ジャックポッドサッドガールを聞いていて改めて朝比奈まふゆ(CV:田辺留依さん)の歌唱力はすごいなと思ったので殴り書き。
無限の表現力の「愛」
受け入れ難い心情を ねじ込むのが 愛 なんだ
Aメロからサビに入る手前。個人的優勝ポイントはここの「愛」の歌い方です。吐息混じりで、息を抜きながら、甘めに発声しているのに、やけに力強く脳裏に響いてくるこの凄まじい表現力。田辺留依さん、口にエフェクターでもついているのか?
「愛」を強調するのはわかるんですよ。歌詞の流れを考えれば「愛」がすごくインパクトのある言葉なので。でもね、ここは平坦に歌えるところじゃなくて、ものすごい難所の中にある1つのフレーズが「愛」なんですよね。
「しんじょうを~~」で短くビブラートを入れて、「ねじこむのが」の「こむ」で一気に音程を上げて「のが」で抜けつつ、ようやくたどり着くのが「愛」なんですよね。普通に歌えるだけでもまあすごい。この「愛」にありったけの表現力をつぎこめるこの歌唱力たるや…。
「愛」でものすごい気合いが入ったあと、「なーんだ」がちょっと力抜け気味なのもまふゆらしくてすごい好きです。外向きの顔をしていたまふゆが急に"素"に戻ったときのような落差を感じます。
改めて文字に起こして見るとsyudouさんの作詞がそもそもすごすぎるという側面もあります。言葉の選択が天才すぎるんですよ。「受け入れ難い心情」を「ねじ込む」のが「愛」…!?!?!?【受】け入れ難い【心】情をねじ込むのが【愛】…!?!?!?
まあ、たしかに、それはよくよく考えれば「愛」なんですよ。受け入れ難い心情って普通の関係性だったら受け入れられなくて終わりなので。ねじ込めるのは「愛」ゆえなんです。相手が受け入れていないと分かっていながらもねじ込むのは並々ならぬ感情があるからなんです。
これをまふゆに歌わせるの、ホントにすごいですよ。狂気と言ってもよいはず。毒親に精神を破壊されきった才色兼備のマリオネット…。PVを見ているだけで鳥肌が立ってきます…。
色気際立つ「賛美」
ここで無垢で無知で無為な賛美を 見せつけるわ
ラスサビに入る直前のフレーズです。リズムも音程も早口言葉のような歌詞もすべてがエグい難しいポイント。
まふゆの歌い方で特徴的なのがぐっと力を込めて声がかすれるエッジボイスの使い方だなと自分は思います。元々の声色に加えてさらに色気が引き立つアクセントになっています。
このフレーズだと「賛美」がそれ。少しだけ力がこめられるポイントで、「さ」が少しだけかすれます。上で挙げた「愛」とはまた違った強調の仕方でとても良いです。そのまま「さんびを~~」の「を」はまた美しいビブラートになって抜けていきます。聞いていてとっても心地よいです。
続く「みせーつけーるわー」は低いところから一気に高い音程へと跳ね上がる難しい箇所。「見せつける」という動詞が力強いアクションを示す言葉なのでテンション感は強めなのですが、高音は一切の混じりけのない美しさで広がっていきます。低音には色気があるのに高音は済み渡って響いていくまふゆの歌い方はホントにすごい。『乙女解剖』とかヤバいしか言えない。
「わー」の息の抜き方がとても妖艶。色気を出したまま余韻を持って響いていって、最大の盛り上がりのラスサビへと続いていきます。この曲のまふゆの歌い方は全体的に色気があるのですが、過酷な人生を歩んでいるからこその高校生離れした艶やかさには不思議な納得感があるんですよね。まふゆならきっとこうなるだろうっていう。
殴り合いに負けない個性
この箇所がすごいなあって思う理由はまだありまして、他の3人との対比・対決ポイントになっているのもホントにすごい。ここに至る直前から見ていきます。
(絵名)ねえ先生 あなたバカじゃないの
ここまでずっと甘めに可愛く歌ってきた絵名が声を張り上げるワンフレーズ。自撮りで承認欲求を満たす"ぶりっ子"というのは上っ面にすぎず、内に秘めた本性をようやくここで見ることができます。『限りなく灰色へ』が分かりやすいですが、感情を爆発させながら歌うことができてしまう絵名のすごさが光る歌唱です。
(奏)未だ滾る感情を 知らないの
奏の歌い方は静かに落ち着いてマイペースというのが基本。だけどそんな彼女が時折見せる音楽への情熱、執念、想いの強さみたいなものは、ストーリー中だけじゃなくて歌唱にも染み出てくるからすごい。地中奥底で滾るマグマ。ここでいう最後の「のっ!」って跳ねる感じ。思わずにじみ出てしまったという感じがとても好きです。そういう歌い方がよく感じられるのが『夜に駆ける』のアナザーボーカルバージョンなのでおすすめ。
(瑞希)凝り固まってんなら お勉強
歌詞自体が煽り気味で、"お勉強"なんてだいぶ皮肉っぽい言葉。跳ねるリズムも相まって、茶化しながら歌っている感じが垣間見えるのですが、同時に瑞希ならではのパワフルな歌唱も共存しているのがすごいところ。この曲の中でパワフルさが一番出てる箇所で言うと2番の「ホント退屈さ」のところかなとは思いますが、ここも短いフレーズに詰め込まれた想いはすごい。力強さの爆発というところで言うとやはり『ロウワー』はすごかった。
(まふゆ)ここで無垢で無知で無為な賛美を 見せつけるわ
改めての引用にはなりますが、上3人がそれぞれ個性を爆発させて歌ったあとに満を持して登場するのがまふゆでした。下手な歌い方をすると個性の洪水に飲み込まれて目立たなくなってしまうところを、これでもかとまふゆらしさを乗せてくる凄み。溢れ出るラスボス感。
この曲はあくまでまふゆのために書き下ろされた楽曲であり、ラスサビに入る前にそれをもう1度はっきりさせておこうじゃないかという主張の強さを感じます。主導権は渡さないと言わんばかりの力強さ。
直前で4人のソロパートがあるからラスサビのコーラスがより重厚に聞こえてくるし、最後の最後のまふゆの「あった」が締まるんですよね……。
というわけである日ジャックポッドサッドガールを聞いていて雷に打たれたように心に浮かんできた感想をばばばっと書きなぐっただけの感想文でした。
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