3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【アークナイツ】メインストーリー11章・まとめ・考察・感想【淬火煙塵】

 2023年4月27日に実装されたアークナイツのメインストーリー11章「淬火煙塵」の物語を整理していきます。


 11章は時系列が入り乱れるお話なのですが、大別すると下表の4つに分けられます。それぞれ登場人物が移り変わっていくので、意識して整理していきます。

 

1. 200年前

1-1. サルカズとはなんなのか

 スタートはここです。サルカズとはそもそもなんなのか。200年以上前の話です。
 現在のテラに住んでいる人々は先民と呼ばれます。フェリーンは猫、ペッローは犬といったように、動物の特徴を取り込んでいます。その中にあって、悪魔のモチーフを取り込んだサルカズは独特な存在感を持っています。彼らは魔族と呼ばれ、差別の対象となっています。
 11章で語られた衝撃の事実は、サルカズは種族として先民とは全然別物だということです。先民に該当する種族は血縁でいうと各々が比較的近いらしいのですが、サルカズは遠いとのこと。
 サルカズに近い立場にあるのが天使をモチーフにしたサンクタです。サンクタが堕天するとサルカズになってしまうと思われる描写が「吾れ先導者たらん」で出てきました。表と裏の関係性なのかもしれません。そして、サルカズ側からするとサンクタこそが裏切り者だとのこと。
 もともとティカズと呼ばれていたサルカズの先祖は、テラの先住民族のような立ち位置だったようです。ティカズの目に映るすべての世界がテラと呼ばれていました。つまりテラにはティカズしかおらず、国という概念はなかったと考えられるのです。
 時代は移り変わり、神民と先民がテラにやってきて、ティカズはサルカズと呼ばれるようになりました。サルカズたちは自分たちの故郷であるカズデルを求めています。カズデルは都市や国家の名前なのかなと思っていたのですが、ティカズの来歴を鑑みるとテラの大地そのものと想像できます。
 現在に至るまで、サルカズたちは先民たちから受ける不公平な扱いに怒っているのだと考えられてきました。それは部分的には正しいのですが、サルカズの全てを理解できてはいませんでした。サルカズたちは自分たちの故郷を侵略され、奪われたことに怒っているのです。
 これらはテレシスやブラッドブルードの大君といったサルカズ側の人間が語っていたことなので、真実とは異なる部分があるかもしれません。しかし少なくとも、彼らの目線からはこういうふうに見えているというのは重要な情報だったかなと思います。


1-2. ケルシーが導いたカズデルの滅亡

 サルカズはすべての先民を恨んでいます。200年前にサルカズは復讐を企てていたのですが、それを潰したのはなんとケルシーでした。
 ケルシーはヴィクトリア・ガリア・リターニアの連合軍を率いてカズデルを潰しにかかりました。彼女曰く、サルカズの復讐は大地に癒えぬ傷跡を残すからという理由だったそうです。より大きな悲劇を防ぐために、サルカズたちに涙を吞んでもらうつもりだったのかなと考えられます。
 このときのカズデルには6名の英雄がいました。「VIGILO」で語られていましたがテレジアもその1人。英雄たちは果敢に戦ったようですが、ケルシーが率いる軍隊はあまりに強大で、カズデルは跡形もなく消え去ってしまいました。それ以降、テラにカズデルは現れていません。
 この経緯を知ると、ケルシーとテレジアがバベルで仲良くしていたのが信じられなく思います。2人は多くの対話と行動を持って信頼を築いたらしいのですが、そこに至るまでには長い物語がありそうな気がします。バベルの結成秘話だけでもかなりの濃密なストーリーが展開されそうな予感です。
 テレジアとテレシスは長命な人たちです。200年前のこの戦争も普通に体験しました。おそらくサルカズという種族がもたらしているものと考えられます。
 一方でケルシーは見た目はただのフェリーンなのですが、彼女の不老の身体はいよいよストーリーで直接言及されるまできました。テレシスは彼女が生き返るところを見たとさえ言っていました。




2. 26年前

2-1. ヴィーナとアラデルの幼少期

 話は一気に26年前まで飛び、今度はヴィクトリアの情勢を見ていきます。最初に語られたのはアラデルとヴィーナの幼少期の出来事でした。
 ヴィーナの父が国王を務めていた時代、度重なる戦争でヴィクトリアの財政状況は疲弊していました。前国王は税制を改正し、財政を立て直そうとしていました。議会、貴族、商人が力を強め、国王の権威は失墜していっており、関係が悪化していた時代です。
 ロバート・カンバーランド公爵は国王に最も忠実な友人として仕えていました。議会に対して強硬な姿勢を取る前国王をなだめ、穏健な政治を執り行うように助言していました。
 そんな中、ちょっとした事件が起きた日のことが描かれていました。前国王の娘ヴィーナが国剣の諸王の息とともに失踪してしまったのです。諸王の息は古のアスラン王が、当時ヴィクトリアを治めていたドラコ王と戦ったときに使用した伝説の剣です。
 ヴィーナは洞窟を冒険して諸王の息を発見し、無事に戻ってきました。国民たちはこれを奇跡だと讃え、お祭り騒ぎとなりました。しかし一部の貴族は前国王の企みに気づいていました。これは茶番。国王の権威付け、ヴィーナの神性の発揮、国民に対する息抜きなどの意図で前国王が仕組んだものでした。
 このとき、幼いアラデルはヴィーナを見ていました。3体のライオンを引き連れた姿です。しかし周りの人にはライオンが見えていませんでした。ライオンはアラデルに「ヴィーナと再び出会うだろう」という予言を残しました。
 このライオンはヴィーナがガウェインと呼んでいた存在だと思われます。ヴィーナの戦いの師匠です。ヴィーナは獣のような戦い方をするとインドラが評していたことがありますが、獣そのものがお師匠なのだからまあそうなるのも仕方ない。前国王もガウェインのことは認知しているらしく、こんな好待遇は自分すらも受けていなかったとヴィーナを羨ましがっていました。
 オペレーターの昇進イラストにはモチーフとなった動物が描かれていることが多いのですが、それが実体を持っていることがはっきりと語られるレアなケースとなりました。シージのプロファイルにもガウェインからの言葉と思われる記載があります。国王の血筋だからこういう能力が顕現するのか、また別の理由があるのかは謎です。



2-2. 前国王の処刑

 ヴィーナが諸王の息を見つけるという茶番からわずか数日後、前国王は処刑されてしまいました。
 前国王は財政を立て直そうと引き締め路線を強行し続けた結果、国民と議会の恨みを買って絞首刑になってしまいました。本来であれば国王は議会の暴力に対抗できるだけの武力を有して然るべきなのですが、議会は周到に国王側の戦力を削いでいました。
 ヴィクトリアの最高戦力である蒸気騎士は、議会が命令を出せる立場にあるため、全員をロンディニウムから離れさせていました。前国王の治世でリンチ卿という人物が蒸気騎士に任命されたのですが、それ以降は新しい蒸気騎士が生まれず、人員不足に陥っていました。これも議会が手を回していた結果だと思われます。
 塔楼騎士は国王を守る護衛隊です。彼らは議会が指揮する都市防衛軍との戦闘になり、抑え込まれてしまいました。国王の処刑以降は、国王不在の王宮を守り続けるという悲しい軍隊になってしまいました。塔楼騎士の栄光と苦難の歴史は11章サブコンテンツの「塔楼騎士の書」で見ることができます。
 ヴィーナは地下のパイプを通って逃げることができました。議会側からすれば国王の血は根絶やしにしたかったと思うのですが、罪のないヴィーナに対して過激な手は使えなかったのではないかと思います。
 これ以降、ヴィクトリアは国王不在のまま20年以上平穏が保たれることになります。次のヴィクトリアの王座を巡って貴族たちは対立を深めていくのですが、目に見えて大きな動きはありませんでした。


3. 4年前

3-1. ハイディのスパイ活動

 時系列がジャンプします。ロンディニウムではヴィクトリアの不穏な動きをハイディが監視していました。
 「遺塵の道を」で見たように、ハイディは父と同様にケルシーのスパイとして活動していました。4年前の時点でロンディニウムに入っていて、小説家として貴族の社交場に出入りしていました。
 国王が不在の時期、公爵の身分を持つ大貴族はロンディニウムに入れないという法律が作られました。公爵の動きを制限しようとした議会の思惑があったと考えられます。「遺塵の道を」などでも語られていました。
 ハイディはロンディニウムに入れないはずの公爵軍の情報を掴み、軍から追われていました。ロンディニウムで見つけた支持者のゴールディングに助けを求めます。ハイディとゴールディングはアダムスが開いた読書会で出会いました。アダムスも何かしらの諜報活動に関わっていたようで、のちにサルカズに殺されてしまいます。
 ゴールディングは聖マルソー学校の先生をしています。この学校は孤児院のようなものだったようで、貧しい子供たちを引き受けているようでした。おじいさんがガリア人のゴールディングは、同じガリア遺民のレト中佐とともにこの学校で育ちました。2人は昔はガリアのことを語り合っていたようです。また、レトの父がこの学校に資金援助してくれているという話もありました。

3-2. スタッフォード公爵の反乱

 ハイディが抱いていた懸念は現実のものとなります。戦争がやってきました。
 戦いを仕掛けたのはスタッフォード公爵でした。この人は自分の軍隊を率いてロンディニウムに侵攻し、議会を攻撃しました。国王不在のロンディニウムにあって、政治の中心は議会だったので、今度は議会が標的となったのでしょう。
 議会が動かせる戦力は都市防衛軍ですが、彼らはスタッフォード公爵の軍に勝てませんでした。このままスタッフォード公爵が次の王座に就くかと思われたのですが、別の公爵が代わりにこの反乱を鎮めました。キャヴェンディッシュ公爵です。
 キャヴェンディッシュ公爵は自身の軍隊に加えて、サルカズ軍も戦力に加えていました。ロンディニウムの市民たちは当初、このサルカズは公爵が雇った臨時の傭兵だと思っていたようです。しかしテレシス率いるこのサルカズたちがロンディニウムからいなくなることはありませんでした。
 都市防衛軍は公爵同士の戦いに巻き込まれボロボロの状態でした。本来であれば都市に入り込んでしまったキャヴェンディッシュ公爵の軍隊やサルカズ軍を追い出さねばなりません。しかし、それらの大軍と戦うだけの戦力があるはずもなく、司令官のレトはテレシスに投降しました。
 テレシスに投降の意志を伝える際に、レトはガリアを再建させたいという野望を語りました。カズデルを再建しようとしているサルカズと、自分は同じなのだと。自分にはヴィクトリアに対する忠誠はなく、ロンディニウムを守りたいとも思っていないという姿勢をアピールしたのです。
 テレシスの側からしても、孤立無援の状態でロンディニウムにいるよりは、都市防衛軍の後ろ盾があった方が格段に動きやすくなります。両者の交渉は成立しました。
 のちにアーミヤと対峙した際、レトのガリアに対する想いは建前であり、テレシスとの交渉の道具でしかなかったことが看破されます。レトは自分と都市防衛軍の命を守りたいという一心でテレシスに従ったのでした。人間味がありますね。
 スタッフォード公爵とキャヴェンディッシュ公爵がこのような動きをとった理由は詳しくは語られませんでした。スタッフォード公爵は自身の急病が引き金となって反乱を決意し、キャヴェンディッシュ公爵は自分がロンディニウムを支配したいと思っていたからだと言われていましたが、本当にそれだけかと疑ってしまいます。なぜならこの反乱がテレシスがロンディニウムを手に入れる最初の一歩だったので、裏にサルカズがいたのではないかと勘繰ってしまうからです。今後続報が語られるかもしれないなと思いました。


3-3. 蒸気騎士が嵌った罠

 サルカズがロンディニウムに入ってきたあと、衝撃的な戦いが密かに行われていました。蒸気騎士が全滅した戦いです。
 前国王を処刑した際はロンディニウムから追い出されていた蒸気騎士たちですが、今度は全員がロンディニウムに呼び戻されました。おそらく、諸王の息がサルカズに盗まれそうになっているなどとウソをつかれたのではないかと思います。
 30人以上いた蒸気騎士を全員呼び戻すというのは並大抵のことではありません。公爵の誰かが独断で仕組もうとしても無理です。議会や多くの公爵達が関わった陰謀だと考えられます。
 また、諸王の墓の扉を開けるには鍵が必要です。この鍵は2本あり、1本はアスラン王室が、もう1本はドラコ王室が管理していました。アスランの鍵は前国王が亡くなった際にヴィーナに引き継がれるべきものでした。しかしおそらく議会が処刑の実行とともに手に入れたと思われるので、ヴィーナはこの鍵の存在を知りませんでした。
 議会は鍵を使って諸王の墓に侵入。そこに陣取った精鋭サルカズたちは、帰還してきた蒸気騎士を待ち構えていました。大激戦の末、蒸気騎士は全滅しました。サルカズや議会の狙いはあくまで蒸気騎士だったため、諸王の息はそのまま放置されました。4年後になってわかることですが、実は1人の蒸気騎士が生き残っていたため、その人が諸王の息を守り抜いたのかもしれません。
 議会や公爵たちが蒸気騎士を葬りたかった理由ははっきりとは語られませんでした。国王派の残党の戦力を削ぐためでしょうか。蒸気騎士は1人1人が強い忠誠心を持っているので、ヴィクトリアのためにならないような命令には従わなかったのかもしれません。そういう意味で公爵たちにとっては邪魔だったのかも。
 蒸気騎士がいなくなって一番喜ぶのはテレシスなのかなと思いました。ロンディニウムでサルカズに抗う戦力を大きく削ぐことができます。テレシスが巧妙に裏から手を回し、議会や公爵を操っていたと考えるのが自然に思われます。


4. 現在

4-1. テレシスの開戦準備

 時系列は現在へと到達します。テレシスは4年の期間を経て、ロンディニウムの外にいる公爵たちと全面戦争する準備を整えました。
 サルカズが行っていた準備はいろいろありますが、大きいのがザ・シャードの建設です。人為的に天災を起こす兵器で、これがあれば何十万の公爵軍に対しても甚大なダメージを与えることができます。
 ザ・シャードの建設に必要な資源はロンディニウム内の生産能力だけでは賄いきれません。主要な機能は掌握しているものの、ロンディニウムは大きい都市なのでサルカズはいまだに孤立無援です。彼らは秘密の補給ルートを作り、都市外からも物資の補給を受けています。
 開戦の準備が整うのに合わせて、ロンディニウムの外に出ていたサルカズの主力部隊も戻ってきました。現在、ロンディニウム内で活動している王庭は一部なので、他の王庭も戻ってくるということでしょう。
 迎え撃つ公爵たちの情報も出てきました。「闇散らす火花」の中では8人の公爵がロンディニウムに出撃しているという情報がありましたが、11章で名前が出てきたのは5人でした。
 ゴドズィン公爵は「闇散らす火花」の舞台であるカレドン市を治めている公爵です。サルカズ側から見ると、この人に動きは特に見られないとのことでした。
 ノーマンディー公爵は「遺塵の道を」でヴィンセント伯爵を招待した人物。鋼材の流れが怪しまれていました。武器を作っているのかもしれません。
 カスター公爵はアラデルの後ろ盾となっていた人物です。女性のようです。シルバーアッシュの回想秘録でもちょっとだけ出てきます。
 ウェリントン公爵は10章から名前が出始めた人物。11章では立ち絵が出てきました。「アイアンガード」や「鉄公爵」といった異名を持ち、他の公爵たちからも恐れられているようです。ターラー人でもあります。
 ウィンダミア公爵は(私が知る限り)初めて名前が出てきた人物。女帝の声と接触したり、選帝侯の大敵だと言われていたりと、リターニアと関係が深い人のようです。
 真正面から戦おうとすると、公爵の1人1人がサルカズにとっては強大な敵になります。しかしそれぞれがストーリー上でどのぐらいの役回りを演じることになるかは不透明です。全員を覚えておく必要はないのかもしれません。




4-2. キャサリン救出作戦

 開戦の構えをとるテレシスに対して、ロドスは補給ルートを潰しにかかります。工業区域に詳しいフェイストのおばあちゃんのキャサリンに会いに行くことにしました。
 ドクターたちが工場を訪れたタイミングで、サルカズ傭兵は内情を知りすぎた工員たちを処刑しようとしていました。キャサリンは驚くこともなく、淡々と自らの運命を受け入れようとしていました。
 キャサリンは自分が書き溜めてきたノートをフェイストに渡しました。そこにはサルカズの資源集積場所と思しき候補がメモされていました。ロドスは欲しい情報を手に入れたのです。
 ノートにはフェイストの父の話も書かれていました。父ハービーはとても優秀な工員だったのですが、26年前の国王の絞首刑に伴う公爵の横暴に抗議活動をして殺されました。いまのフェイストにそっくりだとキャサリンは言っていました。
 工員たちはキャサリンが処刑されようとしていることに気づき、サルカズ傭兵と戦う決意を固めます。ドクターはアスカロンと一緒に手を貸し、キャサリンの処刑を止めることに成功しました。
 拙い戦力でも処刑が止められた理由としては、サルカズ側も戦意の低い傭兵団だったことが挙げられます。貴重な正式軍の戦力はこちらに回せなかったのです。
 パプリカとキャサリンのやりとりは印象的でした。パプリカがグリンという仲間のために編んであげた指サックが巡り巡って彼女のもとへ返ってくることになりました。傭兵なのに人を殺したことのないパプリカが異質な存在として描かれていましたが、本来は人を殺した経験のある方が異常なわけなんですよね。
 このあと、パプリカたちの傭兵団は失敗をマンフレッドに咎められて処罰の対象になります。ドクターはパプリカを助けようとしてWに援助を求めようとしていました。その結果はパプリカのプロファイルやボイスでちらちらとわかるようになっています。12章で描かれることがあるかもしれません。



4-3. 防衛軍司令塔を狙え

 補給ルート潰しのため、ロドスはさらに情報を集めようとします。都市防衛軍の司令塔をハッキングし、交通記録をぶっこ抜いてしまおうという作戦です。
 この作戦には自救軍とロドスの多くの戦力が割かれました。都市防衛軍の本拠地を狙うわけですから、守備隊も多いですし、マンフレッドとブラッドブルードの大君が応戦してくることも予想されました。
 サルカズと公爵軍の開戦が目前に迫るいま、自救軍には公爵軍の支援に回るという選択肢もありました。ヴィクトリア人の手でヴィクトリアを取り戻すという意味では、彼らの狙いは一致しています。
 しかしクロヴィシアは自救軍は公爵に希望を託すことはないと言っていました。いままでの経緯を見ても公爵たちは信用できませんし、戦争で多くの人が死ぬのを待つよりは自分たちでできることをしようとしていました。
 ハッキング担当のクロージャを全力で支援する体制が組まれました。彼女が狙うのは直近10日間の都市交通の記録です。補給ルートを巧妙に隠したとしても、なんらか記録が残るだろうという読みです。
 ブラッドブルードの大君については、アーミヤ、Logos、アスカロンが協力して食い止めることになっていました。グラスゴーのメンバー、Misery、ホルン、Wなどは別行動をしています。

4-4. 諸王の息を欲しがった者

 グラスゴーのメンバーは別動隊として、諸王の息を手に入れるという任務にあたっていました。
 諸王の息はもともとアスラン王がヴィクトリアに攻め込んだときに使っていた剣ですが、その後何度も打ち直され、ヴィクトリアを守る国剣となりました。天災を引き裂くことができるという伝説が残っているのですが、これがどうやら真実らしく、ロドスはザ・シャードに対抗する武器としてこの剣を欲しがりました。
 2本あった諸王の墓の扉の鍵のうち、アスラン王室の鍵は蒸気騎士の殲滅作戦に使われて行方不明になっています。一方、エドワード・アルトリウスが持っていたドラコ王室の鍵は、彼の遺品としてウェイが保管していました。メインストーリー7章で、龍門を守ったケルシーはウェイから鍵をもらい受けました。これを使って諸王の墓へ入ることができました。
 ここでヴィーナたちは4年前に起きた蒸気騎士の滅亡を目の当たりにすることになります。塔楼騎士出身で騎士の礼儀を身に着けているダグザが追悼の儀式を行いました。
 11章の1つのクライマックスが、アラデルの裏切りだったかなと思います。ここに至るまでコソコソと顔の見えない相手とやりとりをする姿が描かれていましたが、後ろ盾となっていたカスター公爵からの指示を受け取っていたわけです。
 26年前に前国王と一緒に父親が亡くなり、カンバーランド家は危機的状況にありました。アラデルはそこからしばらく経ったあとにカスター公爵に連絡を取り、援助を受けることになりました。ミノス産の貴重な花の種が送られてきたのが初回の援助でした。
 もちろん、ただで援助が受けられるわけではありませんから、今回のようにカスター公爵のためにいろいろと動いてきたのだと思います。栄光あるカンバーランド家を自分の代で潰すわけにはいかないというプレッシャーもあったことでしょう。アラデルは定められた道を歩くしかなかったと表現していました。自分の意志が介在できない世界になってしまったのです。
 今回の作戦でカスター公爵はトターを雇い、アラデルの援護をさせます。2人は首尾よく諸王の息を手に入れられそうになるのですが、思わぬ邪魔が入りました。全滅していたと思われていた蒸気騎士の1人が動き出したのです。
 この蒸気騎士は自分が誰だったのか忘れてしまうぐらいには苦しい思いを味わってきました。自分が守るべきだった国王、議会、民衆すべてに裏切られ、最後は諸王の息を自分が守るべきヴィクトリアだと定義し、守り続けてきました。
 最後はアラデルが自身の使命を放棄し、ヴィーナたちを助けて蒸気騎士を封じる幕切れとなりました。蒸気騎士に憧れ続けた彼女が、最後はヴィクトリアを裏切って蒸気騎士に殺されてしまう…。なんとも皮肉の聞いた終わり方となりました。明確に描かれなかったので、アラデルと蒸気騎士の結末については予想外の展開が今後明かされる可能性もありますが。


4-5. 聴罪師の会合

 本筋から少し逸れた立ち位置で、聴罪師たちのストーリーが描かれました。
 シャイニングはリーダーに呼ばれて家に戻ってきました。聴罪師がなんなのかいままでよくわかっていなかったのですが、ここでの会話で見えてくるものがありました。
 聴罪師はサルカズの中で研究を担う人たちを指しているようでした。魔王についての研究や、人間の魂に関する研究を行っているようです。王立科学アカデミーと関係があるようで、ヴィクトリアの学術界との繋がりもありそうです。
 サルースという人物が新しく登場しました。亡くなった人の声をこの世にとどめる実験をしているらしいのですが、最近は上手くいかず行き詰っているようでした。魔王の力ならできてしまうのにとぼやいていました。
 聴罪師のリーダーは最近テレシスに構ってばかり。リーダーも研究が本分のようなのですが、実験室には全然足を踏み入れなくなってしまいました。代わりにテレシスの補佐のような仕事ばかりをこなしています。
 サルースから見ればテレシスの身分は特別なものではありません。血筋が良いわけでもなく、ましてや王庭でもありません。リーダーやシャイニングの血筋の方がよっぽど良いと言っていました。一方リーダーは逆の見方をしていました。血筋が邪魔をしないからこそ成し遂げられるものがあるのだというスタンスでした。
 シャイニングが聴罪師を抜けてロドスにいるのは、リズのためのようです。リズは聴罪師によって生み出された実験体。他の人から苦痛と記憶を引き継がれた人物であり、そのうち抜け殻になってしまう古ぼけた檻でしかないとサルースたちは言っていました。一体どんな残酷な実験を受けたことやら。
 シャイニングは自分の家族はリズしかいないとして、取り付く島もありませんでした。リーダーはそんなシャイニングのことを許し、一時的に離れる許可を出していました。許可を出すということは襲ったりはしないということですから、シャイニングはこの約束を取り付けるために戻ってきていたのかもしれません。
 リーダーはシャイニングのことを姉上と呼ぶのですが、シャイニングはリーダーのことを父上と呼ぶので噛み合いません。リーダーはそこそこ若そうな外見をしているため、見た目上は姉と弟の関係性の方が正しそうです。だとすると魂は父親が乗っ取っているということなのでしょうか…。恐ろしいですね。



4-6. サルカズ頂上決戦

 本筋に戻って、都市防衛軍の司令塔での戦いを見ていきます。
 アスカロン、Logos、アーミヤはテレジアの思想に共鳴してロドス陣営として戦っています。マンフレッドとブラッドブルードの大君とは、基本的に意見が合いません。
 アスカロンとマンフレッドは同世代のようでした。テレジアに戦闘を教わったアスカロンと、テレシスに戦闘を教わったマンフレッドの戦い方は異なっています。
 Logosは今回初めて立ち絵が出てきました。ロドスのエリートオペレーターではなく、バンシーの主としてロンディニウムに来たと言っていました。十王庭の一員としてなんらかのケジメをつけるつもりでいる様子で、ブラッドブルードの大君からは王庭自体を滅すつもりかと問われていました。古い世代のサルカズがのさばっているせいで、新しく生まれてくる者の可能性を奪っているのではないかと主張していました。
 Logosとの会話でブラッドブルードの大君は頭に血が上り、血の壁を生成して戦場を封鎖します。中にいる人たちにとってはピンチなのですが、マンフレッドたちも閉じ込められてしまい、クロージャのハッキングチャンスを作ることになりました。
 アーミヤはテレジアからの影響を受けて魔王の力が暴走します。テレジアはアーミヤにサルカズの魂の声を聞かせました。その中には200年前に起きた戦いでケルシーに故郷を滅ぼされた怒りの感情も混じっており、アーミヤは大きなショックを受けます。戦場にいるサルカズたちは魔王の力の干渉を受けていました。
 いまのテレジアの人格がどうなっていて、どういう思想で動いているのかはまだわかりません。


4-7. ケルシーの奮戦

 戦いの終着点をみていきます。
 クロージャはハッキングを成功させて、欲しかったデータの70%ぐらいを手に入れました。上々の戦果でしょう。ケルシーが食い止めていたはずのナハツェーラーの軍がロンディニウムに戻ってきてしまい、ハッキングは中止。ロドスと自救軍は撤退を余儀なくされました。
 ケルシーはもう片方のリッチは最期まで食い止められていたみたいです。テレシスは頑張って探しても痕跡すら見つからなかったと言っていましたが、そこはさすがケルシーといったところでしょうか。テレシスが見つけられていないのならリッチは参戦しないのではとも思うのですが、経緯は不明です。裏でケルシーが何をやっていたかはいずれ語られるのではないかと思います。
 マンフレッドからの信号を受信し、テレシスは自ら戦場に降り立ちました。彼の狙いは魔王の殺害。テレジアの干渉を受けて動けなくなっていたアーミヤを、フェイスト、ドクター、シャイニング、ケルシーが援護して撤退させました。シャイニングは聴罪師のリーダーに離れてよいと言われたので、ロドスのために剣を振るっていました。
 ケルシーはテレシスの剣で大きく負傷。テレシスは200年前の恨みをいま一度果たした形になりますが、ケルシーの不老不死性を知っているからか、あんまり嬉しそうではありませんでした。凄まじい勢いで斬られていたスチルがありましたが、あれでも無事なのだろうなと思われます。味方ではありますが、200年前の話もあり、ケルシー先生がどんどん不気味な存在になっていきます。
 

4-8. トレーダーズミルとターラー

 最後に描かれたストーリーが今後に繋がるお話でした。
 10章の最後にも出てきていたバグパイプのお話が少しだけ進展しました。9章でヴィクトリア軍の腐敗を痛感したバグパイプは、龍門を経由してロドスに来て、チェンと一緒にヴィクトリアに戻ってきました。トレーダーズミルで商業連合の副会長をしているヒューズのもとを訪れて、情報を得ようとします。
 ちょうど2人がヒューズの家にきたときに、アルモニも彼の家に来ていました。いまはタブリンの幹部をしていますが、もともとこの人も王立前衛学校の出身のため、感動的な同窓会になっちゃうところだったわと言っていました。
 ダブリンの「リーダー」はウェリントン公爵と一緒にいました。ウェリントンは「リーダー」のことをエブラナ殿下と呼びました。これが本名でしょうか。ロンディニウムでサルカズと公爵たちの決戦が始まろうとしているさなか、漁夫の利でターラーの時代を狙っているように見えます。
 妹のラフシニーの方は、9章で大けがを負ったので一度ロドス本艦に搬送されていたのですが、ヴィクトリア南部に戻ってきていました。ドクターたちに手紙を残し、事務所を後にしていました。おそらくロンディニウムに入ってくることになるのではないかと思います。


感想

 ここからはただの感想です。
 大局を見れば11章の内容はサルカズも公爵もロドスも準備をするだけのお話でした。しかしアラデルと蒸気騎士を中心に置いたドラマは見応え十分で、あっという間に読み終えてしまいました。本当に面白かったです。
 子供の頃の夢をあきらめて、つまらない大人になってしまったと自嘲するアラデル。立派な家を守るために公爵の言いなりになることを選び、自分の意志さえ通せない。そんな彼女の使命を打ち砕くのが、子供の頃に夢見た蒸気騎士だったとはなんたる皮肉か…。
 対比されるように輝かしく描かれたのはフェイストの姿でした。迷いながらも自分のやりたいことを貫き、周囲の協力を得て大切な人を救い出す。一歩踏み出す勇気が差を作ったと言われれば収まりが良いですが、アラデルに何ができたのだろうとも思ってしまいます。貴族に生まれても思い通りの人生はそこにはないのです。
 サルカズとはなんなのか、ケルシーとは何者なのかという謎を通じて、アークナイツの根幹がまた少しだけ垣間見れる形となりました。メインストーリーでは、こうやって少しずつ少しずつ真相に近づいているような気がするので、毎回更新が楽しみになります。



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