3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - オペレーションオリジニウムダスト編

 2021年8月18日開始のイベント「オペレーションオリジニウムダスト」のストーリーを考察していきます。レインボーシックスシージとのコラボイベントでした。

地理関係整理

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 ロドスの一行はヴイーヴルの商人に薬を届けるという任務を果たして帰還しようとしたところ、車が盗まれてしまって荒野をトボトボ歩いていました。ツインリバーを目指そうとしたところで救援信号を拾ったため、ロングスプリングに向かうことにしました。
 車を盗んだのはFrostでした。レインボー小隊は一足先にロングスプリングに滞在して、テラの世界の様子を伺っていました。これがイベントのスタート時点での大まかな地理関係になります。
 その後、ロングスプリングで皆が出会い、領主一族の兄弟喧嘩を収めてめでたしめでたしというお話でした。シンプルでわかりやすいお話でしたね。

ロングスプリングの内紛

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 ロングスプリングはトゥラ一族が治める街です。バイエル首長に仕えた功績の報酬としてこの土地が与えられました。イベントの時点でトゥラは亡くなっていましたが、その事実は公にはされていませんでした。衛兵隊長を務めていた娘のピカールが領主の座を受け継ぎました。
 弟のドラッジはクルビアに留学しているときに悪いツテを色々と作っていました。ヴォルヴォート・コシンスキーという組織と手を結び、資金や軍備と引き換えに、ロングスプリングの源石採掘の権利を与えるという約束をしていたようです。
 ヴォルヴォート・コシンスキーはロスモンティスのプロファイルに名前が出てきます。ロスモンティスに非道な実験を施したローキャン水槽ラボを支援していた疑いがあるとケルシーが言っていました。人の名前のように見えますが、企業なのでしょうか。
 ドラッジは手に入れた軍資金を用いて傭兵を雇い、領主への反乱を企てました。レッドラベル契約を結んだプロの傭兵だとシュバルツが言っていました。高い契約金を支払う代わりに、ヤバイ案件を引き受けてもらう契約みたいな感じなのでしょうか。

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 また、ドラッジが異世界から飛んできたレヴィ・クリチコに出会ったのはたまたまだったのかなと思います。レヴィは源石の研究がしたいだけだったと思うのですが、研究のためには資金が必要ですから、文句を言いながらもドラッジに手を貸していたのでしょう。
 ロドスとレインボー小隊の活躍によりドラッジとレヴィはやっつけられ、ロングスプリングには平穏が戻ってきました。


レンジャーとは何だったのか

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 レンジャー爺さんが自らのコードネームとしている「レンジャー」という組織について度々語られるイベントとなりました。
 領主が不在だったころのサルゴンの荒野を守る民兵組織がレンジャーという組織だったようです。サルゴンの領主は今も昔も、自分以外の武装組織を許してくれません。レンジャーも解散されてしまったようでした。

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 レンジャー爺さんは星2のオペレーターということでゲーム上のステータスは低めに設定されています。しかしレンジャーの一員として活躍していたころは非常に強かったようでした。まさか低レアのキャラにもこんな奥深いストーリーを用意しているのがさすがアークナイツという感じです。
 レンジャー爺さんは、とある峡谷での出来事を由来にしたカッコイイ二つ名を持っています。「自分はただの斥候だった」と言っていましたが、他の皆には正体がバレていたのが面白かったです。今は弓を使っていますが、昔は曲刀を使って戦っていたのですね。
 峡谷で結局何があったのかは曖昧にぼかされてしまったので、またどこかでこの話は出てくるかもしれないなと思いました。 

レインボー小隊

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 レインボー小隊というのは世界各国の特殊部隊から選りすぐりのエリートを集めた対テロ特殊部隊です。様々な国の人が集まる様子を虹に例えているみたいです。
 今回テラの世界に迷い込んだ4人も出自はバラバラです。4人は英語でコミュニケーションを取りますが、TachankaとBlitzにとっては英語は母国語ではないため、独特の「なまり」が感じられます。

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 レインボー小隊の元々の任務はウラル山脈にまではるばる出向いた作戦でした。Tachankaが参加しているのはロシアでの作戦だったからかもしれません。
 作戦コードの「ラマルク」というのはジャン=バティスト・ラマルクという19世紀の生物学者の名前から来ているように見えます。彼は用不用説という生物の進化に関する説を唱えましたが当時は評価されず、のちにダーウィンの進化論が世に出てきて初めて進化論の先駆けとみなされるようになりました。

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 レヴィが生物の進化を研究していたことと、イベントボスが「進化の本質」という名前なのも「進化」というキーワードで関連付けられていそうです。
 レインボー小隊の面々はレインボーシックスシリーズというゲームの中のキャラではあるものの、現実にある特殊部隊のメンバーという設定であり、時代設定も現実と同じです。我々の世界の代表者としてテラに転生してしまっています。彼らの目を通してテラの大地を見ることで、現実世界とテラの世界の相違点が浮き彫りになってくるのです。

言語の類似性

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 言語の対比から現実世界とテラの世界の関係性のヒントが得られます。
 レインボー小隊の4人はテラの言語を話すことはできませんが、英語が古いヴィクトリア語に聞こえるようで、コミュニケーションをとることができていました。
 一方でロシア語はドラッジやレンジャーには理解できないという場面があったことと、Tachankaがウルサス語を解読できなかったことから、ロシア語とウルサス語の間にはかなり距離があるように見えました。
 言語はゆっくり時間をかけて変化していくものなので、テラは我々の住む現実から見た未来だと考えるのが自然なところではあります。銃が遺物として出土するという話が元々ありましたが、現実とテラの時間軸を示唆するヒントが思わぬところから得られた形になりました。

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 ただ、テラの世界は我々からすると前時代的だと感じることがたくさんあります。一度文明が崩壊して、再興している途中だからこうなっているのか、何か別の理由はあるのかは注視しなければいけないところだなと思っています。ロボット技術などは現代よりも進んでいるように見えるので、掴みにくいですよね。

ニトロセルロース

 テラの世界観を考察する上で様々な情報が得られたイベントだったのですが、自分が一番驚いたのはTachankaのプロファイルの記載です。

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 テラの大地にはニトロセルロースがない…??

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 ニトロセルロース1886年に実用化された火薬です。それまで使われていた黒色火薬とは違って煙が少ないことから無煙火薬と言われていて、現在も拳銃やマシンガンの弾丸の発射薬として使われています。
 なぜテラにはニトロセルロースがないのでしょう。英語が時間をかけてヴィクトリア語になっていったらしいということが判明した一方で、現実で広く使われているニトロセルロースが消え失せてしまうのは非常に違和感があります。
 源石で代用されているというのはストーリーを読めば分かるのですが、どういう理由でニトロセルロースが存在していないのでしょうか。いくつか仮説を立てて考えてみましょう。

①原料がない説

 ニトロセルロースセルロースを硝酸と硫酸の混酸を使って硝化すると得られます。

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 セルロースは植物の細胞壁の主成分で、綿花や麻や木材などに多く含まれます。自然界で最も多い有機化合物で、テラにないわけありません。
 硝酸と硫酸は現代化学工業の基礎となる薬品で、特に硫酸の製造量はその国の工業力の指標の1つとも言われています。英語が形を変えて生き残っているように、この2つは代替されるわけないと思うのですが、もしかしたらどちらかがテラにはない可能性もあるのでもう少し考えてみましょう。
 硝酸はオストワルト法を用いて生産されます。アンモニアと空気の混合気体を白金触媒上で反応させて酸化窒素をつくり、これを低温で酸化して二酸化窒素とし、水に吸収させて硝酸にします。

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 アンモニアさえあれば作れると思います。アンモニアの工業的製法はハーバー・ボッシュ法です。メタンから単離した水素と大気中の窒素を反応させます。

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 テラにはメタンがないという可能性がもしかしたらあるのでしょうか…?アンモニアもかなり基礎的な化学薬品ですし、生物の身体から発生する物でもあるので、テラにないわけはないはずです…。
 硫酸の方も一応考えてみましょう。二酸化硫黄を酸化して三酸化硫黄とし、三酸化硫黄を濃硫酸に過剰に吸収させて発煙硫酸にして水と反応させることで製造されます。

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 二酸化硫黄は銅などの金属精錬の副産物、黄鉄鉱の焙焼、石油の処理過程などで得られます。石油はもしかしたらテラにないのかもしれませんが、石油以外のルートで硫酸を作ることもできます。硫酸が作れないというのもあり得なさそうに見えます。
 というわけで原料がないから作れないのではという仮説を立てて原料を追いかけてみましたが、原料がどれも超重要なものだったため、この説はハズレなのではないかなと思いました。

②原料はあるが生産技術がない説

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 生産技術が失われてしまったため、原料はあるもののニトロセルロースが作れなくなってしまったという仮説を次に考えてみます。2つシナリオを用意してみました。
 左は地球上の文明が一度壊滅してしまって、そこから再興した世界がテラなのだという仮説です。ニトロセルロースの工業的製法が失われてしまい、再発明されていないままになってしまっているという説です。
 右はニトロセルロースが発明される19世紀よりも前の地球から何らかの形で分離した並行世界がテラであるという考え方です。この時代でも英語やロシア語は大体今と同じ形なので、言語の変化という意味では辻褄は合わせられるかなと思います。テラの世界は都市部以外荒廃しているため、どこかで文明に甚大な被害を与える何かが起きたような気はしますが一旦それは省略しています。
 どちらの仮説もテラの世界とは一体何なのかという根本的な疑問にぶつかってしまってこれ以上考えることはできなくなってしまいますね。
 龍門やクルビアのような先進的な都市は、我々の知っている都市部の光景とほぼ同じような形で発展しています。参考にできないはずなのに、こんなに似るものなんでしょうか。

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③原料も生産技術もあるけど需要がない説

 ニトロセルロースは作ろうと思えば作れるけど、需要がないために作られなくなってしまい、最終的に人々の記憶から抹消されてしまったという仮説です。
 現実世界でニトロセルロースは銃弾の発射薬として使われています。発射薬の爆発を推進力として弾芯が飛んでいきます。

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 テラの銃は元々遺跡から出土した遺物でした。ラテラーノ人が改良を加えて今の形になったのですが、ニトロセルロースがなかったからアーツを使うようになったのか、アーツの方が便利だったからニトロセルロースを使わなくなったのかはわかりません。
 テラの銃の弾薬はエッチング弾薬と呼ばれています。エッチングというのは様々な業界で別々の技術を指す言葉ですが、半導体産業で言うと細かい回路を形成する技術のことを指します。弾薬の1つ1つに細かい源石回路を作り、それがアーツユニットとして機能しているということなのでしょうか。
 エッチング弾薬を用いるテラの銃はアーツコントロールが難しく、普通の人にはなかなか扱えない代物だと言われていました。一方火薬を用いた現代の銃は、ある程度の腕力さえあれば誰でも使えるものです。この点においてニトロセルロースには大きな優位性ががあり、需要があるような気がするのですがどうなのでしょう。
 レインボー小隊のオペレーターの知恵を借り、ロドスで火薬式の銃弾を源石で再現してみた話がプロファイルに書かれています。いろいろ試した結果、源石やアーツの方が便利ということで結論付けられてしまったようですが、技術として洗練されていないだけだったのか、武器として本当に劣っているのかはよくわかりませんでした。

④大いなる力によって消滅した説

 最後の最後でアホみたいな仮説に聞こえるのですが、割と真面目に言っています。
 現実世界でたくさんの人間を殺戮してきた銃と、その殺傷能力の根幹であるニトロセルロースがパタッと消え失せて、アーツと源石というアークナイツ独自の設定に代替されているのは、作為的なものを感じるのですよね。Tachankaという配布キャラのプロファイルを使って、ニトロセルロースだけ名指しで言及されているのも不思議です。
 画中人でニェンがロケット爆竹を使ったシーンがありました。ニェンの言う「テラにはない物質」というのはニトロセルロースそのものか、もしくは類似した物質なのかなと思います。

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 ニェンが言うと怪しいんですよね。テラには絶対に存在しないことを知っているような言いっぷりです。
 ちなみにテラの世界には花火があります。まさか源石爆弾を打ち上げているわけではないと思うので、黒色火薬はあるはずなんですよね。普通の爆竹は作れるけど、ロケット爆竹はニェンにしか作れないのかもしれません。

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https://youtu.be/UL7YkO72oZQ
https://youtu.be/UiXHpNHQ0Us


 色々書いてきましたが、個人的な結論としては②と③と④が複合的に混ざり合ったところに答えがあるのかなと今は思っています。テラの世界とは何なのか、源石とは何なのか。この辺りの謎が解き明かされていく中で、ニトロセルロースがない理由もおのずとわかってくるのではないでしょうか。
 最後はとりとめのない感じになってしまいましたが、ニトロセルロースがないという情報だけでもいろいろ考えられて面白いなあと思った次第でした。

感想

 ここからはただの感想です。
 ソシャゲのコラボは世界観の壁を越えてキャラが交流をするので、コメディ調の物語になることが多いです。しかしオペレーションオリジニウムダストはあくまでシリアスなアークナイツのイベントストーリーを踏襲しています。それを端的に表した出来事がミアロ先生の死です。
 レインボー小隊のキャラたちの目線を通してテラの世界を見ることが今回のコラボの主題になっていたかと思うのですが、身近な人が鉱石病で亡くなることを避けて通さないのですよね。亡くなった大切な人が源石の粉塵と化してしまうことを、「オペレーションオリジニウムダスト(源石粉塵)」は暗示していたのかもしれません。

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 ミアロ先生の死を目の当たりにして、鉱石病は単なる病ではないのだとAshは悟ります。それがまさにアークナイツの物語の根幹です。感染者にまつわる問題は単に病気の治療だけに留まらないので、ロドスは戦う必要があります。
 ミアロ先生の死をレンジャー、シュバルツ、リスカム、フランカは平然と受け止めていましたが、我々ドクターはそちら側に行ってはいけないような気がしました。あくまでAshたちと同じ目線で彼の死を悼み、若くして亡くなってしまうことを異常なものだと受け止めなくてはいけない、凄惨な死に慣れちゃいけないのではないかと思ったのです。
 Ashの苦悩は我々の苦悩でもあります。鉱石病という強大な敵を相手に、我々ドクターはどうするれば良いのでしょう。何が正しいのかさえ見失ってしまうような出来事が今後のストーリーでは起きるかもしれません。

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 Ashを慰めるためにTachankaが良いことを言ってくれています。「道徳心と良心は永遠に誤ることはない」。なんと力強い言葉でしょうか。人間の善性は信じるに値するものだと言ってくれているのですね。
 最後の信じられるものは人間のの道徳観。それを胸に刻んで、これからもテラの大地で起こる悲劇と対峙していこうと、そういう気持ちになりました。


 何かありましたらTwitterに連絡ください。
https://twitter.com/YT22_azurlane

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