ネタバレします!!
39話はミモリがアリサとバトルし、安寧の夢を抜け出すお話です。誰もが憧れる特別なアイドルの立場を、ミモリはいかにして抜け出すのか…。
アリサ vs ミモリ
バトルが開始するのは中盤でしたが先に内容を見ていきます。アリサが使うデッキのコンセプトは本家にもないので、面白いバトルでしたね。
1ターン
ダスクブレイブフェアリー
1コスト1/1
ファンファーレ:相手のリーダーに1ダメージ。
ブレイブフェアリーの闇落ち版です。
虚ろの影に乗っ取られたプレイヤーたちは「シャドウ〇〇〇」という闇落ちフォロワーを使っていましたが、アリサは「ダスク〇〇〇」を使います。「dusk(暗い色の)」ですね。
ダスク化したフォロワーは元のフォロワーよりも攻撃的な性能に変化しています。
2ターン
ダスクメタルエルフメイジ
2コスト2/1
ファンファーレ:自分のリーダーに1ダメージ。相手のフォロワーすべてに1ダメージ。
ヴァンパイアクラスにこのフォロワーがあったらかなり活躍したと思います。もともとメタルエルフメイジはカードを2枚以上プレイしていたなら、という条件付きでしたが、このカードは自傷を条件にしています。
3ターン
ダスクエンシェントエルフ
3コスト3/4
ファンファーレ:自分の場に他のフォロワーがいるならすべて破壊して、その数だけ相手のフォロワーを破壊する。
※推測です
もともとエンシェントエルフは、自分の場のフォロワーを全部手札に戻して、その分だけ自身をバフするという効果でした。
アリサの場にはダスクブレイブフェアリーとダスクメタルエルフメイジがいたはずなのですが、ダスクエンシェントエルフが出た後は消えてしまっています。手札が増えていないので手札には戻っていません。
ミモリの体力は削れているので、ダスクブレイブフェアリーとダスクメタルエルフメイジはミモリを攻撃しています。つまり、ダスクエンシェントエルフは自分の場のフォロワーを破壊したあと、相手のフォロワーも破壊する効果なのではないかと推測できます。
ダスクエンシェントエルフはスタッツが3/3/4と標準を越えているため、問答無用で自分のフォロワーを破壊してしまうというデメリットがあるのかなと思いました。
フェアリーウィスパラーで加わるフェアリーの数が2倍になって、4枚のフェアリーが手札に入ってきます。
4ターン
森番の弓
3コストアミュレット
カウントダウン6
ファンファーレ:ヴァーダントアローを1枚手札に加える。
自分のターン開始時にヴァーダントアローを2枚手札に加える。
ラストワード:自分のリーダーは「次に引くカード1枚をフォレストアローに変身させる」を持つ。
ヴァーダントとはverdant(新緑の、緑に覆われた)ですね。
ヴァーダントアロー
1コストスペル
相手のフォロワー1体に2ダメージ。
このターン中に他のヴァーダントアローをプレイしていたなら、相手のデッキの中からランダムなカードを1枚消滅させる。
アリサ自身がイラストになっているカードでした。本家では現状このカードのみですね。
森番の弓は3コストアミュレットで合計13枚のヴァーダントアローを持ってくるという破格のリソースカードです。ヴァーダントアロー自体も1コスト2点ということで通常のカードならデメリットを持っていないといけないマナ効率です。
ヴァーダントアローで相手の盤面を破壊し続けて、相手のデッキ切れを狙うコンセプトのカードです。森番の弓1枚で完結しているのがとても偉いですね。
毎ターン手札が2枚ずつ増えていくのできっちり使い切らないと手札が溢れます。相手がフォロワーを出してくれないと撃てないので、デッキの相性差が大きく出るカードだなと思いました。
相手のデッキを破壊して山切れで勝つコンセプトは他のTCGにはよくありますが、シャドウバースにはありません。おそらく、デッキから捨てられたカードを再利用することができないため、デッキ破壊に対する対抗策が仕様上ほぼ存在しないからだと思います。
ローウェンがドラゴンキラー能力を使うのは彼の本職に関わっていましたが、アリサにデッキ破壊というコンセプトをつけた理由はよくわかりません。本家のストーリーでは特に示唆されていません。
このターンはヴァーダントアローでフラワーフォックスを破壊し、ダスクエンシェントエルフはリーダーを攻撃しました。
5ターン
このターンはダスクエンシェントエルフの能力が働かなかったので、オリジナルと同様、自分の場に他のフォロワーがいないと働かない能力なのかなと推測の材料にすることができます。
6・7ターン
カットされているターンで、アリサは手札に加わる4枚のヴァーダントアローのうち、3枚を消費しています。9ターン目でヴァーダントアローを3枚使うので、1枚はどこかで貯金ができています。
ミモリのデッキの枚数をカウントしてみると、カットされている5, 6, 7ターン目で通常のドローの他に4枚カードが消えている計算になります。ヴァーダントアローに消されたり、自らドローソースを使ったものと思われます。
またアリサの体力は18でしたがカットされているターンのどこかで回復して20に戻っていました。アニメのカードプールで回復できるカードはユニコ、ヒーリングエンジェル、癒しのエルフ、フェアリービーストの4種類しかないのですが、アリサはアニメオリジナルカードをいっぱい使っているのでヒントにはならないだろうなと思いました。
8ターン
場にはカニバルフラワーとリノセウスがいます。7PP消費したことがゲージから読み取れるため、ヴァーダントアローを2枚撃ってからカニバルフラワーとリノセウスをプレイしたものと思われます。
カードを3枚プレイしてからのリノセウスなので4/1疾走でミモリの体力を削りました。この2枚はダスク化していませんでしたね。エルフ族ではないから、ということでしょうか。
そして初登場のオリジナルカードを使います。
ルナールメイデン
3コスト1/4
このフォロワーは能力によるダメージを受けない。
このフォロワーの攻撃力が能力によって+されたとき、自分の場のすべてのフェアリーの攻撃力を同じだけ+する。
能力ダメージバリアがついている3/1/4というだけでそこそこ強いカードかなと思います。
アーチャーの能力でカーニバルフラワーに1ダメージが飛びます。森荒らしへの報いで残ったリノセウスを破壊します。
9ターン
さらにアニメオリジナルカードをプレイします。演出がカッコよかったですね。
ダスクシルバーアロー
?コストスペル
相手はカードを2枚引く。その後、相手のリーダーに「相手の手札の枚数」と同じダメージ。
イラストは異なりますが、効果から察するに白銀の矢のダスク化カードです。
白銀の矢は自分が1枚ドローして自分の手札枚数分のダメージ、ダスクシルバーアローは相手が2枚ドローして相手の手札枚数分のダメージ、という形です。
PPが画面に映りませんでしたが最高でも6コストのカードです。相手にドローというアドバンテージを与えてしまいますが、打点効率は悪くないカードです。
デッキを破壊して勝つコンセプトなら相手のリーダーの体力を削る必要はないので、アリサのデッキコンセプト的にはちょっとちぐはぐです。白銀の矢と同様に盤面にも撃てるカードの可能性もあります。
エルフナイト・シンシアとフェアリーをプレイします。
ルナールメイデンに研磨の魔法を撃ちます。本人が+2/+0され、フェアリーも+2/+0されます。
ルナールメイデンで相手のリーダーに攻撃します。シンシアの能力で+1/+0され、ルナールメイデンの効果でフェアリーにもバフがかかります。
10ターン
フォレストアロー
8コストスペル
相手のフォロワーすべてにXダメージを与え、相手のデッキからランダムにカードをX枚消滅させる。
Xは自分がこのバトル中にプレイしたヴァーダントアローの枚数。
4ターン目に森番の弓を置くと10ターン目にカウントダウンがゼロになり、ヴァーダントアローを13枚すべて使い切ってからフォレストアローを撃つことができます。
このターンは、2枚のヴァーダントアローをシンシアに撃ったあとフォレストアローを撃ちます。相手の盤面に13点AOEですがルナールメイデンは破壊されません。ミモリのデッキから13枚カードが消えて残りは3枚です。
ヴァーダントアローが13枚あると期待値で6枚ぐらい相手のデッキを破壊します。フォレストアローの13枚と合わせると能動的に削れるのは10ターンかけて20枚ぐらいです。コントロールデッキを潰すには十分ですが、フォレストアローが撃てるターンは早くならないのがネックになりそうだなと思いました。
フェアリーを3枚プレイします。3ターン目に手札に加えてから温存していたのでしょう。
翅の輝きで2枚ドローします。ターン開始時にも1枚ドローしているのでデッキを最後まで掘り切ったことになります。次のターンが回ってきたら負けです。
アニメに映る翅の輝きのイラストがフェアリーサークルになっていました。誤植ですね。作画が良いところと怪しいところの差もありましたし、製作現場がカツカツだったのでしょうね…。
1枚目のドローはブレスダンスフェアリー、そして2枚目のドロー、つまりデッキの底がブリリアントフェアリーでした。EDが同時にかかる演出は熱かったですね。
ブリリアントフェアリーでまずはルナールメイデンを+1/+1します。こうすると実質フェアリー3体を+1/+0していることになるのでオトクです。そしてプレイカウントを満たしているのでフェアリー3体を+2/+0して疾走を付与します。これでルナールメイデンが5/5、フェアリー3体が4/1で、5+4+4+4の17点パンチでミモリの勝利でした。
デッキを底まで掘り切る勇気を描いてくれたという点ではすごく良い描写だったなと思いました。
シャドバではドロー枚数の多いデッキを使っているときに長期戦にもつれてしまうと、こういう場面に出くわすことがあります。デッキに何が残っているかを逆算して、底に埋まったカードで勝ったときは快感です。自分のデッキに何が何枚入っているかをきちんと覚えていないとできないプレイですからね。
今回の場合、ヴァーダントアローやフォレストアローで消滅させられたカードはミモリからは見えないはずです。虐殺のドラゴニュートで自分のデッキを消滅させたとき、何が消えたかはログで確認できなかったと思うので。
ということはブリリアントフェアリーがデッキに残っているかどうかはミモリにはわからなかったはずです。ただ、ミモリのデッキはブリリアントフェアリーでフェアリーを疾走させることでしか勝てないデッキなので、底に埋まっていることを信じてドローしにいくしかないという、自分の勝ち筋をしっかりと見通したプレイでした。お見事です。
ローウェン同様、アリサも本家の敗北セリフをしっかりと言ってくれます。期待を裏切りません。あの「すっごく強いんだね」はミモリへの優しさが感じられて、普段とは違って聞こえましたね。
アリサの世界
ミモリは自身がアイドルになっている安寧の夢の世界から、謎の少女に無理矢理連れ出され、アリサのいる世界へと飛ばされます。
39話を通してアリサの口から親友のロザリアという名前が出てこなかったため、アリサも記憶を失っているものと思われます。ヒイロが体験した事とは景色がだいぶ違いましたが、ミモリとアリサの間に起きたこともヒイロとローウェンの関係と大体同じです。
ローウェンはあの異世界のことを伝説のカードの世界と呼んでいましたが、ローウェンがいた世界には対ドラゴン部隊とドラゴンがいて、アリサがいた世界にはアリサが森番を担当している森があったことから、シャドバ本家の主人公側の世界へと引っ張られてきているような印象を受けます。
アリサの世界では悪霊が暴れていましたが、あれは本家にはいません。初めてみました。ただ本家の森には呪われたクマとかオオカミがいたので、世界観は合っているなと思いました。
倒し損ねた悪霊がアリサに取り付いてしまって、ミモリはアリサとバトルすることになります。謎の少女は「バトルして。それがあなたを救うカギになる」とミモリにささやきます。
この世界での出来事は、謎の少女が仕組んでいるような感じがします。安寧の夢から目覚めさせるためのトリガーとして、シャドバを使っているのかなと思います。
アリサの劣等感
バトル中にアリサが発する言葉は、アリサのバックグラウンドを知っているとより理解ができます。本家で説明していることなので本家に任せているのかなと思うのですが、アニメとしては少し不親切だなと思いました。これも尺が厳しいのでしょうがないことですが。
アリサは森番になろうと努力をしているのですが、残念ながら試験に落ちてしまって森番にはなれていません。弓がヘタクソだからです。親友のロザリアは弓が上手く、いつもアリサを助けています。
弓が上手ではないということは、悪霊のコアに矢を命中させられていないという描写にリンクしています。
本家のストーリーでネクサスと対峙した際、アリサがネクサスに見せられた安寧の夢の中ではロザリアとの力関係が逆転していて、その違和感に気づいたアリサは夢を見せられていることを見破ります。
アリサはロザリアに嫉妬して、大きな劣等感を抱えています。それが本家でネクサスに付け込まれた弱さであり、39話で垣間見えたアリサの心の闇なのですが、30分アニメの中でそれを説明することは難しかったようです。
アリサ:「当たる、当たるよ。今の私なら…。今の私の方がいいんだ!そうなんでしょう?ねえ!私は何もできなかった。森を守ることも、矢を当てることさえ。でも今は違う。穢れてよかったんだ。これが本当の私なんだ」
このセリフが劣等感を無理矢理克服したアリサの歪んだ思考の現れですね。アリサがこういう状態に陥ることは今までなかったため、優木かなさんの演技が新鮮でした。
悪霊に肉体を精神を乗っ取られ、力を得たアリサは、この状態の自分の方が良いと口にします。悪霊に乗っ取られていることを知っているミモリは、本当のアリサに戻ってと叫ぶのですが、その言葉は実は自分へのブーメランになっているというエグい構造なわけですね。
ミモリへのショック療法
悪霊に乗っ取られて弓が当たるようになっているアリサは、安寧の夢の中でアイドルになっているミモリと全く同じ状態です。アリサと向き合うことで徐々にミモリは本来の記憶を取り戻していきます。
ミモリ:「本当の私は、こんな服なんて着れなくて…」
アリサ:「何を言っているの…?」
ミモリ:「キラキラもしてなくて…普通で…」
アリサ:「ハッ…ダメっ!」
ミモリ:「私、アイドルじゃなかった…。今の私は、ウソ…」
アリサ:「いいの!ウソの方が素敵でしょ!」
ミモリ:「意味なかった、ウソじゃ…。本当じゃないと」
アリサ:「本当なんてよくない!」
ミモリ:「本当の私で、私のまま、自分自身を表現しなきゃ…」
アリサ:「イヤ…うるさい!」
ミモリ:「だって…それができるのが、シャドウバースでしょ!」
この会話でアリサは、ミモリが真実に気づくことにストップをかけようとしています。アリサに取り付いた悪霊は、ミモリを安寧の夢へと押しとどめようとする存在、もしくはそうするように謎の少女が仕組んだ存在ということでしょうか。
安寧の夢は自分の理想が叶った世界です。並みの人間では抜け出すことが難しいでしょう。あのままアイドルを続けていくだけではミモリはあの夢を抜けられません。
悪霊に乗っ取られたアリサの姿を鏡のようにして見ることで、ミモリはアイドルであるウソの自分を否定できるようになります。謎の少女がミモリに仕掛けたある種のショック療法、もしくは乗り超えるべきハードルとして用意されていた舞台なのかなと思いました。
それに巻き込まれたアリサはちょっとかわいそうですが、ローウェンと同様にアリサ本人があの場所にいたわけではないとのことでした。精神を借りるようなものなんでしょうか。
復活の髪飾り
アリサの世界に飛ばされる前、ライブ後の控室にいつもの緑の髪飾りが床に落ちているのですが、マネージャーに頭を下げたときの足元の視界からは消えていました。アリサの世界から戻ってきたとき、机にはその髪飾りが置いてあります。
アリスに憧れてつけ始めた髪飾りであり、アリス本人にも似合っていると言ってもらった思い出の髪飾り。それが安寧の夢から目覚めた象徴になったわけですね。
16話と17話でミモリはアリスとお互いの価値観をぶつけ合いました。普通なミモリは「特別の方が良い」と主張し、特別なアリスは「普通の方が良い」と主張していました。
バトルの中で2人はお互いのバックグラウンドや考え方を理解し合い、ミモリにとってはアリスは「普通」の友達で、アリスにとってはミモリは「特別」な友達だと、相手のことを最大限思いやるゴールへと到達しました。
安寧の夢の中でミモリはついに「特別」側の景色を知ります。しかしそれについてのコメントは特になくて、自分を偽ってまで理想を追いかけることはいけないという、大前提に気づいたのが今回の39話だったのかなと思いました。
国民的アイドルの立場から得られる充足感がミモリにとってはどれほどのものだったのか、もうちょっとコメントさせてあげてほしかったかなと思いました。彼女はアイドル活動を心から楽しんでいるようでしたが、もしかしたら心のどこかでアリスと同様の空虚さを感じていたのかもしれません。
アリス側の物語も楽しみですね。
棋譜
ミモリのデッキ枚数を載せてみました。不明のターンが長くてあまり意味はないかもですが…。
何かあればご連絡ください。
YT22@シャドバ (@YT__pokeshado) | Twitter
38話はこちら。
yterapokemon.hatenablog.com
感想の一覧はこちら。
アニメシャドウバース カテゴリーの記事一覧 - 3度目のサザンドラ