3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバース12話感想-勝利は誰の手に

ネタバレします!!

 11話に続いて全国大会の決勝戦です。バトルの流れがとてもエモーショナルでありながら、ルシアの人間性もしっかり深堀りし、さらに次なる展開へとちゃんとパスを出しておくという神業的な回でした。

ヒイロvsルシア

 タイトルロゴのみが表示される新しいパターンでしたね。

8ターン目

 後攻8ターン目から12話はスタートです。先攻8ターン目でルシアは復讐状態に入り、スカーレットヴァンパイアを使って盤面をひっくり返しました。それに対してヒイロは氷結のドラゴンのみを出すという苦しいターンです。全体1ダメージでフォレストバットは破壊できましたが、相手の場に3/4が残ります。氷結のドラゴンのサイズは5/5で、めちゃくちゃ大きいというわけではありません。

f:id:ytera22:20200626102726p:plain

9ターン目

 先攻9ターン目、ルシアは獰猛な捕食で氷結のドラゴンを破壊します。このプレイはわかりやすい例なのですが、各クラスに5コストの確定除去カードが存在するため(最近はインフレが続いていますが)、5コスト以上の大型フォロワーはこういう風に破壊されてアドバンテージを取られてしまうリスクを持っています。獰猛な捕食は何度もルシアが使ったカードですが、復讐状態で使ったのは初めてです。1枚ドローのオマケがつきます。

f:id:ytera22:20200626102751p:plain

 さらにナイトメアとヴェノムコブラをプレイしていきます。ヴェノムコブラも何回か使われたカードですが、初めて復讐時効果を発動しました。2コストフォロワー2枚の展開ですが、どちらも復讐でパワーアップしているので、盤面の圧力はなかなかのものです。
 後攻9ターン目、ヒイロはデッキから灼熱の嵐を引いてきて、なんとかこのターンをしのぎます。イグニスドラゴンが来るターンかなと身構えたのですが、ここではなかったようです。手札にあったツインヘッドドラゴンがコスト的に上手く噛み合いました。

f:id:ytera22:20200626102829p:plain
f:id:ytera22:20200626103107p:plain

10ターン目

 先攻10ターン目、ルシアの切り札ダークエンペラーが登場します。相手フォロワー2体の確定除去効果を持っていますが、このターンはツインヘッドドラゴンしか場にいませんでした。ダークエンペラーは能力によるダメージをうけず、破壊もされないので、進化を使ってフォロワーで殴るぐらいしか破壊手段がありません。進化権がなくなった後に出てくるとさすがに強いカードですね。横にヴァイトもくっついて盤石の盤面です。

f:id:ytera22:20200626102855p:plain

 後攻10ターン目、ヒイロは竜の闘気をプレイ。PPブーストをしながら回復をして手札も増やす強カードで、長らくドラゴンデッキに採用されていました。本当はもっと早いターンに撃って、PPブーストの恩恵をあずかりたいところでした。すでにPP最大値が10に到達しているため、回復とドローのみです。今回は試合が長いので両選手ともドローソースを使いますね。

f:id:ytera22:20200626102925p:plain

 そしてアニメオリジナルカードのシールドドラゴンをプレイします。このカードは5話でカズキと一緒にシャドバ大会に出たときに、優勝賞品で獲得したカードパックから手に入れた新カードです。エモーショナルな使い方をするかなと思っていたのですが、入手経路については一言も触れられませんでしたね。3/6というスタッツがなかなか優秀で、かつ相手の盤面にダメージも飛ばせる良いカードだなと思いました。

シールドドラゴン
5コスト3/6
守護
ファンファーレ:覚醒状態なら相手のフォロワー1体に2ダメージ

11ターン目

 先攻11ターン目、ルシアは黙示録をプレイします。復讐状態なら4コストで全体に8点のダメージを与えます。上で書いた通り、5コストを払うと1体の確定除去ができるというコスト感覚の中、4コストで盤面全体を吹き飛ばせるこのカードはかなりコストパフォーマンスの良いカードです。初期はそこそこ採用されていました。ダークエンペラーと相性が良いのもグッドですね。

f:id:ytera22:20200626102952p:plain

 3/6守護1体だけを破壊するためにこのカードを撃ってしまうのはちょっともったいない感じはしましたが、かといってダークエンペラーで攻撃しても体力が6あるので破壊できません。ダークエンペラーは能力によるダメージを受けませんが、フォロワーとの交戦ではダメージを受けます。自分からフォロワーを殴りにいって体力を削るのもやりたくないプレイです。なのでもったいないけど撃ってしまう感覚はわかります。
 デモンハンドアサシンを横に並べます。復讐状態でドレインを持つカードです。ドレインをするとルシアの体力は13になり復讐から抜けてしまうので、場に出したけど攻撃しないパターンもルシアは想定しているでしょう。
 後攻11ターン目、山札から引いたのはジュエルドラゴンです。何度も出てきたアニメオリジナルカードで、7話は逆転の立役者でした。総力戦という感じで良いですね。この場を突破するカードではありませんが、シールドドラゴンを復活させて首の皮が一枚繋がりました。
 貫く咆哮と言うアニメオリジナルカードが手札にあり、このカードをプレイするかヒイロは検討します。視聴者はこのカードの効果がわからないので、何を考えているかは不明です。ヒイロは余ったPPでプリズンドラゴンを出してターン終了です。

12ターン目

 先攻12ターン目、ヒイロの場に守護を含む3枚のフォロワーが並んで返ってきたので、本当ならこのターンに黙示録を撃ちたいところでした。ブラッドレイジと氷剣の戦鬼で守護を剥がしにかかります。
 ブラッドレイジもいままで何度か出てきたカードです。通常時は3点、復讐状態なら6点のダメージを与えるカードです。ちょうど体力が6のシールドドラゴンに刺さりました。

f:id:ytera22:20200626103025p:plain

 氷剣の戦鬼はアニメ初登場のカードです。7/5/7突進で、相手のフォロワーを破壊したら1ドローということで、有利状況をさらに固めるにもってこいのカードです。

f:id:ytera22:20200626103030p:plain

 シャドバに限らず、カードゲームには「先ドロー」という鉄則があります。このターンにドローできるカードをプレイすることが確定しているなら、まずはドローできるカードを使用してカードを見てみて、選択肢を最大限増やして検討を行うべしという鉄則です。このターンルシアは、3コストのブラッドレイジと7コストの氷剣の戦鬼が手札にあるので、氷剣の戦鬼を使ってドローすることが確定しています。先ドローのために氷剣の戦鬼からプレイすべきターンでした。
 氷剣の戦鬼で引いてきたのは鋭利な一裂きでした。なのでブラッドレイジをプレイするという選択は変わりませんでしたね。ヒイロの体力はちょうど残り3点となり、次のターンの鋭利な一裂きで決着がついてしまうという状況に追い込まれます。
 後攻12ターン目、決着のターンです。ついにここでイグニスドラゴンがお馴染みの光とともに降臨します。ヒイロの残りの手札は、前のターンに使用するか迷っていた貫く咆哮のみということで、このカードで決着がつくんだなあとわかるのですが、肝心の効果がわからないので、どうやって勝つのだろうと期待が高まります。攻撃を宣言する前に、貫く咆哮の効果を説明してくれました。

貫く咆哮
3コストスペル
自分の場のフォロワー1体は「このカードが相手フォロワーを攻撃して破壊したとき、破壊したフォロワーの攻撃力分のダメージを相手リーダーに与える」を持つ

 3コスト払って、相手のフォロワーの攻撃力分のダメージを与えるカードです。相手が攻撃力の高いフォロワーを使うかどうかによってダメージ期待値が変わってくるため、相手のデッキに依存するカードです。攻撃力が高めのフォロワーは交戦で破壊するのが大変なのですが、イグニスドラゴンは攻撃時に攻撃力が10まで上がるので、相性の良いカードです。
 ダークエンペラーは攻撃力が5で、ラストワードで5ダメージなので、まるで体力10のルシアを倒すためにデザインされたコンボでの勝利でした。この試合の流れはいままでのルシアとヒイロの関係を象徴するような美しい試合なので、そういう都合の良いカードがあっても良いじゃんと僕は思います。
 

未来に託した鋭利な一裂き

 鋭利な一裂きというカードの演出の仕方が本当にお上手で、感動してしまいました。

f:id:ytera22:20200626103101p:plain

 説明するまでもないですが、2話でヒイロとルシアがバトルしたときに、ルシアは手札にあった鋭利な一裂きを使用すれば勝利できた試合を、あえて別のカードを使い、ヒイロに勝ちを譲るという展開になりました。ヒイロが勝利したのにもかかわらず挫折を覚えるというお見事な筋書きでした。
yterapokemon.hatenablog.com
 2話のバトル後に、ルシアがヒイロに言ったセリフを覚えているでしょうか?「あのカードは未来のキミに託す」です。解釈の難しいセリフですが、きっと12話に繋がっているセリフでしょう。
 ヒイロを試すためにルシアは2話で鋭利な一裂きを撃ちませんでした。その結果、ヒイロは見事ルシアを打ち倒し、その後もどんどん成長を重ねて全国大会の決勝まで駒を進めます。ヒイロはルシアの期待通り強くなって、ルシアの前に立ちはだかります。
 ヒイロは鋭利な一裂きを撃つに値するプレイヤー、つまりルシアが本気を出すにふさわしいプレイヤーへと覚醒を遂げます。鋭利な一裂きの3点で決着がつく展開が再び訪れたとき、ルシアは迷わず鋭利な一裂きを撃つ心構えでバトルに臨んでいたことでしょう。
 そしてルシアの予感の通り、12話のバトルでは鋭利な一裂きで決着がつきそうな場面がやってきます。自分のターンが回ってくれば、ルシアは鋭利な一裂きでとどめを刺すつもりだったでしょう。「結局キミはボクに届かなかったね」という意味を込めて。
 2話では撃たなかった鋭利な一裂きを、未来の試合では撃てるかどうかをヒイロに「託した」ということなのかなと僕は解釈しています。撃たせてもらえるならルシアの勝利、つまりヒイロはルシアを超えられなかったということです。撃たせてもらえないなら、ヒイロはルシアを超えるほどの成長を遂げるということです。結果は後者でした。
 1枚のカードにドラマを込めるというのはカードアニメではお馴染みの展開。とことん王道を行くアニメですね。

イグニスドラゴンvsダークエンペラー

 決着のつき方もとても良かったです。ルシアの切り札であるダークエンペラーを、ヒイロのイグニスドラゴンが打ち倒すことでちょうど試合が決着します。ブラックマジシャンがブルーアイズホワイトドラゴンを倒すがごとく、ベタの中のベタな演出なのですが、本当にキレイに決めたものですね。上で書いた鋭利な一裂きの因縁を表現しつつ、この終わり方まで持っていく試合の組み立て方が素晴らしいです。
 相手のリーダーの体力を削り切ることが勝利条件になっているので、シャドバではフォロワーがフォロワーを攻撃することで勝利するという展開がほとんど起きません。1話から10話までのバトルは、だいたいがリーダーを攻撃することで勝利していたかと思います。ここぞというこの12話で、その展開を作り上げたのが素晴らしいです。
 贅沢を言うなら、貫く咆哮の効果を攻撃前にヒイロくんが説明してくれましたが、攻撃後でもよかったのではないかと思いました。「え、これでどうやって勝つの?」みたいなドキドキ感をのせてあの演出が繰り広げられれば、もっと興奮したかもしれないなと思います。

ルシアの「復讐」

 試合の途中でルシアの回想シーンが挟まり、彼の過去とシャドバを始めたきっかけがわかりました。
 ルシアが背負っている過去は、様々なアニメや漫画に触れて目が肥えてしまった人には、ただただ辛いだけの単純な物語じゃん、と思ってしまうかもしれません。このアニメでは不幸の種類はあまり問題じゃないのかなと僕は思っています。人の数だけ不幸があるのがこの残酷な世界です。ルシアは割と大きな不幸を抱えてしまった人間なんだなということが12話で明かされる大事な要素です。
 大きな不幸が降りかかったとき、どのように対処するかでキャラクターの人間性を描きこむことができます。ルシアは度重なる不幸にも決して心折れることなく、妹のシオリを守り続けなければならないという呪いを自らにかけて、必死にこの世をサバイブしてきました。生きるモチベーションが並みの人間とは異なっている人なんですよね。妹を守るために自分は生きる。幼少期から人生がハードモードなのです。
 試合中ヒイロに対して、「自分にとってシャドバは道具にしか過ぎない」と何度も言います。「ホントはシャドバ好きなくせに~」って思ったりもするのですが、この過去を知ってしまった以上、彼の言っていることはだいたい本心そのままなんだろうなと思うようになりました。遊びじゃないんですよね、ルシアにとっては。
 そんな彼がヴァンパイアを使うのがエモいなあと思います。ゲーム序盤にダメージを負うことで、他を圧倒する力を手にするのがヴァンパイアというデッキです。HPが半分以下の「復讐状態」は強力な反面、打たれ弱くリスキーです。人生の序盤で世界に裏切られダメージを負ったルシアは、その状況を跳ね返すための猛烈な努力によって、他を圧倒してきたことでしょう。
 妹の存在はルシアにとって、自分を強くしてくれる原動力であると同時に、自らの人生を縛る枷です。メリットとデメリットが表裏一体となってルシアの人生を支配し、そんな状況に自分を追い込んだ人たちに、そして残酷な世界に対してルシアは復讐を企てるのです。強くなって妹を救うことが、何よりの復讐だと信じて。

e-sportsと賞金、そしてシャドバ世界大会

 妹を救う手段としてシャドバを選んだのは本当にたまたまだったという描き方でしたね。他のゲームに先に出会っていたら、シャドバをやっていなかったかもしれません。
 ここで面白いなと思ったのが、小中学生が合法的に大金を手にする方法の1つとしてe-sportsが存在しているということです。ゲームで賞金を稼げるのが当たり前にならないと、こういうストーリー構成にはなりません。アニシャドの以前にも漫画やアニメなどでこういう賞金稼ぎ的なキャラはいたでしょうが、ルシアの選択には一層の現実感が伴ってきますね。
 シャドバでは3か月に1回、RAGEという大型大会が開かれており、その優勝賞金は400万円です。オンラインでも3か月ごとに賞金100万円の大会が開かれ、賞金5万円のオンライン大会が1か月に数回のペースで行われています。最もすごいものは、1年に1回開かれれる世界大会です。RAGEの1位と2位の選手、海外の大会の優勝者など、選ばれた人しか参加することのできない大会で、優勝賞金は1億円。400万円でも大金なのに、世界大会の賞金は文字通り桁違いの金額です。
f:id:ytera22:20200626101325p:plain
https://twitter.com/shadowverse_jp/status/1077852466505367553より
 ヒイロやルシアはなぜ中学生という設定なのだろうと思っていたのですが、高校生だったらバイトができるので、それでお金を稼げばいいじゃんということになるのかもしれないなと思いました。中学生、あるいはそのもっと前から自分の力だけでお金を稼がねばならないという状況に陥ったときに、ゲームの大会の賞金に頼るという選択肢を見つけてしまったのがルシア君というわけです。(実は現実のシャドバの大会は高校生以上しか出場できないのですがそこはご愛嬌)
 正式な形での告知はまだないですが、13話以降で世界大会編が始まるのだと思います。日本の大会が終わったら次は世界だ!というのも実にベタなのですが、シャドバの場合は現実でその流れがあるので、割と地に足のついた展開なんですよね。これで今年の世界大会にもっと注目が集まるといいなと思います。
 話変わってしまうんですが世界大会って毎年本当にすごいんですよ。下の動画はどちらもドローで大逆転するシーンなのですが、お互いのレベルが高すぎるからここまでギリギリのバトルになって、お互いが最後の最後まで勝ちの可能性を残し続けるからドラマが起きてしまうのですね。


www.openrec.tv

すれ違い続ける想い

 ルシアがシャドバをする理由やモチベーションは、ヒイロがシャドバをする理由とは根本から異なっていることをお互いが認識します。ルシアは生きるためにシャドバをプレイし、シャドバで幸せになることこそが自分の生きる道なのです。ヒイロとルシアが、お互いを理解することはできなくて当然です。
 1クール12話で完結するアニメだったら、このバトルで綺麗な和解が求められたことでしょう。しかしアニシャドはもうちょっと長いスパンで物語を作っていけるようなので、このバトルでヒイロとルシアが完全にわかり合うことはなかったように思います。
 ヒイロはいままで、口を開けば「シャドバすっげえ楽しい」ばかりで、あえて悪く言えばシャドバを通した間接的なコミュニケーションしかできない人間のような描かれ方をされてきました。11話から12話の途中までの描かれ方も、「シャドバの楽しさを教えてやる!」しか言わないシャドバ教の宣教者みたいな人間だったんですよね。
 12話で少しずつヒイロのスタンスが変わってきます。

「どうしてオマエはそんなに苦しそうな顔でバトルをするんだ?」

 この問いかけが最初の変化ポイントかなと思います。ヒイロにとっては「楽しい」以外の何物でもないシャドバを、苦しそうにプレイするルシアのことが本当に理解不能なのでしょう。

「シャドバはオマエを救ってくれるんだろ?だったらどうして?」
「どうして道具だなんて言うんだ?シャドバはお前にとって大切なものなんじゃないのかよ?」

 ヒイロの中では、「シャドバ=救い=善=楽しい」みたいな思考回路が組まれているのでしょうが、そもそも人生の前提が違っているので会話は噛み合いません。ルシアの「楽しんだからどうなる?」というセリフに現れているように、楽しいとか楽しくないとかそういう話じゃないんですよね。だからこのあたりの問答はすれ違い続けています。
 ただ、ルシアが反応を変えるのは、シャドバではなくルシア本人にヒイロの矢印が向いてきたときです。

「お前がそんな顔をしてバトルするの、オレ嫌なんだよ」
「お前にそんな顔をしてほしくない。大切なシャドバを楽しんでほしいんだ」
「なら、お前の妹は、お前に、そんな顔をしてほしいと思ってんのかよ?悲しい顔してほしいって思ってんのかよ?」
「分からねえから、分かりてえって思うんだろ」

 特に一番下に書いたセリフで、ヒイロが生身の人間に対するストレートな興味を口にしたとき、僕はちょっとびっくりしちゃったんですよね。いままでミモリにもカズキにもそんなこと言ったことなくて、シャドバの話しかしてこなかったのに。
 このバトル中でのルシアとの対話を通して、「シャドバが強いルシア」に対してヒイロが抱いていた強い興味は、「悲しい顔をしてシャドバをするルシア」への興味に変わり、ようやくルシア本人のバックグラウンドにまで興味が伸びてきた感じなのかなと思いました。
 一方のルシア側は、己を強くしてくれる踏み台や触媒だけを求めてきました。相手がプロ選手だろうとなんだろうと、彼のスタンスは一貫してきました。ヒイロにもその役割だけを求めてきたのだと思います。しかし、12話でヒイロがルシアに対して見せた「生身の人間としてのルシアに対する興味」がルシアの心を惑わせるのでしょう。

「この世界に優しさなんてない」
「この世界にあるのは苦しみだけだ」

 ルシアはここまで言い切るほどには、世界に絶望をしています。ヒイロが見せる損得勘定のないルシアへの興味は、実はルシアにとってはすごく珍しいものだったのかなと僕は思います。ルシアは人付き合いを最小限にとどめていそうですし、こんなにストレートに向かってくるヒイロのことをどのように捉えるべきかわからないのでしょう。
 そして最後のターンでは、ルシアはもう対話を諦めてしまいます。

「もういい、もう終わりにしよう」
「二度と僕の前に現れるな」
「キミは僕を迷わせるんだ。僕には迷っている時間なんてないのに」

 ヒイロに対してどのように向き合ったらよいかルシアは本当にわからないのでしょう。逆にヒイロは諦めません。

「オレが諦めたら、倒れたら、お前は一生そのままだ。悲しいままだ」
「オレはお前に勝って、お前を助け出す」

 ヒイロがルシアの人間性に興味を向けたことで、この二人の関係性はようやくスタートラインに立ったという言い方もできるでしょう。ここからは、1対1の人間としての付き合いの中で、お互いが成長できると良いですね。

ヒイロの「覚醒」

 ルシアのキャラクター性がヴァンパイアクラスに紐づけられているという話を上でしたので、ヒイロについても簡単に。最後におじいちゃんが意味深なことを言っていましたし。
 序盤は弱々しい動きしかできないですが、PPをブーストするという唯一無二の試合展開と、PP最大値が7を超えると覚醒状態になって暴れだすドラゴンクラスも、まさに初心者から爆速でスターダムを駆け上がるヒイロそのものですね。
 ただ、ヒイロのバックグラウンドはまだ明かされません。祖父やマウラの話しっぷりから、父がシャドバ関係者のようですが、それが今後物語にどのような形で絡んでくるでしょうか。今後、さらなるヒイロの覚醒はあるでしょうか。
 オープニングから察するにお父さんは今後どこかで登場しそうだなと思っています。ただ、現状だけを見るとルシアと同じくヒイロには両親がそばにいません。ルシアはヒイロに対して、「キミと僕は違う」と繰り返し言うのですが、実は同じような辛い過去を背負っているのかもしれません。ここはまだまだわかりませんね。

棋譜

 11話と12話を合わせた棋譜です。
f:id:ytera22:20200626102439p:plain
f:id:ytera22:20200626102501p:plain


 何かあればご連絡ください。
YT22@シャドバ (@YT__pokeshado) | Twitter


 11話はこちら。
yterapokemon.hatenablog.com


アニシャドの感想一覧です。
アニメシャドウバース カテゴリーの記事一覧 - 3度目のサザンドラ