3度目のサザンドラ

元々ポケモンブログでしたがいまはゲーム全般について書いています

【原作勢目線】アニメシャドウバースF 11話感想-アンタに理解されたくない…

 アニシャドFの11話の感想文です。

ライトvsツバサ

1ターン目

先攻1T:ツバサ
 詠唱:聖なる願いをプレイ。ツバサが直接教えてくれましたが、彼女が使うアーキタイプはアミュレットビショップでした。

後攻1T:ライト
 ハンマードラゴニュートをプレイ。

2ターン目

先攻2T:ツバサ
 煌翼の戦士・リノをプレイ。

後攻2T:ライト
 ムシュフシュをプレイ。ハンマードラゴニュートは相手のリーダーに攻撃します。2話のシノブ戦では同じ盤面で2/2に攻撃して返り討ちになっていましたが、今回はちゃんとリーダーへ攻撃しました。初心者卒業という演出ですね。

3ターン目

先攻3T:ツバサ
 アニメオリジナルカードをプレイします。

エメラルドメイデン
3コスト2/3
守護
ターン終了時:ランダムな自分のフォロワー1体は守護を持つ(自分を除く?)

 アプリ版にはファンファーレで狙ったフォロワーに守護をつけられるカードがあります。エメラルドメイデンは場残りすれば2回目以降の守護付与が望めるカードです。

 煌翼の戦士・リノでハンマードラゴニュートを上踏みします。リノの効果でリーダーに1点飛びます。1/2を出すことでリーダーに攻撃されることは防ぎましたが、リノの強いところが活かされました。ハンマードラゴニュートのラストワードが発動してドラゴンスマッシュが手札に加わりました。

後攻3T:ライト
 ムシュフシュでリノと相討ちします。ドラゴンスマッシュでエメラルドメイデンを破壊してドラゴウェポンが場に出ます。

4ターン目

先攻4T:ツバサ
 プリズムプリーストをプレイ。ファンファーレで詠唱:白翼への祈りを持ってきて、そのままプレイします。

後攻4T:ライト
 アニメオリジナルカードをプレイします。最初の食堂のシーンからの伏線でした。

ランスリザード
4コスト5/3
武装
突進
攻撃時:自分の場にドラゴウェポンがあるなら、自身を+0/+2して相手のリーダーに2ダメージ

 素で武装されているフォロワーがいるというのが新情報でした。盤面にはドラゴウェポンがあったのですが、ランスリザード武装フォロワーなので反応しません。攻撃時効果で場にドラゴウェポンがあるかどうかを参照する効果を持っていました。武装デッキではこういう絡ませ方もあるんですね。
 進化開始ターンですがライトは進化を使わずに盤面有利を取り返しました。

5ターン目

先攻5T:ツバサ
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ジュエルシュライン
1コストアミュレット
場に出たときカードを1枚引く
??

 このカードはカウントダウンではなく常駐型で、すごい効果があるらしいです。11話では明かされませんでした。
 スレッジエクソシストをプレイし、進化時効果でランスリザードを破壊します。ランスリザードは5/3で上踏みしにくかったので、進化効果で破壊できたことは悪くはありません。
 もう一枚アニメオリジナルカードをプレイします。このターンに効果は働きません。

ビーファルコン
6コスト3/3
結晶2:カウントダウン3
自分のフォロワーが相手のリーダーに攻撃するとき、ランダムな自分のフォロワー1体は疾走を持つ
===================
??

 10話の授業のシーンで結晶の説明がされていたり、11話でスバルがライトに説明をしていたりしたことの伏線回収でした。結晶フォロワー入りの宝石テーマのデッキのようです。
 「結晶」というロジックがアプリ版に入ったのはリリースから3年ほど経ったあとのことなので、アニシャドのカードプールとはだいぶ時空が離れています。最初に紹介されたのは確かこの子でしたね。

後攻5T:ライト
 竜の闘気をプレイ。PPブーストして体力を20に戻し、2枚引きます。
 ツバサの場のフォロワーが2/3のスレッジエクソシストだけだったので、強気に無視をするプレイです。ライトのデッキは序盤からフォロワーを出しながら戦うデッキですが、ドラゴンクラスの強さはやはりPPブーストにありますからね。
 ツバサの盤面はジュエルシュライン、詠唱:白翼への祈り、スレッジエクソシストの3面が埋まっていたので、残り2面しかないからそんなに強い動きもされないだろうという読みもあったのかもしれません。

6ターン目

先攻6T:ツバサ
 詠唱:白翼への祈りが割れてホーリーファルコンが出てきます。
 アニメオリジナルカードをプレイします。

サファイアプリースト
4コスト3/4
ターン終了時:このターン中に自分のフォロワーが3回以上攻撃していたならカードを3枚引く

 カウントダウンアミュレットで疾走フォロワーが出てくるターンを予約できるからこその効果です。発動出来たら爆アドですが、このカード自体に4コスト必要なのでけっこう難しいカードです。
 ホーリーファルコンを進化し、場残りしたスレッジエクソシストと一緒にリーダーを攻撃します。
 自分のフォロワーがリーダーを殴ったのをトリガーにして、結晶で置いてあるルビーファルコンの効果が働きます。ランダムな自分のフォロワーに疾走を与える能力です。付与対象はランダムなので、攻撃してトリガーを引いたフォロワーに付与される可能性があるのがなんともイケてないカードです。無駄になる可能性を含んだ抽選が毎回行われるので。
 処理は省略されていますが、ホーリーファルコンとスレッジエクソシストが殴ったときにそれぞれ抽選が発生しています。3分の1の抽選を2回行って、サファイアプリーストに疾走がつかないパターンは9分の4。天もアタシを味方しているとツバサは謙虚な姿勢でしたが、半分ぐらいの確率でサファイアプリーストが疾走を持つことになります。
 これでツバサの盤面はジュエルシュライン、結晶ルビーファルコン、2/3, 4/3, 3/4となります。ライトの体力は11です。

後攻6T:ライト
 次回はたぶんここからです。ライトの場にはまだドラゴウェポンが残っています。どのように盛り返していくでしょうか。

ツバサの内面

 11話のツバサはかなり機嫌が悪いので、ライトたちへのアタリがキツく、口の悪いギャルの先輩という描かれ方をしています。ただ、我々は10話でツバサの内面をある程度知っているので、彼女がなんでそんな態度をとっているのかがなんとなくわかっています。見ていて不快にはならず、むしろライトたちがツバサを救ってほしいと祈るような気持ちが湧いてきました。
 ツバサの内面をライトは一切知りませんが、「苦しそうにシャドバをするんだな」と声をかけるシーンがあって印象に残りました。シャドバをすることで分かり合えるというのはライトがずっと一貫して主張し続けていることです。

ライト:「シャドバは時々心を縛る。真剣に向き合うからこそ苦しくもなる。だが、自分らしくいられるのが、心のままでいられるのがシャドバの良さだ」

 ライトは初心者ですがすでにシャドバの苦しい側面も知っているようです。シャドバは負けが続くとなかなか苦しいというのは私も日々実感しています。ライトが使った「心を縛る」という表現は、負けて悔しいというだけではない繊細なニュアンスを感じますが、対人ゲームならではの負の側面にもちゃんと目を向けようとしているのが伝わってきます。
 1vs1でハルマに勝てないからツバサは苦しい思いをしています。彼女は部長として部を守らなくてはいけない責任と、シャドバプレイヤーとして勝負の世界に身を置くことを天秤にかけた結果、後者を諦めています。ジェントルマンはツバサの腕前はプロ級だと言っていて、10話ではツバサがプロに関するニュースを見ていたシーンもありました。彼女の本音が聞きたいですね。
 ライトはどういうふうにツバサを救ってくれるでしょうか。1人のシャドバプレイヤーとしても、次回がとっても楽しみです。




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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 10話感想-マジになっても意味ないしね

 アニシャドFの10話の感想文です。

バトルなし回

 今回はバトルなしの回でした。1話ぶり2回目です。無印アニシャドは全48話中でバトルがない回は13話の1回のみだったので、すでにそれを超えました。制作陣の明確な意図を感じます。
 シャドウバースのアニメなんだからバトルは毎回すべきという方が自然な考え方かなと思います。わかりやすいですし。無印アニシャドからはそういう意志を感じました。一方、デメリットとしてはバトルをしながら会話をしたり回想をしたりするので、バトルのテンポが悪くなってしまう点が挙げられます。
 アニシャドFはバトルのテンポが比較的早く感じます。バトル中はシャドバを集中的に描こうとしているのかなと思います。バトルがコンパクトにまとまるため、ターンをまたいでの伏線が作りやすそうだなと思います。
 一方で、バトルのときはバトルしかしないので、話が前に進みません。というわけで今回の10話のようなバトルをしない回が挟まれます。小鳥遊ツバサがどういう人なのか、サードフェザーの空気感、波瀬浦ハルマとの確執、そしてセブンスフレイムの活躍…。特にツバサの心情描写の描き方はかなり丁寧だなと思いました。ダウナーで無気力そうに見えますが、心の中でくすぶっている火種。セブンスフレイムに触れてどうなっていくか楽しみです。

ハルマの切り札

 ハルマがバトルしている様子がちょっとだけ出てきました。
 1回目はモブ生徒とバトルをしているときです。バトルの内容はわかりませんが、デスサイズハウンドという切り札フォロワーがとどめを刺したのはわかりました。モブ側の手札には剣豪、ヴァンガードヴァンガード・レイサムの3枚が見えていて、そのデッキじゃあ勝つのは難しいかもなと思ってしまいました。芸が細かい…。

 2回目はサードフェザーの前部長伊久美セイラとの試合です。同じくデスサイズハウンドが場に出ていて、セイラの場のヒーリングエンジェルを攻撃して破壊しました。そのあとで効果ダメージでリーダーの体力を6点削り切って勝利していました。一体どんな効果なのでしょうか。
 アニメでハルマのバトルが描かれるのは、早くてもツバサ戦が終わった後でしょう。数字の順番通りで行くならば、ファーストリーパーの前にセカンドブラッドを挟むのでさらに後になると思います。ここで先出ししたのはどんな意味があるでしょうか。

シャドウバースプロ

 ツバサがスマホでニュースサイトを見ている場面が2回出てきました。
 1回目は「君もプロを目指してみよう!」というタイトルで、本文中には「彼女は財善寺財閥の令嬢ではあるがシャドウバースプロとして活躍している」という文言が出てきます。無印アニシャドで登場した財善寺ミヤビのことを言っているのだと思います。シャドウグランプリでヒイロに負けて敗退していましたが、プロになったんですね。
 2回目は「白熱するシャドウバースのプロリーグ」「さぁ!君もシャドウバースで世界に羽ばたこう!」という見出しのあるプロリーグの記事でした。ミヤビ個人に興味があるというよりかは、プロリーグに意識がありそうですね。
 ツバサのシャドバに対する情熱は揺らいでいるようです。素直に考えるなら「プロになりたい」という願望がある…?彼女の本心はどんなところにあるでしょうか。


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【アズレン】ストーリー考察:誠閃の剣 搖光の城 編【アズールレーン】

 2022年5月26日開始のイベント「誠閃の剣 搖光の城」のストーリーを整理していきます。

1. フッドのMETA化

 まずはストーリーの背景や時系列の話から。
 時系列的に言うと今回のイベントは直近の『吟ずる瑠璃の楽章』から素直に続くお話です。フリードリヒの作戦でスカパ・フロー特異点が開かれ、コンパイラーをおびき出して撃破した後のロイヤル陣営の様子が描かれました。
 前哨戦イベント『慶弔と帰路』ではフッドが病に倒れたところから始まりますが、その原因はチュートリアルで描かれていました。アズールレーンがリリースされたのは2017年なので実に5年越しの展開でびっくりでした。
 チュートリアルは「ライン演習」という史実の再現です。イギリスの補給路遮断のためにプリンツ・オイゲンとビスマルクが出撃し、プリンス・オブ・ウェールズやフッドからなるイギリス艦隊に遭遇しました。両者は戦闘モードに入り、海戦の末にビスマルクがフッドを撃沈させました。
 アズールレーンの場合、ビスマルクはこのときすでに黒いキューブの力を発現していて、それが物語のすべての始まりとなっていました。

 ビスマルクが得た力とはなんだったのか?チュートリアルのお話から過去へさかのぼって、ビスマルクが黒いキューブをセイレーンから与えられたときの話が描かれたのがイベント『黒鉄の楽章、誓いの海』のお話でした。

 ビスマルクに撃たれたフッドと、黒いキューブの力に飲み込まれてしまったらしいビスマルクは、その後のイベントでもチラチラ出てきてはいました。しかしどういう状況になっているのかははっきりとは描かれてきませんでした。
 直前の『吟ずる瑠璃の楽章』でビスマルクは黒いキューブの後遺症から回復し、セイレーンへ反旗を翻すのだという宣言を行っていました。一方のフッドは黒いキューブの力を受けたため治療できない傷を負ってしまっていました。
 クイーン・エリザベスは指揮官を通じてフッドの治療方法を探っていたようですが、芳しい成果がありませんでした。黒いキューブを使ったことがあるビスマルクやアルジェリーから得た情報だけではフッドを治せません。ビスマルクに直接診てもらうのはどうかとキングジョージVが提案していましたが、鉄血がセイレーンを裏切った直後で上層部がピリピリしている状態であり、むやみに動けないのだとも言っていました。
 『吟ずる瑠璃の楽章』でクイーン・エリザベスがフリードリヒに協力している理由はまだほかにもあるのだとほのめかされていましたが、フッドの治療方法を探りたいという理由があったのだとわかりました。


2. スカパ・フローの式典

 『誠閃の剣 搖光の城』の本編へと入っていきます。
 スカパ・フローはロイヤルが誇る自然の要塞で、非常に重要な軍港です。対外的には鉄血に奪われたスカパ・フローを取り返したという形なので、復旧記念の式典が計画されていました。クイーン・エリザベスがフリードリヒに貸していたというのが真相なので、上層部に対して目くらましをしたいという意図がありました。
 フッドは演説の名手です。セイレーン作戦でもアズールレーン側の総代表のような形で全軍を前に演説していました。式典を行うなら彼女が出てくるのが当然という流れがあるのだと思います。しかしフッドは病床に臥せっていました。
 ビスマルクから受けた傷は治っているものの、黒いキューブの力に浸食されていて、フッドは非常に弱っていました。セイレーン作戦の時点では演説と艦隊指揮を行うぐらいの余力はあったみたいですが、時間が経つにつれて悪化していて、いまはかなりキツそうでした。彼女が上層部の前に出ると怪しまれてしまうリスクがあるので式典は中止することにしました。セイレーンの襲撃を受けたフリをして中止のアナウンスが出されました。
 式典には特別計画艦の3人が呼ばれていました。チェシャー、モナークネプチューンです。今までこの3人はストーリーにはほとんど出てきませんでしたが、それは計画艦ゆえの運用の難しさのせいだと言われていました。今回はフッドの治療法を見つけるための、特異点の調査のために呼ばれました。ロイヤルの計画艦はほかにドレイクがいますが、彼女は遠航任務に出ているらしいです。海賊っぽい彼女らしい理由ですね。


3. キャメロットからの転送

 今回のストーリーの大枠を見ていきます。
 フッドの傷のことを立ち聞きしたモナークは1人で特異点調査に出発してしまいます。それをクイーン・エリザベスたちが追いかけて、さらにそれをヴァンガードたちが追いかけるという二重の追いかけっこが行われました。
 まず、スカパ・フロー特異点の先は「キャメロット」という放棄されたセイレーン施設に繋がっています。「観測転送装置」と称される「キャメロット」には別の鏡面海域へとジャンプできる扉があり、その扉を維持するエネルギー供給の役割も果たします。
 「キャメロット」とはアーサー王伝説に登場する都市の名前です。アーサー王が治めたログレス王国の都で、キャメロット城というお城がありました。クイーン・エリザベスはお城があるからこの名前を付けたのでしょうか。
 「キャメロット」から別の鏡面海域に出ようとしたモナークとクイーン・エリザベスたちは、ボノム・リシャールの仕掛けた罠にハマり、彼女の住処である「サモス」と呼ばれる鏡面海域に飛ばされました。「サモス」で黒い竜巻に飲まれる前に、彼女たちは緊急脱出で別の鏡面海域へ飛びました。その先が「アヴァロン」でした。アーサー王伝説では「アヴァロン」はアーサー王が亡くなった地とされています。
 一方、クイーン・エリザベスの不在を不審に思ったヴァンガードたちも「キャメロット」にやってくるのですが、「サモス」に飛ばされたのはリシャールの干渉によるもので、ヴァンガードたちは正常な2つの飛び先へ向かいました。
 1つ目が「忘却の森」です。レパルスMETAとレナウンMETAが幽閉されている海域でした。ここでフッドの治療の手がかりを手に入れて、ヴァンガードたちは「キャメロット」から2つ目の鏡面海域へ飛びました。
 2つ目が「アヴァロン」で、ここでモナークとクイーン・エリザベスたちと合流することができました。ボノム・リシャールも「アヴァロン」へやってくるのですが、ロイヤル艦隊が力を合わせて逃げ切り、壮大な追いかけっこは無事に終わりを迎えました。

4. レパルスMETAとレナウンMETAの過去

 忘却の森とアヴァロンという2つの鏡面海域はレパルスMETAたちの過去に関係がある海域です。キャメロットから両方に行けるのは、そういう繋がりがあるからなのかもしれません。彼女たちは我々指揮官が見ている「枝」の住人ではなく、ほかの「枝」の出身のKAN-SENです。
 レパルスMETAたちがMETA化してしまった戦いを再現しているのがアヴァロンだと考えられます。アヴァロンが「係留再現機構」と呼ばれているのは読んで字のごとく、"係留"施設での戦いを"再現"しているからでしょう。
 2人はMETA化したのちにエンタープライズMETA(コードG)に誘われて余燼の一員になりました。再現の実験を繰り返すアンチエックスを止めるべく、余燼たちはオブザーバー・零の本拠地へ奇襲を仕掛けました。この様子はレパルスMETAたちが語った回想にて語られます。アビータに敗れた余燼はバラバラの枝に飛ばされてしまい、レパルスMETAとレナウンMETAは2人で忘却の森へと閉じ込められました。
 飛ばされた当初は忘却の森を脱出しようとしていた2人でしたが、何をやっても出ることができず、完全に諦めてしまっていました。そこにヴァンガードたちがキャメロットの力を使ってやってきたのですね。
 ではそれぞれの出来事をもう少し詳しく見ていきます。

5. アヴァロンが再現しているもの

 係留施設で起きた別の枝での出来事(起きた順番で言うと過去)をアヴァロンは再現しています。状況がたまたま似てしまったことと、スペアボディのピュリファイヤーはプログラム通りにしか喋れないので、2つの世界線がややこしく繋がっていました。
 別の枝の出来事から見ていきます。何らかの事由によって係留施設に囚われてしまったこの枝のクイーン・エリザベスを、レパルス、レナウンヴァンガード、インドミタブルが助け出そうとしていました。この時点ではアンチエックスはKAN-SENの味方で、ピュリファイヤーが安全な侵入ルートを教えてくれました。このときピュリファイヤーがKAN-SENに喋ったことの一部は、現在の方のスペアボディにもプログラムされていました。なので現在のスペアボディの発言は、基本的には過去に喋ったことの繰り返しだと捉えて良いと思います。
 ピュリファイヤーは「博士の立場を悪くしたくなかったら」という発言をします。リシャールの一件で人類がピリピリしていると言っていて、KAN-SENを作った"ソウゾウシュ"アンジュ博士は、ボノム・リシャールの暴走の責任を問われているのでしょう。アンチエックスを作った"シンパンシャ"オースタ博士がアンチエックスを動かしてKAN-SENたちをサポートしてくれているようでした。
 コードGたちは様々な「枝」を飛び回っていますが、博士のいる「枝」には飛べないのだと以前のイベントで言っていました。ピュリファイヤーが博士の存在について言及するこの「枝」はすべての世界線の根本の時空だったのでしょうか。
 この過去の出来事と現在の状況は部分的に一致しています。係留施設にいるクイーン・エリザベスをロイヤル艦隊が助けにくるという部分ですね。なので再現をするだけのピュリファイヤーのスペアボディと微妙に話が嚙み合ってしまい、ややこしいことになりました。
 係留施設のセキュリティはKAN-SENとアンチエックスに牙をむくようでしたが、誰が作ったものなのかはわかりませんでした。北方連合の海底施設と似ているそうです。このセキュリティはすごいんだぜとピュリファイヤーが自慢げに言っていました。博士たちが作ったものなのか、博士たちに敵対する人類がいたのでしょうか。過去の方でクイーン・エリザベスだけがなぜ囚われていたのかという理由も不明でした。

6. 別の枝のエリザベス救出作戦

 レパルスMETAたちが経験したエリザベス救出作戦は失敗に終わりました。KAN-SEN全員の力を合わせても敵には勝てなかったと言っていました。そのぐらい強大な戦力を持っているとなると相手はエックスだったのかなと思われるのですが、敵の正体は明示されませんでした。
 エリザベスを救出するために、四代陣営すべてが戦力を投下してくれたようです。ピュリファイヤーが協力してくれていたのでアンチエックスもたぶん共闘してくれたのではないかと思います。重桜はワタツミを使ったと言われていました。人類が持ち得る戦力を惜しみなく投入したのだと思われます。
 この戦いでレパルスMETAとレナウンMETAはMETA化してしまいました。もともとMETA化が進行していたのか、それとも敵の攻撃によりMETA化してしまったのか、経緯はよくわかりませんでした。「リュウコツの損傷」とレパルスMETAは言っていましたが…。
 このあと2人はMETA化したKAN-SENの連合である余燼に加わりました。


7. 決戦 - 余燼vsアビータ

 余燼が活動を続けていく中で、オブザーバー・零の本拠地に奇襲をかけたことがあるのだという話が語られました。
 この戦いには少なくとも8人のMETA KAN-SENが出撃していて、その中にアークロイヤルMETAがいなかったことはわかりました。レパルスMETAたちが"知らない"と言っていたのです。シャルンホルストMETAやヨークタンMETAなど、いままでのストーリーに出てきたけれどこの戦いにはいなかったMETAはほかにもいます。別の枝で拾われたのかなと考えられます。
 逆にヘレナMETAがいたのは驚きでした。彼女は『照らす螺旋の鏡海』で出てきたときには、自分は余燼陣営ではないと言っていました。この戦いのあとで余燼を抜けたものと思われます。方向性の違いみたいなものがあったのでしょうか。
 余燼の奇襲は敵に読まれていました。オブザーバー・零はこの拠点にはおらず、代わりにアビータボディが迎え撃ちました。アビータは9体いると言われていましたが、画面に映ったのは5体、名前だけ出てきたのが2体でした。この食い違いに意味はあるでしょうか。
 余燼側の転送装置はHierophant(教皇)とDevil(悪魔)の2体に制圧されてしまいました。まだ姿が出てきていないアビータです。どんな姿をしているでしょうか。余燼は退路を断たれてしまったようです。
 アスキーコードで喋っていたのはTowerです。名前を解読するとTHETOWERとなります。人型ではないので人間の言語を話さないのでしょうね。なぜこの子だけこんな形なのかは謎です。

 発言をアスキーコードで解読すると「Start up backup protocol. Execute transport protocol.」と読めます。バックアップをとってから転送プロトコルを起動しますよと言っています。最終的に余燼はアビータに負けてバラバラな枝に飛ばされてしまいました。その転送を行ったのがTowerだった模様です。

8. ボノム・リシャールとは何者なのか

 アヴァロンでクイーン・エリザベスを発見したあと、ボノム・リシャールが襲ってきました。これがこのイベントでの最後の戦いとなりました。
 オブザーバーに命令され、ピュリファイヤーがこの再現のスペアボディに意識を移し、ボノム・リシャールの対処を実行しました。枝の保全のためだそうです。ついにアンチエックスとKAN-SENの共闘が行われたということで興奮しました。やはり敵との共闘は胸が熱いですね。
 ロイヤル艦隊の援軍がかけつけ、KAN-SEN側の戦力は一気に充実しました。改造が実装されている子は改造後の立ち絵になっていました。改造艤装をつけてやってきたとのことで、着脱式になっているのかもしれません。
 レパルスMETAとレナウンMETAも一緒に来ていました。2人はボノム・リシャールというKAN-SENを知っていましたが、いま目の前にいるのは別物だと言っており、METAとも違う「なにか」なのだと言っていました。
 レパルスMETAたちが知っているボノム・リシャールはどの枝にも出現したことがなく、オブザーバー・零も素体にアクセスできない謎の存在だそうです。例の事件を起こして以来初めて見たとレパルスMETAたちは言っていました。史実のエセックス級航空母艦CV-31ボノム・リシャールはそんなに変な艦歴を持つフネではないのですが、いったいどんなバックグラウンドを持っているのでしょうね。
 ボノム・リシャールはMETAではないらしいですが、METAについては自分が1番詳しいのだと言っていました。その矛盾も謎です。METAは黒いキューブによって引き起こされるものだと我々は捉えていますが、彼女曰く黒いキューブがなくても成立するらしいです。単なるリュウコツの変質なのだと。
 特別計画艦は自力ではMETA化しないけれど、ボノム・リシャールの力の前にはMETA化してしまうのだとモナークに言っていました。なので計画艦のMETAはよっぽどの理由がない限りは実装されないかもしれないですね。
 ピュリファイヤーの力も借りてロイヤル艦隊は海域から脱出し、今回の騒動は終わりました。後日談でフッドが治ったところまで描かれており、レパルスMETAたちは忘却の森に戻らずロイヤルに加わったようでした。謎は多いけれどいったんめでたしめでたしといったところでしょうか。

感想

 ここからはただの感想です。
 このイベントはボノム・リシャールとの戦いが本題ではありましたが、ロイヤル初のURヴァンガードと、ロイヤル陣営の計画艦の3人が初めて本格的にストーリーに絡むというにぎやかなイベントでした。
 史実のヴァンガードはイギリスが最後に建造した戦艦で、最新鋭の技術が詰め込まれたもののWW2には間に合わずに戦闘に出ることはありませんでした。戦争が終結したのちは、王室専用ヨットのような立ち位置で運用されました。
 アズレンヴァンガードはそんな史実を反映し、近衛騎士として陛下を守る任務に就き、対セイレーンの任務にはほとんど出たことがないと言っていました。戦闘の機会がないことに不満を漏らしていました。
 モナークはそんなヴァンガードに親近感を持っていました。ロイヤルの特別計画艦たちは、運用が難しいという理由をつけられて海戦には出撃させてもらえていませんでした。その中でも特にモナークは自分が「最優」であることを誇示したいコンプレックスを抱えているため、出撃できないことに大きなストレスを覚えていたのですね。
 モナークキングジョージV級戦艦の設計案の1つとして計画されていたフネが具現化したKAN-SENです。彼女のリュウコツには史実が刻まれておらず、WW2期の主力として活躍していたキングジョージV、プリンス・オブ・ウェールズ、デューク・オブ・ヨーク、ハウたち姉妹にはコンプレックスがだだ漏れになっています。
 今回のイベントではそんなヴァンガードモナークに違った角度から気づきがもたらされ、最終的に2人が演習で決闘をするという場面で締められるというきれいな幕引きがされていました。
 忘却の森で長い年月を過ごしてもロイヤルの栄光を忘れなかったレパルスMETAとレナウンMETAを見て、ヴァンガードは「栄光は誰かに与えられるものではない」ことを思い知らされました。戦わずにいても栄光を失わずにいられるのだと。
 モナークはフッドに悩みを打ち明けたときに「栄光は人によって施されたものではない」と言われました。ヴァンガードが受けたアドバイスと似ていますが、モナークは他人と自分を比べてしまっていたので、栄光は自分の中にこそあるという視点が彼女にとっては大事だったのかもしれません。
 イベントのラストで、襲い来るボノム・リシャールに対して、仲間を守るために戦うことの中に2人は「栄光」を見つけました。ロイヤルのKAN-SENたちは彼女たちの栄光や優雅さを大事にして戦っています。どんな立場に追い込まれても、自分の栄光は自分で見つけて守り抜くものなのだと。久しぶりのロイヤルメインのイベントで、こういうロイヤルらしさをテーマにした話をやってくれるのは素敵だなと思いました。



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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 9話感想-お前のバトルを見せてくれ!

 アニシャドFの9話の感想文です。

フワリ vs スバル

 8話は後攻4ターン目で終わりました。続きから。

5ターン目

先攻5T:フワリ
 新緑の守護者をプレイします。進化して悪戯なネクロマンサーを上踏みします。新緑の守護者は5/2になるのに対して、スバルの場には2/1のトリックデュラハンが残るので、スバル側はラクな展開です。

後攻5T:スバル
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ネクロカーニバル
3コストスペル
エンハンス?:??
ゾンビ1体とスケルトン1体とゴースト2体を場に出す

 3コストで1/1と2/2を出してゴーストが2体おまけでついてきます。墓場が3枚貯まるところも強くてすごいカード。しかもエンハンスもあるらしいです。
 5/2になっていた進化後新緑の守護者をゴーストで破壊します。フワリはラストワードでフェアリーを2枚手札に加えます。
 場残りしていたトリックデュラハンを進化して、ネクロコンジュラーをプレイします。ネクロコンジュラーは場に進化後フォロワーがいるとゴーストを出します。トリックデュラハンとゴーストでリーダーを攻撃し、4+1点。フワリの体力は14です。スバルの盤面は4/3, 2/2, 1/1, 2/2の4面。


6ターン目

先攻6T:フワリ
 癒しのエルフとフェアリーをプレイします。フェアリーが場に出たときに癒しのエルフの効果で1点回復。さらにオリジナルカードをプレイします。

ガイアフェアリー
2コスト2/2
ファンファーレ:このターン中にプレイしたカードの枚数分だけ(このカードを含む)、自分のリーダーを回復。プレイしたカードが3枚以上ならカードを1枚引く

 シンプルですが強力な効果です。1+1+2コストで動けば起動するので4ターン目から使えて、終盤に使えば大量に回復することもできます。
 癒しのエルフを進化してトリックデュラハンを上踏みします。
 癒しのエルフで2点とガイアフェアリーで3点回復してフワリの体力は19です。スバルは進化を使って攻め込みましたが回復されてしまったせいで進化権を有効に使えませんでした。一方で、スバルは盤面に3体残って帰ってきたので依然として盤面有利は続きます。

後攻6T:スバル
 スカルウィドウとマリスゴーストをプレイします。マリスゴーストを進化してガイアフェアリーを攻撃します。
 場残りしていたゾンビで進化後癒しのエルフと相打ち、スケルトンでフェアリーと相打ち、そしてネクロコンジュラーでリーダーを攻撃します。スバルの場は6/2, 2/2, 1/2が残ります。フワリのフォロワーをすべて片付けて、盤面を押し付けていく展開を継続します。


7ターン目

先攻7T:フワリ
 ユニコーンの踊り手・ユニコをプレイします。とにかく回復カードをたくさん積んでいるデッキですね。
 「母なる自然が命をはぐくむ!」ということでフワリの切り札が登場します。

ベネディクションエルフ
5コスト3/6
ターン終了時:相手のフォロワーすべてに2ダメージ。自分のリーダーの体力が20だった場合、相手のフォロワーすべてと相手のリーダーに6ダメージ。

 自分のリーダーの体力を参照する効果はヴァンパイア以外ではほとんどありません。面白い効果です。
 このターンのフワリの体力は17なので2点のAOE。スバルの場には3体フォロワーがいましたが体力がすべて2だったので刺さりました。
 もしフワリのデッキ内容をスバルが事前に知っていたら、攻撃先を工夫することでケアが可能でした。進化後マリスゴーストはフェアリーを攻撃して6/3で場に残し、ネクロコンジュラーを相打ちに使って、1/1, 6/3, 1/2という盤面を作るとフワリ側は困ったでしょうね。 

後攻7T:スバル
 「せめてあの世もにぎやかに。お祭り騒ぎだ!」ということでスバルの切り札が登場します。

マスカレードゴースト
5コスト3/3
場に出たとき、ゴーストを1体場に出す
自分の場にゴーストが出るたび、それを+1/+0する
自分の場のゴーストが消滅するたび、ジャイアントゴーストを場に出す
ラストワード:自分のリーダーは「次の自分のターン開始時、ラストワードを持たないマスカレードゴーストを1体場に出し、この効果を失う」を持つ

ジャイアントゴースト
4コスト4/4
守護
場を離れるとき消滅する

 どこにでも飛ばせる2点(ゴースト)を出しつつ、3/3+4/4守護で盤面を作れるカード。しかもラストワードでもう1回戻ってくるのがとても偉くて、戻ってきたターンにゴーストをいっぱい出せば盤面がゴリゴリになります。どう考えても5コストの仕事量じゃない。
 2/1になったゴーストでユニコと相打ちします。ゴーストが消滅することをトリガーにしてジャイアントゴーストが出てきます。
 デジフレカードをさらにプレイします。

プチゴースト・バケルス
2コスト1/1
ファンファーレ:ゴーストを場に出す。自分の場にジャイアントゴーストがあるならカードを1枚引く。
ラストワード:ラストワードを持たたないコスト1のプチゴースト・バケルスを手札に加える

 ジャイアントゴーストを作れるのが今のところマスカレードゴーストのみなので、実質専用コンボカードという感じです。このカードもラストワードで戻ってくるので、マスカレードゴーストと合わせて使うことでオトク感が増します。ライトもイツキもそうですが、切り札カードとデジフレは一緒に使う前提でデザインされていますね。
 バケルスが生み出したゴーストは相手のリーダーを攻撃します。フワリの体力は15。
 ベネディクションエルフは体力が6あって倒せないのでスバルは倒すのを諦めました。後攻5Tと6Tの進化があまり有効なプレイじゃなかったので、進化権が温存できているとよかったですね。次のターンにフワリが体力を5点回復できれば6点AOEが飛んでくるので、相手の手札次第で形勢が大きく変わります。スバルの盤面は3/3, 4/4守護, 4/4守護, 1/1の4面。

8ターン目

先攻8T:フワリ
 癒しのエルフ、ヒーリングエンジェル、ウォーターフェアリー、フェアリーをプレイします。癒しのエルフが3点、ヒーリングエンジェルが2点回復するのでフワリの体力は20に戻り、6点AOEが炸裂します。スバルの盤面はすっからかんになります。

後攻8T:スバル
 マスカレードゴーストがラストワードで戻ってきて、ゴーストを出します。
 アニメオリジナルカードをプレイします。

ミスチーフゾンビ
1コスト1/1
ファンファーレ:自分の場のゴースト1体は必殺を持つ

 少しピーキーですがスバルのデッキなら活躍できそうなカードです。マスカレードゴーストが出したゴーストに必殺を付与し、ベネディクションエルフを破壊します。ジャイアントゴーストが出てきます。
 ソウルコンバージョンをプレイします。スバルはジャイアントゴーストを破壊しようとしていたのですが、ライトの言葉を思い出して撃ち先をミスチーフゾンビに変えました。
 ファントムハウルをプレイします。3面空いているのでネクロマンスを3消費してゴーストが3体出ます。ここは相手の盤面を処理せずに相手の体力を詰めました。フワリの体力は14です。
 スバルの場は3/3が1体と4/4守護が4体。相手の盤面を処理するのではなく体力を詰めたほうが勝つだろうという算段でしょうか。


9ターン目

先攻9T:フワリ
 ウォーターフェアリーとフェアリーでジャイアントゴーストに攻撃します。そのあとヒーリングエンジェルで攻撃をするのですが、4/2になったジャイアントゴーストではなく別の4/4のジャイアントゴーストに攻撃しました。2点AOEに巻き込むためです。
 ウォーターフェアリーのラスワで加わったフェアリー、2枚目のユニコ、2枚目のベネディクションエルフをプレイします。癒しのエルフが場残りしているので3点回復しますがフワリの体力は17どまり。6点AOEは撃てません。ジャイアントゴーストが2体破壊され、スバルの盤面は3/1, 4/2守護, 4/2守護です。

後攻9T:スバル
 盤面に11点あるので、手札から6点出ればこのターンでスバルの勝ちです。
 バケルスをプレイ。2点のゴーストが出て1枚引けるので、この行動は確定でしょう。2枚目のソウルコンバージョンをトップドローします。
 ソウルコンバージョンでバケルスを破壊して2枚引きます。バケルスは盤面にいても何もしないので、ここを破壊するのも確定です。2枚引いたのはカースドソルジャーと怨嗟の声でした。場残りフォロワーの総攻撃で11点、バケルスが出したゴーストで2点、カースドソルジャーのファンファーレで4点でスバルの勝利でした。
 カースドソルジャーはブロンズのカードではあるのですが、リリース初期はアグロネクロの後詰のカードとして採用されることがあり、この勝ち方には懐かしさがあっていいなあと思いました。
 怨嗟の声はゴーストを2体出すカードなので、このカードでも4点出るのでは…と思いきや盤面が1つしか空いていないのでこっちではダメでした。

 

フワリだからできる煽り

 9話のテーマは「スバルの本気」。フワリはスバルに優しく話しかけてテーマを深堀していきます。

フワリ:「スバル君は苦手なんですね。誰かの期待に応えること。期待に応えるために真剣に本気になっていること。そういうのが嫌なのかなーって」
スバル:「このバトルには関係ねえな」
フワリ:「お手本見せないとですね」
スバル:「お手本?」
フワリ:「はい!期待に応えるために、本気になるお手本です」

 現実で自分がシャドバ中にこんなことを言われたらブチ切れると思います。「お前のプレイ下手すぎるからもっと真剣にやってくれよ」って言われてるようなものですからね。スバル自身も手を抜いている自覚があるからか怒りはしていませんでしたが。
 フワリが言うと嫌味には聞こえませんでした。たぶん理由は2つあって、1つは彼女のほんわかしたキャラクターのおかげなのですが、もう1つは彼女はたくさんの部員の期待を背負ってあの場に立っているという事実があるからなのかなと思います。部長として負けられないという責任を背負う覚悟をキメていて、期待への応え方を知っているのが伝わってきます。この二面性の同居がすごく素敵なキャラでした。
 スバルが言われたくないであろう言葉を真正面からぶつけるのもむしろ彼女なりの優しさを感じます。スバルの痛みに向き合う覚悟があって、こういう言葉をかけているのだなあと。フワリの底知れぬ器の大きさを感じました。最後にちゃんと謝っていましたし。

期待からの逃避

 スバルはこのバトル中で2回、試合を投げ出そうとしました。フワリの指摘通り、期待されることや期待に応えることが苦手なスバルは、そうやって自分にかかった期待を解こうとしてしまうのかもしれません。
 1回目が後攻8ターン目、ミスチーフゾンビをプレイしたあとのソウルコンバージョンの撃ち先です。4/4守護のジャイアントゴーストに撃とうとしたところをライトに呼び止められました。
 このときスバルの盤面は3/3, 4/4守護, 1/1の3面だったため、ソウルコンバージョンは1/1に撃つ以外ありえません。仮にジャイアントゴーストに撃ってしまったら、観客から見ても明らかに不自然に見えます。「スバルって実はシャドバ強いんじゃないの?」と静かに高まっていた期待がぶち壊されます。ライトは本能的にそのリスクを読み取ってスバルに声をかけたのかもしれません。
 2回目が決着のターンです。手札から6点出れば、盤面の総攻撃と合わせて勝てる場面。6点出す可能性の追求を放棄し、相手のベネディクションエルフを倒せば良い勝負っぽく試合を続けられるんじゃねという思考が頭をよぎっていました。
 ライトの言葉を思い出し、スバル自身の気持ちでその思考を断ち切りました。「この熱のままやってみるのも悪くねえか!」と言っていました。積極的に勝ち筋を見て、勝ちへこだわるのだと。ここの描き方はカードゲームアニメとして非常に上手だったので後述。


なぜスバルは本気ではないと思われたのか

 フワリとライトに「本気で戦っていないように見える」と煽られ続けていたスバルですが、プレイ自体はそんなに変ではありません。上で挙げた試合を投げ出そうとしたターンも未遂に終わりました。観客も「このまま勝っちゃうんじゃないの?」と言っていたぐらいには、ちゃんとシャドバをやっていました。2人だけがスバルの本心に気づいていたことになります。
 8話でゴーストの当て先をメイじゃなくてフェアリーにするという明確なプレイミスをして以来、スバルのプレイにミスらしいミスはありません。なぜ本気で戦っていないなんて言われてしまったのでしょう。
 ここからはシャドバオタクの深読みで、制作陣はここまで考えていないのだろうなとは思うのですが、バトル展開からスバルが本気じゃないとする根拠を無理やり作るなら2つ。
 1つ目は進化の切り方。後攻4Tの悪戯なネクロマンサーの進化は的確なプレイでした。しかし後攻5Tのトリックデュラハンと後攻6Tのマリスゴーストの進化はホントに必要だったかは微妙です。雑に進化権を使った結果後攻7Tでベネディクションエルフが倒せず、むやみにAOEを起動させられてしまいました。このプレイを見たフワリも意味ありげな表情をしていました。進化権が余っているので、深く考えずに進化を切っていたのではないかと。
 もう1つが手札にずっと残っていたソウルコンバージョン。後攻5ターン目ぐらいからずっと手札に見えていました。結果論で言えば、このカードの使い方はバッチリでした。ただ、もうちょっと早いターンでの使用を検討してもよかったかなと思う展開だったのです。
 スバルは盤面優位の展開を続けていました。1/1のスケルトンが場に残って帰ってきたこともありましたし、ゴーストにソウルコンバージョンを撃てる場面もありました。現状の手札だけで勝ち切るプランが見えていない場合、ドローをして勝ち筋を見つける必要があります。最終的に撃たない方がよいと判断するにしても、撃つかどうかの検討は毎ターンしてもよかったんじゃないかなと思ったのですね。
 アニシャドFでは考え込むシーンは少し時間を使ってプレイヤーの思考が描かれます。しかしスバルは深く考えずにコスト通り手なりでカードを出して、それなりに戦えている様子を演出できさえすればいいと考えていたのではないでしょうか。あらゆる可能性を考慮して、本気で勝ちの可能性を探る様子が見えなかったから、フワリとライトに本気じゃないと思われてしまったのではないかと考えました。さすがに深読みのしすぎだなと自分でも思いますが、こうやって考える余地を作ってくれているだけで、良いアニメだなと思います。


トップドローによる決着

 古今東西、カードゲームを観戦していて一番盛り上がる瞬間は、デッキのトップから大逆転のカードを引いて試合がひっくり返すことだと思います。シャドバの大会でもなんどもそういう神ドローで試合が決まる試合を見てきました。
 ただ、カードゲームアニメでそれをやりすぎると、冷めてしまうんですよね。ご都合主義じゃんと。現実はそう甘くないぞと。
 アニシャドFのすごいところは、切り札カードをトップドローさせないように徹底しているところです。ベネディクションエルフもマスカレードゴーストもかなり前のターンから2人の手札にあって、ここぞというタイミングで出てきました。イツキvsタツミもライトvsジェントルマンもそうでした。
 そういう積み重ねをしてきたからこそ、9話の決着が映えるのですね。バケルスの1ドローとソウルコンバージョンの2ドローで表現したかったのは、スバルに芽生えた勝ちへの執念だと思いました。何か解決札を引いてくれと本気で願ってドローをして、それにデッキが応える瞬間。やっぱりそれがカードゲームアニメで1番アツイ瞬間だと思うのです。




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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ニアーライト後編「騎士の栄光編」

 2022年4月28日開始のイベント「ニアーライト」のストーリーを整理します。この記事は「騎士の栄光編」と題して、ストーリーに出てきた5人の人物にスポットライトを当て、彼らの生きざまを整理していきます。
 監査会と商業連合の暗闘を追いかける「権力闘争編」と合わせてご覧いただければ幸いです。
yterapokemon.hatenablog.com

1. 燭騎士ヴィヴィアナ・ドロステ

1-1. 燭騎士 vs 耀騎士

 今回のメジャー本戦で最初の大騎士同士の戦いがドロステvsマーガレットでした。この戦いは監査会と商業連合の代理戦争のような様相になりました。
 ドロステはリターニア出身で、生まれ故郷にファンがたくさんいます。リターニア貴族がメジャー観戦のついでに面会を求めてくるほどです。ビジネスチャンスを虎視眈々と伺うカジミエーシュの大企業はこのチャンスを逃しません。例えばミェシュコ工業はリターニア貴族が移動式プラットフォームを建設するのを援助する契約を取り付けようとしていました。
 ドロステがメジャーで良い成績をあげることは、リターニア関連のビジネスを行っている企業にメリットをもたらします。契約締結のカギがドロステだと言い切るぐらい。それゆえドロステは商業連合の期待を背負ってしまっていたのですね。マッキーが個人的に推しているだけではないのです。
 本人も故郷には思い入れがあるようで、騎士競技で稼いだ莫大な賞金をリターニアの貧困地域へ寄付しています。国をまたぐ寄付だからなのか用途不明金としていて、それがメディアに好奇の目で見られます。ワイン風呂だとかイケメン従者だとか、PV欲しさに根も葉もないことを書かれているのですが、本人は気にしていない様子でした。
 監査会は商業連合のメンツを潰せとばかりにマーガレットを応援します。大騎士長のラッセルとニアール家の個人的な繋がりがあったり、ロドスとの協力関係があったりと、のちのち様々な理由が付随してくるのですが、基本路線はやはり代理戦争という構えでした。
 商業連合は汚い手を使ってドロステを勝たせようと本人に提案するのですが、高潔なドロステはそれを断り、2人は正々堂々と戦いました。試合はマーガレットの勝利となりました。

1-2. 生みの親と育ての親

 ドロステはリターニア貴族の私生児でした。大貴族である父と、卑しい身分の母の間に生まれてしまった子供で、父を攻撃する材料にならないように隠れて生きてきました。お屋敷の蝋燭を母が差し入れてくれたのが、戦いに使うアーツに繋がっているようでした。
 ひっそりと生きてきたものの、隠しきることが難しいと判断されたのか、ドロステはリターニアを追放されました。彼女は隣国のカジミエーシュにやってきてラッセルに拾われました。養母として彼女を育てたラッセルは、ドロステにとってはカジミエーシュで数少ない恐れを抱く相手だそうで、厳しく育てられたのかなと予想されます。現在はラッセルから食事に誘っても断られてしまうらしいですが、お互いの立場を意識してのことなのか、本当に嫌がっているのか…。
 同じリターニア出身の競技騎士ということで、ドロステは黒騎士と比べられることがよくあるようです。黒騎士は15年前、12年前、9年前と3つのメジャーを3連覇したチャンピオン。リターニア出身ですがアーツが使えず、大きな武器を振るって戦うタイプの騎士だったとのこと。ドロステは自分が黒騎士の代用品として担がれているだけだと自嘲気味でしたが、3連覇するような次元の違う騎士と比較されてしまうのは可哀想ですね。
 今回のメジャーが終わったあと、ドロステは大騎士領を離れることにしました。理由は明言されていないのですが、マーガレット戦で商業連合の意向に背いてしまったことが立場を悪くしたのでしょうか。彼女の所属するノヴァ騎士団が手回しをしていたと書かれていて、組織的な力が働いている様子でした。
 ドロステが向かった先は木漏れ日と職人の街オグニスコです。ビッグマウスモーブの故郷です。都市の名前が詩的でいいですねと彼女は言っていました。そこからマーガレットと手紙のやりとりをしている様子も描かれました。

2. 追魔騎士トゥーラ

2-1. ハガンの系譜

 トゥーラはナイツモラ(悪夢馬)という変わった種族の騎士でした。歴史上の存在として語られてきたハガンの血を受け継ぐ人物です。
 トゥーラは天路を追い求めているのだということを繰り返し口にしていました。ナイツモラの成人の儀式で、自らが定めた目標を踏破することで一人前の戦士になれるというものです。
 バトバヤルは彼の同胞の末裔らしく、衰えた老兵からバトバヤルの存在を聞いてわざわざ会いにきました。なんかんだ面倒を見てあげるバトバヤルは優しかったですね。
 ラッセルはトゥーラの祖父を知っているようで、この人が子孫を残し、トゥーラの代まで血が受け継がれていることに驚いていました。トゥーラはハガンの系譜を受け継ぐ人物であり、ハガンはテラの歴史を語るうえで外せない転換点となった人です。

2-2. ナイツモラとペガサス

 ナイツモラというのはクランタ族の中のより詳細な区分のようでした。いまは伝説上の存在になってしまっていて、サルゴンに隠れ住んでいると言われています。
 ハガンはナイツモラを率いた大昔の王様を指す言葉で、ハガンの従者はケシクと呼ばれます。ハガンは食欲のように征服欲を満たす必要があったと言われていて、数々の国を襲って征服していきました。ケシクはハガンの手足となった勇猛な戦士の集団でした。
 ナイツモラと同様にクランタ族の中にはペガサスと呼ばれる人たちがいます。かつてハガンは金色の血のペガサスと戦い敗れたと言われていました。トゥーラはマリアやマーガレットに金色の血のペガサスの片鱗を感じ取っていました。
 セントーレア曰く、ペガサスはカジミエーシュに山ほどいるとのことでした。ロイはセントーレアのことを"ペガサスちゃん"と呼びますし、トゥーラは二アール家の人たちのことをペガサスと呼びます。ナイツモラが数を減らしたのに対して、ペガサスの血はカジミエーシュ中に広がって薄れたということなのでしょうか。
 セントーレアがペガサスアイというスキルを持っていたり、マリアが「お前はペガサスの瞳を持っている」と言われたりと、"目"に関する言及が相次いでいるのも気になります。ペガサスと言われたら普通は翼があるんじゃないかと想像してしまいますよね。

2-3. カジミエーシュの転換

 大昔、カジミエーシュのあたりにはペガサスが治める国があったとのことでした。ナイツモラがもたらす混乱によって国が転覆し、騎士の国へと移り変わりました。
 ペガサスのことをトゥーラは"時代遅れの神民"と呼び、ペガサスの国が倒れたことをラッセルは"神民統治の転覆"だと言っていました。現代のテラを生きる人たちは先民(エーシェンツ)と呼ばれるので、両者には何らかの差異があるものと思われます。
 神民の血を引いていると明確に言われているオペレーターが1人います。スズランです。彼女は極東出身の父から神民の血を受け継いだと言われていて、通常のヴァルポとは異なり9本の尻尾を持ちます。父の同僚も尻尾がたくさんあるとスズランが言っています。
 九尾の狐、悪夢を象徴する黒い馬(ナイトメア)、羽の生えた馬(ペガサス)と並べてみると、神民というのは現実の生き物ではなく空想上の生き物をモチーフにしている人たちなのかなと想像できます。ただ、スズランの例のように先民と神民は子供を設けることができるようで、両者の間の本質的な差異とは何なのか気になります。
 ペガサスの国が倒れたあと、騎士が国を治めるようになるのですが、彼らは武人のため暴虐な振る舞いに民衆は困っていたようです。従者たちは団結して騎士を追い落とし、いまのカジミエーシュの統治体制を作り上げます。従者団は権力を増して商業連合へと姿を変え、裏から国を支配しています。

2-4. ハガンの天路とトゥーラの天路

 トゥーラはメジャーが終わると天路への旅路を続けるためにカジミエーシュを出て北に向かいました。ウルサスを突き抜けてテラの外側へと足を踏み入れていきました。
 ラッセルがハガンの天路について語ってくれたシーンがありました。ハガンのスタート地点はウルサスの東側。昔は豊かな草原地帯だったと言っていました。そこからヒッポグリフが治める当時のウルサス、ペガサスが治める当時のカジミエーシュ、千の塔がそびえる当時のリターニアを越えていきました。
 今は亡きガリアとも戦ったと言われていました。かつては世界の首都と言われ、国をまたぐ交流にはガリア語が使われた時代があったと言われていますが、四皇会戦という戦いでヴィクトリアを含む連合軍に敗れて地図上から消え失せました。
 ハガンはサルゴンの南側を目指したと考えられます。「遺塵の道を」でケルシーやイシンがポロポロと喋ったことがヒントになります。ケシクは古代サルゴン王と同盟を結んだこと、ハガンは文明の外側の征服を決心したこと、ケシクの大軍がサルゴンの南に広がる無人の砂漠に突撃していったこと、沁礁パーディシャーは悪夢の血を引くクランタだったこと、などなど。
 現在、ナイツモラがサルゴンに隠れ住んでいると思われているのは、ハガンの最後の地がサルゴン周辺だったからなのではないかなと思われます。トゥーラもサルゴンからカジミエーシュまで歩いてやってきたと言っていました。
 地図上に示したように、トゥーラの天路は南から北へ向かう矢印であり、ハガンとは逆です。トゥーラはサーミ付近で文明の境界線を越えていったと考えてこの矢印を引きましたが、ハガンの天路を完全に逆走していった可能性もあります。
 バトバヤルはトゥーラが母を追いかけて死を求めているのではと言っていました。文明の外側を目指すというのはテラの人々にとっては死とほぼイコールです。テラの北側には皇帝の利刃が宿す悪魔がいたり、ケオベの茸狩迷界の寒災がいたりするらしいです。文明の南側を突き抜けたハガンがどうなったのか明らかになっていないように、北側を突き抜けたトゥーラがどうなってしまうのかは全然分からないなと思いました。

3. 血騎士ディカイオポリス

3-1. 感染者騎士法

 ディカイオポリスは感染者騎士法を提案し、感染者に生きる道を示した英雄です。ただ、彼の競技騎士としてのキャリアを振り返ってみると、商業連合に良いように使われて来たんだなというのが見えて悲しくもなります。
 ディカイオポリスが感染者であることを公表しながらメジャーを目指すきっかけを作ったのはチャルニーでした。彼は感染者騎士で構成されるブラッドゴブレット騎士団の設立をディカイオポリスに持ち掛けました。マッキーもこれをカジミエーシュの感染者の1つのモデルケースにしたかったと言っていて、感染者問題に頭を悩ませる商業連合が解決の糸口を探った一手だったのだなとわかります。
 3年前にメジャー優勝を果たしたあとにディカイオポリスが提案した感染者騎士法は、監査会と商業連合が共同で採択するという異例の対応がとられました。メジャー優勝者の強い影響力を考慮してのことだったとは思いますが、裏側で働いたであろう組織的な力も感じます。
 ディカイオポリス自身は純粋に世のため人のために行動を起こせる人物で、自分と同じ感染者のためになるなら労力を厭わない人です。自分が利用されていることは分かっていたはずですが、少しでも感染者のためになるならとこの道を選んだのかなと思います。
 マーガレットに敗れたあと、ディカイオポリスは競技騎士を引退しました。大騎士領を離れ、小さな村で隠居することにしたようでした。農業をしながら暮らしていくつもりのようです。
 ラストはロイがこの村に尋ねてくるという不穏な締め方でした。「お2人さん」と声を掛けられていたことから、モニークも一緒だった様子。日をまたぐ描写がなかったことからディカイオポリスと同日に村に来ています。せっかく彼が安らかな余生を見つけられたと思ったのに、胃が痛くなる終わり方だなと思いました。
 ディカイオポリスを殺しに来た以外に、ラズライトが村に来た理由を考えるのは難しいのですが、殺す動機が見当たらない気がします。無冑盟は商業連合の命令をもう聞いていません。無冑盟の存在を知っているので口封じに来たというのが一番ありそうな理由ですが、ディカイオポリスとそんなに深く関わっていましたっけ。
 ディカイオポリスほどの有名騎士が引退したことを世間は知らない様子だったので、引退する際に何か事件が起きてしまったのかもしれません。

4. ムリナール・ニアール

4-1. 黄金平野の夜明け

 ムリナールのお父さんであるキリル・ニアールの話が初めて語られたのでまずはそこから整理します。
 大騎士長ラッセル・イオレッタが現役の征戦騎士だったころ、キリル・ニアールも同じ部隊にいました。カジミエーシュとウルサスが何度も交戦したカウ戦争において彼らは活躍しました。
 あるとき、漆黒の沼地で多くの征戦騎士がウルサスの包囲を受けました。ラッセルとキリルを含むたった7人の騎士が救助に向かいました。7人は出発前に「苦難と闇を恐れるべからず」と盾に刻み、絶望的な戦いへと身を投げ出しました。
 合流したあと、その場の41人の騎士は同様に自身の装備に同じ言葉を刻みました。マリアとマーガレットもたびたび口にしていましたが、「苦難と闇を恐れるべからず」はニアール家の家訓です。キリルが来ていたので言葉を借りたのでしょうか。
 41人の騎士は3000人の敵を殲滅しながら東に向けて包囲を突破しました。生きて戻ってきたのは7人にまで減ってしまいましたが、全員分の盾は持ち帰ってきました。この戦いは黄金平野の夜明けと呼ばれていて、征戦騎士なら誰もが知っている有名なエピソードだそうです。キリルが戦争の英雄と呼ばれる所以の1つなのかなと考えられます。

4-2. 兄夫婦を探す旅

 ニアーライトの最後でムリナールは兄夫婦を探す旅にでかけることにしました。
 ムリナールの兄はキリルと同様に征戦騎士でした。奥さんはムリナール曰くカジミエーシュで最も美しい宝石のような女性だったとのこと。15年前に失踪してしまったため、マーガレットの記憶にもほとんど残っていないみたいです。カジミエーシュにおいてこの2人の失踪は禁忌事項らしく、ちょっとでもメディアが言及しようとするとその記事は即座に削除されてしまうという話が耀騎士ニアールのプロファイルに書かれています。
 クロガネとムリナールの会話の中で、2人の失踪に関わる機密ファイルの存在に言及されました。征戦騎士を指揮する監査会の機密が記載されていて、いまはチャンピオンウォールに隠されているらしいです。いままで何度も物語の舞台になってきた場所ですが、あんなところに大事なものが隠されているんですね。このファイルの管理人はラッセルとは別の人物らしく、頑固者だとクロガネは言っていました。
 近年のニアール家は征戦騎士をずっと輩出し続けていて、マーガレットも過去に征戦騎士に誘われていたようです。国に命令される兵器にはなりたくないという理由でマーガレットは断ったようでした。ラッセルはキリルを説得できなかったことがあると言っていましたが、それは何のことを指しているのでしょうか。
 15年間失踪し続けている兄夫婦を、ムリナールはどうやって探すつもりなのでしょうか。どこかに匿われているのでしょうか。監査会の重要な任務の中で失踪したのではと耀騎士ニアールのプロファイルでは書かれていて、カジミエーシュという国を揺るがす大事件に対処した結果、姿を消さざるを得なくなったのかもしれません。

5. トーランド・キャッシュ

5-1. カジミエーシュのバウンティハンター

 ニアーライトの物語を引っ掻き回したトーランドという人物は、故郷をウルサスに破壊されてバウンティハンター(賞金稼ぎ)をしながら暮らしています。
 トーランドはカジミエーシュのバウンティハンターを組織化して、大騎士長外で活動をしていました。ファイヤーラングとイェモークという同業者が突然いなくなってしまい、バウンティハンター業界において突然大きな縄張りが空白になったため、そこを抑えるために大人数を統制する必要があったのでしょう。
 この2人のバウンティハンターがいなくなったのはスカジの仕業です。イベント「騎兵と狩人」でケルシーに渡すためのカギを手に入れるため、スカジはバウンティハンターの有名どころを片付けました。まわりまわってこんなところに影響が出ていたのは面白いですね。
 ニアーライトでトーランドが大騎士領に戻ってきたのは、ムリナールを説得するためだと言っていました。彼らはかなり古い付き合いのようで、初対面のときにムリナールが遊侠と名乗ったというエピソードも披露されていました。トーランドがムリナールを説得したかったのは何についてだったのでしょう。
 トーランドはいろんな勢力に声をかけていましたが、腐敗騎士と凋零騎士に声をかけたのは、同じサルカズ族だからだという理由のようでした。トーランドの種族は見た目ではわからないのですが、角を削ったサルカズだと言っていました。無冑盟にボロボロになるまで酷使された2人の騎士を放っておけなかったのでしょう。
 モニークがシャイニングに「サルカズが角を削るとしたらそれは何のためなの?」と質問したシーンがありました。あれは恐らく、なんでトーランドが角を削っているのか興味を持ったからなのではないかなと思います。

5-2. 「連合」の結成

 トーランドのいまの目標が最後に語られました。感染者の「連合」を作るのだと言っていました。この名前は憎き商業連合の一部をとったものなのですが、「名前の一部なら見習っても構うまい」と割り切っている様子でした。
 トーランドは錆槌(ラスティハンマー)と戦ったことがあると言っていました。イベント「灯火序曲」で詳しく語られましたが、錆槌は荒野で生きる排斥された人たちの集団です。カジミエーシュでも感染者は悲惨な暮らしをしており、一歩間違えると錆槌のように生きていくことになります。トーランドはあんなふうにはなりたくないと心に決め、感染者同士で団結して生き抜いていこうと、「連合」を作ったのだと思います。
 トーランドも当然感染者なのかなと考えられるのですが、彼が感染しているかどうかは明言されませんでした。サルカズなので感染しやすいとは思うのですが。
 トーランドはレッドパイン騎士団にも声をかけて、「連合」への協力を依頼しました。ソーナはこの申し出を最初は悩んでいましたが、活動の幅を広げてみたいということで承諾をしました。
 ソーナが連れていかれた村には「騎兵と狩人」の舞台である滴水村の村長のキャロルがいました。「騎兵と狩人」を読む限り、彼女が感染者なのかどうかはわかりません。単にこの村を根城にしているだけなのか、彼女も感染者なので居場所を提供しているのかよくわかりませんでした。
 トーランドに関するお話は起承転結で言うところの「起」だけで終わってしまいました。マリア・二アール→赤松林→ニアーライトは大騎士領の騎士たちにスポットライトが当たった三部作でしたが、今後のカジミエーシュイベントでは移動都市外に生きる感染者が注目されていくでしょうか。


 前編も合わせてお読みいただけると幸いです。
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【原作勢目線】アニメシャドウバースF 8話感想-期待なんて呪いだよ

 アニシャドFの8話の感想文です。

フワリ vs スバル

 ライトの期待のまなざしに負けてスバルがバトルすることになりました。

1ターン目

先攻1T:フワリ
 パスです。

後攻1T:スバル
 パスです。

2ターン目

先攻2T:フワリ
 フェアリーウィスパラーをプレイします。ファンファーレで手札にフェアリーが2枚加わります。

後攻2T:スバル
 怪犬の墓守をプレイします。場にいると消滅でも墓地が増えるようになりますが、今回その効果は働きませんでした。

3ターン目

先攻3T:フワリ
 フェアリーウィスパラーで怪犬の墓守に攻撃し、フェアリー2枚とベビーエルフ・メイをプレイします。メイのファンファーレで怪犬の墓守に1ダメージで破壊します。

後攻3T:スバル
 アニメオリジナルカードをプレイします。

トリックデュラハン
3コスト2/1
このフォロワーが場に出たときゴーストを1体場に出す
ラストワード:自分のリーダーは「次の自分のターン開始時、トリックデュラハン1体を場に出し、この能力を失う」を持つ

 ヘリオに似た使用感の効果です。ヘリオの効果は相手のターン終了時に働くため、出てきたゾンビはすぐに攻撃できます。一方でトリックデュラハンの効果は自分のターン開始時に働くので、復活したターンは攻撃ができません。

 そのぶん、トリックデュラハンにはゴーストを出す効果がついてくるのがオトクです。この効果は場に出た時に働くので、リアニメイトで復活させても効果が働きます。恨みの語り部と同じようなコンセプトで、リアニメイトしてゴーストを利用してねというデザインになっています。

 トリックデュラハンが生み出したゴーストでフェアリーを攻撃します。この攻撃先が物議を醸すものだったので後程書きます。

4ターン目

先攻4T:フワリ
 場残りしたフェアリーとメイで相手のリーダーを攻撃します。
 自然の導きをプレイします。メイを手札に戻してカードを1枚引きます。
 メイを再びプレイ。ファンファーレで1ダメージを飛ばし、トリックデュラハンが破壊されます。トリックデュラハンのラストワードが発動します。
 エルフガードをプレイします。このターンにカードを2枚プレイしていたので、自身を+1/+1して守護を持ちます。

後攻4T:スバル
 ターン開始時にトリックデュラハンが場に出て、ゴーストを1体生みます。
 悪戯なネクロマンサーをプレイして進化します。進化時能力でゴーストが2体場に出ます。
 悪戯なネクロマンサーでエルフガードを破壊、2体のゴーストでメイとフェアリーを破壊。さらに1体ゴーストが余るので相手のリーダーに攻撃しました。
 メイを再利用されてしまってフワリの盤面が少し広がりましたが、進化時効果で上手く盤面を取り返しました。スバルは幽霊部員を自称するだけあってゴーストをいっぱい使うデッキなんですかね。

スバルのプレイミス

 後攻3ターン目のスバルのプレイにまつわる演出がとても興味深いものでした。
 スバルの場に疾走を持つゴースト出て、フワリの場にいるフェアリーかベビーエルフ・メイのどちらに攻撃するかという場面で、スバルはフェアリーを選択しました。

観客A:「いまのはミス…だよな?」
観客B:「だな。エルフクラスはフォロワーを手札に戻してくるクラスだし」
観客C:「ゴーストで攻撃するのは、メイの方が良かったと思うけど」

 観客の指摘通り、メイを自然の導きで手札に戻して再利用されてしまい、スバルもプレイミスに気づくという演出でした。
 リリース時点から現在に至るまで、あらゆるシャドバプレイヤーが遭遇してきた問題だと思います。どっちを破壊しておくべきか問題。バニラのフェアリーの優先度は落とすべきだと思いますが、フェアリー限定でバフをかけるカードもあるのでケースバイケースです。
 今回はスバルの場には2/1のトリックデュラハンしかいませんでした。メイを手札に戻せたら相手が大きくアドバンテージを稼いでしまうことを認識して、メイを攻撃できるかどうかがカードゲーマーとしての上手さの表現になっていました。観客はそれに気づいたけどスバルはそれに気づかないという違いを描くことで、スバルはシャドバがあまり上手くないよと視聴者に示したのです。
 自然の導きやエンシェントエルフなど、メイが手札に戻るカードがなかったらスバルにとってはディスアドバンテージになっていませんでした。特定のカードを相手がたまたま持っていたからミスが顕在化してしまうことはよくあります。結果論だと切り捨てるのは簡単ですが、あらゆる可能性を考慮して小さな選択肢も疎かにしないのが上達のカギ。1%でも勝率を上げるために、上手な人たちはこういう細かい選択肢を真剣に検討します。
 この微妙な差でスバルの立ち位置を描いたのが非常に繊細な演出だったなあと感激しました。1話でライトが1/2のゴブリンで2/2のドワーフアルケミストを攻撃したような、「始めたばかりの初心者」ではなく、「ちょっとやっているけど細かいケアに気づかない人」をシャドバらしく上手に描いたワンプレイだったなと思います。

2人が背負った期待

 スバルとフワリが一緒に帰るシーンの会話の空気感が好きでした。

スバル:「有名人だから苦労してるんすよ、オレもね」

 スバルの兄弟はプロプレイヤーのセブン・シャドウズの一員のようでした。7人の頂点のうちの1人が身内にいるのなら、シャドバカレッジでは有名人になっちゃうでしょうね。観客もスバルのことを知っているようでしたし。

フワリ:「はい~。大変です。でも、みなさん期待してくださってますから」
スバル:「期待なんて呪いだよ…」
フワリ:「そうですか?誰かのために頑張るってすごくいいことだと思いますけど」

 スバルがシャドバをあまり真剣にやっていない理由がなんとなくわかります。嫌になってしまったのでしょうね。期待されることと、期待を裏切ってしまうことに。
 8話ではスバルの紹介をしつつ、フワリのすごさを間接的に語っている構造も良いなあと思いました。期待をポジティブな燃料に変えて、日夜頑張り続けているのがフワリという人なんだなとわかります。胸のうちに秘めたものはまだわからないのですが、ただただのんきで優しいだけの人じゃない、"凄み"のようなものが漏れ出していて良かったなと思いました。
 スバルからしてみれば他人からの期待はマイナスでしかないけれど、プラスに働くこともあるよねというのをフワリを使って描こうとしているのかなと思います。賛否あるものを語るとき、どちらか片方だけに寄りすぎない姿勢が素敵です。



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【アークナイツ】ストーリー考察/感想 - ニアーライト前編「権力闘争編」

 2022年4月28日開始のイベント「ニアーライト」のストーリーを整理します。この記事は「権力闘争編」と題して、ロドスが巻き込まれたカジミエーシュの組織間抗争の経緯を振り返ってきます。



1. カジミエーシュ勢力図


 
 カジミエーシュの勢力図の概観を眺めるところから始めます。
 権力闘争の主役は監査会と商業連合の2つです。監査会は行政府であり、国防軍である征戦騎士を指揮する権限を持ちます。商業連合は企業の経済的結びつきで成り立つ組織で、莫大な資本の力を使ってカジミエーシュを牛耳っています。
 競技騎士は興行として戦いを披露するエンターテイナーです。感染者騎士法によって感染者も競技騎士になれるようになりましたが、満足のいく暮らしができるのはごく一部。感染者騎士たちが地位向上を目指して監査会と行った取引がカジミエーシュを大きく動かしました。
 商業連合は騎士たちに対抗する武力として無冑盟を抱えていますが、無冑盟が商業連合の支配から脱しよう反逆を起こしたのもニアーライトの大きな動きの1つでした。
 そのほか、騎士競技を司る騎士協会は、スポンサーである商業連合の傀儡同然となっているため、ニアーライトでは存在感がありません。国民議会は司法府と立法府を兼ねた組織のようで、立場的には監査会に近い組織だとは思うのですが、独自の意思を持って動くこともありました。
 各勢力の思惑が絡み合う中で、ロドスはより多くの感染者を救うために難しい舵取りを迫られます。協力か敵対かという単純な二元論では割り切れない権力闘争の中で、信念を貫くための戦いが始まりました。

2. 零号地の秘密

 権力闘争にロドスが深く関わることになってしまった原因は、感染者への治療、そして零号地にあります。
 ロドスがカジミエーシュを訪れたのはこの地の感染者に対してよりよい治療を施すことができると監査会に提案したからです。マーガレットをカジミエーシュに送り届けたいというもう1つの理由もありました。

 監査会はロドスの提案を受けます。感染者共同医療組織という監査会直轄の組織の構成メンバーにロドスを参加させ、医療チームが現地で活動できるように手配を整えました。ロドスが編成したチームは、シャイニング、ナイチンゲール、Touch、ハイビスカスを含む医療オペレーター中心の構成でした。彼女らは大騎士領の感染者の治療に追われることとなりました。監査会が感染者に医療を施していたのは、心から人道的支援を行いたかったというよりかは、大騎士領の民衆へのポーズの意味が大きかったようでした。
 治療に必要な物資や資金は商業連合が援助を行っていました。また、感染者共同医療組織のロドス以外の企業はカジミエーシュ内の大企業がほとんどです。監査会直属とはいいつつ、商業連合も強い影響力を持つ組織でした。
 商業連合は優秀なビジネスマンの集団です。より多くの利益を得るために常にアイディアを模索しています。大騎士領の感染者は鉱石病罹患のリスクが高い掘削業などの危険な仕事を斡旋することで利益をもたらすことができる存在ですが、働けないほどに病状が進んでしまった人に価値はありません。悪魔的な発想が実行に移されました。働けなくなった感染者を文字通り「処分」する場所を生み出したのですね。それが零号地です。
 零号地はミェシュコ工業が提供した小型のプラットフォームで、正式な提供リストには含まれていません。商業連合は秘密裏に感染者の処分を行っていましたが、監査会も噂を掴んでいたことでしょう。調査をするきっかけを探していました。
 そこで白羽の矢が立ったのがロドスです。ロドスは外部企業なので商業連合とのしがらみがありません。零号地への切り込みに監査会が必要としているカギは2点ありました。1. 正式な理由で零号地を調査できる口実。2. 商業連合が抱えている無冑盟に対抗できるだけの武力。これらを監査会がどのような手段で手に入れていくかを意識して物語を追いかけていきます。


3. ロイとムリナールとシャイニング

 前述の2つのカギを手に入れるため、監査会はレッドパイン騎士団に取引を持ちかけました。レッドパイン騎士団は条件を飲み、大騎士領に再び大分断を起こす計画を練りました。計画は当然秘密にしていたのですが、実はいろいろな人にバレてしまっていました。
 無冑盟にとっては大騎士領での盗聴や隠密調査など朝飯前です。レッドパイン騎士団がやろうとしていることはロイから商業連合に密告されてしまい、無冑盟に正式な形で任務が下ります。感染者騎士を掃討せよと。
 大分断作戦を事前に知っていた人物がもう1人いました。トーランドです。彼はレッドパイン騎士団に直接接触をして、彼女らの信頼を勝ち得ました。そしてその情報をムリナールへ流しました。ムリナールはさらにシャイニングへと情報を伝え、無冑盟の掃討作戦の実施場所で待ち合わせをしました。彼らは感染者を守ろうとしたのですね。
 その結果、三者が鉢合わせになり、勝てないと悟ったロイがダッサい言い訳をして撤退せざるを得なかったのがこのベンチのシーンでした。印象的でしたね。

 ムリナールはさっさと帰ってしまいましたが、シャイニングは守ってあげた感染者から話を聞き、零号地で起きている真相を知りました。シャイニングはのちにロドスに戻り、ドクターにカジミエーシュの感染者事情をいろいろと伝えました。しかしそのタイミングではすでにドクターは大部分を把握していると言っていました。グラベルやマルキェヴィッチを経由し様々なソースから情報を集めていたようでした。


4. 大停電作戦・計画フェーズ

 レッドパイン騎士団の面々は、自分たちの計画がバレているとは露も知らず、着々と準備を進めていきました。この計画はソーナと監査会のデミアンという人物が裏で繋がって練られたものです。以下のような手順が計画されました。
 グレイナティが大騎士領の動力センターを襲撃し、大規模な停電を引き起こすのがスタートです。都市インフラの警備は監査会の担当らしく、デミアンが警備を手薄にするように手回しをします。ユスティナとシェブチックがこれを支援し、イヴォナが無冑盟を引き付けることで実現の確度を高めます。
 大停電を起こす狙いは、ソーナが商業連合ビルに侵入することにありました。彼女はサーバルームに忍び込み、2つの情報を盗み出すことを狙いました。零号地の情報と、無冑盟の人員リストです。レッドパイン騎士団はこれら2つの情報をデミアンに提供し、その対価として監査会は感染者たちの合法的な身分を保証するというのが取引の内容でした。
 デミアンは手に入れた情報を使って商業連合に打撃を与えることができるぞと踏んでいたようでした。


5. 大停電作戦・実行フェーズ

 計画というのはなかなか思い通りにはいかないものです。
 前述の通り作戦はすべて無冑盟にバレてしまっていました。無冑盟にも商業連合の支配を脱したいという別の思惑があったため、レッドパイン騎士団をただただ邪魔するということにはなりませんでした。
 本来グレイナティが実行するはずだった動力センターへの襲撃は、モニークが代わりにやってくれました。停電は無冑盟にとっても必要だったのです。また、無冑盟を引き付けるのが仕事だったイヴォナもモニークの前に沈みます。仕事ができる女です。
 無冑盟にバレているとわかった時点でソーナの侵入はストップしたほうがよかったかもしれません。しかしレッドパイン騎士団が連絡に使っている通信路がピンポイントで妨害され、ユスティナは各人に情報を伝達できませんでした。ソーナには周りが停電しているということしかわからず、商業連合ビルへと突入していきました。無冑盟の思う壺だったわけです。

 華麗な身のこなしで情報を盗み出すことに成功したソーナでしたが、彼女しかいない部屋に電話がかかってきたとき、自分が何者かの手のひらの上にいることを悟りました。
 電話の主はソーナが持っているチップをロイに渡すよう脅しました。しかし両方ではありません。無冑盟のリストだけで良いと言ったのです。情報の元になった商業連合のサーバはすでにロイが破壊してしまったので、チップの中にあるのが最後の情報とのこと。
 この電話の主が誰だったのかは明言されませんが、無冑盟のトップのクロガネだったのかなと思います。仮に商業連合のお偉いさんだった場合、サーバを破壊する理由がありませんし、零号地の情報の方が守りたかったはずです。片方だけ持って行っていいよという取引を持ちかけるのは変です。クロガネは零号地には興味がないので、ソーナから監査会に渡って商業連合が打撃を受けてくれる分には構わないというスタンスだったのではと思います。
 クロガネは商業連合の重役のうち、無冑盟の正体を知っている人たちを停電に乗じて皆殺しにしてしまいました。商業連合の支配を脱する作戦の1つです。このタイミングで殺すことで、レッドパイン騎士団に罪を被せることができます。サーバも破壊できたので、無冑盟の構成員を知っている人物がこの世から消え失せてしまいました。
 商業連合は大企業の重役たちが集まっている組織であり、企業対企業の利害対立が内部で起きることがあります。無冑盟を直接動かせる人が交渉の優位に立てますから、無冑盟を知る人物は自然と絞られていきます。それゆえに物理的に全員を殺して回るという荒業を使うことができたのですね。

 ソーナは電話の主との交渉を打ち切り、窓から飛び降りてロイから逃げます。クロガネなら飛び降りたソーナを空中で撃ち抜いてビルに磔にできたかもしれませんが、ソーナの動き出しが早すぎたのか、殺す必要はないと考えたのか…。
 ソーナは援護に来たグレイナティと一緒にロイから逃げようとしますが、2人がかりでもロイには勝てません。ソーナはロイの矢に貫かれてしまいますが、ドロステに助けられました。チップはグレイナティが確保し、ソーナはドロステに連れられて大騎士長ラッセルに面会することになりました。
 ラッセルは監査会のトップなのでソーナたちの企みを知っていました。養子のように育てたドロステを使ってレッドパイン騎士団を助け、ソーナがどういう人物なのか確かめたかったのかなと思います。

6. 銀槍の入城

 レッドパイン騎士団と無冑盟がドンパチしている間に、もう1つ大きな動きがありました。征戦騎士団であるシルバーランスペガサス騎士団、通称銀槍のペガサスたちが大騎士長に突然現れたのです。
 征戦騎士たちは普段、ウルサスやリターニアとの戦争に備えて国境付近の警備に就いています。大騎士領とは物理的に距離があるため、簡単には戻ってこれません。また、戦争兵器である彼らは平時に都市に入ってくることができないようにもなっているようです。代弁者マッキーは国民議会に第二法に抵触するのではと問い合わせていました。
 監査会は大停電を口実に使いました。非常事態においては監査会は征戦騎士を派遣する権限を持つからです。しかし停電が起きてから移動していては即座には戻ってこれません。銀槍のペガサスたちはあらかじめ偽装工作を行い、大騎士領付近に潜んでいました。初めからレッドパイン騎士団を使って銀槍のペガサスを呼び戻すつもりだったのですね。
 この工作にはドクターも絡んでいたっぽいです。

 ソーナはその後デミアンと無事取引を行いました。デミアンには少し浅はかなところがあるとラッセルは言っていましたが、彼には考えがあるとも言っていて、取引を行うこと自体はラッセルも了承していました。
 これにより監査会は当初の目的を達成しました。零号地の情報を使って商業連合の秘密を暴くとともに、無冑盟が邪魔をしてきたとしても銀槍のペガサスで対抗することができるようになりました。

7. セントーレアvsグラベル、モニークvsシャイニング

 銀槍のペガサスが大騎士領にやってきたことは商業連合にとっては不愉快なことです。特に、ロドスが監査会を補佐して暗躍していることを知った感染者医療組織の企業たちは焦りました。「功を焦った愚か者」と評されていた一部の企業の重役は、独断で無冑盟に命令を飛ばし、ロドスの始末と零号地の掃討をさせようとしました。
 ドクターは商業連合の様々な人間と付き合う中で、商業連合は利益という絆で繋がっているにすぎず、重役たちは4種の人間に大別できることが分かったと言っていました。味方になってくれそうな人もいれば、敵として襲ってくる人もいるだろうということはわかっていたのでしょう。
 セントーレアが無冑盟を率いてロドスの襲撃にきたとき、グラベルが必死に応戦していましたが、セントーレアにかかってきた電話で戦闘が中断されました。商業連合の中でもロドスの味方になってくれた側の人が襲撃を中止させました。マルキェヴィッチがロドスを商業連合の臨時加盟組織に加えたのだともドクターは言っていて、攻撃の正当性を欠いたのかなと思います。零号地の感染者たちは価値を生み出せるのだということをドクターが説いた結果、商業連合には内部分裂が起きたのですね。ドクターは監査会に協力するだけでなく、自分たちの身を守るための方策も探っていたようでした。
 それとは全く別のところで、モニークもドクターを狙っていたのですが、こちらはシャイニングがモニークの矢を3本叩き落として勝利となりました。シャイニングが実は相当スゴイ剣の使い手だということはプロファイルにも書かれているのですが、ラズライトをコケにしてしまうぐらいだとは…。



8. メジャー決勝戦を巡って

 メジャーの決勝戦が終わると同時に、監査会と無冑盟の最後の戦いが始まりました。
 マーガレットの優勝に水を差す形で、ビッグマウスモーブは彼女が非感染者であるという真実をバラしました。これはマルキェヴィッチが考えた作戦で、感染者騎士がチャンピオンになることでカジミエーシュの感染者たちが盛り上がることを防ぎ、事態をコントロールしたいという狙いがありました。
 この暴露作戦についてはドクターがあらかじめ予見していて、マーガレットは全く動揺した素振りは見せませんでした。自分の身体のことは自分が一番良く分かりますから、もともとマーガレットは真実に気づいていたようでした。祖父が自分をカジミエーシュから遠ざけるためのウソだったと。
 決勝戦でマーガレットが勝ったら無冑盟は彼女を殺すつもりで構えていました。監査会とロドスに近く、商業連合に従わないチャンピオンは厄介でしょうし。血騎士と一緒にチャンピオンウォールに向かったのも彼らにとっては最悪で、せっかく暴露したのに感染者騎士がお立ち台に乗ってしまいます。
 無冑盟が全力でマーガレットを殺そうとするのをロドスやレッドパイン騎士団のメンバーが阻みます。ただ、勝負の決め手となったのはやはり銀槍のペガサスの存在でした。マーガレットの命は守られ、騎士の栄誉も踏みにじられずに済みました。
 チャンピオンウォールでラッセルはドクターに感謝を述べます。いくつかの企業が零号地関連の申請をしてきたことで、監査会は零号地を調査する機会を得たのだとラッセルは言っていました。それはドクターの功績でしょうと。
 最終的に零号地の管理は商業連合から監査会に引き継がれ、征戦騎士が巡回するようになりました。これで無冑盟は簡単には手出しができなくなりました。

9. マルキェヴィッチの今後

 今回の一連の暗闘はロドスを味方につけた監査会に軍配が上がりました。商業連合は零号地や無冑盟の件で痛手を負いましたが、気にしていない人も中にはいました。
 それがローズ新聞の代表取締役であるケーンという人です。通称「記者」と呼ばれるこの人は、代弁者マッキーのお父さんでした。ケーンはマルキェヴィッチに電話越しに語りました。監査会には好きなだけメンツを与えておけばいいのだと。今の時代、カジミエーシュの真の敵はウルサスやリターニアの軍事力ではなく、先端企業を多く輩出しているクルビアの経済力なのだと言っていました。いかにもビジネスマンらしい視点です。
 ニュースコンテンツの中で、ローズ新聞がクルビアに支社を作ったことが関連記事として記載されていました。ここに繋がっていたのですね。

 ケーンはしがない下っ端だったマルキェヴィッチの優秀さに目をつけ、ミェシュコグループから引き抜いて代弁者にしました。マルキェヴィッチは代弁者の務めを立派に果たし、ケーンの直々の右腕になることになりました。耀騎士ニアールの回想秘録を見ると、マルキェヴィッチは代弁者をやめてローズ新聞の会長補佐としてメディアの世界に飛び込んでいました。
 そんなマルキェヴィッチが唯一気がかりだったのが、前任のチャルニーのことでした。オルマー・イングラが感染者騎士を競技中に殺害した件で、マルキェヴィッチは国民議会にイングラを告訴しました。担当者はイングラの再審を行う代わりに、国民議会に賄賂を贈ったチャルニーを消せという交換条件を要求してきました。チャルニーは罪人であり、追放されたのは彼が罪に問われると都合が悪い人がいたからでした。
 チャルニーは表向きにはマーガレットがスタジアムに突入してマリアを救った件の責任を問われて流刑になっていました。タイタスが流刑先を教えてくれたので、マルキェヴィッチはチャルニー本人と対面することができました。
 チャルニーはマルキェヴィッチが自分の死を要求されているだろうと知っていて、毒をあおって自死することを提案しました。飲んだかどうかは明示されませんでしたが、「乾杯!」とまで言っていたので飲んで亡くなった可能性の方が高そうだなと思っています。
 毒を飲むよりも恐ろしいことが待っているから自死したのか、心優しいマルキェヴィッチは自分を絶対に殺せないことをわかっていて彼を助けたのか、チャルニーの胸のうちは分かりませんでした。
 チャルニーを死に追い込んだものに対して、マルキェヴィッチは抗い続けて見せると言っていました。マリア・ニアールから始まったカジミエーシュの物語で、彼は大きな変貌を遂げた人物となりました。

10. 無冑盟とは何だったのか

 無冑盟は商業連合が騎士に抗うために作った暗殺組織なのだと思っていました。しかしこの組織の結成理由は全然別のところにありました。
 無冑盟を立ち上げたクロガネは伝説のサルカズ傭兵らしいです。民衆を虐げていた非道な貴族騎士を黒金製の矢で撃ち殺しました。これが最初の騎士殺し。史上初の無冑盟であり、そこから半世紀以上をかけていまの無冑盟を作り上げたと言われていました。
 ただ、この逸話は1人の人物しか出てきません。クロガネが3人いると言われているのには意味があるはずです。2人目と3人目のクロガネは我々がよく知っている人だったりして…?
 モニークはヴィクトリア出身のフェリーンです。ヴィクトリア軍に所属していたのですが、貴族の出ではないので将校になれず燻っていたところを商業連合に引き抜かれました。
 ロイはモニークよりも在籍期間が長く、十数年ラズライトに在り続けているらしいです。種族は明らかにされていないのですが、ボリバルの廃墟からやってきたと言われていて、ペッローなのかなと思ったりしました。
 セントーレアはマリア・ニアールや赤松林で言われていたように、前任のプラチナが裏切りで処刑されたときに急遽抜擢された人物です。前任のプラチナはクロガネの矢によってビルに磔にされてしまったのだという怖いエピソードが語られました。

 クロガネは大停電に乗じて商業連合との繋がりを完全に断ち切りました。クロガネの正体を知る人はもう商業連合の中にはいません。彼らはなんと逆に商業連合の一員になるために、オリジクラウドという日用品店を興して社長業をやることにしました。
 ロイも殺し屋は時代遅れになると言っていて、時代の変化を見越したうえでの選択だったようです。整形してビジネスマンとして生きていくのだと言っていました。
 セントーレアも受付嬢に誘われるのですが、そんな暮らしはまっぴらごめんでしょうし、「身代わりとして死んでおくべきだった」なんてロイに脅されていたので、無冑盟から抜けることを決意しました。
 せっかく商業連合との繋がりを消したのに、事情を深く知るセントーレアに逃げられたらたまったもんじゃありません。モニークは全力でセントーレアを殺そうとしました。ロイは別の仕事があるとか言っていたので、本当は殺したくなかったのかもしれません。
 セントーレアは前任のプラチナと同様に組織を裏切り廃ビルの中へと逃げ込みました。彼女にもクロガネの懲罰が降り注いでしまうのかとヒヤヒヤしたのですが、そうはなりませんでした。クロガネのもとへ来訪者があったのです。ムリナールです。
 ムリナールと対面したクロガネは、ニアール家とロドスへの攻撃をやめるように無冑盟に命令を出したと言っていました。ムリナールはクロガネを脅せるほど強いみたいです。彼の光のアーツは波となり敵を撃つのだと。
 モニークはロドスのもとへ逃げ込んだセントーレアを追い込んでいたのですが、グラベルとTouchの反撃で時間を稼がれ、クロガネからの命令を受け取ってセントーレアを逃がしました。ロドスとしてもカジミエーシュを離れたら監査会の庇護がなくなるため無冑盟とどう対処していこうか悩んでいたと思うのですが、ムリナールが助けてくれた形になりました。
 というわけでロドスもこれで禍根なくカジミエーシュを去ることができ、次なる目的地へと向かうことができました。救われない話が多いアークナイツの中では、比較的物事が前へと進み、感染者にも希望が持てる終わり方をしたお話なのではないかなと思います。



 ここで語り切れなかった、ドロステ、トゥーラ、ディカイオポリスの話や、トーランドとニアール家の話は後編に書きました。合わせてご覧ください。
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