3度目のサザンドラ

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【アークナイツ】メインストーリー6章まとめ・考察・感想【局部壊死】

ネタバレします。私個人の考察であり、間違っている箇所があるかもしれません。また、私は大陸版で先行して公開されている情報を追っていないので、その観点のコメントはありません。ご了承ください。

はじめに

 アークナイツの6章のストーリーにとても感動してしまいました。それと同時に、良く分からないところも多かったなと思いまして、自分のための整理も兼ねてこれを書きます。まずは事実関係を整理したあと、次章以降に繋がりそうな謎をピックアップし、最後に個人的な感想を書いておきます。

時系列整理

 6章の後半は時系列が乱れ、過去と現在を行ったり来たりするようになります。5章を飛び越して、4章のフロストノヴァ戦あたりの時系列と混ざります。

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 なぜこういう作りになっているのかというと、廃都市で遭遇した時点でロドスとスノーデビル隊の間に交流が生まれていたことを、6章の物語のスパイスとして効かせたかったからでしょう。廃都市でちょっと仲良くなっていたからこそ、スノーデビルの全滅はアーミヤやブレイズたちにとって辛い出来事になりましたし、一度は通じ合えたと思ったフロストノヴァと壮絶な命のやり取りをしなくてはいけない辛さが際立っています。
 5章はレユニオンから龍門を奪還するお話でした。時系列通り4章の中で穴に落ちるエピソードなどを描いてしまうと、唐突に生まれた謎の交友が宙ぶらりんになってしまったのだと思います。分かりづらい構成ではありますが、エモさが増す演出だったのではないでしょうか。

人間関係整理

①鼠王と黒装束特殊部隊

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 期間限定イベント「喧噪の掟」で登場したスラムの王ことリン・グレイ【鼠王】が6章でも物語に絡んできました。ウェイ長官と肩を並べ、龍門を作り上げた男です。
 ウェイは近衛局を動かせる立場にありますが、近衛局は龍門の顔であり、後ろ暗いことをさせるわけにはいきません。近衛局の代わりに汚れ仕事ができる戦力として、鼠王が保持している黒装束の特殊部隊を動かしていたようです。

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 「スラムの破壊」という言葉をチェンは使っていますが、建物の破壊がウェイの目的ではありません。スラムに住んでいる感染者の抹殺が実行されました。彼らがレユニオンの一員かどうかは一切関係なかったため、行政長官による罪なき一般市民の虐殺という恐ろしい所業が裏で行われていたわけです。亡骸の捨て場所が「排水システム」だったのでしょうね。シナリオ6-18でスワイヤーとチェンはそれを目撃し、激昂したチェンはそのままウェイ長官の執務室へと乗り込んでいます。
 鼠王はウェイの作戦に反対していたとのことです。「喧噪の掟」で語られた話を知ると、そりゃそうだと思うわけですよ。鼠王はおっかない化け物でしたが、スラムの住民たちのことを考えて行動をしているのが伝わってきましたから。

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 最終的に鼠王が折れたのか、娘であるユーシャが代わりにOKを出したのかはわかりませんでした。ユーシャが迷っている様子も描かれています。結局、ウェイの命令に従うことが、一番龍門のためになると考えたのでしょう。感染者がスラムにいるというだけで、いろいろな面で龍門の脅威になり得ると判断したのです。

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②ケルシーの研究所

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 シナリオ6-11(戦闘後)で語られたことをまとめています。ケルシー先生はレユニオンの面々とかなり近しい立場にいたことが明らかになりました。何を考えているのか全く分からないヒトですが、怪しいところが多すぎますね。怖い怖い。
 ケルシー先生がじきじきに動いて、自らの命を危険にさらしてまで、彼女は何をしたかったのでしょうか。元同僚の娘であるクラウンスレイヤーを説得したかったのかなというのが僕の推測です。レユニオンを離れて、別の道を生きてほしいと伝えたかったのかなと。

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③チェンとタルラ

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 憶測混じりなので間違っていたらすみません。6-18でチェンがウェイに詰め寄る場面で、思いがけない言葉が飛び出てきました。
 チェンが"私たちの"母と言っているのが爆弾発言で、「we」と一括りにしているのは話の流れ的にチェンとタルラのことではないかと思いました。彼女らの母親は同一人物なのでしょうか。さらに続けて、"タルラの父親は"と言っていてここは「we」ではないので、自分の父親とタルラの父親が違っているような口ぶりでした。
 5章ではこんな写真も出てきましたし、ウェイとフミヅキの夫妻もタルラと因縁があるようですし、チェン周辺の身の上話はだいぶ闇が深そうです。

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6章で生まれた謎

 次章以降へ繋がっていきそうな部分をピックアップしておきましょう。

タルラの変化

 ファウストもフロストノヴァも、昔のタルラはいまのような人間ではなかったということを口にしていました。

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 ロドスが倒すべき悪の中枢であるタルラもまた、ただの「悪」ではなさそうな雰囲気が出てきましたね。黒幕がいるのでしょうか。

赤装束の監察官

 最初から最後まで良く分からない存在だったのが、監察官と呼ばれる人物たち御一行様です。黒装束と似た格好なので紛らわしいのですが、全然関係ない組織のようです。

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 近衛局の兵士は面識があるようでした。

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 「龍門人に点数をつける」とチェンが言っているので、監察官たちは龍門の人ではなさそうな雰囲気です。

ナイン(Only-1)の寝返り

 チェンが抱えているスパイのナインが登場し、チェンのもとを離れてしまうという事件が起きました。

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 もともとは近衛局に在籍していた人物のようです。鉱石病に感染してしまい、その座を追われてしまったのでしょうか。

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 チェンのもとを離れようと思ったきっかけは、龍門の方針に絶望したからでしょうか。

感想

 ここからはただの感想です。

正義の反対は別の正義

 5章までは、レユニオンという組織はただの狂った暴徒の集まりであるという描かれ方をしてきました。上に立つ指揮官たちは頭が切れますが、血も涙もない残忍な殺人鬼という感じだったと思います。
 6章ではレユニオンたちの人間臭さが突然むわっと香ってきます。メフィストファウストの物語、フロストノヴァの物語、クラウンスレイヤーの物語、スノーデビルの物語、そしてその辺のモブ隊員ですら、自分の身の上話を始めます。

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 我々プレイヤー(ドクター)はいままで、ひたすらレユニオンの暴動を鎮めるために奔走してきました。ヤツらは純粋な悪だと捉え、それを疑うことはありませんでした。疑う要素がなかったのです。レユニオンたちの人間性が描かれることが少なかったからです。
 「正義のヒーローに対峙する敵役にも戦う理由がある」「正義の反対は悪ではなく別の正義」というフォーマットは、古今東西あらゆるエンターテイメントの基礎を成しています。いまさら取り立てて大騒ぎするものでもありません。ですが、このフォーマットに則っている物語なのかどうかがいままで明らかにされてこなかったと僕は思っています。
 レユニオン側の悲劇の物語が唐突に明るみに出てきたのが6章でした。0章~5章までと6章での緩急のつけ方が、非常に上手だと思いました。予期せぬ方向から急に殴られた感じです。
 ファウストとフロストノヴァが命を落とす前の、単なる死亡フラグである以上の役割がこのストーリーにはあったと思います。レユニオンにはレユニオンなりの戦う理由があることを我々プレイヤーは知ることとなりました。もう後戻りはできません。彼らを単なる暴徒として撃ち破っていく物語から、一歩前へと世界が進んでしまったのです。


私たち自身の「不寛容さ」

 アークナイツのストーリーの面白いところの1つに、我々プレイヤーはどちらかといえば非感染者の目線を持ってしまうことを挙げたいと思います。感染者は体表に鉱石が浮き出ており、特殊なアーツを使えるスーパーマン的な扱いなので、自己を同一視しにくいのです。
 6章では、レユニオンをレユニオンたらしめている大きな原因である、感染者迫害の子細が語られました。メフィストファウスト、フロストノヴァらが経験してきた絶望的な苦痛は、非感染者がもたらした差別によるものです。

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 コロナウイルスに感染したYoutuberが、あちこちを旅行して感染を広げてしまったというニュースが流れたとき、多くの人がそのYoutuberを非難しました。鉱石病がコロナのようにヒトからヒトへ移ると勘違いされているアークナイツの世界で、もし自分が1人の非感染者として暮らしていたとすると、鉱石病の感染者を差別的な目で見ないという自信が僕にはまったくありません。少なくとも一緒に暮らしたいとは思わないでしょう。
 アークナイツの物語は、我々プレイヤーの心に巣くう「不寛容さ」に訴えかけてきます。レユニオンを生み出してしまった原因は、感染者たちが苦しんでいる原因は、我々自身の心の中にもあるのではないかと。

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 6-6のメフィストファウストの過去話、6-13のフロストノヴァの過去話は、目をそむけたくなります。単にひどいお話というだけでなく、自分の中の「不寛容さ」が、加害者意識を持ってうずきだすからなのかなと思っています。

それでも前へ進んでいく

 6章でロドスは、ファウストとフロストノヴァというレユニオンの指揮官を2人も撃ち果たします。強敵を撃破し、相手の戦力を大きく削ることができたにも関わらず、ロドス側に喜びの色は一切ありません。
 ロドスの隊員たちが、倒した2人に感情移入をしているというのが理由の1つ。そしてもう1つの理由は、レユニオンという組織がどうとか、感染者と非感染者の争いがどうとか、そんな問題はロドスにとっては通過点でしかないことです。この大地に生きるすべての人のために為すべきことをするのが彼らの使命なのです。

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 ロドスが感染者側の立場にも、非感染者側の立場にも立たないと明言していることが、この物語のスケールの大きさを感じさせます。感染者側に立ってウルサス帝国を滅ぼすでもなく、非感染者側に立ってレユニオンを滅ぼすでもない、真の理想を追い求めるのがロドスという組織なのです。
 僕はどちらかと言えば非感染者の目線でこのゲームを見ていると書きましたが、逆のプレイヤーもいると思います。誰もが納得するゴールにたどり着くまで、この物語は走り続けてくれるのだろうと期待させてくれます。
 6章は鬱々として心が痛い描写が多かったです。それでも僕がアークナイツを面白いと感じ、今後の展開に大いに期待してしまうのは、アーミヤたちが完璧な形のゴールを思い描き、そこに向けて歩みを進めていく覚悟を持っているからなのかなと思いました。
 フロストノヴァはその姿勢に共感してくれたのかなと思っています。

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追記
 2020/08/26開催の「午後の逸話」イベントの中で、ドーベルマン教官が同じようなことを語っていたので嬉しくなりました。アーミヤやケルシー先生が"正しい命令"を出すから、戦場のオペレーターたちは迷わずに戦えるんですよね。それを下画像のような言葉で詩的に表現していました。単なる「願い」に終わらず、現実のものとなるまで頑張ってほしいものです。
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 メインストーリー7章の考察はこちらです。
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 闇夜に生きるについても同様に書きました。
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 「ウォルモンドの薄暮」についても同様に書きました。
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 「ウルサスの子供たち」についても同様に書きました。
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