストーリーで見たように、指揮官は飛龍METAとアークロイヤルMETAと共闘してアビータを追い払いました。METAにも複数の陣営がありますが、彼女たちはみんな余燼陣営です。指揮官はウィチタMETAとも友好的に接したいと申し出ます。
 ウィチタMETAにとっては実験場βはたくさんある枝の1つです。枝自体はそれほど特別視をしていません。ただ、偽神事件でドロイドが現れたことは把握していました。派手な事件として伝わっているようです。
 実験場βのフリードリヒが余燼たちと行動を共にしているのも忘れてはいけません。彼女はいま余燼の隠れ家で大事な準備をしているのだとか。
 「闇に堕ちた青き翼」で指揮官は余燼のリーダーであるコードGに出会いました。そこから彼女に変化が起き、フリードリヒを引き入れるなど妙な行動をするようになったとウィチタMETAは言っていました。
 ウィチタMETAはクジラには興味がなく、あれがアビータDeath XⅢの本体だと思っていたぐらいでした。なので指揮官たちのクジラ狩りを邪魔する意志はなく、お互い干渉せずにいこうということになりました。
 このあとウィチタMETAとキンバリーMETAは旗風METAに出会い、戦闘を行います。旗風METAは何度攻撃を受けても蘇ります。死への恐怖を無効化し、超高速再生を行っているのだとか。もはやKAN-SENの枠を超えた化け物。その状態でなぜ理性を保っていられるのだとウィチタMETAも驚いていました。DevilかHierophantに乗っ取られているような雰囲気でした。
 Devilはクジラに用がありました。ドローン兵器でクジラを攻撃するのですが、クジラはミスDも見たことがない兵装でドローンを返り討ちにし、再び別次元の空間へと逃げ込んでいきました。


7. 車両の追加投入

 クジラを再び具現化させるために車両が投入されます。
 マルティリウムはクイーンズライト号の7両目を拡張したものでした。折りたたまれた世界の情報量が多く、1両だけではすべての情報を具現化できていませんでした。クジラは再び折りたたまれた世界へと逃げてしまいます。
 そこで6両目も具現化の基盤へ投入することになりました。これで折りたたまれた世界の7割ぐらいが具現化できたらしいです。クジラが引っ張り出されることが期待されます。
 6両目も「死」の概念で拡張を行うのですが、近くにいたウィチタMETAとキンバリーMETAのイメージも流れ込んでしまい、マルティリウムとは全く異なる景色が広がることになりました。
 イベント冒頭で通信がジャミングされたヘレナMETAがようやく戻ってきました。指揮官が空間衝壊現象の近くにいることを知り、彼女が使っている戦艦を離れてマルティリウムへとやってきます。
 マルティリウムから6両目の概念世界へジャンプする際、またも指揮官は変な世界に入り込んでしまいます。そこはロドニー(?)だけが存在するなにもない空間。ここではお互いのことはよくわからず、指揮官はミスDに引き戻されていきました。


8. ラプラスの悪魔

 6両目を使って作った空間はサモス島になりました。
 6両目の空間に飛び込んだ指揮官たちは、世界α(始まりの枝)のサモス島に飛ばされました。6両目を「死」の概念で拡張する際に、ウィチタMETAたちの強固すぎる「死」が流れ込み、この姿になったのです。彼女たちがMETA化する前の記録でした。
 世界αのサモス島には海洋生物研究所があります。ここではアンジュがKAN-SENを、オースタがアンチエックスの研究をしている連邦(世界αのユニオン)管轄の島。ここに戦線(世界αの北方連合)が攻め込んでくる場面からスタートでした。
 記録の世界のアンジュは、なぜか指揮官の通信機に通信を繋げてきます。彼女のおかげでいま何が起きているのか把握することができました。
 戦線はオムタヴァ事件の報復としてサモス島を攻撃しようとしていました。貨物船オムタヴァが、アンチエックスに襲撃されて沈められたと主張しています。しかしアンジュ曰くこの事件はでっちあげ。戦線はサモス島にあるラプラスの悪魔を奪うための開戦理由を作ろうとしました。
 ラプラスの悪魔は時間跳躍装置のこと。それを聞いて指揮官の脳裏には「暁射す氷華の嵐」での出来事がフラッシュバックしました。時間跳躍装置を守る作戦についての会話だったからです。
 一方的な攻撃を企てる戦線に対して、連邦は黙認を貫く姿勢でした。連邦は戦線との開戦理由を探しており、向こうから侵略を行ってきたなら好都合です。もし上手くいかなければ、ラプラスの悪魔で時間を元に戻せばOKと考えていたようです。
 世界大戦が起きるのを阻止すべく、アンジュとオースタと将軍は作戦を立てます。戦線と連邦がラプラスの悪魔を奪い合う前に横取りする作戦でした。オースタが生み出したアンチエックスがサモス島を防衛している間に、アンジュが生み出したKAN-SENがラプラスの悪魔を奪い取るのです。
 世界αでアンジュの指示のもと動いているKAN-SENたちは炬火という名前の組織を結成しています。炬火はたいまつという意味。炬火の生き残りがいまの余燼なのだと推測されます。
 指揮官はアンジュたちの作戦が失敗することを知っています。この記録が「死」の空間だからです。この空間にとってのイレギュラー存在である自分が行動を起こすことで、記録を変えられるかもしれないと考えました。指揮官がラプラスの悪魔を横取りしようとします。
 指揮官と全く同じ考えを持っている人がいました。ウィチタMETAとキンバリーMETAです。サモス島の研究所で彼女らと鉢合わせします。
 しかしウィチタMETAたちは努力してもすべてが無に帰すと思っています。オリジナルの世界線で何が起きたかを知っていたからです。記録通り黒い竜巻(浸食天象)が襲ってきて、連邦も戦線もKAN-SENたちも飲み込まれました。
 オリジナルではウィチタMETAたちは何が起きたかすらわかっていませんでした。今回は少なくとも竜巻の正体がわかっており、新しい真実が見いだせるかもしれないということで、サモス島が竜巻に飲まれる様を見届けることにしました。
 この空間はあくまで記録なので、「死」をイメージすることで脱出することができます。ミスDやアルザスは引き上げることにしたのですが、指揮官はウィチタMETAたちに付き添うことに決めました。指揮官にとっては余燼たちも仲間なのです。
 3人は竜巻に飲まれる直前までこの記録に留まりました。空に流れ星が見えた以外、残念ながら大きな発見はありませんでした。


9. エックスとの戦闘記録

 指揮官たちはエックスと戦う記録に突然飛ばされます。
 サモス島で黒い竜巻に飲まれたあと、指揮官はまた別の記録に飛ばされました。KAN-SENたちがエックスと戦う場面です。世界αが滅びたときの記録です。
 クイーン・エリザベスMETAが指揮する大艦隊が、エックスの包囲を受けて大きな損害を出している場面でした。エックスには三形態あり、偽相獣→偽相体→付着エリアの順で小さくなっていきますが、付着エリアから再び蘇ることができるとのこと。不死身のようです。
 ここでもアンジュが指揮官に連絡してきました。指揮官はアンジュがこの記録のオリジナルではここにいなかったと見抜きます。偽アンジュの口調から正体がわかったと言っていたのですが、結論は明かされませんでした。指揮官を助ける側に回っていましたし、ヘレナMETAでしょうか。
 偽アンジュは援軍が来るから指揮をとってと指揮官に伝えます。援軍はミスDとウィチタMETAとキンバリーMETAでした。彼女たちは記録の中の存在ではなく、指揮官と一緒に世界を渡ってきた彼女らそのままです。ミスDは指揮官に出会ったときから位置測定装置を仕込んでおり、それを辿ってきたそうです。
 ウィチタMETAたちはエックスを倒すことができました。META化した力ということでしょうか。しかし真の意味で消滅させることはできず、付着エリアに戻ってしまいました。


10. 旗風METAの暗躍

 エックスの記録とマルティリウムをまたがる戦いへ発展していきます。
 偽相獣のクラスⅨという強敵が現れました。この個体はピンポイントで指揮官を狙ってきます。この記録にいなかったはずの指揮官を狙い撃ちしてくるということで、この偽相獣も記録にいない存在と推測します。
 ロドニー(?)が現れて指揮官に協力を申し出てくれます。彼女は指揮官の考え方に触れ、指揮官を見続けようと決めました。指揮官は記録の世界と、現実の世界の両方を見渡す能力を得ました。
 逆転の鍵はアルザスたちにありました。彼女たちはマルティリウムでデスシャドウと戦っていました。指揮官は時空を超えてアルザスたちに手を差し伸べ、アルザスたちもエックスと戦う記録の方へとやってきました。パワーアップした彼女たちは記録の中の同一存在と融合し、付着エリアを浄化できるようになり、エックスとの戦いに勝利しました。コードGと同じことをやってのけたとウィチタMETAは驚いていました。
 このあとアルザスたちはマルティリウムの方へと戻ります。パワーアップした効果でデスシャドウを討ち果たしました。
 エックスと戦う記録がなんだったのかの種明かしが入ります。この記録は車両が展開したものではなく、ロドニー(?)が作ったものでした。そしてこの中に偽相獣を紛れ込ませたのは旗風METAです。彼女はロドニー(?)の素体を侵食するためにエックスを仕込んだのです。ロドニー(?)は繭に取り込まれ、大いなる存在がこの世に降り立つはずでした。
 しかし旗風METAの目論見は破られました。ロドニー(?)は指揮官に興味をひかれ、旗風METAの仕掛けた繭を破壊します。


11. ロドニーのニセモノ

 最後の決戦です。
 ロドニー(?)は繭を破壊しました。その繭の欠片を旗風METAは再活用します。これを使って偽りの影を降臨し、ロドニーのニセモノが具現化されました。これはロドニーの概念を具現化させたもので、ロドニー本人ではありません。
 こんなことができる存在がいるなんて、とクイーン・エリザベスMETAは驚いていました。旗風METAの技術力は確かなもののようです。ロドニーのニセモノは物凄い力を発揮します。
 ヘレナMETAがマルティリウムに現れました。彼女は指揮官を助けたいだけ。指揮官を危険な目に遭わせたクイーン・エリザベスMETAにやたらと食って掛かっていました。ウィチタMETAとも面識がありました。
 恐ろしい力を見せるロドニーのニセモノに対して、METAたちは力を合わせるしかないと判断します。クイーン・エリザベスMETA、ヘレナMETA、ウィチタMETA、キンバリーMETAは個の力でニセモノと戦い、撃破します。
 一方、指揮官とアルザスたちは旗風METAと戦います。ロドニーのニセモノには戦力的に手が届かないようでしたが、旗風METAと浸食の力が弱まればニセモノの力も弱まるということで。
  

12. 決着

 決着のときです。
 旗風METAはマルティリウムの制御を取得して戦っていたのですが、最終的にはクイーン・エリザベスMETAに制御権を奪い返されました。もともとはクイーンズライト号でしたからね。
 Devilは旗風METAをおとりにし、みんなが争っている間にクジラを追いかけていきました。クジラは逃げていってしまったため、ミスDのクジラ狩りはまだまだ続くこととなりました。
 ロドニーのニセモノはMETAたちに倒されました。概念を利用されたロドニー(?)は消えてしまう運命にあったようなのですが、指揮官は助けようとします。ヘレナMETAは指揮官の願いを聞き入れ、ロドニー(?)をMETAとして再彫刻します。これでロドニーMETAとして生まれ変わったようなのですが、再彫刻は特殊段階のため、不安定な状態でした。ヘレナMETAは彼女を保護してくれます。
 ヘレナMETAとウィチタMETAは面識があるようでした。ヘレナMETAは余燼には加わっていませんが、いまの立場になるまでにいろいろあったようです。ウィチタMETAが知りたがっていることを見透かした上で、それはここで話すべきではないと言っていました。
 ヘレナMETAは昔からずっと、指揮官に与える情報をコントロールしています。知りすぎは毒だとして。一方でクイーン・エリザベスMETAは、危機を乗り越えるために指揮官に知ってほしいことがたくさんありました。2人は何かと意見が合わず、いがみ合っていました。
 このあとクイーン・エリザベスMETAはクイーンズライト号にミスDを乗せ、クジラ狩りを続行しました。マルティリウムは車両に戻り、指揮官たちと一緒にアヴァロンを経由して実験場βへ送られました。
 これにて今回の事件は終わりとなったのですが、謎が多く残るストーリーとなりました。


おまけ:暗号解読

 D3とSPの戦闘説明は暗号になっていました。アルファベットを19文字後ろにずらすと読めます。

NOURISH YOURSELVES THEN BLOOM
栄養を得て開花せよ


THE NOISE OF APPROACHING MIMIC ENTITIES CREEPING AND SLITHERING CREEPING AND SLITHERING CREEPING AND SLITHERING
近づいてくる怪物の音、はい回り、ずりずり滑りはい回り、ずりずり滑りはい回り、ずりずり滑り…


 脅威が近づいているということ以上の情報はありません。二番目はヘビっぽいので、名前だけ出ている「オロチ」の暗示でしょうか。



 更新はTwitterでお知らせします。
X.com

yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com

【アークナイツ】メインストーリー13章・まとめ・考察・感想【悪兆渦流】

 2024年4月16日に追加されたメインストーリー13章「悪兆渦流」の物語を整理していきます。

1. サルカズの歴史

 13章で言及された話題を古い順に振り返っていきます。

1-1. 最初の「源石」

 最も古い話は、最初の源石についてでした。
 最初の源石は1つだけだったそうです。地中に埋まっていたわけでもなければ、たくさんバラまかれたわけでもない。鉱石病として人間に感染し、宿主が死ぬと死体を爆発させて源石は増えていったものと考えられます。
 「ツヴィリングトゥルムの黄金」で巫王は、源石には創造主がいると言っていました。正体はまだわかりませんが、「孤星」などで語られたことも鑑みるとプリースティスが関係していそうだなと考えられます。テラの外側からやってきたフリストンたちの文明が、何らかの目的を持って源石を作り、テラに置いていったのかもしれません。
 最初の源石に初めて接触したテラの文明はサルカズでした。当時サルカズたちはテラで最初のカズデルを作って暮らしており、源石に出会ったことで巫術と感染者が生まれました。その後カズデルは神民と先民により滅ぼされてしまいます。
 13章でケルシーが「サルカズが鉱石病にかかりやすいことには理由がある」と言っていました。それもこの話題に関連していそうです。
 最初の滅亡から約1000年が経過したころ、カズデルが再建されました。2番目のカズデルは魔王が複数代替わりするぐらいには長続きしたみたいです。炎魔バロルサッカ、遊侠領主クイロン、魔王ゴルドルは伝説で語り継がれている7000年前の魔王たちなのだとか。サルカズは長寿の人もいるので、どのぐらいの年代幅があるかは不明です。
 このうち、クイロンだけは以前に名前が出てきています。前衛アーミヤが持つ剣は"青き怒火"という名前のクイロンの剣です。彼が裏切りにあった際の怒りの感情をアーミヤも知っています。
 2番目のカズデルはクルビア付近にありました。しかし裏切りが起き、サルカズたちは東に向かって移動していったそうです。いまのカズデルはヴィクトリア、リターニア、シラクーザを抜けてさらに東にあるので、長い年月をかけて東へ東へと移動してきたことになります。


1-2. カズデルを襲った巨獣

 サルカズに関連の深い巨獣が登場しました。
 数百年前のこと。カズデルを1匹の巨獣が襲いました。当時の魔王は、いまのブラットブルードの大君ドゥカレの兄でした。お兄さんは弟に巨獣の討伐を命令。ドゥカレは見事巨獣を討ち、生きたまま皮を剥いでしまったそうです。
 ドゥカレは当時自分が単なる下手人だったと言っていました。日本語の"下手人"を言葉通り受け取ると、人を殺したことがある犯罪者の意味。ドゥカレが人を殺したことがあると言われても全く驚きませんが、貴族のような立場ではなかったということなのでしょうか。
 倒された巨獣は意識と骸骨に切り分けられました。サルカズたちが容赦ないと言うべきか、その状態でも生きている巨獣がすごいと言うべきか…。
 意識の方はさらに細かく切り刻まれて、物体に封じ込められました。そのうちの1つが懐中時計で、いまはウルスラがこれを管理しています。
 意識の一部は堕天使に持っていかれたと巨獣は言っていました。おそらくこれはモスティマが持っているアーツユニットのことを指していると思われます。それは錠と鍵に分かれているのですが、錠の方には言葉を話す怪物が封じられています。この怪物は他の欠片に興味がないという話が回想秘録で語られていました。
 骸骨の方はカズデルの軍事委員会が引き取り、改造して軍事転用してしまいます。テレシスたちがヴィクトリアを攻める際に重要な役目を担うことになります。


1-3. 直近の魔王たち

 直近に魔王がどのように受け継がれてきたのかがわかりました。
 カズデルが巨獣に襲われた際の魔王はドゥカレの兄でした。それ以降、魔王が誰に受け継がれてきたのかが語られました。サルカズが魔王を殺すと、魔王の力を受け継ぐことができます。歴代の魔王の伝承は、血なまぐさい闘争の歴史です。
 ドゥカレの兄はドゥカレの手によって殺されました。しかしドゥカレは魔王を受け継ぎませんでした。彼の意思で辞退したのか、資格がなかったのか。
 そのあと、流浪者と呼ばれる人物が魔王を継ぎ、さらに木こりと呼ばれる人物へと受け継がれました。これがある種のあだ名なのか、それとも本当に流浪者や木こりだったのかはよくわかりません。
 木こりから魔王を受け継いだ人物は名前が出てきませんでした。しかしこの人は重要なタイミングに居合わせます。200年前にケルシーがテラの各国の戦力を終結させ、カズデルを廃墟にした戦争のときの魔王です。
 この戦いの末にテレジアは魔王を受け継いだのではないかと思われます。しかしテレジアはカズデルのために戦った六英雄の1人。なぜ魔王を継承することになり、ケルシーと手を組んだのかは謎です。テレジアは弟のテレシスと2人で廃墟となったカズデルを立て直すべく奔走します。
 時間が経つにつれ、テレジアとテレシスは相争うようになり、軍事委員会を率いるテレシスと、バベルを結成したテレジアに分かれて内戦が勃発。テレジアは斬首作戦により命を落とし、魔王の力はアーミヤへと受け継がれました。
 この頃にドクターが石棺に入ったものと思われますが、このへんの経緯は謎です。ドクターが目覚めたあとの物語は、我々がメインストーリーで見守ってきたものですね。
 細かいところはまだまだ謎だらけなのですが、魔王の系譜の概略が掴めたのは大きな一歩となりました。


2. ロドスの戦い

 メイン13章の時系列へと入っていきます。

2-1. ブレントウードの発見

 まずは13章が始まる前の準備フェーズのお話から。
 メイン11章で都市防衛軍の拠点へ攻め込んだロドスは、ロンディニウムの物流データをハッキングし、物資の流れを解析しました。その結果、郊外にあるブレントウードという都市が浮かび上がります。ロンディニウムにそこそこ近いにもかかわらず、不自然に物の流れがなかったのです。
 ロドスの見立ては的中でした。ブレントウードの近くには発着場がありました。巨獣の骸骨はライフボーンというコードネームをつけられて、サルカズのために人員や物資を輸送していました。
 ライフボーンが輸送していたものなかで戦いの鍵を握るのがブラットブルードの戦争法陣でした。源石で作られており、サルカズの血に影響を与えます。ライフボーンが輸送できる範囲には限りがあるらしく、戦争法陣は発着場からとある距離以上離れた地点には置けません。
 戦争法陣は儀式の中継装置でした。ドゥカレが儀式を行うために準備していたものです。
 ライフボーンが動くと、周りの人に幻覚を見せます。遠い過去に起きた出来事が、目の前で起きているかのように見えます。これは巨獣の力の1つで、本人にも抑えることはできません。幻覚は輸送した物資にも付着し、残り続けてしまいます。そのため戦争法陣の近くでは人々は幻覚を見るのですが、これは戦争法陣そのものの影響ではないのです。


2-2. 散り散りのロドス陣営

 ロドスの面々は散り散りになっているので、まずはざっくりと動きを整理します。
 メイン10章でロンディニウム内部に潜入したロドスでしたが、自救軍の拠点がサルカズにバレてしまって苛烈な攻撃を受けました。バラバラに分散して撤退したため、いくつかのグループに分かれて行動しています。
 シージやドクターたちはノーポート区へ向かいました。グレーシルクハットに脅され、飛行船の調査を手伝わされたのです。頑張り虚しく飛行船を奪うことはできず、ザ・シャードからの砲撃で天災が発生しました。ウィンダミア公爵が助けに来てくれて、ロドスの一行はノーポート区を抜け出しました。
 ヘドリーはマンフレッドを裏切った罪で監獄に捕えられていました。しかし彼は抜け出してWと合流。飛行船の上からダイブしたイネスを助けて、3人で行動を再開しました。
 テレシスに斬られたケルシーおよびロドスの非戦闘員、そして自救軍はまっすぐにブレントウードを目指しました。Wのセーフハウスが近くにあるので、そこで体制を整えています。
 Miseryとホルンはマンフレッドの隊を引き付けて、他のチームの逃亡を助けました。もともとは彼らもブレントウードへ向かうことになっていたのですが、予定を変更してチェットリーという街で戦っていました。
 それぞれ詳細に見ていきます。

2-3. ウィンダミア公爵の旗艦

 ウィンダミア公爵の旗艦が襲撃を受けました。
 デルフィーンを助けるために、ウィンダミア公爵は自ら高速戦艦を率いてノーポート区にやってきました。ドクターたちとノーポート区の難民もついでに助けてくれて、自領に向かって進んでいました。
 ドゥカレと聴罪師兵と変形者が高速戦艦を襲撃しました。変形者は12章でLogosが倒したのですが、その後2つに分かれて転生していました。頑張って倒した意味はなかったのかとガッカリだったのですが、前とは異なる意志を持っていそうな雰囲気でした。
 ドゥカレと変形者は連携してウィンダミア公爵を討ち取ります。彼女はデルフィーンに気を取られた隙をつかれてしまいました。
 その後ウィンダミアの護送艦隊が駆け付けるのですが、継承者であるはずのデルフィーンは置いていかれてしまいます。彼女が公爵の死の直接の原因となったからです。娘のためという私情を優先した公爵の行動も良く思われていませんでした。公爵は自分の部隊を厳しく律してきましたが、皮肉にも娘を切り捨てられてしまうという結果になりました。
 ドゥカレたちの襲撃はサルースら聴罪師と連動していました。リターニアの陰謀なのではないかという噂も語られましたが、ドゥカレがリターニアの言うことを聞くのかは怪しいのではと思います。
 サルースはアーミヤを誘拐しました。聴罪師は魔王の力を欲しています。サルースの巫術でアーミヤは意識不明になってしまいました。
 ドクターはアーミヤを守ろうと必死にサルースに抗います。こんなに自我を発揮しているドクターを見るのは初めてでした。脆弱な身体ながらドクターが時間を稼いだおかげで、Logosとアスカロンが助けにきてくれ、サルースは撤退していきました。
 シージたちはデルフィーンとともに行動し、ウィンダミアの拠点に帰ろうとしました。その道中でグレーシルクハットが接触してきて、諸王の息を手に入れようと再び交渉してきました。カスター公爵は何が何でもこの国剣が欲しいようです。
 シージは交渉を蹴りますが、グレーシルクハットは個人として情報を1つ提供してくれました。ホルンたちテンペスト特攻隊がチェットリーで助けを求めているSOSでした。シージたちはブレントウードを目指さねばなりませんが、チェットリーに寄ることにします。


2-4. チェットリー防衛戦

 チェットリーの戦いを見ていきます。
 ホルンとMiseryはサルカズ軍を引き付けながらロンディニウムから撤退しました。ブレントウードに向かう途中、チェットリーの住民が虐殺されそうになっているところを見逃せず、戦いに介入することにしました。
 シージたちはグレーシルクハットから情報を得て、チェットリーへと駆け付けます。ホルンたちが立て籠っているビルで彼らは合流し、チェットリーを守るために戦いました。
 この戦闘では、経験豊富なホルンや英才教育を受けたデルフィーンではなく、シージが指揮を執りました。戦場指揮において最も重要なのは勇敢さだとホルンは説きます。シージは見事に期待に応え、サルカズ軍を撃退しました。
 救難信号を受信したゴドズィン公爵の部隊が到着し、チェットリーは救われました。シージたちはゴドズィン公爵の部隊には接触せずに撤収することにしました。ホルンはテンペスト特攻隊の一部を指揮していますし、シージはウィンダミア公爵軍の一部を従えています。そのような複雑な構成で公爵軍と接触するのは得策ではないと判断したのです。
 チェットリー市民の贈り物の中に重要なアイテムがありました。模範軍の識別コードです。テンペスト特攻隊の前身となった伝説の部隊で、「奇跡を創り出す」という大それた訓示を持っていました。シージはグレーシルクハットから「自分の軍隊を持つべき」とアドバイスをもらっていたこともあり、模範軍の名前を借りることにしました。
 このあと、シアラー少尉がデルフィーンたちのところへ戻ってきます。彼はウィンダミアの本拠地であるガラヴァエ鉄盾に帰ろうとしたのですが、追い返されてしまいました。ウィンダミアの内部は相当混乱しているようでした。


2-5. サルカズ傭兵とリッチ

 ヘドリーたちの動きを見ていきます。
 ヘドリー、イネス、Wの3人はエルマンガルドに接触をしました。キューブちゃんという乗り物がWに爆破されてしまい、エルマンガルドは怒っていました。
 エルマンガルドはドゥカレが置いた戦争法陣を見に来ていました。嫌な予感を覚えたそうです。戦争法陣は巨獣が設置したものですから、地面に輸送の痕跡はなく、近寄ると幻覚が現れます。4人は遠い昔のカズデルの姿を幻視しました。
 「ツヴィリングトゥルムの黄金」でも語られていたように、リッチは知識に興味があり、戦いに直接参加するつもりはなさそうでした。
 エルマンガルドはカズデルにいるリッチたちの作戦を教えてくれました。1つはテレシスのためにとっておきの策を用意すること。これの詳細はわかりませんでした。
 もう1つは、テレシスが失敗したらカズデルをバラバラに分割して逃げようとしていることです。もしテレシスがこの戦争に敗れたら、テラの諸国は再びカズデルを滅ぼそうとするでしょう。サルカズが苦難に陥るのを未然に防ごうとしているのです。
 ヘドリーも自身の考えをエルマンガルドに伝えました。彼はサルカズを守るためにこの戦争を止めようとしています。エルマンガルドはヘドリーたちが同じ理想を掲げていることを知り、それをリッチたちに伝えておくと言っていました。
 テレシスが何をしようとしているのかはリッチが見てもわかりません。マンフレッドが実行したのは戦争を引き起こすところまでで、そのあとの作戦はテレシスの頭の中にしか存在しないのでしょう。
 ヘドリーたちは戦争法陣の性質からブレントウードを怪しみ、ライフボーンの発着場を発見しました。そこで昔馴染みであるウルスラに出会います。若かりし頃にカズデルのスカーモールで一緒に賞金稼ぎをやっていたのだとか。
 ヘドリーはもう一度一緒に戦わないかとウルスラを勧誘します。しかし彼女の中での最善の選択は軍事委員会。交渉は決裂しました。高貴な血筋の出身ではない自分を少佐に抜擢してくれた軍事委員会に、ウルスラは忠誠を誓っているのです。
 ライフボーンは半月前までは多くの人員を輸送していました。最後に運ばれたのはロンディニウムに突然現れたナハツェーラー軍だと思われます。最近は物資の輸送ばかりになっているのだとか。ここでヘドリーたちはライフボーンの存在を把握し、以降の作戦ターゲットになっていきます。


2-6. ドクターとアーミヤが見た幻覚

 ドクターたちも幻覚を見せられました。
 サルースを撃退したあと、ドクター、Logos、アスカロン、アーミヤもブレントウードを目指しました。その道すがら戦争法陣が現れ、彼らに幻覚を見せます。
 ドクターたちが見た幻覚にはLogosの母が登場しました。この人は200年前のケルシーと戦ったときの戦争の六英雄の1人。威厳のあるビジュアルをしていました。
 戦争のあとでLogosはバンシー王庭の主になりました。母は自分が信じることを成せとLogosを励まし、彼は王庭等の古い制度をぶち壊すという野望を抱えてバベルの一員になりました。Logosは王庭や魔王がサルカズを縛っているのだと考えています。
 4人は巨獣の幻覚を抜け出すのですが、アーミヤだけはサルースにかけられた巫術に依然として苦しめられており、別の幻覚を見ていました。メイン7章でパトリオットが亡くなる瞬間に口をついて出た預言が再び登場します。「汝こそ魔王ーこの大地の遍く全てを隷属させる者なり」。
 アーミヤは自分の姿をした運命そのものと対話をします。アーミヤが試そうとしていることはすでに過去の魔王が試しており、成功する可能性などなく、預言は現実のものになるのだと運命は語り掛けます。アーミヤからすると預言に逆らえないなら自分が生きている理由を失うことになるので、徹底的に預言に抗う姿勢を示していました。
 すべてのサルカズの魂の集合体もアーミヤに語り掛けます。運命からは逃れられない。テレジアは定められた悲劇を回避しようと頑張ったため、その代償にいまも苦しむ羽目になったと。アーミヤはテレジアの後を追う覚悟ができていますし、テレジアはその程度で屈する人間でもないと信じています。人は自分の手で結末を選び取ることができるのだと宣言します。
 魔王の運命について真剣に考えたことで、アーミヤは1つの気づきを得ます。魔王は支配のための力ではなく、存続のためのものなのだと。術師アーミヤのモジュールテキストにあるように、魔王の力をもたらす黒い王冠は外の文明が造ったもので、「文明の存続」という名前がついていました。いよいよ正体が明かされるときが近づいているのかもしれません。
 このあとアーミヤは夢から覚めます。法陣を修理する任務中のパプリカたちがタイミングよく現れました。ブレントウードへの移動手段が欲しいドクターたちは、Logosの王庭の権力でビビらせて、修理隊の車を借りました。またサルースがアーミヤを襲ってきたことを鑑み、アスカロンをケルシーたちの援護に向かわせました。


2-7. 聴罪師の襲撃

 ケルシーたちが聴罪師に襲われました。
 ブレントウードの近郊に辿り着いたケルシーや自救軍の一行はWのセーフハウスに潜んでいました。そこに聴罪師たちが突然現れました。
 聴罪師は魔王の研究を行う一族です。テレシスの側近のようなポジションにいるのは便宜上の姿であり、彼ら自身の野望を持っていました。嘆きの扉の実験に進展があったと言っていました。ケルシー曰く、彼らは何千年もの間魔王の王冠を狙い続けているのだとか。
 いままで「聴罪師のリーダー」と呼ばれていた男性にはクイサルトゥシュタという名前がありました。「不滅の希望」という意味だそう。同様にシャイニングはクイサルシンナ(離別を許さぬ希望)という名を持つのですが、彼女はこの名前をすでに捨てたと言っていました。よっぽど一族のことが嫌いなのでしょう。
 クイサルトゥシュタの狙いはリズでした。リズは抵抗しようとしてアーツを放つのですが、それが逆に共鳴を起こしてしまい、危険な状態になってしまったようでした。檻の中の意識が目覚めてしまったと言われていました。クイサルトゥシュタの狙い通りだったみたいですが、この一手は大胆で有効なものだったとシャイニングは振り返っていました。
 リズは過去に人体実験を受け、シャイニングの意思でリズの記憶が保存されたようです。リズを苦しめてしまっていることに対してシャイニング罪悪感を抱えているのですが、リズの方はとっくに許していると言っていました。リズの完治がシャイニングの目標です。
 クイサルトゥシュタはリズを失いたくなければ自分を殺せとシャイニングに迫ります。彼はシャイニングの父親にあたるらしいのですが、身体はシャイニングの弟のものを使っているため、一族の身体を乗っ取ることができると考えられます。殺されることで魂が継承されるのも、魔王の性質に少し似ているなと思います。
 ピンチを救ってくれたのは変形者でした。転生した変形者は2つに分かれ、片方はサルカズ側についたのですが、もう片方がロドスの味方をしてくれるつもりのようです。変化、練磨、意味を求めているのだとか。Mon3trに変身して戦ってくれました。
 ドクターたちと一緒にいたアスカロンが、パプリカたちから車を借りてここまで飛んできました。サルースは様々なサルカズの能力を扱えるらしく、このときはアーミヤのアーツも使っていました。
 アスカロンの合流によって聴罪師側は滞在を切り上げ、リズを奪い去って逃げていきました。

  

2-8. ロドス集結

 ロドスの面々がやっとのことで集結を果たしました。
 本格的な戦闘に入る前に、ブレントウードの住民たちの様子が少し描かれました。この街にやってきたサルカズたちは、住民に食料と引き換えに労働力の提供を求めました。住人たちは侵略者であるサルカズに雇われて戦争法陣建設に手を貸したわけですが、逆らうと殺されてしまいますし、仕方ないことだという描かれ方がされていました。
 この戦争法陣はドゥカレの儀式の中心地。住民たちは儀式の鍵であり、どのみち巻き込まれてしまいます。危険に気づいたフリーダは、お祭りに使う予定だった礼砲を打ち上げ、命を賭して住民に危機を伝えました。礼砲のおかげで、ギリギリのところでフェイストたちが駆けつけることができました。
 儀式が始まったタイミングで、ロドスの面々が続々と駆け付けてきました。最初に到着したのがシージやホルンに率いられた模範軍。ブラットブルードの眷属たちを蹴散らしていきました。ライフボーンの発着場から戻ってきたヘドリーたち、パプリカの輸送隊の車に乗せてもらったアーミヤたち、聴罪師の襲撃を退けたケルシーたちも合流し、ブレントウードの戦争法陣は破壊されました。
 しかしドゥカレの儀式を完全に止めることはできませんでした。この儀式は周辺の戦場で流された血を集めてサルカズの力を強化するものであり、それと同時にエネルギーを生み出すものでもありました。エネルギーはロンディニウム方向へ送り出されました。
 戦争法陣を用いたドゥカレの作戦は様々なリスクをはらんでいました。ナハツェーラーや聴罪師もある程度危険を冒して行動をしています。サルカズが戦争を引き起こすにはいまこのタイミングしかなく、ロドスに見えていない奥の手があるのではと疑われていました。
 このあと、ロドスはライフボーンを奪うための計画を立てます。


2-9. ドゥカレの出陣

 ロンディニウムでの動きを見ていきます。
 都市防衛軍の元トップであるルネ・レト中佐はドゥカレに会う約束をしていました。都市防衛軍が解散されてしまい死ぬ覚悟を固めていた彼は、自分の資産を部下に譲り、認知症で呆けたガリアの元軍人を殺します。
 道すがら自救軍トップのクロヴィシアと遭遇しました。自救軍はサルカズの攻撃を受けて壊滅的なダメージを追いましたが、グレーシルクハットのおかげでロンディニウムを脱出できたとのことです。裏にはクロヴィシアとカスター公爵の間に何らかの約束があったらしいです。クロヴィシアは単なる仕立て屋の娘を名乗っていましたが、レトは彼女の正体に目星がついていると言っていました。
 クロヴィシアはレトに協力を持ち掛けます。しかし彼はそれを断り、ドゥカレの元へと歩いていきました。裏切りに塗れた自分をどうやって救えばいいのだと言っていました。
 レトはドゥカレと刺し違える覚悟で会いに来たのですが、その殺意すら見抜かれていました。彼は作戦を変更し、自分の剣で自分の首を切り落とし、裏切り者の血をドゥカレに吹きかけました。純血であることを何よりの誇りにしているドゥカレを、最大限侮辱できる行為なのではと考えて。ドゥカレはそんなレトの考えすらお見通しで、気にしない素振りを見せていました。
 ドゥカレはそのあとテレシスに呼び出され、ブレントウードに行ってこいという指令を受けます。大切な場所ならば防衛を固めておけばいいのにと、彼はテレシスに苦言を呈していました。
 テレシスは「最初の源石」に繋がる「古く傷だらけの扉」を見つけたとドゥカレに伝えていました。これがテレシスの本当の狙いでしょうか。テラを作り直せるほど偉大な力だとドゥカレも興奮している様子でした。
 決戦を前に、ヘドリーたちも大事な話をしていました。今回の戦争でロドスはテレシスを討とうとしていますが、彼を殺してはいけないと言い出したのです。Wは気が狂ったのかとキレていました。
 200年前にテレジアが魔王を継いで以来、テレシスは軍事委員会を率いてきました。この兄弟はすでにサルカズの礎になっており、その理念の延長にならなければならない。そうしないとテラ諸国がサルカズを徹底的に滅ぼしてしまうだろうとヘドリーは懸念を示していました。テレシスのやってきたことを完全否定するのはサルカズのためにならないと考えているのです。
 もう1つWに対して大事な話がありました。ヘドリーから見れば、彼女は立派なサルカズ傭兵のリーダー。多くの部下の命を背負っているので、責任のある行動をしなければならないというお説教でした。テレジアに魔王を託されたアーミヤに、先導してほしいと思っているのではとも指摘をします。蘇ったテレジアを見て動揺しているWは、この話を聞いてさらにイライラが募ってしまっていました。


2-10. ロドスvsドゥカレ

 13章の山場の戦い、ドゥカレ戦です。
 模範軍が敵を引き付けている間に、ロドスの主力が発着場に乗り込んでライフボーンを奪おうとします。
 ドゥカレはサルカズ兵士から血を奪って、ライフボーンの力の一部を取り戻させました。元気になったライフボーンはドゥカレやアーミヤを乗せて、空の上にまで飛んでいきました。
 ヘドリーはウルスラと再び遭遇します。彼女はマンフレッドについて気になることを言っていました。彼が万全の守りを固めていたらヘドリーは脱獄できるわけはないだろうと。マンフレッドはライフボーンを使ってサルカズをカズデルに帰そうとしていたらしく、ヘドリーと同じ考えを持っているのかもしれません。
 ドゥカレに血を抜かれたウルスラはフラフラの状態だったため、ヘドリーは巨獣の意識が保存されている懐中時計を奪いました。これを使ってライフボーンに話しかけ、賭けをしました。アーミヤがドゥカレに勝ったら、元の場所まで戻してくれと。ドゥカレが勝ったらロドスは皆殺しなので、賭けになってないじゃないかとライフボーンは笑うのですが、賭けには乗ってくれました。
 ドゥカレは儀式の最終段階を行い、一滴のティカズの血を取り出しました。万年もの間、ブラットブルード族で継承されてきたそうです。ティカズはサルカズの昔の呼び方であるだけでなく、種族として差異があるのでしょうか。なぜティカズの血がこんなに有難がられるかはよくわかりませんでした。
 アーミヤとLogosのコンビと、ドゥカレの間で戦闘が始まります。ロンディニウム編に入ってからのアーミヤの成長は著しく、魔王のアーツを駆使してドゥカレを追いつめます。
 純血にこだわるドゥカレは、黒い王冠がふざけた選択を繰り返すつもりなら、破壊してやろうと息を巻きます。しかし血液とは飲み物でもないし、儀式の道具でもないのだと、アーミヤはドゥカレの全てを否定。バンシーの根源と共鳴したアーミヤは、Logosと力を合わせてドゥカレを討ち果たすことに成功しました。
 ティカズの血もロンディニウム方向へ飛んでいきました。ロンディニウムでの戦いにどのように影響してくるでしょうか。


3. 今後へ

3-1. レユニオンの動き

 レユニオンの動きを振り返っていきます。
 12章の終わりに、ナインやGuardを含むレユニオン本隊もノーポート区に来ていました。もともとはレイドやパーシヴァルと合流したかっただけだったのですが、ノーポート区の戦いではたくさんの感染者が生まれてしまいました。意思のある人はレユニオンに回収されていきました。
 Guardは製薬工場に向かいたいとナインを説得します。ここは認可されていない鉱石病の鎮痛剤を作る闇工場でした。ウルサスでタルラがレユニオンを作ったとき、呼応してヴィクトリアで旗揚げしてくれたレユニオンが始まった場所です。ゆかりがある場所というだけでなく、実際に薬を作ることができればレユニオンのためになります。
 レユニオンの中に新たな要注意人物が現れました。ノウエルという男性です。タルラに怪しまれ、あっさりと自分が長命を持つことを明かしていました。レユニオンに加わったのはただの直観だったのだとか。
 ノウエルはとある女性に長命にされたそうです。長い時間をかけて正体を探り、いつかは殺してやろうと考えているのですが、現時点でわかったことは多くありません。「運命の手」と呼称されるその人物はヴィクトリアに潜み、必要とあらばヴィクトリアのことを破壊することも厭わないのだそうです。
 「流血や犠牲は彼女の次元ではデータでしかない」というノウエルの発言が気になりました。メタっぽい言い回しです。これもプリースティスなのか、それとも別の上位存在がいるのか…。
 ノウエルは自分の終わらせ方も探しています。自分が不死なのは苦痛を感じているからであり、自分が幸福になれば死がもたらされるとのこと。この苦難にまみれたテラで、本当の幸福を見つけるにはどうすればよいのでしょうか。


3-2. タルラvsエブラナ

 レユニオンの話の続きです。
 製薬工場にGuardが辿り着きました。レユニオンにもらった薬を売りさばいていたバイク乗りのサルカズが、工場のヴィクトリアの感染者からリンチを受けて殺されてしまいます。サルカズも感染者という点では同じだったのですが、憎きサルカズということで暴力が連鎖してしまいます。
 遺体の爆発がアルコールに引火し、Guardは火事に巻き込まれて亡くなってしまいます。その直前まで、レユニオンは誰の味方になるべきなのかを考えていました。感染者同士であったとしても殺し合ってしまう。団結すべきなのは感染者だけなのだろうかとナインに問います。オレたちは搾取されている人たちと共に立たねばならないのではないかと。
 タルラが率いていたころのレユニオンは目標がシンプルでした。感染者が暴力によって生きる尊厳を取り戻す戦い。一方ナインがリーダーになった現在、レユニオンが何を目指しているのかは不明瞭になってしまいました。感染者だけが住む移動都市を作っても、テラのすべての感染者を受け入れることはできないでしょう。チェルノボーグはすでに感染者の希望ではないのです。
 タルラ自身も、レユニオンが当初掲げていた理想が誤って伝えられている感触を持っています。今後、レユニオンが何を成す組織になっていくのか。単にロドスに吸収されてしまうのはもったいないと思いますし、彼らがどんな道を彼らが切り拓いていくのか注目したいです。
 ロンディニウムを目指すレユニオンを、エブラナが単騎で襲撃しにきました。レユニオンがダブリンに従えば、力を貸してやろうという強迫です。お前は自分の欲望しか見えていないとタルラはきっぱり断りました。久しぶりにタルラが剣を抜いた姿を見ました。
 エブラナはターラー人の国を作るのを妹のリードに任せたような発言をしていました。タルラの目指す最終地点は、いずれ自分と合流するだろうとも言っていました。エブラナの動きは少し危なげなのですが、いったいどこを目指していくのでしょうか。 


3-3. 動き出す公爵たち

 ヴィクトリアの公爵たちがようやく焦り始めます。
 ウィンダミア公爵がサルカズに殺されてしまったことは大事件でした。公爵たちの得意技は足の引っ張り合いですが、戦に長けたウィンダミアが落ちてしまうと戦線に穴が空き、自分のところにしわ寄せがきます。さすがに話し合って調整が必要だということで、カスター公爵がゴドズィン公爵を呼び、ゴドズィン公爵がウェリントン公爵を呼びました。
 ゴドズィン公爵はずっと名前だけ出てきた人物ですが、今回初めて立ち絵が出てきました。世間からは男女の色恋に耽るだけの人物と評されているようなのですが、カスター公爵はそうは思っていない様子でした。
 3人は反攻に転じるべきだという点で合意に至ります。ウェリントン公爵は増援を呼び、自分がヴィクトリア側の指揮を執ると言い残して去っていきました。強引な決め方でしたが指揮経験は彼が最も豊富なので、他の2人も了承していました。
 ウェリントン公爵は四皇会戦でガリアを滅ぼした英雄です。カスター公爵はその英雄の力を徐々に徐々に削いできました。今回は彼の力を増すような事態ですが、致し方なしと考えているようでした。一方、ゴドズィン公爵はウェリントン公爵が奥の手を持っていると睨んでいます。指揮権は預けるものの、彼のことは信用できないというスタンスでした。
 反抗作戦には他の公爵たちにも加わってもらうことにしました。カスター公爵はファイフ公爵とノーマンディー公爵に、ゴドズィン公爵はアバーコーン公爵とアッシュワース公爵に参加を呼びかけます。団結するには遅すぎたかなと思うのですが、果たして戦況を変えられるでしょうか。


 
 更新はTwitterでお知らせします。
X.com

yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com

シャドウバースのストーリー完結に寄せて感謝を

 リリースからずっと追い続けてきたシャドウバースのストーリーが完結をした。ここまで楽しませてもらった感謝を綴りたい。

完結させるのは難しい

 激化するソーシャルゲーム競争の中で、シャドバが約8年間サービスを続けていることがまずはすごいことだ。長い運営期間の中で、高品質のストーリーモードを途切れずに供給してくれた。長い間大変楽しませて頂いた。
 ソーシャルゲームは儲からなくなったら終わり。サービス終了の判断はビジネス起点だ。ストーリーの進み具合など知ったことではない。そんな中でビジネス側と歩調を揃え、更新停止のタイミングでストーリーを完結してくれた。中の人の調整力と、Cygamesという会社の経営判断に敬意を表したい。
 シャドバのストーリーが好きだった。物語の序盤は毎回冗長だなあと思いながら読んでいくのだが、クライマックスはいつもアツかった。ことごとくオタクが好きな展開を踏んでくれて興奮していた。
 もちろんカードゲームが好きだからこのタイトルを遊んでいたわけだが、新パックと新ストーリーがリリースされたらストーリーから遊んでいた。存分に物語を噛みしめてから、ランクマッチへと向かうのが常だった。
 シャドバを飽きずに続けてこられたのも幸運だった。ストーリーが面白かったとしても、ゲームをやめてしまっては展開を追えない。軽い気持ちでインストールしたあのときは、8年も同じゲームをやることになるとは思っていなかった。RAGEにも何回も出させてもらったし、本当に楽しませてもらえた。


 

カードゲームへの還流

 カードゲームで新しいカードを作り出し続けるには、バックグラウンドとなるストーリーが必要だ。ポケモンカードポケモンが続く限り増やせる。遊戯王は原作シリーズを重ねることでカードを作る。シャドバはストーリーを上手にカードゲームへと還流していた。
 リオードが潜伏を持つのも、ベルフォメットがエリネイスを降臨させるのも、ストーリーとリンクしていて気持ちよかった。必ずしもすべてのカードがストーリー要素を踏襲していたわけではないが、脚本とカードゲームデザインをできる限り連携させようという意思は伝わってきた。
 魅力的なキャラをたくさん作りだしてくれた。エレノア、モノ、セリーナ、セッカ、ベルディリアあたりはキャラが好きだからデッキを作った。性能以外にデッキを組みたくなる理由ができるカードゲームは良いものだ。
 濃厚な脚本をフルボイスで作るにはコストがかかっただろうが、最後までやりきってくれた。ゼロから世界そのものを構築し、キャラクターを描き起こすのも大変だったことだろう。ゲームでしかできないような表現にも色々と挑戦してくれた。最後の最後まで。
 アリサたちは各クラスのリーダーとして用意された。彼女らがカードゲームの設定を十分に説明したとみると、レヴィールからは主役を変えるという方針転換も見事だった。物語の自由度が上がり、アメツチ編や学園編など自由度の高い物語が生まれた。
 途中からはストーリーに連動した特殊バトルも作られるようになった。ストーリーのためだけに新たなロジックを開発することは大変だったろうに、エンジニアもそこに付き合うという判断をしてくれた。ド派手で無茶苦茶なボス戦はどれも本当に楽しかった。


無限の構造とたたみ方

 運営が何年続くのかは、リリース当初は誰にもわからなかっただろう。シャドバのストーリーは、続けようと思えば無限に引き延ばせる構造で作られた。世界から世界を飛び回り、人々を虐げる管理者を追っていく。一人の管理者が倒されても、また次の敵を用意できる構造。ストーリーがもう少し長く続いていれば、ネルヴァの次の管理者が出てきていたことだろう。
 しかし終わりが来た。脚本家も無念だったかもしれない。ネルヴァを最大のラスボスに仕立て上げ、過去のストーリーを総動員した機転は見事だった。やり残したことがいろいろあっただろう。でも、破綻させまいという強い意志が感じられるまとめ方だった。管理者とは何かという問いにまで回答を用意しているとは思わなかった。
 生み出してきた数多のキャラに祝福をもたらし、置いてけぼりをなるべく作らないようにしてくれた。すべてのキャラにスポットライトが当てられたわけではなく、すべての人が100点満点をつけるわけではないだろう。だけど自分には最終章に脚本家の意思が見えて、そこがこのゲームらしくてとても良かった。8年間本当にお疲れ様でした。そして、ありがとう。ビヨンドも楽しみにしてます。



【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ツヴィリングトゥルムの黄金 編

 2024年4月30日開始のイベント「ツヴィリングトゥルムの黄金」のストーリーを整理します。

1. 巫王の在位

1-1. 金律楽章の更新

 金律楽章と巫王の話からスタートします。
 金律楽章とはリターニア国民なら誰もが知っている楽曲。現実世界で言うなら国歌のようなものですが、断然大きな影響力を持っています。金律楽章は選帝侯制度などリターニアのすべての統治システムを定義して国の根幹を成しています。制度面だけでなく、芸術や道徳など人の心の動きにまで影響し、リターニアのすべての人の価値観を形作っています。
 アークナイツ歴969年、リターニアの南東部からシラクーザが独立しました。金律楽章が作られた当時は10個だった管区が9個に減少したため、定義と矛盾が生じて楽章が安定しなくなりました。そこで当時の皇帝である巫王が金律楽章の書き換えに挑みました。
 金律楽章は1000年以上前に異なる部族の賢人たちの手で作られました。強力な術師が集まって練られた超術式のようなもので、書き換えるのは並大抵のことではありません。時の皇帝であるオットー・ディートマー・グスタフ・フォン・ウルティカ、またはヘーアクンフツホルン、通称巫王はその難題に挑みました。彼はもともとウルティカという貴族の家の出身で、アインヴァルト管区の選帝侯を経て皇帝に選出されました。
 巫王は書き換えを行う際の切り札として金律楽章の副本を生み出しました。副本を日本語の通り受け取るとコピーということになるのですが、切り札として開発されたと言われていたので、単なるコピー本ではないような気がします。巫王独自の術式がたっぷりと練りこまれた代物でした。
 副本のおかげもあって金律楽章の書き換えは無事成功。シラクーザが独立したあともリターニアは繫栄を続けました。巫王は稀代の名君として支持されていきます。


1-2. リッチと千糸万弦の終始

 リッチが巫王にもたらしたものを見ていきます。
 リッチはサルカズの種族の1つです。メインストーリーではエルマンガルドという女性が出てきていますが、今回はフレモントという男性が登場しました。彼はリッチ王庭の主です。
 リッチは知識の豊富さが特徴。彼らは自身の命結という重要アイテムを異次元に隠すことで不死身になれるという不思議な特性を持っています。命結を隠す異次元は「千糸万弦の終始」と呼ばれます。リッチはサルカズの中でも一際特殊な一族と言えそうです。
 リッチは様々な土地を放浪し、不死身の身体に知識を蓄積していきます。リターニアにも多くのリッチが潜んでいました。フレモントはルートヴィヒ大学の先生をやりながら500年リターニアにとどまっています。彼は巫王と親友になり、様々な援助を行っていました。
 金律楽章の書き換え作業を行っているときに、巫王はフレモントに軽い調子で訪ねました。千糸万弦の終始に入ってみたくはないかと。リッチの不死身の仕組みは他の種族には秘密にしていたため、巫王の提案にフレモントは度肝を抜かれました。ここで殺すべきかとすら考えます。
 リッチは異空間に命結を隠すのですが、自分で立ち入ることはしません。危ないからです。一瞬悩んだのちに、フレモントは巫王に協力することにしました。彼にも好奇心があったことでしょうし、巫王を信頼してもいたのでしょう。自分の命結を貸すことで、異世界に入る手助けをしたようです。巫王は千糸万弦の終始を荒域と呼び替えました。
 巫王は荒域にパヴィヨンと名付けた宮殿を建設し、自分の意識を保存しました。現実世界で肉体が滅んだあともバックアップとして機能します。
 このあと巫王には変化が起きていきます。彼は源石の本質を追求していたのですが、荒域のおかげもあってか発見がありました。源石はテラの世界の根本に関わる重要な物質と考えられているのですが、源石を作った人間がいるという事実に巫王は辿り着きました。現状与えられている情報からだとプリースティスが思い浮かびます。
 創造主は残忍・邪悪・狡猾で、人々の意志を脆弱にします。巫王曰く意志は人々が持つ強大なる武器にして堅固な檻。創造主が人間を滅ぼそうとするなら、こちらが創造主を滅ぼさねばならぬと巫王は怒っていました。なぜそこまで敵意を見せているのかはよくわかりませんでした。
 巫王はテラの世界の真実の構造を垣間見て、心が荒んでいきます。自覚するほどの変化が起き、自分はこのせいで暴君になったのだと言っていました。リターニアの暗黒時代の始まりです。様々なイベントで巫王の治世は恐ろしかったと言われていますが、世界の真実を知るまでは彼は優しい君主だったのです。傍から見ると気が狂ったように見えたのかもしれません。

1-3. 双子の女帝の誕生

 暴虐な巫王を倒すための秘密兵器が作られました。
 あまりにも強い巫王を打倒するべく、反巫王派はあらゆる手を尽くしました。辿り着いた答えは人造人間を作ること。レオポルドというリターニアの貴族がこの計画を主導し、現双子の女帝を生み出すに至ります。レオポルドは巫王の失脚を見たかったようだと推測されていました。
 グリムマハトとイーヴェグナーデの2人は、体内に巫王の術式、ガリアの技術、リッチの祝福を宿しています。戦闘に特化した身体になっており、ケガをしてもすぐに治るという描写もありました。
 巫王の術式とリッチの祝福を提供したのがフレモントでした。リッチは知識の殿堂に過ぎないという主義らしく、自ら手を動かすことはしません。親友だった巫王の討伐に力を貸したのは、彼の変容を良く思っていなかったからか、命結を返してほしかったからか。
 レオポルドは自分で造っておきながら、双子の女帝を恐れていました。制御不能になるのではと思っていたのでしょう。フレモントに2人はどのぐらい長生きするのかと尋ねたことがあったそうです。巫王との決戦の際には後詰の戦力を用意しておき、双子の女帝が勝ったら殺す気でいました。
 グリムマハトとイーヴェグナーデは赤ちゃんのときから頭脳明晰で、自分たちの運命を理解していました。術式で作られた人間には魂がないという学説を非常に気にしていたというエピソードもありました。しかし彼女たちにはちゃんと感情があり、涙を流したり、お互いを思いやったりもします。ヒルデガルドとリーゼロッテという、2人の間でだけ呼び合う名前もあります。自分たちの命には必ず意味があるのだと決意を話し合うシーンもありました。


1-4. 巫王の死の目撃者

 巫王の死を目撃した人がこのイベントの鍵を握ることになります。
 1077年。双子の女帝が巫王の塔に攻め込み、激しい戦いの末に巫王は倒されました。この事件は9月蜂起と呼称されることもあります。長きにわたる巫王の時代は終わりを迎えました。この戦いで誰がどちら側についていたのかというのがポイントです。
 ブラント・ライナーは金律法衛という戦力の一員です。金律楽章を守る部隊であり、君主に仕えます。このときは巫王をお守りする立場でした。
 フリーダ・ゼーマンは客人画家として巫王の塔に迎え入れられました。彼女は巫王のことを深く慕っており、彼の死後は絵が全く描けなくなってしまいました。
 コーラ・レーヴェンシュタインは塔の侍従でした。楽器の清掃員として雇われたのですが巫王が楽器を触る頻度が落ち、単なる清掃員になっていました。双子の女帝軍が攻め入ってきたとき、彼女は戦いが怖くて巫王の防御術式にわずかな穴をあけました。まさか巫王もこのような形で寝首を搔かれることになるとは思ってもいなかったでしょう。
 双子の女帝側についていた人も見ていきます。ロリス・ボロディンはラテラーノ出身のリーベリです。双子の女帝軍の先頭に立って巫王の塔に足を踏み入れた兵士になり、勇敢さが称えられて子爵の地位を与えられました。
 ウェルナー・ホッホベルクはシュトルム領軍を率いる貴族でした。戦場でたまたまコーラに出会い、彼女を助けてあげました。
 ゲルハルト・ホフマンはウルティカに仕えていた術師でした。ウルティカは巫王の一族なので本来は巫王側にいるべきなのですが、裏切って双子の女帝側についていました。逆側についていたら戦死していた可能性が高いので、命拾いする選択になりました。
 レオポルドは勝利した双子の女帝を殺すつもりで軍隊を構えていたのですが、その目論見は失敗したようです。完璧な勝利を得た彼女たちは、新しいリターニアの皇帝になりました。 


2. 巫王の死後

2-1. ホッホベルク家

 巫王の死後の時間軸を見ていきます。まずはホッホベルク家に起きた出来事から。
 ホッホベルク家はシュトルム領を治める貴族です。エルンスト・ホッホベルクは選帝侯の一人でした。9月蜂起で彼は戦死したため、弟のウェルナーが選帝侯を継ぐことになりました。
 ブラントは金律法衛になる前はホッホベルク家に仕えており、エルンストやウェルナーと親しい関係にありました。9月蜂起では立場が逆だったためエルンストを守ることができず、彼は後悔を抱えることになります。
 ウェルナーは有力な貴族の一員ではあるものの詩人になりたいと思っていて、首都ツヴィリングトゥルムで暮らしていました。彼にはルシンダ・ドロステという恋人がいました。平民出身の画家です。
 ブラントに連れられてシュトルム領に戻る際、彼はルシンダとすれ違い、まともな挨拶ができぬままでした。このときルシンダは娘を妊娠していたのですが、選帝侯になったウェルナーは貴族同士の政略結婚を迫られ、平民出身のルシンダを正妻にすることはできませんでした。
 巫王の死の1年後、2人の子であるヴィヴィアナが生まれました。ルシンダはホッホベルク家の侍従になり、ヴィヴィアナは存在を秘匿されながらウェルナーの塔の一室で育ちました。公表はできなくともウェルナーはヴィヴィアナのことを深く愛しており、一緒にいる時間は忙しい彼の癒しの時間となりました。
 しかしルシンダは1087年に亡くなってしまいます。ウェルナー1人でヴィヴィアナの面倒を見るのは難しく、存在を公表することもできなかったため、彼女はこっそりとカジミエーシュに送られることになりました。
 ロイヤル楽団の調律師の職を得ていたコーラが、楽団のカジミエーシュ公演の際にヴィヴィアナを連れて行ってくれました。コーラはこの3人の家族を愛しており、苦労を買って出てくれました。ヴィヴィアナは大騎士長ラッセル・イオレッタの養子となり、競技騎士の道を歩んでいきます。


2-2. ユリアの失踪事件

 ユリアとは何者だったのか。
 1085年のツヴィリングトゥルムで、ユリア・シューレルという女性が行方不明になる事件が発生しました。彼女は憲兵長になったロリスの恋人でした。
 ロリスは必死でユリアを捜索し、彼女を最後に目撃したと証言するフィン男爵を疑いました。しかし双子の女帝から圧力がかかり、捜査は無理やり終了させられてしまいました。ロリスは諦めることができず、1人で15年もの間手がかりを集め続けていました。
 真相は単純でした。ユリアはたまたま巫王派の残党が騒ぎを起こした現場に居合わせ、口封じに殺されてしまっていました。1085年時点では双子の女帝の統治がまだ安定しておらず、巫王派が暗躍していることを一般市民に知られないようにもみ消されたのでした。
 ユリアにはヤンという弟がおり、ロリスはヤンのことも気にかけ続けています。イベントの時系列ではヤンの学費を出してあげようとしていました。
 巫王派の残党に殺されてしまったユリアの魂は巫王のパヴィヨンへと向かい、後に重要な役回りを果たすことになります。魂がパヴィヨンに飛んで行ったのは偶然だったようで、ユリアに何か特別な力があるわけではありませんでした。


2-3. エマニュエルの葬式

 コーラとアルトリアが出会いました。
 巫王の死から十数年が経った頃、エマニュエルという人物の葬式がありました。この人はロイヤル楽団のチェロ奏者を務めており、巫王の元で演奏したことがある人物です。しかし巫王が倒されたあとは苦しい生活を送っていました。コーラは唯一葬式で涙を流していた人物でした。
 アルトリアはリターニアに留学中にエマニュエルからチェロを習っていました。彼女は自分のチェロで先生の荒んだ心に安らぎをもたらすことができると提案するのですが、エマニュエルはそれを断ります。彼は金律楽章に囚われ、何度も何度も演奏して自分自身を忘却していきました。
 エマニュエルの姿を見て、アルトリアは金律楽章の影響力の強さとその恐ろしさを知りました。のちにアルトリアは金律楽章が人を支配して感情をすり減らすものだと考えるようになります。
 アルトリアはエマニュエルの葬儀には間に合いませんでした。しかし広場でチェロを弾く彼女の姿をコーラが見つけ、2人の交友が始まりました。
 アルトリアは最も強い心を持つ人物に、自分が抱えている問題意識をぶつけてみたいと考えていました。そんな彼女にコーラは記憶の中の巫王を見せられると提案します。しかしコーラの記憶で一番鮮明に焼き付いているのは巫王の姿ではなく、彼女を助け出してくれたウェルナーの手だったと言います。
 このあと10年以上が経ち、コーラとアルトリアはお互いの目的を達成するために手を組みます。1つは金律楽章を滅ぼすこと、もう1つは巫王に会うことです。

 

3. イベント時系列・ルートヴィヒの戦いまで

3-1. 盗まれた金律楽章の副本

 ここからはすべてアークナイツ歴1100年、イベントの時系列へと入ります。
 ウェルナーは病を患い、自分の死期が近いことを悟ります。彼はアルトリアを呼び出しました。「空想の花園」のラストでリターニア貴族の使者がアルトリアを迎えに来たシーンがありましたが、あればウェルナーの使者でした。アルトリアのチェロのアーツは心の奥底の強い感情を増幅します。最愛の人であるルシンダと愛娘のヴィヴィアナとの思い出に浸りたかったのです。
 一方でアルトリアの方もウェルナーに用がありました。彼女は巫王に会うためのヒントを求め、巫王の死の目撃者たちの記憶を探ろうとします。そのためには間近で演奏することが必要です。
 同じころ、競技騎士をやめて隠棲していたヴィヴィアナのもとに、父のウェルナーから手紙が届きました。シュトルム領へと戻ってこいと。彼は自分の死を予期しており、最期に娘に一目会いたいと考えました。
 しかしこちらの願いは叶いませんでした。ヴィヴィアナは間に合わなかったのです。巫王派の残党の襲撃を受けウェルナーは死亡。彼が選帝侯として管理していた金律楽章の副本が盗まれてしまいます。
 「首席」と呼ばれていたこの襲撃の首謀者はコーラでした。金律楽章を書き換えるために彼女は副本を求めます。しかしコーラは双子の女帝からも任務を受けており、二重スパイ状態でした。巫王派を壊滅させるためにエサを撒いて破滅させよというのが女帝からのミッションでした。
 さらに個人的な事情として、コーラは命の恩人であるウェルナーのことを助けたいと思っていました。巫王派の残党の計画を知っていますから、ウェルナーに危険が迫っていることが事前にわかっています。ウェルナーに襲撃が行われることを教え、彼の命が助かるように願いました。しかし金律楽章の副本がターゲットになる以上、それが盗まれた時点でウェルナーはどのみち死刑になるため、助かる道はありません。自分が巫王派に殺されて副本を盗まれる形が、唯一家族や領民の安全が保たれる選択でした。
 金律楽章の副本は巫王派の手によってツヴィリングトゥルムへと持ち出されました。ヴィヴィアナもツヴィリングトゥルムへと向かいます。ウェルナーの最期の願いを受け入れ、女帝の声になるためです。

3-2. ゼーマンとロリスの死

 巫王の死を目撃した人物たちが事件に巻き込まれていきます。
 アルトリアは巫王の死を目撃した人たちの突撃取材に出向き、演奏をして彼らの心を垣間見ようとします。巫王に会うヒントを探しているのです。
 最初に出向いたのが画家のゼーマン夫人のところでした。アルトリアの演奏によって心の奥底に眠る強烈な感情が呼び覚まされた結果、夫人は過労死するまで絵を描き続けてしまいました。
 ゼーマン夫人のような事件をアルトリアはたくさん引き起こしてきました。彼女自ら手を下しているわけではないのですが、演奏は感情を暴走させます。アルトリアはラテラーノでは罪人であり、フェデリコは執行人として彼女を追っています。ロリスにも捜査協力依頼を出していたのですが、無視されていました。
 ツヴィリングトゥルムではミヒャエルもアルトリアを追っていました。ミヒャエルはグリムマハトの密偵。グリムマハトはアルトリアが何を引き起こそうとしているのか監視しようとしていました。ミヒャエルはフェデリコに出会い、危険人物に見えたので一緒に行動しつつ監視することにしました。
 ウェルナーとゼーマンに続き、ロリスはアルトリアのターゲットになりました。彼女のチェロを聞いてロリスが思い出したのは、彼が生来持っていた勇敢さ、ユリアへの愛、彼女の命を奪った犯人への恨みなどなどの強い感情たちでした。
 巫王派の残党がエーベンホルツを捕まえようとしている場面に遭遇したロリスは、エーベンホルツを助けて殺されてしまいます。こちらも単純にアルトリアのせいにはできないのですが、ロリスの死にはアルトリアが深く関わったことになります。


3-3. ゲルハルトの野望

 次にゲルハルトが事件を起こします。
 ロリスに助けられたエーベンホルツは、フレモントにルートヴィヒ大学に連れてこられます。ここでゲルハルトは師匠のフレモントを裏切り、空間防御術式を張ってエーベンホルツを奪い取ります。
 ゲルハルトは双子の女帝側について巫王の死に立ち会いました。その後フレモントに教えを請い、20年に渡って金律楽章を研究し続けます。金律楽章自体のすごさと、書き換えを達成した巫王のすごさに直に触れたゲルハルトは、巫王派へと傾倒していきました。
 エーベンホルツは当初、フレモントが敵でゲルハルトが味方だと勘違いしていました。実態は逆。過去にゲルハルトはエーベンホルツに塵界の音を埋め込む実験に関与していました。ツヴィリングトゥルムに来たエーベンホルツを捕まえ、塵界の音を使って始源の角を降臨させようとします。
 ルートヴィヒ大学はウルティカ一族が作ったもの。ここには巫王が使った秘密部屋が残されています。ゲルハルトはエーベンホルツを連れていき、儀式を始めました。ウェルナーが管理していた金律楽章の副本もここに運び込まれていました。黒い炎が噴き出し、始源の角が降臨します。しかし塵界の音は巫王を呼び出すカギではなかったようで、始源の角は不完全な状態でした。
 ブランドは金律法衛の職務を全うしてこの始源の角を破壊してしまおうとするのですが、ヴィヴィアナが中にいると知ってその手を止めます。彼は9月蜂起の際に巫王の側についてエルンストたちホッホベルク家を助けなかったことをずっと後悔していました。いまこそその罪滅ぼしのときです。
 グリムマハトが駆け付け、長剣で始源の角は両断されました。グリムマハトもエーベンホルツの力に期待をしていた1人。巫王の力を得たいということで、彼に手紙を送ってツヴィリングトゥルムに呼び寄せていました。
 アルトリアはこの事件で、ブラントとゲルハルトの感情を読みました。ブラントの感情は後悔のない選択を導きます。
 一方で、ゲルハルトからは巫王をなぜ殺してしまったのかという疑念を読みます。彼はアルトリアとの対話の中で、その疑念は金律楽章がもたらしたものだったという気付きを得ます。君主を問答無用で敬うように強いる金律楽章は、人々の心を縛るものなのだと。
 ゲルハルトは金律楽章の副本に込められた巫王の力に耐えきれず、身体が崩壊してしまいました。これでアルトリアはウェルナー、ゼーマン、ロリス、ゲルハルト、ブラントと5人の目撃者の心に触れました。


3-4. 塵界の音の摘出

 エーベンホルツはついに塵界の音とおさらばします。
 フレモントは巫王に貸した命結を返してもらいたいと考えています。彼もまた始源の角を降臨しようとしていました。エーベンホルツに埋まっている塵界の音に期待をしていたのですが、フレモントが試してみてもダメでした。アレは正確な旋律ではなかったと。
 塵界の音は大した力を持っていないことがここで本当に証明されてしまいました。エーベンホルツは怒ります。一体何のために自分は苦しんだのか。そしてクライデを含む他の継承者はなぜ死ななくてはいけなかったのか。
 腐ってしまいそうになるエーベンホルツを叩き起こしてくれたのがレッシングでした。あらゆる痛みだけが本物であり、自分たちは生きるために戦う必要があると。巫王派の残党の元凶を引きずり出すべきなのではないかと発破をかけてくれます。
 レッシングはフレモントに拾われて育てられました。学生をやっているのですが、危機が訪れたときの訓練を叩き込まれており、今回の事件ではそれが活かされることになります。
 グリムマハトはフレモントが始源の角を降臨するサポートをすると約束していました。リッチが長年リターニアに貢献してくれていることに報いるためです。エーベンホルツを呼び寄せたのもその一環でした。フレモントは命結を返してもらったら、リターニアを去ろうと考えていました。
 グリムマハトはグリムマハトで、始源の角を呼び寄せたがっていました。彼女はリターニアを守る女帝として、さらなる力を望んでいます。巫王の力をわがものにしたかったのです。
 最終的に巫王に会う道を切り開いたのは部外者のアルトリアでした。巫王討伐の目撃者の感情に触れ、彼の遺言を見つけたのです。「裏切り者の魂は失われた始源の角へと導いてくれる」。この遺言が果たされたときに始源の角は再びこの世に現れます。


4. イベント時系列・女帝の祭典以降

4-1. 女帝の祭典から荒域へ

 ルートヴィヒの戦いのあと、小休止があってクライマックスの女帝の祭典の場面へ転換していきます。
 女帝の祭典では、参加者が楽器を持ち寄って金律楽章を演奏するパートがあります。巫王派の残党はロイヤル楽団に紛れ込み、演奏しながら金律楽章を書き換えてしまうという荒業に挑戦します。巫王が作った副本の術式を得て、楽曲を変調させて演奏したのです。数万人いた一般の参加者たちはいっせいに苦しみ出しました。
 この場面でようやくコーラがすべての黒幕だったという事実が明かされます。双子の女帝は裏切りに気づいていたようでしたが、グリムマハトが巫王の力を欲していたこともあり、意図的に泳がせていました。
 コーラは金律楽章のせいでリターニアの人々が自由に生きられないと考えています。二重スパイとして彼女の心は揺れていたようですが、ウェルナーを助けられなかったことが最後の決め手になりました。金律楽章を消滅させてしまおうとします。
 コーラを止めたのはヴィヴィアナでした。両親を亡くしたヴィヴィアナにとって、コーラは唯一残った肉親のような存在。しかしたくさんの人々を苦しめるコーラを、ヴィヴィアナは見逃すことができませんでした。女帝の声としてコーラを殺害し、幕を引こうとします。
 この瞬間、巫王の遺言が果たされました。アルトリアの思惑通り、裏切り者の魂が捧げられたのです。空を割って始源の角が降臨しました。
 フレモントはアルトリアを「追放」しようとしますが、逆にアルトリアが彼の糸にしがみついて荒域へと入り込んでいきました。フレモントはアルトリアを追いかけて自らも荒域へ乗り込んでいきます。
 人々を守ろうとするヴィヴィアナ、巫王と決着をつけたいエーベンホルツ、アルトリアを追うフェデリコも双子の女帝の塔を登り、荒域へと吸い込まれていきました。


4-2. ユリアの導き

 巫王の元へ導いたのはユリアでした。
 フェデリコ、アルトリア、ヴィヴィアナは荒域でユリアに出会います。ロリスに会ったことがある3人は、ユリアとの繋がりができていました。
 ユリアは荒域の中のカレンデュラ小路を生前と同じように慈しみながら暮らしていました。ただ、この世界が徐々に削り取られていってしまっていることには気づいており、共鳴パイプを設置して抗おうとしていました。共鳴パイプは巫王の楽章を奏で、アルトリアをパヴィヨンへと導いてくれました。
 アルトリアは荒域でチェロが使えないのですが、演奏に頼らずともユリアの心の声は聞こえてきました。彼女には死んでも揺らがなかった自分の生活に対する信念や愛、そしてロリスに対する後悔を抱えています。
 フェデリコもユリアと会話する中で、彼女の感情に触れます。ユリアはすでに亡くなっています。人の感情をあまり理解しないフェデリコですが、人が最期の瞬間に抱く強烈な感情を、ユリアを通して知ることができました。
 フェデリコはなぜ躍起になってアルトリアを追いかけているのか。それは幼い2人が交わした約束にありました。アルトリアが自分の演奏の能力を制御できるようになったら、ラテラーノで最も高い場所に一緒に登ろうという約束です。アルトリアが混乱を引き起こしてしまうのを阻止するために、フェデリコは彼女を追いかけています。
 ユリアのおかげでアルトリアはついに巫王に面会しました。彼女は理想の未来について問います。巫王の答えを聞く前に、彼女は持論を述べました。金律楽章やラテラーノの法がもたらす秩序は素晴らしいものですが、それらが与える加護は限定的であり人々の分断を生みます。誰しもが揺るがない心を持ち、感情で繋がることができたとき、真の意味で人々は繋がることができるのだと主張しました。それが彼女が描く理想の未来。
 巫王はその考えに理解を示していましたが、アルトリア自身についてとあるコメントを残しました。彼女はカラの容器に過ぎず、いまのままではその未来に辿り着けないだろうと。アルトリアはチェロの演奏でたくさんの人の感情を動かすのですが、彼女自身の感情はほとんど表に出てきません。実は心の中は空っぽなのではないか。アルトリアとフェデリコは正反対のようで、実は似た者同士だったのだなと私はここで気づかされました。アルトリアは巫王に答えを返せませんでした。
 次に巫王の前にやってきたのはエーベンホルツでした。血の繋がりがあったからか、ユリアの導きなしで辿り着くことができました。
 巫王はエーベンホルツに対して、貴様の敵は誰だと問います。エーベンホルツの人生は巫王に狂わせられっぱなしであり、彼の答えは巫王になるのかと思ったのですが、別の答えを選びました。「夜にはそもそも意味がない」。これはクライデの言葉です。
 解釈の難しい回答だなと思いました。すでに死んでしまった巫王を敵視し続けるのは無意味なことです。塵界の音がすでに取り除かれたいま、エーベンホルツは無暗に人を恨んでもしょうがないという境地に達していたのでしょうか。
 驚くべきことに巫王はエーベンホルツのことを褒めてくれました。そのあとで彼の目の前からは消え去りました。エーベンホルツは高らかに笑い声を上げ、それを聞いたアルトリアは解放を感じ取りました。 


4-3. 悪魔の侵略

 巫王との戦いが終結します。
 エルマンガルドの助けを借りて、双子の女帝も荒域にやってきました。巫王を倒せるのはやはりこの2人だけです。双子の女帝は再び巫王を打ち破ります。
 巫王は荒域で発見した源石と創造主の真相を語り、フレモントには命結を返します。フレモントは最後のとどめに巫王に「追放」を放ち、巫王の魂は永久に葬られることになりました。
 ユリアも知覚していたように、荒域は徐々に削り取られていっていました。巫王はそれを悪魔の仕業だと言っていました。彼は悪魔の侵攻から荒域とパヴィヨンを守ってきたのです。
 荒域に潜む悪魔がサーミの北に出没する悪魔と同様のものなのかはわかりませんでした。しかし悪魔が異次元からの侵略者なのだとしたら、崩壊体のような不可思議な現象を引き起こすことにも説明がつくのかもしれないと思いました。
 ヴィヴィアナも悪魔を見ました。彼女は自分の人生において誰かが異なる選択をしたIFの光景をたくさん見せられていました。どんな分岐を辿っても満足のいく結果にはたどり着けず、彼女は失望してしまいます。
 最後に入った扉でヴィヴィアナは1つの気づきを得ます。幼いころ彼女が憧れた騎士の物語だけは、幻の伝説ではありません。彼女自身が立派な騎士になっているからです。
 ヴィヴィアナは自分の感情を貪り食おうとした悪魔を、突然現れた騎士のソードスピアで撃退します。このソードスピアにはニアール家の紋章が刻まれていました。
 悪魔の浸食が激しくなる中で、訪問者たちは現実に帰らねばなりません。荒域が現実に滲み出すだけでも人々は大きな影響を受けます。ましてや悪魔そのものが現実に来てしまったら一巻の終わりです。
 グリムマハトが現実への侵攻を食い止める役目を買って出てくれました。巫王がパヴィヨンを作ったように、混沌の中に秩序を確立しようとします。自身の剣と身体そのものを塔に変え、現実と異世界の間に壁を作りました。
 グリムマハトのおかげで悪魔が出てくるのは防げたものの、女帝の祭典に集まった人々は最も強い感情以外を失って抜け殻のようになってしまっていました。
 アルトリアはこの人たちを救おうと、自分自身の感情を演奏します。チェロのアーツによって自分の感情を他人へと共有できるのです。集まった聴衆はこれで自分の感情を取り戻しました。この行動は、自身がカラの容器であると指摘されたことに対する回答にも見えました。


4-4. エーベンホルツとヴィヴィアナのその後

 事件のあとのお話です。
 エーベンホルツはロドス本艦を離れ、ウルティカ伯爵として領地に戻る決心を固めました。レッシングが背中を押そうと身の上話をしてくれます。ウルティカの従者の一族だったレッシングは、幼いエーベンホルツの気まぐれによって救われていたのです。エーベンホルツの身分には価値があります。それを正しい形で発揮してほしいと願ったのですね。
 ロドス本艦からハイビスカスがやってきました。ちゃんとした離艦申請を書けとエーベンホルツを叱っていました。ちょうどいまロドス号はツヴィリングトゥルムの近くに停泊しているため、可能なら直接ドクターかケルシーを訪ねた方が良いとも言っていました。
 1100年の段階では、ロドスはヴィクトリアを離れているようです。リターニア周辺で処理すべきことがあるのだとハイビスカスは言っていました。サルカズの反乱には一定の決着がついているようです。リッチたちもカズデルに帰ると言っていました。
 ヴィヴィアナは荒域で見たソードスピアについてニアール家に情報共有していました。紋章つきのソードスピアはムリナールの兄夫婦(マーガレットの両親)の所持品の可能性があります。リターニアの近くにいたムリナールがツヴィリングトゥルムまで駆け付けてきました。
 ヴィヴィアナはその後、マーガレットの勧めに従ってロドス号に滞在することにしました。彼女は女帝の声になることを辞退したためリターニアには居場所がなく、商業連合会に睨まれているカジミエーシュにも戻りたくなかったのでしょう。


4-5. リターニアとラテラーノに迫る災い

 リターニアとラテラーノの外交について。
 フェデリコが連れている黒いドローンを仲介人にして、イヴァンジェリスタⅪ世がイーヴェグナーデに面会しました。「吾れ先導者たらん」のころからラテラーノのアレは災いの襲来を予告しています。教皇聖下は他の国にも警告を発しているのですが、なかなか素直に聞いてもらえません。
 イーヴェグナーデは荒域で巫王が警告を発していたことを思い出します。「希望はすでに死に、永遠はすでに消滅した」。教皇の言うことに耳を傾ける気になったようでした。
 教皇はイーヴェグナーデに話をつけてアルトリアをラテラーノへ連れて帰ります。ストーリーの最後ではフェデリコに連れられてラテラーノを出発する場面が描かれていました。
 ヴィルトゥオーサのプロファイルを見ると、2人はまっすぐラテラーノに帰ったわけではないことがわかります。アルトリアはロドス号に連れていかれ、アーツの検査を受けていました。一体どんな危険なアーツなのかと。
 イヴァンジェリスタⅪ世がお忍びでロドス号を訪れ、アルトリアに面会する場面が回想秘録で描かれます。彼はそこで衝撃の提案をします。アルトリアに聖徒の称号を授けたのです。リターニアでは客人として迎え入れられていましたが、アルトリアはラテラーノでは重罪人です。教皇は迫りくる厄災に対して、大胆な対策を打つ必要があると考えているのでしょう。フェデリコに続いて2人目の大抜擢でした。
 エーギルが対面している海の怪物や、サーミの北側にいる悪魔は具体的な姿を持ってテラに迫っています。それに加えて、ラテラーノやリターニアは一体どんな形の脅威と対峙することになるのでしょうか。巫王や双子の女帝にまつわる伏線は回収されましたが、それ以上にたくさんの謎が残される物語となりました。




 更新はTwitterでお知らせします。
X.com

yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com
yterapokemon.hatenablog.com