3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - マリア・ニアール編

 2021年4月8日開始のイベント「マリア・ニアール」のストーリーを考察する記事です。

時系列と注目すべき空白期間

 時系列を整理してみると、2つの空白期間に目が向きます。
 1つ目はマーガレットがメジャーで優勝してからマリア・ニアールイベントが始まるまでの6年間です。マーガレットは感染者であることを隠ぺいした罪で国を追放されたと言われていますが、ここで何が起きたのかはイベント中でいろいろと憶測が飛び交っていました。経緯は明らかになりませんでしたが、マーガレットがロドスにいることは我々から見ても確かな事実なので、気になる謎として心に残り続けます。
 2つ目はマリア・ニアールイベントが終了したタイミングから、登場人物たちがオペレーターとしてロドスに着任するまでに何があったのかということです。登場人物たちというのはマリア、ゾフィア、プラチナお嬢、グラベルですね。彼女たちがロドスに来ることになるというのは我々は最初から知っているのですが、そこに至る過程がまだわからないという、こちらも面白い構造になっています。
 この2点の空白期間が明示された大きな謎です。これに引き付けられて、物語の謎へ迫る旅が始まります。

カジミエーシュの周辺国との関係

 時系列の次にチェックしておくべきなのは地理関係です。
 カジミエーシュは強大なウルサスという国に多くの国境線を接しています。ウルサスは非常に強い軍隊を持ち、隙あらば侵略戦争をしかけて領土を拡大してきました。この位置にあるカジミエーシュがターゲットにならないわけがありません。
 ウルサスに対抗する手段としてカジミエーシュは騎士が国を守るようになります。騎士という強力な武力を盾に、ウルサスから領土を守り続けることに成功しています。当然、国内で騎士はヒーローです。騎士の扱いがどのようになっているかも重要なポイントなので以降で見ていきます。
 もう1つ絡んでくるのがリターニアという国です。こちらもウルサスに接する国で、カジミエーシュとも隣接しています。リターニアは古くからアーツの研究が盛んで、面妖なアーツを扱う術師がいます。彼らの力でリターニアは国を守ります。
 イベント中で語られた昔話ではウルサスとリターニアが組んでカジミエーシュを攻めたこともあったようで、この3国の関係はその時々によって変動しているものと思われます。
 このイベントの時点ではカジミエーシュとリターニアの関係は良好のようです。


カジミエーシュ国内の権力争い

 カジミエーシュの国土を守る騎士たちは国の要です。行政を司る監査会政府の直下に大騎士長がいて、彼が国のために戦う征戦騎士を束ねています。征戦騎士はある種の特権階級で、働きによって大きな報酬を得ていました。
 国民議会は立法、審判堂は司法を司っているものと考えられます。

 騎士が自らの武芸の腕を磨く場として騎士競技が古くから行われてきました。この騎士競技が見世物としての側面を持ち始めたとき、騎士競技をメインの活躍の場とする競技騎士が現れ始めました。
 騎士階級の認証を行う騎士協会という組織が現在のカジミエーシュにあります。これがいつからあるのかはわかりませんが、征戦騎士と競技騎士たちを統率する組織として力を持っています。

 戦うことしか能がない征戦騎士に莫大な報酬が与えられたところで、管理は上手にはいきません。お金を管理していたのは主に征戦騎士の従者たちです。お金のやりくりに長けた従者の一部はビジネスに成功し、やがて現在のミェシュコグループやローズ新聞のような大企業を創立するに至ります。(この変革の経緯はブレミシャインのオペレータープロファイルに詳しく記載があります)

 騎士競技が一般市民へと浸透すると、一般市民からも競技騎士になれる道が切り開かれていきます。憧れの騎士階級への成り上がりが可能になりました。
 大企業群はいつしか商業連合を結成します。興行としてポテンシャルを持った騎士競技にスポンサードして、広告の場として活用していきます。競技騎士たちや騎士協会にお金や物品を提供し、彼らを裏から支配していきます。監査会政府にも企業献金という形でお金を提供することで、実質的にカジミエーシュの政財界を支配する一大権力へと成長していきました。
 しかし武力という点では騎士に勝るものはありませんでした。いざ力比べになればすべて騎士たちの思い通りです。そんな状況を打破したいと思った何者かが、無冑盟という組織を作り上げます。カジミエーシュで唯一、騎士と対等に渡り合える武力組織で、構成員はそのまま騎士殺しと呼ばれます。
 イベント中では無冑盟は商業連合の下にあって、仕事を請け負っているような描かれ方をしていました。商業連合が無冑盟を作ったのでしょうか。無冑盟に自体に意志や野望はあるのでしょうか。
 この関係図整理でのポイントは、騎士階級の立場が徐々に悪くなっていってしまっているということです。騎士の誇りは過ぎ去った栄光なのか、それともカジミエーシュに輝き続ける精神的支柱なのか、人々の価値観がまさに揺らいでいる最中と言えましょう。

ニアール家の人々

 騎士の立ち位置が整理できたところで、イベントの主役であるニアール家の物語を見ていきます。
 二アール家は昔から高名な征戦騎士を多く輩出し、カジミエーシュのために尽力した誉れで確固たる地位を築いてきました。

 6年前にマーガレットがメジャーで優勝し、騎士競技界でも存在感を放っていましたが、マーガレットが感染を隠ぺいした罪で追放されて風向きが変わってしまいます。
 主席騎士を失ったニアール家は、本来ならムリナールが騎士協会と関りを持たねばならない局面でしたが、ムリナールはそっぽを向いてしまいます。5年以内に主席騎士を排出しないと貴族騎士としての地位をはく奪されてしまうという状態にまで追い詰められました。マリアが騎士競技に参加したのは、二アール家が地位を守り続けるためにはもう手段が残されていなかったからですね。
 マリアはゾフィアをおばさんと呼びます。マーガレットがゾフィアとの関係性を「おばのようなもの」と説明したからだと言われていますが、ゾフィアは二アール家の分家の血筋なので、文字通りの「おば」ではありません。遠い血縁関係はあって、おそらく世代的には両親の代に当たるということで、「おば」だとマリアに説明したのでしょう。
 マーガレットがなぜカジミエーシュを追放されてしまったかは大きな謎です。そこに絡むのは祖父の存在が大きいでしょう。祖父はきっとマーガレットのためを想った行動をしたでしょうから、マーガレットの追放に同意していたのかどうかも含め、今後の情報が待たれるところです。
 また、マリアたちのご両親の消息はよくわかりませんが、物語に出てこなかったところを見るとすでに亡くなっている可能性が高そうです。

歴代メジャー優勝者

 マーガレットの追放の話をする上ではメジャーの歴代優勝者を見ていくと問題がより鮮明になります。
 3年前の大会で優勝した血騎士は感染者でした。この人物が優勝したことにより、感染者が騎士を名乗ることと感染者の騎士競技への参加が公に認められました。つまり、マーガレットが「感染者だから追放されてしまった」とするならば、その追放は取り消しになっていないとおかしいのですね。「隠ぺいしたこと」に罪があるならまた別ですが。


 マーガレットのオペレータープロファイルには、感染者と書かれているものの、詳細な医療データはシャイニングが管理しているため見ることができません。チェンもそうですが、医療データが隠されるパターンは非常に怪しく見えるのですよね。

 15年前、12年前、9年前の大会で優勝したのが黒騎士です。リターニア出身で、最初はアーツの使い方すらわかっていなかったと言われていますが、最後には三連覇するほどの圧倒的な実力を持ちました。
 現在はイェラグの大物財閥の下で働いていると言われています。そう聞くとシルバーアッシュ家しか思い浮かびませんが、いままで明らかになっている情報で黒騎士に相当しそうな情報は出てきていないため、別の財閥の可能性もあります。
 

無冑盟の組織構造

 騎士の話は一段落したので無冑盟の話に移ります。なんといっても特筆すべきはその組織構造です。

 ここでフォーが言う「三二一の逆ピラミッド」とは何なのだろうということに注目してみると、



 プラチナお嬢が「あの二人」「上の三人」と言ったり、チャルニーが「ラズライトのお二方」という意味が分かってきます。上図で示したように、無冑盟は上からクロガネが3人、ラズライトが2人、プラチナが1人という逆ピラミッド型の指揮系統を持っているということだと推測できます。
 めちゃくちゃ歪な組織ですよね。なんでこういう組織構造になっているのか、トップがいるのかいないのか、謎だらけです。
 イベントの中では、マーガレットをラズライトの2人が見張り、ムリナールをプラチナお嬢が見張るという任務を商業連合から請け負っていましたが、マーガレットは見事スタジアムに突入してマリアを救ってしまったため、任務は失敗に終わりました。
 そのあとすぐに別の任務が言い渡され、これがイベントの後ろの空白期間の謎に繋がってきます。
 ラズライトの2人が受けた任務は「黄昏の森の辺境を越えた一部の征戦騎士を追跡する」ことです。マーガレットが裏で手を引いていると言われていました。国境を越えて隣国へ逃亡したということでしょうか。
 一方プラチナお嬢はマーガレットを見張るためにロドスに来ることになったのではないかと思いますが、その過程は見えなかったため、別の理由が含まれているのかもしれません。

フォーとコーヴァルの仇

 引き続き無冑盟が絡むお話として、老人たちの昔話を紐解きます。
 老騎士ことフォーは、フォーゲルヴァイデという名前です。元二級の征戦騎士で、戦争で活躍していたものと思われます。旧名であるバトバヤルの発音にこだわっていたこと、「血統の宿命により」と言われていたことから、特別な家系の出身なのかなという匂いがします。
 老職人ことコーヴァルは元々フォーの従者でした。彼の師匠は銀槍のペガサスも敬うということですごい職人の教えを受けていたようです。何かトラウマがあって二度と騎士の装備には手を付けなくなりました。
 そのトラウマの正体はおそらくお墓参りにいった「隊長」と呼ぶ人物の死です。フォーが所属していた征戦騎士隊の隊長だったのかなと考えるのが自然ですが、これ以上情報はありません。
 この征戦騎士隊隊長はキレイな女性で、彼女が亡くなってしまったがためにフォーとコーヴァルは生涯独身を貫き通していると言われています。
 征戦騎士隊隊長の仇は無冑盟の騎士殺しです。フォーたちはプラチナお嬢に敵意を向けていました。
 プラチナお嬢の側にも敵意の原因に心当たりがあります。プラチナお嬢の前任のプラチナはターゲットに恋をしてしまい、守るために他の無冑盟メンバーに殺されたと言われていました。

 前任のプラチナは「彼」と呼ばれているので男性です。

 そしてプラチナの職位について最初に任務でキレイな女の人の抹殺を請け負ったところ、女のために死んでしまったと言っています。情報が繋がりますね。

 前任のプラチナと、征戦騎士隊隊長はまとめて他の無冑盟メンバーに殺されてしまいました。コーヴァルはプラチナお嬢の「上」に恨みがあると言っていますから、手を下したのは現ラズライトかクロガネの誰かだと推測できます。

 ターゲットに恋をしてしまった前任プラチナが死に際に指名した後任が、ドクターに恋をするような乙女のプラチナお嬢であるということは、単なる偶然なのでしょうか。前任者の意思なのでしょうか。

感染者騎士を追う無冑盟

 無冑盟の動きとしてもう1つ見逃せないのが焔尾騎士と灰毫騎士を巡る戦いです。
 焔尾騎士と灰毫騎士は競技で稼いだお金を使って、虐げられている感染者たちを引き取ります。これ自体は悪い行為には見えないのですが、カジミエーシュの権力者の誰かの逆鱗に触れてしまったらしく、無冑盟に襲われてしまいます。
 フォーたちに救われて、感染者たちは下水道に隠れています。焔尾騎士と灰毫騎士は騎士の身分を剝奪されてしまいました。

 焔尾騎士たちが取り締まりを受けた公的な建前として、以前感染者が引き起こした「四都市大分断」の悲劇をメディアは取り上げていました。

 メジャーが開催されている間、カジミエーシュの主要な4つの移動都市が連結し、「カヴァレリエルキ」と呼ばれる1つの大きな移動都市が形成されます。感染者が引き起こした問題により、普段はカヴァレリエルキが4つに分かれているということでしょうか。
 焔尾騎士たちは無冑盟を敵視していますが、彼女たちの真の狙いはなんでしょうか?


 感染者が騎士を名乗ることは公に認められています。なのになぜ焔尾騎士たちを排除する圧力があるのでしょうか。無冑盟に命令を出しているのは誰でしょうか。この辺はさらに未来への伏線として残されたような気がしました。
 またレッドパイン騎士団という名前も挙がっていました。感染者騎士団で、無冑盟に公に反抗しようとしているとのことです。
 カジミエーシュの地でも、感染者vs非感染者の戦いが起こり始めているようです。


ロドスと大騎士長

 ロドスは騎士の感染者問題に目をつけて、カジミエーシュに干渉をしようと試みているようです。
 ロドスがコンタクトをとっているのは大騎士長です。なかなかの権力者に食い込みましたね。マーガレットを救ったことも恩義になりますから、ロドスの動きはしたたかです。
 グラベルと大騎士長の会話では、大旦那という人物名が上がります。いったいどのような人物なのでしょうか。元征戦騎士で現在は監査会政府に属しているようでした。マリアの身を案じています。
 大騎士長はロドスへ責任者を派遣すると言っているため、これがおそらくグラベルなのだと思われます。グラベルは最も卑しい身分から努力を重ねて四級騎士の立場まで上り詰めた人物です。大騎士長と直で話せるということは征戦騎士の中で認められてきたのでしょう。
 グラベルのプロファイルには、彼女が本名を伝えることは特別な意味、自分を余すことなく捧げる意味を持つと書かれています。大騎士長はグラベルのことをセノミーと呼びますから、大騎士長は彼女にとってかなり特別な存在であるようです。

 カジミエーシュの内政や感染者問題にロドスがどのように巻き込まれていくのか、今後のイベントを待ちたいと思います。

感想

 ここからはただの感想です。
 マリア・ニアールイベントの物語のメインラインは非常にわかりやすく、アドレナリンの出るような展開でした。健気に頑張るマリアのもとにマーガレットが現れたときは興奮しましたね。
 ストーリーラインは非常にシンプルなのですが、膨大なテキスト量を使って、騎士を巡るカジミエーシュの世界観設定が描かれます。ここの作りこみが非常に素晴らしく、仮想のお話でありながら、あの土地に生きる人たちの息遣いが目に見えるかのようなリアリティがありました。
 騎士競技の商業化という問題は、オリンピックやワールドカップの開催に当たっていろいろなカネが動く現実世界にも繋がってくるテーマでした。騎士というファンタジックな存在を主役にしておきながら、すごく現実的な課題を考えさせられる内容になっていました。
 一方でかつて国を守った英雄である騎士たちの立場が、資本主義のうねりに流されて変容していく様子も考えさせられるものがありました。
 代弁者チャルニーがここで語ったことは、口の達者なペテン師の虚言のようにも見えますが、イベントの裏テーマを示しているようにも見えます。

 国のために命を賭した騎士たちの精神は、現代人に求められているわけではない、というのは正鵠を射た主張なのではと思います。観客たちはエンターテインメントを求めているだけですからね。
 大衆の価値観の変化に伴い、社会や組織の中で世代交代がどのように実現されていくべきか、という難しい課題を示しているようにも見えました。


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