3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アズレン】イベントストーリー考察:讃える復興の迷路編【アズールレーン】

 2021年4月22日スタートの期間限定イベント「讃える復興の迷路」のストーリーを考察する記事です。セイレーン作戦以降の時間軸を見据えた、新たなる陰謀の布石が語られた物語でした。

1. 時系列整理

1-1. 全体の流れ

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 イベントの冒頭で時系列を語ってくれたので非常にわかりやすかったです。

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 「現在指揮官が対セイレーンの反抗作戦の陣頭指揮を執っている」ということで、セイレーン作戦と並行して進んでいる時系列なのだと分かります。

1-2. サディア関連の流れ

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 サディアに関連する出来事をピックアップしてみるとこんな感じになると思います。
 1-1.では「讃える復興の迷路」とセイレーン作戦が並行していると書きましたが、「讃える復興の迷路」の時点では共同作戦のための連絡会合が終了しているというのが大きなポイントです。この連絡会合はいがみ合っていた各陣営が手を取り合ったという歴史の転換点です。
 いままでのイベントではセイレーン作戦に至る流れを遡ってみていましたが、連絡会合より後ろの時間軸、つまりセイレーン作戦以降の展開へと話が進んできました。

2. 地理情報整理

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 今回のイベントは実在する地名がたくさん出てくるお話だったので、地図を見ながら流れを追っていくことができます。
 イスタンブールを出発したサディア元老院の特別船団が、エーゲ海で迷路海域に囚われてしまい、タラントからリットリオ隊とヴェネト隊が出撃するというのが本筋でした。
 イベントのラストではローマ(帝都)がセイレーンに襲撃されてしまうというエピソードが入ります。ローマ自体は海に面しているわけではないのですが、比較的海に近いところにあるため、セイレーンに襲われてしまうとサディアのお偉い様方がピンチです。
 ローマの近くにあるチビタベッキアという軍港にいたジュリオ・チェザーレとポーラとフリードリヒが出撃するぞというところでイベントストーリーは終了でした。
 イラストリアスリシュリューの会話にあったように、マルタ島をロイヤルが占領しているというのもポイントです。これは史実通りで、この島をロイヤルが抑えていることで、鉄血、サディア、ヴィシアに対して地中海側から強烈なにらみを利かせていることになります。ローマを支援するためにマルタ島の艦隊を出撃させるかどうか、最後にイラストリアスは迷っていましたね。


3. コンスタンティノープルの歴史

 イベントの本筋の流れを追う上でカギを握るのが、サディア元老院コンスタンティノープルから何を輸送しようとしたかということです。それを考えるには、サディアにとってコンスタンティノープルがどういう都市であるかを理解する必要がありそうです。

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 コンスタンティノープルを支配していた国家をざっと振り返ってみます。

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 体制や為政者は移り変わっていったとはいえ、実に1000年近くもの間、ローマ帝国支配下にあったことがわかります。この長い長い歴史が、サディア帝国のオリジン(起源)だとリットリオは言っていました。
 悠久の歴史の中で受け継がれてきた芸術品を、サディア元老院は本土へと移管しようとしていました。歴史的価値や芸術的価値が非常に高い宝物なのだと思います。何をしようとしているのでしょうね。
 我々がアズールレーンのゲーム内ストーリーで見ている時間軸は、第一次世界大戦が起きたあとです。第一次世界大戦を契機としてオスマン帝国は滅亡し、トルコ共和国にとって代わられます。アズールレーンの世界でもトルコになっているのではないかなと思うのですが、海軍戦力が乏しい国はストーリーに出てこないので、これ以上のことはわかりません。


4. ギリシア神話ローマ神話

 クレタ島の迷宮の伝説とセイレーンの伝説はどちらもサディアにゆかりのあるものだと言われていました。

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 現実だとこれらはギリシア神話のエピソードに当たります。しかしトルコと同様、アズールレーンの世界にはギリシアも出てきません。アズールレーンはどういう解釈をしているのかというと、これらがギリシア神話ではなくローマ神話のエピソードだと捉えているように思いました。
 ローマ神話にはローマ建国の物語と、ギリシア神話を翻訳してローマ風に解釈したものの2つがあると言われています。なので元をたどればギリシア神話のエピソードが元ネタになっていると考えられます。

4-1. 迷宮とミノタウロス

 ギリシア神話ミノタウロスの物語の概要は下記のようなものです。

 クレタ島の王のミノスは、自分が正当な王であることの証として、海神ポセイドンに雄牛をもらいます。ミノスはポセイドンのために雄牛を生贄にすると約束していたのですが、その雄牛が美しかったのでその約束を破ってしまいます。
 当然ポセイドンは怒ります。ミノスの妻のパシパエに「雄牛に性的な魅力を感じる呪い」をかけてしまい、半人半牛のミノタウロスが誕生します。ミノタウロスは人肉を食らう恐ろしい怪物になってしまい、ミノス王は迷宮を建造し、ミノタウロスを幽閉します。
 ミノタウロスには生贄として若者が捧げられていたのですが、あるとき生贄の1人である英雄テセウスミノタウロス討伐に名乗りをあげます。脱出不可能だと言われていた迷宮から無事戻ってこれるようにと、テセウスはミノス王の娘であるアリアドネに糸玉をもらいます。その糸玉を入り口に結び付けて迷宮に突入し、ミノタウロスを討伐後、糸玉をたぐって入り口に戻ってくることができました。

 クレタ島付近に迷宮が出現して奥に怪物がいたというのは同じですね。また、糸玉の話がフレーバーとして使われていました。KAN-SENたちはけっこう博識ですよね。

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4-2. セイレーンの呼称

 ギリシア神話のセイレーンは、美しい歌で船乗りを誘惑して、船を難破させてしまう半鳥半人の怪物です。ナポリに近いイタリアの西岸にいるとされていました。

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 セイレーンはアンチエックスという名称で生み出された機械生命体で、時空を超越してこの世界に現れて、セイレーンと呼ばれるようになりました。仮にアンチエックスのことをセイレーンと呼ぶようになったきっかけがサディアにあるとしたら、重大な事実に繋がりそうです。セイレーンが人類に最初に接触したのはサディアだったとか、セイレーンの研究の最初の一歩がサディアで行われたとか、そういう可能性が出てくるのですね。
 サディアは現在、レッドアクシズに属する小国という立ち位置です。大きな艦隊戦力を持つ重桜と、精力的にセイレーン研究を行って技術力で他を圧倒する鉄血の後塵を拝す存在です。しかしセイレーンのルーツに深く絡んでいるのだとしたら、1つ強力な武器を得ることになります。
 似た立場なのが北方連合ですね。王冠というセイレーンの拠点や、「暁射す氷華の嵐」に出てきた秘密海域の存在などで、セイレーンのルーツに関する情報に肉薄している陣営です。戦力では4大陣営に劣りますが、情報戦という意味では一歩リードしているでしょう。
 今回のイベントではサディアという国家も、ストーリー上の大きなカギを握る存在なのだよということが明らかになったと言えると思います。続報に期待です。

5. サディアのお国事情

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 サディアという国の中ではKAN-SENたちの扱いがあまり良くないなと思いました。KAN-SENのリーダー(総旗艦)であるヴィットリオ・ヴェネトはサディア元老院にいろいろと意見を申せる立場のようですが、元老院の回答はKAN-SENたちを満足させるものではありません。
 前回のサディアイベント「悲嘆せし焔海の詩」のときにも言われていましたが、史実同様サディアは現存艦隊主義をとっています。

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 国内に資材と燃料が十分にないため、艦隊戦力は何かあったときのための備えとして国内に配備しておき、戦力として他国に睨みを利かせることはすれど、能動的に動くことはしないという戦略です。
 今回のイベントでも、KAN-SENたちの不満は消えていないようです。

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 コンスタンティノープルからの特別船団をこのタイミングで動かしていることや、船団失踪を丸一日KAN-SENたちに隠したことも含め、KAN-SENたちは元老院を相当怪しんでいます。
 これは逆に言うと、元老院側がKAN-SENたちをあまり信用していなくて、情報を共有していないということでもあります。「地中海でのセイレーンの活動が活発になって元老院がピリピリしている」という記述がありましたが、元老院としてはKAN-SENたちに頼らざるをえない状況が不快なのではないかと思います。
 元老院がKAN-SENたちを恐れる気持ちもちょっとは理解できますよね。人間ごとき副砲の一撃で粉々に消し飛ばすことができる兵器が、心を持ってヒトとして生きているわけです。怒らせたら一貫の終わりです。与える燃料は最低限にケチっておきたくもなるものです。
 KAN-SEN側はそういうふうに腫れ物扱いされていることを自覚し、自分たちの存在意義をしっかり考えているように見えました。自分たちは兵器なだけではなくてヒトとして、そしてサディアの一員としても活躍していきたいということをリットリオやヴェネトは繰り返し口にします。健気ですよね。

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 どの国でも上層部は怪しい動きをしていますが、サディアは特にKAN-SENたちとの亀裂が大きいように思います。

6. テスターの狙い

 ヴェネトたちは見事迷宮を攻略して、船団を取り返します。船団をわざわざ動かそうとした元老院も謎ですが、それを襲ったセイレーンの狙いも謎です。
 迷宮にいたテスターは船団が運ぶ芸術品に関して一切コメントをしません。中身が無事だったことも考えると、本当に興味がなかったのではないかと思います。

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 今回もテスターはその名前の通り、サディアKAN-SENたちのテストをしていたにすぎないということだったのかなと自分は考えています。
 「閉鎖環境での不完全の再現」と言っているのが気になります。閉鎖環境とは迷宮の狭い通路のことでしょう。「再現」という言葉を使っているのと、迷宮に駒として現れたのがイラストリアス、ウォースパイト、フォーミダブルだったことを考えると、「悲嘆せし焔海の詩」と同様にタラント空襲とマタパン岬沖海戦の再現をしようとしていたのでしょうか。
 ただ、再現をしようとしている割には駒が「意図」を持っていないと指摘されていたのは不思議なところです。なぜ弱い駒を配備してテストをしようとしたのでしょうか。

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 また、サディアの意匠を取り込んだ量産型セイレーンが出てきますが、結局これも芸術品に関わりがあったわけではなく、目立つ色で引きつけてヴェネトたちを迷わせて、迷路の中でより多くの駒と戦わせようとするテスターの策略だったのかなと思います。
 この量産型は名前に「-R」とついていました。ラビリンスは「Labyrinth」なのでRではありません。どういう意味だったのでしょうか。

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 時系列的にテスターは「刹那觀る胡蝶の夢」で信濃のテストをした後に、地中海にやってきたようです。信濃の能力に関してはテスターは相当驚いた様子だったので、印象深かったのではないかと思います。

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 信濃が見せてくれたのと同じぐらいの驚きを期待したけれど、今のサディア陣営にはそういうKAN-SENは見つからなかったので、適当に新しい兵器のテストをしてさっさと切り上げてしまったように見えました。


7. 北方連合とソユーズ

 テスターと同様に狙いが読めないのがソユーズ率いる北方連合です。

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 ヴェネトはストレミテルヌイをソユーズの「お付きの子」と認識しています。タラントでの連絡会合にソユーズが現れたときに、ストレミテルヌイが一緒に来ていたので、ヴェネトはそう認識していたのではないかと思います。
 連絡会合が終わったあとの、ソユーズとストレミテルヌイの動きが謎です。ストレミテルヌイはソユーズから任された「外交任務」でコンスタンティノープルからの特別船団と一緒にいたと言っていました。これは船団を護衛する任務だったのか、別の意図があったのかわかりません。

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 また、ストレミテルヌイはクーちゃんを経由して任務を受け取ったようですが、なぜ一緒にいたソユーズから直接任務を受け取らなかったのか謎です。
 ストレミテルヌイはコンスタンティノープルに移動したあとで任務を受け取ったのかもしれませんが、だとしたらなぜタラントから1人で移動したのだろうという疑問は残ります。クーちゃんと会話していたときの背景がタラントのものとは異なっているので、2人はコンスタンティノープルで会っていた可能性の方が高そうだなとは思っています。
 ソユーズは特別船団が何を運ぶか知っていたということでしょうか。それとも中身に興味はないけどセイレーンに襲われることを知っていて、サディアに恩を売るために護衛をさせたのでしょうか。ソユーズがどこまで知っているのか気になります。

8. 鉄血とフリードリヒ

 ソユーズ以上に不気味なのがフリードリヒの狙いです。ヴェネトはフリードリヒのことをビスマルクの優秀な片腕と言っていますが、ビスマルクはフリードリヒのことを制御できているのでしょうか…。

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 ただ、ヴェネトも何も知らずに放置しているわけではないようでした。フリードリヒがサディアの上層部を探るのは分かっていたことと言っています。

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 イベント冒頭のマエストラーレの報告の中で、「サディアは上層部の指導でレッドアクシズに留まっている」という記述があります。フリードリヒがサディア上層部を探る意図は、今後もレッドアクシズに留まるつもりがあるかどうか、仲間としてカウントできるかどうかを見定めているのではないでしょうか。ヴェネト自身もサディアの上層部を怪しんでいるぐらいなので、探られたところで気にしないのでしょう。
 フリードリヒが上層部を探ろうとしていることよりも、サディアのKAN-SENたちが切実に気になる話題は、鉄血とセイレーンの関係性の方でしょう。

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 セイレーンの鹵獲以上のことをしているのではないかと疑っています。言葉には出しませんでしたが、鉄血とセイレーンは手を組んでいるんじゃないかという可能性まで疑っているような気がしました。
 ペーター・シュトラッサーの存在にも言及していましたし、鉄血の戦力の充実度合が気になって仕方がないでしょう。カンレキの存在しないKAN-SEN、特別計画艦、そしてセイレーン技術の応用…。サディアは鉄血をいよいよ裏切れなくなってきたのではないでしょうか。
 そしてイベントのラストは、帝都ローマをセイレーンが襲撃するシーンで終わります。"たまたま"近くにいたフリードリヒが一緒に出撃してくれるわけですが、これは本当に偶然だったのでしょうか。セイレーンを裏から操ったりしてたのではと疑いたくなります。
 フリードリがローマを救うというのは、鉄血に恩を売られてしまった形にならないでしょうか。また帝都ローマにはサディアのお偉いさんがたくさんいます。彼らの目の前でフリードリはセイレーンを粉砕するというデモンストレーションを行うわけですから、それが鉄血からサディアに対する無言の圧力になりそうだなと思いました。

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 サディアのトップであるヴェネトは少しのんびりしたところがあるリーダーなのだということがこのイベントの中で描かれました。一方でソユーズやフリードリヒは何を考えているのか読めない人物であるという対比が鮮やかに描かれたイベントだったなと思いました。

9. 終わりに

 時系列整理のところでも書きましたが、今回はセイレーン作戦以後の物語が見え始めるイベントでした。未来への布石として、ソユーズとフリードリヒという2陣営のトップの不気味な動きが描かれたイベントとなりました。
 これを書いている時点でセイレーン作戦はChapter1から4までの物語が実装されています。Chapter5以降が実装されるのか、それともしばらくはイベントで時系列を繋いでいくかは分かりませんが、物語がまた前へ前へと動き出すのかなという予感を感じます。
 セイレーン作戦のために各陣営が協力協定を結んだ時点で、アズールレーンの世界は史実の第二次世界大戦とは違ったルートへと分岐をしました。この先の展開は全く読めません。
 一方で、全体の時系列を眺めてみると、セイレーン作戦の前の時間軸にもまだ空白期間があると自分は思っています。渦中の人物であるフリードリヒは突然現れて、どの陣営にも存在が知られた状態になっていました。運営さんはこの空白期間を埋める気はあるのでしょうか。今後の展開はわからないことだらけでワクワクしますね。

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