3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ダーティマネー 編

 2024年3月19日開始のイベント「ダーティマネー」のストーリーを整理していきます。

1. 前提情報

1-1. クルビア独立戦争

 クリフとウッドロウの因縁の整理から。
 1016年頃。クルビアはヴィクトリアから独立しようとしており、激しい戦争の真っ只中にありました。チェルノボーグでドクターが目覚める80年ぐらい前のお話です。
 ルパート(のちのクリフ)、ウッドロウ、もう1人のサンクタは、ラテラーノからクルビアまで駆けつけて戦争に参加していました。モチーフとなるアメリカの独立戦争にも様々な国から義勇兵が参加したと言われています。ルパートは固い意志を持ち、皆を導くリーダーでした。
 戦いの中でサンクタの戦友がクロスキャンプという場所にある捕虜収容所に囚われてしまいます。ここはヴィクトリア軍が建設した施設で、酷い捕虜虐待が行われており、10人が入ったら1人しか出てこれないと言われていました。
 ルパートは救出計画を練りました。ウッドロウはおとりとして突撃します。しかし戦況が急変し、大局を見てやむなく2人を見捨てざるを得ませんでした。ウッドロウはなんとか生き延びましたが、もう1人は収容所で死亡。ルパートは墓前に赴くこともしませんでした。
 戦友の銃は誰かがヴィクトリアに持ち出したようで所在が分からなくなりました。派手な模様が施してあったので、価値を見出されたようです。年月が経ったあと、ルパートはヴィクトリアのアンティークショップで弾薬だけを偶然発見し、戦友の遺品として保管します。
 独立戦争はクルビアの勝利で集結しました。ウッドロウはラテラーノには戻らず、クルビアの森林地帯で狩人としてひっそりと生きていくことにします。楽園であるラテラーノに戻ると、戦友の死を忘れてしまうかもしれないと。
 一方ルパートは戦争のコントロールスイッチを掌握するのだと、クルビアで傭兵企業を立ち上げます。ブラックスチールワールドワイド(BSW)の誕生です。過酷な戦争は終わったにもかかわらず、彼は傭兵企業の社長として生涯を戦争に捧げることになります。

 

1-2. ブリンリー一族

 ジェシカの家族の話です。
 ブリンリー一族はクルビアが誇る軍事企業レイジアン工業の責任者の家系です。ジェシカの父であるバーニーは現在の責任者であり大株主としてレイジアン工業の経営に携わっています。
 ジェシカには兄が1人と姉が2人います。年齢の離れた末っ子がジェシカです。優秀な年長者に囲まれ、幼い頃から肩身の狭い思いをしてきました。父よりも祖父に懐いていましたが、祖父は彼女が中学生の頃に亡くなってしまいました。
 ブリンリー家にはお抱えの弁護士団がいて、大抵のトラブルは彼らが収めてしまいます。ものすごい人数がいるのだとか。
 レイジアン工業とBSWは武器の受発注を行う取引先の関係です。傭兵稼業には武器が必要不可欠ですから。バーニーとクリフはお互いをよく知っているようでした。
 ジェシカはBSWに入社したあと、思うように成果が出ず、一度会社をやめようとしました。しかしリスカムに必要としてもらえたことに感激し、ジェシカは傭兵を続けることを決意します。(ジェシカの回想秘録)
 バーニーはクリフに対して、「ジェシカがBSWに残るのは人々を守るため」と語ったことがあります。バーニーがジェシカをどう思っているのかは直接的な記述が少ないのですが、一定の理解をしているように見えます。

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 ちなみにレイジアン工業の武器の展開力はすさまじく、多くのオペレーターの武器にRAYTHEANのロゴが入っています。武器だけでなく、コーデのSTRIKERシリーズとPIONEERシリーズはレイジアン工業が立ち上げたファッションブランドです。ロドスも大変お世話になっている企業なのです。


1-3. 区画の再開発スキーム

 BSWがクルビア政府にどのように手を貸しているのか。
 近年クルビア政府が編み出した区画の再開発スキームが、「ダーティマネー」でのデイヴィスタウンの悲劇を引き起こしています。このスキームには政府・銀行・傭兵企業の3者が関わっています。
 クルビア政府は国を挙げてハイテク産業を支援しています。そのおかげでライン生命のような革新的な技術を持つ企業が次々に現れ、経済力および軍事力の向上に貢献しています。
 政府が注目しているのが、衰退した移動区画の処遇です。産業構造の変化についていけないなどして、経済が不振に陥る移動区画がクルビア国内に見られるようになりました。移動区画は建設に大きな費用がかかる貴重な資源のため、政府は有効活用したいと考えています。移動区画で暮らしている人を追い出して、そこにハイテク企業を誘致し、富を生み出してもらう計画が考案されました。
 合法的に住民を追い出すにはどのようにしたらいいか。それを考え出したのが銀行でした。中下層への経済支援を謳い、金融リテラシーの低い住民にお金を貸し、借金が返せなくなるまで転がして、破産させて家を追い出すのです。時には金利を調整したりして詐欺のようなことまでしていたという記述もあります。
 政府と銀行だけだとトラブルになったときに困ります。そこで傭兵企業にも声をかけました。傭兵はお金さえあれば何でもやる武力集団です。こういう後ろ暗いことには軍隊ではなく、傭兵企業が選ばれるのでしょう。
 BSWは「ワールドワイド」と銘打ち、世界中に傭兵を派遣します。しかし本拠地はクルビアにあり、クルビア政府には背を向けられません。デイヴィスタウンの案件ではBSWに傭兵の発注が出されました。


1-4. カールとシルヴィア

 デイヴィスタウンの過去の人間関係について。
 銀行に勤めているシルヴィアという女性が登場しました。クルビアで最も優秀な商学部を卒業したものの、母の看病のために地元の銀行に就職しました。母はデイヴィスタウンの前々町長だったのですが、病が悪化して数年前に他界してしまいました。
 シルヴィアにはカールという恋人がいました。カールはレオーネの子で、ベニーという弟がいます。レオーネとの間に血のつながりはなく、同僚が生んだ2人をレオーネが引き取ってくれたとのこと。カールは実の母親からもらったメレダイヤの指輪を大切に持っていたのですが、7年前にそれをシルヴィアに渡していました。
 カールはレオーネの仕事の調子が悪くなってきたことを知り、稼ぎの良い仕事を見つけます。BSWでの傭兵の仕事です。7年前に戦場へ向かうためにデイヴィスタウンのを出て以来、彼が帰ってくることはありませんでした。チェルノボーグで戦死していたのです。
 ジェシカはたまたまカールと同じ隊にいたことがあり、死に目にも立ち会っていました。本名は知らなかったのですが、ブラックプレートというコードネームは覚えていました。


2. デイヴィスタウン事件

2-1. リスカム隊の任務

 ここからイベントの時系列に入ります。リスカムたちがなぜデイヴィスタウンに来たのか。
 リスカム隊は政府から受けた任務を任されました。街の動力炉が故障して座礁してしまったので、修理して元の航路に戻すという任務です。デイヴィスタウンは採鉱プラットフォームとして発展しましたが、鉱石採掘が業界全体としてクルビアで立ち位置を悪くしており、経済状況が悪化しています。
 デイヴィスタウンの政府は破産しており、公務員の大半は解雇されていました。リスカム隊に対応するという業務は、銀行に全権が委任されていました。
 銀行は住人の追い出し業務を行っています。リスカム隊にもそれを手伝ってもらおうと債務者のリストを渡しましたが、リスカムたちは正当な理由が見当たらないとしてこれを拒みます。
 クリフはBSWのバロン基地を率いてあとからデイヴィスタウンにやってきます。先遣隊が出発する際に、ジェシカに弾薬を手渡しました。戦友の形見をウッドロウに渡そうとしたのです。クリフには後ろめたさがあったのかもしれません。
 街に到着後、エンジニアのローラは早速動力炉を修理しようとします。発破技師のレオーネとボイラーマンのマイルズを顧問として雇いますが、長年の無茶な運転が祟って修理は無理な状況でした。バロン基地の到着を待つしかない状態でした。
 

2-2. レオーネとベニーの決断

 レオーネは苦しい決断に迫られます。
 レオーネは銀行に借金がありました。返済を迫られていたのですが逃げてきました。
 バロン基地到着が迫り、しびれを切らした銀行は姑息な手段に出ます。街のゴロツキに金を払い、ベニーを誘拐して金を要求しようとしたのです。たまたまジェシカに救出されたのですが、レオーネを揺さぶるには十分でした。
 ベニーはデイヴィスタウンを出る決意を父に伝えます。キャラバンに乗せてもらってアイアンフォージシティに行き、全寮制の中学に入る計画です。レオーネは反対しませんでしたが、息子が2人とも出て行ってしまうという悲しみに暮れていました。
 ジェシカたちはレオーネが破産して家まで失ってしまう前に、保有している採掘会社の株式を売って、借金を返すべきだと説得をします。
 レオーネは4歳の頃に母に捨てられたのですが、そのときにこの採掘会社に拾われて育てられており、会社のことを大切に思ってきました。現在この会社は利益をほとんど生んでいないため、レオーネは大株主として燃料費や維持費を負担しています。
 株式を保有し続けることで、レオーネの借金は増える一方となっています。売却益で借金を返済するのが賢い選択に思われました。彼は未練を断ち切って売却を決意するのですが、実は借金の完済には至りませんでした。ジェシカがこっそり小切手を切り、シルヴィアに内密に処理をしてもらって借金はゼロになりました。


2-3. バロン基地到着

 バロン基地がついに到着しました。
 バロン基地はデイヴィスタウンを物理的に牽引するためにやってきました。パワーのある移動区画なのでしょう。しかし基地がもたらしたのはそれだけではありません。
 まず、バロン基地に駐在する多くの傭兵がデイヴィスタウンへとやってきました。リスカム隊が拒否していた住人の開拓地送りが、他の傭兵の手で進んでいきます。
 バロン基地は大金を護送してきました。このお金は銀行のものです。住人を追い出したあと、ハイテク企業が集まってきた際に、事業拡大のためのお金を貸すことが増えるでしょう。銀行は用意周到に準備をしていたのです。
 シルヴィアは準備金が銀行の金庫に収められたことを知ります。このお金は銀行が住民から搾り取ったもの。彼女はヘレナのお店で銀行強盗を持ちかけました。
 この場に偶然訪れたのがジェシカでした。ウッドロウは彼女の将来を思って立ち去るように諭すのですが、「何かをなさねばならない」という強迫観念に取り付かれたジェシカは強盗への加担を決めます。


2-4. 銀行強盗計画

 銀行強盗の計画を見ていきます。
 4人で銀行に押し入って金庫を爆破してお金を奪います。デイヴィスタウンに警察はいませんし、BSWの傭兵の動きも大体わかっています。また、銀行内部の構造はシルヴィアによって丸わかりです。
 ウッドロウは銀行周辺に留まって、駆けつけてくるBSWの傭兵の足止めを行います。ジェシカは街中で陽動を行って、同様に傭兵たちを足止めします。
 奪った現金はヘレナが持ちます。彼女はレオーネと一緒に動力炉へ向かい、隠し通路から区画を出て開拓地を目指します。レオーネが動力炉を爆破することで隠し通路が塞がれ、ヘレナの足取りがつかめなくなるという作戦です。
 ヘレナ以外の3人は別の場所で合流して開拓地を目指す予定でした。


2-5. 事件の幕引き

 強盗の顛末を見ていきます。
 ウッドロウは銀行で足止めを行ったあと、単身バロン基地へ向かいました。クリフとの決着をつけようとしたのです。
 怒りに燃えるウッドロウの光輪は、クリフの前で激しく明滅しました。サンクタがサンクタを殺すと堕天してしまいます。本物の殺意を抱くと、先んじて光輪が反応するのですね。
 西部劇のガンマンがごとく早撃ちの勝負になりました。勝ったのはウッドロウでしたが、クリフは軽傷にとどまったようでした。
 クリフに電話がかかってきたので、ウッドロウはとどめを刺すのをやめます。クリフにはこれからも戦争の依頼が届き続けるでしょう。自分の犯した罪を背負い、クリフのような人間を他に生まないために、BSWの社長の使命を全うせよとウッドロウは言い渡します。彼は開拓地へと連行されていきました。
 ジェシカは大勢の傭兵に包囲されて説得を受けていました。包囲の中にはリスカムとフランカもいました。リスカムはジェシカを副官に選んだ理由を語ります。強さではなく、涙を流す優しさが必要だと考えていたからです。一方ジェシカは、虐げられる人たちが流す涙に目を向けるべきだと主張します。彼らの悲しみのために生きる覚悟を固め、連行されることを受け入れます。
 ジェシカのもとにブリンリー家お抱えの弁護士がやってきした。彼女を助けるためです。しかしジェシカは援助を拒み、開拓地へ行くことを伝えます。それこそが自分のしたいことだと、はっきりと意識して。ジェシカはウッドロウと一緒に開拓地へ連行されていきました。
 レオーネは本来動力炉を爆破したあと脱出することになっていました。しかし、息子2人を失い、株式を手放し、家も燃やされてしまった彼にとって、残る大事なものはこの動力炉だけでした。彼の命はこの街に来た日に始まり、この街を離れる日に終わります。自分を育ててくれたタワーと一緒に、レオーネは眠ることにしました。
 クリフはティラという部下に命じてヘレナを見張らせました。お金を取り返すわけではなく、逆に彼女の逃避行をサポートするためです。ヘレナの手にある現金は、カジノで資金洗浄されて、開拓地でジェシカたちの生活を支えることになります。ティラはとあるバーでヘレナに接触していました。ヘレナを待つ人に必ず引き合わせると。
 異格ジェシカの回想秘録では、ジェシカがウッドロウの指南を受けながら開拓生活をスタートさせる様子が描かれています。また、彼女のプロファイルにはジェシカ・ウッドロウ・ヘレナ・マイルズ・シルヴィアが開拓地で生活を営む様子も記されています。開拓は過酷な事業ではあるのですが、ジェシカはブリンリー一族やBSWの鎖から解き放たれて自由に生きていくことができます。頼りになる仲間もいますし、お金もありますし。
 いままでの異格オペレーターの誕生秘話と比較すると、「ダーティマネー」でのジェシカの姿は頼りなく映るものでした。しかし、開拓地で生活を始めたところが彼女のスタート地点。生来の優しい心を大事にしつつ、開拓で鍛えられた彼女は強いオペレーターになっていくことでしょう。


2-6. クリフの策略

 転んでもただでは起きなかったのがクリフでした。
 ウッドロウとの戦いのあと、クリフは銀行の頭取に電話をかけました。銀行は強盗によって大切な準備金を失いました。その埋め合わせで現金を提供してやろうと提案したのです。その代わりに裏処理に加担せよと迫りました。
 銀行が準備金を用意できないとなると、ハイテク企業が困ります。ハイテク企業の裏にはクルビアを牛耳る大物がいます。政府や軍のお偉いさまでしょうか。頭取もその人たちには勝てません。
 30分後にクリフの電話が鳴りました。頭取が承諾をしたのです。この裏取引で何が起きたのかというと、デイヴィスタウンがBSWの訓練センターになったようでした。
 BSWはいままでもデイヴィスタウンと同じような移動区画の処理に携わってきました。移動区画はBSWの訓練センターに改修され、付近の治安維持に貢献しています。
 クリフは傭兵企業の社長として戦争に加担し続けているものの、こういう形で民の平穏に貢献していました。金をむさぼり食らうだけのクルビアの大物たちとは同じになりたくないと言っていました。
 BSWボリバルでも同じような事業を展開しています。クルビアでの業務に比べて、ボリバルでの案件はラクです。ボリバルには移動区画を欲しがるハイテク企業がなく、内紛が絶えないためBSWとの接点を政府が欲しがっているからです。
 ウッドロウに戦争を巻き起こす狂人だと罵られていたクリフですが、彼なりの矜持を持ってこの仕事をこなしているのだと最後にわかるようになっていました。老人たちの渋い活躍が光る物語でもありました。





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