3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】危機契約の世界観的設定の考察

 危機契約はホントによくできたイベントだなと思います。自分と敵の戦力がちょうど釣り合うところが1番面白いタワーディフェンスというゲームで、自分の裁量で縛りを追加して高みを目指すこのシステムはとても理にかなっていると感じます。
 アークナイツのすごいところは、危機契約にも世界観的な設定があって、なぜこういうシステムになっているのか、そしてなぜロドスが参加しているのか理由付けがなされているところです。それらを軸に世界観を整理してみます。


 

1. 危機契約機構設立の経緯

 危機契約が設立された経緯から見ていくとわかりやすいと思うのでここから説明します。
 アークナイツの世界であるテラは、「天災」と呼ばれる超常現象が発生し、多くの人命が失われる過酷な大地です。人智を超えた災害を前に、1人でも多くの命を救いたいということで立ち上がった人たちがいます。

 それが天災トランスポーターと呼ばれる人たちです。天災の発生を予知して被害を最小限に抑える使命を負った職種であり、人々の命のために予報する気象予報士のようなものと例えるとわかりやすいかもしれません。
 彼らがわざわざ危機契約機構という組織を立ち上げる必要があったのはなぜか。それは、国や地域の仲が非常に悪く、情勢が不安定なテラでは勢力をまたぐ協力がしにくいからです。政治的思惑によって人命が軽んじられる事件が多発しています。
 そこで如何なる政治的勢力からも独立した組織を立ち上げる必要がありました。為政者に接触すると設立の理念が揺らいでしまうからです。

 誕生した「危機契約」というのはシステムの名前です。どのように運用されているのか次で見ていきます。

 

2. 危機契約の運用体制

 危機契約は依頼者と依頼を遂行できる人を繋ぐシステムです。単なるプラットフォームと捉えることもできるでしょう。ゲーム上はなかなか複雑ですが、世界観的には非常にシンプルな構造をしています。
 危機契約を運用する天災トランスポーターたちは、情報と支援物資を持ち寄ることでこのシステムを運用しています。重要なのは、危機契約のシステムは依頼を届けるだけという点です。解決の仕方はあくまで任務を受け取った人に委ねられます。
 危機契約のスローガンをご存じでしょうか。毎回公式Twitterが危機契約の告知に添えるアレです。


 天災がもたらす非常事態(Contingency)に対して、誰でもいい、どんな方法でもいいから「より多くの命を救う」のが危機契約の理念です。どれだけの人命が救われたかという結果だけが重視され、その手段や過程は問われません。それを追求しはじめるとまともに機能しないぐらいには難しい任務が持ち込まれるということであり、それを解決してきた実績があるからこそ頼りにされているのです。あらゆる政治実体から独立しているため、政治的な判断で人命が失われることもありません。
 過程が重要視されないある種の自由度というのは、ゲーム上でも再現されています。同じ等級であっても選択する契約によってステージの性質がガラッと変わるので、各々が自分の戦略で攻略を進めていけるようになっています。
 任務を達成したものには巨額の報酬が与えられます。たくさんの天災トランスポーターが各地から集めてきた物資ということでしょう。(ゲームの報酬がマズイなんて言っちゃダメです)

 

3. ロドスがなぜ参加するのか

 ロドスは製薬会社なのになぜこの危機契約に参加しているのでしょうか。
 ゲームでは2-10をクリアすると危機契約に参加できるようになります。レユニオンの蜂起に巻き込まれていて危機契約どころではなくなってしまったロドスが、再び危機契約機構と連絡を取り合うようになったのがこのタイミングだったという設定になっています。

 端的に言えばロドスは報酬欲しさに危機契約に参加しています。製薬会社ではあるのですが、貧しい鉱石病患者に届けるために、ロドスの薬は利益率が落とされています。意外と経営が厳しいのですね。このあたりの事情は危機契約βで語られたのですが、復刻の機会がないので二度とみられないストーリーになってしまっています。
 ロドスが製薬事業で利益をあげる気がないというのはいろんなところで語られていることではあります。

 もちろん、ロドスが危機契約に協力するのは、「より多くの命を救う」という危機契約の基本理念に賛同しているという前提があります。ロドスは感染者だけでなく、大地を生きるすべての人々のために活動することを理念としていますから。
 ロドスが引き受ける危機契約は、最近は天災が直接関係ないものが多くなっています。危機契約も設立当初から役割が変化しているということでしょうか。困っている人を助ける高難易度の任務というのは基本的には変わりません。

 「風蝕の高原」の弱者を虐げる暴漢を撃破せよというのは危機契約らしいテーマでした。

 「8号競技場」は協議騎士の模擬訓練に付き合ってくれという変わり種でした。あの2人を相手にするのは普通の依頼じゃないってことでしょうか。

4. 実例:ウォルモンドの薄暮

 危機契約がどのように役割を果たしているかを知ることのできる実例が1つあります。イベント「ウォルモンドの薄暮」のストーリーです。
 天災によってウォルモンドが危機に陥り、危機契約機構に依頼が持ち込まれ、それを解決するために契約を結んだ天災トランスポーターが暗躍するお話でした。契約の概要を下にざっとまとめています。援助がなければ大飢饉でたくさんの人命が失われてしまう危機的な状況にありました。

 例えば、周囲の移動都市が援助してくれず、孤立無援になってしまった状態は、ゲームで言うところの「孤軍奮闘」の契約の状態に似ていそうです。

 ビーダーマンという天災トランスポーターと、憲兵長の息子トールワルドは危機契約を受注し、ウォルモンドで「より多くの命を救うため」の作戦を練りました。最終的に実行された方法が、我々がイベントストーリーで追いかけていったあの事件だったというわけです。

 ビーダーマンたちはアントというロドスのオペレーターを殺害しました。彼女はウォルモンドの感染者を治療して信頼を得ていた人物です。アントの死で感染者に怒りが広がり、ウォルモンドを飲み込む感情のうねりとなり、無関心な貴族たちを動かすことができれば任務が達成できるという作戦です。
 副次的な効果として、アントと連絡が取れなくなったロドスが引き寄せられたことと、ウォルモンドの周囲に潜んでいたマドロック小隊が巻き込まれたことで、騒ぎが非常に大きくなりました。感染者の問題には敏感な貴族たちは、ウォルモンドを支援することに決めました。イベントのラストではほかの都市から駆け付けた憲兵隊がウォルモンドに入ってくるというシーンで締めくくられるため、このビーダーマンたちの危機契約は成功したと言ってよいと思います。
 少数の人命と引き換えに都市全体の人々を救う。危機契約のスローガンである「善悪不問」を体現したかのような作戦でした。危機契約機構からのお咎めはありませんでしたが、実行犯2人は人命を天秤にかけてしまった罪を償って自死してしまい、多くの人が真相を知る機会が失われました。
 ゲームの危機契約は異常に難しい縛りプレイを要求される過酷なイベントですが、世界観的にもかなりえげつない任務が飛んでくるシステムです。それをすさまじい実力を持った人たちが解決しているのであり、たまにぶっ飛んだ人たちが奇想天外な方法を使ったとしても、「より多くの命を救う」が達成されていればヨシとされているのです。テラの過酷さを示す良い実例だなと自分は思っています。
 エアースカーペがたまに語ることですが、天災を相手にする天災トランスポーターの中には、天災を憎むがあまり善悪観がねじ曲がってしまう人もいるそうです。我々ドクターも高難易度のステージを攻略する際はあらゆる戦術を試しますが、心までも歪めてしまわぬよう、頑張っていきたいところですね。


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