3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【プロセカ】Leo/needがロストワンの号哭を歌う理由

 2021年10月2日、いつかはプロセカに実装されるだろうと思っていた曲がようやく登場しました。Neruさんのロストワンの号哭。リンちゃんのパワフルな歌声に、初めて聞いたときは椅子からひっくり返るかと思うぐらい衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。

どのユニットが歌うのか

 ロストワンの号哭がプロセカに実装されたら、99%「Leo/need」が歌ってくれるだろうと思っていました。原曲PVが教室だったのでバーチャルライブをやるにはぴったりです。ただ、1%は「25時、ナイトコードで。」が歌うかもしれないなと思っていました。
 ロストワンの号哭は窮屈な学校生活に絶望してしまった少年少女の悲壮を歌った楽曲です。歌詞の世界観はニーゴの何もないセカイの方に近いと自分は感じます。

でもどうして 僕達の 胸元の 塊は
消えたいって言うんだ 死にたいっていうんだ

 この矛盾感をプロセカ運営はどのように料理してくれるだろうか。リズムゲームで遊ぶのもすごく楽しみでしたが、プロセカの世界観への落とし込み方も非常に楽しみに待っていました。

Leo/needの夢

 実際に実装されたこの曲を聞いてみて、レオニとニーゴが思ったよりも「近い」ところにあって、ウラオモテで背中合わせになっているのだなという新鮮な気付きを得ました。
 レオニのメインストーリーは20話をかけて、ぎくしゃくしてしまった幼馴染4人組が仲直りをするお話でした。離れてしまった原因は本人たちにあるというよりも、窮屈な学校生活の中でそれぞれが自分を守ろうとしたことでした。
 もし仮にミクたちに出会うことなく、4人が離れ離れのままだったらどうなったでしょうか。一歌と咲希はそれなりの関係でなんとなく学校生活を送れたかもしれませんが、志歩と穂波が今のように楽しく学校生活を送れているかと言われると、自分は確信が持てません。最悪の場合、志歩と穂波は学校に通うのをやめてしまっていたかもしれません。
 Leo/need結成後も安泰だったわけではなく、「雨上がりの一番星」でもう1度咲希が長期入院してしまったり、「揺れるまま、でも君は前へ」で穂波の心が折れてしまっていたかもしれません。レオニの物語は、暗くしようと思えばいくらでも暗くできるし、苦悩を描こうと思えばいくらでも深くキャラを悩ませることができました。それこそ、ロストワンの号哭が良く似合う物語を描けたはずです。
 しかしプロセカは、というか教室のセカイのバーチャルシンガーたちはレオニをそのような方向に導きませんでした。彼女たちはプロになるという夢を持ちました。夢を追いかける物語に発展した瞬間に、レオニの方向性が決定付けられました。

25時、ナイトコードで。の苦悩

 ニーゴの4人にはまだ明確な夢や目標はありません。奏にはまふゆを救うという目標があるものの、音楽を作り続けねばならないということを「呪い」と認識しています。彼女たちは辛い現実と戦うだけで精一杯です。
 教室に絶望して「普通」からはみ出してしまったニーゴのメンバーは、それぞれが心に闇を抱えています。それが解決されない限りは、前向きに夢を追いかけることが難しいでしょう。

僕達このまんまでいいんですか おいどうすんだよ もうどうだっていいや

 絵名や瑞希が力強く「もうどうだっていいや!」と叫んでいる姿は脳裏にすぐに浮かびます。彼女たちが歌ったとしても、ロストワンの号哭は世界観に合った完成度の高い楽曲になったことでしょう。
 レオニの4人が一緒の方向を見て夢を追いかけているのとは対照的に、ニーゴの4人の目は自分自身の心を見ていたり、お互いのことを見つめたりしています。4人の関係性が全然違うので、ストーリーの方向性も全然違ったものになっています。きっと、同じ曲を歌ったときの世界観も全く異なったものとなったことでしょう。
 レオニとニーゴでロストワンの号哭がどういう歌われ方をするのかなと考えた時に、レオニとニーゴが背中合わせになっているのだなとぼんやり思いました。ニーゴが歌うロストワンの号哭は、きっと歌詞で紡がれた悲しみを、痛みを、絶望を、これでもかと表現した楽曲になったことでしょう。

Leo/needの歌い方

 レオニが歌うロストワンの号哭は、教室の息苦しさを理解しながらも、それを飲み込み、笑い飛ばし、ロックンロールへと昇華した音楽でした。プロセカがリリースされたばかりのころのレオニにはこの曲は歌えなかった気がします。様々な経験を通して、この曲を理解し、自分たちの音楽にすることができたので、満を持しての実装となったのではないかと想像しました。
 3DMVの各々の表情を見て鳥肌が立ちました。曇りなき目線はまっすぐ前を向き、音楽と向き合い、演奏を楽しんでいるその姿にクラクラしました。

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 特に印象に残ったのはリンちゃんの歌い方です。原曲は全編を通して泣き叫ぶような悲痛なボーカルが印象的です。本家のMVで彼女は出てこないですが、きっと悲しそうな表情で歌っているのではないでしょうか。

病弱な愛が飛び出すもんで レスポールさえも凶器に変えてしまいました

 一方でセカイバージョンのリンちゃんは、ノリノリでステップを踏んだり、レスポールのギターで画面をガンとぶん殴ってきたりと、本当に楽しそうなんですよね。教室のセカイのリンちゃんの性格にも合っていて最高でした。
 志歩の表情も印象的でした。

数学と理科は好きですが 国語がどうもダメで嫌いでした

 誰かが悩んでいるときに優しい言葉をかけられず、キツイ言葉を使ってしまって後で後悔している志歩にぴったりの歌詞です。照れているからか、歌うのが楽しいからか、口元には明確な笑みが浮かびます。
 一方で、一歌は割といつも通りという感じです。マイペースですよね。

本日の 宿題は 無個性な 僕のこと

 取り柄がないと悩む一歌にここを歌わせるのはさすがです。些細な言葉も見逃さずに、キャラクター性にあった歌詞割りをするのがプロセカのすごいところです。
 この2人にカッコイイ曲を歌わせるとトコトンはまります。サビのハモり方はLeo/needのボーカルスタイルの新境地でした。ミクが原曲キーで一歌が1オクターブ下を歌うテオやドラマツルギーとは異なり、一歌が原曲キーで志歩が1オクターブ下を担当しています。一歌は「高音もいけるんだぞ」と、志歩は「オク下のハモりは一歌の専売特許じゃないぞ」とバチバチ主張しているようです。
 穂波と咲希のパートがなかったのは少し寂しかったですが、彼女たちはロストワンの号哭を歌うには優しすぎるし、声が柔らかすぎるのかもしれないですね。

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 後奏の最後の最後まで演出にこだわりを感じました。3DMVがモノトーンになるパートが挟まっているのは、一歩間違うと教室の闇に飲み込まれてしまうかもしれないという危険性を暗示していると考えるのはさすがに深読みしすぎでしょうか。ラストはカラフルなセカイに戻ってくるので、ほっと一安心をして演奏が終わります。

終わりに

 ボカロの世界観とプロセカのオリジナルキャラたちの物語を被せるのが相変わらず天才的に上手くて、毎度のことながら感動してしまいます。しかしロストワンの号哭に関しては、ニーゴが歌うという世界線もあったのではという考えが胸をよぎったので、この文章を書いてみました。今後の楽曲追加も楽しみです。


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