3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバース16話感想-冥府への誘い!ジュスティーヌ姉妹!

ネタバレします!!

 16話はミモリ&アリスvsジュスティーヌ姉妹のタッグバトルの回でした。本家アプリではタッグバトルなんてできないので、新たなルールがアニメで使われたことになります。面白いルールで、やってみたいなあと思いました。
 特別に憧れる普通の女の子ミモリと、普通になりたい特別な女の子アリスの関係性がとんでもなくエモーショナルで、第2のヒイロとルシアがここにいたのかという気分です。次週はもっとこの関係性を掘り下げてくれると思うので楽しみです。

オープニング前

 牙倉セイヤがゴールドランクに上がったとの一報が入ります。これでゴールドランクは18名になったとのことです。上位7人しか抜けられないので、すでに競争が激しいですね。

試合前

 ミモリとアリスは、この大会で初めて出会ったプレイヤー同士とのことでした。「バトルする?」とアリスがミモリに尋ねたところで、ジュスティーヌ姉妹がやってきます。
 「サインでもほしいのー?」「アリス、嫌われるの慣れてないから悲しいなー」とジュスティーヌ姉妹をからかうアリスちゃん、風格がすごいんですよね。アンチにも優しく対応するアイドルの鏡です。アリスは自分が標的にされていることを知り、ミモリに逃げるように促します。カッコ良い強者のムーブです。アリスの方が年下なのに。

ミモリ&アリスvsジュスティーヌ姉妹(前半)

 ミモリとアリスの横並びの変身バンク、そしてジュスティーヌ姉妹は二人そろった変身バンクでした。姉のヴァネッサはエルフなので緑がテーマカラー、妹のビビアンはネクロマンサーなので紫がテーマカラーでした。

タッグバトルについて

 本家にない仕様なのでざざっとまとめておきましょう。

・バトルの構成要素は基本的に1vs1と同じ
・チームで共用のもの:場、場に出ているカード、リーダー体力、プレイポイント(PP)、進化ポイント(EP)、墓地
・それぞれのプレイヤーが別個に保持するもの:山札、手札
・奇数ターンと偶数ターンで別々のプレイヤーがプレイする
・チーム内ではお互いの手札が見える

 PPが共用というのが大きいところですね。個々のプレイヤーにとっては1vs1のときと比べて2倍の速度でPP最大値が増えていきます。PPの増加速度に対して手札の増加速度は普段通りなので、コストを使い切ろうとすると手札の消耗が激しくなるルールです。
 ドラゴンクラスが絡まない限り、使えるコストがずっと偶数のプレイヤーと奇数のプレイヤーにわかれるため、専用のデッキを組むこともできます。偶数ターンにプレイする方は、極論奇数コストのカードの採用をゼロにしてしまうなんて作戦も考えられます。
 対戦相手が何をしてくるかだけでなく、チームメイトが次のターンに何をしたいのかを考えながらプレイすることになるので、1vs1のときよりも考えることが多くて楽しそうだなと思いました。1つの場に2つのクラスのカードが並ぶので、クラスをまたいだコンボも考えられそうですね。


1ターン

 先攻1ターン目、ミモリが奇数担当です。いきなりすごいアニメオリジナルカードが飛び出しました。

フラワーフォックス
1コスト1/1
自分がフェアリーを手札に加えるとき、その枚数を2倍にする

 フェアリーを増やすぐらい大したことないのでは?と思うかもしれませんが、フェアリーを手札にいっぱい集めれば集めるほど勝ちに近づくデッキはいくつかあります。例えばこのカード。

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 6枚以上のフェアリーを手札に集めるとすごいことになるカードです。2コストでフラワーフォックス+フェアリーサークルと動くと、1/1を出しながらフェアリーが4枚手札に入ってしまうので、このフラワーフォックスというカードはすごいことをやっています。
 後攻1ターン目、姉のヴァネッサが奇数担当です。ミモリと同じくエルフクラスを使うようです。ジュスティーヌ姉妹は赤と青がテーマカラーです。「炎」と「氷」という感じなのですが、外見のイメージカラーはシャドバのスタイルにはあまり関係ありませんでした。
 フェアリーサークルをプレイします。このカードは以前ミモリもプレイしていましたね。手札がちらっと見えて、デッキは冥府エルフだということがわかります。手札を増やすカードをプレイして、新たなる運命で手札を捨てて墓場を増やし、冥府への道を完成させるデッキです。16話のタイトルがネタバレでしたね。
 冥府エルフはシャドバがリリースされた直後に環境トップをとったデッキということで、長いシャドバの歴史の始まりのデッキでもあります。こうやってアニメのテーマになることはうれしいですが、タッグバトル用にチューンされているデッキなので、そのままというわけではなさそうです。

2ターン

 先攻2ターン目、アリスが偶数ターンの担当です。スカルウィドウをプレイします。ミモリが出したフラワーフォックスはミモリしか動かせないと勘違いしていて、攻撃を忘れてしまいました。1点分損をしますが、この1点は決着には無関係でした。
 後攻2ターン目、妹のビビアンが偶数ターンの担当です。怪犬の墓守をプレイします。

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 消滅させられると墓場が増えないというのが基本ルールですが、このカードが場にいると消滅でも墓場が増えるようになるカードです。とにかく墓場を増やしたいという意思を感じられます。ピンポイントなメタカードなのであまり使われないカードでしたが、2/2/2なので最低限の仕事をすることはできます。

3ターン

 先攻3ターン目、ミモリのターンです。森荒らしへの報いで怪犬の墓守を破壊します。このカードも以前使っていましたね。ミモリは2回目の自分のターンなので2コストしか使えないと勘違いをして、フェアリーを出せるのに出さずにターンエンドをしました。このミスは、アリスとビビアンが2コストのフォロワーを出している時点で気づかなければいけないところです。もちろん、普段のシャドバの感覚でやれば1コストの次は2コストのカードを使うというのが普通なので、あまり責められるものではないですが。
 後攻3ターン目、ヴァネッサはエンジェルバレッジをプレイします。フェアリーが無駄死にするところだったので、ミモリがフェアリーをプレイしなかったのは実は正解でした。フェアリー2枚は今後も使いまわしているので、試合の大きな分岐点でした。
 ヴァネッサは除去をしながら手札を増やし、新たなる運命で手札を捨てることで墓場を増やす担当、ビビアンは盤面を使って墓場を増やす担当ということですね。

4ターン

 先攻4ターン目、アリスはゾンビドッグのみをプレイします。コストが余ってしまってもったいない動きでした。3/2/3のマダムリッチが見えていたのでそちらでも良かったのではと思いましたが、結果論では進化したフォロワーに踏まれるだけだったので、ゾンビドッグで正解でした。
 後攻4ターン目、ビビアンは地獄の解放者をプレイし、進化してゾンビドッグを攻撃します。1/1を倒すと4/4のリッチがラストワードで出てくるカードです。

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 1/1のままでは無視されがちなのですが、進化して3/3にすることで相手にプレッシャーをかけることができます。アリスはこのカードのことを知っているようで、ミモリに気を付けてねと言っていました。アニシャドは相手が使うカードを知らない前提で物語が進んでいきますが、今回はクラス被りだったので、多少は知識がある感じになっていましたね。

5ターン

 先攻5ターン目、このターンからCMに入ってスキップとなりました。ミモリの手札はフェアリー2枚と大狼とエルフの弓術が見えています。エルフの弓術を使うときは1ターンのカードプレイ回数を稼がないといけないので、ここは大狼をプレイしたはずです。場に残っていたスカルウィドウで3/1の地獄の解放者を破壊し、ラストワードで出てきたリッチを進化して破壊します。余った1コストでフェアリーを投げると大狼がバフされますが、フェアリーはカードプレイ回数を稼ぐために温存したものと思われます。

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 後攻5ターン目、ヴァネッサのターンです。ここまでで手札に見えているのはフェアリー2枚、魔導書の解読、新たなる運命、森の意思、翅の輝きです。盤面の大狼を対処しなくてはいけないので、このターンは森の意思を使ったものと思われます。

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 手札を増やすデッキなので、噛み合いの良いカードです。

6ターン

 先攻6ターン目、アリスのターンです。手札に見えているのはマダムリッチ、デッドリーウィドウ、ミニゴブリンメイジです。前2枚は10ターン目にプレイしていたので、このターンは使っていません。ミニゴブリンメイジは場残りしていたので使ったことが確定です。

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 ファンファーレで2コスト以下のフォロワーを持ってくるカードです。持ってきたカードをそのまま使ったものと思われます。ここで墓場が増えていないと以降のネクロマンスの計算が合わなくなるので、ここは墓場を増やすスパルトイサージェントをドローしたのかなと思います。

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 後攻6ターン目、ビビアンのターンです。ビビアンの手札は頑なに映りません。ネフティスや冥府をチラ見せしてネタバレをしたくなかったのかなと思いますが、ノーヒントすぎて辛いです。
 このターンの6コスト分で墓場が4増えていないと後々の冥府発動に間に合わなくなります。4コストのエルダースパルトイソルジャーで墓場を3増やし、残りの2コストでフォロワーを1枚出したのかなと思います。スパルトイサージェント2枚でも同じことなのでそちらでも合います。

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 次のミモリのターンで、ミニゴブリンメイジだけがリーダーに攻撃していたので、進化を使ってスパルトイサージェントを破壊したものと思われます。次のターンはエルフの弓術が飛んでくるので、何が進化していても棋譜に影響はありません。

ミモリ&アリスvsジュスティーヌ姉妹(後半)

 CM明けはそのままバトルの続きでした。

7ターン

 先攻7ターン目、このターンの途中からアニメに映ります。ミモリの場には攻撃可能なミニゴブリンメイジと、フェアリー2枚、ワンダーエルフメイジがいます。ミニゴブリンメイジ以外はこのターンにプレイしたものということになりますから、フェアリー→フェアリー→ワンダーエルフメイジ(効果起動)→エルフの弓術と動いたものと思われます。

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 エルフの弓術を撃つ前に3枚カードをプレイしていたので、3コストで4点の除去カードになりました。
 後攻7ターン目、ヴァネッサは根源への回帰をプレイします。すべてのフォロワーを問答無用で手札に戻してしまうカードです。ラストワードが働かないので、場合によっては破壊よりも強い全体除去カードです。初期リリースされたときは5コストでしたが、冥府エルフが猛威を振るって7コストへとナーフされました。

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 このナーフは、冥府エルフの勝率を下げるためのナーフだったはずなのですが、運営が「根源への回帰が過剰なストレスを相手プレイヤーに与えるためにナーフする」という理由付けをしたため、未だにネタにされてしまうカードです。「ストレスが原因でナーフをするなら、このカードもナーフしろ!」みたいに言われてしまうわけですね。この事件以降、運営はデッキの勝率や使用率をナーフの根拠として公表するようになりました。
 根源への回帰を使ったとき、アリスが出したミニゴブリンメイジがミモリの手札へと戻っていきました。タッグバトルならではの解釈で、7ターン目にカードをプレイするのはアリスではなくミモリなので、すべての効果がミモリに対して働くという効果処理になるのでしょうね。

8ターン

 先攻8ターン目、アリスのターンです。死都の女王とレッサーマミーをプレイします。この2枚もアリスは以前使っていましたね。盤面がカラなので大きめのフォロワーで圧力をかけ、さらに疾走フォロワーで体力を削りにいきます。
 後攻8ターン目、ビビアンのターンです。アリスが盤面で圧力をかけたわけですが、ビビアンには進化権が1個残っていたので、ネフティスの着地を許すことになりました。

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 ド派手な能力と、デッキ単位でチューニングが必要とされる面白さが相まって、このカードがデビューした当時は非常に人気のデッキタイプでした。カラ盤面にネフティスを出すとコストの異なるフォロワーが4枚デッキから出てくるので、デッキに採用するフォロワーのコストを4種類に絞るのが一般的でした。採用するフォロワーのコストによって分類され、「2378ネフティス」「2478ネフティス」「2578ネフティス」あたりが主流だったかと思います。7はカムラ、8はモルディカイで固定枠でした。

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 7と8さえ出てくれば、8/5/5のネフティスが着地すると同時に攻撃力最大の相手フォロワーを1体破壊し、その攻撃力分回復して、モルディカイが横に出てくるという強いムーブを押し付けることができます。
 ビビアンのデッキは2コストの怪犬の墓守、3コストのスケルトンナイト、4コストの地獄の解放者、5コストのグレイブウェイカー、8コストのモルディカイが見えていたので、フォロワーのコストが4種に収まっていません。モルディカイが出てくるかどうかは運次第だったのですが、強運で引き当てることができました。

9ターン

 先攻9ターン目、ミモリのターンです。ネフティスが作った強い盤面を、返せるだけ返さなくてはいけません。
 7/2になった進化後モルディカイに2/2のレッサーマミーを当てると、5/5のモルディカイが復活してきます。ミモリはモルディカイが復活してくることを知らなかったようですが、ダメージを減らすという意味では効果的なので、間違ったプレイではなかったかなと思いました。
 2ターン目に作ったフェアリー2枚が根源への回帰で手札に戻ってきていたので、ブリリアントフェアリーをそこそこのバリューで使うことができました。3ターン目にフェアリーを出さなくてよかったとつくづく思いますね。4/4のリッチと5/5のモルディカイ以外は処理します。
 最後にまどろみの森を使って相手を攻撃不能にしたのもグッドですね。モルディカイは破壊しても意味がないので、とりあえず攻撃を止めておくとダメージをカットできます。まどろみの森の対象はランダムなのでリッチになる可能性もありましたが、同じぐらいのサイズだったので外れても大きな問題はなかったでしょう。

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 後攻9ターン目、ヴァネッサのターンです。魔導書の解読で3枚ドローして、手札は上限枚数の9枚になります。その状態で新たなる運命を使うことで、墓場を一気に9枚増やします。ネフティスも4枚フォロワーを破壊してラストワードでさらに4体フォロワーが出ていたので、墓場を9貯めていました。墓場にブーストをかけてきています。ネフティスで強い盤面を作ったので、このターンは盤面に干渉しなくてもゲームが続けられるという判断をしたようです。

10ターン

 先攻10ターン目、アリスのターンです。相手が墓場を貯める動きをして盤面に干渉してこなかったので、このターンで攻めておきたいところです。できればモルディカイもどうにかしたいところですが、ネクロマンサーのカードで対処できるカードはありません。
 双翼の守護者の効果でリッチを処理をしつつ、マダムリッチとデッドリーウィドウを並べます。墓場が足りなかったので小粒の横並べに終わりましたが、結果論墓場が足りていても冥府で吹き飛ばされていただけでした。アニメでは描写されていませんが、まどろみの森がまだ場にあるので、モルディカイは再び攻撃不能になります。
 後攻10ターン目、ビビアンのターンです。冥府への道を置いてターンエンドです。

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 墓場が30を超えると永続で打点を出し続けるのが強いカードです。ニュートラルのカードなのでいままで歴代の様々なデッキに使われてきました。シャドウバースの歴史の体現する1枚といってもいいでしょう。今はアンリミテッドのアーティファクトネメシスに使われたり、ローテーションではリメイクされたハデスがネクロマンサーで使われたりしています。

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11ターン

 先攻11ターン目、ミモリのターンです。冥府1枚ならあと2ターンぐらい余裕はありますが、のんびりはしていられません。勝負を決めるか、冥府を破壊するかしないといけません。
 アリス戦のときにみせた最大バリューのブリリアントフェアリーなら13点出るのですが、ブリリアントフェアリーはすでに1枚使っていますし、フェアリーがゼロですし、難しいですね。
 ここのミモリの動きは、マナエルクにエルフの少女リザで能力ダメージ無効効果を付与し、翅の輝きで手札を増やし、妖精のいたずらでリザとモルディカイを手札に戻すプレイでした。モルディカイの対処方法としては100点です。モルディカイは破壊しても復活するカードなので、手札に戻してしまうのが効果的です。

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 翅の輝きからはフェアリービーストを引いてきました。手札の枚数分体力を回復するということで冥府エルフに採用されていたカードです。6コストで最大8点回復するすごいカードでした。

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 このターンのミモリのプレイですが、アリスの手札にファントムハウルがあることをチェックしていて、ゴーストとマナエルクのコンボを狙っていたとしたらナイスプレイです。ジュスティーヌ姉妹はお互いの手札を見ていたので、タッグバトルではチーム内の手札を見ても良いというルールのはずです。ただ、そういった演出はなかったので、当てずっぽうのプレイがたまたま上手くハマっただけのように見えました。もしくはファントムハウルがデッキのトップドローだったのかもしれません。4話のミモリvsアリス戦でファントムハウルが使われていて、ミモリがそれを覚えているというエピソードがあれば面白かったのですが、そういう伏線も特にはありませんでした。

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 後攻11ターン目、ヴァネッサのターンです。冥府をもう一枚置きます。タッグバトルではキーカードをお互いのデッキに積めるので、引けなくて困るという事故が減りそうですね。ミモリ&アリス側としては回復で逃げ切ることもできなくなりました。次のターンが回ってくればジュスティーヌ姉妹の勝利がほぼ確定になりました。
 残り4コストを使ってマナエルクを除去しておくと安心でしたが、リザの効果がかかったマナエルクを除去するのは難しかったようです。ヴァネッサもまどろみの森を使って攻撃不能状態にしてターンを返します。

12ターン

 先攻12ターン目、決着のターンです。バトルとしてはファントムハウルを撃っただけです。たったそれだけのプレイですが、演出がエモかったのでそれについては後で書きます。

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 4コスト、ネクロマンス5で5点疾走ダメージが与えられるということで長らくネクロマンサーデッキに入っていたカードです。ゴーストがフォロワーなのでバフを乗せられたり、ソウルコンバージョンでドローに変換できたりと、使い道の広いカードでした。
 マナエルクがこんなに活躍するなんて予想外でした。エルフとネクロマンサーが組み合わさったタッグならではのコンボでしたね。良い決着でした。

感想

 ここからはミモリとアリスの関係性がエモかったというただの感想です。

釣り合わないタッグ

 カードアニメに限らず、バトルを行う漫画やアニメにおいて、タッグバトルというのは王道の展開です。たいていの場合、敵側はタッグバトルのプロです。一方の味方側は主人公&主人公のライバルのような形で、味方側のチームワークの方が"悪い"のが基本です。劣悪なチームワークを乗り越え、敵に勝利するのがカタルシスを起こすのですね。
 バトルの途中で、ヴィヴィアンがミモリとアリスに対して「仲が良いのね」というのですが、この2人は仲良しではないんですよね。この時点では2人は対等な関係ではありません。ミモリは憧れのアイドルであるアリスと肩を並べるにあたって、アリスに合わせるという意識でバトルに臨んでいます。

ミモリ:「私、普通のことしかできないけど、合わせるのは得意だから」

 この発言をミモリは何の気なしに言うのですが、言われたアリスの表情は一瞬曇るんですよね。すぐに表情を変えてミモリを励ますのですが、アリスがミモリに落胆し、失望し、諦めを感じているのではないかと思いました。ミモリも、自分の周りにいる大人のように、自分を特別扱いしてしまうのだなと。

アリス:「ジュスティーヌ姉妹、息ぴったりだし、でも、私とお姉さんは…」
ミモリ:「合わないよね、アハハ、釣り合わないよね、普通な私と、アリスちゃんじゃ」

 ミモリは自分は「普通」だからダメな人間で、アリスは「特別」だからすごい人間だという意識に囚われ続けていて、アリスは内心かなりイライラしていたのではないかと思います。

アイドルとファン

 決着のシーンも含めて、この2人の独特な関係性をずっと描いているのが面白かったです。ミモリが置いたマナエルクは打点を伸ばすサポートのカードです。アリスがどういう手段で決着をつけてくれるかはおそらく分かっていないはずですが、とにかくアリスを信じているというメッセージをミモリは伝えます。

ミモリ:「アリスちゃんのこと、信じてるから」
アリス:「信じる?なんで?お姉さん、私の何を信じるっていうの?」

 ミモリの寄せるアリスへの信頼はとても一方的で、アリスは困惑してしまうんですよね。自分のことを全然わかっていないくせに、勝手に期待するなよと。だけどそれは、1人のファンがアイドルに対して抱く想いと一緒だったりします。ファンはアイドルの本性を知りませんが、舞台の上のアイドルに全力で期待し、全力で応援する構図があります。

ミモリ:「ごめんね、私に信じられたって、困るよね…」
アリス:「どうして、どうして私を信じるの?」
ミモリ:「だって、アリスちゃんは特別だから」
アリス:「なーんだ。言ってるじゃん、特別なんていらないって。でもまあ、いまはしょうがないか。お姉さん、私はね。特別が嫌いだよ。」
ミモリ:「うん、なんとなくわかってた」
アリス:「特別なんて嫌い、普通がいい。特別なんてつまんない。でも、いまだけは特別でいい。ファンの想いに応える、アイドルに、なる!」

 アリスの「なーんだ」の言い方で、ミモリも単なるファンの1人だったんだなあというふうに諦めてしまったのかなと感じました。ファンなんだったら、自分はいつも通りアイドルを演じるしかないなと。

アリス:「あのねお姉さんたち、アイドル、なめないでよね。たった一人でも応援してくれるファンがいるなら、全力を出すのがアイドルなんだから」

 「特別な存在になること」と「アイドルになってファンの期待に応えること」はアリスの中でイコールであり、そうすることでシャドバの中ですごい力を発揮できるようでした。無茶苦茶な理論なのですが、悟空が界王拳10倍を解放するかのごとく、強くなれてしまうのかなと思います。
 アリスはアイドルになることですごい力を得ることができるが、それは自分の望んでいることではありません。つまり黒羽アリスは、自分の感情を殺すことで、力を得ることのできる異能の人間というふうに捉えることができるのではないかなーと思いました。

アリスとミモリという非対称性

 4話で描写されていましたが、ミモリはアリスのファンなので、アイドル活動をしているアリスをTVなどでたくさん見てきたのでしょう。一方でアリスからするとミモリはたくさんいるファンの中の1人で、たまたま1回シャドバをしただけという間柄ですから、そもそもの関係性が非対称なんですよね。
 この非対称性は、ミモリにとっては非常に気楽で、逆にアリスにとって重荷なんですよね。ミモリは「私は何もできない普通の人間だから…」といって勝手にアリスにすべてを任せ、アリスは「私はアイドルとしてファンの期待に応えなければならない責務を負っている」というふうに自分で自分にプレッシャーをかけることになっています。「普通になりたい」と願うアリスの想いに逆行する行為です。私は個人的にはけっこうアリスに同情をしてしまいます。
 しかし、ミモリが抱く感情もおかしくはないと思っています。自分には到底手の届かない憧れの世界で光輝いているアリスが、「普通になりたい」なんて言ってきたらミモリは理解に苦しむでしょう。たくさんの女の子が憧れる夢の舞台にせっかく立っているのに、自分から降りたいなんて言うなんて。

強者と弱者

 ミモリとアリスは生きてきたバックグラウンドが全く異なるわけですから、お互いへの理解が及ばずに折り合いがつかないのは当たり前です。そんな2人がバトルを通して、決着をつけようとしています。けっこう怖いなあと思います。この2人の間に、折り合いをつけられる余地ってあるのでしょうか。

アリス:「アイドルだから、なに?アイドルが特別だから?じゃあアイドルじゃなかったら私はなに?そんなのいらないってば!お姉さんとアリス、全然違うね。全然逆だよね」
ミモリ:「そうだね」
アリス:「特別じゃなきゃ、特別でいなきゃいけない。普通なアタシじゃ許されない。そういうの、寂しいってわかる?」
ミモリ:「最初から特別で、全部持ってて、それが当たり前で、私には何もない。アリスちゃん、贅沢だよ。」

 アリスは幼いころからアイドルとして活動してきたため、舞台の上の黒羽アリスが自分のすべてだと誤解をされてきたのでしょう。ですが、アリスは1人のシャドバプレイヤーとして、自分の好きなカードを使って、思いっきりバトルがしたいと思っています。アイドルではない自分もまた自分の一部だと、その存在を認めてほしいのですね。
 一方のミモリの発言は、弱者の目線です。持たざる弱者が、すべてを持っている強者の弱音を糾弾している構図です。私は特別なものなんて何も持っていなくてとても辛い思いをしているのだから、特別なものを持っている強者はつべこべ言わずにそれを弱者へと還元せよ。極端なことを言ってしまえばそういう感じなのかなと思いました。その姿勢は"悪"ではないはずです。人間なら誰しもが抱いてしまう自然な感情だと思います。

真正面からの対立

アリス:「アリス、お姉さんのこと好きだよ。でも、普通なこと嫌いっていうお姉さんは嫌い」
ミモリ:「私もアリスちゃんが好き。でも、どうして特別なことを嫌がるのかわからない」
アリス:「どっちが正しいか…」
ミモリ:「アリスちゃんのことをわかるためには、これがきっと、シャドバが1番だよね」

 意見が真っ向から対立していることを認めたうえで、相手のことがそれでも好きと言いきれるこの関係性、強くて美しいんですよね。対立を恐れず、相手に正面から向き合っていくことをお互いが了承しています。傷つくことを恐れ、表面的な馴れ合いを続けるだけの浅い関係ではありません。相手の内側にどんな本性が隠れていたとしてもそれをすべて受け入れる覚悟を持ったもの同士のぶつかり合いが次週起きるわけです。
 ヒイロとルシアの関係性だと、ルシアが一方的に逃げているんですよね。ヒイロにはオレの苦しみなどわかるはずないと決めつけて、ヒイロが伸ばしてくる手を拒絶します。一方でミモリとアリスの関係は、ちゃんとお互いがお互いに向けて手を伸ばしています。ただ、その手が、相手の手を握ることになるのか、はねのけることになるのかは、お互いまだわかっておらず、対話の結果次第になるのでしょう。
 8話のヒイロvsアリスでは、ヒイロはアリスにかかっているアイドルの呪いを解くことができませんでした。ヒイロの姿勢は一方的で、シャドバの楽しさを教えてやるよ、という単調なメッセージングだったからでしょう。
 今回は、お互いが腹の内をさらけ出せるバトルになります。観客もいないことですし、ようやくアリスは自分の思う存分シャドバをしてくれるのではないかなと、私自身とても期待をしています。楽しみですね。


棋譜

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 15話はこちら。
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