3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - 吾れ先導者たらん 編

 2022年9月16日開始のイベント「吾れ先導者たらん」のストーリーを整理します。

1. 前提情報

1-1. ラテラーノという国家

 イベントの舞台ラテラーノについて。
 ラテラーノという国は大昔からテラに存在し、独自の地位を築いてきました。かつてテラ全土を巻き込んだ大戦が起きた際、ラテラーノは各国の情報連携のために奔走し、永世中立国として信用を築きました。
 その統治体制はというと、宗教指導者である教皇が政治的な統治者でもあるという、典型的な宗教国家の形を採っています。教皇は宗教的な権限が特に強く、様々な特権を持っています。
 教皇を補佐する教皇庁が実務を取り仕切ります。第一庁、第五庁、第七庁という下部組織の名が出てきたため、業務範囲を数字で振り分けているのかなと考えられます。
 枢機卿ヴェルリヴは教皇庁の人間です。現実のキリスト教では120人の枢機卿教皇を補佐する最高顧問という扱いになっています。ラテラーノでは枢機卿はヴェルリヴだけっぽいので、実質ナンバー2と捉えて良さそうです。教皇と2人きりで執務に当たる場面も何回か出てきました。
 教皇庁の下にさらにいくつかの組織があります。
 レガトゥスは現教皇エヴァンジェリスタⅪ世が30年前に設立した組織です。ラテラーノはもともとテラの外交分野で異彩を放っていますが、有事のときだけではなく、日ごろから情報の流れをスムーズにするために活動する特殊なトランスポーター組織を作り、影響力を増そうという野心がありました。30年という長い時間をかけてレガトゥスはテラの各国と良好な関係を築き、今回のイベントの舞台である万国サミットの開催へと漕ぎつけました。
 公証人役場はラテラーノ出身のオペレーターがたまに口にするお馴染みの組織です。すべてのラテラーノ人は税金を納めることでラテラーノ公民として行政サービスを受けることができます。公証人役場は行政サービスを提供するお役所であり、お役人たちは執行人と呼ばれます。ラテラーノの外に出ても納税の義務と恩恵が発生し続けるというのが特徴的で、ロドス号に乗っているエクシアやアンブリエルといったラテラーノ公民権を持つオペレーターたちは、引き続きラテラーノへ納税をしています。
 銃騎士隊は分厚い鎧に身を包んだサンクタの兵士で構成されています。ラテラーノの兵力の中では戦力が高い方と思われます。サンクタ以外の種族が銃騎士になれたことはありません。
 護衛隊という戦力もあります。プリュムを求人で引き当てたときに「ラテラーノ護衛隊に所属していた」とあいさつをするので、こちらの方が聞きなじみがあります。フィアメッタとパティアが以前在籍していました。レミュアンもここの一員だったと言っていたので、リーベリのみで構成されているというわけではなさそうです。


1-2. サンクタを紐解くキーワード

 サンクタという種族は他と違う特徴を持っているので、キーワードで解説してきます。

①光輪
 頭の上の天使の輪です。初めて言葉を発した瞬間に現れます。エクシアは「ねぇね」だったと「喧噪の掟」で言われていました。夜にも本が読めるぐらい眩しく、帽子を被ると乗り物酔いのように気分が悪くなるらしいです。人によって形が微妙に違います。

②光翼
 光輪と同じタイミングで出現します。こちらも人によって形は様々。実体があるのかないのかはよくわかりません。

③守護銃
 12歳になったら持つことを許される武器。ただし、厳正な審査ののち、煩雑な儀式や処理があります。守護銃は遺跡から発掘された遺物であるという噂もあります。フィアメッタも使おうと思えば使えると言っていたので、他の種族の手では撃てないということはありません。

④共感
 目の前にいるサンクタの気持ちがぼんやりわかる特殊能力。サンクタ同士が光輪を通じて行うらしいです。共感指数という数値で測定できます。

⑤葬儀
 普段は陽気なサンクタ人ですが、お葬式のあるひとときを迎えるとあまりの悲痛さに視線を動かすこともできなくなると言われていました。遺体から光輪が消えるときなのか、参列者同士で共感の連鎖が起きてしまって止まらなくなるのか、きっかけはよくわかりません。

⑥戒律
 すべてのサンクタ人が守るべきルールのこと。宗教的なものではありますが、信心深いかどうかに関わらず、これを破ると酷い目に遭います。

⑦堕天
 サンクタが特定の戒律を破ると受ける罰のこと。いまのところ、守護銃で他のサンクタを撃つというのが堕天に相当する罪だと判明しています。堕天したサンクタは堕天使と呼ばれ、サンクタではなくなり、共感の能力を失います。

⑧vsサルカズ
 サンクタとサルカズは数千年前から戦い続けており、いまも激しく憎み合っています。戦いが始まった経緯は記録が残っておらず、誰にも理由はわかりません。堕天したモスティマには黒い角が生えてきているため、サンクタとサルカズは裏返しの存在で、サンクタが堕天するとサルカズになるのかもしれません。


1-3. サンクタと戒律と「アレ」

 サンクタの戒律とはなんなのか。
 ラテラーノには法が存在し、歴代の教皇が解釈することで実効力のある戒律へと落とし込まれます。戒律は本能のようにサンクタに埋め込まれていて、たとえば高い崖の上では足がすくむようなものだと説明されていました。
 しかし、ここには矛盾が存在します。法を解釈することで戒律が生まれるというなら、戒律は教皇の意のままに変更されうるものです。すべてのサンクタに本能のように埋め込まれているなら、その変更はどのように反映されていくのでしょうか。
 表向きラテラーノを支えている法と戒律のシステムは、実はウソなんだということがクライマックスのシーンで明かされていました。すべてのサンクタが従っているのは「アレ」と呼ばれる真の法のみ。「アレ」は頭上に光輪が輝いた瞬間にサンクタを取り込み、すべてのサンクタと繋ぎこみます。
 「アレ」はサンクタを存続させるために存在しています。サンクタ同士が守護銃で撃ちあうとなぜ堕天してしまうのかというと、「サンクタを存続させる」という「アレ」の意に背き、サンクタを減らしてしまう行為だからなのではないかと考えられます。
 アンドアインと教皇が守護銃で撃ちあったシーンで、2人とも堕天せずに済んだのは、お互いがサンクタを存続させるために銃を撃ったからなのかなと考えられます。「アレ」の意に背かなければ堕天しないのですね。
 では一体「アレ」って何なのかというのが気になるところ。「アレ」は大聖堂の地下深くにあります。博識なアンドアインですら、いかなる本の中でも見たことがないものだと言っていて、この世のものとは思えない風貌をしているようです。
 教皇に連れられてアンドアインが大聖堂の地下に降りていくシーンで、2人の足音の裏で機械のビープ音とファンが回る音が微かにSEとして入っています。エレベーターっぽくもあるのですが、それだと階段を降りる音と矛盾する気がします。

 「吾先導者たらん」のイベントページに入るとき、ローディング画面のようなものが表示されます。ここにある文字は「Terminal is starting(ターミナルを起動しています)」というもの。
 このあたりの情報を統合すると、サンクタを支配する「アレ」はコンピュータであり、アンドアインが見たのはサーバルームのようなものだったのかなと推測できます。すべてのサンクタは1つのサーバによって管理をされているので、共感によって気持ちが伝わるし、「アレ」の意に背くことをすればすぐに堕天させられてしまうと。
 これはあくまでも推測なので、今後の情報によってひっくり返されることがあります。「アレ」は巨大な化け物かもしれませんし、天使の始祖的な存在なのかもしれません。教皇ですら「アレ」と呼んでいるところを見ると、正式な発音が分からないため聖四文字と呼ばれる聖書の神様のような存在なのかもしれません。
 もし仮に推測通り「アレ」がコンピュータだった場合、これまでのアークナイツのメタ演出とはまた違う次元の展開になってきたなと思います。テラがコンピュータの中の世界だということと、テラの世界にコンピュータがあることは話が違いますから。この物語がどういう決着を用意してくれているのか想像もつきません。

2. イベント前日譚

 事件の首謀者であるアンドアインの行動原理を理解するために過去を振り返っていきます。

2-1. ロカマレア

 アンドアインの行動には彼の故郷ロカマレアが大きく関わっています。
 ロカマレアはイベリアにあった小さな街でした。アンドアインはそこで司教によって育てられ、宗教の道を志すようになったと考えられます。
 「大いなる静謐」によってイベリア全土は大きな打撃を受け、ロカマレアも困窮していました。アンドアインは宗教に救いを求め、総本山であるラテラーノに出向き、ロカマレアへのわずかばかりの支援を求めました。
 ラテラーノからの返答は冷たいものでした。アンドアインはサンクタなので助けることができる、しかしロカマレアに住むサンクタではない人には支援をすることができないというものでした。
 イベリアとラテラーノは遠く離れているわけではないのですが、アンドアインが往復している間にロカマレアは滅亡してしまいました。そこからアンドアインはテラの各地を放浪し、この大地の様々な側面を見ました。
 長い旅路の果てにラテラーノを再び訪れたとき、宗教的に徳の高い聖賢たちに質問をしました。ロカマレアはなぜ滅びたのか、その答えと導きを欲しました。しかし聖賢たちは沈黙するほかありませんでした。
 アンドアインは楽園ラテラーノはこの大地のもっと多くの人を救えるはずだと主張しますが、教皇はそれを否定しました。国の制度の問題ではなく、「アレ」の恩恵に預かれるのはサンクタのみなのです。ラテラーノはサンクタにとっての楽園であり、それを他種族に拡張することはできません。
 このときはまだアンドアインは「アレ」の存在を知らないので、ラテラーノに対して失望したはずです。そんなときにレミュアンと出会ったのだと言われていました。そこから、レミュアンたちと絆を育んでいったものと考えられます。


2-2. 8年前の雨の夜

 アンドアインとレミュアンたちの絆を破壊した8年前の事件について。
 モスティマとフィアメッタを加え、アンドアインは4人の特別行動小隊の隊長をしていました。このころは本当に素晴らしい日々だったと4人ともが口を揃えています。しかしその日々を破壊する事件が起きました。
 4人の小隊にサルカズの盗賊団を討伐する任務が与えられました。任務の途中、フィアメッタのもとには臨時の支援要請が届いたため、彼女はこの事件には立ち会っていません。この支援要請は盗賊団が手回ししたウソのものだったと書かれています。サンクタではない彼女を遠ざけたかったのでしょうか。
 盗賊団はカズデルの遺跡に逃げ込みました。ここには現在モスティマが使っている錠と鍵のアーツユニットがありました。
 とある扉の前に風化の具合の違う様々な死体があり、「自分の時間の中に閉じ込められたようになっていた」と言われていました。モスティマのモジュールの記録に記載がありますが、錠と鍵の以前の持ち主は気が狂ってしまい、最終的にカズデルの遺跡に住み着いていました。この狂人の錠と鍵にやられた被害者たちの死体だったのかもしれません。
 アンドアインはこの錠と鍵を欲しがりました。ロカマレアへの執着心がまだあったのか、もしくは別の理由だったのか。モスティマは錠と鍵を奪われてはいけないと、守護銃でアンドアインを撃ち、堕天してしまいました。
 レミュアンもアンドアインを撃とうとしていたらしいですが、モスティマのものよりも強烈なレミュアンの銃弾を受けるわけにはいかないと、アンドアインはアーツで彼女を攻撃しました。レミュアンは5年間も昏睡状態になり、いまも車椅子生活をしています。
 モスティマとレミュアンはアンドアインに対して共感の力を働かせました。モスティマはアンドアインの考えを理解しようとはしていませんでしたが、レミュアンは理解を示そうとしていた様子でした。フィアメッタは共感できませんし、そもそもあの場にいなかったので、アンドアインがなぜ2人を攻撃したのか全く分かりません。8年もの間、彼への怒りを燃やし続けていました。

2-3. モスティマのペンギン急便加入

 アンドアインが日常を破壊したあとどうなったのか。
 ここはモスティマの回想秘録で語られた部分です。堕天したモスティマはラテラーノから追放されましたが、レガトゥスの仕事は続けていました。メイン8章でウェイに面会するシーンがあったので、龍門の担当だったのかもしれません。龍門でエンペラーとイースに出会い、彼女はペンギン急便の一員になりました。
 「喧噪の掟」でもモスティマはイースにアーツユニットを預けていて、この人をかなり信用しているようでした。錠の中には何者かが潜んでいて、モスティマもイースも会話ができるようでした。鍵の方はただの鍵とのこと。イースはモスティマに他の欠片を探しにいかないのかと尋ねましたが、錠の中の「こいつ」は他の欠片に興味がないらしいと返答していました。同じような古代遺物が他にもあるのでしょうか。
 その後、ペンギン急便の従業員の1人としてモスティマはロドスの加入テストを受けました。ドクターを驚かせてやろうとして、錠の中の「こいつ」を呼び出そうとしましたが、ロドスの中にただならぬ雰囲気感じてすぐストップをかけました。モスティマが化け物を呼び出そうとしていたとロドスの記録にも残っています。「こいつ」は一体なんなのでしょうね。モスティマがロドスにきた経緯は不明ですが、他のペンギン急便のメンバー同様、エンペラーとロドスの信頼関係で成り立っているのかなと思います。
 フィアメッタはモスティマと一緒にラテラーノを離れ、モスティマの監視役として旅に同行しています。フィアメッタのこの役割には名前がないので、公証人役場は好き勝手な役職名をつけて遊んでいます。
 レミュアンはここから5年間昏睡状態でした。彼女には血のつながりのない義理の妹がいます。それがレミュエルです(紛らわしいのでエクシアと呼びます)。エクシアのご両親がレミュアンを引き取った際、エクシアはまだ生まれておらず、引き取ったレミュアンが疎外感を感じないように、生まれてくる妹の名前をレミュアンに合わせにいったとのことです。
 レミュアンはエクシアのことを非常に可愛がっていました。エクシアは姉の身に何が起きたのかを知りたがり、手がかりであるモスティマを追いかけようとします。エクシアがモスティマを探すことに執念してしまうようならレミュアンはそれを許さなかったかもしれませんが、大丈夫と判断したのだろうとモスティマは言っていまいた。エクシアに自分の生き方を見つけてほしかったのかもね、とも。モスティマはエクシアの世話をすることをレミュアンから託されたのかもと感じています。
 モスティマがエクシアに8年前の事件の真相を語るのは難しそうだなと思います。この2人の関係が今後どのように変化していくのかも気になります。一方、モスティマ、フィアメッタ、レミュアンは8年前の事件の決着を「吾れ先導者たらん」で着けようとしていました。


2-4. オレンの情報提供

 アンドアインの次なる動きと、セシリアの存在を知った経緯について。
 「吾れ先導者たらん」の出来事が起きる随分前からアンドアインはセシリアの存在を把握していました。情報を提供していたのはレガトゥスのオレンです。
 レガトゥスとしてのオレンの担当はヴィクトリアです。「闇散らす火花」の舞台であるカレドンを治めるゴドズィン大公爵と繋がっています。ラテラーノの魅力を聞かれた際に彼は答えられなかったというエピソードを披露していました。
 他のイベント等でも仄めかされていますが、ヴィクトリアには戦争が迫っています。テラで一番の強国であるあの国で戦争が起きれば、テラ全土に混乱がもたらさられることは容易に想像がつきます。オレンは焦っていました。
 オレンがセシリアの存在を知ったのは、母のフェオリアと友達だったからだと言っていました。セシリアの存在はラテラーノという国に揺さぶりをかけられるほどの禁忌。直接脅すかどうかは置いておいて、教皇庁にセシリアの身柄を抑えられることだけは避けようとしていました。
 そこで目を付けたのがアンドアインの存在です。レガトゥスとして公に動くわけにはいかないオレンですが、アンドアインがセシリアの身柄を確保してくれれば目的は達成されます。アンドアインもその計画には乗ったようでした。
 オレンがいつから反逆を企てていたのかはわかりませんが、何人か協力者がいました。そのうちの1人が公証人役場のリケーレでした。リケーレはオレンの計画に深入りしていないようでしたが。



3. セシリアを巡って

 イベント本筋の時系列へと入ります。セシリアはなぜいろんな人に追われたのか。

3-1. サンクタの混血

 セシリアがなぜ特別なのか。
 セシリア1人の存在だけで、オレンはラテラーノに脅しがかけられると判断しました。なぜなら彼女の存在自体がものすごく特別だからです。
 普通、サンクタと他の種族の混血はサンクタにはなりません。フェリーンとサンクタの子供はフェリーンになり、光輪や光翼を持ちません。
 例外的にサンクタになるケースもあると言われていました。サンクタであれば「アレ」に接続され、光輪や光翼を持ちます。
 セシリアは憎きサルカズとの混血の子供であるにも関わらず、サンクタとして生まれてきました。数千年にもわたって殺し合ってきた相手と子供を残してしまったことも驚かれそうですが、普通サンクタにはならない混血の子がサンクタになったという奇跡が重なってしまったのですね。
 ラテラーノはサンクタにとっては暮らしやすい土地なので、母フェオリアがセシリアのことを隠しながら育ててきました。フェオリアは単身で暮らしていることにしてあったので、夫のこともセシリアのこともバレるわけにはいきませんでした。
 セシリアの父親は普段マントを羽織っていて、ツノがまっすぐで真っ黒なサルカズとのことです。いまのところ該当しそうな人物は出てきていない気がします。今後どこかで出てきてくれるでしょう。

3-2. フィアメッタとパティア

 最初にセシリアを奪いに来たパティアという人物について。
 パティアは元護衛隊のフィアメッタの後輩です。護衛隊はすでに辞めていて、いまはアンドアインに従って動いています。
 フィアメッタは8年前の事件を機に護衛隊を辞めました。射撃の天才である彼女は、初めてのサンクタ以外の銃騎士になれそうだったのですが、堕天して追放されたモスティマに着いていくことにしたのです。パティアは突然護衛隊を辞めてしまったフィアメッタに複雑な思いを抱いています。
 パティアはイベリア出身のリーベリです。ラテラーノに住んでいるサンクタとリーベリに対して非常に否定的な感情を持っています。
 ラテラーノの神様とやらは、守護銃・戒律・光輪・共感などサンクタに対して様々な恩恵を与えています。一方でリーベリはどれほど信心深くても、宗教的な地位は上がらず、サンクタにとっての小間使いをするしかありません。これも「アレ」の存在を知っていれば仕方がないことだと思うのですが、表面上は人種差別に見えるでしょう。パティアの怒りはごもっともだと思います。
 イベリアのリーベリがラテラーノ教を信じていることは、地理的に遠いから仕方がないことだと言っていました。サンクタがあまりいないので扱いの差に気づかないのかもしれませんね。
 パティアのような虐げられている人々を、アンドアインは安魂教会の主祭として惹きつけています。ロカマレアへの支援を求めたときから、彼の姿勢は一貫しています。サンクタ以外にも救いの手が差し伸べられるべきだと考えているのですね。


3-3. セシリアとエゼルの追跡

 セシリア争奪戦の行方を見ていきます。
 セシリアの母の遺言登録状況を確認しにきた研修中の執行人エゼルは、転んで気を失ってしまったセシリアを病院に連れていきました。検査結果に異状が見られ、その情報はモスティマを経由して教皇へと伝わりました。ヴェルリヴから公証人役場を介してフィアメッタに情報提供が行われたのですが、エゼルは機転を利かせて逃げ切り、安魂教会へとたどり着きました。セシリアの母親を弔うためです。
 先ほどみたようにアンドアインとオレンは裏で繋がっているのですが、彼らのセシリアに対する目論見は異なっています。オレンはセシリアがフィアメッタの手に渡らなければ良いと考えて、パティアなどアンドアインの部下たちと連携しました。サルカズをラテラーノに入国させたのもオレンが裏で手を回したからだと言っていました。
 オレンは現教皇が描く理想を理解しつつも、サミットで使節を集めるというやり方はぬるすぎると思っています。もっと性急に大胆に事を進めねばならないと考えていて、サミットが行われているこのタイミングでセシリアをさらい、教皇のお尻に火をつけられたら良いと考えているようでした。
 一方、アンドアインがセシリアを使って何かをしようという意志はなく、彼の行動はサミットとは無関係でした。セシリアが苦難の道を歩むのは確実なのですが、子供は母親のそばで育つもの。母親が亡くなってしまったので、ようやく助けに来たという感じでした。
 争奪戦のさなか、モスティマとアンドアインは再会を果たしました。錠の中の「あいつ」からアンドアインに伝言がありました。「勇気は賞賛に値するが、答えに君が満足することはない」。アンドアインの行く末を知っているかのような発言です。
 一方のアンドアインからも「あいつ」にメッセージがあり、「真実のベールをめくってくれたことで大いに収穫を得た」と言っていました。8年前の出来事なのだろうと推測できます。あの事件の核心は伏線として残されました。



3-4. 聖鐘の響き

 セシリアはラテラーノの石塔の鐘を鳴らしました。
 安魂教会にて母親の葬儀をあげた後、セシリアはアンドアインからとあるサルカズのお話を聞きました。そのサルカズは街を守るために鐘を鳴らして亡くなりました。
 フェオリアが空からセシリアのことを見守っているのかもしれないと聞かされたセシリアは、高くそびえる石塔に上り、自分も鐘を鳴らそうと決めました。エゼルの援護も受けつつ、迫りくるオレンたちをかわしてセシリアは石塔で歌いました。
 この石塔はラテラーノ最古の建造物で、ラテラーノという国ができるよりも先に存在していたらしいです。聖なる鐘は数千年前に鳴って以来一度も鳴らされたことはありませんでした。セシリアの歌によってこの鐘が鳴ったことを、ラテラーノにいるサンクタたちは離れていても感じ取ることができました。強大で純粋な力だと。
 サンクタとサルカズの混血であるセシリアが、サルカズの歌によってラテラーノの聖なる鐘を鳴らしたのです。数千年前戦い続けてきた2つの種族の溝を埋める存在が、ついにこの世に降臨したのかもしれません。聖なる鐘が、もしくは「アレ」がそれを祝福したのかもしれないと。
 ただ、この事実の解釈は教皇および教皇庁が行うべきだとヴェルリヴは考えます。教皇はこれを「テラの大地に変革がもたらされる予兆」だと各国の使節に案内することにしました。サミットの権威付けに使用したわけです。上手いですよね。しかもウソではありませんから。


4. 終局

4-1. フェデリコvsオレン

 暗躍しているオレンはフェデリコに正体を突き止められました。
 石塔にセシリアを行かせる場面で、フェデリコが突然エゼルを助けにきました。フェデリコは休暇中だったのに。なぜだったかというと、フェデリコはオレンを怪しんでいたからです。
 フェデリコは個人的にとある人物を追跡していて、様々な記録を追いかけている執行人です。彼はとある任務で受け取ったシラクーザで亡くなったサンクタの遺品に、フェオリアがサルカズと接触している記録を発見しました。フェオリアの外出記録を丁寧に洗った結果、不自然にオレンと会っていることがわかりました。
 オレンがセシリアを狙っているということまでは分からなかったかもしれませんが、フェデリコはオレンを怪しい人物だと追跡しています。もしかしたら自分の本当の探し人に繋がるかもしれないという期待を込めて。
 フェデリコと対面したオレンは、オレたちは共感を拒絶している者同士だと語り掛けました。目の前の相手に感情が伝わってしまう共感はときに不利益をもたらすこともあるでしょう。この2人はそれが嫌いなのですね。共感を意識して止められるのかはよくわかりません。フェデリコの光輪には黒いアンテナのようなものがくっついています。それが共感を強制的にOFFにするのでしょうか。
 フェデリコに負けたオレンは教皇庁に突き出されそうになりますが、ヴェルリヴに助けられました。オレンは役に立つと彼女は判断しました。
 フェデリコが長年追っているのは誰かという話は最後に少しだけ触れられました。彼はアンドアインよりも有名な指名手配犯であるアルトリアという人物を追っています。2人は遠い親戚なのだと。エグゼキュターのボイスで語ってくれるのですが、アルトリアというのは女性で、天賦の音楽の才と幻覚のアーツがありながら混沌に身を落としたとのこと。
 オレンはアルトリアにたまたま会ったことがあると言っていました。3年前のリターニアで、彼は酷い目に遭ったと言っていました。音楽の才能がある人がリターニアにいるというのはとても自然です。こちらも明確に伏線として残された形となりました。


4-2. アンドアインの守護銃

 アンドアインとの対決の決着を見ていきます。
 「アレ」を目撃して衝撃を受けたアンドアインは、茫然自失とした状態でフィアメッタたちに見つかります。フィアメッタは長年の恨みを晴らすべく彼に銃口を向け、戦いが始まりました。
 車椅子のまま看板の上によじ登ったレミュアンが、アンドアインの守護銃を狙撃したことで、戦いは終わりました。銃はフィアメッタに回収されましたが、アンドアインはそれでよかったのかもしれないと妙に納得をしていました。
 フィアメッタの執念に触れてアンドアインは「アレ」を見た衝撃から立ち直っていきました。自分も自分の道を歩き続けるしかないのだと気づかされました。
 アンドアインはオレンが作ったチャンスに乗じて逃げていきました。ヴェルリヴによって見逃されたオレンでしたが、すぐさま彼女の意に反することをしていたので、病院に運ばれたあとで説教されていました。代償として部下にしてこき使うようでした。
 アンドアインはラテラーノを去りました。パティアを含む安魂教会の人たちも彼についていくようでした。お咎めなしで平和に終わりましたね。
 フィアメッタはアンドアインの守護銃を持ち歩くことにしました。どこかへ行ってしまったアンドアインでしたが、彼がサンクタであるならばいつか取り返しにくるだろうと。そのときに決着をつけようと思っているのでしょうか。

4-3. ラテラーノの主張

 アンドアインをやっつけることができ、サミットが無事に開催されました。
 サミットの挨拶の中で教皇は素晴らしい演説を行いました。これは「ラテラーノの主張」と呼ばれ、広く拡散していったようです。サミットの中だけでなく、短波放送もしていましたから。
 演説ではテラの文明の始まりと戦いの歴史を振り返り、明るい未来を願う人への問いかけがなされました。考えるべき3つの問題を提示したのです。①文明を永続させたい。②平和を実現するために邪悪なことを考える人を排除していきたい。③国に安全をもたらすことが周囲の国の安全へと広がっていく。そんなような問題提起だったのかなと思います。
 具体的なアクションとして「相互に安全を保障する組織の設立」を提案しました。戦争をやめ、いずれかの国の安全が脅かされれば別の国が援助する。非常に原始的な国家間同盟の在り方だと思います。
 オレンが指摘していたように、生ぬるいやり方だとは思います。提案しただけで実際にこの組織はまだ作られていないでしょう。一方でこの演説がラテラーノの主張と呼ばれ語り継がれていったということは、この時代においてはインパクトのある宣言だったのでしょう。

4-4. 旅路へ

 登場人物たちは新たなる旅へと足を踏み出していきました。
 レミュアンは正式に教皇庁の一員になり、ヴェルリヴの配下に入りました。狙撃の達人なのにもったいないような気はしますが、かといって車椅子で戦場に出るわけにもいきません。いつか元気になってくれるといいですね。レミュアンは妹のレミュエルへの手紙をモスティマへと託していました。
 モスティマはレガトゥスをやめようかとぼやいていました。ラテラーノの主張を実現するためにと、これまで以上にレガトゥスたちは忙しくなるでしょうから。しかしフィアメッタはモスティマがまだ自分が何者かを選べていないだろうと指摘し、答えを探すためにレガトゥスとしてテラの各地を回る意志があることを見抜いていました。共感がなくても心を見透かしてくれる相棒に心強さを感じたのではないでしょうか。
 フィアメッタはそんなモスティマの監視役を続けながら、アンドアインの守護銃とモスティマの錠と鍵をエサにしてアンドアインを釣ろうとしています。ロドスとの関係を強化したいヴェルリヴの思惑のもと、公証人役場とロドスの協定を使ってフィアメッタもロドスと関係を結びました。
 強靭な精神を持つセシリアは、母の死を乗り越え、サルカズの楽園であるカズデルと、自分の父親を捜すための旅に出ることにしました。エゼルが長期の外出任務としてこれに付き添います。ロドスと協力協定を結び、ロドスの各地の拠点から援助を受けるつもりなのでしょう。
 教皇はセシリアに母親の守護銃を渡しました。本来はまだ年齢に達していないため持つことはできませんが、母親の形見ということで。
 ヴェルリヴはセシリアに戸籍を作ってあげました。隠し子として育てられた彼女には戸籍がありませんから。禁忌の子供ではあるのですが、ラテラーノとして迎え入れる覚悟を示したのです。もちろん、利用してやろうという魂胆もあるでしょうが。



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